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1. 学校トイレへの生理用品の設置について
2.「こども誰でも通園制度」について
(中村たかえ)
お疲れ様です。日本共産党の中村たかえです。今日は子どもののびのび生きる権利、豊かに育つ権利の視点で二つのテーマでお聞きしていきたいと思います。
一つ目のテーマは、学校トイレへの生理用品の設置についてです。
コロナパンデミックの頃に生理用品が買えずに困難を抱えている女性がいるっていうところにスポットが当たって、生理の貧困の解決に国も予算をつけてきました。
今回継続的に内閣府男女共同参画局が調査を行っておられて、2024年の調査によると、提供方法は様々あるけれども、広島県は生理用品の提供している市町が75%だということだそうです。
その調査報告によると、学校のトイレに生理用品を設置しているのは竹原市と府中市。福山市は学校によってはトイレに生理用品を設置しているとのことです。
他には学校の保健室で生理用品のパックを必要だと意思表示をした生徒に渡す自治体もあります。
必要だという生徒に手渡しで渡すっていうことも当然大事です。ただ今回は、トイレに生理用品を設置することが重要だっていうことに絞って、いくつかお聞きしたいと思います。
生理の貧困は経済的な困難としてだけでなく、生理についての知識や情報の不足、児童虐待や経済的DVなど、深刻な問題が背景にあることが指摘されています。
同時に今、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点、つまり、女性の生涯の心身の健康の視点からも、トイレへの生理用品の設置が進みつつあります。
しかし、広島市は公共施設でも学校トイレでも、生理用品の設置はまだされていません。改めて学校トイレに生理用品を置けない理由をお答えください。
(学校安全対策担当課長)
学校においては、児童生徒が生理用品を必要とする場合、保健室で受け取るよう周知しており、養護教諭等が生理用品を渡す際には、児童生徒の家庭状況等の把握に努め、経済的な貧困状況があれば、生活支援や福祉制度につなげるなどの対応を行っています。
こういった場面は、教職員が児童生徒の状況を把握する有効な機会となり得ることから、現時点では児童生徒のプライバシーに十分配慮しつつ、こうした対応を継続していきたいと考えています。
(中村たかえ)
生理用品を保健室に受け取りに来てもらって、生徒の困難な状況も把握したいっていうことなんですが、ちょっと聞いてみるんですけど生理のない男子生徒の場合はどういうふうに対応されるんでしょうか。
(学校安全対策担当課長)
学校においては性別に関わらず、健康観察や休憩時間等を含む学校生活全般における日常的な観察等により、生徒の様子を積極的に把握するように努めているところです。
また各学校の養護教諭は、身体的不調等を訴えて保健室を利用する児童生徒の背景に、貧困などの問題が関わっていることも想定して対応しており、必要に応じて関係機関と連携して、学校全体できめ細かな対応を行うよう努めているところです。
(中村たかえ)
本年1月なんですけど、朝日新聞が学校の生理用品の設置状況についての記事を配信されました。
その中で市教委への取材もされています。広島市内の小・中学校のトイレに生理用品を置かない理由を問われて、学校数が、広島市はもちろん人口も多いので約200校と多く、全てのトイレに置くための予算確保が難しいって答えられてました。
先ほど保健室に来てもらうという理由は述べられました。でも改めてちょっと確認でお聞きしたいんですが、今自治体によってはトイレの個室に生理用品を設置するっていうだけじゃなくって、手洗い場に生理用品を設置したりっていう様々な工夫もされています。
市教委はこうしたトイレに生理用品を置くって言った場合に、どういう置き方を想定されてるんでしょうか。
(学校安全対策担当課長)
委員ご指摘の新聞報道に関しては、本市の市立学校約200校の全てのトイレに生理用品を設置することとなると、相当の予算の確保が必要であるという意味でお答えしたものであり、トイレへの生理用品の仕方については具体的に想定ではございません。
(中村たかえ)
そうであるならば、やっぱり何らかの方法で空き箱、何かの箱におくだとか、簡易的なディスポーザーを作っておかれている自治体もあるようです。そういったところも参考にしていただきたいなと思います。
トイレに生理用品を置くっていうのが何で大事かっていうと、とりわけ児童生徒の場合、生理が始まったばっかり、もしくは10代の頃っていうのは、生理の周期が不安定なため、急な生理の開始だったり、普段よりも経血の量が多いってこともあって、急に戸惑うことも想定されます。
そういうときにやっぱり学校のトイレに生理用品が設置されている、保健室で取りに行ってもいいんですけど、トイレにあるっていうのがどれだけ生徒にとって安心感を与えるかっていうことだと思うんです。
生理現象であるにもかかわらず、生理用品はトイレにはない。でもトイレットペーパーは当然あります。なんで生理用品だけ保健室に取りにばならないのか。その根拠をちょっとお答えいただければ。
(学校安全対策担当課長)
先ほど答弁しました通り、保健室に返却不要の生理用品を備え、児童生徒に手渡しする機会をとらえて、各家庭環境などに対する困りごとの聞き取りを行うことで児童生徒に寄り添った対応をしていきたいと考えていることから、保健室で手渡しすることとしています。
(中村たかえ)
保健室で養護教諭の先生が生徒の実態を把握するっていうのも当然重要だし、大事なお仕事だなと思っています。
が、限られた休憩時間にトイレに行ったときに、保健室に駆け込むことができるだろうかっていうことなんです。
経血っていうのは自分の意思に関わらず排出されます。そのため衣服を汚してしまう不安が女性には付きまとってしまいます。経血で衣服を汚してしまった場合、思春期の生徒は大変な心理的負担になるんじゃないかなって思うんですよね。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点で見ると、女性の生涯の健康に密接な関係がある生理をネガティブなものとして捉えることになってしまうんじゃないかなって思うんです。
先ほども保健室で話を状況をつかみたいっていうふうにおっしゃられたんですけど、本当に保健室で生理痛でしんどいんだっていうのがどれだけの生徒が言えてるかっていうことだと思います。
府中市の教育委員会の担当課長さんがNHKの取材に対してこんなこと答えられてたんです。
まずは子どもたちが安心して過ごせる学校作りによって、いざというときにSOSを発信しやすい環境につなげていきたいと考えている。さらに他人の体調のことを考えたり、配慮できたりするような態度の育成もしていきたいってことを述べられて、さらに大事な点なんですけど、以前はお腹が痛いと言って保健室に来ていた女子生徒が、生理痛なんだとはっきり言えるようになったっていうことが経験として語られています。
生理痛は人によって痛みの感じ方が違うだけではなく、痛みの出方自体違います。まだ生理のタブー感があるので、生理であるっていうのは言いづらく、痛みもそもそも我慢しがちです。ただあの思春期の生理痛には、子宮内膜症など女性特有の疾患が隠れていることもあります。
もちろん保健室で生徒の顔を見ながら、体調大丈夫かなっていうふうに思う先生のことも大事なんですけど、もう一歩、やっぱり重要なことがあるんじゃないかなと思います。そもそもやっぱりトイレに生理用品を置いて、その入れ物、生理用品が入った入れ物に対して生理のことなどで困っていることがあれば、先生に相談に来てほしい。一緒に考えようっていう、そういうメッセージを記す必要があるんじゃないかなと思います。
府中市はそういう取り組みをされて、以前に比べて生理痛などを打ち明ける生徒が増えたっていう報告がされていました。
少し改めてになるんですけど、2023年9月の一般質問で私は生理の貧困対策のところで、学校に相談先のメッセージとともに生理用品の設置をしてはどうかとお聞きをしました。
その際の教育長の答弁は、気軽に相談ができる機関や窓口の周知のあり方だの提案だと受け止めた。既にいろいろやって、いろいろなことをやっているつもりだが、今後どういったことができるか検証してみたいっていうような答弁がありました。
改めてお聞きするんですけど、気軽に相談ができる機関や窓口の周知のあり方っていうのなら、生理用品とセットで相談先を周知する、いつでも保健室に来てほしいっていうメッセージを生理用品とともに届けることも効果的だと思いますが、市教委はどう考えておられるでしょうか。
(学校安全対策担当課長)
各学校においては保健室で生理用品を手渡すために、本人が抱える不安や悩みに応じて、適切な相談窓口の紹介を併せて行っているところです。
また、年度初めの学級指導の際や、全校保護者に配布する保健だより等を活用して、児童生徒およびその保護者に対して、保健室は学校保健センター的役割を担っていることや、児童生徒がいつでも相談できる場所であることを周知しているところです。
(中村たかえ)
保健室で生徒の顔を見ながら状況をつかむこと、そのときに経済的状況も把握しながら、生理用品をまとまって渡すっていうのも大変重要な支援だと思いますが、それと並行して、急に生理が始まったので困る女子生徒に対して、トイレに生理用品があるっていうのは、生徒の学校の安心にもつながるんじゃないかなと思います。
広島大学大学院の教授は、朝日新聞の取材に、こんなふうに答えられてたんです。保健室にだけ置くのは、子どもたちへの支援という福祉的な考えに基づくものだが、トイレに置くのは心身への配慮を重んじたからだろう。その双方に目配りした府中市の中学校のような工夫を各校で考える必要があるっていうふうにおっしゃられてました。
保健室の先生が福祉の視点で生徒に向き合うのも大変重要ですが、子どもの尊厳も大切にするにはどうしたらいいかという視点も必要だと思います。
やっぱり学校がそういう配慮をしているかどうかっていうのが、生徒が安心できる環境にもつながるんじゃないかなと思います。
NHKの取材によると、男子生徒も実はトイレに生理用品が設置されて変化があったっていう府中市の例を紹介してました。生理を特別なもの、よくわからないものではなく、生理現象の一つ、生理用品は眼鏡と同じぐらい必要なものっていう認識を深めたっていうことなんだそうです。
ちょっと聞いてみるんですけど、生徒に対して、生理について困ったことなどを聞くような調査って言うのはしたことがあるんでしょうか。
(学校安全対策担当課長)
児童生徒の困りごとや悩みことに関しては日常的な健康観察や学校全般の観察等に加え、定期的な教育相談などを通して、幅広く把握するよう努めていることから、生理で困ったことについて特化した調査をしたことはございません。
(中村たかえ)
ぜひここも子どもの声を聞くっていう視点が必要なんじゃないかなと思います。
府中市は県内の中でも先進的な取り組みをされてますが、府中市も実は最初はお試しで生理用品を限られたところで設置してアンケートをとり、生徒の必要だっていう声があったことから事業をスタートされています。
広島市も、まずは試行的にやってみてはどうかなと思うんですけど、そして生徒の声を聞いてみるっていうような取り組みをやってみたらどうかなと思うんですが、お考えをお聞かせください。
(学校安全対策担当課長)
繰り返しになりますが、本市としては現時点では保健室に返却不要の生理用品を備え、児童生徒に手渡しする機会をとらえて、家庭環境などに対する困りごとの聞き取りを行うことで、児童生徒に寄り添った対応をしていきたいと考えています。
(中村たかえ)
子どもにとって最善は何かっていうことと同時に、子どものときから女性の生涯の健康を大切にする視点や、違いがある他者への理解を深める視点が大切なんじゃないかなって思うんです。
子どもの権利条約やこども基本法でうたわれている、子どもの意見を言う権利、聞いてもらえる権利をこの学校での生理の貧困対策にもぜひ反映していただきたいなと。どういう取り組みがいいか子どもに意見を聞いてみる、そんな発想をする教育行政を望みます。
(中村たかえ)
次に二つ目のテーマです。乳児等通園支援事業、いわゆるこども誰でも通園制度についてです。
この制度はこども未来戦略で大きく打ち出されました。この間、少子化の背景について様々な要因分析がされています。
その一つに、子育ての孤立感や負担感が挙げられています。こうした子育て世帯の困難は、1990年頃からスポットが当たって、2000年代から子育ての孤独感や不安感の解決に向けた国の児童環境作り整備事業などが進められてきました。しかし少子化には歯止めがかかっていません。
そうしたもとで2023年に岸田政権が鳴り物入りで、こども未来戦略方針を発表されました。その中の目玉の一つがこのこども誰でも通園制度です。
令和6年度に試行的事業が始まり、令和7年度は条例の改正も経てこの広島市でも本格実施に向けた取り組みが進められています。
改めてお聞きしますが、令和8年度から始まる本格実施っていうのはどういうもので、今行っている試行的事業と何が違うのか教えてください。
(幼保連携推進担当課長)
こども誰でも通園制度は、令和8年度から全国の市町村で実施され、保護者は住所地以外の市町村での利用も可能となる予定です。
一方、試行的事業は、希望する市町村がその区域内の住民を対象に、区域内の施設において実施しているものとなります。
(中村たかえ)
まず今年度までは広島市在住の保護者のみが利用できるけれども、来年度からは、広島市じゃないところに住む保護者というか乳児も利用できるっていうことでいいんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
先ほど委員が来年度からとおっしゃいましたけれども、令和8年度からということになります。それ以外の認識はおっしゃった通りだと思います。
(中村たかえ)
そうでした。来年度はまだ本格実施に向けた取り組みで、来年度令和7年度は広島市のお子さんは保護者が対象で、令和8年度からは広島市に居住がない人も利用が可能だっていうことで、そこでなんですが、この広域利用が可能になるっていうことで、先日の議案質疑でもお聞きしたんですけれども、やっぱりこの令和8年度から始まる本格実施は、契約自体はこの広島市に住んでいない保護者と広島市の事業者でも結ぶことも可能だっていうことだと思うんです。実施責任は、さらにその事業者だっていうことだと思うんです。
鹿児島大学の伊藤周平教授がこの制度について次のような指摘をされました。契約は保護者と事業者であり、実施責任は施設側にあると。行政は、乳幼児が給付対象かどうか判断する。利用があった場合は、事業者に対する報酬の支払いっていう業務になり、行政の責任や関与が弱くなるんじゃないかっていう指摘をされてるんです。
国の基準に基づくとこうした懸念があるんですが、市は万が一事故などが起こったら、状況を確認し、必要に応じて指導助言をすると先日の議案質疑でも答弁がありました。
ちょっと確認なんですけど、この教授の指摘のような懸念、基本的には市は利用ができるかどうかの条件の確認や給付に関わる業務が主になるっていう認識でいいんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
本市は、実施事業者に対する補助金の支出でありますとか、利用者の利用条件の確認の他、補助金の給付に関わる業務を行うとともに、実施事業者の認可権者として、事故が起こらないよう実地監査等の際に保育の現場の状況を確認しまして、必要に応じて助言等を行うなど実施事業者に対する指導監督を行っていくということになります。
(中村たかえ)
なので広島市はもちろん利用の要件の確認もしますし、事業者に給付に関わる業務を行うけれども、その事業者への指導責任ももちろん持っているっていうことでした。
本格実施に向けて、先日の議会でもあった条例改正も、市として公的責任の担保として、国の方針よりも安全に子どもの安全に配慮した条例にしたんだっていう答弁もありました。
それは結局、国の基準で誰でも通園制度をやると、子どもの安全が守れないっていうことの表れなんじゃないかと思いました。この国の示した基準について市はどうお考えでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
国は全国共通の基準に、地域の実情に応じて独自に上乗せが可能であるとしており、本市としましては、子どもの安全確保とその育ちを支えるという観点から、全ての従事者が保育士資格を有することを求めるなどの基準の上乗せを行うことが適切であると考えています。
国の基準は、学識経験者や保育園の運営事業者、市町村の職員などを構成員とする検討会における議論を踏まえ、全国の市町村で事業を実施する際の最低基準として定められたものと認識しています。
(中村たかえ)
ちょっと私はもちろん検討会も繰り返し行われて、この基準が議論されたっていうのも資料でも読みました。
ただ、国は、保育士の資格がなくても、半分は研修を受けた子育て支援員などでも良いとされています。
また企業の参入も見越して、条件を満たせば企業も指定できるようになっています。
やっぱりそれは低い基準が持ち込まれるんじゃないか、保育の質が担保できないんじゃないかっていうその疑念が拭えません。広島市はこうした懸念に対してどんな対応をされるんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
本市では本事業の認可においては、社会福祉法人や株式会社など、実施事業者の法人形態に関わらず、これまでに通常保育や一時預かり保育などで子どもを安全に受け入れてきた実績のある認可施設のみを対象にすることとしています。
(中村たかえ)
広島市は認可施設のみ対応なんだと、先ほどおっしゃられた、国は最低限の基準として、保育者が全員保育士じゃなくてもいいんだと、半分でいいんだとか、施設も認可施設じゃなくてもいいっていうような基準を定められています。
こうしたあり方が本当に子どもの育ちにとって良い制度だって言えるのかやっぱり疑問なんですけど、市はどのようにお考えでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
先ほどご答弁した通りなんですけれども、国の基準は全国の市町村で実施をする際の最低基準として定めるられたもの通りものと認識しておりまして、本市としましては、子どもの安全確保とその育ちを支えるという観点から、全ての保育従事者が保育士資格を有することが適切であると考えたものです。
(中村たかえ)
広島市の姿勢はそれは当然だと思うんです。ただ実際に本格実施になれば、先ほども答弁であったように、広域利用が可能になる。この地域をまたいで利用ができる、さらに自由利用ができるっていうことになります。広島市以外からの利用も想定されます。
こうした場合に市はどのように子どもの安全も守りながら受け入れを行うんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
住所地以外の市町村での広域利用、全国共通利用につきましては、こども家庭庁に設置されている「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」において、広域利用のあり方も含め整理が必要であるとされており、現在、国において検討が行われているところです。
また、定期的な利用と定期的でない柔軟な利用、委員のおっしゃる自由利用、これにつきましては、同検討会において、子どもや保護者のニーズは様々であることなどを踏まえ、国において市町村に一律の利用形態を義務づけるべきではないとされています。
本市としては、こうした国の検討状況を踏まえ、令和8年度の本格実施に向け、広域利用や自由利用に係る対応について検討を進めていきたいと考えています。
なお、子どもの受け入れに当たっては、広域利用や自由利用においても、保護者と子どもとの事前面談を必須とするなど、子どもの安全確保とその育ちを支えるということを常に念頭に置きながら対応してまいります。
(中村たかえ)
広域利用・自由利用、令和8年度からの広域利用や自由利用についても面談は行うっていうのは、最低限の安全確保のために必要なことだと思います。
先ほど答弁であった、定期的でない自由な利用、自由利用ですが、「誰でも通園制度の実施に関する手引」の中では、お気に入りの場所が増える、多くの保育者や子どもと触れ合える、いろいろな遊びができるっていうことが書いてあるんですけど、0歳、6ヶ月から3歳未満の子どもが毎回初めての場所に行くっていうのが、本当にそれが子どもの育ちにとっていいのかっていうのは、やっぱりしっかり考えないといけないんじゃないかと思っています。
同時に、保護者都合の広域利用・自由利用は、子どもの育ちの点から望ましくないっていうことも、同じ手引の中に書いてあります。そもそもこうした制度設計に矛盾があるんじゃないかと思うんです。
私もこの制度の勉強会に行った際に、京都の事例がありました。こども誰でも通園制度を利用し乳児を預けに来た両親が、初めての場所で泣きっぱなしになる我が子の様子に、うちの子どもはこんな反応するのかと興味本位のような言動があって、保育士さんは保護者への対応が急がれるっていうことで、不安を感じられたそうです。
ごく一部とはいえ、そうした事態が、この広域利用・自由利用には起こり得るっていうことなんだと思います。それでもこれを進めるっていうのは大変疑問が残ります。
ちょっと別のことをお聞きするんですけど、誰でも通園制度の手引きでは、子どもの利用状況に応じて指導計画の作成というのがあります。公立園はどのように対応されてるんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
今年度、こども誰でも通園制度の試行的事業を実施している公立保育園においては、登園から降園までの間の遊び、睡眠、昼食などの時間設定や、それぞれの場面での保育士の子どもの関わり方などを記載したデイリープログラムを作成し、これに基づいて保育を行っています。
また、事業を利用した子どもについては、園内での様子や気づきなどを個別に記録し、2回目以降の利用の際に参考にしながら、1人1人に応じた保育を行っています。
(中村たかえ)
子どもの状況に応じて、1日のプログラムを考えながら、実際どうだったか、次来られたときに対応できるようにっていうことなんですけど、利用頻度が定まらないお子さんに対して計画を立てるっていうのは本当に大変な作業だと思います。ここにもやっぱり制度の矛盾に子どものためなのかいうことが伺えると思います。
あと、この制度は出来高払いだと思うんですけど、その場合利用したいっていう親御さんから登録があり、面接をしても結局利用がなければ、事業者の収入にはなりません。これは本当に施設への負担が大きいと思いますが、市はどのように対応しようとしておられるんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
本年1月に試行的事業の実施事業者を対象に行ったアンケートにおいては、いわゆる出来高払からの変更を求める意見はありませんでしたが、引き続き実施事業者の意見を聞きながら、必要に応じて適切な財政措置等について、国への要望等を検討してまいります。
(中村たかえ)
今回広島市が試行的事業で行われたのは、ほとんどが余裕活用型、定員に空きがあった場合の施設が手挙げをされておられるので、定員があるときに受け入れるっていうことで、そういうアンケート結果だったんじゃないかなと思うんです。
ただ、一般型の常設でこの誰でも通園制度を実施しようと思う事業者は、やっぱり出来高払いだったら大変保育所の運営に困難が生じると思いますが、一般型の事業者に対してはどのような対応をされるんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
委員ご指摘の通り、本年の試行事業においては、共有活動が他の事業者が大半でございまして、一方で安定的に子どもを受け入れるためには、余裕活用型ではなくて一般型が普及することが望ましいと考えておりまして、現在は、一般型と余裕活用型の補助単価が同一ということで、どうしても余裕活用型が多いという現状がありますので、一般型の補助単価と余裕活用型の補助単価を別にするなど、そういった要望ができないか検討していきたいと考えております。
(中村たかえ)
結局それは出来高払いは変わらないっていうことだと思うんです。名古屋で24時間緊急一時保育の事業を行っている方は、この誰でも通園制度に対して、やっぱり保育士の配置と安定した事業運営を考えたら、出来高払いじゃなくって基準額が必要なんだと。誰でも通園制度は利用前に面談があるけれども、実際に利用がなければ、先ほども紹介したように補助が出ない。さらに十分な保育経験のない事業者が安易に参入できない認可基準を定めて、基準額を保障してほしいということを話されていました。
保育事業者も安心して子どもの保育に携われる制度になっていないっていうことなんだと思うんです。
保育士さんたちは、専門職として子どもの成長発達とともに、安全を守りながら日々保育をされています。やっぱりこの保育の現場の人が、保育の質が担保できないっていうふうなこの制度が、本当に子どもの安全を守れるのか、誰にとっていい制度なのかっていうことを思うんですけど、ちょっと改めてお答えいただけますか。
(幼保連携推進担当課長)
本市では、子どもの安全の確保と、その育ちを支えるという観点から、こども誰でも通園制度における保育士の配置について、全ての従事者に保育士資格を有することを求めるとともに、各保育園等がアレルギーの有無や健康状態を聞き取ったり、子どもの行動の特性を把握したりするため、保護者や子どもとの事前面談を必須としています。
こども誰でも通園制度は子どもの良質な生育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対し、働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を強化することが制度創設の趣旨とされており、子どもと保護者の双方にとってメリットのある制度であると考えています。
(中村たかえ)
先ほど、子どもと保護者にとってメリットがあるって言われたんですけど、人見知りの時期によくわからないところで、また毎回違う人に預けられる子どもにとって本当にそれがいい制度なのか、保護者にとって、本当にこの短時間の月10時だけ預けるっていうその時間が本当に適切なのかっていうのはやっぱり不十分なんじゃないかと思います。
しかも、手引きによると、先に紹介した誰でも通園制度を利用した子どもが、利用時間上限いっぱいまで使って、それでも保護者の方が希望すれば一時預かりにも切り替わることができると。結局、保護者にも子どもにとってもいいのは、同じ場所にいつでも行けるっていうことなんじゃないかなと思います。
やっぱり一時預かりの制度をもっと充実させるっていうことが必要なんだと思います。
先ほど目的も言われましたが、それは大人の視点から見てるのであって、やっぱり子どもの発達や成長のことを考えると、一時預かりを充実させて、子どもと保護者の願いに答える方が適切なんじゃないかと思いますが、市の見解をお答えください。
(幼保給付課長)
こども誰でも通園制度は、多くの子育て家庭が孤立した育児の中で不安や悩みを抱えていることなどを背景に、子どもの視点に立って良質な生育環境を整備することなどを目的として創設されるものであり、就労や傷病等、やむを得ない理由により一時的に家庭での保育が困難となった場合など、保護者の立場からの必要性に対応する一時預かり保育とは目的が異なるものです。
近年、保護者の働き方やライフスタイルが多様化し、抱える課題も複雑化、複合化する傾向にある中で、本市としては、それぞれの事業を適切に運用することで、様々な保護者のニーズ等に応じ、子どもの育ちと子育て家庭を支援していきたいと考えております。
(中村たかえ)
先ほど保護者の方の働き方の多様化だとか、抱える課題の複雑化があると言われました。
昨日も、地域子育て支援機関だとか常設公募型常設オープンスペースだとか、かつ拡充が広島市も進められているのもわかります。
ただ、やっぱりいつでもどこでも誰でもっていう、同じ子どもが同じ場所に毎回行かなくてもいいような制度設計になっているっていうこの誰でも通園制度が、本当に子どもの視点なのかっていうことをやっぱりこれは改めて問いたいと思います。
保育士さんや専門家、保護者の方から多くの懸念が出されていることもあって、こども誰でも通園制度の試行的実施をされている他の自治体の事例も、勉強会に参加して聞いてきました。
公立保育園で試行事業をしている保育士さんの話で、初めての登園の子は泣いて過ごして、落ち着くきっかけを探りながら、一対一の対応をする。日々違う子どもが登園するため、いつもの状態はわからない。だから睡眠時の見守りもいつも以上に気をつけている。食事面でも事故に気を付け、さらに子どもの食べる力、離乳食なのかもうちょっと進んだ月齢の食事なのかってことを見極めながら介助していた。制度の運用直後は、やっぱ利用者も比較的限定されており、繰り返し登園する子どもがいて、保護者との子育てについて話をすることができた。ただ、2次募集以降新しく登園する子どもが増えて、そうした関係性が築けなくなった。いつも同じ場所で同じ保育士が迎えてくれるっていう環境が0歳から3歳までのこの時期には大事なんだっていうことを話されていました。
保護者支援の効果についても、次のようなこと言われてました。その日の利用者の状況によっては、子どもの迎えのときに担任保育士と話すことができる。そのときには子育てのアドバイスもできるけれども、そもそもこのこども誰でも通園制度に来れていない、本当に困っている保護者を救う視点が要るんじゃないかっていうことも語られていました。
やっぱりそのため保育士の処遇や配置基準の抜本的改善の上で、保護者の就労要件をなくして、子どもが毎日同じ場所に通える制度にしていく必要性が実感を持って語られています。
この研修会の中で、広島市は子どもの安全という点で、国の基準を参考にしつつも、配置基準を強化されるっていう先ほども答弁がありました。申し込みから面談、利用予約などもオンラインで行って、事業者の負担軽減の努力もされていることも承知してます。
こうした努力は子どもの成長と発達・安全を守るために、当然のことだと思います。だからこそ広島市はこうした国の基準以上に条例も改正されたんだと思うんです。
ただやっぱり、現行の国の基準では、保育士がスタッフの半分でもいい、多様な主体の参画として企業でも可能だ。やっぱりそれじゃ子どもの安全は守れないっていうことで、広島市は条例も改正されたんだと思うんです。で、いろんな施策もされてるんだと思います。
その広島市はやっぱり国に対して、せめてこの制度をやるならば、この誰でも通園制度をやるならば、スタッフは全員保育士にするべきだっていうことや、保育園の認可基準を満たした施設に限定するべきだっていうような進言をする必要があるんじゃないでしょうか。市はどういう対応されるんでしょうか。
(幼保連携推進担当課長)
国の基準は、学識経験者や保育園の運営事業者、市町村の職員などを構成員とする検討会における議論を踏まえ、全国の市町村で実施する際の最低基準として定められたものであり、国に基準の改正を要請する考えことは考えていません。
なお、試行的事業の結果を踏まえ、令和8年度の本格実施に当たっては、国の基準を上回る保育士を配置している施設に対する加算制度を創設するなど、適切な財政措置を講じるよう、機会を捉えて国に要望していきたいと考えています。
(中村たかえ)
私は去年の2月の議案質疑の際に、保育事故でお子さんを亡くしたお母さんの、この制度に対する懸念を紹介しました。
保育園での事故の大半は預け始めで、1歳未満の乳児だと言われています。やっぱりそうした事態がもう既に指摘をされている中で、国の最低基準が本当にそれで乳児を守れるのかっていうことは真剣に考えるべきだと思います。
子育て支援、子どもの育ちの支援と称して、政府からはこうした給付事業で絶対自治体はやるんだっていうふうにこども誰でも通園制度が利用されているんじゃないかと思います。
広島市の試行事業は、現場の保育さんの努力で、担当者の皆さんの奮闘もあり、保護者の負担や不安の軽減、子どもの健やかな育ちを応援するための制度にしているんだっていう答弁がありました。
しかしやっぱりこのこども誰でも通園制度そのものに、子どもの健やかに生きる権利や発達過程に対して、無理解があると言わなければなりません。
そうしたものだからこそ、広島市には引き続き子どもの命を守るという確固たる決意で保育行政に携わっていただくようお願いし、質問を終わります。