トップ2006年第4回9月定例会 議会報告 > 建設委員会 高速5号線問題




  本ページは、2006年10月3日の建設委員会で日本共産党の皆川けいし議員がとりあげた高速5号線の建設問題について、その質問と市当局の答弁を党市議団事務局にてテープおこししたうえで加筆・修正したものです。

【目 次】
(1) 根拠くずれた「高速5号線の必要性」
(2) 「『聖地』二葉山をいじってはならない」 市民感情知りながらなぜこのルートか
(3) 5号線トンネルのアセスメントには地質、水文調査がない
(4) 高速1号線福木トンネルの地盤沈下 原因はいまだ解明されていない
(5) 二葉山トンネルでも地盤沈下のおそれがある
(6) トンネルの空洞が原因で地圧が低くなり、地下水位が下がって地盤沈下する
(7) トンネル真上の団地はかつて沼地、ぜい弱な地盤だった
(8) 発破掘削での工事はとんでもない
(9) 2キロのトンネルに排気ガスの排出口をつくる計画がない
(10) 絶滅の危機に瀕するシリブカガシ 本当に影響は「軽微」か
(11) 1号線トンネルの最初の入札(平成13年)の落札率は97.3%

【資 料】
◎ 高速1号線・福木トンネル ボーリング柱状図・上半分 (JPEG 1090KB)
◎ 高速1号線・福木トンネル ボーリング柱状図・下半分 (JPEG 1161KB)
◎ 高速1号線・福木トンネル 地表面沈下量 (JPEG 1528KB)
◎ 高速5号線・二葉山トンネル ボーリングコア写真 (JPEG 840KB)
◎ 高速5号線・二葉山トンネル 牛田東三丁目地区「土被り表示」 (JPEG 1141KB)
◎ 岩級区分一覧表 (JPEG 712KB)



(1) 根拠くずれた「高速5号線の必要性」

(皆川議員)
  高速5号線は私はいらないと思います。本会議(日本共産党・藤井とし子議員の一般質問)では必要性についての市の言い分は崩れたのではないかということを次のように指摘しました。
  @ネットワークにはならないのだから、ネットワークのために必要というのは意味がない。(広島高速道路公社「高速道路マップ」
  A高速性、定時性、空港に早く行けるというのもたった7分しか短縮されないのだから説得力がない(党市議団作成マップ)。
  B高速5号線と一緒に走っている中山・尾長線(高天原の下を通っている)の渋滞緩和のためにも資すると言うが、どこからきた理屈なのかわからない。有料道路に乗ってわざわざ都心部に通勤するような人はまずいない。どういう根拠でそう言えるのかわからない。
  そこで質問しますが、渋滞緩和という以上、いま1日何台でどれくらい車の量が減るだろうという数字くらいは出ているだろうと思うのですが、いかがでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
  現在の尾長線についての資料が手元にないので、後ほど提出させていただきます。

(皆川議員)
  渋滞緩和につながるのですか。5号線がついたら下を走っている車が減るのでしょうか。今でもそう思っていますか。

(高速道路整備担当課長)
  山陽自動車道の広島東インターチェンジから中心部に流れて行く交通で、現在、県道中山尾長線を流れている車の一部が、高速道路に転換するということで現在の渋滞緩和に資すると考えています。

(皆川議員)
  高速に乗る車、あるいは降りてくる車が、今走っている中山尾長線から減るから渋滞緩和になると言いたいのでしょうが、今どれくらいあそこを通ってこちらに出てきていますか。ほとんど府中町の方へ行っています。わざわざ尾長の狭い道を通ってくる車は無いとは言いませんが、渋滞解消につながるほど多くないと思います。
  鬼の首をとったみたいに渋滞緩和になるというのは説得力がないのではないでしょうか。おまけに、中山踏み切りの改修を見送りましたが、あれをやっておけば少しは渋滞緩和と言えるかも知れませんが、中山踏み切りも見直しでやらないということになっています。(そうすると)ますます意味がない。こういうことを平気で必要性の根拠にするというのはおかしいのではないでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
  私どもは、そういう理由で必要だと考えています。

(皆川議員)
  ほとんど説得力がないとしか言えません。広島駅から府中ランプに行って高速2号線に乗って行くのと、二葉山を通って温品ジャンクションまで行き、そこから行くのとどれくらい違うのかというと、府中ランプ経由は空港までの所要時間が10分短縮。二葉山トンネルを通ったら17分短縮。だから7分しか違わないではないかということだったと思いますが、間違いないですか。

(高速道路整備担当課長)
  間違いございません。

(皆川議員)
  みなさんも地理はご存知でしょうが、はたして7分もかかるでしょうか。新幹線の前の道路を走ってガード下をくぐり、少し行くとソレイユがあり、そこから乗るわけです。二葉山トンネルを行くのと比べても7分もかからないのではないかと思いますが、それだけのために1千億円もかけてつくらないといけないのか。誰が考えても「もったいない」。

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(2) 「『聖地』二葉山をいじってはならない」 市民感情知りながらなぜこのルートか

(皆川議員)
  二葉山を守る会が「トンネルをつくらないでください」ということで、随分前から市長に要請されていますが、その方々の話を聞くと、浅野さんの時代(江戸時代)から聖地になっていたそうです。
  裾野には多くの神社があります。なぜ集中しているかというと、二葉山が聖地だからです。「聖地をいじるとたたりがある。そっとしておくべき」という感情が市民のなかに相当あるということを聞きました。二葉山を守る会には各神社の宮司さんがそろって賛同しておられる。市長にも建設中止を何回も申し入れておられます。こういう市民感情があるということはみなさんご存知ですか。

(高速道路整備担当課長)
  知っています。

(皆川議員)
  あえてそこを通らなければいけないのか。では、このルートしかなかったのかということを考えてみたいと思います。
  最初に高速5号線をつくるときに、このルートしかなかったのか。さっき言ったように府中インターから上がるという方法は検討されたことはなかったのでしょうか。高速道路でなくても(広島駅から府中ICまでの)アクセス道路をつくれば済むと思いますがいかがですか。

(高速道路整備担当課長)
  府中インターから中心部の方にひっぱっていくというルートは、(検討したということは)知りません。

(皆川議員)
  最初からこのルートしかないというので線を引かれたのですね。このような計画はいくつか案を出すのではないですか。なぜわざわざこのような高い山をトンネルで通らないといけないようなルートしかなかったのでしょうか。

(道路部長)
  温品ジャンクションから都心方向へどう分かれていくかというところで3ルート設定して、今のルート、中山踏み切りのあたりを通過するルートとなっています。また、都心方面では当初広島駅の下を通るという案もあったと思いますが、おそらくあのルートはJRの協力が得られないということで最終的には今のルート、都心側は駅西高架にぶつけるというルートになったと記憶しています。

(皆川議員)
  それは将来、南北線にぬけていこうという前提の話だと思います。それにしても他のルートがあってもいいような気がします。一番高くつくルートを選定したのではないですか。そうとしか思えません。
  トンネルを掘ったらいくらでもゼネコンに仕事がまわるということでないですか。それくらいしか考えられません。都市計画決定しているからというのでしょうが合理性がありません。

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(3) 5号線トンネルのアセスメントには地質、水文調査がない

(皆川議員)
  現行ルートを決めるにあたってどういう地質、水文の調査をされましたか。依頼先、調査概要、調査日時、結論を教えてください。

(高速道路整備担当課長)
  地質調査は、高速5号線については調査の同意が得られていない一部の地域を除き、地盤の硬さや種類を把握するためのボーリング調査を平成13年度に33か所で実施しました。地下水位の変動を把握するための井戸や沢水の水文調査を平成12年度から174か所で実施しています。
  土質調査の結果は、トンネル掘削部分の土質はおおむね風化の進んでいない強固な花崗岩で占められています。
  水文調査の結果は、地下水位は地表面からおおむね3メートルから30メートルの深さにございます。一年の水位変動は0.5メートルから3メートルの変動をしているという結果です。

(皆川議員)
  依頼先はどこですか。結論としてはどうなったのですか。

(高速道路整備担当課長)
  依頼先は、土質調査は復建調査設計です。水文調査は新谷建設コンサルタント、地下水の堆積業務はオウヨウ業務(株)、トンネルについての影響調査は日本シビックコンサルタント広島支店です。
  結論としては、土質は風化の進んでいない強固な花崗岩です。通常のナトム工法で十分掘っていけると判断しています。

(皆川議員)
  当然、公費での正式の契約したうえでの調査です。調査費はいくらですか。

(高速道路整備担当課長)
  土質調査の委託金額は1億7,935万500円です。水文調査は年度を追ってやっています。最初は12年度からですが、1,833万4千円、14年度は4,372万3千円。以降、3,817万2千円、977万1千円、77万3,850円というように発注しております。
  地下水解析は、当初の解析業務と暫定整備計画にともなう修正業務を発注しています。当初が766万5千円、修正業務が447万4,050円、トンネル調査等については、トンネルの詳細設計とトンネルの影響調査をあわせて実施しています。その1とその2に分けており、当初が1億1,077万7,100円、その2の業務が3,997万8,750円、さらには暫定整備計画にともなう修正設計が3,691万9,050円です。

(皆川議員)
  今の数字は初めて聞きましたが、これは公社の予算から出されたのですか。発注元は公社ですか。それとも広島市ですか。予算の出どころはどこですか。

(高速道路整備担当課長)
  公社で発注しています。

(皆川議員)
  調査結果は市民に公表されていますか。相当膨大な額です。投入した予算も数億円になりますね。10億円近くなりませんか。(高速1号線の)福木トンネル調査費用に匹敵するくらいのものです。いかがですか。

(高速道路整備担当課長)
  この度、トンネルの修正設計が終了して地元説明に暫定整備計画が決まったので、今年の6月から地元説明に入っていますが、トンネルの直上の住民の方々に説明するなかで、ボーリングデータについてはスライドで結果を説明しています。

(皆川議員)
  ボーリング調査の結果、水文調査の結果、概要だけは報告したということなら結果も請求したら見ることができますね。

(高速道路整備担当課長)
  トンネルの詳細設計や土質調査の成果品(報告書のこと)については、いまだ工事を発注していないので、高速道路公社の公開情報規定に基いて処理させていただきます。

(皆川議員)
  (適切に)処理してください。それで高速5号線のアセス(東部線環境影響評価書)が平成11年3月に出ています。これをみてびっくりしましたが、地質とか水文の調査はされていません。調査項目にあるのは、騒音、振動、排気ガス、自然体系です。地質は対象になっていない。
  ところが、アセスを縦覧に付して住民から出された意見の中には、「二葉山トンネル建設は、地下水や地盤の変化、排気ガスをもたらし、生態系への悪影響や自然環境の破壊にながるおそれがあるので危ない」とか、「地下トンネルに伴う治水の安全性や地下水脈の切断による動植物系の変化の環境アセスはどうなっているのか」とか、こういう質問がいくつかあります。地質や地下水に関するものです。
  これに対しては何の回答もしていませんが、これでアセスといえるのでしょうか。(高速5号線の全長)4キロのうち半分がトンネルです。その安全性についての検証はアセスでは全くやられていません。これで、都市計画決定されたという。アセスのあと、平成12年、13年に地質調査をやっている。ルートを決めてそれから安全性を検証するという流れになっている。これはおかしいやり方だと思います。

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(4) 高速1号線福木トンネルの地盤沈下 原因はいまだ解明されていない

(皆川議員)
  平成14年5月、1号線の福木トンネルで予想しなかった地盤沈下事故が起きました。その時点で5号線の二葉山トンネルのルートは決まっていました。地質調査も済んでいました。それ以降、この5号線のルートの安全性についてもう一度検証されてきましたか。1号線の事故を受けて5号線の安全性を再検討したことがありますか。

(高速道路整備担当課長)
  高速5号線のルートについては、平成5年から9年にかけて予備設計関係機関との協議を行い、平成10年度に地元調整を行ったうえで平成11年3月30日に都市計画決定しています。
  この決定にあたっては、先ほどから申しているようなルート選定上の問題を考えて設定しましたが、現時点において5号線のルートを見直さなければならないような要因は認められないことから再検討を行うことは考えておりません。

(皆川議員)
  ルートの見直しを聞いたのではありません。安全性について地質や水文の点から本当に大丈夫か、科学的な検証はしましたか(と聞いているのです)。

(高速道路整備担当課長)
  1号線の事故からその後の検討というのはやっておりません。

(皆川議員)
  それでは1号線と同じようなことが起こったら重大なことになります。1号線のトンネル事故がなぜ起こったか。
  皆さん方が2年かけて(調査し)議会に報告された報告書をもう一度見させてもらいました。「やむを得なかった」「予測できなかった」ということで責任の所在はあいまい、公社も市も業者もどこも予測できなかったということで、80数億円さらに付け足しておよそ倍の178億円に膨れ上がったが、結局だれも責任をもっていない。報告書以外に福木トンネルの事故で科学的に検証したものがあるのですか。

(高速道路整備担当課長)
  1号線トンネルについては平成13年5月からトンネル掘削を開始し、平成14年9月までにトンネルの直上で4センチから15センチの予測を超える沈下が計測されています。平成15年5月に設置した学識経験者、公社職員、請負業者などで構成した安芸府中トンネル技術検討会を立ち上げており、このなかでメカニズムを検討しています。

(皆川議員)
  どういうテンポで会議をしていますか。いつ頃を目途に報告を出されますか。

(高速道路整備担当課長)
  平成15年5月から7月の間に3回開いています。そのなかで事故の原因とか、請負業者、コンサルタントなどを入れて検討をしています。

(皆川議員)
  (この報告書は)素人が見ても、何が問題かよくわかるようにまとめてありますが、「トンネルを掘ることによって、トンネルの上に走っている地下水の水位が下がっていくのは避けられない」「地表面の沈下もわずかだが、ある程度さけられない」ということで(着工まで)きました。
  最大5センチ(の沈下)ということを想定してやっていましたが、実際には15センチと3倍も沈下しました。中国電力の変電所の鉄塔の許容限度が(当初計画では)3センチということになっていましたが、それをさらに見直して5センチというぎりぎりのところまで沈下した。これ以上は危ないということで(工事を)中断したわけです。(その後)工法をだましだましやってやっと開通しました。
  問題は、地表面の沈下がなぜ5センチのところが15センチと3倍も沈下したのかです。どこを読んでもこの解明が全く(報告書には)出てきません。これを解明しないと同じことがまた起こるのではないかと思います。なぜ予測を超えた沈下が起こったのですか。これは極めて科学的な分析がいると思います。それを技術検討委員会というところはどう言われているのですか。そういうことをテーマにした検討はされましたか。

(高速道路整備担当課長)
  手元に詳しい資料がないので概要だけ説明すると、当初沈下への影響が少ないと思われていた地下水の低下が、そこの岩が風化していて強度が下がっていた、さらには間隙が多かったということから、地下水位が下がることによって、そこに力が加わって予測を超える沈下を起こしたということです。

(皆川議員)
  そんな単純なことがなぜわからなかったのか。初めてのトンネル工事ではないはずです。比治山トンネル、田中町トンネル、西風新都トンネル、シャレオ(地下街)などたくさんやっています。事前にボーリングもしているのに「予測できなかった」ということで15センチも沈下がおこったわけですから、科学的解明がどうしてもいると思います。

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(5) 二葉山トンネルでも地盤沈下のおそれがある

(皆川議員)
  私は、二葉山トンネルでも同じような危険性をもっていると思わざるを得ないから聞かせてもらいます。(以下、パネルを示しながら質問)
  これは沈下事故を起こした(1号線の福木)トンネルですが、復建(※社名)の解析された膨大な資料から借りたのですが、中電の変電所のきわの「T−2」のポイントでボーリングしていますが、この部分のボーリングの分析結果がこの柱状図(上半分下半分)です。縦にしたら50メートルくらい深さがあります。トンネルは地下45メートルを走っています。
  このときに岩の硬さを岩級区分されて、このトンネル部分はDHとなっています。どのくらいの硬さかというと、岩級区分一覧表では「ハンマーのピックで容易に削れる。岩片は指で崩れる」となっています。しかも含水量といって水をどれくらい含んでいるかというと22.9%。これは重量になおしたら45%の水を含んでいることになります。水はびちゃびちゃ、岩もスカスカ、こういうところを掘ったわけです。
  N値といって岩の硬さを測るひとつのバロメーターをみたらN値50になっています。50といったら非常に硬いのかもしれませんが、実際には「地下水が低下して表面が崩れた。15センチくらい崩れた。(このことが)事前にあれだけボーリングして専門家に聞いても分からなかった」というのが報告書の結論です。
  そんなばかなことはないと思います。学者3人の専門家の方の意見が(「大したことはない」と判断した)決定打となっています。この方たちが誰かは(報告書に名前が記載されていないので)知りません。
  大学教授のBさんは、「水抜きによる大きな沈下が計測された例はほとんどない」から大丈夫だと言っておられます。これはおかしいです。地下水をくみ上げて沈下した例はないといいますが、大阪で工場が地下水をくみ上げて地盤沈下が起こっているではないですか。そういう実例はあるのに、水抜きによる沈下が計測された例はほとんどないとはどういうことか。
  大学教授のCさんも、「トータルで3センチくらいではないか」と。コンサルタントのAさんは、「沈下量はこれまでの事例からそれほど大きくないと考える」と言われています。みんなが同じように「大したことない」と言われています。
  そして何が起こったかというと、トンネルの真ん中くらいで沈下が初めて起こったならまだいいですが、掘り出して間もなく起こったではないですか。掘ったとたんに崩れだしたではないですか。掘ったはしからはしから(設計の)変更変更でした。けしからんです。
  トンネル掘削開始は平成13年5月でした。5月に下り線が、そして6月に上り線の掘削が開始、その1か月後の7月にはもう工法変更です。年があけて1月にまた工法を変更せざるを得なかった。3月には(追加)予算も計上して第1回目の変更契約がされました。(さらに)6月には沈下が止まらず、ついに15センチになった。こういう経過です。
  ナトム工法というのがありますが、それに補助工法をひっつけてやっているわけです。やっと変電所の下のところで中断をして、あの手この手で冷や冷やしながら掘って、なんとか掘り進むことができたということが報告書に書いてあります。
  しかし、これくらいのことがなぜ事前にわからないのでしょうか。なぜここを掘ったら15センチも沈下したのかという解析ができていないと思います。やられましたか。あるのは事前の予測調査(と経過報告書)しかないではないですか。事故が起こったあとの分析はやりましたか。

(高速道路整備担当課長)
  さきほどから申し上げているように、平成15年5月に設置した技術検討会において分析をしています。手元にもちあわせていないので、委員長に相談して提出させてもらいます。

(皆川議員)
  神戸の震災が起こったときに、ボランティアが救援で行きました。そのとき学者は何をしたかというと、チームをつくって大学の専門家グループや学者が行ってメカニズムを検証されました。全国に例がないと言われるかもしれませんが、例がないことが起こったなら、なぜ調査してその(研究)成果を発表しないのですか。(それにもとづいて)5号線トンネルを検証するべきではないでしょうか。

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(6) トンネルの空洞が原因で地圧が低くなり、地下水位が下がって地盤沈下する

(皆川議員)
  さて、5号線(トンネル)の問題ですが、これは市からもらった地質調査の概要資料を拡大したパネルです。牛田東3丁目のちょうど団地のところの地図です。(トンネルは)2本通る予定を1本にしぼって、南側ルートだけの対面通行に変更されました。
  中山方面から団地に入ってくる最初のところのトンネルの土被り(どかぶり)が、確か(@の断面図(中山側)ではトンネルまでの深さが)43メートル、(Aの断面図(駅側)では)28メートルの深さです。だいたい25〜40mの土被りです。
  先日、この(トンネル直上の)地域で説明会をされて、(藤井議員の一般質問では)「必要性そのものを疑問視するような意見が大半だった」という答弁でした。しかし(実際説明会で出た意見は)「疑問視」ではなくみんな「反対」だと言っているわけですから、「反対の意見が大半だった」ということだと思います。
  ちょうどこの(団地の)区間ではボーリング調査を3か所やっています。B15、16、17のポイントです。そのなかのひとつ(B17)のボーリングコア写真を拡大してきました。B17は35メートルの地下にトンネルを掘るということになっています。岩質及び岩級はどうなのですか。

(高速道路整備担当課長)
  地表面から10〜15メートルくらい地盤を掘りますと、N値50以上の地盤が出てきます。岩質は、軟岩、硬岩の部類で風化していない花崗岩であるときいています。

(皆川議員)
  (このボーリングコア写真では)ちょうどトンネルが通るところの岩級がCHとかCMとか書いてあります。これは岩級の硬さでいくと、CHは「ハンマーでたたいたら金属音がする。一部濁音がする。中位の硬さ。ただし風化の程度は割れ目に沿って風化し茶色を帯びる」ということです。CMは「ハンマーでたたいたら割れ目に沿って容易に割れる」と書いてあります。風化の度合いは「全体的に風化、変質が進み、黄褐色を帯びる」。CLは「ハンマーで容易に砕ける。全体に風化、変質が進む」とあります。DHは「指で崩れる、風化、変質が著しい」。一番硬いのはAとBです。Cから以下は風化が進んでいるか進みだしている岩です。
  ですから、この図の一番硬いというところでも、風化が進んでいる岩ということです。硬いんだということですが、ハンマーで割れる程度なので、決して硬くはない。
  問題は、その岩の上にのっている、表面を覆っている黄色いのは何ですか。

(高速道路整備担当課長)
  黄色いのは埋土です。通常の土砂です。

(皆川議員)
  埋土の高さが15メートルです。これはちょうど団地の真ん中です。両サイドもほぼ数メートルにわたって黄色い土が表面を覆っています。地下水はこの埋土の真ん中くらいを流れています。平均して地表から6〜10メートルくらい。ということはトンネルが35メートルの深さで、その上の約20〜25メートルのところを地下水が走っています。
  5号線トンネルが予定されているところの地質は、沈下を起こした1号線トンネルの地質とよく似ています。高速1号線トンネルの地下水は、地表面から地下13メートルのところに何本か走っています。この地下水位が下がって地表面が沈下したわけです。
  こういうところにトンネルを掘ったら地下水位が下がる。なぜ下がるか専門家に聞いたら、圧力が低下するから水が地下に向くそうです。それまで安定して(水が流れて)いたところが(掘られて)空洞になり、地下水が下がって、その上に家が建っていたらどうなるかということはある程度予測できるのではないですか。そう思われませんか。地表面の沈下について、さきほどは大したことはありませんと言われていましたが、そこは(公社は)どう解析していますか。

(高速道路整備担当課長)
  公社が実施した土質調査の結果をふまえて検討したところ、トンネルの掘削にともなう地表面の沈下は、数ミリメートルから2センチメートル程度と予測されています。

(皆川議員)
  沈下そのものはあるだろうと予測されているわけですね。1号線の場合は2センチということでしたが、15センチも沈下してしまいました。5号線の場合ももう一度見直す必要があるのではないですか。1号線でこんな事故が起こっているのですから。(5号線トンネルについても)2センチ位の沈下予測で大丈夫なのか再検証がいるのではないですか。そういうふうに市の内部でうけとめませんか。

(高速道路整備担当課長)
  お手元にボーリング柱状図があると思いますが、高速1号線のボーリングのデータと5号線のデータは全く岩質が異なると思います。一概に高速1号線で沈下が起きたからといって5号線でも沈下が起こるとは言えないと思います。

(皆川議員)
  だから何が言いたいのですか。

(道路部長)
  トンネルですが、尾長山と二葉山を通過する計画になっていまして、ちょうどその山と山がひっつく谷のあたりに団地があります。造成時に埋土をした経緯もあるようです。山の頂上付近の真下を通る部分は墓石のような硬岩で、ここらは問題ないと思いますが、議員が指摘される団地の下の部分は、再度公社に議員の意向を伝えて、もう一度検討する協議をしてみようと思います。

(皆川議員)
  もう一度全部やり直す必要があると思います。そういうふうにやって予測できなかった事故が最近起こっているわけですから、抜本的に地質、水文の調査をやり直すべきです。
  何回も言うようですか、その前に高速1号線トンネルの事故の科学的解明をきちっとやらないと教訓が生かせないと思います。そういう手順がいると思いますがどうですか。技術検討委員会はたった3回しかやっていないではないですか。もっと本格的に技術検討・事故調査委員会みたいなものがいるのではないですか。その道の専門家はたくさんいるわけですから。
  (そういう検証をせずに)「大丈夫でございます」というようなことで、どんどん事業を興すような状況は許せないと思います。二度と不測の事態を起こさないためにも、誰もが納得できるような調査をしなければなりません。やる気があるかどうかを聞きます。

(道路部長)
  牛田の団地には、誠和園というまだ調査できていない団地があります。そこの土被り(どかぶり)は19メートルで、いずれにしてもそのあたりの工法、補助工法については詳細な検討がいると思いますので、公社と協議したいと思います。

(皆川議員)
  みなさん方はいまだに神話のとりこになっているのではないですか。N値50という神話です。N値50で大丈夫と。1号線トンネルは岩質がDだったが5号線トンネルは岩質がCだと。DがCになっただけの違いではないですか。しかもこっちだってN値50のところです。DやCは岩盤に毛細血管のような亀裂がいっぱい走っています。亀裂の間を地下水が走っています。これはもろいわけですから、亀裂がたくさんあると思わなければならない。そしたらここに空洞ができて圧がかかったら、5号線トンネルだって地盤沈下する可能性は十分あります。

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(7) トンネル真上の団地はかつて沼地、ぜい弱な地盤だった

(皆川議員)
  (5号線トンネルの真上の)団地は昔、沼地だったと聞きますが、つかんでいますか。

(道路部長)
  うわさは聞いたことがありますが、実際そこでボーリング調査してはいませんので事実は確認できていません。

(皆川議員)
  ボーリングはしなくてもわかるでしょう。ボーリングは地下深いところです。黄色い埋土があるわけでしょう。この山を牛田方面に下っていったところには今でも田んぼがあるでしょう。田んぼの農業用水は山の上に溜まった水を引いていたのです。そういう話を地元の人たちはしていました。何年頃かわかりませんが、たぶん昭和20〜30年頃でしょう。まだ団地できてない頃ですから。(そこを埋め立てて)ぜい弱な上に団地があるということになります。当時の5万分の1〜1万分の1の地図を探したら分かると思います。

(高速道路整備担当課長)
  道路公社の先日の説明会で地元の方にもお見せしましたが、戦前からの航空写真を使ってどうやってこの団地が造成されていったかを再現しています。そういうデータを使ってまたお見せしたいと思います。

(皆川議員)
  当時の沼地がどうであったかくらいはつかんでおくべきです。

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(8) 発破掘削での工事はとんでもない

(皆川議員)
  (5号線トンネルでは)約2センチの沈下を予測されていますが、それはさっきの5号線の調査報告書のどこに書いてありますか。

(高速道路整備担当課長)
  トンネル影響調査等と申し上げましたが、高速5号線のトンネル工事詳細設計その他業務をやっており、このなかでトンネルの影響解析をしています。

(皆川議員)
  どこがつくったものですか。

(高速道路整備担当課長)
  日本シビックコンサルタントです。

(皆川議員)
  トンネルの掘削の工法はどういうものですか。1号線と同じですか。

(高速道路整備担当課長)
  山岳トンネルとして一般的なナトム工法を採用し、土被り(どがぶり)の少ない坑口付近は、地表面沈下を抑制するための先受工を補助工事として採用しています。トンネルの主な掘削方式としては機械掘削と発破掘削があり、通常は、機械掘削は軟岩から中硬岩に、発破掘削は中硬岩から硬岩の地山に使用されています。
  高速5号線のトンネル部については、風化の進んでいない強固な花崗岩でおおむね占められていることから、掘削方法は民家までの距離が確保でき、振動規正法の基準値内となる区間では、機械掘削に比較して施工性、経済性に優れた発破掘削が基本となります。ただし、民家が近接している区間では、ロードヘッダーなどを使用する機械掘削を採用することとしています。

(皆川議員)
  今のは聞き捨てならない。発破掘削を使うわけですね。最近広島市がやった(トンネル)工事で発破はありますか。

(道路交通局長)
  私の経験は、安佐北の安佐トンネル、幕の内トンネル(平成10年)を発破でやっています。先ほどから5号線をどうするかと決着がつかないのですが、任せていただきたいのは、平成15年の報告書をまだ(私自身)確認していません。もう一度確認します。
  私の経験からして安佐トンネルは非常に硬かったのです。だから補助工法もほとんどいらなくて発破でやって非常に安くあがったわけです。幕の内トンネルは先ほど言われたCMで、かなづちでたたいて音が出るとかちょっと割れるとかそのくらいの硬さでしたが、これについては補助工法が必要なのです。
  補助工法というのは上から落ちないナトム工法ですから、鉄機をまず入れて前に対して掘った時に前に落ちないようにフォアパイリングというのを前に押して、それで下に落ちないように掘削していくわけです。そのことによってこの程度の岩盤でも300〜400メートルをすべて沈下なしで開通しております。あの時も土被りが20〜30メートルですから。
  ここ(5号線)は40メートルです。1号線も補助工法を少なくしてやったから水がどっと落ちたわけで、最終的には補助工法をたくさんしてお金もかかって貫通したということです。もう一度この岩質からしてどのような工法がよいかというのは検討させます。
  しかし先ほど言われたようにボーリングをたくさんやるべきではないかということは、ボーリング1本何百万円ですから、私の経験からしたら400メートルありましたら200メートルずつやるわけです。縦断方向に。現場では、一つの断面は10メートルくらいあります。ボーリングを真ん中にやりますが、土質はこちらから半分とこちら(もう一方)から半分は違うわけですから、右半分は柔らかくて左半分は硬いとか、上が硬くて下が柔らかいなどがありますので、設計の方法は、そのボーリングをもとにして最低限安全率が一定以上とれるような薬注をやって、それで掘ってみて柔らかければ最低限の薬注を追加するという工法でやっていきますから、だいたいにして設計は高くなるわけです。
  逆に言えば、最初から安全率を高くして1.5とか2にして(本当は10くらいの薬注をしてもいいんだが)、絶対安全にして設計変更で増額にならないようにする。しかし、一方で最初からたくさんやろうと薬注をしていますと、業者はどんどん薬注をしていきますから、べらぼうに高くなります。安全でもあるし、計画通り貫通はしますけれども、税金上、莫大な損失をしますから、常に現場の土質を見ながら常にそれに対応して工法を変更しながらやっていくのが土木の基本です。
  ですから5号線についてはもう一回協議させてください。私に任せてください。

(皆川議員)
  高山さん(道路交通局長)個人がどうこうでなく、行政として納得いかないところがたくさんあります。検討委員会の報告書を(局長自身が)まだ見ていないというが、これ(報告書)で終わりになっているというのはおかしいと思います。予測できなかった事故が起こったにもかかわらず、原因が究明されていないのです。それで次の工事が計画されているというのは、それでも技術者として良心が痛まないですか。まず解明してからです。
  元に戻りますが、発破を使うということですが、1号線トンネルの時もそういう計画があったのですか。地元の人が工事の音がうるさくて寝れないと現場に言いにいったときのやりとりで、「発破を使う」と言われたということです。500回使用の計画だったらしいですが、「発破と言っても穴のなかだから震度1くらいだから大丈夫ですよ」と言われたという。しかし、その後住民の人が(やめてほしいと)言いに行かれて食い止められたということです。
  比治山トンネルも発破を使う計画だったのですが、途中でロードヘッダーという工法変更をし、発破は使わなかった。
  今聞いたら、安佐トンネルはおそらくAかBの硬い岩があったのでしょう。幕ノ内は発破もやったということですが、今回は「たたり」があるかもしれない山に発破をかけるわけですから、それは宮司さんたちが黙ってはいないのではないですか。しかも山根町やら山すそには家がはりついている。ここに発破を使うということになれば地域の人たちからは「やめてくれ」という声が出るかもしれません。安くあげるための工法だということですが、発破はよくよく考えてほしいです。
  ナトム工法を中心にして補助工法をいろいろやっていけばいいと言われましたが、他に工法はないのですか。これ(市の資料)を読んだら工法がいろいろありますが、どれがどんなものかよくわかりません。

(道路交通局長)
  ナトム工法はオーストラリアの山岳部でできたものです。その前まで日本でやっていたのは、吉村昭の本を読んでみたら分かると思いますが、掘っては木で囲っておいてその上に縦に盛って行ってまた掘っていくもの。ああいう山岳トンネルでした。この山岳トンネルをやるのか、今頃下水でよくやっているシールドの大きいもの、岩盤を掘るシルダー(TBM)、要するに機械で掘っていく工法しかないと思いますが、非常に値段は高くなると思います。

(皆川議員)
  すべてはお金からきているということですね。1号線トンネルも経済性のためにナトム工法を採用したというのが最初の動機であり、結果として倍近く高くついたということです。
  5号線トンネルも経済性のためにナトム工法を使って倍の金額になる可能性もないとは限らない。そこまでお金が高くつくルートをなぜ選定しないといけなかったのか。(質問の)最初のところに返るわけですが、ばからしいではないですか。これだったら新幹線駅前から府中の方へ向けたほうが余程安くついたのではないでしょうか。経済性の面からもいまだに私は疑問です。発破については、使用することになったら予想もつかないことが起こると思います。

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(9) 2キロのトンネルに排気ガスの排出口をつくる計画がない

(皆川議員)
  それから、トンネルの出口と入口付近の排気ガスの濃度調査はしていますか。

(高速道路整備担当課長)
  平成16年度にトンネル坑口部の二葉の里、中山、両地域において暫定整備にともなう環境予測評価として二酸化窒素、浮遊粒子状物質、一酸化炭素の環境基準に関する調査をしています。どれも環境基準を満足する結果となっています。

(皆川議員)
  出口と入口の坑口周辺の排ガス調査をやったということですか。車(の予測量)は、1万3千台ですね。途中に排気口があるかどうかわかりませんが、入口と出口にしか排気ガスがないとしたらすごい排気ガスの量ではないですか。

(高速道路整備担当課長)
  途中に排気口は設けていないので、その両口から排気するようになります。

(皆川議員)
  両口しか(ガスの)出口がないのに「大した影響はない」という調査結果だが、どういう調査をされたのか。それは出口、入口付近の住民の人には説明会はされましたか。何の意見もありませんでしたか。

(高速道路整備担当課長)
  地元のどこまで説明会をしているか把握していません。後ほど資料を提出させてください。

(皆川議員)
  説明をしていない可能性があるのではないですか。トンネルの出入口の排ガスはどこでも問題になっています。だから通気口で排ガスを抜くなどやっているわけです。(5号線は)2キロにわたってないのです。そこを1万3千台が走るのです。排ガスが溜まる。24時間出るわけです。出入口付近の住民はたまったものではありません。排気ガスは自殺するときに車に引き入れて死ぬことが出来るくらい毒性を持っているわけです。

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(10) 絶滅の危機に瀕するシリブカガシ 本当に影響は「軽微」か

(皆川議員)
  さて、シリブカガシの問題です。本会議の答弁では、表層水だけで生きているので、地下水が少々変動しても関係ありませんということでしたが、それは本当ですか。

(高速道路整備担当課長)
  公社が平成12年12月に学識経験者等で構成する二葉山自然環境保全対策委員会を設置していまして、そこで今(議員が)言われたようなことを公表しております。

(皆川議員)
  専門家が出したからということで、果たしてそうかとおもいますが、二葉山自然環境保全対策委員会の報告書(広島高速道路公社「報告書・概要版」)は私も見させてもらいましたが、ここはボーリングもやられています。シリブカガシは駅の方に群生していますが、ここをボーリング4か所やっていますね。地下水の水文調査もしています。柱状図も出ています。
  原版は水色で示してありますが、地下水はほとんど表面まであります。深いところもありますが、表面のところも相当ある。1〜3メートルのところを地下水が通っています。シリブカガシの根の長さは1メートルもないのか。そういうことを頭に入れて答弁されていますか。

(道路部長)
  シリブカガシの根は、約3メートルくらい生えます。地下水が6メートルより上にある区域がシリブカガシの群生地全体10ヘクタールの約3%、それ以外は6メートルより下にあるという結論に至っています。

(皆川議員)
  3メートル以上のところが3%と言われましたが、そこのところは影響を受けますよね。

(道路部長)
  その3%は図で示してあると思います。その3%のシリブカガシへの影響ですが、一時的に影響を受ける可能性はあるが、その後の成長により十分補われるため影響は軽微ということです。逆に97%の6メートル以下の部分では直接の環境に変化なしと、35ページに結論づけています。

(皆川議員)
  また見せてもらいましょう。地下水の影響は受けないと書いてありますが、実際は受けるわけです。受けるがこの場合は深いところを通っているから「受けない」というだけです。浅いところは全部受けるわけです。
  (1号線で)あれだけの事故が起きたことを今後の教訓にしないまま5号線のトンネルを掘って同じ過ちを繰り返すという可能性がゼロとは言えない。それは地質と水文の調査結果を見てもゼロとは言えない。素人が見てもそう思う。学者の目でしっかりと1号線の沈下事故を検証すべきです。その上で5号線はやりなおすべきです。メカニズムを解明すべきです。
  それは工法に関わる問題でもあります。ナトム工法でいいのかも問われてきます。トンネル1本100億円かかる、シールドでやったら200億円かかると正直に出せばいい。なぜそんな高くつくようなルートを通ってトンネルをつくらないといけないのか。そういうことになるのです。
  局長はトンネルに詳しいので1号線トンネル沈下事故の報告書にしっかり目を通してもらって、技術的な解明ができていなければきちっとやってください。局長の大事な仕事だと思います。いかがですか。

(道路交通局長)
  先ほども言いましたように、平成15年の報告書の確認と、5号線の土質調査の内容を検討しながら、今後補助工法をどのようにしていって、どの工法が一番安全なのかということを検討していきたいと考えています。

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(11) 1号線トンネルの最初の入札(平成13年)の落札率は97.3%

(皆川議員)
  公社の入札問題について伺います。1号線トンネルの入札は、何社で落札を競い、どこにおちましたか。平均落札率が何%か教えてください。

(高速道路整備担当課長)
  平均落札率は、過去5年間の公社の平均ですが89.6%です。高速1号線トンネルは平成12年度に発注しています。何社かは手元にありませんが、落札したのは熊谷・前田建設工事企業体です。

(皆川議員)
  各年度ごとの平均(落札率)はわかりませんか。

(高速道路整備担当課長)
  平成13年度97.32%、14年度98.23%、15年度95.30%、16年度92.35%、17年度83.16%、平均89.62%です。

(皆川議員)
  1号線を発注したのが平成12年ですから、この頃はおそらく97〜98%で工事が落札されていた頃です。異常な落札率だと思います。トンネル工事にかかわり、和歌山県で大きな談合事件になっていますが、こういうところはよく気をつけておく必要があります。中国新聞に仁保ジャンクションの談合という記事が載っていましたが、どういうことですか。

(高速道路整備担当課長)
  9月27日に、公社の仁保ジャンクション工事を10月5日に入札予定のものでこれを公告していましたが、この工事について中国新聞に談合があるといったような情報が提供されてそれが報道されたものです。

(皆川議員)
  市の対応はどうしたのですか。10月5日といえば今日が3日ですのであさってです。これは調査されましたか。やるのですかどうですか。

(高速道路整備担当課長)
  公社のなかで建設工事入札調査委員会というのを設けるようになっていて、談合情報が入ってすぐにその日に調査委員会を立ち上げて、調査委員会が次の日に業者を呼んで事情を聞いています。信憑性があるかないかですが、信憑性はないということで、予定通り入札は執行されるということで、新聞報道にもそのよう出ていたと思います。

(皆川議員)
  業者名はいいので、どれくらいの規模ですか。一般競争が指名競争か。

(高速道路整備担当課長)
  規模は26億円の工事です。高速2号線の下部工事です。一般競争です。

(皆川議員)
  一般競争で談合情報が入ったということは見過ごすことはできません。重視してやる必要があると思います。ほとんど一般競争ですが、それでも談合が行われるということであればせっかくの入札制度の改善が損なわれるということになりかねないので、重視していただきたいと思います。

(その後の入札で、情報どおりの業者が落札したため、市が調査中)

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