トップ議会情報・議員の発言2009年第2回6月定例会 議員発言 >厚生委員会 中森議員


2009年6月29日 厚生委員会 中森辰一議員

【議 案】
コールセンターの委託について
   債権回収会社による後期高齢者医療保険料、介護保険料、国保料、保育料の滞納者への納付勧奨     について     
   保育料滞納への配慮について
母子家庭自立支援給付金事業 出産育児一時金引き上げ
   出産一時金42万円 一時的でなく継続事業に
女性特有の子宮頸がんと乳がんの検診費用を無料とする補正予算
   国へ無料継続の働きかけを
請 願
生活保護の母子加算の復活について(請願第26号)
   母子家庭で育つ子どもは17人に1人
   平均年収は237万円
国民健康保険に関することについて(請願第25号)
   療養、出産等休業時の手当を
   払いたくても払えない高すぎる保険料
患者・住民の負担増、高齢者への差別医療につながる「後期高齢者医療制度」の廃止等を求めることについて(請願第19号)
自立援助ホーム
保育行政について
   公私給与格差と専門性確保  
   国の交付金で早く建て替えを  
知的障害者ケアホームについて
3号被爆の認定について
介護保険制度について
グループホーム等のスプリンクラー設置の義務付け


議案 補正予算について

コールセンターの委託について
  
債権回収会社による後期高齢者医療保険料、介護保険料、国保料、保育料の滞納者への納付勧奨について

(中森辰一議員)
 コールセンターの設置について、ここ(厚生委員会)では、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民健康保険料、保育料の4つがあるが、滞納対策ということで、専門的ノウハウを持つ民間事業者に業務を請け負わせるということだ。それはどういう種類の事業者か。

(保険年金課長)
 具体的にはこれから公示をして、提案を受け付けるプロポーザル方式で募集する。我々がやりたい事業について企画提案を受けて、審査した結果ということになるので、業種を限定してやるというものではない。


(中森辰一議員)
 税の方がそうだが、全国的に行われているが、だいたい債権回収専門の会社、カード会社の子会社で債権の取立てをする専門の業者が請け負ってやっている。保育部門は、少し状況が違うのではないかと思うがどうか。税の方はそうなっている。今回税と一括でやるので、同じ業者になると思うので、同種の債権回収を専門として、そういうノウハウを持った業者になるのかと思う。そういう業者がかなりあるようだが、そういう業者になる可能性が大きいと考えていいか。

(保険年金課長)
 あくまでも企画提案を審査させてもらう。その中で優れた提案を採択する。

(中森辰一議員)
 保育の場合は、滞納対策だけではなかったと思うが、そうすると、単に滞納があるから声をかけるというだけではない別なこともあるわけだが、それも同じ事業者ということになるのか。

(保育課長)
 保育のコールセンターだけで別の業者というふうには考えていない。


(中森辰一議員)
 だいたい、全国的には債権回収会社がいくつも応募していて、そういう中で選ぶという形になっているようだ。かなりデリケートなことを扱うので注意が必要だと思うが、最近、インターネットを介して大量の個人情報が流出したり、自分の会社の顧客情報を勝手に外に持ち出して売ってしまったり、とりわけ民間業者のところで、個人情報の流出が事件として頻繁に報道される。
 本来、行政内部に留めている市民の個人情報を民間業者に預ける、しかも、その個人情報を扱うのは事業の期限が来たら解雇することになる臨時雇用の人たちだ。
臨時雇用の人たち個々の責任能力に問題があるということではなくて、会社が短期間しか雇用しない人たちについて、その会社も、委託する市の方も市民の個人情報に、絶対に大丈夫ですと責任を持つことができるのか。そういうしくみではないのではないかと思うが、どのようにお考えか。

(保険年金課長)
 言われるように、特に慎重に保護を要する重要な秘密情報だと認識している。契約書、仕様書に、広島市個人情報保護条例、また他の関係する保護条例を遵守するようにきちんと明記する。そういった取り組みを通じて個人情報には特段の配慮をしてまいる。


(中森辰一議員)
 一時的な滞納者の中には、単に支払いを忘れていたといった例もあるだろうが、滞納が増えているということは、今日の経済状況の中で所得が減って、やむなく後回しになったという人が多いのではないか。
 生活に困っている人は、サラ金やヤミ金の格好の対象だ。しかも、保育は入所を申請したから名簿があるが、他は、当人の意思に関係なしに市に名簿があるというものだ。
行政情報として最も大事な個人情報が、外に出てしまうといったことが、絶対にないことを、行政は保証する必要がある。そういう保証はできるのか。

(保険年金課長)
 十分な答弁にはならないが、そういったことがないように、個人情報の流出や改ざん等の事故が生ずることがないように、適正に対処してまいる。


(中森辰一議員)
 これから指摘することも含めて、こういう業務は、本来、短期的な雇用対策でやるような業務ではないと思う。少なくとも市が直接雇用してやる業務だ。そうしないと、事件が起きたとき、市は責任の取りようがないのではないか。
 民間に委託するだけで、責任の所在が離れる。それが、民間事業者による臨時雇用となると益々責任の所在が遠のいていく。そんなことを安易にやっていいのかと思う。
名簿流出は絶対にないと保証できなければ、外部に名簿を託すようなことをするべきではない。この点は強く指摘しておく。

 次に、厳しい生活状況の中で、つい保険料などの支払いが後回しになってしまうというような事例が多いのではないかと思うが、これまで市の職員が声かけをやってきた。その中でこの問題はどのように感じているか。

(保険年金課長)
 国保料で申し上げると、これまで、滞納が発生して2ヶ月が経過した段階で収納嘱託員による納付勧奨を開始している。コールセンターでは、納付期限後おおむね20日が経過した段階でコールセンター職員による納付勧奨を開始する。これまでより早い段階で納付勧奨を開始するので、収納率の向上などに効果があると考えている。
 (※ 質問に答えていない)


(中森辰一議員)
 生活をどう見ていくか、それに対してどういう風に支援していくか、という視点が必要だ。
単に、マニュアル通りに、機械的に督促するだけではなくて、暮らしに困っている状況があればそれを把握して、様々な生活支援制度につなげていく、そうした機能がなければ、行政の取り組みとしては大変不十分だ。この点は、どのようにお考えか。

(保険年金課長)
 これまでより早い時期から事業を開始する。その段階から収納嘱託員や本紙職員が直接納付勧奨ができればいいのかもしれないが、経費的な問題もある。そういったことを総合的に考えて、これまでできていなかった時期からの納付勧奨を民間事業者に委託して実施していきたいということである。

(中森辰一議員)
 民間事業者に委託をするのは問題があると、先ほど言ったが、声をかけるときにその人の状況がすぐにつかめてすぐに生活支援のネットワークにつなげていく、そういう支援がいまほど必要なときはないと思う。そういう点では、わざわざ2段階を踏んでやらねばばならないわけで、そういう点でも取り組み方として問題があるのではないかと思う。


保育料滞納への配慮について

(中森辰一議員)
 もうひとつ、保育の場合は、保育料を滞納せざるを得ない状況は、本来保育現場で、子どもや保護者とのやり取りを通して把握できるのではないか。それから、保護者が働いているかどうかを職場に確認する業務も行うということだが、就業状況に変化があったりした場合も、保護者や子供の状況を通してつかむことは可能だ。保育現場では、そういうことができるような保育士たちと保護者達との信頼関係が築かれている必要があると思う。
 そのことによってよりよい保育ができて行くことになるのではないかと思う。むしと、
そちらの方を強める方がいいのではないかと思うが、この点はどうか。

(保育課長)
 保護者との関係で、保育園において家庭の状況をつかむ努力は、今でもやっていて、納付勧奨も園長から手渡しをしている。しかしながら、申請書を出した後の収納状況の変化は、そのたびに報告をもらうようにしているが、そのあたりの確認をもう少しきちんとやろうということで、福祉事務所が今やっている電話などを合わせてコールセンターにやってもらおうということであるので、園と保護者とのつながりを否定するとか弱くするとかそういうものではない。


(中森辰一議員)
 昨年の4月から、保育園児の親が失業したとき、求職期間中は6ヶ月まで就園を認めていたが、3ヶ月に縮小した。待機児が多いことが理由だろうが、今の社会経済状況を考えるとこれは逆の措置ではないか。
 以前より今は仕事が見つかりにくくなっている。ましてや、幼児を抱えている母親は、求職活動では不利な立場にある。待機児が多いのは、そうした親たちや子どもの責任ではない。保育行政としては、できるだけ継続して保育園生活が送れるように考えるべきだ。
 保育現場のあり方といったことを言ったが、それにもかかわらず、求職期間の要件を短縮したのは、保育行政の矛盾を立場の弱い親や子どもに押し付けるものだ。これは、保護者たちに対する姿勢が問われていることだと思う。
 どうも親たちに保育行政が冷たくなっているのではないかと感じる。そういう点で、手抜きをしないで、現場の体制をつくって、親の就業状況もわかるようにしていく、そういうところから信頼関係をつくっていく、単にマニュアルで声をかけていくということではなくて、そちらの方を強めるべきだと思う。



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母子家庭自立支援給付金事業
  出産育児一時金引き上げ


出産一時金42万円 一時的でなく継続事業に

(中森辰一議員)
 次に、母子家庭自立支援給付金事業が拡充され、支給額がおよそ4万円引き上げられ、支給期間も学校に行く期間全部が対象になった。厚生委員会や子育て支援特別委員会でも、この制度を取り上げて抜本的な改善を求めていたもので、大変大事な改善だ。
 出産育児一時金も、市民病院以外はどこも最低42万円程度になっていることで、この水準に追いついてきたことは大変大事な改善だと思う。
 問題は、これが当面の景気対策で行われたもので、平成23年度までの時限措置になっていること。経済対策の側面がないことはないが、本来市民の暮らしと健康の安心にかかわることで、一時的なことではなく、制度として定着させなければならないことだ。
 出産育児一時金は、昨年12月の報道で、厚生労働省が今年の10月から42万円に引き上げる方針を明らかにしたというのがあった。ということなら継続事業になると言うことだが、なぜ臨時的なやりかたになったのか、分かれば教えていただきたい。
 それから、母子家庭への給付金事業も、このような実態を踏まえた改善を行って、3年たったら、期限切れで元に戻しますということにならないと思うが、どうなるのか。

(保険年金課長)
 出産育児一時金について答弁する。なぜ23年3月までかということであるが、(厚生労働省は)当面それまでの間は引き上げることを決定する、その間に、妊産婦の経済的負担の軽減を図るための保険給付のあり方、あるいは費用負担のあり方について、引き続き検討を行う、その検討結果に基づいて、必要な財政措置を行うとしている。
 市としても、その状況を見て市としての判断をする。


(子ども家庭支援課長)
 母子家庭自立支援給付金事業について説明する。国の経済危機対策ということで23年度までとして、状況をみて国も今後検討するとしている。3年後に元に戻ることになると、23年度入学とそれ以降とでは、非常に不公平なことになる。広島市として、大都市民生主観局局長会議等において、国に継続を要望していきたい。


(中森辰一議員)
 母子家庭への給付金事業は、継続していくためには、しっかりと実績をあげることが大事だと思うので、市としてがんばっていただきたい。

あと、確認のために聞いておく。
 出産育児一時金に関しては、すべての医療保険で、同様に引き上げられると思う。
そこで、病院事業局に伺っておきたい。全体として医療保険の方で42万円給付されることになる。そうなると、市民病院でも出産費用を42万円まで引き上げることになるのか。

(広島市民病院事務長)
 今後、検討させていただきたい。

(中森辰一議員)
 懸念しているのは、生活保護から支給される額がそこまで追い付いていないのではないかと思う。そうすると、低所得の場合はいま市民病院がよりどころになっているが、市民病院も(42万円に)引き上げるとなったら、生活保護の方もそれに合うようにしないと困ることになると思うので、よく見ておいていただきたい。



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107号議案 女性特有の子宮頸(けい)がんと乳がんの検診費用を無料とする補正予算

国へ無料継続の働きかけを

(中森辰一議員)
 107号議案だが、この議案に異論はないが、なぜ、1年限りの事業なのかが疑問。
 この2つの検診費用無料化は必要な制度だと市もお考えだと思うが、確認しておく。

(保健医療課保健指導担当課長)
 ご指摘の通り、大変意義のあるものだと思っているが、国の経済危機対策の一つとして、未来への投資として今年度限りとなっている。来年度以降については、今年度の状況をふまえて検討するとしているが、国に対して、継続して事業が実施されるように全国衛生部長会議等で働きかけをしたいと考えている。

(中森辰一議員)
 まだ継続が前提になっているわけではないということか。

(保健指導担当課長)
 継続が決まっているものではないので、国に強力に働きかけをしたいと考えている。


(中森辰一議員)
 全国的にも必要な事業だという認識だと思う。その点で、国が本気でこの問題に取り組もうというのであれば、継続するべきだと思う。しっかり、継続を働きかけていただきたい。



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請 願

生活保護の母子加算の復活について(請願第26号)

(中森辰一議員)
 広島市で、生活保護を受給している母子世帯は先ほど1700余りあると言っていたが、生活保護ではないが、生活保護基準以下の低い所得しかないと思われる母子世帯はどの程度あるのか。

(健康福祉企画課保護担当課長)
 生活保護の基準を下回る母子世帯の数字はつかんでいない。


母子家庭で育つ子ども子供は17人に1人

(中森辰一議員)
 わが国の生活保護の捕捉率は2割から3割しかないと言われてきた。今日の厳しい経済状況の中で、(生活保護の)必要な世帯は増えている。それが反映していま17パーミルぐらいに、かつてとは比べ物にならないくらいの保護率になっている。そういう中で母子加算を廃止をした。それに対して母子加算を復活するよう求める裁判が広島でも行われているが、地方裁判所は、相変わらず国の行政の立場に偏った判決を出した。しかし、世論はそうではない。
 今日の貧困と格差の問題は、母子家庭にも集中して現われている。母子家庭に育つ子どもは17人に1人となっていて、ここに社会がどういう手立てをとるかは、国民の暮らしを守ることと、子どもの育ちを保障することの両面で重要になっている。
 元々、母子加算を含めた保護費全体が、憲法25条で保障された、日本国民の健康で文化的な最低限度の生活のための費用だった。
 生活保護を受けることは、基準に合いさえすれば、憲法上の国民の権利だ。ところが、長く生活保護を受けることは恥であり、肩身の狭い思いをしなければならないものだと思わされてきた。だから、苦しい生活であっても、生活保護にならずに我慢する世帯がたくさんある。


平均年収は237万円

(中森辰一議員)
 母子家庭の平均年収は237万円で、学齢期の子どもが2人いる世帯なら生活保護基準を下回る。平均がこの程度だから、これより低い収入の母親がたくさん存在する。
 わが国で、生活保護になっていい状態であるのに、生活保護になっていない世帯が、生活保護世帯の何倍もあるのは、社会の生活保護を見る眼の問題があったし、そういう意識を行政がつくってきた面も大きい。また従来から、生活保護受給者をできるだけ増やさないような行政が全国で行われてきた。
そのようにして、札幌での母子餓死事件や北九州での餓死事件などが引き起こされ、豊かなはずのわが国社会で餓死するというショッキングな事件が大きな社会問題になった。
 つまり、我慢して生活保護を受けていないが、生活保護基準以下の所得しかない母子世帯がたくさんある。自分にも、そういう母子世帯に生活保護の受給を勧めた例がたくさんある。
 厚生労働省は、そういう我慢している母子世帯や、政府の支援が心もとないから、子どもの将来のために貯蓄をしなければと、生活費を押さえ込んでいる世帯がかなりを占める母子世帯の平均消費支出と、生活保護費と母子加算額を合わせた額を比べて、生活保護を受けている母子世帯の方が多い、だから母子加算は必要ないと結論付けて、母子加算を廃止した。
 考え方として筋の通らない理屈をつけて廃止したのが母子加算。
  しかし、元々小泉(内閣)以来の骨太の方針の中で、毎年社会保障費を2200億円削り続けてきた、その削る内容として母子加算の削減がある。つまり、財政問題のツケを母子世帯に押しつけたもので、削減ありきの理屈だから筋が通らない。
 むしろ、この理屈は、生活保護基準以下の所得しかない母子世帯を大量に放置してきた生活保護行政自体の怠慢を、みずから現している。みずからの怠慢を理由に母子加算を廃止した。だからこそ、全国で怒りの声が集まって裁判に訴える運動が起きている。
 広島の裁判は高等裁判所に舞台が移っているが、先週、野党4党の共同提案で提出された、母子加算を復活する法案が、参議院本会議で可決された。世論で、ここまで国会を動かしてきた。今後は衆議院を動かせるかどうかになるのかと思う。結論は総選挙の後になるかもしれないが、広島市議会にも市民から問題提起されたわけで、是非、しっかり審議をお願いする。



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国民健康保険に関することについて(請願第25号)

療養、出産等休業時の手当を

(中森辰一議員)
 今回、市の取り組みの進んだ面があったので、残された問題と新たな問題で、請願が出し直された。今後、新たな問題を含めて審議をお願いしたい。
 今回新たに提起された課題は、他の医療保険には、出産、ケガ、病気での休業、療養を余儀なくされたときの生活費の手当てがあるのに、国保ではそれがない。これは、医療制度としても、また他の医療保険に比べ相当な保険料を負担していることを考えても、不公平であり、何よりも実態として必要である。検討してもらいたい、というものだ。
 たしかに、加入者には年金生活者が比較的多く含まれているので、若い世代特有の需要をまかなう費用を、年金者も負担するべきなのか、という意見もあるが、これは率直に受け止めたいと思う。
 同時に、請願者が強調している必要性という点は、大事な課題として理事者も受け止めていただきたい。
 問題は財源だが、保険料ではないところで負担してもらうしかないと考える。厳しい財政状況というのが、いつも枕ことばで出てくる状況だが、できるところから、たとえば出産手当を子育て支援施策のひとつに位置づけて、一定の財源を確保して支給制度を考えてみるといったことも考えられると思う。
 現状が、国保と他の被用者保険とでは、給付の格差が大きいので何とかならないかという切実さは理解いただけると思うので、理事者には前向きなご検討をお願いしたい。


払いたくても払えない高すぎる保険料

(中森辰一議員)
また、この請願の最も基本の課題について、改めて問題提起しておきたい。
この間、高い保険料負担をいかに所得の実情に合わせたものに近づけていくかを議論してきた。結果として現われた滞納者への対応の問題は、きちんと生活実態を把握するという原則が確認されたと思う。
 問題は、保険料が所得の実情に合っていないこと。この問題が残っている。この点で、改めて、考えていただきたいことがある。
 最近、OECD(経済協力開発機構)による、各国の貧困率が注目されて、貧困と格差の問題の重要な指標として論じられている。
 様々な報道をみると、わが国の貧困率は、先進国の中でも高い方にあって、格差が非常に大きいと指摘されている。それだけではなくて、税と社会保障などの所得再分配の機能が極めて弱いか、逆に作用している特殊な国になっている。
  ほとんどの先進国が、税と社会保障の政策によって、貧困率を大きく改善している中で、わが国の貧困率の改善はわずかでしかない。子どもの貧困率は逆に大きくなっているのは、世界的に見ても異常だ。
 子どもの問題は、子どもに関する給付がヨーロッパなどに比べて貧弱であることがあるが、わが国の税と社会保障のあり方が、所得の低い層に過酷なものになっていることがおおもとにある。
 これまで、厚生委員会でも、予算特別委員会、決算特別委員会、さらに本会議でも、何度となく、生活保護基準以下の所得であっても、多額の所得税、住民税、保険料が課せられている実態を指摘して、生活保護制度と矛盾するという指摘をしてきた。
 さらに、国保をはじめ、介護保険でも、他の医療保険でも、利用すればいちいち自己負担がある。しかも、原則として所得に関係なく一律の負担になっているため、収入が少ない市民にとっては相当に重い負担になっている。
 このようにして、わが国では、所得が低い世帯にとって、税や社会保険料の負担も重いが、利用する際の負担も重い。こういう状態を放置してきたところに、格差と貧困を改善できない原因のひとつがある。
 広島市は、市民生活の安寧ということを、これからの市政の課題にしようとしている。そうであるなら、所得再分配の機能を市としてもできるだけ改善する努力が必要だ。
 その具体的な政策課題のひとつが、国民健康保険料の減免制度である。今の保険料のしくみは、実質的な生活保護基準程度の収入の世帯で矛盾が出てきている。これを改善しようとするなら、今の法定軽減制度のような、生活保護基準より大幅に低い所得基準ではなく、せめて生活保護基準をやや上回る程度の所得を対象として、以前の制度がそうであったように、7割程度を減免するような、抜本的なものである必要がある。
 広島市が、本当に市民生活を守りたいと考えるなら、生活保護しか手段がないということではなく、国保料の減免制度を利用してください、そうしたら少しでも生活が楽になります、という選択肢を示すことができるようにするべきだと思うが、ぜひ、前向きに検討をお願いしたいし、審議をお願いしたい。
 これまで、頑強にできないといってきたわけで、すぐに方針を転換できるとは思っていない。しかし、生活が苦しい人たちにとっては、保険料よりもまずは食べることにお金を使うのは当たり前。それは払う気がないということとは違う。今の法定軽減制度の水準が余りにも低いから、生活の実態に合わず、払いたくても保険料が高すぎて払えない市民が多い。ここをきちんと認識すること必要があると思う。
 保険料も払って生活も成り立つ、そういう状況に少しでも近づけられるように、市独自の低所得者の減免制度を、ぜひ検討していただきたい。



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患者・住民の負担増、高齢者への差別医療につながる「後期高齢者医療制度」の廃止等を求めることについて(請願第19号)

(中森辰一議員)
 請願第6号の「黒い雨」の問題は、本会議で時間をとって質問したので、今回は特に質問しないが、皆川議員が強調したように、広島市が負う特別な責務として、自覚して取り組んでいただきたい。

 請願第19号、後期高齢者の問題だが、厚生労働省が4月に、滞納者の資格証明書を出す問題で、保険料の負担軽減措置を受けている場合は、資格書の対象外とする、現に医療を受けている高齢者も同様とするとの考えを打ち出したが、実際はどうなっているか。

(保険年金課長)
 後期高齢者医療制度の資格証明書については、広域連合が最終的に決定する。われわれの方には、まだ具体的な運用について伝わってはきていないが、あくまで国が言っているように、(滞納者の)収入や生活の状況を十分に把握した上で、資格証明書が交付されることになろうかと思う。


(中森辰一議員)
 私も、広域連合の議員として、この問題では発言をしてきたが、広島市は、国保の資格書について方針を変えた立場で、後期高齢者医療でも、明らかな悪質滞納者でない限り資格書を出さない取り扱いにするよう広域連合の中で動いてきたと思う。国も、できるだけ出さないという立場に変わってきているということではないかと思うので、広域連合の中で、国保と同様の扱いになるようにがんばっていただきたい。
 請願の方は、ぜひ採択されるようお願いする。

※ 請願第19号は、採択の要請をしましたが、多数決で「継続審査」となりました。



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自立援助ホーム

(中森辰一議員)
  児童養護施設にいた子が高校に行かず就職して失敗したり、高校中退したり、何らかの理由で家庭や他の施設など、どこにも行き場がない、しかし社会や制度のはざ間で援助が受けられない15歳以上の子どもたちを受け入れ、自立を援助する施設がある。
  「自立援助ホーム」というものだが、全国でもまだ50ヶ所しかなく、広島にはない。
  ここにくる子の多くは、虐待を受けてきた子など、そのままでは社会適応に困難を抱えていて、心の奥に人間への不信、大人への不信を持ち、意欲を持てない子どもたち。ゆえに、職場でも生活の場でも自立していくには困難を抱えている。社会がやる気を強制しても、ただ子供たちを暗闇に追い込んでいくだけだ。
そうした子どもがやる気になるのをじっくりと待つゆとりのある援助のしかたが必要。
  こういう援助の必要な子どもは広島でも少なからずいるのではないか。

(児童相談所相談課長)
 昨年度、児童相談所で一時保護してかかわった児童のうち、自立援助ホームへの措置が適当と思われる児童が4名いた。その4名は、県外の施設などを利用している。

(中森辰一議員)
 県外の施設を利用しているということだが、こうした施設は、そうした子どもたちの受け入れ先が必要だと考えた民間ボランティアが始めて、この10年ほどの間に児童福祉法に位置づけられたもの。ここへの入所は、働いて毎月収入を得て、寮費を毎月払い、さらに自立のための資金を毎月一定額を積み立てることが条件になっている。
  法律で位置づけられたので、国と自治体の補助金が出るが、それでは足りないので募金に頼っている。なかなか運営は厳しいようだが、こうした施設は広島市にもつくるべきではないかと思うが、どのようにお考えか。

(子ども家庭支援課長)
 自立援助ホームは、委員ご指摘のように、児童福祉法改正により政令市に対し法的に義務付けられたこともあり、必要性があると認識している。
 設置については、児童養護施設等を対処する人数の見込み、自立援助ホームの利用が想定される者の割合などを踏まえながら、現在策定中の子どもに関する総合的な計画に位置づけるなども含めて、今後、自立援助ホームの設置に向けて調査研究をしてまいりたいと考えている。


(中森辰一議員)
 中国5県の中で、岡山と広島がこうした施設がない。島根県と山口県は1ヶ所ずつ、人口60万人程度の鳥取県で4ヶ所ある。当然、広島でも早く設置する必要がある。
 来年度からの新しい子どもに関する総合計画では、「子どもの貧困」対策を取り組んでいくということになるようだが、早くつくれるように、初年度から準備に取り組むべきではないか。調査研究ではなくて、いまのうちにやっていくと決めて、初年度から取り掛かれるようにしていただきたいと思うがどうか。

(子ども家庭支援課長)
 委員ご提案の、早急にということを踏まえながら、調査研究してまいりたい。

(中森辰一議員)
 早くやっていただきたいが、問題はやり方だ。
6人程度の施設が多いが、数人のスタッフが交代で泊り込んでケアをしているようだが、こうしたところの公的補助は年間600万円程度。しかし、政府は今年の4月から補助対象を20歳未満に限るとしたため、20歳以上の入所者を抱えているところは経営がピンチに陥っているといった実態に合わない状況がある。
 それでもがんばって運営を続けているが、子どもたちが本当に自立するには時間がかかる。それを待ってやれる援助でないといけないということだと思う。
 広島市でつくるにしても、公設民営ということになるんだろうと思うが、少なくとも必要なスタッフの人件費、家賃が毎月きちんとまかなえる、赤字が出るといったことにならないような取り組み、しかも、実態に合ったケアができるような体制ができるようにしていくべきだ。
名古屋市は、市内に1ヶ所しかない自立援助ホームに2300万円の補助をしている。
こうした点も踏まえた施設づくりを進めていただきたい。この点について答弁を求める。

(子ども家庭支援課長)
 名古屋市が2300万円を補助している点も踏まえて、前向きに調査研究してまいりたい。



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保育行政について

(中森辰一議員)
 保育の問題で、3つの角度から質問する。
この間保育園の民営化問題で、繰り返し議論をしてきた。先の予算特別委員会でも時間をとって質問したが、その中できちんと答えていただいていないものがあったので、まず、このことから聞いておきたい。

公私給与格差と専門性確保

 予特(予算特別委員会)では、保育の専門性を高めていくことは重要であることを指摘した上で、「効率化というのは、要するに人件費を減らすことではないか。その内容はベテランを若手に替えるということ。これは、若い時に資格をとってついた職能を、年齢を経ながら、悩みや葛藤を繰り返しながらその専門性を磨き、高めて、社会に貢献してその職能を全うする働き方を否定する、現場の保育士の蓄積した経験と磨かれてきた能力がムダだという考え方ではないか」と聞いた。
 これに対しての答弁は、「効率化は必要である」とした上で、「保育内容は、公私を問わず市が責任を負っている」ということだけだった。
 どこの職場でも、新人、中堅、ベテランが、それぞれの能力と特性を生かし合いながら、より質の高い業務を遂行し、社会に貢献していると思う。保育所は、その中でも自ら言葉での意思伝達が十分できない子どもの発達を担っており、保護者の生活実態など、今日の社会矛盾が強く現れている職場でもある。
  その専門性を高めるためにも、女性が働き続けられる職場でなければならないのに、公立と私立の格差があまりにも大きい。こういう状況を前提に、あえて効率化を言うから、先の質問をした。
 改めて、正面からの答弁を求める。

(保育課長)
 保育の質の向上は非常に大切なことだと認識している。保育園の民間移管の目的は、それによって生じた財源と民間活力の活用によって待機児童解消のための入所枠の拡充、延長保育、一時預かりなどの多様な保育サービスの提供、保育の質の向上などによって、いっそうの充実を図ることを目的として行うものである。
 また、民間移管により生じた財源を活用して、私立保育園に対する女性の充実を図ることにより、私立保育園全体の保育の水準が向上するものと考えている。
 こうしたことから、民間移管が職員の経験や専門性の低下につながるとか、定年まで勤めるとかいう働き方を否定することになるとは考えていない。


(中森辰一議員)
  公私間の格差が現実にあるということを前提にして民営化をしようということなんだから、この格差は埋められるということにならないと思う。
 当初予算で給与費を補助することになった、平均勤続年数が10年を超える10いくつの保育園の中には、園長さんが相当の高齢で、その突出した勤続年数が平均を引き上げているという指摘もある。
 この園長さんを除く、公私間の正規保育士の給与格差は、年額でどの程度あると認識しておられるか。

(保育課長)
 平成20年4月1日現在の園長を除く正規保育士の年収は、平均給与月額を単純に12倍すると、勤続10年目の公立保育園保育士の年収は312万8千円、私立保育園保育士の年収は222万7千円となっている。


(中森辰一議員)
 ずいぶん大きな較差だと思うし、市立保育園の保育士の給与があまりにも低いのではないか。10年勤続までは、その年数に応じた補助金があって、国家公務員並みの給与を支給できるはずだと、予算特別委員会では答弁されたが、とてもそういう状況ではない。実態は、公私間で格差が厳然とある、それが問題になってくる。
 (私立では)公立の保育士より低い労働条件になっていて、それが働き続けにくい状況をつくっているのではないか。
 その労働条件の格差を前提に民営化したら、1園当たり4000万円の効率化ができると市は言っている。これはまさに、この間議論してきた保育の質と矛盾すると思うがどうか。

(保育課長)
 私立保育園の更なる質の向上を図るために、私立保育園が雇用する職員について、より長く勤務できる環境を整えるということがあって、職員の勤続年数が平均10年以上ある私立保育園を対象として、保育園運営費に本市独自の加算を行うことにしている。これにより、公立との給与差の改善につながると考えている。


(中森辰一議員)
 公私間の格差をきちんと埋めていくことが必要だと思う。それは、結局民間移管をして4000万円の差を使うという考え方とは違うのではないかと思う。
先日の新聞の投書欄に、民間保育園の保育士をしている自分の娘が、何年働いても給料はちっとも増えず、サービス残業は多い、行事があるときは準備の仕事を自宅に持って帰ってやっている、と憤慨する投書があった。
 最近放映された、「子どもの貧困」をテーマにしたNHKの番組で、保育園に通っている子どもの多くが家庭の貧困を背負っていて、それが小さい子どもたちの行動に現れている、それをきちんと受け止め、子どもと共に家庭の困難そのものを理解して、保護者といっしょに子どもの育ちを保障していく役割が大事だと強調されていた。
 市は、次の子どもに関する総合計画の中で、「子どもの貧困」を課題の一つとして検討するようだが、保育所は、「子どもの貧困」の実態を現場でとらえ、経済格差が子どもの育ちを阻害しないよう、役割を果たす必要がある。
保育所はそういうものでなければいけないと思うが、この点のご認識を伺う。

(保育園運営指導担当課長)
 保育所保育指針で、保育所は入所する子どもの最善の利益を考慮し、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援を行う役割を担うものであるとされている。このため、保育園においては、一人一人の子どもへの適切な保育を行うとともに、保護者の状況をふまえ、相互の信頼関係を基本に、日々保育に関する専門性に裏付けられた適切な支援を行うことが大切であると認識している。

(中森辰一議員)
 そうした役割は、公私を問わずどの保育園も担うことができる必要がある。
 しかし、それは、保育士みずからがワーキングプアで、働き続けることができない職場では難しいのではないか。
 今の公立保育園の労働条件が十分かどうか意見があると思うが、公立保育園がそうした役割を果たせるよう取り組んでいく必要があるが、そことの給与格差は抜本的に改善しなければならないと思う。
 一方、民間保育園でも、経験年数に応じた昇給、他産業並みの有給休暇や、生理休暇の保証、十分な産前産後の休暇の保証、その代替要員の十分な確保、時間外労働には完全な割り増し手当の保証など、公私の格差をなくしていくことができるだけの、行政の取り組みが必要だ。
 市が、子どもの貧困に取り組んだり、保育の質を言うなら、そうした努力をやることがまず前提になると思うが、いかがか。

(保育園運営指導担当課長)
 本市の保育園における、職員配置及び保育内容については、児童福祉施設最低基準に基づいているので、公立と私立で違いはない。したがって、私立保育園においても適切な保育が実施されていると認識している。
 さらに、保育士の専門性を高める必要があることから、私立保育園職員が研修に参加しやすい条件づくりのための研代替職員の雇用について、今年度から助成を行うことにしている。こうしたことにより、広島市のすべての子どもが心身ともに健やかに成長するよう、保育の質の向上に努めてまいる。


(中森辰一議員)
 原則は、同じ基準で保育をやっていることになっている。しかし実態は、ずっと議論してきたように、勤続年数の差になって現われているわけだ。先ほど言われたように、民間保育士の給与も200万円を少し超えるほどしかない。まさにワーキングプアではないか。
 新聞の投書でも、自分の娘の大変な労働実態が告発されている。こういう状況を放置していてはいけない。ここにきちんと目を向けないと、保育の質とかは言えないじゃないかということを何度も言っている。よく考えていただきたい。


 広島市は、今のようにいろいろ議論はしながらも、保育の質を高める必要がある、そういう努力をしていく、そういう立場に立っていた。
 しかし、いま国が進めようとしている、新しい保育制度は、この(保育の質の)後退を招くものだ。
 保護者の労働契約の状況などで保育の必要度をはかり、その範囲で公的保育を保障する。他方で、保護者と保育園側の直接契約に制度を変える。これまでの保育所を認可する方式から条件がクリアできていればどんな営利企業でも保育事業が認められる。そういう指定制になっていく。これは行政が必要なだけの保育所を確保する責任がなくなる。
  いま現に、たくさんの待機児がいる状態で、直接契約にしたら、保育園に入れないのは保護者の自己責任になってしまう。サービスが選べますと言って導入した介護保険では、施設をつくる責任が行政にないから、4000人もの特養ホームの待機者がいる状況になっている。
 保護者は、利用しただけ自己負担を払う方式になるので、特に経済的に厳しい家庭では本当にみてもらいたい時間だけの保育になりかねない。そうなると、保育園にいる子どもたちを、同じプログラムでみんな一緒に保育することができなくなる。行事をするにしても、それに参加しようとしたら別にお金を払わないと参加できないということにもなりかねない。
 事業者の方も、いまの1人1カ月いくらという方式から、介護保険や障害者制度のように、その日に延べどれだけの量の保育をしたかで収入が決まる出来高払い方式に変っていく。そうなるとできるだけ1日中(保育園に)いる子、病気をせずに毎日通うって来れる子を優先的に扱っていく、そういうようなことになりかねないと思う。現に障害者自立支援法で、障害者施設が厳しい経済状況になっている。同じようなことになるのではないか。
 市の役割は、子どもの保育の必要度を認定することと、その子どもが保育園に入ったら、利用した保育の量に合わせて公的負担分を支払うだけになる。
市が保育の必要な子を保育所に入所させて保育を行う、という保育の実施責任が市にはなくなるということは、先ほど言った公私間格差をなくして質を高めるための市の上乗せの運営費補助は、根拠がなくなるのではないか。市は、財政的に楽かもしれないが、広島市の保育の質は確実に後退するのではないか。
 この問題について市はどのように捉えておられるか。

(保育施策推進担当課長)
 社会保障審議会少子化対策特別部会から2月に出された第1次報告では、保育施策に関する基本的な考え方として、良好な育成環境の保障を通じた全ての子どもの健やかな育ちの支援を基本とすること、質の確保された量が必要であること、財源確保策とともに国と地方を通じた公的責任の強化が図られるべきであること、とされている。
 本市が昨年策定した「保育園のあり方について」では、今後の保育政策の方向として、保育需要に対応した児童受け入れ枠の確保、多様な保育サービスの充実、障害児、発達障害児への支援、全ての子育て家庭への支援、保育サービスの質の向上、保育環境の改善、私立保育園の運営体制の充実強化などについて、本市の責任において追求することにしている。従って、新しい保育制度も「保育園のあり方について」も基本的な方向性や考え方に違いはないと考えている。
 なおこの度第1次報告は、今後の新たな制度体系のさらなる検討に向け議論の中核的取りまとめとして出されたものであり、今後、制度の詳細について検討するとされている。

(中森辰一議員)
 それ(その捉え方は)まちがいだ。今回の報告には行政の責任という言葉はひとつもない。「責務」という言葉はあっても「責任」という言葉は避けている。そういうことや報告の中で現実に、介護保険制度や障害者自立支援法とか、こういうものは先進的な制度だと、参考にすると言っている。
これがいま、どういう矛盾を生んでいるかということを、保育の現場も、保育の行政もちゃんと見るべきだ。保育の質は間違いなく後退しかざるをえない、そういうしくみになっていくと思う。
そういう点で、やみくもに公立保育園を民営化していっていいのかと思う。よく考えていただきたい。


国の交付金で早く建て替えを

(中森辰一議員)
 次の問題だが、15兆円を超える国の2009年度補正予算の中に、2つの臨時交付金がある。
 「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」が総額1兆円。「地域活性化・公共投資臨時交付金」が1兆3790億円。いずれも巨額の交付金だが、いろいろ聞いてみると、保育所建設などの保育所整備にも使える。それも、民間保育園だけでなく、公立保育園にも使える。この点は確認できていると思う。
  活用期間は2年間ということだが、今回、安心こども基金を民間保育園の新設に活用しているように、600人を超える待機児対策で、保育園をできるだけ増やしていくべきであり、私としては、ぜひ公立でつくってほしいと考えている。
 同時に、公立の老朽化した保育所施設が増えていて、市の財政上も重い課題となっている。これが大きな理由になって、民間移管をやるということにもなっている。
 公立保育園の耐震化事業、老朽保育園の建て替えを、この2年間でできるだけ実施できるよう取り組むべきではないか。どうされるか。

(保育施策推進担当課長)
 この経済危機対策臨時交付金は、広島市分として19億4461万円を限度として交付されると聞いているが、@ 本市が地方単独事業として実施しようとする事業は非常に多くの事業があり、保育園の建て替えなどだけが対象ではないこと、A 国からは、緊急経済対策であるとして、本年度の早い時期に実施することが求められていること、B 公立保育園の建て替えなどを行おうとする場合、相当年数経過している保育園が多数あることから、建物の耐震診断の実施、それに伴う改築計画の策定、架設園舎の設置の可否、あるいは代替地の確保など、時間をかけて慎重に検討する必要があることから、ただちにこの交付金を活用して、公立保育園の建て替えなどを行うことは難しいのではないかと考えている。
 なお、公共投資臨時交付金については、現時点では詳細が明らかのされていないので、今後の国の動向等を注視していきたいと考えている。

(中森辰一議員)
 公共投資臨時交付金にしても、今のような姿勢では使うようにならないと思う。せっかく、2年間の期限付きで使ってくださいと(言っている)。財源は我々の税金だ。それを広島市としていかに有効に使っていくか。特に財政が保育行政は厳しいといっているではないか。
 急いで、力を集中して計画を立てていく、この交付金が使えるように努力していくというのは、広島市行政として当たり前ではないのか。

(保育施策推進担当課長)
 広島市も4月1日現在で、607人という、入園希望児童数が相当増えていることもあって、県に造成された安心子ども基金を活用して、待機児童の解消に努めていきたいと考えていて、その増設計画を進めているところである。

(中森辰一議員)
 安心子ども基金もぜひ活用してもらいたい。それから、2つの交付金、ひとつはだいぶ使っているということだが、もうひとつの方はまだ手付かずだ。これも早く情報を集めて、できれば今年のうちにちゃんと計画をつくっていくということをやって、積極的に活用していくという姿勢になるべきだ。一時的に仕事が増えるかもしれないが、これはやるべきだろう。
 その中で、いま問題になっている民間移管の対象園は、ずいぶん老朽化して、以前から早く建て替えてほしいということになっていたものだ。これを、民間移管して、引き受けてくれたとことに建て替えをしてもらおうと、こういうことになっているではないか。
  今回の交付金を使えば2年以上待つ必要はない。早く建て替えをする。建て増しをして定員も増やしていく。建物は新しくなるし、待機児対策にもなる。
 こういうチャンスを積極的に活用すべきだと思う。市の姿勢が後ろ向き名感じがするがどうか。

(保育施策担当課長)
 委員のご指摘のことを踏まえて、この交付金の活用について、今後検討していきたいと思っている。

(中森辰一議員)
 今年のうちに詰めて計画をつくっていくべきだ。そうしないと間に合わないかもしれない。そういう実態にあった取り組みをしないといけない。民営化という計画が別にある。こっちはこれでやるんだというだけではなくて、現に、急に降って沸いたようにお金が下りてくるようになっている。これを使わない手はない。どんどん使ってもらいたい。
 そういう取り組みを求めておく。民営化の方針だけにこだわっている必要はない。急ぐところなら、これを使って建て替えをすればいいではないか。みんな喜ぶわけだ。市だって助かるだろう。そういう取り組みをやってもらいたい。



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知的障害者ケアホームについて

(中森辰一議員)
観音新町に、先日「ドリームハウス」という重度の知的障害者のケアホームが開所した。
18人が生活できる施設だが、開所と同時に一杯になっている。親たちにとって、自分が亡くなっても、人間らしく生活していけるようにということで、親たちとこれを支援する関係者が、大変なご苦労をされて開所にこぎつけた。
 親たちはほっとしておられると思うし、落成式での入所者たちもうれしそうだった。
  しかし、事業者の方は厳しい顔をしていた。開所した今も、この施設が自立して運営できる見通しがないからだ。
 こうした施設について、昨年12月の厚生委員会で質問をしたが、再度市のお考えを聞いておきたい。
  まず、改めて聞くが、こうした重度の知的障害者のケアホームの必要性について、どのようにお考えか。
また、今回の開所に向けて、広島市はどのような支援を行ったのか。また、今後どのような支援を行うお考えか。

(障害自立支援課長)
 重度の知的障害者ケアホームの必要性についてであるが、ケアホームは障害者が住みなれた地域において自立した生活を営にながら安心して暮らす上で重要な施設であると考えている。
 開所に向けての支援であるが、ケアホームの整備に当っては、多額の初期施設整備費が必要になることから、民間の社会福祉法人がケアホームなどを整備する際には、初期施設整備費を軽減するため、市が保有する未利用の土地や建物を貸与しており、ケアホームの整備に当っても、市の土地を貸与している。
 また、これまで、指定都市市長会などあらゆる機会を通じて、事業者の報酬の引き上げなどを国に要望してきた結果、平成21年4月から事業者報酬が5.1%引き上げられた。
 今後の支援であるが、前回の議員からの質問を受けた後、ケアホームの事業者から運営計画などのヒヤリングを行ったが、運営は厳しい見込みと聞いている。しかしながら、施設は開所して半月余りであり、今後施設内用に応じて、運営計画の見直しも必要になると考えている。
 このため、事業が安定した段階で、改めて事業者から施設の運営状況のヒヤリングを行って、また報酬改定等の効果などを見極めた上で、どのような課題があるかを把握し、市として必要な対応を検討してまいりたい。


(中森辰一議員)
 昨年の質問で、自立支援法の事業者報酬では、14名のスタッフ、このうち正規職員は2名しかいない不十分な体制でも、人件費の半分程度しかまかなえない見通しで、行政の財政支援が必要だと指摘した。
これから状況を見て、とうことだが、はっきり答えていただきたいが、いまの枠組みの中で、この施設独自で、どうしても運営費が足りないということだったら、市として、財政支援をするお考えがあるのか。

(障害自立支援課長)
ケアホームを始めとする障害福祉サービスは、本来国が定めた報酬によって健全な運営が行われるべきであると考えている。今回の事業者報酬の引き上げの影響について、国において、施設の運営状況の調査が行われる予定であり、その結果を受けて、必要であれば更なる報酬の引き上げも考えられることから、まずは、今後の国の動向を見守っていきたいと考えている。
 今回の、ケアホームの運営計画においては、減価償却相当額の改修は難しいが、現金ベースでは収支が成り立っていると聞いている。今後、運営状況を中止しながら、必要であれば、更なる報酬アップを国に働きかけていきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 市として独自に財政支援を、必要があってもやる考えはないと受け止めた。
 実態として、この事業法人は、他の施設運営で確保した黒字分を充てて、何とかまかなっていこうとしているようだが、しかし、こういう施設は、今からできていく、必要があって何とかつくりたいというところがたくさんあると思う。
しかし、それらが独自に健全な運営ができないとなると、つくる見通しが立たないとなる。国の責任が重いというのは当然だが、本来、こういう採算が取れない施設は行政がつくるべきものだったのではないか。
行政がつくらないから、民間が、親たちが、あるいは関係者たちが力を合わせて募金を訴えたりとか、そういう努力をしてやっと開所するというところまでこぎつけているわけで、むしろ行政としては、こういう人たちに対して感謝して、足りない分は、市が当面見ますと、それぐらい言ってもおかしくない。そう思うがどうか。

(障害自立支援課長)
 事業者や利用者の方が募金活動でそういった資金を集められたことも承知している。しかしながら、今回のケアホームについては、国の定める基準では、人が足りないという判断をされて、国の基準よりも多く加配された人員配置となっている。
 今回の利用者は、初めて親元から離れて暮らされる方も多く、始まったばかりであるので、安定した段階でヒヤリングを行って、先ほど言ったような必要な対応を行ってまいりたい。

(中森辰一議員)
 加配をしないといけないのは、国の基準ではとても足りないからだ。それでは、入所者たちが安心して暮らせるということにならないから、加配をせざるを得ない。そういう実態に合ってない制度になっているのが問題だが、そのことが分かっていて、市は一緒につくりましょうと支援をしたわけだ。それなら、最後まで面倒をみるべきだ。
 こういう不採算の施設を民間がつくる、それを民間に任せるという考え方自体が間違っていると思う。その点で、行政としてはちゃんと責任を持って、最初から健全な運営ができるように支援をするのが当たり前だ。
 これは、これからも言い続けるので、よく検討してもらいたい。



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3号被爆の認定について

(中森辰一議員)
 市は、救護被爆、いわゆる3号被爆者の手帳申請をめぐっての裁判で敗訴したが、控訴せず、原告に市長自ら手帳を手渡した。
  今回の判決と今後の行政の整合性がとれるように、認定基準の見直しをしているが、被爆者はおしなべて高齢化しており、同時に病気を抱えている人が多いので、急いで結論を出す必要がある。
本会議の答弁で、いつまでにと言わなかったが、今年の8月6日までにはといった声もあった。このあたりを一つのタイムリミットとして取り組んでいただきたい。そういう日程は考慮にあるのか。

(原爆被害対策部援護課長)
 本会議でも答弁したように、3号手帳の審査指針の見直しについては、現在、広島・長崎の4県市で鋭意検討作業を進めているところである。今後のスケジュールとしては、専門家への意見聴取とか、厚生労働省との協議などがある。
 できるだけ早い時期に新しい指針を定めることができるよう努力する。

(中森辰一議員)
 まだ、何ヶ月かかるかわからないということか。

(援護課長)
 現在のところ、いついつまでに指針が定められるかという答弁をする段階ではない。

(中森辰一議員)
 8月6日まで、あと1ヶ月と1週間ほどはある。是非この間に詰めてもらいたい。そういう急ぎ方が求められていることを、よく認識してもらいたい。
判決のポイントで重要なことは、明らかに被爆の影響はないと認定できるもの以外は、つまり、放射線の影響による健康被害の可能性を否定できない場合は、認定するべきであるとした点。
 被爆者の可能性があれば認定するという視点、立場に立つことが必要であり、何人介護したかといった線引きの発想をやめることが大事。
 この点は、どのようにお考えか。

(援護課長)
 今回の判決で示された判断基準には、「多数の被爆者が集合していた環境の中に、相応の時間とどまった」ということが示されている。審査指針は、あくまで判決が原告を個別に認定した被曝事実をもとに作成すべきと考えていて、そういうところが今後の指針になっていくんだろうと考える。

(中森辰一議員)
 原爆症認定訴訟で対立点になっているのと同じ性質の問題だと思う。この点はよく考えてもらいたい。
 裁判で市が敗訴し認定した方には、この間の不利益を回復する対応が必要だ。
裁判で、市の却下処分が取り消されたわけで、その時点に遡って、不利益を補償する必要がある。病気を抱えている人がほとんど。その間の医療費負担の補償。健康管理手当ての支給に該当する病気が認定できるなら、支給されたであろう手当て額の補償が必要ではないか。
この問題は、どのように対応するお考えか。

(援護課長)
 一般疾病医療費であるが、被爆者健康手帳の交付を受けられた場合は、申請時まで遡って本人が負担した医療費を償還払いで払い戻しを受けることができる。償還払いは、レセプトや領収書が必要になるが、レセプトの保存年限の規定から、通常は5年間の遡及ということになっているが、今回のケースは、訴訟という事情を踏まえて、どのような対応が可能か、現在厚生労働省と確認中である。
 健康管理手当ての訴求支給であるが、被爆者援護法第27条により、健康管理手当ての認定申請をされた日の属する月の翌月から、当該疾病が継続すると認められる期間が満了する日の属する月までとなっており、被爆者健康手帳の申請時点に、健康管理手当ての認定申請が提出されていないことから困難であると考えている。


(中森辰一議員)
 敗訴した認定基準は、市が判断して設定したもので、その判断によって原告が被害を被ったものであることをよく考える必要がある。また、高齢で、病気である体を押して裁判に訴えたことの労苦に対して、市長が謝罪した意味もよく検討する必要がある。
結局、市がこの人たちに被害を及ぼした、そこをきちんと考えて、形式的な枠組みだけに囚われずに柔軟にこの問題を考えて、国ともよく協議してもらいたい。この被害補償をどうするのかということだ。自分たちが被害を及ぼした、民民間の被害補償だったらそんな言い方は通らない。そのようによく考えてもらいたい。
そういうきちんとした補償をやってこそ、市長が謝罪した意味が生きてくる。このことも、よく考えていただきたい。誠実な対応をしていただきたい。

 また、過去に却下処分した方への対応も重要な課題だ。
まず、却下処分されたが不服審査請求をしている方への対応。これは、行政への申請手続きが最終的に終わっているわけではない、継続中の案件だ。だから、新しい認定基準に基づいた認定作業のやり直しを行うのは当然だ。この点はどうされるのか。

(援護課長)
 本市が却下処分を行ったものに対する審査請求は、広島県に提出され、広島県において審査されているものである。このため、広島県での決定に従い、対応をしていくこととなる。

(中森辰一議員)
 ということは、新しく出しなおしてくれとか、そういうことは言わないということか。

(援護課長)
 広島県での決定がどのようなことになるかということであるが、当時の却下処分についての判断を取り消すということであれば、再度、審査ということになるし、それを認めるということになれば、再申請していただくということになる。

(中森辰一議員)
 要するに、古い基準で判断をしてはいけないということを言っている。
 これは県に対して、ちゃんと市が言うべきだ。市が考えて認定基準が変るわけだ。継続中の案件だから、古い認定基準で判断するのではなくて新しい認定基準で判断しようよということを言っている。
 県にも、そういう判断をしてもらいたいということを、市が言うべきだと思うがどうなのか。

(原爆被害対策部長)
 この件については、処分がまだ確定していない。現在県の方に審査請求が行われているという状況であるが、県の決定を待たない対応ができるかどうか、県と協議して検討したい。

(中森辰一議員)
 本当は、市が却下処分を取り消して、市の方に(審査を)戻して、審査をやり直すということをやるべきだ。そのように考えてもらいたい。
 それから、過去に却下して、そのままになっている方への対応も急ぐ必要がある。
新たな認定基準に基づいて再度判定したい旨を知らせて、再申請をお願いする。結論が出しだい直ちに実施するべきだが、どうされるか。
  それから、不服審査請求中を除いて、過去の却下事例はどれだけあるか。また、そのうち市が申請書を保存している件数はどれだけあるか。合わせて伺う。

(援護課長)
 既に行政処分の確定したものについては、この判決の効果は及ばないので再申請を行っていただく必要がある。その審査に当っては、過去に申請された申請書類や証人の証言などをできるだけ活用して、申請者にできるだけ負担をかけない形で、迅速に審査を行いたいと考えている。
 過去の却下件数と申請書の保存ということであるが、過去5年間、平成16年度から平成20年度の間の3号被爆に関して却下したものは185件。その申請書については全て保存している。


(中森辰一議員)
 私が言ったのは、知らない人もいるかもしれないから、お知らせをしてもらいたいということだ。それを見て、もう一回申請してみようという気になる方もならない方もおられるだろうが、認定基準が変るので、申請したいということなら申請してくださいということを、お知らせする必要があるよと言った。この点はいかがか。

(援護課長)
 新たな審査指針が決まったら、当然広報は行う。ただ、個々にまたお知らせするかどうかというのは、その時点で考えたい。

(中森辰一議員)
 裁判で敗訴した基準で却下した事例がたくさんある。このことに関しては市の責任で知らせないといけないのではないか、と言った。これはやってもらいたい。また聞く。
 それから、却下した方の申請書があるはずだが、もし死亡していることが分かったら、当時の申請書に基づいて、新たな認定基準による認定作業を行い、基準に該当すると判定されたら、被爆者として扱う、ということをやるべきだ。
つまり、ひとつは、死没者名簿に記載する。もうひとつは、少なくとも死亡に当たっての見舞金などをできれば遺族に支給する、そういった扱いを行うべきだ。
  業務は大変だと思うが、これは、被爆の実相をどう現実の行政に反映させていくかということでもある。たまたま裁判所が判断してそれに従うという形ではあるが、市が被爆者として認めることにしたのであるから、そういう取り扱いをする必要がある。どうされるか。

(調査課長)
 原爆死没者名簿に登載される死没者については、ご遺族から名簿への登載の申請があれば、故人が被爆者健康手帳を保有されていたかどうかに関係なく、基本的に搭載しているので、申請があれば名簿に登載させていただきたいと考えている。
 既に死亡されている方については、被爆者健康手帳の再申請をしていただくことは当然できないので、被爆者援護法上の被爆者として扱うことは難しいと考えている。
 このため、葬祭料の支給も無理だと考えている。


(中森辰一議員)
 広島市の認定基準の誤りによって、この方たちは被爆者ではないと、法律上なっている。そこを、どう引き上げていくのか、ということを提起している。
 法文上だけで判断するのではなくて、広島市だから、広島市がどういう扱いをするかということが注目されている。そういう立場で、どうあるべきかを柔軟に考えてもらいたい。このことを要請しておく。



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介護保険制度について

(中森辰一議員)
 介護保険が、10年目を迎えて、ますます制度が後退してきている。
政府が新たな認定制度の影響について検証するために、広島市もデータを提供していて、私も資料をいただいたが、市は、4月5月の結果についてどのように評価しているか。
 資料をみると、非該当になったのが増えている一方で、要介護3・4・5が減少傾向になっている。全体として軽度化に傾いているのではないか。
  重度に変った人も増えているが、それ以上に軽度に変った人が増えている。軽度になる比率は前年より1.7倍になっている。
従前より軽く認定された場合の生活への影響についてどのようにお考えか。

(介護保険課長)
 今回の要介護認定の見直しについては、認定調査や審査会での審査結果のバラつきを防止することを目的として行われた。本市独自にデータ分析をした4月141件、5月1983件、合計2124件の更新データによれば、更新前後の要介護度の変化は、1次判定では更新後に軽度化したものの割合は9.5ポイントの増加、重度化したものの割合が8.3ポイントの増加となっている。更新後の1次判定における要介護度分布は、要支援2および要介護1の分布率が5.5ポイント減少する一方で、非該当の分布率が2.0ポイント、要支援1の分布率が6.8ポイント増加している。
 しかしながら現時点においては、要介護認定の見直しに伴う影響を分析するために有効なデータ量が必ずしも十分に確保されていないことなどから、正確な状況を把握するため、今後も引き続きデータを蓄積しながら分析を継続していきたい。

(中森辰一議員)
 従前より要介護度が軽くなった場合に、要介護者の生活にどのように影響すると考えているかという点が答弁がなかったが、後の質問と一緒に答えてもらいたい。
介護、日常生活援助というのは、介助が必要な人が、人間らしく豊かに暮らせるようにするというのが目的のはず。単に、食事、排泄、着替え、起き上がりなどの基本的な生活動作や、調理などの生活上の必要動作の支援だけでなく、より豊かに暮らせるための行動支援や、社会生活上の支援も含めて、援助が行われるべきだ。
  先日、舛添厚生労働大臣は、国会の答弁で「介護保険というのは何が目的かというと、介護される人ないしその家族が、快適な状況になるということが必要で、そのためにお金を使いましょうということです。」と述べている。また、行き過ぎた濫用は避けなければならないとした上で、「百歩譲って、犬の散歩をやってもらうことが、まさに介護を受ける人にとって生き甲斐であって、それで精神の安定が保てて、例えば認知症の進行が止められるというようなことになったら、結局要介護度が下がるわけですよ。」「そういう柔軟な発想を持ってやる必要があって、何でもかんでもお金の計算だけでやるということがどうなのか」と述べている。
 その人の心を豊かにすることも含めて、人間らしい暮らしを支えるために、介護保険による援助が認められるべきだということだと思う。
  細かい具体的なことは聞かないが、そうした立場で介護保険の運用が行われる必要があると考えるが、いかがか。

(介護保険課長)
 見直しによる影響であるが、まだ判断できるだけの十分なデータ量が確保されていないし、国の検証も7月には検証検討委員会が開かれると聞いているが、現時点においては判断できる状況にはない。
(※ 質問が理解されていない)
 また、暮らしを支えるよう介護保険が適切に運営されるべきではないかという趣旨のご質問であると思うが、介護保険制度においては、必要な介護保険サービスが制限されることのないよう、適正な要介護認定が行われる必要があると考えている。今後の国における検証の動向、本市での独自の分析を踏まえて、国に対して制度改善の必要があると認められる場合には、再度制度改善の要望を行ってまいりたい。
 (※ これも質問に答えていない)


(中森辰一議員)
 もう認定のことについては聞かないことにする。どうもかみ合った答弁をしてくれないので。
介護保険は、介護の社会化で家族が介護から開放される、といった宣伝がかつて行われていたが、実際は家族介護を前提とした在宅介護が中心になっていて、家族の介護負担が、いまなお非常に重いという問題がある。
そういう中で、14万人を超える現役労働者が仕事を辞めざるを得なくなっている、そして虐待が起こったり、あげくに殺人事件とか心中事件が後を絶たない、という状況がある。そういうこともあって特養ホームの待機者が増え続けているのだと思う。
在宅が基本だというのであれば、介護保険の枠内に介護行政を閉じ込めるんではなくて、広島市の行政全体として、必要十分な介護サービスを保障する必要があると思うが、この点での、広島市の高齢者福祉行政のお考えを伺いたい。

(介護保険課長)
 介護保険制度については、国民の共同連帯の理念によって、介護を要する方が尊厳を保持し、能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、必要な介護サービスを提供することにより、保健医療向上、及び福祉の増進を目的としているものである。
 本市としては、この目的の達成に向けて、介護の必要な高齢者が安心して自立した生活が送れるよう、訪問介護など居宅サービスや、特養ホームなど居住系サービスを円滑に提供できるよう努めるとともに、介護サービスの質の確保・向上、介護給付の適正化の推進、広報・情報提供体制の充実や、低所得者対策の実施などにより、介護保険制度の適切な運営に努めてまいりたい。


(中森辰一議員)
 「適切な運営」の中で、たとえば「適正化」ということをやる中で、全国でいろいろ問題が起きていて、その取り扱いが、自治体によって全部バラバラになっている。そういう中でいろいろ問題があるじゃないかということに対して、さっきの厚生労働大臣の答弁があったわけだ。ようするに、今の介護保険行政は、必要な在宅介護を十分まかなうことになっていない。だから、心中が起きる、虐待が起きる、殺人事件がおきるとなっている。
 そこを、現実をきちんと見て、やっていく必要があるし、施設も増やしていくということをやっていく必要がある。
そこで、特養ホームの入所に関してひとつだけ聞いておく。
  新規の特養ホームは個室だけしかつくれない。待機者対策としてこれからつくる施設はすべて個室型。本会議で低所得者には負担が大きいと指摘した。答弁は国に要望するというだけだ。当面、新しくできる個室型には、待っている人はだれでも申し込めないと不公平だ。
  しかし、負担が大きいから低所得者は最初から申し込めない。これは非常に不公平だ。
国も市も税金を使ってつくる。しかし、お金がない人は申し込めないというのは税金を使う施設としては不合理ではないか。これからつくる施設がオープンするまでに、誰でも申し込めるように、何らかの措置をつくるべきではないか。

(介護保険課長)
 この部分については、本会議で答弁したとおり、特養ホームにおける利用者負担は、提供されたサービスに応じた額とされていること、多床室の利用者負担とのバランスをとる必要があることから、ユニット方個室の利用者負担を、多床室と同水準に設定するとか、本市が独自制度で同水準とすることは適切ではないと考えている。
 こうした中で、低所得者の方に対しては、様々な利用者負担の軽減措置を取っていて、ユニット型個室の利用者負担についても、現行制度で既に一定の軽減が行われているが、委員がご指摘のとおり、利用者負担はなお大きく、いっそうの負担軽減が必要であると認識している。このため、低所得者の利用者負担軽減については、いっそうの拡大を図るよう国に引き続き要望してまいりたい。


(中森辰一議員)
 国がやってくれれば一番いい。しかしなかなかそうなっていないので困っている方がたくさんおられる。先ほど言ったように、高齢者の介護の問題を介護保険だけに閉じ込めてしまっている。保険という枠組みだから足りない。現実に足りないわけだから、そこ(保険)からはみ出るような施策も、当然必要になってくる。
 このことも、これから高齢者の介護という問題を、高齢者福祉行政全体の問題として取り組んでいただきたい。



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グループホーム等のスプリンクラー設置の義務付け

(中森辰一議員)
 改正消防法が4月に施行されて、認知症グループホームなどにスプリンクラーを設置することが義務付けられた。事業者は3年以内に設置しなければならない。市としては、入所者の命を守るために、すべての施設に、この設備の設置を推進する必要があると思う。
この法律の義務付けは延べ面積275平方メートル以上に義務付け、この法律に基づいた国の補助制度も、延べ面積275平方メートル以上の施設について、国は面積1平方メートル当り9000円を補助することになっている。これを使って、どんどん設置を推進するのは当然だ。
同時に、高齢者の命を守るためには、この基準より小さい規模の施設も大事だと思うが、この施設はいくつあるか。

(介護保険課長)
 現在、市内に認知症高齢者のグループホームは97箇所あって、スプリンクラーを整備済みの施設が12箇所と、消防法上スプリンクラーが必置で未整備が63箇所、未整備で法令上設置義務がない施設が22箇所ある。


(中森辰一議員)
 問題は、その22箇所だ。事業者の方もどうしようかと思っているのではないか。補助が出ないところが、取り残されていくのではないか。規模が基準に行かないといっても、ここにも数名の高齢者が生活している。援助が必要な人たちばかりだ。
だから、同じようにスプリンクラーを整備すべきだ。広島市としてはそういう立場で、この22の施設も含めて全て3年以内に整備されるようにやる必要があると思う。
 その為には、市独自の施策も必要になってくると思うが、この点はどのようにされるお考えか。

(介護保険課長)
 今回の法改正においては、やはり事業主負担の問題があるので、275平方メートル以上の施設が対象になっている。ただし、消化器の設置や自動火災報知器の設置、消防機関に通報する火災報知設備の設置は、延べ面積に関係なく今回設置が義務付けられた。
 また、防火管理者を選任し、消防計画を作成など防火管理業務を行わせることなども今回義務付けがされている。
 このため、275平方メートル未満の、グループホームであって、火災の早期発見、迅速な消防機関への通報、及び初期消火に効果がある防火安全対策が新たに実施されることになっている。またこれらは、国の交付金の対象外であるが、独立行政法人福祉医療機構の優遇貸付制度の利用は可能となっている。
 こうしたことから、設置義務のない認知症高齢者のグループホームでのスプリンクラー設置に対する本市の支援は、今後の課題にしたいと考えている。


(中森辰一議員)
 そういうことを言っていたら、なかなかつかない。国の補助制度の枠外にあって、取り扱いの格差がある。やはり、全ての施設にスプリンクラーをつける必要があると思う。消化器を設置しても、入所者は使えない。そういうことも考えて、市としては全ての施設につくようにしてもらいたい。小さいところは、より経営的な困難度は大きいと思う。それだけに市が支援しないとつくことにならない。そういうことも考えてもらって3年以内に、この22施設も含めて全ての施設に設置されるように最大限の努力をしてもらいたい。



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