議会での質問・答弁

2025年03月04日

2025年第1回 2月定例会・予算特別委員会 厚生関係 中村たかえ

1.国民健康保険について
2.居住支援事業について

1.国民健康保険について

(中村たかえ)
 お疲れ様です。日本共産党の中村たかえです。私からは住民の命と健康、個人の尊厳を守る砦ともいえる二つの事業についてお聞きしたいと思います。
 まずは国民健康保険についてです。2025年度の国民健康保険料は、昨年に続いて平均約1万円の引き上げとなっています。コロナパンデミックの時期を除いて毎年保険料が引き上がっています。今年3月も物価の値上げがありました。物価高騰は終わりが見えません。そんなことでも多くの市民は物価高に見合う収入にはなっていません。年金もまともに生活できる額でもありません。とりわけ国民健康保険は低所得者の加入が多い保険です。加入者にとって、保険料の負担はより重くなっているんじゃないでしょうか。
 まず最初にお聞きします。今回の国保料の予算を見ると、昨年に引き続いて、一般会計から繰り入れが行われています。2年連続一般会計から繰り入れを行っている理由を教えてください。

(保険年金課長)
 広島県においては、令和12年度から17年度までのいずれかの年度において、県内市町の保険料水準を広島県から示される保険料に統一することとしております。
 こうした中、本市では、これまで保険料の上昇をできるだけ抑制してきたことから、県提示の保険料と本市の保険料との間には相当の乖離が生じており、保険料水準の統一に向けて、この乖離の解消が必要となっております。
 このため令和6年度からの保険料の改定に当たっては被保険者の負担が急激に増加しないよう配慮しつつ、段階的に検定時の保険料に近づけることができるよう、一般会計からの繰り入れを行っております。

(中村たかえ)
 上昇抑制として2年連続で一般会計から繰り入れたということは、現状の保険料も高い上に、これから令和12年度からおそらくされるであろうという県の保険料率統一に向けたところは、もっと高くなるから差を埋めるためだというふうだったというふうにだと受け止めました。
 ちょっとだけ確認するんですけど、昨年は一般会計の繰入は21億1500万円だったと思うんですが、今回はなぜ10億1800万円なのか教えていただけますか。

(保険年金課長)
 先ほどご答弁いたしました通り、令和6年度からの保険料の改定に当たっては、被保険者の負担が急激に増加しないよう配慮しつつ、段階的に検定時の保険料に近づけることができるよう、一般会計からの繰り入れを行っており、令和7年度は今後の保険料の伸びを踏まえ、1人当たり平均保険料の前年度からの伸びを令和6年度と同程度となるように抑制を図ることそのために必要な額として10億1800万円を計上したところでございます。

(中村たかえ)
 ということは、令和8年以降がどうなるのかなということを思うんですけど、令和8年以降の対応と、令和12年には県の保険料率の統一化の動きがあるんですけど、それに対して市としてどういう対応をされるお考えか教えてください。

(保険年金課長)
 繰り返しになりますが、12年度から17年度までのいずれかの年度において保険料の水準の統一をすることとしておりまして、この統一に向けて県提示の保険料と本市の保険料の間に生じている乖離を解消することが必要となっておるという中で、このため、令和8年度以降も保険料の引き上げは避けられないと考えているところですが、現時点の試算では、令和8年度まで一般会計からの繰り入れを行うことで保険料の急激な引き上げを抑制しつつ、県が示す保険料に近づけていくことができるものと見込んでおります。

(中村たかえ)
 下がることはないんだっていうことだったと思うんですけど、前回、昨年も国民健康保険についてお聞きしました。この間も私は厚生委員会の中でも国民健康保険の県の統一化に伴う保険料率の統一についてもお聞きしました。
 令和6年度は県が保険料率の統一を断念しました。それは広島県内の各自治体がやっぱり県の統一保険料だったら、住民が負担が高くなってしまうんだと負担が重くなってしまうんだということで、意見がまとまらなかったということだったと思うんです。
 基本的に保険料率の統一化というのは自治体の合意が必要です。住民の負担を重くしないっていう立場で広島市がやっぱりここはぐっと踏みとどまって、県の保険料率統一化に対しては、やめた方がいいということを言う必要があるんじゃないでしょうか。市の見解を教えてください。

(保険年金課長)
 保険料が高くなっていくということですね、負担が高くなっていくということに関しては、県の県内での保険料を統一するから高くなっていくということよりも、国保の他の医療保険制度と比べて被保険者に占める高齢者、低所得者の割合が高いという恒常的な問題でありますとか、高齢化や医療の高度化等により医療費が高くなっているということが高くなっている要因であると考えております。
 本市としては、被保険者が負担能力に応じて保険料を負担する公平な国民健康保険制度が全体として持続可能な制度として機能していくことが重要であり、その中で市民の負担を勘案しながら制度を運営していくことが望ましいと考えております。

(中村たかえ)
 持続可能な制度っていうことで言われたんですけど、それでも今国会では、がん患者さんや肝炎患者さんなど難病の方ですよね、命の選択を迫られるような高額療養費の上限額の引き上げの議論が進められています。
 当事者団体からも懸念の声が広がって、何か一部見直しするんだとか、いや凍結しようかみたいなそんな揺れています。ただいずれにしても、今石破政権のもと、命を守るために治療が必要な人が公的保険に頼れない状況に追い込まれるような事態になっています。 先ほど持続可能な制度を維持するためにって言われましたけど、持続させようと思っても、今、公的保険が、治療が必要な人を支えるために負担になっているっていう実態もあるんじゃないでしょうか。
 ただ、一方で、公的保険は日本の優れた制度である国民皆保険制度を支える基盤でもあると思います。何より、治療が必要な人を支える社会保障制度だと思います。
 自治体で言えばこの国民健康保険制度、住民の命を守る、文字通り命綱の制度だと思うんです。
 そこでお聞きするんですが、この間国民健康保険料高くて払えない人たちはどうやったらいいのかっていうことをお聞きしたら、生活保護につなぐんだとか、くらしサポートセンターにつなぐんだっていうような話もされますが、改めて、そうは言っても生活保護を利用できる対象じゃない人も低所得者の中にはいると思うんですね。
 そういった方々がの医療へのアクセスを保障するためには、市としてどういう手立てをとられているか教えてください。

(保険年金課長)
 区の保険年金課において、一部負担金の支払いが難しいという相談がありました場合は、その方の一部負担金の支払いが難しくなった個々の事情や生活実態などを丁寧にお聞きして、減免制度の適用についても検討いたします。
 それとともに、必要に応じて、あの生活困窮者の自立支援制度や、その他の福祉部門等につなぐなど、個々の状況に応じて適切に対応しているところです。

(中村たかえ)
 今、一部負担金の減免制度も紹介するんだと言われました。改めて一部負担減免の制度ですが、国保法44条に基づく、保険者の判断で自治体の判断で行われているものだと思います。
 ただ、この一部負担金減免制度は、事業の休廃止、失業などでの収入が激減した世帯が対象で、減免期間は3ヶ月だと。再申請によって上限6ヶ月まで利用するという制度です。
 これは結局6ヶ月経ってしまったら使えない制度だと思うんですよね。自治体は住民が適切に医療にアクセスできるように先ほど相談があったら他の制度にもつなぐんだとおっしゃられました。
 ただ一方で、この窓口一部負担減免の制度は対象が狭められています。この窓口での一部負担の負担金の減免制度を拡充する必要があるんじゃないでしょうか。市の認識をお答えください。

(保険年金課長)
 国民健康保険の一部負担金減免制度は、委員からもご紹介がありましたが、災害や失業等特別な事情により収入が激変する事態が生じた場合の一時的な救済措置であるということで国からも示されておりまして、こうした国から示されております本制度の趣旨を踏まえ、本市においても現在、災害や失業等特別な事情により生活が著しく困難となった世帯を対象としているところでございます。
 生活に困窮されている方への生活の保障は、ナショナルミニマムの観点から、国において制度設計が検討されるべきものと考えており、恒常的な低所得世帯については、必要に応じて生活困窮者自立支援制度や生活保護制度等につなぐなど、個々の状況に応じて適切に対応してまいります。

(中村たかえ)
 大体国保だとか生活保護の制度について、福祉の制度についてお聞きすると、ナショナルミニマムっていうので、大体言われるんですけど、少なくとも今自治体が行っている国が行っている制度のもとで救ええない人がいるんじゃないかっていうことが問われてるんだと思います。
 全日本民主医療機関連合会が2024年に行った、2023年経済的事由による手遅れ死亡事例、これ2024年版もあるそうですがちょっとまだ手元に資料がなくて、2023年版での調査のお話をしたいと思います。
 構造的な困窮者の場合はっていうふうに言われましたけど、そもそも今、手遅れによる死亡がこの医療機関連合会、民医連だけで調査した段階で22都道府県で48件あったと。今回その中に広島県入ってないんですけど、だから問題ないっていうことではないと思うんですよね。そもそもこの数字はあくまで氷山の一角だと。
 同調査では、何か広島は資格確認書を出してないっていうのは大変大事なところですけど、資格確認書は短期保険証じゃなく、正規の保険証を持っていながら、経済的に困窮し、医療を受けられずに亡くなったっていう事例が報告されてたんですよね。
 公共料金の滞納などがあったとか、やっぱりこの所得から見て高過ぎる保険料の負担が医療を受ける権利を妨げていると。追い詰められて、結局誰にも相談できずに、手遅れの状態になって、やっと医療機関にかかるっていう状況があるんじゃないでしょうか。
 憲法25条には、健康で文化的な生活を営む権利っていうのが掲げられています。さらに国はそれを保障しなければならないとあります。ここでは国となってますけど、当然自治体も含まれます。
 先ほど国の通知によってっていうことで、一部負担金の制度についてお話されました。今、再申請によって使えるのは6ヶ月までっていうことですが、広島市は元々平成25年までは、対象となる基準の世帯では、治療が必要な期間は更新申請をすれば、治療が終わるまで利用できていました。
 ただ、昨年もお聞きしましたが、平成25年に国の通知によって、制度見直しと言いますけど制度を改悪し、対象者や減免期間が狭められました。
 そこでお聞きするんですが、平成25年の制度の改悪、見直しで利用件数の変化はどれぐらいあったんでしょうか。

(保険年金課長)
 平成24年度の一部負担金の減免件数2195件に対して、平成25年度は1802件と393件17.9%の減となっております。
 また直近の令和5年度の実績を見ますと384件となっており、平成24年度と比較すると1811件、82.5%の減となっております。

(中村たかえ)
 やっぱり所得が少なくても今医療が必要な人、国民健康保険料払えても窓口負担が払えない人っていう人をこれだけ切り捨ててきたっていうことなんじゃないでしょうか。
 平成24年から今令和5年まで82%利用が減っている。その中に救えた命が、安心して医療を受けられる受けられなかった人がどれだけいるのかっていうことに私は思いをはせたいと思います。
 もちろん先ほど、この制度国民健康保険の制度を維持するために保険料の計算をしてるんだって言われました。
 この間、全国知事会でも国民健康保険の財政について負担の増額を要望されています。令和6年6月12日付の全国市長会の提言でも、国に国保財政への国庫負担の増額を要望されていることも承知しています。
 日本共産党としても、国保への国庫負担の抜本的増額を求めているところですが、やはり国の対応を待っているだけでいいんでしょうかっていうことなんです。
 市として継続的な治療が必要な国保加入世帯、低所得世帯を支えることが必要だと思うんですよね。
 そこでちょっとお聞きします。国民健康保険の事業は法定受託事務と自治事務のどちらになるんでしょうか。

(保険年金課長)
 国民健康保険事業の実施は自治事務となります。

(中村たかえ)
 自治事務ということなら、国の通知があったとしても、住民の命を守る立場に立つ判断もできるんだということだと思います。市の対応として、そういったことは可能っていうことでしょうか。

(保険年金課長)
 一部負担金の減免については自治事務ではありますが、国の通知によりその趣旨が示されたものでありまして、これを踏まえながら本市の実情を勘案して見直しを行ったものです。

(中村たかえ)
 市の実情を見て、通知にも従いつつ、広島市の実情に基づいて、制度を変えたっていうことでした。ただですね、この言われた通知は確か平成22年に来た通知だと。変えたのは平成25年だと。この3年間は、昨年も述べましたが、この平成22年に通知が来たけれども、一定期間は住民の命を守るために、制度を維持したっていうことですよね。
 やっぱりここは、この自治体の本気度が問われてるんだと思うんです。やっぱりこの通知もあくまで標準だっていうことだと思うんです。しかも一定期間、通知が来たけれども制度は変えずに頑張ってきたと、住民の命を守るために頑張ってきたと、そういう判断は一時期はできてたんだと思うんですよね。やっぱそこを、この平成25年に変えてしまった。ここは何で変えてしまったのかっていうことを疑問に思うわけです。
 平成25年に通知が来て、3年経ってから変えた、何かその事情はあるんでしょうか。

(保険年金課長)
 こちら一部負担金の減免については、22年度の通知において、改めて国の通知で、減免期間は3ヶ月までを一応標準とすること、療養に要する期間が長期に及ぶ場合は、必要に応じて生活保護担当など、福祉部局との連携を図ることなどが示されたことを踏まえて検討した結果、25年度から見直しを実施することとしたものであります。

(中村たかえ)
 繰り返しになりますけど、生活保護制度を利用するって言われますけど、相当いろんなハードルがありますよね。ご本人さんのスティグマによって生活保護申請がなかなか踏み切れない。だけでなくって制度上もハードルがあると。やっぱり一定貯金があったら駄目だとか、車を持ってたら駄目だとか、いろんな事情で生活保護を利用できない人もいます。
 少し情報提供的にですけど、2024年の4月2日に参議院の厚生労働委員会で日本共産党の倉林明子議員が、国保法44条に基づいて一部負担減免について質問をされた中で、国保事業は自治事務であるために、この一部負担減免制度、市の判断で対象を拡大し命を守る手立ては取れるっていうことを確認をされています。
 もちろん財源の問題もあって、いろいろ考えられているのもわかりますが、今回ここで改めて強調したいのは、広島市が行ってきた一部負担減免制度は、市民のニーズに応え広島市が全国に誇る福祉の増進のための制度として、文字通り命綱だったっていうことなんですよね。
 それが松井市長になり、事務事業見直しの一環で、対象者や減免期間が縮小させられた。2015年平成26年度の決算特別委員会の中でわが党の中原議員が一部負担減免制度の改悪見直しによって利用できなくなった人数を聞いています。
 少し抜粋しながら紹介します。経過措置期間が終了した平成26年12月時点で91世帯、減免対象額は278万円。これが利用できなくなった世帯と利用できなかった金額だそうです。
 中原議員は他にもこのようなお話をされていました。減免制度を利用できなくなった年金暮らしのご夫妻、お2人とも持病があり、妻は複数の診療科にかかっている。無料低額診療の医療機関では対応できず、医療費が払えないから、もう病院にはかからないと話していた。こうした方の命が守れなくてどうするのかという話をされていました。
 この当時の事務事業見直しでは、他に重度障害者1人親家庭、乳幼児の療養援護金の廃止や、障害児療育の給食費の削減もありました。より効率的で効果的っていうので、命と尊厳を守るための予算が削られてきたっていうことです。私は本当にこれは深刻だなと思っています。
 松井市長になって以降、特に弱い立場に置かれている住民への施策が削られてきた。今年、被爆80年ということで、平和であることを感じられるために、広島市は様々なイベントを行おうとされようとしています。しかし平和であるって感じるには、適切に医療にかかって健康を維持できることが大前提じゃんじゃないでしょうか。
 今日も他の委員の皆さんも、健康を維持するために検診率をどう高くしていくかって話もされました。それでも病気になることは当然あります。でもそれでも、自治体が責任を持って医療にかかってもらうために、国民健康保険を運営してるんじゃないでしょうか。 広島市として、平和であると感じるために、やっぱりこの国民健康保険も含めて医療福祉に対して、広島市がどのように取り組んでいるか認識を教えてください。

(保険年金課長)
 福祉についてということでありますが、繰り返しになりますが、社会保障は基本は国が行うべきものであり、生活に困窮されている方への生活の保障は、ナショナルミニマムの観点から、国において制度設計が検討されるべきものと考えております。
 恒常的な低所得世帯については、必要に応じて生活困窮者自立支援制度や生活保護制度等につなぐなど、個々の状況に応じて適切に対応してまいります。
 その上で、国民健康保険は、他の医療保険制度に加入していない全ての方を対象とした国民皆保険制度の基礎となるものであり、今後も適切に運営してまいります。

(中村たかえ)
 適切に運営される。その中に医療にかかれない人が出てこないことを本当に心から願うものです。
 日本国憲法の前文には、「我らは全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とうたわれています。
 この理念を体現できるような広島市でこそ、国際平和文化都市と胸を張って言えるんじゃないでしょうか。
 住民の医療を受ける権利を守り命を守るために、やっぱり市独自で所得や世帯人員に見合った国保料の負担軽減や、窓口一部負担減免の対象を拡大をすることを求めて次の質問に移ります。

2.居住支援事業について

(中村たかえ)
 次は生活困窮者への支援として市が行っている居住支援事業です。昨年6月の厚生委員会でも質問しました。居住支援、いわゆるシェルター事業について主に、そのときは主に事業に対する評価やケースワーカーさんとの連携についてお聞きしています。
 今日は特に事業の委託料についてお聞きしたいと思います。改めてですがは具体的にどういうことを行っておられるんでしょうか。

(保護自立支援課長)
 居住支援事業は支援対象者の特性に応じまして、集団支援型、個別支援型、独立型の3類型に区分した上で、民間事業者に委託し実施するもので、具体的には住居のない生活困窮者の方に対し一定期間宿泊場所や食事の提供、衣類その他日常生活を営む上で必要となる物資の貸与または提供を行っています。

(中村たかえ)
 4ヶ所で行われている。そのほとんどが事業者の正義感やボランティア精神に基づいて行われている実態があると思います。
 ある事業者の施設では、食事や掃除などの支援だけじゃなくメンタル疾患を抱えた利用者の精神科クリニックへの通院サポートもあり、スタッフのボランティア精神で成り立っている、代表者の自分も送迎などを駆け回って何とか事業を維持していると話してくれています。
 別の事業者は、その施設を管理してくれるスタッフは、事業の役割をわかっているから最近すれすれの給与で業務にあたってくれている。しかしこのスタッフに何かあれば代わりの人をお願いできそうにないっていうことを話してくれています。
 そこでお聞きします。事業者への委託料の算出っていうのは何に基づいているんでしょうか。

(保護自立支援課長)
 居住支援事業に係る委託料につきましては、事業者に聞き取るなどして必要額を算出するところでございます。

(中村たかえ)
 事業者への聞き取りから必要額を算出するっていうことですが、いずれの事業者も人手がない中で事業に取り組んでおられます。
 もちろん正確な費用を把握するために一定の事務作業が必要だし、聞き取りも必要なのはわかりますが、責任者やスタッフの方の過度な負担にならないような算出の仕方をしていただくことを要望しておきたいと思います。
 少し事業者の方の声も紹介したいと思います。ある事業者はスタッフが社会福祉士の資格を有し、支援を行っている。困難を抱えた方の支援をする、専門性に見合った給与にしたいけれども、今の委託費では間に合わず、他の事業とやりくりし、赤字を出しながらも何とか事業運営をしているっていうことです。
 別の事業者も、これまでの委託料では、新しい人に事業を引き継いでもらおうと思えないと話しておられました。
 改めて市として、こうした委託先の事業者の方の声を受けとめておられるでしょうか。また居住支援事業をどう評価されていますか。

(保護自立支援課長)
 委託事業者からは、物価高騰下にあって、委託料が見合っておらず事業継続が困難であるなどの声が寄せられておりまして、事業者が将来の事業運営に不安を感じられた切実な思いであると受け止めています。
 また、居住支援事業につきましては、生活困窮者が生活の基盤するものである安定した住まいを確保するまでの間のつなぎとしての役割を果たしており、生活困窮者の自立を支援する上で欠くことのできない事業であると考えております。

(中村たかえ)
 生活困窮者を支援するために欠くことのできない事業がこの居住支援事業だっていう認識でした。
 この間のこの事業の変遷の中で、2015年に制度も法律も変わり、今の形になったということをお聞きしています。
 この頃に、悪質な貧困ビジネスを排するために、事業者の皆さんも担当者の皆さん市の行政の皆さんも尽力されてきたと思います。
 ただ一方で、やっぱりこの市の事業を委託している欠くことのできない重要な事業だっていうことであるならば、やっぱりこの事業の継続性を担保するために市としての努力も一定必要なんだと思いますが、市として今どのような対応をされていますか。

(保護自立支援課長)
 本市では、これまでも委託事業者の運営実態を踏まえ、必要な予算措置に努めてきたところでございますが、改めて事業者から経費を含めた業務の運営実態とそれに要する経費の詳細を聞き取り、精査した結果、物価が高騰する中、現行の委託料では、サービスの維持や人員体制の確保に必要な財源に不足が生じる状況が明らかになったことから、業務実態に応じた委託料を算出し、令和7年度予算案に計上しているところでございます。

(中村たかえ)
 物価高騰に見合った委託料を予算計上しているっていうことだと思うんですけど、それは増額されたんだと思うんですけど、どの程度増額されたんでしょうか。

(保護自立支援課長)
 居住支援事業全体の委託料につきましては、令和7年度予算案に4,330万6千円を計上しておりまして令和6年度当初予算額3,943万6千円と比べまして387万円増額しています。

(中村たかえ)
 先ほども事業者の方の実態を本当に丁寧に聞いて、必要額を算出するっていうことを言われました。この間、話を聞いてきた事業者の中には、これまでは委託料だけでは足りずに、100万円を超える持ち出しもしながら、本来は団体のその他の活動のために集めている寄付を当てながら最終的に何とか50万程度の赤字に収めたっていう話もありました。
 このまま赤字が続くようだと、続けていくことをためらってしまうっていうようなことも言われていました。
 ただやっぱり生活困窮者の支援としてなくてはならない事業だってわかってるから、大変だったとしても事業継続をされています。
 居住者事業を続けていっても事業者に利益出ることありません。ホームレス状態になり、何らかの犯罪に巻き込まれるような人を出さないために、誰も取り残さないという立場で尽力をされてきています。
 自治体としても同じ立場でおられるんだと思っています。赤字が出て、こうした事業者の方が事業継続ができなくならないように委託料の今回増額されました。それも含めて、今後も事業者の実態に応じて委託料を算出するべきだと思いますが今後どのようにされるんでしょうか。

(保護自立支援課長)
 昨今、物価高騰や人件費が上昇する中、本市としましては居住支援事業のサービスの質を維持しつつ、安定的に事業運営ができるように、引き続き委託事業者から、事業運営の状況を丁寧に聞き取るなどして、業務の実態に応じた予算の確保に努めていきたいと考えています。

(中村たかえ)
 今後も事業者の実態に即した予算を考えていきたい、委託料を算出したいということでした。本当に住まいをなくしてしまった人が適切な支援を受けて立ち直って、人間らしい暮らしを取り戻すために重要な事業だと思います。
 居住支援事業に携わる事業者に限らず、ほとんどの福祉事業者は儲けのためには、事業を行っていないと私は思っています。
 誰もが尊厳を持って生きていける社会のために、様々な事業者や団体が困窮者支援、福祉の事業として、様々取り組んでおられます。改めて自治体としてもその姿勢にリスペクトの気持ちを示していただきたいなと思っています。
 今回、住民の命と健康に対して、広島市がどう向き合っているか、国民健康保険制度と生活困窮者支援の角度からお話を聞きました。
 率直に言って、大変不十分だとは思いますが、国保加入世帯への負担を小さくするために一般会計繰入を行っているっていう話もありました。
 居住支援事業の委託事業者の事業継続の保障のために、委託料の増額にも取り組んでいると。財政局の厳しい査定のもとでも、そうした一定の努力をされているということは理解をします。
 ただやっぱり深刻なのは、この質問した二つの事業に限ったことではなくて市全体で見て、とりわけ松井市政になって以降弱い立場に置かれた人に対しての福祉施策が本当に不足しているなと。
 なんなら、にぎわいづくりや、効率的効果的、選択と集中という旗のもとで、明らかに削られているなっていうことです。
 全国に誇れる制度だった一部負担減免を見直しと称して改悪する。事務事業見直しのもとで、障害児療育の給食や、療養援護金などを削ってきた。やっぱり誰もが生活に困難を抱え、経済的に困ることはありえます。
 そんなときでも、生きることを諦めなくてもいいっていう広島市のために、とりわけ、保健医療福祉の分野に携わる皆さんが誇りを持って職務に臨んでいただくことを期待して質問を終わります。

(市長)
 たびたび松井の名前を出していただいて恐縮でありますが、印象付けだけの質問はやめていただきたいと思います。
 制度を維持するためと、その制度に基づく本来の趣旨をどう実現するか。持続可能性を考えない質問はですね、私にとっては非常にある意味でですね、答えづらい。ある意味でですね、答えづらい。きちっと議論できないわけですから。
 制度そのものを維持する。私たちが困った方々をいかに助けるかということは、税金をいただいて、それをうまく配分するということです。
 「税金は取るな、金は出せ」「国家がやれ、市がやれ」できないですよね。そこの議論ができないんですよ。皆さんとは。
 ですから、制度を維持するための考えと、使われる方々の救済をどこで調整するかに日々苦悩しております。いじめるために市政をやっておりません。

(中村たかえ)
 市長に答弁していただいたので少し一言申し上げたいと思います。私税金を取るなとか、税金の使い方、国がやるべきだとか、市がやるべきだとか、闇雲に申し上げているわけではありません。
 市として、今本当に必要なところにどれだけ目が向いているのかと(市長が何か発言)実際に公共事業には、湯水のように財源を問わずに(市長が何か発言)湯水のように財源を問わずに(市長「行政のために出します」)今私がしゃべっています、今私がしゃべっているので、すいません。
 その他には、大型開発といえば、にぎわい作りといえば、財源を問わずに支出をされていると思います。(市長が何か発言)一方で、私が先ほど紹介した事務事業見直しの中で、障害児療育の給食は130万円を削った。私は、それが出せない、それを削って事務事業見直しだってした、こうした市政のあり方自体を問いたいと思っています。
 もちろん公共事業も、必要なものはやらなければならないと思いますが、本当に採算性を見越して、将来世代への負担軽減というのであれば、本当に必要な、聖域なく見直すということがされていないんじゃないかっていう問題提起を含めて、今回も厚生関係で質問をさせていただきました。以上で終わります。

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