2002年3月 女性助役−1回めの否決− 
異例の無記名投票で女性助役などの選任否決
「市民にわかる議会へ」 市議団のコメント

中原ひろみ議員の助役選任案への賛成討論
「政・官のゆ着があった」市長発言について市議団のコメント
異例の無記名投票で女性助役などの選任否決

助役空席は政令市では異例事態
(市議会本会議 3月27日)
「無記名投票は卑怯」−傍聴者から批判の声も

 無記名投票の結果は、猪爪氏(女性)が賛成28人・反対31人、高村氏が賛成27人・反対32人で、2人とも否決されました。

議長職権により無記名投票で採決
 27日の市議会本会議に、市が公募で選んだ女性助役候補の猪爪範子氏と、辞職する小田助役の後任としての高村義晴都市計画局長を起用する選任同意案が提案されました。
 この同意案は、異例の無記名投票での選挙によって賛成少数で否決され、4月から助役不在の異常事態となりました。政令市移行後、市議会が助役選任案に同意しなかったのは初めてです。

無記名投票か記名投票かを起立採決  どちらにも起立しない議員も
 同意案の採決方法をめぐって、平野議長が所属する「新政クラブ」が「無記名投票」を求める要求書を提出。一方、日本共産党と新自民クラブからそれぞれ「記名投票」を求める要求書が提出されました。
 本会議で無記名か記名かについて起立採決が行われましたが、どちらにも賛成しない議員がいたため、いずれも過半数に達せず、議長職権により無記名投票となりました。 

政からの介入に加え、今度は、理由のない「市長いじめ」か
 助役選任の同意案に対して、日本共産党を代表して中原ひろみ議員が、賛成討論を行いました(別記参照)。
 女性助役の実現なるかどうかを見守る多くの市民が傍聴していましたが、同意案が否決されると、「卑劣なやり方だ」と無記名投票に対する怒りの声があがっていました。
 本会議終了後、日本共産党市議団は、「助役人事についてのコメント」を発表。この中で、「市民に分かるように従来どおり、起立採決方式すること」をもとめ、議長会派が意図的に無記名投票を強行したことを批判。さらに、市民からみればどうかつ議員による市政への介入に加えて、今度は理由のない「市長いじめ」と写っても不思議でないと指摘し、今後とも開かれた市議会の姿を取りもどすために奮闘することをのべでいます。(コメントは別記参照)

「市民に見えない決定で残念」 市長が会見で助役候補2人は再提案の意向
 助役2人の選任が否決されたあと、秋葉市長は記者会見で、「市民に見えない決定であり残念」と無記名投票による採決を批判。助役候補2人については再提案する意向を示しました。

上にもどる

「市民に分かる議会へ」 (日本共産党市議団のコメント)
反対理由も示さず、誰が反対したかも分からない投票方法は市民不在 


 今回の助役人事は、@公募により広く人材を内外に求めたこと、A市政初の女性助役の誕生、B政・官のゆ着をたち切るための人心一新、という点からみて、市民の大きな関心を集めた。多くの傍聴者が見守る中で行われただけに、議会での表決の経過が、市民に分かるように従来通りの起立採決方式をとるべきであった。
 ところが、議長会派がこれを意図的に無記名投票という、助役選任では前例のない方法をとったため、市民には誰が賛成し、誰が反対か、全く分からない投票が行われ、結果的には、初の女性助役(猪爪氏)も、高村氏も共に否決され、助役不在と言う異例の事態となった。
 否決するなら少なくとも、その理由を市民の前に明らかにすべきだ。ところがその理由も言わず、態度も明らかにしないというやり方は、市民からみれば恫喝議員による市政への介入に加えて、今度は、理由のない単なる「市長いじめ」と映っても不思議でない。
 市民に開かれた、あるべき議会の姿を取り戻すために、日本共産党は今後とも全力を尽くすものである。
2002年3月27日  日本共産党広島市会議員団

上にもどる

女性助役男女平等達成、条例実行へ能力発揮を期待
中原ひろみ議員の女性助役賛成討論(3月27日 本会議) 

 猪爪範子(いのづめのりこ)さん、高村義晴さんの助役選任の同意について賛成の立場から討論をします。
 公募による女性助役の登用に関し、議会から人数、財政、仕事量と役割分担、発表時期など様々な角度から意見が出されました。
 前・森元助役の突然の退任で、それまでの議論が無意味になった感は否めません。助役人事は市長の先決事項であるとはいえ、議会も提案された人事の承認権を持っており、市長は議会にもっと充分な説明をすべきでした。

新人事は「政・官ゆ着」をたちきるための第一歩
 しかし、市長が発言された「人事問題が議会の意向で左右されていた」という政・官の癒着が真実とすれば、政の介入で市政がゆがめられていたということであり重大問題です。
 市長が明言通り、調査委員会を設置し真相を明らかにしていく上でも、提案された二人の人事は、「人心一新をはかりたい」「その第一歩になれば」という市長の思いがこめられた人事だと推測できます。この人事で実際に癒着が断ちきれ、助役が本来の仕事を遂行できる環境が整うことを願います。
 ただし、あえて言いたいことは、高村義晴さんは、今も国土交通省に籍を置かれることから、国土交通省の意向に沿い、ゼネコンが喜ぶだけのムダな公共事業を積み増しする行政になるのではないかという懸念を持たざるを得ないことです。
 国土交通省へでなく市民に顔を向けた市政を目指すよう要望すると同時に、かつての「助役ポストは天下り」という悪しき習慣を復活させることのないようにしてほしい。また、本省からの出向者の任期は、通常3年ですので、高村さんは後一年の任期となります。国土交通省の都合で市の助役人事が左右されることのないようにしていただきたい。

「男女共同参画推進条例」の実行施策と結びつけて女性助役の議論を

 また、女性助役をめぐる議会での議論の特徴は、「財政難の中、なぜ3人の助役か」など、財政面からの議論が目立ち、民主主義と男女平等の達成にむけた政治の役割を女性助役に求める議論が不充分ではなかったでしょうか。
 女性助役登用の可否を論ずるなら、「男女共同参画推進条例」を実効性のある施策と関連付けて議論する必要がありました。国の「男女共同参画社会基本法」は、男女が社会のあらゆる分野の活動に参画するチャンスを与えただけで、女性への差別や社会進出の障害をなくす措置を具体的に規定したものになっていません。
 雇用の現場では、企業がパート労働など不安定雇用のまま女性を安上がりの労働力として活用しており、昇進、昇格での差別、ことに男女の賃金格差は世界から見ても際立っています。

市の条例も「予算上の措置」を明記
 市の条例にもあるように、女性の抱える現実はまだまだ厳しく、雇用の場での女性差別、子育て、介護の負担と仕事の両立など、多くの女性が悩み、社会参加したくてもできない状態にあります。
 また、DV(ドメスティック・バイオレンス)による被害対策や、それをなくす取り組みも早急に求められます。このような条件整備、環境改善なしに、真の男女共同参画社会は実現できません。だからこそ、市条例の第4条「本市の責務」には、男女共同参画の推進に関する施策を実施する為、必要な予算上の措置を講ずるように努める」と明記しています。
 新しい女性助役には、女性の社会参加の条件整備に、女性としての視点、感性を大いに生かして頂きたい。男女共同参画事業は、行政においては複数の部局にまたがる大きな仕事です。たて割り行政をこえて、各部局の担当者からなる横断的な推進委員会をおいて、連携して進める必要があります。
 例えば、保育園の待機児解消、子ども病院建設、小児医療、介護保険制度の充実、特別養護老人ホームの建設、雇用状況の調査、指導などをとってみても、男女共同参画事業という新しい視点からみれば、これまで以上のスピードと内容が各部局に求められます。さらに、環境問題、ゴミ問題などは、買い物にはじまり、分別・リサイクルまで日常的に気を配っている多くの女性の意見を取り入れることが、解決策を見出す上で重要です。
 男女平等の達成は、女性、男性が一緒に取り組む問題で、女性助役をおいたからといってそれだけで事業が進むわけではありません。行政においても女性職員の数を積極的に改善するなどの努力が不可欠です。改革を進める上でも女性助役の役割を明確にされるよう要望します。

女性助役は女性の地位向上につながる成果にその能力の発揮を
 「公募による女性助役の登用」が市民的関心を呼び、広島における女性の政治参加、社会参加への関心を高めています。条例を確実に生かす上で大きな意義があったと考えます。
 猪爪さんが、その能力を充分に発揮され、男女平等、女性の地位向上につながる目に見える成果を上げられるように期待するとともに、立党以来、男女平等を掲げ続けてきた日本共産党としても、今後、女性のあらゆる課題の解決に向け、協力・共同することを申し上げて賛成討論とします。

上にもどる

「元助役は、政からの恫喝に悩み、苦しんでいた」
秋葉市長 「政・官のゆ着があった」と発言
 開会中の広島市議会・予算特別委員会で15日、秋葉忠利市長が、森元助役辞任の理由について、@辞任は女性助役の登用を目的としたものではないこと、A助役が、政からの理不尽な恫喝に悩み、苦しんでいたこと―を明らかにしました。
 これが事実であれば、政官ゆ着で市政がゆがめられていたということになり、重大問題です。尚、公募による女性助役については、数日後に、選任同意案が議会に提出されることになっています。
 日本共産党広島市議団は、次のコメントを発表しました。

秋葉市長の政・官ゆ着発言について日本共産党市議団のコメント
 本日、午前中の予算特別委員会で、秋葉市長は森元助役の解任について、「辞職した森元助役は政からの理不尽な恫喝に悩み苦しんでいた。その恫喝も限度を超えてきた。これまでの助役のほとんどの仕事は外圧との調整だった。政と官のゆ着を断ち切るために人心一新した」という発言をし、その中で、市の人事問題も議会の意向で左右されていたとも述べている。
 市長の発言がもし事実とすれば、国会で問題になっている鈴木宗男疑惑事件と同じく、政の介入で市政がゆがめられていたということであり、重大な問題である。
 市長は、今後、調査委員会を設置して真相を明らかにして議会に報告するということであり、この際、徹底的に真相を明らかにすることを期待したい。
2002年3月15日 日本共産党広島市会議員団

上にもどる