トップ議会情報・議員の発言2009年第2回6月定例会 議員発言 >議案質疑・藤井議員


2009年6月26日 本会議 議案質疑 藤井とし子議員

経済危機対策について
コールセンター(市税等の納付勧奨)の民間委託について
     納付勧奨を民間委託できる法的根拠について
     電話かけの対象者数見込みについて
     業務マニュアルや個人情報保護について
     支援ネットワークとしての運用について
「金持ち優遇税制」含む市税条例一部改正について



(藤井とし子議員)
 日本共産党の藤井とし子です。会派を代表して議案に関する質疑を行います。
 はじめに第85号議案、2009年度一般会計補正予算についてです。
 今回の補正予算総額は約141億5千万円、そのうち99%にあたる140億円が、国の追加の経済危機対策の補正予算成立に伴う特定財源によるものです。
 小泉構造改革以来、広がった格差と貧困の上に、深刻な経済危機が追い討ちをかけるように国民の暮らしに襲いかかっています。今、地方自治体として求められている経済危機対策の基本は、まず市民の暮らしを守ることを最優先させることです。そのことを通して、内需主導型経済への道につなげるべきだと考えます。そのためにも、まず雇用の安定化と社会保障の充実、市民負担の軽減が急務です。
 こういう立場から、今回の補正予算について数点伺います。



経済危機対策について

(藤井とし子議員)
 今回の経済危機対策の具体的な中身はどうやって決められたのか。

(財政局長)
 本市を取り巻く経済環境は依然として厳しいと認識しています。
 このため、今回の経済危機対策に係る補正予算の編成にあたっては、国の補助金や交付金などを活用し、各局等から予算要求があった事業の中から、雇用創出や中小企業支援など本市経済の活性化につながるとともに、市民の安心・安全な暮らしの実現に資するものを選定し、予算計上しています。


(藤井とし子議員)
 すでに国の当初予算に「地域雇用創出推進費」として、2年間に限って国の交付税が上乗せ措置されていますが、その総額はいくらで何処にどれだけ反映されているのかお聞きします。

(財政局長)
 議員ご質問の地方交付税の「地域雇用創出推進費」は、本年度の地方財政対策において創設されたものです。
 この「地域雇用創出推進費」は、雇用創出につながる地域の実情に応じた事業が実施できるよう、地方交付税の別枠として、全国ベースで5,000億円増額措置されています。
 地方交付税の交付額は、例年、7月下旬に決定されており、現時点では「地域雇用創出推進費」を含め本年度の本市に対する交付額は不明です。


(藤井とし子議員)
 具体的な中身について伺います。
 今回の補正で「ふるさと雇用再生特別交付金事業」が挙げられ、54名の雇用拡大が提案されていますが、これらの事業はどのように選定したのか。また雇用はどのように行われるのかお答えください。

(市民局長)
 ふるさと雇用再生特別交付金事業には、(1)地方自治体が企画した新たな事業であること、(2)雇用機会を創出する効果が高い事業であること、(3)地域内にニーズがあり、かつ、今後の地域の発展に資すると見込まれる事業であること、などの要件があります。
 今回の事業の選定にあたっては、こうした要件を踏まえ、特に、地域内にニーズがあり、今後の地域の発展に資すると見込まれる事業を実施するという観点から、(1)地域経済の活性化や就労支援に資するもの、(2)市行政における市民サービスの向上につながるもの、(3)エネルギー・温暖化対策に係るもの、(4)地域資源や人材の活用を図るもの、の4分野の計12事業を選定し、6月補正予算に計上しています。
 次に、雇用については、これら12事業すべて民間企業等に委託して行うことから、受託事業者がハローワーク等を通じて求人を行い、採用の決定も受託事業者が行います。また、失業者を新規雇用する際には、離職票等の提示により失業者であることを確認します。

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コールセンター(市税等の納付勧奨)の民間委託について

納付勧奨を民間委託できる法的根拠について
(藤井とし子議員)
 市税などの納付勧奨に係るコールセンターの設置運営について伺います。
 本来、市税等の徴税業務は、納付勧奨から、滞納している事情の把握、分納、猶予などの相談まで、市の職員が責任をもって対応するのが当然です。
 そこでお聞きします。
 今回、雇用創出の対象として、納付勧奨業務のみを外部委託とした理由とその目的をお答えください。また、民間に外部委託できる法的根拠と実施方法を教えてください。

(財政局長)
 今回設置を予定しているコールセンターでは、市税、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料及び保育料の5つの徴収金に係る電話催告等を行いますが、業務内容等各徴収金に共通するもの及び財政局所管事項について説明します。
 最初に、コールセンターの具体的な業務ですが、コールセンターの業務を市税の場合で申し上げますと、委託先の民間事業者が雇用したオペレーターが、滞納者に対して電話により、滞納している金額等を伝え、自主納付を呼び掛けることや、滞納者の納付意思や納付時期の確認等を行います。
 次に、民間委託する目的ですが、これまで市の職員が実施していた事務を民間委託することにより、民間事業者のノウハウを活用するとともに、市の職員が、複雑な事案の対応や公権力の行使となる滞納整理等の事務を行うことによって、より効果的・効率的な徴収体制を構築し、収納率の向上を図ろうとするものです。
 電話催告等を民間委託する理由及び法的根拠ですが、コールセンターの民間委託については、地方税法を所管している総務省の通知において、以下、引用しますが「滞納者に地方税を滞納している事実や滞納税額を伝え、自主的納付を呼びかけることや、滞納者の納付意思や納付予定時期の確認、滞納者が任意に申し出た事情の記録等については、法令上徴税吏員に限定されておらず、民間事業者に委託し、実施させることが可能である。」とされています。


(健康福祉局長)
 コールセンターに係る健康福祉局所管分の事業について、お答えします。
 健康福祉局では、国民健康保険料、介護保険料及び後期高齢者医療保険料の納付勧奨を、コールセンターにおいて行うこととしています。
 コールセンターの民間委託については、厚生労働省の通知において、「市町村において実施する国民健康保険料等の徴収業務のうち、電話、文書、滞納者宅への訪問による自主的納付の勧奨については、民間委託が禁止されているものではなく、各市町村の判断に基づき民間委託が可能である。」とされています。
 次に、コールセンターでの業務内容は、まず、市から、督促状送付時の新規滞納者に係るデータを受領します。次に、このデータを基に、コールセンターの職員が、電話による納付勧奨を行います。その際、必要に応じて、保険料の計算方法の説明や口座振替への加入勧奨などを行います。
 なお、コールセンターの職員が電話した際、相手方から、当該職員では対応困難な問い合わせや相談が寄せられることもあると考えられます。その際には、相談内容等を各区の保険年金課に伝え、そちらで対応することになります。


(こども未来局長)
 コールセンターに係るご質問のうち、保育料関係についてご説明します。
 このたび外部委託する業務は、電話による滞納の事実等の伝達や納付意思の確認などであり、滞納処分等の公権力の行使となる業務ではなく、児童福祉法を所管する厚生労働省の通知において、民間事業者に委託が可能な事務として整理されている業務です。
 具体的な業務としては、委託先の民間事業者が雇用したオペレーターが、口座振替不能者及び滞納者に対して、電話により、滞納している金額等を伝え、自主納付の呼びかけや納付意思・納付時期の確認等を行うとともに、口座振替未加入者に対しては、口座振替加入勧奨を行うことにしています。


電話かけの対象者数見込みについて
(藤井とし子議員)
 市税、後期高齢者医療保険、介護保険料、国民健康保険料、保育料の納付奨励のためという目的で、全部で19名の雇用の創出を計画されていますが、電話をかける対象者になるのはそれぞれ年間何件を見込んでいますか。

(財政局長)
 市税では、個人市民税(普通徴収分)等の滞納税額の合計が10万円未満の新規の滞納者に電話をかけることにしており、対象者は約5万5千人と推計しています。

(健康福祉局長)
 次に、コールセンターでの取扱件数は、年間で、国民健康保険料が約12万件、介護保険料が約2万4千件、後期高齢者医療保険料が約2万件になると見込んでいます。

(こども未来局長)
 保育料については口座振替不能者への入金勧奨が10,400件、滞納者への自主納付勧奨が500件、口座振替加入勧奨が3,200件、合計で年間14,100件を見込んでいます。


業務マニュアルや個人情報保護について
(藤井とし子議員)
 どういったところに委託するように考えていますか。市民に電話をする場合、どう名乗るのか。オペレーターはどこまでできるのか。市がマニュアルを作成するのかお答えください。

(財政局長)
 まず、委託先について、公募によるプロポーザル方式により、必要なノウハウを有し、適切な体制を構築することができる事業者を選定したいと考えています。
 次に、電話をかける際に、どのように名乗るかですが、市民に電話をする場合には「広島市税金・料金お知らせセンター(仮称)」の名称と担当者の氏名を必ず最初に名乗ります。
 次に、オペレーターはどこまでできるのかについては、コールセンターのオペレーターは、滞納者に市税の滞納税額等を伝え、自主的納付を呼びかけるほか、滞納者の納付意思や納付予定時期の確認等を行います。
 なお、滞納者の財産等を把握するための質問等は、法令上徴税吏員に限定された権限の行使にあたることから、オペレーターが行うことはできません。
 マニュアルの作成についてですが、電話応対等の手順を示した業務マニュアルは民間事業者が作成することにしています。
 なお、業務マニュアルは、民間事業者のノウハウを活用する必要があることから、民間事業者が自らのノウハウを活用して作成しますが、市はその内容を審査し、承認した上で使用することにしています。


(藤井とし子議員)
 本来、市職員がすべきことを外部に委託するということですが、故意、過失にかかわらず、情報漏えいの危険が拡大することが危惧されます。仙台市でも委託、再委託する間で6万件の徴税リストが流出した事件も起きています。個人情報はどうやって守られるのかお答えください。

(財政局長)
 契約書には、具体的な個人情報の適正な取り扱いを明記させるとともに、委託業者とその従業員にも守秘義務を遵守する旨の誓約書を提出させます。
 また、執務室の鍵は、指紋認証式の電気施錠とするとともに、出入口に防犯カメラを設置し、入退時のチェック体制を厳重に行うなど、情報のセキュリティの確保に万全を期します。


支援ネットワークとしての運用について
(藤井とし子議員)
 元々高すぎる国保料や保育料を課しているのは市の責任です。払いたくても払えず滞納せざるを得ない人も少なくないでしょう。実情をよく聞き相談に乗るのが市民のための行政といえます。委託された民間業者のコールセンターで責任持った対応が出来るのか大変疑問です。市民から直接声を聞く機会として、困っていることはないか、もし困っていることがあれば市の支援ネットワークにつなげるような運用の仕方が出来るようにするべきだと思いますが、どうされるおつもりか伺います。

(財政局長)
 コールセンターでは、滞納状況や納付意思の確認など行います。その際、分割納付等の相談等で納税者に直接お話しをすることが必要な場合は、各区役所の担当課に引き継ぎ、これまでと変わらず区の職員が責任を持って対応します。

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「金持ち優遇税制」含む市税条例一部改正について

(藤井とし子議員)
 第92号議案、市税条例等の一部改正について伺います。
 この一部改正に含まれる上場株式の譲渡所得及び配当所得に係る課税特例の見直しは、軽減税率の適用対象を無制限に拡大し、更に適用年度を延長するもので、まさに金持ち優遇減税そのものです。
 この制度改正の趣旨と、この適用を受ける対象者は何人いるのか。市税の減収はどれだけ見込込まれるのか、その減収分は国が手当てするのか、以上答弁を求めます。

(財政局長)
 今回の市税条例の改正は、本年3月の地方税法の改正に伴うものです。
 このうち、議員ご質問の「上場株式等に係る譲渡取得および配当所得の課税の特例」の見直しは、軽減税率の適用対象を拡大するとともに、適用期限を延長しようとするものです。
 この改正の目的は、国の地方税法改正時における説明では、金融市場の活性化を図るため、個人投資家が投資しやすい環境を整備することとされています。
 この軽減税率の適用を受ける来年度の対象者の数は、現時点では不明ですが、今年度の課税実績で見てみると、譲渡所得が500万円以上の人は60人、配当所得が100万円以上の人は901人で、合わせて961人となっています。
 同様に、今年度の課税実績に基づいて、本市の減収額を推計すると、譲渡所得の特例については約2,500万円、配当所得の特例については約3,800万円で、合わせて約6,300万円となります。
 この改正に伴う、国による直接的な減収補てん措置はありませんが、制度改正に伴う地方税の減収については、地方交付税において制度上措置されています。


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トップ議会情報・議員の発言2009年第2回6月定例会 議員発言 >議案質疑・藤井議員
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