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2006年10月5日 本会議 中森辰一議員の議員定数削減案討論


議会制民主主義を後退させる「自殺行為」
議員報酬削ってでも議員増やすことが市民の負託に応える道筋
経費削減をいうなら まず海外視察の中止、費用弁償の廃止、議員報酬の削減を
議会の民主的機能を高め 存在意義をより発揮できる方向を選ぶべき



議会制民主主義を後退させる「自殺行為」

  日本共産党市議団を代表して上程された議員定数削減案について討論を行います。
  議員の数を何人にするか、これは市民の声をいかに幅広く議会の議論に反映していくかという、議会制民主主義にとって最も重要な問題です。とりわけ、今日のように市民の考え方が多様化しているなかにあって、この点はいっそう重要になっています。

  議員諸氏にとって「釈迦に説法」とは思いますが、民主主義にとって最も重要なことは、多数決で物事を決めるところにあるのではありません。そこに至る過程が重要なのであって、多様な少数意見をも尊重し、それにしっかり耳を傾けて議論を尽くすところにあります。
  われわれ議員は、それぞれ固有の考え方をもち、それを訴えて一定の支持を得て議会活動をしているわけです。しかし、今の60人の議員の考え方とは違う考え方もたくさんあるでしょう。また、われわれ議員も人間であって、懸命に努力しても、その物理的能力には限りがあります。

  広島市の人口はおよそ115万人、少しずつですが今なお増え続けています。広島市の事業は3000を超えると聞いています。私たち議員は、そうした膨大な広島市の公共業務やそのあり方について、115万人の極めて多様な意見を反映しながら点検し、必要なら、そのあり方や以後の方向性などについて、あるいは新たな事業の必要について、みずからの調査にもとづいて提案をし、論議を行っています。
  物理的な限界をもっている私たち議員が、より多くの公共業務を点検し、市民のより多様な意見を市政に反映させようとすれば、議員の数は多いほど役割を果たせるものと考えるのは当然です。もっと言えば、議員の数が少ないほど多様な意見を反映しにくくなるのは自明の理です。

  議会がみずから議員の数を減らそうとするのは、議会制民主主義を後退させようとする、まさに議会の自殺行為です。

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議員報酬削ってでも議員増やすことが市民の負託に応える道筋

  今回の議員定数削減の理由は議会の経費削減ですが、そもそも、財政問題と議員の数は別に検討するべきものです。議員の数は今述べた点などから多角的に検討して、あくまでも市民の多様な意見をいかに反映できるかという立場で考えるべきです。
  そういう議会の活動を保証するにあたって、それこそ最小の経費で最大の効果をあげる見地から、議員報酬を含めた経費を、財政状況と整合性が保てるように決めていくということだと考えます。

  確かに、市民の中で「議員の数が多すぎる」という声があります。しかしそれは、構造改革路線の政治のなかで格差がいっそう拡大し、世界第2位の経済力を誇る日本に住んでいながら、日々のくらしも命さえも脅かされている人々が増えているのに、そうした状況を改善するために政治が役割を発揮できていないことに怒りが広がっているということではないでしょうか。
  「いったい議員は何をしているんだ」「議会は何の役に立っているんだ」 ― 私たちが実施した市民アンケートには、議会の存在そのものが疑問だという声さえありました。私たちはこうした市民の声を真正面から受け止め、いかにより多くの市民生活の実態を、そこからの切実な声を、いかに多様な考え方を市政に反映するかに力を尽くすべきではないでしょうか。

  確かに、市民が行政にアクセスする手段は増えていますが、最後に決定権を持つのは議会であるという点はたいへん重要です。こうした市民の声に応えていく道筋は、議員の定数を減らして、いっそう市民の声から遠ざかっていくことではありません。

  議員定数の上限は広島市の場合64人です。議会の経費を減らす必要があるのであれば、議員の報酬を削ってでも、最大限、議員の数を増やして、より多くの、より多様な市民の声を拾い上げ、よりじっくりと議論をつくしていくことこそ、市民の負託に応えていく道筋ではないでしょうか。

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経費削減をいうなら まず海外視察の中止、費用弁償の廃止、議員報酬の削減を

  日本共産党市議団は、少しでも議会の経費を減らそうとさまざまな提案を行ってきました。
  財政に余裕がないというなら、どうしても行かねばならないわけでもない海外視察は止めようではないかと提案しました。他の会派と共同で議員報酬を減らそうと提案しました。広島市では必要性を市民に説明できないから、会議に出席するたびに1万1千円支給される費用弁償も止めようではないかと提言しました。いずれも議会が決めればすぐに実現できることです。

  今回の5人の議員を減らすという提案は、議員一人当たりの年間経費は約2000万円ですから、年間1億円減らそうということです。しかし、議員一人につき、およそ600万円が国から交付されていますから、実質の削減額は7000万円です。これを60人の議員数で割ると一人当たり117万円です。
  海外視察の中止で1年当たり一人20万円削減、費用弁償の廃止をすれば一人60万円削減、議員報酬を10%削れば一人140万円削減できますから、合わせて220万円の経費削減効果があります。これは9人分の削減効果です。

  しかし、どれも実現していません。経費を削減する必要があると本気で考えているなら、先にやるべきことがあるのではないでしょうか。

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議会の民主的機能を高め 存在意義をより発揮できる方向を選ぶべき

  議員の数は法律で上限が決められていますが、議会制民主主義を発揮し、より多様な意見を反映した議会にするために、少なくとも法律で決められた上限数を確保するべきだと考えます。
  繰り返しますが、財政的に大変だというなら、議員報酬を削ってでもそうするべきだと考えます。先ほど述べた提案を全部実現すれば、いまの5人分の経費を削減してなお、上限64人の議員を実現する財源を確保できるわけです。

  私たち日本共産党は、議会制民主主義の発展は人間社会の発展にとって重要だと考えています。その対極にあるのは独裁政治です。議会の民主的な機能を高め、存在意義をより発揮できる方向を選ぶべきです。議会の自殺行為に手を貸すことはできません。

  よって、議員定数削減には反対です。

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