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日本共産党広島市会議員団を代表して、意見書案第12号、「安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を求める意見書案」について、討論を行います。
本意見書案については、この意見書案が求める基本的な趣旨である、国の財源確保の如何にかかわらず地方自治体に来ることになっていた財源を十分に確保すべし、ということは当然のことであり、この点をもってこの意見書案には賛成しますが、意見書案の内容の一部について異論がありますので、意見を申し述べます。
今回の意見書案では、政府が進める「税と社会保障の一体改革」と称しているものが、本来実施されるべきものとして、当然の前提とされており、この点に異論があります。
「税と社会保障の一体改革」のうち、「税の改革」では、所得が低いほど重くなる逆進性を拡大する消費税率の引き上げの一方で、財界の要請に応えて法人税率の引き下げを既に実施しています。
税金というものは応能負担の原則に立って集められるべきです。さらに生活費非課税の原則もあります。法人税率引き下げで最も大きな利益を得るのは巨額の利益をあげる大企業です。日本の法人のうちで黒字の企業は3割しかありません。厳しいながら地域経済を支えてきた地方の中小零細企業は、ほとんど法人税率引き下げの恩恵を受けることはありません。日本社会の中で一番税負担の力が大きく、つまり一番税金をとるべきところを減税し、他方で生活費に大きく食い込む消費税率引き上げを行うのが「税の改革」と言われるものです。さらに言えば、消費税創設以来、その税収を当てにして、法人税減税と同時に個人所得税の最高税率を半分近くにまで引き下げ、ここでも一番税負担力が大きいところを一貫して減税し続けてきましたが、ここにもまったく手を付けようとはしていません。これは一般庶民にとっては「改革」ではありません。
また、「社会保障の改革」と言って実施されてきた、あるいは実施されようとしていることは、医療保険制度での患者負担の増加であり、介護保険制度での一部サービスの保険はずしと負担の増加であり、生活保護基準の切り下げであり、今臨時国会では衆議院で強行採決した年金カット法案の成立などです。結局、地域に暮らす庶民にとっては税も社会保障も負担が増え、暮らしを削ることを「改革」だと言っています。
地域経済の担い手は地域の中小零細企業・事業者であり、支えているのは地域に住む住民の暮らしです。その住民の暮らしを削る施策が行われれば、地方の消費は細り、それを支えにしてきた地域経済も土台が揺らぎます。現実に、一昨年4月の8%への増税などで我が国の経済は大きく揺らぎ、そのため安倍政権は28兆円もの経済政策なるものを打ち出さざるを得なくなったわけです。
日本経済と地域経済を危うくしてきた一番の原因は、日本企業の0.1%しかない大企業に300兆円を超える内部留保が積み上がるような、日本の税財政を含む行政です。
「改革」というならそこに踏み込むことが必要です。
今回の意見書案の冒頭にある、社会保障の安定財源と財政健全化の達成のためには、何よりも日本経済の安定した成長を達成し、そのことによって課税対象を大きくすることが必要です。そのために最も必要なことは、国民の圧倒的多数を占める一般庶民の消費購買力を高めることです。
庶民を苦しめ、格差と貧困を拡大する「税と社会保障の一体改革」なるものは中止して、税金の集め方を応能負担の原則に立ったあり方に転換し、社会保障の負担を軽減する方策こそ必要で、そのことをも求める意見書案であればよかったと思います。
以上の意見を申し上げた上で、本意見書案には賛成とします。
ご清聴ありがとうございました。
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