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2009年7月1日 本会議 議案に対する討論 中原ひろみ議員 |
コールセンターの民間委託は中止すべき 市立大学 「法人化」で本来の教育・研究に支障も 税金の応能負担原則から逸脱する「金持ち優遇税制措置」 働く者が低入札の犠牲とならないよう指導強化を 女性特有のがん検診推進事業 ― 継続事業として制度化を 男女共同参画の面からも市職員の時短は率先して実施を |
(中原ひろみ議員) 日本共産党市会議員団を代表して、6月議会に上程された議案について討論を行います。反対の議案は、第87号、88号、96号、100号の4議案です。意見を付して賛成する議案は、第85号、89号、92号、104号、105号の5議案で、残りの16の議案には賛成です。 コールセンターの民間委託は中止すべき まず、第87号・後期高齢者医療事業特別会計補正予算、第88号・介護保険事業特別会計補正予算に反対する理由と、意見を付して賛成する第85号・平成21年度広島市一般会計補正予算、第89号・国民健康保険事業特別会計補正予算についての意見をまとめて述べます。 厳しい経済情勢が続く中、国の経済危機対策による補助金や交付金を活用して、いかに住民に役立つ雇用創出を行い、市民生活や中小零細企業を支援し、地域振興を行うかが問われています。 そうした状況の下、市が提案された事業には、母子家庭の母親の経済的自立を支援する高等技能訓練促進費の引き上げや、小・中学校の耐震診断、空調設備の前倒し整備、資金繰りに苦しむ業者への融資利率の引き下げなど、住民要求に応えるものもあります。 しかし、「ふるさと雇用再生特別交付金」を使い実施される事業のうち、市税、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国保料、保育料の新規未納者に納付督促を行うコールセンター設置については賛成できません その理由の第一は、コールセンターが行う税等の徴収業務そのものが、市の仕事、公務であるということです。国が「督促業務は民間もできる」と通達を出しているとしても、安易に民間に任せる仕事ではありません。 市民は、相次ぐ国の税制改悪と社会保障費削減の上に、底が抜けたような不況に見舞われ、倒産や廃業・派遣切りなどに、悲鳴をあげて救済を求めています。そうした状況の下で、税や保険料を払いたくても払えない市民は増えざるを得ないでしょう。 こういう時こそ、生活苦にあえぐ市民生活の実態を把握し、それに沿って個々の滞納者に適切な納税指導、納税交渉など、親身に滞納整理を促進していく仕事は、行政こそが責任を持って行うべき基本的な仕事です。 第二に、既に督促業務を民間委託した自治体の多くで、クレジット会社が請け負っているからです。2006年に改正された地方自治法により、滞納金はカードローンでの支払いも可能となり、お金がない滞納者には、クレジット会社のカードローンで借金して支払わせることもできるのです。督促業務を請け負ったクレジット会社は、滞納している市民が借金した利息で、大きな利益をあげることができます。 納付督促業務は、クレジット業界にとっては新たな利益の源泉、ビジネスチャンス拡大の場であり、まさしく民間に儲けの場を開放するものです。 行政がすべきことは、公権力の行使に関わる公務労働を切り売りせず、市民の相談や問い合わせに親身な対応ができる体制へと職員を増員し、徴収業務を実施することです。 第三に、受託事業者とその従業員との間で、個人情報の守秘義務を遵守する旨の誓約書を交わしたとしても、市民の個人情報、プライバシーの漏えいなど重大な事態を生みかねない危険性があります。 第四に、経済対策という「隠れ蓑」を着て、税金を使って行う事業ではありません。市民からいえば、ちゃんとした市の職員に相談し、解決したいと思うのではないでしょうか。コールセンターの督促によって、いくらか自治体財政は増えるかもしれませんが、本当に市民は喜ぶのでしょうか。助かるのでしょうか。暮らしに役立つのでしょうか。 民間の人から市税等の督促をされるのでは、市民はいい気はしません。分割納付や支払えない世帯からどうしたらよいかと聞かれても、それに答えることもできない一方的な納付督促は、市民サービスを低下させるものでしかありません。 以上の理由から、コールセンター業務の民間委託は中止すべきだと考えます。 上にもどる 市立大学 「法人化」で本来の教育・研究に支障も 次に、第96号・広島市公立大学法人評価委員会条例の制定及び第100号・公立大学法人広島市立大学定款を定めることについて反対の理由を述べます。 この二議案は、市立大学を法人化するための評価委員の組織と運営に関する事項や・大学の定款を定めようとするものです。 そもそも大学の法人化は、小泉内閣が構造改革の一環として、国立大学に競争と効率を押しつけ、経済的に割の合わない大学はリストラするという狙いの下に進められてきたものです。 大企業などによって短期間に実用化できる研究成果を生み出す大学のみを重点的に支援する法人化は、大学の格差拡大と序列化を進めるだけでなく、本来、大学が担う、地道でも基礎的な研究や、広い学問分野の教育ができなくなる可能性さえあります。憲法が定めた「学問の自由」を絵に描いた餅にしかねません。 広島市の市立大学でも、法人化にあたり、大学の自主性を確保する教授会の権限の問題や、財政面でどのように支え、保障していくのか不明のままです。 このように問題をかかえた法人化を、市立大学に推し進めることに賛成できません。 上にもどる 税金の応能負担原則から逸脱する「金持ち優遇税制措置」 意見を付して賛成する議案について述べます。 まず、第92号議案・広島市市税条例の一部改正についてです。今回の改正には、前年分の所得税で控除しきれない住宅ローン控除額について、一定限度まで税金を安くする制度の創設が提案されています。 これは住宅ローンの支払いをしている市民の生活を支援するものであり、市民が住宅取得に踏み出すことにもつながるものと考えます。しかし、一方で、株式の譲渡益や配当に対する証券優遇税制の適用年度を延長し、税率軽減の対象を無制限に拡大する特例の見直しは、大企業と大資産家への優遇税制そのものです。 この税制改正により、どんなに巨額な利益を上げても、投資家は税金を軽減されるという税のあり方は、税金の応能負担の原理原則から逸脱しています。今年度の課税実績に基づけば、その減税規模は約6300万円にもなります。 この証券優遇制度によって減収になった税額は、国の責任で確実に補てんされるよう、市として、国に対し強く要望されることを求めておきます。 上にもどる 働く者が低入札の犠牲とならないよう指導強化を 次に第104号議案・安佐南工場焼却施設建設工事の契約の締結と第105号議案・戸山小学校及び戸山中学校校舎増改築工事の契約締結についてです。 いずれの契約も低入札となっています。今、「安ければよい」と低入札での工事が増えている下で、自治体が発注する業務委託や公共工事のあり方が問われています。 税金を使う公共事業において、低入札のために工事の質が低下したり、労働者に低賃金が押し付けられ、働く者が低入札の犠牲にされることがあってはなりません。 工事を請け負った元請業者や2次・3次の下請けの中小零細事業者に至るまで、口約束ではなくきちんと労働契約が結ばれているか、労働者に適正な賃金が支払われているかなどを確認し、市の発注する公共事業において、建設業法の順守や労働条件が厳格に守られるよう、市が指導監督を強化されることを求めます。 上にもどる 女性特有のがん検診推進事業 ― 継続事業として制度化を (意見を付して賛成する議案の)最後に、追加提案された第107号議案・女性特有のがん検診推進事業について一言要望しておきます。 これは、子宮頸がんと乳がん検診の無料クーポン券、検診手帳を特定の年齢に達した女性に送付し、検診受診率の向上を図るというものですが、これは一回限りの事業です。全ての女性が検診を受けられるよう、継続した事業として制度化されることを求めておきます。 上にもどる 男女共同参画の面からも市職員の時短は率先して実施を 第91号議案・職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正について、賛成の立場から討論を行います。同議案は、「職員の給与等に関する報告及び勧告」を受けて、職員の1週間当たりの勤務時間を(現行40時間から)38時間45分とする(1日当たり現行8時間を7時間45分に)改正を行うものです。 過去2回の否決は、労働基本権のはく奪と引き換えに誕生した人事院勧告制度の重みを無視したものだと言わざるを得ません。これまでの議論の中で強調されたのは、「経済危機の下での時短は、時間給の引き上げになる。時短すれば残業時間が増え、コスト増になる」というものでした。 しかし、職員の勤務時間は、給与と同様に基本的な勤務条件であり、経済状況で左右される性格のものではありません。ましてや広島市内の民間事業所における近年の1日当たりの平均所定労働時間が7時間47分程度まで時間短縮されていることから、民間の勤務時間と均衡させるため、地方公務員法に定める情勢適応の原則に基づき提案されたものです。 既に、国家公務員は人事院勧告に沿って、本年4月から勤務時間が15分短縮されています。政令市でも18政令市中、15市で勤務時間が短縮されています。 世界の主要国では「労働時間は短縮」が流れです。世界は1日7時間、1週間35時間、年間労働時間は約1,600時間というのが今日の基準です。しかし、日本は1日8時間で週休2日の場合、年間労働時間は約1,800時間です。総務省統計局の労働力調査によると、正規雇用に限れば1人平均年間2,300時間も働いています。男性だけの平均では2,500時間働いています。 日本の男性は働きすぎです。日本では、育児・介護・買い物・近所づきあい・地域の世話など、家族が共同生活を営む上でなくてはならない家事活動を女性に押し付け、男性は起きて活動している時間のほとんどを全て社会に捧げるような働き方をしています。 21世紀の働き方は、男女の別なく社会参加と家庭参加の両方が可能になる働き方に変えていくことが必要です。その意味からも、職員の時短は率先して実施すべきものだと考えます。 上にもどる |
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