議会での質問・答弁

2024年03月26日

2024年第1回 2月定例会・予算特別委員会 2024年度関係議案討論 中村たかえ

(中村たかえ)
 日本共産党の中村孝江です。日本共産党市議団を代表して、上程された諸議案について討論を行います。
 反対する議案は、
第1号議案、令和6年度広島市一般会計予算、
第8号議案、令和6年度広島市後期高齢者医療事業特別会計予算、
第9号議案、令和6年度広島市介護保険事業特別会計予算、
第10号議案、令和6年度広島市国民健康保険事業特別会計予算、
第11号議案、令和6年度広島市競輪事業特別会計予算、
第14号議案、令和6年度広島市駐車場事業特別会計予算、
第15号議案、令和6年度広島市開発事業特別会計予算、
第42号議案、広島市介護保険条例の一部改正について、
第46号議案、広島市市営駐車場条例の一部改正について、
第50号議案、広島市火災予防条例の一部改正について、
第54号議案および第55号議案、連携中枢都市圏形成に係る連携協定の締結に関する協議についての12議案です。
 また、意見を付して賛成する議案は、
第16号議案、令和6年度広島市市立病院機構資金貸付特別会計予算、
第22号議案、令和6年広島市水道事業会計予算、
第23号議案、令和6年度広島市下水道事業会計予算、
第36号議案、広島市こども医療費補助条例の一部改正についての4議案です。
 その他の議案は賛成です。

 まず、第1号議案、令和6年度広島市一般会計予算についてです。反対の理由を述べます。
 今回の当初予算案の規模は、政令市移行後最大のものになっています。そうした下で、財政運営方針では、「あらゆる面で市民生活の質の向上を図っていけるよう、聖域なくあらゆる経費を見直す」としていますが、実際に提案された予算案は、大型開発は聖域としたまま、市民生活を圧迫するものであり、自治体の役割である住民の福祉向上に逆行しています。
 「にぎわい」や都市づくりには、惜しみなく予算をつける一方で、青少年のための施設は集約と複合化と称して機能縮小し、こども図書館やこども文化科学館も耐震工事と狭い範囲でのリニューアルのみです。老朽化する小学校のプールや公立保育園の計画的改修もしません。自校調理場を持つ学校もあるのに、修繕をせずに大規模給食センターに集約するのは、子どもの利益から考えても容認できません。地域の活性化のために尽力する中小企業への直接支援も乏しいままで、地域経済の主役である中小業者に冷たい予算案です。
「にぎわい」づくりの大型開発の下で、市民生活が犠牲になっています。とりわけ、高速5号線トンネル工事は、費用対効果を顧みずにコストを増やし続けているばかりか、事業費も工期も不明なまま工事だけは続けていることは、公共事業として異常と言わなければなりません。なおかつ、住民への被害を被害と認めないことも見過ごせません。
 新中央市場整備も、現在の取引高や今後の流通形態の変化から考えて、必要以上の機能を持たせた建替え計画になるのではないかと懸念しています。老朽化に伴う建て替えは必要ですが、にぎわいの創出のための施設は必要なく、安全・安心な生鮮食料品などを安定的に供給する役割をしっかりと果たせる機能に絞り、10年先15年先の経営を見通した計画にするべきです。
 中央図書館移転も、当初は、現地建替えより中古ビルへの移転の方が費用の面で優位性があるとされてきましたが、今回の予算特別委員会の中でも明らかになったように、移転に必要なフロアの買い取りが終わるまで賃料がかかり続け、さらに修繕費も毎年必要になるということで、移転に係る総額は不明だというのも重大な問題です。
 アストラムラインの延伸事業についてですが、平成27年の事業化判断時の利用者見込みが一日15,200人だったものが、今回の見直しでは、一日9100人と利用者が3分の1減少するということです。建設費は、平成27年は570億円だったものが、見直し後760億円と1.33倍に膨らんでいます。昨日の説明会に、広島市議団として参加しましたが、そこで住民から送迎用の駐車スペースがなければ利用できないという声がありました。市が見込んでいるより、さらに利用者が減ることになります。アストラムラインの経営全体で見ても、経営努力によって、少しずつ黒字が出ている状況で、この延伸事業によって、新たに大きな赤字経営に陥ることが予想されます。採算の見通しもないまま進めようとするアストラムラインの延伸事業は、賛成できません。

 第8号議案、令和6年度広島市後期高齢者医療事業特別会計予算、第9号議案、令和6年度広島市介護保険事業特別会計予算、第10号議案、令和6年度広島市国民健康保険事業特別会計予算について、一括で反対の理由を述べます。
 この間、国保の県単位化に伴い、国保料の引き上げが続いてきました。来年度の保険料の上昇抑制のために一般会計繰り入れをしているものの、依然高い水準となっています。松井市長になり、窓口一部負担減免など経済的な不安を抱える国保加入世帯への支援制度を縮小させており、住民の医療にアクセスする権利を阻害しています。
 後期高齢者医療保険、介護保険の引き上げも続いています。物価高騰の中で、年金は増えず、とりわけ中小企業では給与も物価高騰に見合った引き上げはほとんどありません。そうした下で、保険料引き上げの負担は、高齢者の生活だけでなく、現役世代の生活も圧迫します。市として、住民の健康と命を支えるには、不十分な予算と言わなければなりません。
 自治体が、医療や介護などの社会保障を充実させ、高齢者の暮らしを支えることは、現役世代や子ども達の生活や将来の備えを応援することでもあります。なお、42号議案は介護保険料引き上げに係る条例の一部改正のため、反対です。

 第11号議案は、競輪事業特別会計の予算です。市として、ギャンブル依存症の当事者や家族への支援の取り組みをしていながら、公営ギャンブルを続けることは矛盾しています。公営ギャンブルは、雇用対策をしっかりと行い、早急な廃止をすべきです。

 第15号議案の開発事業の特別会計予算は、大型開発推進のための予算であり、さきほど述べた理由から反対です。

 第46号議案の、広島市市営駐車場条例の一部改正についてですが、市民生活を考えれば、10円や30円であっても安易な値上げには反対です。なお、第14号議案、令和6年度広島市駐車場事業特別会計予算は利用料金値上げを前提とした予算のため反対です。

 第50号議案は、広島市火災予防条例の一部を改正するというものです。これは、建築基準法の改正に伴い、これまで木造建築に義務づけられていた屋内消火栓設備および自動火災報知設備の設置の基準を緩和するものです。
 今、住民の安全のための対策が、さまざまな分野で行われています。延焼の危険性がないなど特定の条件の下とはいえ、安全のための設備の基準を緩和させることには、違和感しかありません。また、この間の火災事故や地震での火災被害の状況を見ると、賛成できかねます。

 第54号議案および第55号議案、連携中枢都市圏形成に係る連携協定の締結に関する協議についてです。広島市が、新たに島根県飯南町と川本町と連携協定を締結するというものです。この間、日本共産党広島市議団は、この広域都市圏構想が県の役割を縮小させ、地域の衰退を加速させていきかねず、さらには県をなくし、地域を消滅させる道州制の布石となるため反対してきました。
 自治体同士が連携することは反対ではありませんが、それぞれの自治体が自立して地域の高齢化や過疎化の問題などに対応するためには、人員体制や予算の保障を国や県が行う必要があります。
 また、200万人都市圏構想の下で、経済のけん引役になることを名目に大型開発を進め、市民生活のための予算を削っていくことも問題です。国や県の役割を、広島市が請け負おうとする連携中枢都市圏構想そのものに反対です。

 次に、意見を付して賛成の議案のうち、16号議案、令和6年度広島市市立病院機構資金貸付特別会計予算についてです。令和6年から9年までの行政経営改革推進プランでは、市立病院は「地域の拠点病院として役割を担う」とされており、「安定した経営のための基盤づくりを進め、持続可能な医療提供体制を確保する」とあります。そうした中、舟入市民病院の小児診療機能が、県の新病院に集約されようとしています。県が進める小児救急救命センターの整備は大変重要です。
 しかし、地域の小児診療を担ってきた舟入市民病院の小児科医師を県の新病院に引き上げることに対し、地元では現地に小児診療を残してほしいと声が上がっています。市として、舟入市民病院に小児診療機能を残すべきです。同時に、現時点でも小児科医師は不足していることから、市および県は、今からでも小児科医師を育成する努力をすべきです。
 加えて、独立行政法人になり、広島市民病院は、昨年10月から看護師が足りずに中央棟の41床を休棟するという由々しき事態が起こっています。市民の命のとりでとして、独立行政法人でなく、自治体病院として運営する必要があるのではないでしょうか。いけんを述べておきます。

 第22号議案の令和6年広島市水道事業会計予算、第23号議案の令和6年度広島市下水道事業会計予算についてです。能登半島地震を教訓に、災害に強い上下水道の対策が求められています。とりわけ広島市はデルタ地帯の脆弱な地盤に人口が密集しています。これまで想定していないような規模の地震も考えられるため、老朽化対策および液状化にも対応するよう、耐震化対策を前倒しで進めるよう求めます。

 第36号議案の広島市こども医療費補助条例の一部の改正についてです。令和7年1月から、子どもに係る医療費の通院の補助対象を小学校6年生から中学校3年生まで拡大しようとするものです。これまで、多くの保護者や市民が求めてきた制度の拡大であり、大変喜ばしいことです。
 しかし、広島市だけでしか行っていない二段階の所得制限が残されたままです。今、子どもの医療費補助の対象が15歳以上、所得制限なしという自治体が、政令市だけでなく、市区町村の約9割にまで広がっています。広島市のように、中学3年生までで所得制限を設けているのは少数派です。市民は、年齢拡大とともに、所得制限の撤廃を求めています。
 2016年の制度拡大の際の付帯決議には、「今回の改正は大きな一歩であるが、広島市においては、引き続きこの補助制度を他の地方自治体の制度と比較しても全くそん色のないものとすべく、更なる充実に向けて取り組まれるよう、強く求める」とあります。今回の通院補助の対象年齢の拡大は、この付帯決議に基づくものではありますが、他の自治体とそん色のない制度の実現というのであれば、多くの自治体で所得制限をなくしていることから、広島市でも所得制限撤廃の早期の決断を求めます。
 以上で討論とします。

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