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(大西オサム)
お疲れ様です。日本共産党の大西です。生活保護世帯の孤独死の問題について質問をいたします。
去年5月の新聞記事ですが、高齢者孤独死が全国で年間68,000人に上ると推計をされて、そのうち8割以上が65歳以上の高齢者であるということが報じられました。
これは警察庁による推計を記事にしたものだというふうにも書いてありました。孤独死の問題は高度経済成長期に、核家族化が進んで、誰にもみとられず亡くなる、いわゆる孤独死、孤立死が話題となって以降、災害や感染症の蔓延などで、数字の上下はあるものの、常に社会問題となってきました。
過去、広島市議会でもいろんな会派の方が、多くの議員の皆さんが取り上げてこられたテーマでもあります。私の住む白島地域で見守り活動、白島では気くばりと呼ばれていますが、その活動に参加されているある若い方は、参加の動機について「孤独死をなくしたいからです。人の尊さを大切にしたいから」というふうに話されています。立派な方だなというふうに思うと同時に、孤独死の問題や人間の尊厳を守るという問題が、世代を超えて市民の大きな関心の一つになっているなというふうに感じました。
またこの間、市内の複数の市民団体が区の福祉事務所と懇談をした話を聞いたんですが、そのときにおっしゃっていたのは、広島市は生活保護世帯の孤独死数を独自に把握していて、これは非常に大事なことだと思うというふうに話していらっしゃいました。
そこで伺うんですが、なぜ広島市では、生活保護世帯の孤独死数の把握に努めてらっしゃるのか教えてください。
(保護自立支援課長)
本市では、ケースワーカーが家庭訪問等で見守りの必要性の端緒を発見した場合、民生委員・児童委員や地域包括支援センター等と連携し、見守り活動や相談支援等を活用することにより、孤独死の防止に取り組んでいるところでございます。
生活保護世帯の孤独死につきましては、社会的な関心の高まりや市民団体からの要望、社会の繋がりが希薄であることから生じやすい孤独死につきまして、その人数や、発見までに要した日数などの状況把握に努めているところでございます。
(大西オサム)
わかりました。では、広島市で生活保護世帯の孤独死を把握される際の孤独死の定義、いろいろ読んでますと、孤独死とはとか孤立死はとか、いろんな定義があるんですが、広島市で把握されてる際の孤独死の定義と把握されている行政区ごとの生活保護世帯の孤独死数を教えてください。また広島市全体の数も教えてください。
(保護自立支援課長)
本市では、孤独死を単身の生活保護受給者が自宅内で誰かに看取られることなく死亡したものと定義をして集計しておりまして、令和5年度の人数を申し上げますと、中区が35人、東区が17人、南区が19人西区が27人、安佐南区が4人、安佐北区が2人、安芸区が4人、佐伯区が5人となっておりまして、市全体の人数は113人となっております。
(大西オサム)
今おっしゃられた中区なんですが、去年の生活保護世帯の孤独死数は35人ということで、その前の一昨年が25人、さらにその前年が19人と、この3年間で中区では増加をしているというふうに聞いています。
そこでお尋ねするんですが、この広島市全体では、この5年間で、生活保護世帯の孤独死者数は、どういうふうに変化しているでしょうか。
また、そういう傾向について、市ではどのように分析をされているのか教えてください。
(保護自立支援課長)
直近5年間の孤独死者数は、令和元年度が104人、令和2年度が120人、令和3年度が98人、令和4年度は90人、令和5年度が113人となっておりまして、生活保護受給世帯数と同様、ほぼ横ばい傾向となっております。
(大西オサム)
令和元年が104、令和2年が120、令和3年は少し減って98、令和4年が90、令和5年が113ということで、横ばいとおっしゃったんだけれども、大体あの90人から120人という波の幅があるということもわかりました。
それでは、生活保護世帯で孤独死をされた方が、どういう経緯で見つかったのか。あの死因などもわかれば教えてください。
(保護自立支援課長)
孤独死された方が見つかった経緯としましては、例えばケースワーカーが訪問や電話連絡をしても応答がないことや、定期通院している医療機関に受診がないとの連絡が医療機関から福祉事務所に入ることがきっかけで発見される場合がございます。
また、その死因につきましては死体検案書を確認しても、発見から日数が経過している場合、ほとんどのケースで不明となっております。
(大西オサム)
わかりました。私もいろんな方からいろいろお話を聞くんですが、私がお聞きした中では、ご近所が、新聞など投函物がたまっていて、気がついて警察に連絡をするだとか、部屋の電気がずっとつけっぱなしになっていたり、あるいはハエや異臭に気づいて、警察に電話して部屋を開けてもらったりだとか、先ほどもありましたようにケースワーカーの訪問などで気づいたりといったケースがあるというふうに聞きました。
それで、これもまた中区なんですが、中区では去年の生活保護世帯の孤独死者数35人のうち、死後2週間以上経って見つかった人は15人と、35人の中では15人というと4割の数に上っていて、死後1ヶ月以上経って見つかった方が35人中9人25%、最長は3ヶ月経過して見つかった人がいるというふうにも聞いています。
さらにその前の年の中区の状況を聞きますと、生活保護世帯の孤独死が25人、そのうち2週間以上経過して見つかった方が11人、1ヶ月以上経って見つかったっていう方が6人と、全体として同じような割合での傾向があるというふうに聞いていて、中区では増えているというお話でした。
そこでお尋ねをするんですが、広島市全体ではどういうふうになってるでしょうか。
去年の生活保護世帯の孤独死数は113人と、市全体ではいうことですが、そのうち死後2週間以上経過して見つかった数を1ヶ月以上経過して見つかった数を教えてください。
(保護自立支援課長)
令和5年度の生活保護世帯の孤独死のうち、死亡から発見までの日数が15日以上30日以下のものは22人、30日以上のものは23人でございます。
(大西オサム)
見つかるまで意外と長い時間がかかっているなということも感じました。孤立をなくして孤独死を早く見つけるというのは、孤独死をされた方の尊厳を守るという点で重要だと思います。
それに関連して、身寄りのない生活保護単身者が賃貸物件で孤独死をした場合の原状回復費用について伺います。
この間市内のある不動産業者の方にお話を聞きました。その方がおっしゃるには、身寄りのない生活保護世帯が賃貸物件で孤独死をした場合、死亡から日数が経っていない物件の原状回復費用はその方の見立てでは30万円から40万円だと。日数が経ち、腐敗が進んだ状態で発見された場合、少なくとも100万円以上の原状回復費用がかかるというお話でした。
負担は家主か不動産業者が持つしかなくて、お話を伺った不動産業者の方は、ご自身が持たざるを得ないこともあったというふうにお話になられてました。
そういうふうになりますと、不動産業者とか家主は、採算が合わないからというふうにリスクを恐れて、高齢者に賃貸物件を貸し渋る、そういうふうな傾向が生まれてきます。
その不動産業者の方のお話では、あの高額な付帯費用、高額な見積もり、見守り代だとか共益費などを条件に賃貸をされるケースもあって、一般的に高齢者が非常に今、賃貸物件を借りにくくなっている状況があるというようなお話でした。
先日は、孤独死をされた生活保護世帯の部屋の後片付けをされている方、お亡くなりになっている方の知人だという方なんですが、お話を伺ったんですが、人手はもちろんなんですが、出たゴミの処理費用、あるいはゴミの保管、運搬のためのトラックのレンタル代、ガソリン代など全てその知人の方の手弁当で持ち出しで取り組んでおられるというお話でした。
その方は生活保護世帯に行政が関わるのは、あくまで生きているときだけで、亡くなってからは関わりがなくなるから、市からは何も出ないと。せめて実費だけでも負担してもらえないだろうかというふうにもおっしゃっていました。
本当に頭が下がる思いだったんですが、いつまでもそういった市民の善意に甘えてはいられない問題だなとも思いました。
そこでおたずねをするんですが、そういった生活保護受給者が孤独死をされた後の原状回復費用については、市で負担できないのかと思うんですが、市の認識はいかがでしょうか。
(保護自立支援課長)
孤独死した後の現状回復費用につきましては、家主から福祉事務所に相談が寄せられることも多く、生活保護受給者の居住先の円滑な確保といった観点からもその対応策が必要であると認識をしています。
このため、住宅の原状回復費用につきましては、平成30年7月に、広島県宅地建物取引業協会などの不動産関係団体、居住支援法人、福祉関係団体および本市の福祉部局、住宅部局の関係課等により設置をされました「広島市居住支援協議会」が作成しています高齢者等の住宅確保要配慮者の入居に役立つ情報を集めたパンフレットの中で、孤独死対応保険等を紹介し、会員である不動産関係団体を通じて、家主等に周知を図っているところでございます。
また、国に対しましても、孤独死等による原状回復費用を補償するための保険料を生活保護費として生活保護受給者に受給可能とするように要望するところでございます。
(大西オサム)
ぜひこういった現状も踏まえて検討を進めていただければというふうに思います。異常を早く見つけるという点で、地域の人たちによる見守り活動とか、それから地域のネットワークそれから通報体制作り、これは極めて重要だと思います。
ただ、それだけでは限界を感じます。この問題を貧困の角度から捉えて、社会保障制度をしっかりと機能させて、誰もが人間らしく暮らせるように、尊厳が守られるように、国や県とも協力しつつ、主体として独自の手立てをとることが必要だというふうに思います。
生活保護世帯の孤独死を減らす、早期に発見する、なくしていくために、全体としての対応はいろいろあると思うんですが、私は今すぐできることとして、先ほども並川議員からもありましたが、一つはやっぱりケースワーカーの数を増やすこと、経験のあるケースワーカーを養成して、経験者の比率を上げて、全体としての経験値を上げること。これはやっぱり異常をつかむっていう点では非常に重要だ、急がれることだというふうに思います。
中区では、ケースワーカーの数が今50人、1人当たりの持ち世帯数が87.5世帯というふうに聞いていますが、社会福祉法で定められている都市部80世帯に1人のケースワーカーがそういう標準は満たしておりません。
そこでお尋ねするんですが、広島市全体で見たときに、都市部ではない部分も地域に含まれますから凹凸はいろいろとあろうかと思うんですが、広島市全体では、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数はどうなっているでしょうか。
また、なぜ社会福祉法で定められている標準を満たしていないのかということもあわせて教えてください。
(保護自立支援課長)
本市のケースワーカー1人当たりの担当世帯数は、令和6年度当初で平均88.5世帯です。
ケースワーカーの配置数につきましては、被保護世帯80世帯につき1人を標準とし、地方自治体が各地域の実情等を勘案して定めることとされていることから、本市では高齢者や母子等の世帯種別によるケースワーカーの業務負担に応じた人員配置をしています。
その結果、それぞれのケースワーカーが担当する地区の世帯種別の割合によっては80世帯を上回ったり、逆に下回る場合が生じているものでございます。
(大西オサム)
ケースワーカーは生活保護世帯の非常に複雑でいろんな問題に向き合うなど、常に不安、緊張、そういったものを抱えながら業務に当たられているというふうに思います。
時として複数以上での対応が必要な場合もあると思いますし、何よりあの経験がものを言う面も少なからずあるというふうに思います。
しかしながら、これも例えば中区では、経験年数が3年未満のケースワーカーが50人中39人と約8割であること、また経験年数が1年未満のケースワーカーは、中区50人中16人、全体の3割だというふうに聞いています。
広島市全体で、ケースワーカーの経験年数、これはどうなっているのか教えてください。
(保護自立支援課長)
令和6年4月1日時点で本市のケースワーカーのうち、経験年数が1年未満の職員は55人、1年以上3年未満の職員は111人、3年以上5年未満の職員は20人、5年以上の職員は19人でございまして、平均で2.0年となっております。
(大西オサム)
大体平均で2年というと、なかなかやっぱり厳しい面があるっていうふうにも思います。ぜひケースワーカーを増やすことと、研修制度の更なる充実などで、ケースワーカーの皆さんが働きがいを持って、少しでも長く生活保護世帯と伴走できるようなそういった状況を作って、全体の経験値が上がるような取り組みを期待をしております。
孤独死の問題と関連してもう一つうかがいたいのは、生活保護世帯のエアコンの設置についてです。
市では、生活保護世帯に対して、保護開始時に新しく設置はするが、既に生活保護を受けている人や、壊れたエアコンのつけ替え修理はしないというふうに聞いています。
去年9月の中村議員の一般質問の際の答弁では、広島市でエアコンが設置されていない生活保護世帯は、生活保護世帯比約1.9%356世帯ということでした。これもちょっと中区の話は申し訳ないんですが、中区ですが、生活保護利用者のうち、エアコン未設置世帯は、一昨年は69世帯だったのに、去年は80世帯と未設置世帯が1年間で11世帯増えたというふうに聞いています。
そこで伺うんですが、広島市全体の生活保護利用者のうち、エアコン未設置の世帯数の変化を教えてください。
(保護自立支援課長)
本市の生活保護世帯のうち、エアコンが未設置の世帯数は令和4年度は381世帯、令和6年度は356世帯でございまして、25世帯減少しております。
(大西オサム)
広島市全体では生活保護利用者のエアコン未設置が減っているというお話でしたが、ではなぜ中区では未設置が増えてるんでしょうか。
(保護自立支援課長)
中区のエアコン未設置世帯では、必要性がないことを理由とする世帯が、令和4年度は16世帯のところ令和6年度は54世帯と、過去に比べて大きく増えています。
この理由については過去に確認したところ、必要ないとされた世帯の中には、近隣に多くある公共施設や商業施設で暑さをしのぐという方も一定数あるとのことでございました。
(大西オサム)
必要性がないというお答えだったということなんですが、広島市のホームページでは、熱中症予防のために室内では冷房などの空調設備を利用しようということを呼びかけています。
また、ご存知のように、この数年はテレビでも、エアコンをためらわずに使って熱中症から身を守ってくださいというアナウンスが繰り返し行われています。
生活保護受給市民の命と健康を守るために、広島市でも生活保護世帯へのエアコン設置補助事業、これを創設すること、市として独自に夏の手当を創設して支給すること、これは改めて求めたいんですが市の認識はいかがでしょうか。
(保護自立支援課長)
生活保護制度は法定受託事務として、国が定めた法令や通知等に基づき運用することとされておりまして、エアコン等の各重機類は、保護費のやりくりによって計画的に購入することが原則とされています。
一方で、一定の要件を満たす場合には、臨時的経費として購入費を支給できることとされている他、やりくりによる購入が困難な場合には、社会福祉協議会の社会福祉資金貸付を活用して購入する制度もございます。
こうした生活保護制度の趣旨や補完する制度が設けられていることから、本市独自でエアコン設置補助事業を創設することは考えておりません。
また、国は、一般低所得世帯の消費実態との均衡が、季節による一時的な需要を含めて、適切に図られているかを定期的に検証した上で、生活保護の生活扶助基準に反映することとしていることから、本市独自に季節に応じた加算措置を創設することは考えていません。
(大西オサム)
生活保護世帯に限らず、一般的に高齢者はいくら暑くてもエアコンを使いたがらないもんだというふうに私感じることがよくあります。
私も近隣のにお住まいの方もそうですし、やっぱり今の物価高騰の中で、少しでも出費を抑えたいと自分の身が大丈夫だっていうふうに感じる中で、何としてもそういった出費を抑えたいというふうにお感じになる方っていうのは生活保護世帯に限らず、一般的な感情じゃないかなというふうに思います。
帝京大学医学部附属病院の高度救命救急センター長の三宅泰史医師は、「NHKの番組で、高齢になると暑さを感じにくくなり、基礎代謝も落ちるので、若い人と比べて寒がりになります。
そのためにエアコンをつけるのを嫌がる人が多いんだと思います。また、去年は大丈夫だったから今年も大丈夫と考えている人も多いんじゃないかと思います。確かに冷えすぎると膝が痛くなったり、部屋が乾燥して喉が痛くなったりすることはあります。
ただ、適切な温度湿度にて設定すれば、それほどの影響はないと思います。昔のエアコンは細かい温度調整が難しくて、冷えすぎたりといったこともあったと思うので、その頃の感覚が残っているのかもしれません。」ということをNHKの番組で語られています。
どうしてもやっぱり、そういった体感的な経験的なことと電気代のことを考えて設置を希望することができなかったっていう人もいるんじゃないかなというふうに思います。
命が奪われてからでは遅いですし、やはりきめ細やかな声かけ、様子をつかむことで、エアコンの設置を広げて、命を守っていただきたいということを申し上げたいと思います。
地域の取り組み、ケースワーカーの充実、クーラーの設置など、いわば合わせ技で、少しでも早く異常をつかんで、また最悪の事態のもとでも早期に発見をして、人の命の尊厳、その方の尊厳が尊重される広島をということをお願いをして質問を終わります。