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2006年3月28日 本会議 中原ひろみ議員の06年度関係議案討論


■反対の議案
  第12号 国民健康保険事業特別会計予算
  第13号 競輪事業特別会計予算
  第19号 開発事業特別会計予算
  第32号 区民文化センター条例の一部改正 ほか15議案
  第38号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正
  第53号 寡婦寮条例の廃止
  第68号 広島高速道路公社定款の変更に係る同意

■意見を付して賛成する議案
  第1号 一般会計予算
    「公共事業見直し」なおざりのまま 動き出した巨大開発
    その一方で養護学校の放課後対策事業に一回200円の利用料導入
  第11号 介護保険事業特別会計、第71号議案 介護保険条例の一部改正
  第69号 包括外部監査契約の締結
  第61号 広島市景観条例の制定



  日本共産党市会議員団を代表して、上程された諸議案に対する討論をおこないます。
  反対の議案は、第12号、13号、19号、32号から35号、38号、44号から49号、51号から53号、56号、63号、64号、66号、68号議案の22の議案です。
  意見を付けて賛成の議案は、第1号、11号、61号、69号、71号の5議案です。残り44の議案には賛成です。



■反対の議案

第12号 国民健康保険事業特別会計予算  (目次へ

  国保に加入している多くは低所得者世帯です。払いきれない高い保険料のためにやむなく滞納し、保険証を取り上げられて病院にかかれず、重症になってから救急車で担ぎこまれるという実態があります。
  政治の仕事は、市民の命と福祉を守ることですから、本来なら少しでも払える額の保険料へと引き下げるべきですが、広島市は逆に全国的に見ても優れた減免制度の運用を今年度から改定し、前年より所得が3割減少した世帯だけを減免する制度へと改悪されました。
  その結果、減免者数は昨年度と比べて約4割にまで落ち込んでいます。改悪以前であれば、生活保護世帯の水準と同程度の低い所得なら毎年受けられていた減免は適用されなくなりました。
  ある市民の場合、年収190万円に対し、国保料は27万円です。所得の14%もの高い国保料を支払わなければなりません。これらの世帯は保険料を払いきれず、滞納に追い込まれることは必至です。命を守るための国保が、高い保険料ゆえに市民の命を危うくしています。
  国民健康保険は国民皆保険制度として、保険証一枚あれば誰でもいつでも安心して医療が受けられるという、命を守る大切な医療保障制度です。その制度の目的を果たすためにも、生活保護世帯の1.3倍以下の所得なら減免制度の適用が受けられるよう、制度を元に戻すべきです。


第13号 競輪事業特別会計予算  (目次へ

  先般、警備業務の偽計入札妨害事件で職員の逮捕者を出したことは、公共への信頼を大きく失墜させるものとなりました。この談合事件の解明と再発防止に取り組まれることは当然ですが、この際、市はギャンブルの世界から一日も早く撤退されるべきです。


第19号 開発事業特別会計予算  (目次へ

  この会計は、これまで南口開発株式会社や地下街開発株式会社への支援など、破綻した事業の穴埋めに当然のごとく使われてきました。
  しかし、開発事業は市民の税金が大規模に投入されているのです。市民の税金で開発して得た財源が市民の暮らしに生かされず、いつまでたっても大規模開発にしか使えないという仕組みは改めなければなりません。
  条例を改正し、新年度時点で計上されている約34億円の基金ともに、今後、南口やシャレオから返還される貸付償還金を一般財源に繰り入れ、市民のさまざまな暮らしを応援する施策の財源とすべきです。


第32号 区民文化センター条例の一部改正 ほか15議案  (目次へ

  次に、区民文化センターや総合屋内プール、スポーツセンターなど、公共施設の使用料を引き上げる16の議案についてです。
  対象施設は、4月から指定管理者が維持管理をおこなう施設ばかりですが、指定管理者制度の導入で年間約14億円のコストが削減されます。また、提案されている使用料の引き上げで2億8,400万円を新たに市民が負担します。合わせて年間約18億円もの財源が捻出されることになりますが、この財源が一体どこに使われるのか市民に明らかにすることなしに、一方的な使用料の引き上げは市民の理解を得られないと考えます。
  さらに、これまで市は指定管理者導入を巡る議論のなかで、市民サービスは低下しないと断言されてきましたが、施設利用者に高い使用料を支払わせることはサービスの低下そのものです。よって、公共施設の使用料引き上げには賛成できません。


第38号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正  (目次へ

  これは12月29日から1月3日の間に勤務した職員に支払われてきた日額6,500円の特殊勤務手当等を廃止するというものです。市の廃止理由は、病院、消防、環境などの職場は、休日とは無関係に働く必要がある職場だから、年末年始だからといって特別に手当を出す必要はないというものですが、本当にそうでしょうか。
  年末年始というのは家族を単位に身内が故郷に帰省し、団らんの時間を持ち、正月は一年のスタートとして気持ちを新たにするという日本の伝統的文化であり、普通の休日とは違う、休むのが当たり前の特別な休日です。
  病院や消防、環境の分野は、市民生活に365日必要な公務の職場だとしても、年末年始は人間らしく休みたいというのは日本人なら誰にも共通の気持ちです。その気持ちをこらえて公務労働にあたるのですから特殊勤務手当が支給されて当たり前です。
  例えば民間企業のマツダでは、年末年始に勤務した労働者に休日出勤割増率を定め、元旦に勤務した場合の割増率は100%とし、労働者に慰労の気持ちを表しています。公務の職場で年末年始の特殊勤務手当を廃止することは、民間を含めて、いつでも安く使える労働力の切り下げにつながりかねません。以上の理由から、この議案には賛成できません。


第53号 寡婦寮条例の廃止  (目次へ

  そもそも、寡婦寮は低廉な住宅を提供することで寡婦の生活の安定と福祉の増進を図ることを目的に、昭和46年に市が独自に設置した施設です。この寡婦寮を廃止する理由として、市は設置目的を達成したとしていますが、本音は年間わずか225万円ほどの運営費を削減する事が狙いなのではありませんか。
  現在、寡婦寮には11人の方が暮らしておられます。空家ではありません。11名の入居者のうち、8名が70歳以上と高齢で、最高齢者は95歳です。これから先、ひとり暮らしの女性が増えることは予想されるのに、市が何を根拠に目的達成と言われるのか疑問です。
  ひとり暮らしの高齢者は市営住宅にも入居できるようになりましたが、市営住宅は公募倍率も高く、抽選から落ちれば寡婦寮の代わりにはなりません。また、老人ホームもお金がなければ入所できません。
  市は入居者に対し、一年間のうちに寡婦寮から退去するよう指示されているようだが、90歳を超えるお年よりに、一体どこに行けというのでしょうか。高齢者を追い出すだけの市のやり方には賛成できません。


第68号 広島高速道路公社定款の変更に係る同意  (目次へ

  これまで私たち日本共産党市会議員団は、「政治は弱いものを助けるために働くべき」との理念から不要不急の巨大事業を中止・凍結し、市民の暮らしを応援する予算へと軸足を移すことを求め続けてきました。
  そうした中、事業費が巨額となる高速道路事業計画の見直しがおこなわれましたが、新年度も相変わらず53億7,200万円が高速道路公社に出資されており、高速道路事業が市の財政を圧迫することに変わりはありません。
  これまで繰り返し求めてきましたが、採算性、必要性、環境面から高速5号線は中止すべきです。また、南道路二期において、江波地域住民が反対していることを承知の上で、住民の意志を無視して強行に用地測量をするやり方は許されません。以上の理由から反対とします。




■意見を付して賛成する議案

第1号 一般会計予算  (目次へ

  新年度予算のなかには乳幼児医療費補助対象の拡大、病時保育所の全区設置、アスベスト除去の本格的実施、民間住宅の耐震診断補助、災害・高潮対策など、市民の切実な要求を受け止めた施策が盛り込まれていることは大いに評価するものです。
  しかし、国が構造改革として推し進めている「小さな政府」のもと、全ての分野で規制緩和がおこなわれ、国民を勝ち組・負け組に二極分化する格差社会が一大社会問題になっています。さらに、政府は医療分野にまで規制緩和を持ち込み、保険が効かない医療を増やす「混合診療」を全面解禁し、公的医療の土台が解体される危険すらあります。
  まさに国の悪政で医療改悪・庶民増税が強まり貧困がひろがるなか、広島市には市民のくらしを守る防波堤としての役割がこれまで以上に求められています。財政健全化の途上ではあっても、いかにして財源を確保し、社会保障の充実と暮らしを守るのかが正面から問われています。その意味から、広島市が進めてこられた財政健全化への取り組みに、今後、大きな支障になりかねないと懸念する事業があるので一言意見を申し上げておきます。

「公共事業見直し」なおざりのまま 動き出した巨大開発
  まず、2004年に「公共事業見直し委員会」(2年目を継続する予算)が議会で否決されて以来、大型開発の抜本的見直しがなおざりにされています。市は財源を捻出するために、今年度も職員の人件費の削減、事務事業の見直しにより約35億円を生み出しておられるが、このような削減には限度があります。巨額な事業費となる不要不急の大型開発こそ、しっかり見直すべきです。
  その点で、03年7月に高速5号線を含め、広島駅新幹線口地区の市街地再開発事業を都市再生特別地区に指定されたことは、今後の巨大開発へのレールを敷くものであり、見直しを困難にするものであることを指摘しておきます。
  巨大開発は大手ゼネコンを喜ばせるだけですが、身近な公共事業は地域の中小業者に仕事と雇用を増やし、地域を元気にさせます。いま、広島市が最優先でおこなうべき公共事業は緊急性のない高速道路ではなく、市民の安心・安全な暮らしを守る浸水対策や耐震対策、市営住宅の改修など、身近な公共事業だということを改めて強調しておきます。
  また、平成18年度の新年度予算で初めて、広島駅新幹線口地区整備として若草町地区市街地再開発事業の設計費など6億円が計上されています。
  この事業区域は2.8ヘクタール、そのうち民有地は0.1ヘクタールで、ほとんどが市の土地です。市は活気と賑わいに満ちた空間にするとして、民間企業、大和システム(株)・オリックス(株)・(株)竹中工務店により、この地域に22階建て95メートルのホテル、28階建て100メートルの230戸の分譲住宅、外人ビジネスマン向けの90戸の高級賃貸住宅、業務ビル、商業施設、駐車場を建設する計画です。また、この再開発事業と合わせて広島駅新幹線口広場の再編成も検討されており、駅前の市営駐車場をなくす計画も進められています。
  市はこの再開発事業においては地権者ですから、当然に権利変換を受けます。その権利変換内容は、1,000台分の駐輪場と40億円のキャッシュだというのですが、これすら妥当な権利返還なのか明らかではありません。
  しかし、問題なのは、市が地権者として施工者から受け取る40億円の現金は、市の財政に1円も入らないことです。なぜなら、道路や広場の建設費を、補助金や負担金として市が出すからです。広島市が土地の権利返還としてもらう40億円が、そっくりそのまま、この再開発事業に投入されます。結局、40億円が出たり入ったりするうちに、駅前の市民の財産、一等地が市民の手から消えてなくなるのです。つまり、民間、不動産事業者の儲けのために駅前の市有地を提供するということです。
  市は、民間活力を導入するので損はしないと言いますが、本来、民間の開発事業に公共が税金を出すべき筋合いはないはずです。それなのに税金を出すしくみになっていることが最大の問題です。
  この広島駅北口再開発事業は、2002年4月に成立した「都市再生特措法」による事業です。この法律で、「特別地域」に指定されれば、用途地域、容積率、高さ制限、日影規制もすべて取り払われて超高層ビルが建設できるのです。国が自治体を巻き込んで民間企業の儲け口を整備し、利益を上げる構図をつくり、広島市はそれに乗せられていると言うしかありません。
  また、広島駅北口と南口を結ぶ320mの自由通路・ペデストリアンデッキも建設されますが、概算でも約50億円かかるといいます。これも全額、広島市が負担します。市財政健全化の途上にある財政難の広島市が、新たな巨大事業となる駅前再開発に、こんなに支出できるのでしょうか。
  この再開発により、現在の約3倍に当たる9万2千平方メートルの床がつくられる計画ですが、これらの床がスムーズに処分できるか否かが事業採算のカギを握ります。全国の駅前は、どこでも判を押したように再開発がおこなわれ、賑わい施設が開発されましたが、多くの地域で床が処分できずに経営が破綻し、公共が支援を余儀なくされている事例が数限りなくあります。広島駅北口開発だけが安心という保障はどこにもありません。陸の玄関にふさわしい駅前の公共用地をどう活用すべきかについて、市民的な議論がないままデベロッパーの手に100%委ねる開発は大問題です。

その一方で養護学校の放課後対策事業に一回200円の利用料導入
  一方、新年度からスタートする「障害児いきいき活動事業」は、関係者から喜ばれてはいますが、障害児から毎日一人200円を徴収し、年間140万円の利用料金を負担させることは、市長が誰のための政治を進めておられるのか疑問を感じない訳にはいきません。
  ムダとわかっている高速5号線には巨額の税金をつぎ込みながら、わずか140万円の負担を障害児に要求する考え方は理解できません。健常児が利用する留守家庭子ども会は無料にもかかわらず、障害児の事業のみ有料というのは、障害を持つ子どもたちへの差別だという他ありません。健常児と同様に無料とすべきです。
  市長には今一度、10億円以上の巨大開発の抜本的な見直しをされ、とりわけ弱い立場の市民への支援をされるよう強く求めます。


第11号 介護保険事業特別会計、第71号議案 介護保険条例の一部改正
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  税制改革により、収入が増えたわけではないのに市民税非課税世帯から課税世帯になり、基準額を飛び越えて大幅な介護保険料を支払う世帯は約2万1千世帯以上にもなります。
  市もかなりの大幅な値上げになることに配慮され、2年間の激変緩和措置で段階的に本来の保険料にしていく措置をとられたことは評価しますが、例えば新しい第5段階の方の場合、課税世帯になった上に、1人が年間2万3千円もの介護保険料を新たに負担する事になります。
  当面は緩和措置があるものの、その後は一生高い保険料を払い続けることになります。せめて、限りなく新第4段階の保険料に近づける努力をされることを求めておきます。
  また、虚弱な一人暮らし高齢者の「食」を保障する配食サービスを介護保険事業の中に組み込み、利用者負担を100円増やして市の一般財源を7,500万円ほど浮かせています。これは、お年寄りいじめというしかありません。安心して必要なサービスを提供できる介護保険事業へと見直しをすべきです。
  さらに、4月から要支援や要介護1の高齢者は新予防給付に移行しますが、ケアマネージャーが必要だと判断した介護サービスが従来どおり受けられるように独自の取り組みを求めておきます。


第69号 包括外部監査契約の締結  (目次へ

  専門的な分野から市の財務を監査することは監査機能を強化する上で必要であり、これまでも踏み込んだ分析がされてきました。
  提案されている公認会計士は、今年度の保育所事業監査で、「コストという側面からみれば、市立保育園の民間移管は充分な合理性がある」という意見を述べられていますが、これは財務処理の適正化を監査する包括外部監査の権限を越える意見表明です。
  特に、保育園の民間移管問題は、9割近い保護者から市の方針撤回を求めて要望書が出されています。親とすれば、どんな保育が提供されるかは、わが子の育成にかかわる大問題です。コストだけの側面から監査人が意見を述べるべきではない課題だと考えます。
  来年度の包括外部監査においては、あくまでも財務処理が適正か否かについて専門的な立場からの監査と意見をお願いしておきます。


第61号 広島市景観条例の制定  (目次へ

  最後に、第61号議案、広島市景観条例の制定についてです。第7条では、景観計画の策定手続に関して、景観計画の案に意見を述べることができる人の範囲を当該地域に住む住民と利害関係人と定めているが、景観は一個人だけでなく市民みんなが享受すべき共通の財産です。区域内の土地に所有権・借地権をもつ人だけでなく、周辺の住民を含めて、広く市民が意見を述べることを保障すべきです。その主旨が反映されるような運用を求めます。

  また、今予算議会で日本共産党市会議員団が各委員会審議で取り上げた、世界遺産、原爆ドームとバッファゾーンの景観を守り保護する、高さ制限を含めた条例を早急につくることを強く求めます。
  原爆ドームは、人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を如実に伝えるものであり、時代を越えて核兵器廃絶と世界恒久平和の大切さを訴え続ける、人類共通の平和記念碑として優れた普遍的な意義をもつものとして、1996年に世界遺産に登録されました。この時点から、原爆ドームは人類共通の遺産となりました。
  その平和の遺産と一体不可分のバッファゾーン内で、しかも原爆ドームと目と鼻の先に高層マンションが建つことによって原爆ドームの景観が乱暴に破壊される事態になれば、まさしく世界遺産条約で警告されている「危機遺産」になる可能性があります。だからこそ、広島ユネスコ協会など、世界遺産に関係した心ある人々からの重大な警告の発言が相次いでいるのです。
  秋葉市長が心ある人の警告を無視して手をこまねくならば、原爆ドームが「危機遺産」になりかねず、それは重大な国際問題に発展しかねません。平和都市広島の名において、そのような事態は絶対に避けなければなりません。そのためにも、人類共通の平和遺産を守るために市長名で早急に開発業者に建設中止を申し入れるべきであります。このことを重ねて強く求めるものです。

  国内で世界遺産を持つ京都や奈良では、都市部であっても高さ規制を含めた世界遺産の周辺環境を守る条例を制定しています。遺産登録後10年が経過しても、なお、条例がないのは、広島市に世界遺産として原爆ドームの価値を高める、きちんとした考えがなかったことが原因です。地球上に2番目の原爆ドームができてはいけない訳です。
  負の遺産を「正」の遺産として価値を高めるためには、広島市には特別の努力が必要です。一日も早くバッファゾーン内を景観を守る特別地区に指定し、万が一にも原爆ドームが世界遺産から外される事のないようにすべきです。
  さらに、現在、原爆ドーム周辺の維持管理については、教育委員会、平和推進部、経済局、下水道局、都市計画局などが各局でそれぞれに管理されてきましたが、今後は、世界に平和を発信する被爆地ヒロシマの使命が立派に果たせるよう、「世界遺産担当課」などの組織を明確にし、今以上に専門的に管理する必要があるのではないでしょうか。

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