議会での質問・答弁

2024年09月12日

2024年第3回 9月定例会 法人の経営状況の報告について質疑 中原ひろみ

報告第12号 公立大学法人広島市立大学の経営状況について
報告第13号 地方立独立行政法人広島市立病院機構の経営状況について

報告第12号 公立大学法人広島市立大学の経営状況について

(中原ひろみ)
 まず、公立大学法人広島市立大学についてです。
令和5年度と令和6年度の収支計画を比較すると、令和5年度は約18億9000万円の純益が出ていますが、令和6年度は、約2億7000万円の純損失を計上しています。一年間で利益が損失に変わるのは尋常ではありません。その理由をお聞きすると、令和5年度に会計上の基準の見直しがされ、約21億円の臨時利益を計上したことによるものだと説明をうけました。改めてこの臨時利益とは何なのか、会計基準を見直す必要性についてもお聞きします。

(企画総務局長)
 公立大学法人広島市立大学の経営状況について、初めに臨時利益とは何か、また会計基準を見直す必要性は何かについてです。
 これまで地方独立行政法人会計基準では、運営費交付金等を財源として償却資産を取得した場合、取得に要した費用を年度ごとの減価償却相当額に分割し、その金額を取得年度以降の各年度にそれぞれ収益として計上する仕組みとなっていましたが、民間の会計基準に合わせるという観点から、同会計基準が改定され、令和5年度より公立大学法人においても、企業会計と同様に、取得に充てた特定の財源を一括して収益化することになりました。
 このため、令和6年度以降に計上予定であった収益を令和5年度の収益として一括計上したことにより生じた利益を臨時利益として計上したものです。
 なおこの臨時利益は、令和6年度以降に計上される減価償却費と相殺されるため経年で見れば損益は生じません。

(中原ひろみ)
 また、積立金の取り崩しが、令和5年度は2805万円でしたが、令和6年度は5255万円と2倍になっています。積立金をどんどん取り崩す事態は経営に不安をもたざるを得ません。大学の事業活動に充てることができる積立金の残高はいくらにあるのか。市立大学の経営の安定化を推し量るうえで、令和3年・令和4年の損益額を教えて下さい。

(企画総務局長)
 次に、大学の事業活動に充てることができる積立金の残高はいくらあるのか。また、市立大学の経営の安定化を図る上で、令和3年、令和4年の損益額はどうなっているのかについてです。
 市立大学では事業年度の損益計算において利益が生じた場合、その全部または一部を、教育研究の質の向上および組織運営の改善に充てるための目的積立金として整理をし、市長の承認を経て、翌事業年度以降の財源に充てることができることになっており、この目的積立金の令和5年度末の残高は6億7772万5873円となっております。
 また、令和3年度および令和4年度の損益につきましては、令和3年度は9092万4419円、令和4年度は1億796万2089円の利益が生じております。
 なお、市立大学の財務につきましては、公益財団法人大学基準協会によります令和5年度認証評価の結果において、自己収入に関し、学生納付金は一定の水準を維持しつつ、目的積立金および利益剰余金を確保していることから、安定した財務基盤を維持していると言えると評価をされています。

(中原ひろみ)
 次は学生納付金収益について伺います。
 令和5年度の決算では、授業料収入が予算額より700万円程度少なく、入学検定料も200万円程度減少しています。
 令和5年度と6年度の予算を比較すると、学生納付金収益とされている授業料、入学料、入学検定料が294万円減少しています。
 この要因として、在籍する学生数や受験生の減少が挙げられています。学生はどの程度減ったのか。定員割れしているのか。学部入学者の出身地は市内、市外ではどのような状況なのかお聞きします。

(企画総務局長)
 次に、学生納付金収入の減少要因として、在籍する学生数や受験者数の減少が挙げられている。どの程度学生が減ったのか、定員割れをしているのか。学校入学者の出身地は市内市外でどのような状況なのかについてです。
 令和6年度の学生数は5月1日時点で、学部生が1749人大学院生が309人となっており、前年度の5月1日時点と比較して、学部生は27人、大学院生7人それぞれ減少しております。
 定員につきましては、3学部いずれも定員充足率が110%を超えており、定員割れはしておりません。
 一方大学院については芸術学研究科を除いて、定員充足率が100%を下回っており、定員割れをしております。
 また、令和6年度の学部入学者の出身地の内訳については3学部全体で広島市内が162人、率にして38.8%、広島市外が256人、率にして61.2%となっており、前年度と比較して広島市内は16人減少し、広島市外が15人増加をしております。

(中原ひろみ)
 次は交付金についてお聞きします。
令和6年度の交付金は前年度と比較して約2億円程度、増額となっています。交付金の増額理由をお聞きします。

(企画総務局長)
 次に、令和6年度の運営交付金は前年度と比較して約2億円程度増額しているがその理由は何かについてです。
 令和6年度の運営費交付金を増額している主な理由は給与改定等による教職員の人件費の増加や教員の定年退職者数の増加による退職手当の増加によるものです。

(中原ひろみ)
 決算報告書の支出では、燃料費高騰により光熱水費の支出が増え一般管理経費が1200万円程度増えています。この補填は市が行うべきと思いますが、どのようにされていますか。

(企画総務局長)
 次に、決算報告書では、燃料費高騰により、光熱水費の支出が増え、一般管理費が1200万円程度増えている。この補填は市が行うべきと思うが、どのようにしているのかについてです。
 エネルギー価格の高騰に伴う光熱費の上昇分については運営交付金や、先ほどご答弁しました目的積立金の活用により対応してもらうことにしており、令和5年度は目的積立金の取り崩しにより対応したと聞いております。

(中原ひろみ)
 また、市立大学は築後30年程度が経過し、建物等の修繕が必要な時期を迎えています。必要な修繕ができるよう市が交付金で支えることが必要だと思いますが、市の見解を聞いておきます。

(企画総務局長)
 次に市立大学は築後30年程度経過しており必要な修繕ができるよう、市が交付金で支えることが必要だと思うが市の見解はどうかについてです。
 市立大学の施設や設備の保全に必要な経費のうち、1件当たり100万円以上の大規模修繕については緊急性や金額の規模等を総合的に勘案し、優先順位をつけた上で、運営費交付金として予算措置をしており、令和6年度においては、空調設備の整備等のため、2億6948万円を交付しております。
 引き続き大規模修繕に要する経費については、大学施設全体のライフサイクルコストの圧縮を図ることを考慮しつつ、効率的かつ計画的に施設の管理および保全ができるよう予算化を図っていきたいと考えております。

(中原ひろみ)
 日本の高等教育の高さは世界でも異常で、先進国(OECD加盟国)の中で最下位です。
学生も保護者も学費を工面するために、苦しい生活を余儀なくなれ、多くの学生が奨学金という名の借金を背負っています。学生ローンを背負いたくないと、バイトを2.3件掛け持ちして毎日、働いていたり、生活費を全てアルバイトで稼ぐ学生や、進学そのものを諦めるケーもありました。
 子どもたちの学ぶ権利を保障してほしいとの国民的な要求が文部科学省を動かし、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度(世帯年収が約380万円まで)がスタートしています。令和6年度からは、多子世帯(扶養する子供が3人以上いる世帯)や私立の理工農系の学部等に通う学生等の中間層(世帯年収約600万円まで)への支援が拡大されています。
 市立大学では、この支援制度の中の授業料や入学金の減免対象となる学生は何人おられるのか。減免総額はどれくらいか教えてください。

(企画総務局長)
 次に、市立大学では就学支援新制度の中の授業料、入学料の減免対象となる学生は何人いるのか、また減免額はいくらかについてです。
 市立大学における令和5年度の実績は、授業料は対象者が225人で、減免額は9300万5950円、入学料は対象者が56人で、減免額は1278万4000円となっております。

(中原ひろみ)
 また、この減免額はどのように補填されているのか、減免の対象外となっている学生のうち、授業料の滞納はないのでしょうか。また、多くの学生が利用されている日本学生支援機構の奨学金を借りている学生数はどの程度おられるのかもお聞きしておきます。

(企画総務局長)
 次に、就学支援新制度の中の授業料、入学料の減免額がどのように補填されているのか、減免の対象外となっている学生のうち、授業料の滞納はないのか。また多くの学生が利用している日本学生支援機構の奨学金を借りている学生はどの程度いるのかについてです。
 就学支援新制度に係る大学の減収分につきましては、運営費交付金を算定する際に、大学の自己収入額から減収見込み分を差し引くことで予算を措置をしております。
 なお決算の段階で当初に見込んだ額以上の減収があった場合には市に返還すべき運営費交付金から相殺することにしております。
 また授業料滞納している学生数は、令和5年度の実績では8人で、日本学生支援機構の奨学金を借りている学生は、令和5年度の実績で513人となっております。

(中原ひろみ)
 高すぎる学費を半額に、そして無償にとの願いが広がる中にあって、先般来、広島大学が、東京大学に続き学費値上げを検討していることが明らかとなり、大学生のなかから「学費の値上げ反対」「教育の機会均等を保障してほしい」との声が上がり、署名活動が広がっています。
 広島大学2022年度「学生生活実態調査」では、「学費・生活費」のためにアルバイトをしていると回答した学生は、63.8%で、2年前と1割も増えて過去最高。市内の大学に在籍する学生に実態を聞くと、夜9時から日付の変わった深夜1時まで週3日、4万~5万円のアルバイトをしていると言います。
 市立大学の学生もアルバイトしないと暮らせない学生が大勢いるのではないでしょうか?食事はインスタントラーメンばかりという生活を送っている学生もいると聞いています。高い学費のもとで学生は食費を削り深夜までのアルバイトをせざるを得ず、健康や学ぶ時間が奪われていることは、心傷むことです。
 また、入学金の廃止も学生とその家族の大きな願いです。市立大学の入学金は市内の受験生は28万2千円、市外は42万3千円ですが、入学金をとるか取らないかを含め、金額も各大学の判断とされ合理的な根拠はありません。
 市立大学において、現在の金額を入学金として徴収する根拠は何なのかお聞きします。

(企画総務局長)
 次に、市立大学の入学料は市内のものが28万2000円、市外のものは42万3000円とされているが、この根拠は何かについてです。
 市立大学の入学料は、入学の日に属する月の初日の時点で継続して1年以上広島市内に住所を有しているものや、配偶者または1親等の親族が継続して1年以上、広島市内に住所を有しているもの等については28万2000円、それ以外のものについては42万3000円となっております。
 このうち、市内居住者等の入学料につきましては、国立大学の入学料と同額とし、それ以外のものの入学料については、市立大学が本市が設置し、運営費の多くを市税で賄っている大学であることを踏まえ、市内居住者等のメリットを確保するため、市内居住者等の入学料と1.5倍の差が設けられております。

(中原ひろみ)
 入学する権利を得るための入学金制度は、今や世界の中でも日本にしかないという状況です。世界に誇れるまちの実現を目指す広島市として、市が設立した市立大学において、入学金制度を廃止して、学生の学びを保障すべきと考えます。
 高等教育が個性豊かに多様性をもって自主的創造的に営まれるよう、社会の知的基盤としての大学の基盤を支えるのは市の役割です。
 “学費は利益を受ける学生本人が負担すべき”という「受益者負担主義」を教育に持ち込み、学費値上げを誘導するのでなく、高すぎる高等教育費の軽減のために、市が大学への交付金を増額し、入学金の廃止や授業料の引き下げなど、お金の心配なく学べるようにすべきではないかと考えますが、市の見解をお尋ねします。

(企画総務局長)
 最後に市が大学への交付金を増額し、入学料の廃止や授業料の引き下げなど、お金の心配なく学べるようにすべきではないかと考えるが市の見解はどうかについてです。
 市立大学における入学料や授業料は、大学の運営を支える主要な自己収入であり、その廃止や引き下げに当たっては、大学において慎重かつ丁寧な検討が必要であると考えております。
 本市としましては市立大学が大学の自治の中で実施する学生への支援に要する経費のうち、大学の運営や教育の質に影響を与える経費について、大学の設置者として運営費交付金で措置をしていくことにしており、引き続き学生がしっかりとした教育環境のもとで学ぶことができ、国際社会で活躍できる人材や、広島広域都市圏で活躍する人材の育成が進むよう、必要な措置を行ってまいります。

【再質問】
(中原ひろみ)
 たくさんお聞きしましたがちょっと二、三、再質問をさせていただきたいと思います。
 市立大学に関してですけれども、やはり安心して学ぶという、学ぶ権利を保障するために授業料を半額にしたり、無償にするというのが今大きく日本全国での願いなんですけどね。
 先ほども言いましたように、東京大学や広島大学などの値上げの動きがあるということなんですが、市立大学の授業料は、この国立大学の授業料との均衡を図るというふうにされておりますので、国立大学が値上げをすれば、それに合わせて市立大学でも授業料が上がっていくのではないかと懸念するわけですが、その点のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

(企画総務局長)
 初めに市立大学の東京大学など国立大学に合わせて、値上げをするのかというご質問です。
 これにつきましては現時点では市立大学から授業料値上げを検討しているということは聞いておりません。

(中原ひろみ)
 それから今若者の定着を図るというのは、広島市、広島県とも大きな課題になっておりますけれども、若者というときにやっぱり大学生が学んだ広島に残って、そこで働き子供を持ち、家庭を作るというのが一番に理想の若者定着の状況ですが、そういう点では市立大学の入学料をもう廃止するとか、抜本的な対策を行うことによって、広島に学び広島にお世話になった、この広島に残ってここで暮らしを立てようという、そういう広島愛といいましょうか、そういうものに大きく繋がっていくのではないかと私は思っておりまして、県外への流出を防ぐという大きな意味合いに繋がる、この大学の学びの環境保障ここに市立大学の力が大きいと思いますし、それを支える広島市の交付金の増額、これをやはり私は今、検討すべきではないかと思いますけれども、その点をお聞かせいただきたいというふうに思います。

(企画総務局長)
 もう一点は、若者の定着を図ることが重要だが、市立大学の入学料を廃止するなど、抜本的な対策を講じ、そのための費用を市の交付金を増額するなどして対応すべきではないかと、そういったご質問です。
 これにつきましては、まず一旦先ほどご答弁しましたように、市立大学の方で検討していただくことになるわけですけれども、まずこの市立大学の運営自体、この大きくは設置者である市の負担は主に税金による負担と受益者である学生あるいはその保護者からの負担で成り立っております。
 それに加えて、国は今学習意欲のある子どもたちを一定の要件のもとに、授業料や入学金の免除または減額、さらには返還を要しない給付型奨学金により、高等教育における就学支援を実施し、今年度からさらにその制度を拡充するとされております。
 こうした状況下の中で、入学料の廃止であるとか授業料の引き下げに係る補填を全て設置者である我々市の交付金において負担すべきだとする議員のご意見につきましては、市としては慎重に議論がなされるべきだというふうに考えており、安易に容認すべきではないと考えております。

 

報告第13号 地方立独立行政法人広島市立病院機構の経営状況について

 

(中原ひろみ)
 次は報告第13号 地方立独立行政法人広島市立病院機構の経営状況についてです。
 令和5年度の決算では約21億円の損金が出ていますが、同額を前期中期目標繰越積立金を取り崩すことにより、次期繰り越し欠損金はゼロとしています。取り崩し後の利益剰余金の残高は約3.6億円程度しかありません。
 第3期中期計画では、令和4年も5年も赤字となったため、積立てることができず、令和6年3月31日時点の積立金は「ゼロ」です。
 市民病院機構は、救急医療や、感染症対応など不採算部門を引き受ける市民の命の砦であり、安定的な先進医療の提供は、先進医療機器の整備だけでなく職員の処遇改善も不可欠です。経営を維持していくには、市が運営負担金を増額することが必要と考えますが、この点について まず、市の認識を伺います。
 市が病院機構に支出する令和6年度の運営費負担金は、前年度と比べ予算ベースで約6億円を増額し、約51億円となっています。なぜ、増額されたのか、市が交付金や負担金として支出する額はどのような基準で算出されているのかお聞きします。

(保健医療担当局長)
 報告第13号地方独立行政法人広島市立病院機構の経営状況についてのご質問に順次お答えいたします。
 まず、市立病院機構への運営費負担金について、令和6年度はなぜ増額されたのか、どのような基準で算出されているのかについてです。
 運営費負担金は、採算性の低い救急医療を初めとした政策的医療を安定的に提供していくこと等に必要な経費を本市が負担するもので、総務省が示している地方公営企業会計への繰出金基準を踏まえて、必要な額を算出しております。
 令和6年度は北部医療センター安佐市民病院の新病院建設事業に係る長期借入金の元金償還が始まったことが増額の主な理由でございます。

(中原ひろみ)
 次に、第三期中期計画(令和4年~令和7年)に掲載されている取り組みについていくつかお聞きします。
 まず、安佐市民病院の特別病室差額使用料についてです。従前の病院では、特別病室差額使用料は一日当たり13600円~1350円までの8段階に細分化されていましたが、建替え後は3段階の特別病室しかなく、最も安い特別室差額使用料は6300円で、従前の病院と比べ4950円も高くなっています。市民はとっては、高い医療費を請求されることになったわけですが、これによる差額ベッド収入はどれくらい増えたのかお聞きします。

(保健医療担当局長)
 次に、安佐市民病院の差額ベッド収入はどのぐらい増えたのかについてです。
 北部医療センター安佐市民病院の令和5年度の特別病室差額使用料収入は約2億1100万円であり、旧安佐市民病院におけるコロナ前の令和元年度の当該収入約1億3100万円と比較して約8000万円増加しております。

(中原ひろみ)
 次は、令和6年度からスタートした医師の働き方改革についてお聞きします。今年度の計画では、医師に適用される時間外労働上限規制や診療報酬改定に適切に対応するとしていますが、具体的にどのような対応をされているのですか?医師の時間外労働の実態はどのような状況ですか。
 働き方改革では、医師の時間外労働は年間960時間とされましたが、一部の医療機関では年間1860時間まで緩和されています。三次救急を担う市立病院機構においては、1860時間までの労働時間で働く医師がいるのか実態をお聞きします。働き方改革を進めるために何人の医師を募集されたのか、増員できた人数もお聞きします。

(保健医療担当局長)
 次に、医師の働き方改革について具体的にどのように対応しているのか、また、医師の時間外労働の実態はどのような状況か、何名の医師を増員したのかについてです。
 広島市民病院および北部医療センター安佐市民病院では、昨年度の時間外の実績が、今年度から上限とされる年間960時間を超えていた救急医療に携わる医師等について、この上限を1,860時間までとする指定を県知事から受け、対応しております。
 また、広島市民病院については、特に時間外勤務が突出して多かった外科の医師1名を増員しております。
 加えて、市立病院機構では、医師の事務的業務の代行を行う医療クラークの増員や、多職種間のタスクシフトの推進等に取り組み、医師の時間外勤務の削減を図っております。

(中原ひろみ)
 次に、看護師を始めとする職員の離職防止、業務の負担軽減に繋がる取り組みについて伺います。まず、看護師の離職・定着の状況を教えてください。臨床検査技師、薬剤師など全体的なスタッフの不足はないのかについても聞いておきます。

(保健医療担当局長)
 次に看護師の離職定着の状況はどうか、臨床検査技師薬剤師など全体的なスタッフの不足はないのかについてです。
 市立病院機構の看護師の離職率は、令和3年度が7.0%、令和4年度が7.2%、令和5年度が5.0%となっており、公益社団法人日本看護協会が公表している全国平均が、令和3年度が11.6%、令和4年度が11.8%であるのと比較して低い数値となっております。
 その他の医療施策につきましては、業務に支障が生じるような不足はないと聞いております。

(中原ひろみ)
 広島市民病院では昨年末に感染症病棟を一般病棟に戻す際、必要な配置定数24人に対し、産育休者の増加により当該病棟を担当する看護師が15人も不足したため、中7棟の病棟を一時的に休止する事態となりました。
 病棟の閉鎖などあってはならないことですが、病棟は再開されたのですか。病棟再開にむけてどのように看護師不足を解消されたのか。
市立4病院での看護師の離職防止・定着にむけてどんな取り組みをされるのか伺います。

(保健医療担当局長)
 次に、一時的に休止していた広島市民病院の中央棟7階の病棟はいつ再開されたのか、病棟再開に向けて看護師不足をどのように解消したのか。また、市立病院4病院での看護師の離職防止、定着に向けてどのように取り組むのかについてです。
 広島市民病院の中央棟7階の病棟については、昨年度コロナ対応後に一般病床に戻すにあたり看護師の確保が産育休者の増加により困難であったことから、一時的に休止しておりましたが、今年度の採用数を増やし、7月1日に再開いたしました。
 看護師の離職防止定着に向けては、各病院にキャリア支援担当を配置し、新人看護師等の職場を巡回して執務状況を把握し、本人や各部署の教育担当者に対して相談助言を行うなど、働きやすい職場環境の整備と新人教育の充実に努めていると聞いております。

(中原ひろみ)
 また、看護師の負担軽減を図るために配置する看護補助者の仕事内容はどのようなものですか。何人を配置する計画なのか伺います。

(保健医療担当局長)
 次に、看護補助者の仕事内容はどのようなものか、また何人の配置を計画しているのかについてです。
 看護補助者は配膳食事介助などの日常生活に関わる業務や病室の整頓、シーツ交換などの生活環境に関わる業務の他、診療材料の補充、整理、検体の搬送などを行っております。
 現在、市立病院機構全体で147名配置しており、今後各病院で必要に応じて増員等を行うことにしております。

(中原ひろみ)
 さらに、職員全体を対象にしたメンタルサポートシステムを構築するとしています。このシステムはだれがどのようなサポートをするのですか。
 実際にケアが必要な職員さんはどのくらいおられるのでしょうか。

(保健医療担当局長)
 次に、メンタルヘルスサポートシステムは誰がどのようなサポートをするのか、またケアが必要な職員は何人かについてです。
 メンタルヘルスサポートシステム等は各病院において、ハラスメント対策等の研修や職員全体を対象としたストレスチェック等を実施し、保健師が中心となって職員、職場に対し必要な支援を行う体制のことです。
 令和5年度は250人の職員に対して面談など、必要なサポートを行ったと聞いております。

(中原ひろみ)
 現場の看護師からは、看護師の定着の一つとして、有給の完全消化ができるように看護師を増やしてほしいという声や、一か月に10日もの夜勤は止めてほしいとの強い願いが届いています。また、医療現場では、高齢者の患者が増え、認知症やふらつきなど、医療行為よりも患者の起き上がり、徘徊など、見守りに手がかかる実態があり、介護に携わる人が医療現場にほしいと聞いています。このような現場の声を受け止め、病院に介護にかかわる人材の配置や看護師のさらなる増員が必要だと考えますが、市はこれらの願いをどう受け止められるのか、お聞きします。

(保健医療担当局長)
 次に、高齢の患者が増えており、介護人材の配置や看護師の更なる増員が必要ではないかについてです。
 市立病院機構からは、平成27年度から看護補助者を対象とした介助技術の習得訓練を実施し、介助の必要な患者に対応できるようにするなど、現場のニーズに応えるとともに、看護師の負担軽減を図る取り組みを実施していると聞いております。

(中原ひろみ)
 次に舟入市民病院について伺います。
 舟入市民病院は、24時間 365日の子ども救急を実施していますが、小児科のアレルギー外来との連携、アトピー患者専門医による診療の充実を図るなど、さらなる「小児科専門医療の充実」が中期目標に示されています。
 そのため、令和6年度では、小児科病棟における看護師の介入による食物アレルギー負荷検査等の充実をはかるとしています。
 子どものアトピーが増える中、アレルギー対応の強化は子育ての安心につながるものです。が、計画を実施するには体制が必要です。
 看護師が食物アレルギー負荷検査などに係るのならば、当然に、看護師の人員を増やすことが不可欠ですが、どのようにされるのですか。

(保健医療担当局長)
 次に、舟入市民病院において食物アレルギー負荷検査等を充実させるには看護師の増員が必要ではないかについてです。
 舟入市民病院では、令和4年度に小児科専門医療の体制強化のため、看護師を8名増員しており、これにより、食物負荷検査についても、小児科医師の監督のもと、看護師が実施できる環境となっていると聞いております。

(中原ひろみ)
 最後に滞納医療費の回収について伺います。
医療費の回収が困難な事案は、弁護士法人に回収委託等を行うとしていますが、弁護士に回収を委託する滞納額や滞納期間に基準があるのでしょうか。
令和5年度における医療費の滞納総額、滞納件数と、主な滞納理由をお聞きします。何件を弁護士法人に委託したのか、どれだけの医療費が回収できたのですか。弁護士法人への委託費と回収の効果についても伺います。

(保健医療担当局長)
 最後に、弁護士法人への滞納医療費の回収の委託について、委託する基準はあるのか、滞納の総額、件数および主な理由はなにか。また令和5年度の委託件数および委託料はいくらか、効果はどうかについてです。
 市立病院において滞納金が発生した場合、まずは当該病院職員が電話や郵送等により督促等を行い、多くは回収できておりますが、半年以上経過しても回収が困難なものについては、弁護士法人や回収を委託しております。
 令和5年度末時点での市立4病院の滞納総額は1億9657万8039円、滞納件数は6644件であり、滞納の主な理由は、所持金不足を主張されるケースが多いと聞いております。
 また、令和5年度の新規委託件数は313件で、委託料については回収した滞納金額の22%相当額としていることから、令和5年度においては、回収金額243万414円に対し、委託料は53万4680円となっております。
 弁護士法人への委託の効果について、市立病院機構では、一部滞納金の回収とともに、病院職員の負担軽減が図られることから、一定の効果があるものと考えております。

【再質問】
(中原ひろみ)
 それから病院ですが、差額ベッド料を聞いてやはり驚きましたね。 従来の安佐市民病院と比べて差額ベッド料の収入が8000万円増えたということで、これは病院側にとっては収入が増えるわけですが、市民サイドから見れば、新しい病院になって医療費を8000万円ほどたくさん払わなくてはいけなくなったということでしょう。
 やっぱりここは自治体が関わる病院としては、市民に新たな医療費の負担を持ち込むということはいかがなものかなというふうに思います。
 改めて、なぜこの最低の差額ベッド料を6300円までに引き上げられたのか。やはり儲けを優先されたのか、その辺のことをお聞かせいただきたい。

(保健医療担当局長)
 2点ご質問いただきました。順次お答えいたします。まず差額ベッドの関係でございます。
 なぜ6300円からの設定かということでありますが、これは新築に伴いまして、施設は新たに適切なサービスを提供するということのコスト等も勘案して設定したものでございます。
 そもそもその安佐市民病院は急性期等の医療になりますので、入院期間等としては長いわけではないのですが、支払わなくてはいけないという言葉もありましたけど、これはあくまで希望を聞いてですね、個室を望まれるという方について使っていただいて、その料金を頂戴しているというものでございます。

(中原ひろみ)
 それから滞納医療費の回収についてですが、ちょっと聞き取れなかったんですけども、滞納の理由は生活困窮ということをご答弁いただいたんでしょうか。
 もう一度そこを聞きたいと思いますし、1億9657万円ですから滞納総額は約2億円もあって、滞納されている方が6644件と、大きな数字だなと思います。
 やはりここには暮らしが大変という市民の暮らしのしんどさが、私は見え隠れしているんではないかと思うわけですけれども、1億9657万円の滞納総額のうち、243万円の回収だったという理解でよろしいんでしょうか。
 私は243万円しか回収できていないのかと受け止めざるを得ないのですが、先ほど医療費を徴収する事務負担の軽減ということもおっしゃいましたけど、そういう全体の費用対効果についてわかればお聞かせいただきたいと思うんですがいかがでしょうか。

(保健医療担当局長)
 もう一つ滞納について、理由は生活困窮であるかということでございましたけれども、あの所持金がないのでというふうに言われて、なかなかいただけないというのが多いということで聞いておりまして、それが本当に生活の困窮に起因するものかどうかというのは必ずしも判然としないところがございます。
 例えば家族がですね、入院して、滞納したままお亡くなりになって相続になったんだけれども、その家族の仲が必ずしも良くなくてですね支払わないというままで塩漬けになっているというような例もあると聞いております。

(中原ひろみ)
 差額ベッド料なんですけどね。新築だからということなんですが、新築であってもですね、やはり1350円が、従前では一番少額の差額ベッド料だったんですよ。
 望まないのに特別室に入れた場合には、これは本人から徴収はできません。だから望むわけだけど、望んだら1350円の部屋はないわけですよ。6300円払わなきゃいけないんですから、それは私は新築した時にですね、従前の安い差額ベッドの部屋もやはり提供できるような病院の体制にすべきではなかったかなというふうに思っております。
 今からでもできることであれば、そういう安い特別室も整備をしていただければと思うわけであります。

(中原ひろみ)
 市立病院も、それから市立大学もやはり若者の学びを支えたり、市民の命を守るという点では、本当に自治体の果たすべき役割が大きい分野です。
 国の方は国立大学の運営交付金を13%ぐらい削ったということが今回の東京大学や広島大学での授業料値上げに繋がっていってるようですから、国に学ばずにですね、広島市民の学びや命を守るためにしっかり市の役割を果たしていただきたいということを求めて終わります。ありがとうございました。

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