トップ2006年第4回9月定例会 議会報告 > 中森辰一議員の議案質疑


2006年9月25日 本会議 中森辰一議員の議案質疑


重度心身障害者療養援護金の増額について
  ・ 国の悪政を市民の税金で後始末 ― こんなことはやめるよう政府に物申すべき
  ・ 全ての医療分野で次々改悪 所得額に応じた低所得者への救済措置を
  ・ 介護型療養病床の重度心身障害者にも療養援護金の増額を
     (再質問) 重度心身障害者の負担増は今回も1年前も同じこと


  日本共産党市議団を代表して、上程された補正予算案と条例案2件について質疑をおこないます。
  これらの議案は、命にまで格差を拡大するのかなどの、全国の反対の声をよそに、今年の通常国会で小泉内閣が押し通した医療制度の改悪の中で、療養ベッドに入院している70歳以上の方に新たな自己負担を増やすことに対して、重度心身障害者医療費補助制度とひとり親家庭等医療費補助制度の補助の範囲から新たな自己負担部分をはずした上で、重度心身障害者医療費補助制度の該当者について、自己負担が増えないように、ないしは負担が増えるのを3分の1程度に抑えようとするものです。また、4つの市立病院のうち、療養ベッドがある安芸市民病院の保険外負担に、この新たな自己負担部分を加えようとするものです。一括して3点うかがいます。


国の悪政を市民の税金で後始末 ― こんなことはやめるよう政府に物申すべき

  まず、障害年金しか収入がない、あっても少ないのがほとんどの障害者にとって、医療にまで負担が増えるのは障害者の暮らしだけでなく健康にも重大な問題です。特に障害者の場合はたとえカゼであっても時として命にかかわることもあるだけに、必要なときに安心して医療を受ける条件があるかどうかはたいへん重要なことです。
  こうした点で、今回、広島市が負担軽減の措置をとることにしたことは、市民の命と暮らしを守る役割を発揮したものと考えます。
  このように、広島市が負担軽減措置をとることに踏み切ったのは、当然必要だと判断したからですが、同様の措置が、今回だけでなく予算議会でも6月議会でもおこなわれました。市民の命や暮らしにかかわるところで小泉内閣が負担を市民に押し付け、その、いわば後始末を市民の税金でしなければならないのは、いかにも腹立たしいことだと思います。
  今度、自民党総裁になった安倍晋三氏はまもなく総理に選出されるようですが、小泉政権の政策を引き継いで社会保障の費用は削るとの立場です。市民生活に責任を負う自治体として、このような姿勢に対して、全国の自治体とも共同しながら、こんなことは止めるように政府に物申すべきではないかと思いますが、ご見解をお聞かせください。

≪社会局長≫
  わが国は、高齢化の急速な進行や雇用の不安定化などにより、社会保障を取り巻く環境が大きく変化しています。こうした状況の中で、国においては、将来にわたり持続可能な社会保障制度の構築に向けて、平成16年に年金制度の改正、平成17年に介護保険制度の改正および障害者自立支援法の制定がおこなわれています。
  また、本年6月には医療制度改革関連法が成立し、今後、高齢者の患者負担の見直しや後期高齢者医療制度の創設などの改革が、順次実施されます。
  これは「国民皆保険制度を堅持しつつ、将来にわたり持続可能なものとする」とした、昨年12月に決定された医療制度改革大綱を具現化するもので、医療費適正化の総合的な推進や超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現などの考え方が柱となっています。
  本市といたしましては、こうした改革が進められる中で、市民生活に与える影響を十分考慮して、必要に応じて他の政令市等とも連携を図りながら国に要望をおこなっていきたいと考えています。


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全ての医療分野で次々改悪 所得額に応じた低所得者への救済措置を

  市民の命と健康を守るために、不採算部門も含めて医療活動をおこなっている市立病院の立場から、とりわけ、厳しい所得状況にある市民にも、まさに命と健康にかかわる医療を受ける場面にまで、これは療養病床だけの問題でなく、これまでもすべての医療分野におこななわれてきましたが、次々と負担増を打ち出す政府の政策について率直なご見解をお聞かせください。

≪病院事業局事務局長≫
  医療制度については、今回の生活療養費制度の創設をはじめ、様々な改革がおこなわれており、厳しい所得状況にある市民の方々には医療環境が厳しくなっていますが、市立病院としては、これまで同様、市民への良質で安全な医療と適切な療養の提供に努めたいと考えています。


  70歳以上ということですから、今回の負担増の影響がおよぶ他の高齢者にとっても状況は同じです。ほとんどが年金生活ですから、障害者手帳を持っていなくても深刻な問題です。
  せめて所得の低い層だけでも、ただし、今回、市民税非課税の基準が大きく切り下げられましたから、市民税非課税といった括りではなくて、具体的な所得額で基準を決めた方がいいと思いますが、今回と同様の救済措置をとる必要があると考えるわけですが、市のお考えをお聞かせください。

≪社会局長≫
  ご質問の70歳以上で療養病床に入院されている方のうち、重度心身障害者医療費補助受給者以外の高齢者の方についての救済措置についてですが、今回の健康保険法等の一部改正による生活療養費の導入は、在宅生活の高齢者と療養病床に入院している高齢者との負担の公平化を図るために、平均的家計で要している程度の自己負担を求めるもので、全ての低所得者に対しては負担の軽減措置が講じられるなどの一定の配慮がなされていることから、特段の救済措置はとっておりません。
  しかしながら、重度心身障害者医療費補助受給者は、これまで療養援護金を支給し自己負担を軽減していることから、急激な負担増とならないよう療養援護金制度を改正して本市独自の激変緩和措置を講じ、自己負担の軽減を図るものです。


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介護型療養病床の重度心身障害者にも療養援護金の増額を

  3点目ですが、療養ベッドというのは実は今回の医療保険適用のところだけではなく、介護保険適用のものもあります。介護療養型医療施設です。 その違いは、看護・介護体制が少し介護保険適用の方が薄いというだけです。患者さんにとっては、ベッドが空いていればどちらでもいいということではないかと思いますし、医療保険、介護保険のどちらの適用になるかは、医療機関が判断してきたものです。
  今回の医療制度の改悪の中で、全国の医療保険・介護保険の療養ベッド38万床を一括で15万床に減らすとしていることからも、療養ベッドはどちらの保険適用であろうとその入院ベッドとしての機能は基本的に変わらないということを政府自身も考えているわけです。元々、医療保険の負担を軽くするために介護保険の扱いに移し変えただけのことです。
  そこで、6年前のことを振り返ってみたわけですが、介護保険が始まると、それまで医療保険が適用されていて介護保険に移された医療系サービスには、そのままでは重度障害者医療費補助制度が適用されなくなり、必要な医療を継続できなくなる方も出てくるという患者や医療関係者の指摘を受けて、広島市では介護保険が始まる2000年、平成12年の3月末に急きょ、介護保険の医療系サービスに適用する制度を創設しました。大変重要な出来事だったと思います。
  同様の問題として今回のことを考えると、1年前に介護保険の療養ベッドで今回とほぼ同様の額の負担増がおこなわれましたが、少なくとも重度障害者医療費補助制度の適用者には今回の措置と同様の負担軽減措置をとるべきではないかと考えます。どのようにお考えかお答えください。

≪社会局長≫
  介護保険制度対象者に対する重度心身障害者助成制度の適用については、平成12年4月に介護保険制度が創設された当時、それまで医療保険の適用を受けていた療養病床の一部が介護保険の適用を受ける介護療養型医療施設に移行したことに伴って、重度心身障害者医療費補助の適用外になったことから、「重度心身障害者介護保険利用負担助成」制度を設けて、介護サービス利用に伴う1割の自己負担相当額の助成をおこなっています。
  また、食事に対する介護保険利用者負担についても、1万円の療養援護金を支給しています。こうしたなか、介護保険制度において昨年10月には介護保険施設の入所者と在宅でサービスを受けている方の負担の公平の観点からいわゆるホテルコストが導入され、施設サービスに係る食費、居住費が介護報酬の対象から除外されました。
  その際、介護保険の適用を受ける介護療養型医療施設の入院者については、特別養護老人ホームおよび老人保健施設の入所者との負担の均衡を図る観点から、特別な負担軽減措置を講じないでホテルコストを負担していただくこととしました。
  一方、今回は、健康保険法等の一部改正による生活療養費の新設により、医療療養病床に入院している重度心身障害者の負担が増加することから、医療費の自己負担の助成制度である療養援護金で負担の激変を緩和するものであり、介護を目的としている介護療養型医療施設に入院している方のホテルコストについては軽減措置をとることは考えておりません。


−−−再質問(要約)−−−

  社会局長の先ほどの答弁では、介護保険の3種類の施設について負担の均衡を考えたとのことですが、この3つの施設については役割が違っており、入所・入院の人へのケアの中身も違います。介護医療施設については、基本的には医療保険の療養ベッドと変わりません。中身を考えるべきです。
  介護保険の適用の中で負担増が持ち込まれたこと自体が問題ですが、とりわけ重度障害者に一層の負担が持ち込まれることで起きる問題は、今回も一年前の介護保険の負担増と同様だと思うので、重度心身障害者の問題については区別していく必要があると思います。再度認識をうかがいます。

≪社会局長≫
  介護療養病床で、元々、老人病院に入院されていた方が、社会的入院といいますか、あまり治療は必要ないが介護が必要という人がおられるということで、介護保険導入当時に介護療養病床ができたわけです。
  あくまでも介護保険の枠の中で対応するのが原則だろうと思います。同じ介護保険で特別養護老人ホーム、老人保健施設に入所している方との均衡を図る観点から考えますと、ホテルコストを払っていただくのが妥当かと考えています。


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