議会での質問・答弁

2024年09月28日

2024年第3回 9月定例会 議案討論 藤本さとし

(藤本さとし)
 日本共産党の藤本さとしです。党市議団を代表して討論します。
上程された22議案のうち、反対するのは、第78号議案、第79号議案、第83号議案、第85号議案、および第92号議案の5議案です。その他の17議案には賛成します。以下、反対する議案について理由を述べます。

 第78号議案 令和6年度広島市西風新都特別会計補正予算(第1号)と、第79号議案 令和6年度広島市開発事業特別会計補正予算(第1号)は、民間開発に合わせてインフラなどの公共事業を担当した広島市が開発地の中で取得した宅地を売却し、その資金を西風新都特別会計から開発事業特別会計に移して、今後の開発事業を行う際の資金としてストックしておこうとするものです。
 開発事業は、広島市全体の財政の中で、その必要性、緊急性、資金面や財政面からの実現性などを総合的に検討したうえで実施されるものです。開発事業のための財源を市民生活のための財源とは別に蓄えておくというのは、次の開発事業の是非を判断する際の総合的な検討が、財政面から曖昧になりかねない問題をはらんでいると思います。
 市として全体の財政状況を考えながら様々な施策を検討する際に、開発資金だけは別建てにしてストックしておくのは、市民の要望に最大限応えようとする際に、別建てのストック分の資金がない分だけ、その実現性に制限が生じることになります。
 西風新都開発の中で行われた市の公共事業の資金の多くは、市民の税金です。今回売却した宅地は、市民の税金を使って行われた公共事業の結果得たものであり、それを売却して得た資金は本来の一般会計に移して、市民生活に必要な施策に充てられるようにしておくべきです。開発事業特別会計にストックして、次の開発事業だけをやり易くするやり方は大いに問題があります。
 次に、第83号議案「広島市国民健康保険条例の一部改正について」と、第85号議案「広島県後期高齢者医療広域連合規約の変更の協議について」です。この二つの議案は、マイナンバーカードの利用の実質強制を目的とした紙の保険証廃止に伴う改定や変更協議です。過料をなくすことや保険料の徴収猶予期間を1年に延ばすことは大切なことですが、マイナンバー制度そのものに重大な問題があるため、反対します。

 マイナンバーカードの保険証利用を国民に実質強制するために、国は「国民健康保険法」と「高齢者の医療の確保に関する法律」を改定し、それに合わせて広島市も「国民健康保険条例」の改定と、「後期高齢者医療広域連合規約」の変更協議を行おうとするものです。

 マイナンバーカードの取得はあくまでも国民一人ひとりの自由意志であり、取得しないことによって国民が不利益を受けることはないことを前提に、マイナンバー制度はスタートしました。
ところが、一昨年の10月になってデジタル大臣が紙の健康保険証の廃止を打ち出し、今年の12月2日で廃止することにして、国会で関連の法律を強行したため、医療や介護の現場の人々から厳しい批判の声があがりました。

 日本では国民すべてが安心して医療を受けることができるよう、国民皆保険制度のもと、住民は何の問題もなく医療を受けることができています。しかし、降って湧いたような、突然の紙の健康保険証廃止で、医療機関はじめ医療従事者や患者の間で混乱が生まれています。
 病院窓口のカードリーダーにマイナンバーカードを挿入しても顔認証がうまくいかなかったり、自分の暗証番号を覚えられずに入力できなかったりのトラブルが続出し、結局これまでの健康保険証を出したらすぐに解決したという事例がたくさん起こりました。

 現状では医療機関の窓口でマイナンバーカードをマイナ保険証として利用している方は、全国的にも少数です。 広島市でも、本議会での答弁にもありましたように、国保、後期高齢者医療ともにまだ10%台です。
 このような中で政府も、当面は12月2日以降も保険証の有効期限までは健康保険証を使用できることを決め、それ以降も保険証と同様に使用できる各保険の資格確認書を、保険者から送付することにしました。
 国際的にも先進国で、一つの番号で国民生活のあらゆる部面を管理しようという民主主義国はありません。そんなことをすれば、国民の大きな反発を招くため、実現していないものだと思います。
 民主主義国の日本で政府が国民生活のあらゆる面について一つのナンバーで管理しようとすること自体許されません。特に国民の医療や健康などの情報は、個人情報として最も情報漏洩を避けなければならないものです。

 さらに、昨年度の医療機関の休業・廃業、解散の件数は709件と過去最高で、その大部分を占めているのが、高齢になっても必死で地域医療を守るために踏ん張ってきた診療所で、政府が無理やり進めてきた医療機関のオンライン義務化についていけないところです。政府の無茶なやり方が、地域の命を危機に追い込んでいると言えます。デジタル化の名で、地域切り捨て・置き去りにすることは許されないと考えます。健康保険証廃止は、60年かけて築いてきた世界に誇る国民皆保険制度を破壊することにつながると考えます。

 DX化の進展は必要ですが、医療のDX化とマイナンバーを結びつけると情報漏洩のリスクがいっそう高まります。そのため、先進民主主義国では、分野ごとに異なるナンバーを使ってDX化が図られるなど、工夫がされています。
 広島市でも個人情報の保護に十分配慮した対策を取られるよう指摘します。

 次に、第92号議案「契約の締結について(中央図書館等移転整備その他工事・その2)」について、反対します。
この議案は、中央図書館および映像文化ライブラリーの移転整備並びに広島市郷土資料館サテライト(仮称)の整備工事の請負契約を結ぶものです。
 中央図書館を広島駅南口のエールエールA館へ移転させることには、広島市立図書館再整備方針に対する市民意見の募集結果でも、多くの市民が反対してきました。これまでの中央公園内での現地建て替えを求める市民の声を無視し、47億円を超える多額の資金を使って、市民のための図書館を駅前の商業ビルに押し込めるやり方は認められません。手続き上の問題も指摘されており、反対です。

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