議会での質問・答弁

2024年12月06日

2024年第5回 12月定例会 一般質問 藤本さとし

1.被爆80年を迎える市の平和行政について
2.広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例案について
3.PASPYの廃止について
4.安佐南区上安の不適切な盛土の崩落対策について


1.被爆80年を迎える市の平和行政について

(藤本さとし)
 日本共産党の藤本さとしです。党市議団を代表して質問します。
来年、被爆80年を迎えるにあたり、広島市の平和行政について質問します。
 日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞が決まりました。被爆者自らが証言活動を国内外で行ったり、市民社会と共同で核兵器廃絶の街頭署名などのキャンペーンに取り組んだりしてきたことが高く評価されています。
 こうしたことが、79年間核兵器の使用を許さず、核兵器に「悪の烙印」を押し、核兵器禁止条約を誕生させて、「核兵器全面禁止」を国際世論に押し上げました。受賞のもう一つの理由として、ノーベル委員会は、「世界中で起きている紛争を見ると、核兵器を二度と使用してはならないという規範を守ることがいかに重要であるかが分かる。日本被団協と被爆者は、この文脈において極めて重要」だと述べています。
 また、「核抑止」という核兵器を脅しに使う、アメリカやロシアなどの核大国の核の脅威に対して、国際社会の危機感の表れともいえるのではないでしょうか。そのもとで、唯一の戦争被爆国である日本政府は、いよいよ「核抑止」の立場から抜け出し、明確に核兵器禁止条約の立場に立つことこそが求められています。
 石破首相は就任前、アジア版NATOの創設や核共有論を語っています。核共有論は、核兵器の使用が前提です。核共有というのは、自衛隊がアメリカの核兵器を戦闘機に積んで投下する役割を担いうるもので、非核三原則を踏みにじる危険な考えです。核兵器を二度と使わせないために被爆の実相を発信している被爆地広島として、容認できるものではありません。
 広島市として、日本政府は非核三原則を堅持し、核兵器禁止条約に即座に参加することを、石破首相に強く求めるべきではありませんか。市長の考えをお答えください。

(市民局長)
 被爆80年を迎える市の平和行政について数点のご質問にお答えします。まず広島市として日本政府は非核3原則を堅持し、核兵器禁止条約に即座に参加することを石破首相に強く求めるべきだと思うかどうかについてです。
 本市はこんな思いを他の誰にもさせてはならないという被爆者の切なる願いを原点に、非核3原則を国是として堅持してきた日本政府に対し、核兵器禁止条約への署名批准について、国要望や平和宣言の他、長崎市長と連名の行政書や平和首長会議国内加盟都市会議としての要請書などを通じて繰り返し要請してきているところであり、引き続き、機会を捉えて働きかけを行っていきたいと考えています。

(藤本さとし)
 10月21日の市長会見で、松井市長は、日本被団協のノーベル平和賞受賞について問われた際に、「核抑止力に依存せざるを得ないと考えている為政者がいる中で、核保有国を始め国際社会全体に、核兵器の使用がもたらすものが 第三の広島・長崎であると再確認させるとともに、対話による平和的解決ということに向けた 外交政策へ転換するということを促すメッセージだ」と述べられています。
 そこでお聞きします。広島市は、核兵器使用のリスクを述べる際に、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢を例示していますが、核実験を繰り返しているアメリカも核兵器使用のリスクを高めているのではありませんか。市の認識をお答えください。

(市民局長)
 次に広島市は核兵器使用のリスクを述べる際に、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢を例示しているが、核実験を繰り返しているアメリカも核兵器使用のリスクを高めていると思うかどうかについてです。
 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、中東情勢が悪化する中で、実際に聖書などによる核兵器の使用を示唆する言動があったことを受けて、昨今の国際社会において、核兵器使用のリスクが高まっているという見方がされていると認識をしているところです。
 こうした国際情勢において、核兵器の抑止力が有効であると考え、さらに増強しようとする動きがあることは大変危惧される状況にあると受け止め、受け止めており、米国における臨界前核実験をこうした状況にさらに拍車をかける可能性があること、そして核実験を行うことそのものが被爆者を初め、核兵器廃絶を求める多くの人々の願いに背くもので断じて許すことはできないものであり、本年5月に臨界前核実験が実施された際に厳重に抗議を行ったところです。
 本市としては今後とも、核兵器廃絶を阻害するこうした行為を行われた場合には抗議等の対応を行ってまいります。

(藤本さとし)
 県外の方から市役所や県庁に「被団協のノーベル平和賞受賞を祝う懸垂幕はないのか」と問われた際、市庁舎のどこにも懸垂幕がなく、大変残念に思ったと語っておられます。市民からは、観光で来た人たちが「これが広島か」とガッカリされかねないのではと懸念が示されています。
 そこでお聞きします。日本被団協のノーベル平和賞受賞は、被爆者の方々だけでなく、広島の悲願でもあり、喜ぶべきものではないでしょうか。12月10日の受賞式のパブリックビューイングを行うことも重要ですが、喜ぶべきものであるならば、紙での受賞祝いのコメントの掲示やデジタルサイネージということではなく、今からでも、広く市民に分かるように受賞を祝う懸垂幕を市の各庁舎に掲示する必要があるのではないでしょうか。市長のお考えをお答えください。

(市民局長)
 次に日本被団協のノーベル平和賞受賞は、被爆者の方々だけでなく広島の悲願でもあり、いろいろ喜ぶべきものではないか。12月10日の授賞式のパブリックビューイングも重要だが、喜ぶべきものであれば、コメントの掲示やデジタルサイネージではなく、広く市民にわかるよう懸垂幕を市の各庁舎に掲示して受賞を祝う必要があると考えるかどうかについてです。
 日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことは、世界中で被爆者が自らのつらい体験や憎しみを乗り越えた末に、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という、人類全体の平和を願う崇高な理念に昇華させ、訴えてきた功績が認められたという意味で大きな意義があるとともに、被爆地広島として大変喜ばしいことであると受け止めています。
 そこで本市では、市内外から多くの来訪者が訪れる平和記念公園内において、平和記念資料館や国際会議場等での祝意を表す看板の設置等に加え、授賞式当日に被爆者や若者の参加を得て祝賀式典を開催し、併せて授賞式のパブリックビューイングを行う他、今後平和記念資料館において、これまで被爆者の活動などを紹介するパネル展の開催を予定しており、こうした一連の取り組みを市役所庁舎ではなく、平和記念公園内の次で実施することにより、被爆者への被爆者の平和への願いと、「ヒロシマの心」がより多くの方々に共有されるものと考えています。

(藤本さとし)
 広島市は、平和公園内をはじめ、市内に多くの原爆犠牲者を悼む慰霊碑や記念碑が建立されています。被爆の実相の一つとして、被爆当時の広島に生きた人たちの思いに触れることができます。しかし、その大切な場がないがしろにされていないでしょうか。
 今年5月にオープンした「G7広島サミット記念館」は、各国首脳やパートナーの方々が訪れた観光スポットや期間中に食したグルメが中心となった、まるで観光案内のような展示がされています。その施設の横で、被爆アオギリの木がないがしろにされています。今年夏、施設の壁の照り返しが主な原因で、アオギリが衰弱しているのではないかと指摘されました。被爆80年の年に、人為的なことで被爆アオギリを枯らしてしまったということにしてはなりません。
 市は、この被爆アオギリの衰弱は、何が原因だと考えているのでしょうか。また、どのような対策を行い、その結果をどう評価していますか。お答えください。

(企画総務局長)
 続いて、被爆80年を迎える市の平和行政についてのご質問のうち、被爆アオギリの衰弱は何が原因と考えているのか。またどのような対策を行い、その結果をどう評価しているのかについてお答えいたします。
 被爆アオギリの樹勢につきましては、樹木医からG7広島サミット記念館の屋根と外壁からの日光の照り返しが原因と考えられるとの見解が示されました。
 このため、樹木医のアドバイスを受けて、速やかに同記念館の屋根と壁面へ遮光ネットを設置するとともに、活力剤と肥料を投与するなどの対策を講じておりその後も職員が定期的に現地に赴き、状況を確認をしているところです。
 現時点では樹勢が悪化している状況にはありませんが、対策の効果が現れるまでには一定期間を要することを踏まえ、引き続き状況を注視していきたいと考えております。

(藤本さとし)
 被爆者の高齢化に伴い、物言わぬ証人としての被爆樹木の存在はますます重用となっています。被爆80年を迎えるにあたり、被爆樹木を適正に管理する必要があると思いますが、今後の市の対応をお伺いします。

(市民局長)
 次に被爆から80年を迎えるにあたり、被爆樹木を適正に管理する必要があると思うが、今後の対応はどうかについてです。
 被爆樹木は被爆の実相を後世に伝えていく上で、「もの言わぬ証人」として重要な役割を担う貴重な財産であり、本市ではその保存・継承にしっかりと取り組んでいるところです。
 具体的には、民間所有のものも含めた全ての被爆樹木を対象に、定期的な樹勢等の診断を行うモニタリング事業を実施し、その結果を踏まえ、本市所有の被爆樹木について土壌改良や根の保護柵の設置などの樹勢回復措置を講じるとともに、民間所有の被爆樹木については、こうした同様の措置を行う所有者に対して、1本当たり60万円を上限に全額補助しています。
 本市では、引き続き、こうした取組を通じて、被爆樹木の適正な管理に努め、後世に確実に保存継承したいと考えています。

(藤本さとし)
 また、被爆遺構の展示施設への誘導路が作られたことで、峠三吉の詩碑が目立たなくなっています。碑文には、にんげんをかえせの一節が刻まれています。
「ちちをかえせ ははをかえせ」に始まり
「にんげんのよのあるかぎり くずれぬへいわを へいわをかえせ」と。
 この碑文を読み、核兵器の非人道性を考えることが、被爆の実相を継承する一歩になるのではないでしょうか。そこでお聞きします。
 広島市は、公園内にある詩人・峠三吉の詩碑の意義をどう認識しておられますか。また、この詩碑をはじめ、公園内にある碑の一つ一つを大切にし、適切に周知する必要があると思いますが、お考えをお答えください。

(市民局長)
 次に、市は平和記念公園内の峠三吉の詩碑の意義をどう認識しているのか、またこの詩碑を初め公園内にある日の一つ一つを大切に、適切に周知を図る必要があると思うかどうかについてです。
 峠三吉は、原爆に反対し、平和を希求する作品を数多く発表した原爆詩人で、平和記念公園の詩碑には、彼の代表的な作品である原爆詩集「にんげんをかえせ」の冒頭の詩が刻まれており、核兵器廃絶に向けた力強いメッセージを発信していると考えています。
 この峠三吉の詩碑の他にも原爆関連の碑は市内に点在しており、それぞれの碑には、原爆犠牲者への慰霊と平和の祈りなどの思いが込められており、ヒロシマの心を共有していただく上で、それぞれが唯一無二の大切な意味を持っていると認識しています。
 このため、本市ではこうした原爆関連の碑について、市民団体や郷土史家の方々がなどの協力を得て調査し、平成26年度からホームページで建立の経緯や碑文等を紹介しています。
 また平和記念公園内については、平和記念資料館ホームページで日本語と英語で紹介するほか、マップに碑の位置を示したリーフレットを作成し、それを活用した碑めぐりを広島平和文化センターと連携して実施するとともに、修学旅行生など平和記念資料館の来館者に配布するなどの周知を行っているところです。
 本市では、引き続きこうした取り組みを通じて、原爆関連の碑の周知を図り、多くの人々にヒロシマの心を共有していただきたいと考えています。

(藤本さとし)
 元安橋たもとでは、カフェポンテの施設拡張によって、広島郵便局職員殉職の碑や、原爆犠牲建設労働者・職人之碑がないがしろにされ、とくに、広島郵便局職員殉職の碑は、ビール瓶の空き箱やかごなどが碑の上に置かれることもあります。
 慰霊碑や記念碑が物置状態になっていることはたいへん残念です。広島市はこの状態に対してどのように対応されるのか、市の方針をお答えください。

(経済観光局長)
 被爆80年を迎える市の平和行政についてのうち、2点の質問にお答えします。
 まず慰霊碑や記念碑が物置状態になっていることについて、市としてどのように対応するのかについてです。
 元安川オープンカフェ周辺の河岸緑地は、関係団体、学識経験者および本市を含む行政機関で構成された、水の都ひろしま推進協議会とオープンカフェの出店者による協定に基づき、出店者が慰霊碑周辺の清掃等を実施することにより、河岸緑地の維持管理に努めています。
 議員ご指摘の施設の出店者に状況を確認したところ、そういった事実は確認できませんでした。
 仮に、店舗周辺の慰霊碑にものが放置されていた場合、この協定に基づき、協議会から出店者に対して、適切な維持管理をするよう指導することとなります。

(藤本さとし)
 被爆80年を区切りに、多くの人々に広島市に来てもらい、原爆ドームや平和記念資料館、慰霊碑、多くの原爆遺跡などに触れてもらうことは大変重要です。しかし、広島が発信する平和文化が、「にぎわい」づくりや観光政策の道具の一つとして見られ、核兵器廃絶を後景に追いやることがあってはなりません。
今、SNS上では、「広島市は原爆ドームや慰霊碑などの被爆遺跡を観光資源の一つとして見ているのではないか」「核兵器廃絶を薄めようとしているのではないか」と疑問の声が、市民から出されています。
 そこでお聞きします。ピースツーリズムとして、原爆ドームなどの平和関連施設を観光資源としてだけ見るのではなく、広島を訪れた方々が平和の尊さと非核の願い、言い換えれば本来の重要性をいっそう身近に感じ取れるような事業内容への充実を求めますが、お答えください。

(経済観光局長)
 次に、ピースツーリズムとして広島を訪れた方々が平和のとうとさや比較の願いを一層感じ取れるよう、事業内容の充実を求めるがいかがかについてです。
 ピースツーリズム推進事業は、世界の多くの人々に広島への来訪を促し、被爆の実相を伝え、ヒロシマの「平和への思い」を共有してもらうとともに、広島での周遊促進や滞在時間の延長につなげることを目的としています。
 具体的な取り組みとしましては、主要な平和関連施設等を巡るモデルルートを紹介したホームページの運営や、ルートマップの配布、周遊イベントの実施等に取り組んでいます。
 来年は被爆80周年という節目の年であることから、本市としましては、ピースリズムの認知度向上に向けた情報発信の強化や、周遊イベントの充実等に取り組んでいくこととしています。

(藤本さとし)
 温故知新の立場で、軍都であった広島の戦時中と、被爆後という過去を学び、広島の怒りと悲しみの歴史に心を寄せてこそ、被爆地広島の恒久平和の発信に説得力が出るのではないでしょうか。被爆80年を迎える広島市の核兵器廃絶に向けた決意を、改めてお聞きます。

(市民局長)
 最後に被爆80年を迎える広島市の核兵器廃絶に向けた決意を改めて聞きたいとのご質問にお答えします。
 先ほどもご答弁したように、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という訴えは、自らのつらい体験や憎しみを乗り越えた末に紡ぎ出された、人類全体の平和を願う崇高な理念へと昇華されたメッセージであり、こうした思いを世界中に広げていくことが被爆地の使命であると考えています。
 来年、被爆80年を迎え、被爆者の更なる高齢化が進む中、次世代への被爆体験の継承が喫緊の課題となっています。
 本市としましては、これからの市民社会を担う若い世代に、被爆者の体験や平和への思いを伝え、「ヒロシマの心」を共有してもらうために、修学旅行生の受け入れの拡大などを通じた平和学習推進やAI・VRを活用した次世代への被爆体験の継承に取り組んでいきたいと考えております。
 また、来年は長崎市で第11回平和首長会議総会を開催し、今後の活動指針となる次期行動計画を定めることとしており、「平和文化の振興」の取り組みの強化などを柱とした上で、市民やNGO等と連携しながら、世界の8400を超える加盟都市が連帯して広く市民社会の平和文化が根付くよう、一層取り組んでまいります。

【再質問】
(藤本さとし)
 まず、ノーベル平和賞の受賞の祝意を表すことですけども、やっぱり市民全体が本当にすぐ一目でわかるものは、懸垂幕ではないかと思います。
 昨日、市役所の本庁舎前と中区の区役所前の懸垂幕を見ました。本庁舎の懸垂幕は、夜10時になったらスマホゲームをやめようという「10オフ運動」、中区の区役所は「頑張れサンフレ応援します」です。いずれも大切ではありますが、時期を調整することはできると思います。
 特に中区の掲示場所には二つある掲示懸垂幕の区画のうちの一つは何も掲げられておらず空欄でした。ぜひ、市民全体にやっぱり祝意を表すということで、懸垂幕をこれからでも検討していただきたいと思います。

(市民局長)
 ノーベル平和賞受賞の祝意を表す懸垂幕を掲示したらどうかという再質問でございました。
 先ほどのご答弁の繰り返しにはなるんですけども、一連の取り組みを今、平和公園内の平和祈念資料館ですとか、国際会議場でいろんな取り組みをしているところですけども、これはやはり平和記念公園というのは一般の市民の方、資料館だけで1日5000人から多いときで1万人ぐらいの入館者が来られますけども、そこ平和公園全体で見ますと、通勤通学の市民の方々とかですね、あと国内外の観光客もたくさんおられる場所ということで考えればですね、こういった場所で今回の受賞の祝意に関する取り組みをするということは、最も被爆者の平和への願いと広島の心を多くの方に共有していただくということに効果があると考えております。

(藤本さとし)
 今答えていただいたんですけども、懸垂幕のことですけども、これはあの、観光客に見てほしいというわけでありません。市民全体がやっぱり喜びを共有しようということだと思うんですね。だから各庁舎への懸垂幕なんですよ。観光客に見てほしいんだったら、そんなとこにはある必要はないと思います。
 それで、市民全体への共有というか、それは一つの企画をやっても来られる人は数人、数百人とか千人です。市民の中から本当に一部です。懸垂幕であれば全ての人々がいつかは見ることができます。ぜひ考えていただけないでしょうか。

【再質問】
(藤本さとし)
 それと、被爆80年ですけれども、もちろんいろんな企画がなされております。私の母親も被爆者の1人であり98歳です。
 80年というのは、10年単位で見た場合、原爆被害を直接受けた生身の被爆者の方が、私たちの身近におられる最後の機会となると思います。
 そういう点で、被爆80年の企画の中心は、やはり被爆という事実を体験した生身の被爆者の心と思いを本当に中心にして、それをどう正確に受け継ぎ、世界に広げていくかにあると思います。
 ピースツーリズムという言葉には違和感を覚えます。旅行と平和と結びつけるということですけども、やはりちょっと視点が違うんじゃないかと、やはり商業主義に少しとらわれて、それでは多くの人々の理解を世界に広げることにはならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。

(経済観光局長)
 ピースツーリズムについて再質問いただきました。ピースツーリズムの中で例えば紹介していますモデルルートとしまして、原爆ドーム、それから平和記念公園、この他に本川小学校の平和祈念館ですとか、旧日本銀行広島支店、袋町小学校の平和祈念館を3時間程度で巡るようなルートを紹介しております。
 こういった施設なかなか知っていただけてないような施設を紹介し、広島に訪れていただいた方に被爆の実相を伝え、広島の平和への思いを共有してもらう、そういった迎える平和を進めている本市としましては、こういったピースツーリズム推進事業を進めていきたいというふうに考えております。

2.広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例案について

(藤本さとし)
 次に、広島市指定地域共同活動団体の指定に関する条例(素案)について伺います。
 市は、令和4年度から広島型地域運営組織としてひろしまLMO(エルモ)を基盤とした市民主体のまちづくりを推進されています。今年度の事業費は約3億2000万円で、財源の89%は一般財源です。
 国が令和6年9月26日に、市町村長が地域的な共同活動を行う地縁による団体等を指定地域共同活動団体として指定することができることを定めた「地方自治法の一部を改正する法律」が施行されます。
 現在のひろしまLMOの運営支援などへの地方交付税措置はどのくらいあり、それが指定地域共同活動団体になった場合にはどうなるのでしょうか。

(企画総務局長)
 広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例素案について、数点のご質問に順次お答えをします。
 初めに現在の広島の運営支援などへの地方交付税措置はどのくらいあり、指定地域共同活動団体となった場合にはどうなるのか。また現在のひろしまLMO認定された団体数と具体的な活動内容はどうなっているのかについてです。
 ひろしまLMOの運営支援などに要する経費に対しては、普通交付税と特別交付税が措置をされております。
 まず普通交付税は、本市の人口や人口密度などをもとに算出されるものであり令和9年度は1253万7000円が需要額に算定されております。
 次に特別交付税は、設立助成金や運営助成金、一括交付金の交付に要する対象経費のうち、先ほど申し上げた普通交付税算定額を上回る額の約4分の1が予算の範囲内で交付されるものであり、令和6年度は5155万円を国に申請しております。
 ひろしまLMOが指定地域共同活動団体になった場合の地方交付税措置につきましては、改正地方自治法に係る国会審議での答弁において、本制度施行後の条例の制定状況等を把握した上で、既存の地方財政措置を念頭に置きながら、必要な財政措置を検討する旨の見解が示されておりますが、具体的な内容は現時点では示されておりません。

(藤本さとし)
 また、現在のひろしまLMOに認定された団体数と具体的な活動内容をお尋ねします。

(企画総務局長)
 また、ひろしまLMOの認定団体数につきましては、令和6年12月5日時点で49団体となっており、地域の実情に応じて、祭りや防災訓練、児童・生徒の通学時の見守り、子育てオープンスペースの運営、高齢者のフレイルチェックなど、様々な活動が行われております。

(藤本さとし)
 地域によってはすでに、地域交通の確保や一時避難所へのワイファイ整備などに、ひろしまLMOを活用され、地域の安心の形成に力を発揮していると聞いています。
 しかし地域からは、高齢化した地域では地域運営組織の立ち上げに必須の監査人の人材確保や、申請書類などを整えること自体が難しい」というものです。ひろしまLMOを活用したくても、高齢化する地域の先行きを考えると、この制度を活用し続けていく展望が見えないというのが率直な声です。このような地域の悩みに対し、市はどのように答えて行かれるのでしょうか。

(企画総務局長)
 次に高齢化して地域では、地域運営組織の立ち上げに必須の監査人の確保や、申請書類などを整えることが難しいなどといった地域の悩みに対し、市がどのように応えていくのかについてです。
 高齢化などに伴い、担い手の確保や申請書類の作成などが難しいと感じている地域に対しては、引き続き、本市や市・区社会福祉協議会の職員が地域に出向き、各種の申請書類作成の助言のみならず、地域が抱える悩みに向き合い、一緒になって対応策を練るなど、地域に寄り添った支援を行ってまいります。

(藤本さとし)
 市は、この間「広島市地域コミュニティ活性化推進条例」の制定を準備されてきましたが、改正地方自治法が施行されたことを契機に、計画してきた条例の制定を10ヶ月程度前倒しし、令和7年2月定例会での条例制定を目指すとされています。
 改正自治法が施行された9月26日付けで総務省自治行政局が地方自治体に「指定地域共同活動団体」制度の運用等に係る考え方について」という通達を出しています。この通達に基づいてお聞きします。
 通達では、地域課題の解決に取り組む主体、広島市でいえば指定地域団体であるひろしまLMOが、民主的で透明性のある運営を担保することが必要としています。
 市の条例、第3条では、ひろしまLMOの指定要件として、地区・学区社会福祉協議会会及び、連合町内会・自治会が指定地域団体の必須の要件となっています。が、これらの団体は任意組織です。 ですから各組織の役員は、地域住民の総意で選出されているとはいえず、各団体の役員が個人的なつながりで役員を引き受けていただくようお願いし、何とか役員になってもらえる方がいて、今日まで続いてきたというのが実態です。
 そのような任意組織が、この条例により指定地域団体として指定され、広島市から財政的な支援を受け、地域で公的な役割を担う特別な立場を有することになるわけです。住民の日常生活に密接に関連する活動を行うことになるのですから、個人情報管理も含めた団体の適正な運営・透明性・公正性が求められます。
 なにより、これらの団体が地域での信頼関係がないと、市が目指す「共助」の力を発揮するとはできません。指定地域団体の要件に関して、市長の恣意的な運用を招かないだけでなく、団体の予測可能性を損なうことがないように留意する必要があるとしています。
 ひろしまLMOでは、指定地域団体の適正な指定、運営、透明性、公正性、地域との信頼関係などの点について、条例でどのように明記されるのか伺います。

(企画総務局長)
 次にひろしまLMOでは、指定地域団体の適正な指定、運営、透明性、公正性、地域との信頼関係などの点について、条例でどのように明記するのかについてです。
 ひろしまLMOが地域を代表する組織として信認を得る上で、民主的で透明性の高い運営の確保は欠かせないものであり、現行の認定にあたっても、それらを担保するための方法を規約で規定することなどを求めているところです。
 こうした中、改正地方自治法では、「民主的で透明性の高い運営その他適正な運営」という指定地域共同活動団体の指定要件について、その具体的な内容は条例で定めることとされているため、本市では、現行のひろしまLMOの認定要件等と同等の内容を定めることにしました。
 まず、民主的な運営に関する要件として、団体の運営に関する主な事項が、「団体の構成員の意思に基づき決定されていること」などを規定しております。
 次に透明性の高い運営に関する要件として、「活動の計画および実施の状況が公表されていること」などを規定していますおります。
 さらに、その他適正な運営に関する要件として、先ほど述べた規定による「適正な運営を確保するための方法が規約その他これに準ずるもの」に定められていることを規定しております。
 これらの要件を条例で明記することによって、指定地域共同活動団体における適正な運営の確保や地域との信頼関係の構築、本市における適正な制度運用が図られるものと考えております。

(藤本さとし)
 地域では町内会長が誰なのか知らないという方も少なくありません。このような状況では、その地域で暮らす人々が自ら助け合い、地域的な諸課題を解決するために共同することにはならないと考えます。
 さらに、町内会の役員同士のなかで考え方が対立する、あるいは地域住民の思想信条に町内会が口出しするなど、地域のなかでは、苦労が絶えない学区もあるようです。市は、このような地域の様々な実情をご存じでしょうか。
 このような地域団体の問題を解決しない限り、条例を策定しても一部の地域のみの活用にとどまり、真に共助の役割を果たすものにならないと考えますが、市の見解をお尋ねします。

(企画総務局長)
 次に地域では、町内会長が誰なのか知らないという方も少なくない。さらに町内会の役員同士で考え方が対立するなどの実情がある。このような地域団体の問題を解決しない限り、条例を策定しても一部の地域のみの活用にとどまり、真に共助を果たすものにならないと考えるが市の見解はどうかについてです。
 本市では、地域コミュニティを持続可能なものとするために、「自分たちの町は自分たちで創り、守る」という考え方のもと、ひろしまLMOを基盤とした市民主体のまちづくりを推進しております。
 そのため、本市としては、議員ご紹介の地域団体の問題は、まさに地域においてしっかりと話し合い、解決していただくことが重要であると考えており、そうした話し合いが地域で十分行われるよう地域の実情に応じてしっかりと伴走支援をしていきたいと考えております。

(藤本さとし)
 各団体に交付された助成金のうち、不用となった助成金は返却される仕組みにされるのかもお尋ねしておきます。

(企画総務局長)
 次に、各団体に交付された助成金のうち、不要となった助成金は返却される仕組みにするのかについてです。
 不用となった助成金は、現行制度と同様に、広島市社会福祉協議会に返還するか、翌年度に繰り越すかのいずれかの対応となります。なお、翌年度に繰り越す場合には、翌年度の助成金の交付額は、繰越額を差し引いた金額となります。

(藤本さとし)
 この事業は、指定地域団体ひろしまLMOに対し、市が公金を支出するわけですから、団体が活動実績を公表するだけでなく、支援の内容について自治体にも市民に対する説明責任があると考えます。ひろしまLMOでは、そのような仕組みはつくられないのかお聞きします。

(企画総務局長)
 次に指定地域共同活動団体への支援の内容について、自治体にも市民に対する説明責任があると考えるが、そのような仕組みを作らないのかについてです。
 改正地方自治法において、市町村長は、指定地域共同活動団体が行う特定地域共同活動の状況や当該活動に対する支援の状況について公表するものとされていることから、本市においても条例施行後にはこうした内容をホームページなどで公表することを考えております。

(藤本さとし)
 条例制定にあたり今後のスケジュールとして、条例素案に対する市民意見を11月下旬から12月下旬に1ケ月間、実施するとされていますが、市民への説明は12月8日の一日しか計画されていません。
 全市的な事業、全地域的な条例にもかかわらず、たった一回の説明会で済むと考えられている理由をお聞きします。

(企画総務局長)
 次に全市的な事業、全地域的な条例にも関わらず、たった1回の説明会で済むと考えている理由は何かについてです。
 このたびの説明会は、既に全140小学校区の過半数の地域でLMO作りが進む中、全市の関係者が一堂に会した場で説明し、質疑応答を行うことが有効であると考え、1回の開催としたものです。
 説明会は、市民の皆様に本条例の内容などを理解していただくために開催するものですが、特に関係が深いひろしまLMOの認定団体および設立を検討している地域には、個別にお声がけし、その大半が出席を予定しているところです。
 なお、当日都合により出席できない方に対しては、後日録画した内容をご覧いただけるよう、本市のホームページなどに掲載したいと考えております。

(藤本さとし)
 本来なら、条例に関する説明会を行ったのちに市民意見を募集すべきではないのですか。条例制定までのスケジュールが拙速すぎると考えます。
 もともと、条例は令和7年12月定例会に提出される計画だったのですから、慌てて条例制定せず、まずは、しっかり地域の実情と意見を聴いて、どの地域の市民も活用できる条例になるようにすべきではありませんか。

(市長)
 藤本議員のご質問にお答えします。「広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例素案について」のうち、条例制定時期の前倒しに関するご質問がございました。
 本市では昨年度から「広島市地域コミュニティ活性化推進条例(仮称)」の令和8年4月の施行を目指して検討を進めてきておりました。
 条例の検討を開始した当時は、本市が地域コミュニティの活性化を推進するための根拠法がなかったため、条例において地域コミュニティの活性化に関する基本理念などを定め、市民の皆様と共有することが重要であると考えて、理念的な要素とそれを実行するための手続きの両方を規定することを想定して有識者会議を立ち上げ、議論を行ってきたところです。
 こうした中、本年6月に国会において、市町村長が地域的な共同活動を行う地縁による団体等を指定地域共同活動団体として指定することができることなどを定めた地方自治法の一部を改正する法律が可決・成立し、本市が条例に盛り込む予定であった理念的な要素は、法律によって担保されることになったというふうに考えました。
 そのため、本市の条例は、改正地方自治法施行するための手続きを中心に規定する方向に切り替えて、その内容や考え方について有識者会議で議論し、条例素案をまとめた上で、先月の総務委員会でご報告するなど、来年2月の定例会に条例案を提出する準備が整ったと考えております。
 令和6年12月5日時点で、市内全140小学校区のうち49団体がLMOを設立し、24地域が設立に向けて検討中であるなど、地域の多くの皆様に賛同いただき設立が進んでいる中、既存のひろしまLMOの認定団体やLMOの設立を検討する地域からは、LMOへの支援に根拠法ができることや来年2月の定例会に条例案を提出することを評価する意見は多くありますけれども、議員ご指摘のような条例制定時期の前倒しに関する否定的な見解は聞いておりません。
 本市としては、本条例の前文に込めた決意を胸に、今後、指定地域共同活動団体となるひろしまLMOを基盤とした市民主体のまちづくりを一層推進し、持続可能な地域コミュニティの実現を目指していきたいと考えております。その他のご質問については、関係局長の答弁といたします。

(藤本さとし)
 通達では「市町村議会による関り」との項目で、団体の民主的で透明性の高い運営を確保するために、事前、事後チェックを適確に行えるよう議会が一定の役割を担うこととされています。指定地域団体ひろしまLMOに関して、広島市議会がチェック機能を果たすうえで、必要となる資料は、いつ、どんな内容で提供されるのかお聞きしておきます。

(企画総務局長)
 最後に、指定地域団体ひろしまLMOに関して、市議会がチェック機能を果たす上で必要となる資料はいつどんな内容で提供されるのかについてです。
 先ほどご答弁したとおり、本市としては、指定地域共同活動団体が行う特定地域共同活動の状況や本市による支援の状況をホームページなどで公表することにしていますが、具体的な公表時期や内容については今後検討することにしております。
 市議会においては、そうした情報に加え、既存の予算・決算に関する説明資料などをもとに、審議していただくことになると考えております。

3.PASPYの廃止について

(藤本さとし)
 次に、PASPY(パスピー)廃止についてお聞きします。
 来年の3月末で、市民が広く利用しているPASPYが廃止される予定です。代わりに、バス事業者ではスマートフォンによるMOBIRY DAYS(モビリーデイズ)が導入され、アストラムラインでは、これまで並行して使用されてきたICOCA(イコカ)だけを利用することになっています。しかし、スマートフォンを利用しない市民や障がいのある市民にとっては広電バスなどでは利用しにくくなるとともに、簡易型ICOCAでは、これまででPASPYでは利用できた運賃割引や乗り継ぎ割引が利用できなくなる重大な問題が発生します。
 こうしたことに対して、障がい者団体などからPASPY廃止の延期など、従来どおりの使い方ができる仕組みが要請されていて、このことに関する請願が市議会に提出されています。
 質問ですが、今回の料金支払いシステムの更新にあたっては、市からも相当額の補助がなされていますが、今回のようにシステムを変更するときには、それが市民全体の利益に資するものでなければならないと考えますが、どのようにお考えか、お答えください。

(道路交通局長)
 PASPYの廃止について、数点のご質問に順次お答えいたします。まず、乗車券システムを変更するときには、市民全体の利益に資するものではなく、なければならないと考えるが、どのように考えているのかについてです。
 公共交通は、市民の移動手段として必要不可欠なものであり、利用者の利便性と事業者の採算性の両立を図り、持続可能なものとしていく必要があると考えています。
 乗車券システムの変更についても、こうした考えのもとで進めていく必要があると考えております。

(藤本さとし)
 今回のPASPY廃止とMOBIRY DAYSシステムへの移行については、システムの老朽化に伴うものであり、更新が必要であろうことは理解します。ただし、広島市内の公共交通が利用者市民のためにあるものだという大前提を失うと、公共交通事業者の存在意義がなくなります。従って、乗車券システムを変えるときには、利用者市民全体の十分な理解が大前提だと考えるものですが、広島市としてはどのようにお考えか、お聞きします。

(道路交通局長)
 次に、乗車券システムの変更にあたっては、利用者の十分な理解が前提だと考えるが、市としてどのように考えているのかについてです。
 今回の乗車券システムの変更は、PASPYの更新に多額の費用が必要となることから、PASPY運営協議会が廃止を決定し、それに替わるシステムの導入については、各事業者の経営判断により行われたものです。
 本市としては、こうした新たな乗車券システムへの変更の際には、利用者が戸惑うことのないようしっかりと周知していくことが必要だと考えています。

(藤本さとし)
 利用者市民の中には様々な身体的条件を持つ人がおられます。特に、利用する際に、様々なハンディが考えられる利用者の意見を聞くことは、市民全体の利益にとって重要なことであると考えますが、市のお考えをお答えください。

(道路交通局長)
 次に、様々なハンディが考えられる利用者の意見を聞くことは重要なことであると考えるが、市の考えはどうかについてです。
 本市としてもハンディをお持ちの利用者からご意見を伺うことは当然重要だと考えています。
 広島電鉄におきましても、同様な考え方のもと、障害者団体等に対する説明会を開催し、対話の場を設けるなど丁寧な対応に努めているところであり、今後もこうした機会を設けていく予定と聞いております。

(藤本さとし)
 広島市行政としては、移動・交通に関するものを含めて、すべての市民の人権を保障する立場が求められると考えます。
 実際には、事業者が今回の新しいシステムを導入する前に、ハンディが想定される障害のある人たちや支援する団体、同様にハンディが想定される高齢者や支援する団体などに対して、新たなシステムを説明し意見を充分に聞く場を持ってくれていないと、請願を出された方々は指摘しておられます。
 これについて、市はどのように受け止めておられますか。また、意見交換がなされたなら、どのような意見が出されたのか、お答えください。

(道路交通局長)
 次に、ハンディが想定される障害者や高齢者および支援をする団体などに対して、新たなシステムの説明や意見を聞く場を設けてくれないとの指摘があったが、市はどのように受け止めているのか、また意見交換がなされたのであれば、どのような意見が出されたのかについてです。
 広島電鉄は、従前から要望のあった障害者やその支援者に対し、MOBIRY DAYSが稼働する前の本年8月23日に、その使い方等に関する説明会を開催し、その後も要望に応じて継続的に開催しています。このように可能な限り丁寧な対応を行っているものと考えています。
 8月の説明会の参加者からは、「障害者は現金利用者が多いので、現金チャージできる場所を増やしてほしい」、「MOBIRY DAYSの実機の利用体験ができる場所を設けてほしい」といった意見のほか、「今後もこのような対話の場を設けてほしい」といった意見があったと聞いています。

(藤本さとし)
 次に、MOBIRY DAYSという新しいシステムは、スマートフォンの利用が前提になっています。スマートフォンを利用しない人、あるいは利用していても、MOBIRY DAYSを利用できるほどに使いこなせていない人のことを考えたシステムなのかどうか、市はどのようにお考えか、お答えください。

(道路交通局長)
 次に、MOBIRY DAYSはスマートフォンより利用しない人、あるいは利用しているが使いこなせていない人のことを考えたシステムなのか、市はどのように考えているのかについてです。
 MOBIRY DAYSはスマートフォンを用いたQRコード決済のほか、専用ICカードも準備されており、スマートフォンを利用しない方、使いこなせない方にも対応したシステムであると考えています。 

(藤本さとし)
 MOBIRY DAYSでは、PASPYと同様のICカードも利用できるようになっており、金額のチャージはオートチャージの外に、現金でチャージできる専用窓口があるとしていますが、市内で16か所しかないのでは話になりません。こうした厳しい批判に対して、バスの中で現金チャージできるように検討すると広電側が発表したと聞きましたが、それは、PASPY廃止に間に合うのかどうか。ICカードについて、スマホを持たない方は窓口でカードを購入することになるが、それが難しい人の支援はどうなるのか、お答えください。

(道路交通局長)
 次にMOBIRY DAYSについて、バス車内でも現金チャージができるように検討するとのことだが、PASPY廃止に間に合うのか、また、ICカードについて、スマートフォンを持たない方は窓口で購入することになるが、それが難しい人への支援はどうなるのかについてです。
 広島電鉄に確認したところ、「電車・バス車内での現金チャージについては検討中であり、実施時期は未定です」とのことでした。
 また、専用ICカードを窓口で購入することが難しい方については、Webサイトからの購入や、家族などの代理人が窓口で購入することが可能となっています。
 このほか、広島電鉄では、本年9月に紙屋町シャレオに専用窓口を常設し、ひろしまゲートパークで開催されたイベントやバスまつりなどにおいて特設会場を設け、MOBIRY DAYSの登録や専用ICカードの購入の機会の拡充に努めています。

(藤本さとし)
 令和5年8月の総務省の調査では、全体でスマートフォンを持っている人の割合は78.9%となっており、6歳~12歳で49%、13歳~19歳で88%、60歳台で86%、70歳台で64%、80歳以上は28%となっています。
 この比率は、徐々に上がっていくのでしょうが、現状を考えれば、今回の新しいシステムは2割の市民を最初から無視したシステムになっていると言えます。もっと言えば、視覚障害のある方は一般的に、画面を見て操作するスマートフォンは扱えず、このシステムは視覚障がい者を無視したものです。
 さらに言えば、子どもや高齢者という最も公共交通が必要な人たちのことを無視したシステムを導入する判断を、広電などの交通事業者がしたということになります。しかも、そうした人たちの意見を聞くこともなく、公共交通として広島市が補助金を出しているにもかかわらず、会社の都合で決めてしまいました。
 こういう姿勢は、利用者市民のために公共交通事業を運営しているはずの事業者としては、余りにも問題が大きいのではないでしょうか。

(道路交通局長)
 次に、一部の人を無視したシステムの導入を判断した広島電鉄の姿勢は、使用者利用者市民のためにために公共事業を運営しているはずの事業者としては、あまりにも問題が大きいと思うかどうかについてです。
 今回の乗車券システムの変更は、更新時期となっていたPASPYの更新費用が多額となることが判明したことから、広島電鉄は自社でMOBIRY DAYSを開発、導入する経営判断をされたものであり、利便性をより高めるために、これまでのサービスに加え、PASPYでは実現できなかった地域独自の新たな運賃施策の柔軟な展開を可能としていることや、スマートフォンをお持ちでない方のための専用ICカードも用意されていることを鑑みれば、その判断は尊重すべきと考えます。

(藤本さとし)
 また、先ほど述べた請願が市議会に提出されたことについて、市としてはどのように受け止めておられるか、合わせてお答えください。

(道路交通局長)
 次に、請願が提出されたことについて、市としてどのように受け止めているのかについてです。
 請願については、市議会に対し、PASPY廃止に伴う社会的弱者への合理的配慮を求める内容が提出されたものと認識しており、現況に変化があった場合は速やかに建設委員会でご報告いたします。

(藤本さとし)
 請願を出された方々は、今回のPASPY廃止と新システム導入は、広電グループが中心になって進めてきましたが、導入するにあたって、障がいのある当事者や支援する人たち、高齢者や支援する人たちの意見を聞いていないと言っています。
 移動のために、公共交通機関の利用がどうしても必要な人たちで、その利用には十分な配慮が必要な人たちを置去りにして会社の都合だけを考えて新システムを導入するとしたら、これは、障害者差別、高齢者差別の考え方だと指摘せざるを得ず、公共交通事業者としては大きな問題があると言わねばなりません。
 公共交通事業者が公共交通を維持していくために、大変な努力をしておられることは承知していますが、これでは、だれもが安心して利用できる公共交通にはならないのではないでしょうか。
 この問題については、広島市が行政として支援することも含めて、置き去りになる市民が出ないように取り組むべきだと考えます。
 そもそも、システムを変更するときに、逆に利用しにくくなるのでは本末転倒であり、そういう利用者には、完全な代替手段を用意するのが当然です。また、広電側が表明したバス車内での現金チャージの実施が来年3月末に間に合わないなら、新システムへの完全移行は延期するべきではないでしょうか。
これらの点について、お答えください。

(道路交通局長)
 最後に、社内での現金チャージの実施が来年3月末に間に合わないなら、新たな乗車券システムの完全移行は延期すべきではないかについてです。
 PASPY運営協議会からは、「PASPYは、システムの老朽化に伴い令和7年3月29日をもってシステムを管理しているメーカーのサポートが終了するため、それ以降はサービスを提供できない」と聞いており、完全移行の延期は困難です。

【再質問】
(藤本さとし)
 最後にPASPYのことですけども、やはり広電側の急ぐ理由は私たちはよくわかりませんが、市がバス事業者にはこれまで多額の支援をしてきたところです。
 そういうところですので、やはり市内でいろんなシステムがある、同時にあるという状況は、やっぱりやめるべきじゃないかと。利用する交通機関によって支払手段が大幅に異なるということでは、やっぱり問題がある。
 やっぱり市内の交通というのは、市民が一つの支払い手段を大体持ってれば、どこにでも安全に行ける、安心して行けるという点での、広島市のリーダーシップをですね、本当によく持ってほしいと思いますが、それについてどう考えられているかお聞きいたします。

(道路交通局長)
 PASPYの廃止につきまして、現在大きく二つのですね決済システムになっているというところで、もっと市はリーダーシップを発揮すべきというご質問ということだと思います。
 まず急ぐ理由と委員からありましたけれども、先ほど来ご答弁しておりますように、PASPYの更新時期が来ておりまして、それが先ほど答弁しておりましたように今年度末ということになっています。
 それに向けて、各バス事業者がどういう次のシステムにしようかということをずっと協議しておりました。
 市もその間の中に入ってですね、可能であれば一つにするということで調整をしてきたわけですけども、新しいサービスを展開しやすくしたいというグループと、全国のICカードを使った方がいいというグループと、二つにわかれてですね、そこはどうしても一つにならなかったという状況であります。
 今はそういったような過渡期でありますが、その両方が一応使えるようにですね、事業者の方も対応しようとしているところでございます。
 今後はですね、市としても一つにするというのは当然やっていきたいというふうに思っておりますので、しっかりとリーダーシップを図っていく所存でございます。

(藤本さとし)
 PASPYの廃止に関わって、市の方もリーダーシップの不足があったと、今後ぜひやっぱり市民が惑わないよう、一つのシステムでできるようにということがありました。ぜひその点で力を入れていただきたいと思います。以上で終わります。

4.安佐南区上安の不適切な盛土の崩落対策について

(藤本さとし)
 次に、安佐南区上安の不適切盛土の崩落防止対策についてお聞きします。
 同地域では、広島市が設置を認可した民間事業者による産業廃棄物処分場からの土砂崩落と地下水汚染の危険性を地域住民の方々が早くから指摘されてきました。2021年7月に熱海市で土石流災害が発生した直後にも、地域の方々は上安盛土に対する不安を訴え、県による緊急の調査が行われた結果、産廃処分場として切り開いた山の一部に大規模な不適切盛土が確認され、わが党市議団も一刻も早い対策を求めて質問をしてきました。
 私も昨年、数名の方と一緒に、現地の盛土を視察してきました。盛土でできた山の表面は、普通の自然の山の地肌と異なり、雨などの水で表面の地肌が簡単にあちこち流れ出し、普通の山の表面とは違う異様な感じを私は抱きました。今考えれば、やはりそれが盛土の特長だったのだと思います。
 私の経験では、土石流は山の頂上付近の急斜面の土砂の崩れが発端となって、一気に山肌を流れ下ります。その要因になりかねないと、大変危険に感じたことを覚えています。
 この不適切盛土について、広島県は2023年8月から安全性把握調査を実施し、この度その結果ができて上安住民への説明会が行われました。
 それによると、不適切盛土内で今年6~8月の降雨・地下水位の実測値をもとに水位回帰分析を用いて1300ミリの降雨量が確認された令和3年6~8月期の降雨でシミュレーションした結果、地震時に盛土内で限界水位を超えて災害が起こる可能性があり、対策が早急に求められることが明らかになりました。実際に、調査中の今年6月末からの降雨により1地点で水位が6メートルも上昇し、その後も1か月近く高止まりするなど、「盛土内」の排水機能に課題があることも指摘されました。
 必要な対策として、盛土内部の地下水排水対策と盛土表面の浸食防止対策必要性が指摘され、既設の排水パイプで断裂・変形しているものは撤去・補修などの対策も必要としています。
 今回の調査では「盛土調査は県が行い、調査結果への対応は広島市が行う」と聞いていますが、広島市は今回の調査結果をどう受け止め、今後どう対応され、対策工事はいつされようとしているのでしょうか。 お答えください。
 また、盛土の安全対策工事はほんらい土地所有者の責務ですが、現状では所有者は不明です。これまで、土地所有者と盛土施工者が誰なのか、市が調査をすると聞いていますが、いつ、どのような調査をするのでしょうか。

(経済観光局長)
 安佐南区上安の不適切な盛土の崩落対策についての2点の質問にお答えします。
 まず、市は今回の結果をどう受け止め、今後どう対応し、対策工事をいつするのか、また土地所有者と盛土施工者が誰かどのような調査をするのかについてです。
 上安の盛土の安全対策については、県が安全性把握調査を実施し、市が調査結果への対応する役割分担としています。
 県からは、現状では問題はないが、過去10年間で最も多い降雨量でシミュレーションした結果、阪神・淡路大震災並みの地震があった場合に盛土内の限界水位を上回ることが想定されたこと等から対策が必要であるとの結果が示されました。
 このため、本市としては、盛土の安全対策について、県の関係部署と連携して対応しているところです。
 今後は、県の調査結果を受けて、引き続き盛土の土地所有者や施工者の調査を実施するとともに、本年度内に対策工法の設計を実施するよう準備を進めています。令和7年度以降の予定は検討中でございます。

(藤本さとし)
 施工者・所有者が掴めてない現状では、緊急を要することですので、行政による早急な代執行を求めます。
 さらに、この盛土は災害時に崩落・流出する危険性を否定できませんので、
 上安地域住民に多大な不安を与えています。豪雨災害が多発していますが、被災時に万一崩落・流失しても住民に被害を与えないよう、県などに相談し、他の災害とも合わせて安全な砂防堰堤などの早急な建設を要望する考えはありませんか。お聞きします。

(経済観光局長)
 次に、県などと相談し、安全な砂防堰堤などの建設を要望する考えはないかについてです。
 盛土の安全対策に係る県の調査結果では、砂防堰堤などの建設の必要性は示されていませんでした。
 今後とも、県の調査結果に基づいて、盛土の安全対策について県と連携して対応していくこととしています。

(藤本さとし)
 近年は、地球温暖化によって各地で災害が多発しており、安佐南区でもこの10年間で2回も大規模な豪雨災害に見舞われています。住民の命と財産を守るうえでも、早期に万全な災害対策が不可欠です。
 災害で被災したり、亡くなる方をゼロにする、行政の積極的な対策を求めて、質問を終わります。

TOPへ