議会での質問・答弁

2025年03月14日

2025年第1回 2月定例会・予算特別委員会 総務関係 中村たかえ

1.ジェンダー平等社会の推進について

(中村たかえ)
 お疲れ様です。日本共産党の中村たかえです。広島市は、今策定中の次期「世界に誇れるまち広島創生総合戦略の重点プロジェクト地域創造のまちづくり」の中で、多様な人材が人間らしく働けるまち、学生若者に優しいまち女性が生き生き活躍できるジェンダー平等なまち、子育てをみんなで応援するまち、と掲げられています。若者や女性が住みやすい広島市に向けて様々な施策を準備しておられるところです。
 このプロジェクトの成功を考えたときに、特に重要だと言えるジェンダー平等社会の推進をテーマに質問していきたいと思います。
 ジェンダー平等社会の実現には、固定的な性別役割分担意識を背景にした意思決定機関の女性比率の低さや、男女の賃金格差を正さなければならないなど、課題はたくさんあります。
 日本は政治や経済の分野で女性の比率が低すぎて、ジェンダーギャップ指数は世界146カ国中118位です。
 先週の土曜日、3月8日は国際女性デーでした。その日の中国新聞の記事には、都道府県版のジェンダーギャップ指数が紹介されていました。
 その記事によると、広島は教育分野では全国4位と上位だった一方、経済は28位と振るわず、政治19位、行政15位、4年連続で人口の転出超過が全国最多となる中、転出超過数は女性が男性を上回るとありました。
 こうした実態に対し、どんなアプローチをするのか、その知恵の出しどころだと思います。
 今回はその中でもセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点からお聞きしていきたいと思います。
 広島市は男女共同参画推進センター、通称ゆいぽーとで行っている何でも相談において、必要だという人がいれば生理用品を提供されています。
 そこでお聞きしますが、今年度のゆいぽーとでの女性の何でも相談の件数と内訳、そして生理用品の提供数を教えてください。

(男女共同参画課長)
 広島市男女共同参画推進センターゆいぽーとの「女性のための何でも相談」の相談件数は、令和6年度は2月末時点で2950件です。
 その内訳は、心の問題が約3割、家族・親族の問題が約2割、人間関係が約1割となっています。
 ゆいぽーとの「女性のための何でも相談」では、生理用品の提供とあわせて、様々な困難な問題を抱える女性からの相談を受け、適切な支援に迅速に結びつける取り組みを行っています。
 生理用品の提供数は、令和6年度は2月末時点で16人に対し合計66パックです。

(中村たかえ)
 2月末までの時点で、令和6年度は2950件相談があり、同じく2月末までで16人に66パック生理用品の提供も相談とセットでされているということで、やっぱり無条件で生理用品の提供もするべきだと思いますが、先ほど内訳の紹介をされた心の問題や人間関係、家族の問題、本当にこのゆいぽーとの「何でも相談」が支えになってる方もいらっしゃると思います。
 なので、この何でも相談の取り組み自体は、大変重要だと思います。
 ゆいぽーとの公式インスタグラムでも、何でも相談と併せ、生理用品必要な人は申し出てくださいっていう告知がされています。なのでこの相談自体は、そして生理用品の提供をゆいぽーとでやってるっていうこと自体は、引き続き周知の努力をしていただきたいと思います。
 ただそれと同時に、やっぱりゆいポートを中区の大手町の地域なので、安佐北区、安佐南区、新市域の困っている女性たちが、ゆいぽーとに足を運ぶのはなかなかハードルがあるんだと思います。
 やっぱりこの生理用品の提供、市役所や区役所など身近な場所でも必要だと思いますが、その辺どうでしょうか。

(男女共同参画課長)
 本市では、第3次広島市男女共同参画基本計画において、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の浸透を基本政策の一つに掲げ、全ての人がこの権利に関心を持ち、正しい知識を得て、認識を深めるための取り組みを行い、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すこととしており、生理に関する問題についても、こうした視点で取り組んでいます。
 本市としては、生理に関する問題の現状を踏まえた女性に対する取り組みとしての優先度や有効性の等の観点から、まずは生理に関する社会全体の理解を深めるための効果的な啓発に注力していきたいと考えています。

(中村たかえ)
 昨年も同じように公的施設で生理用品を提供できないのかとお伺いしたときにも、同じように優先度の問題なんだということをおっしゃられました。
 今、国際社会はあらゆる分野で計画、法律、政策、計画をする段階で、ジェンダー視点で捉え直そう、全ての人の人権を支える仕組みを根底から作り直そうっていうジェンダー主流化が当たり前となりつつあります。
 やっぱり国際平和文化都市を標榜する広島市も、さらにジェンダー感覚を研ぎ澄ます必要があるんだと思います。
 あらゆる分野でジェンダー視点を貫く際に、先ほども紹介された広島市での取り組み、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、本当に女性も男性もお互いの健康について理解を深めるっていう、その視点は十分理解できます。
 その点で、市として今セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点で、どんな、具体的に取り組みは何をされてるんでしょうか。

(男女共同参画課長)
 市民局では、指定管理者の事業としてゆいぽーとにおいて、女性特有の健康課題について関心を持ち、正しい知識を得て、認識を深めるため、妊娠や不妊、ホルモンバランスなどをテーマとしたセミナーを開催しています。
 本年度については、生理や更年期障害など女性特有の健康課題について、特に男性の理解を深めることを目的に、ワークショップ形式で生理講座を実施し、当日は男女合わせて17名の参加がありました。
 男性参加者からは、「生理痛などの痛みを抱えながら仕事をしている女性の大変さがわかった」「これからはできることがあればフォローしていきたい」「生理中の子育ては大変だと思った」「どうサポートすれば良いのか話し合ってみたい」といった感想があるなど、十分な啓発効果があったものと考えています。
 本年度は、さらに新たな取り組みとして、生理をテーマにした啓発番号を作成し、本市ホームページや今年度新たに開設した男女共同参画課公式インスタグラムなどで発信した他、職場環境の整備に向けた事業者向けセミナーにおいて、生理休暇の取得促進に関する事例を紹介するなど、生理に関する理解促進に向けた取り組みと、事業者等への働きかけを行いました。
 なお、計画期間が令和7年度で終了する第3次広島市男女共同参画基本計画の改定に向けて、本年1月に市民アンケートを実施しており、この中で、女性特有の健康課題に対して必要と思う取り組みや、生理に関する理解の促進のために必要と思う取り組みについても聞いています。
 アンケートについては、現在結果の取りまとめを行っており、今後はこうした市民アンケート結果も参考にしながら、性と生殖に関する健康と権利の浸透に向けた効果的な取り組みを行っていきたいと考えています。

(中村たかえ)
 男女共同参画課も公式のインスタグラムを開設されたということで、私もインスタフォローさせていただいています。ただ、まだ始めたばっかりで、フォロワー数がもうちょっと必要だと思うので、ぜひ市議会の皆さんもインスタをされている方は、男女共同参画課の公式アカウントをフォローしていただいて、市民の皆さんにシェアしていただきたいなっていうことを思っています。
 私もっとシンプルに生理用品提供するべきだっていうことは思っていますが、こうした広島市も今回、市民アンケートの中で整理についての市民の意識調査をされている、こうしたジェンダー平等に向けた取り組みを進めているっていうことは本当に大事だなと思っているところです。
 先ほど紹介された、ゆいぽーとでの男性のための生理講座、私も見学をさせていただきました。女性でも生理痛など体への負担の出方は違うため、大変勉強になる内容でした。
 参加された男性の中には、職場で管理職、労務管理に携わる方で福祉職場の責任者の方もいて、人材育成の視点も持ちながら、女性も男性も働きやすい環境作りを進めたいっていうような話もあったかと思います。
 今広島市は、男だから女だからという固定的な見方でなく、職員一人ひとりの能力を発揮してもらうために、これまでないことにされてきた多様な人々の存在を念頭に置きながら、職員の育成や行政運営をされていると思います。
 実際に広島市は女性職員の幹部登用は計画的に行われていて、第3次広島市男女共同参画基本計画の目標実現へも着実に近づいていると思います。
 一方一足飛びに、だからといって局長部長級に女性が増えるっていうのも現実じゃないのも事実です。そうしたときに、やっぱり幹部職員の皆さん、局長や部長も含めて、ジェンダーや多様性を含めた現在の社会情勢に応じた研修が必要なんじゃないかなってことを思っています。
 昨年ゆいぽーとで行われた広島大学ダイバーシティ担当副学長の石田洋子先生の講座の中で、「多様な人がいるからこそ、まずは強固なジェンダーバイアスに気づくことが必要だ」という指摘がされました。
 ジェンダー平等っていうのは、女性を優遇する、男性を退けるということでは全くない。そのことを強調された講座だったなと思います。
 やっぱこれまでの価値観を振り返り、どういう性別であっても、個人の尊厳を大切にされるその社会の実現に、今の社会構造を問い直し、より良くしていくこと、それがジェンダー平等社会の実現に近づくんじゃないかなと私も学ばせていただきました。
 そこで二つほど教えていただきたいんですが、この生理の理解を社会全体で深めるということですが、やっぱり大変お忙しい市の職員の皆さんだとは重々承知の上で、やっぱり市の職員さんも生理を含めたジェンダー研修、年に1回定期的にっていうのは、必要なんじゃないかなと思います。
 日々多忙な皆さんなので、年に1回公務員倫理研修やられているということで、一部の時間でもジェンダー研修が盛り込めないだろうかと思うんですが、市の見解はいかがでしょうか。

(男女共同参画課長)
 本市職員に対するジェンダー平等に関する研修については、人権問題やダイバーシティに関する科目の中で、新規採用職員研修から始まり、中堅職員、新任係長級、新任課長補佐級、新任課長級の各階層における職員研修において1回ずつ実施しており、全職員が必ず受講し、ジェンダー平等の意識づけをすることとしています。
 特別に生理や性と生殖に関する健康と権利に限定した研修は実施しておりませんが、引き続き階層別研修の中でジェンダー平等の意識づけをしていきたいと考えています。

(研修センター所長)
 本市の公務員倫理研修につきましては、職員の倫理観の向上と服務規律の確保を図り、多様な市民の市政に対する信頼を高めることを目的に実施しております。
 具体的には、公務員倫理、服務規律、ハラスメントなどの科目を設け、毎年度、全職員を対象に実施しております。
 職員の綱紀粛正や服務規律の徹底を図るとともに、性別に関する固定観念や役割意識に基づく言動によるジェンダーハラスメント等についての意識啓発や注意喚起を図っております。
 委員ご提案の研修は、こうした研修とは本来目的の異なるものであることから、公務員倫理研修においては、実施することは考えておりません。

(中村たかえ)
 ジェンダー平等や多様性といった場合は、どうしても一つの課に集中しがちですが、これは本当にいろんな持続可能な社会を作る土台で、ジェンダー平等は欠かすことができない要素です。全庁で課題として取り組む必要があると思います。
 お忙しいのも承知していますが、念のため教えていただきたいのが、局長部長級の皆さんが、ジェンダーや多様性も含めた研修を行うっていうのは、市の見解としてどうでしょうか。

(男女共同参画課長)
 本市職員に対するジェンダー平等や多様性に関する研修は、全職員が必ず受講する階層別研修の中で、その職位に応じた対応となるよう工夫しながら実施しているところです。
 こうした一貫性を持った研修を繰り返し実施することで、全職員に意識づけができるものと考えており、引き続き、階層別研修の中でジェンダー平等や多様性の研修を行っていきたいと考えています。

(中村たかえ)
 なかなか研修、ぜひやっていただきたいなと思うんですが、最後に、アメリカ連邦最高裁判所を務めたルース・ベイダー・ギンズバーグさんが引用して有名になった、19世紀の反奴隷活動家であり、女性参政権活動家のサラ・ムーア・グリムケさんの言葉を紹介して終わりたいと思います。
 「私たちを踏みつけているその足をどけてほしい」社会構造に対して鋭く切り込んだこの言葉に込められた意味を深く理解できるように、国際平和文化都市を標榜する広島市の職員の皆さんには引き続きジェンダー感覚をブラッシュアップし続けることを期待し、質問とします。

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