議会での質問・答弁

2024年02月19日

2024年第1回 2月定例会・予算特別委員会 総括質問 藤本さとし

1.放課後児童クラブについて
2.学校給食について
3.非正規職員について
4.病院の再編と体制について
5.農業振興について

1.放課後児童クラブについて

(藤本さとし)
 ご苦労様です。日本共産党の藤本さとしです。市議団を代表して総括質問をいたします。
 まず、能登半島地震で被害に遭われた全ての被災者の皆さんに心からお見舞いと哀悼の意を表します。今後1日も早い復興を期待しております。
 さて、日本経済が30年間停滞し、働く人の実質賃金が上がらない中で、物価高騰が襲いかかるなど、子育て世代の暮らしは深刻です。
 セーブザチルドレンジャパンが昨年11、12月に行った「2023年冬休み子どもの食・応援ボックス申込者アンケート」の結果によれば、アンケートに答えた6743世帯のうち、「昨年の今頃と比べて物価上昇により、お子さんの生活にマイナスの影響がありましたか」こういう質問に対して、「大いにあった」と答えた世帯が約56%、「ややあった」と答えた世帯が40%、合計約96%の世帯が、「影響があった」と答えておられます。
 長期にわたる経済の低迷と物価高騰から、子育て世帯のくらしを守る施策が急がれます。
 そのような中で、広島市は昨年4月から、放課後児童クラブの利用料を有料化されましたが、子育て支援に逆行しているのではないでしょうか。
 昨年6月議会では、令和5年度の児童クラブ申込者数は、5月1日時点で前年度と比べて703人減とのことでしたが、今年2月1日時点では、それがさらに増えて、785人減となっております。有料化で利用者が減少していることは明らかです。
 有料化でやむなく利用をやめた家庭では、子どもが家で1人ぼっちで過ごさざるを得ません。当局の方々はそれに心が痛まないのでしょうか。
 また、保護者からは「利用したいけれど、『有料化』で利用できず、仕事の選択肢が限られてしまった」などの声が届くなど、有料化が保護者の就労の障害にもなっております。
 放課後児童クラブを有料化した以上、設置者である広島市は、利用料に見合う施設整備と人員確保をただちに行う必要があります。
 しかし、保護者からは「施設によって格差を感じる」「利用料の一律負担は不公平だ」こういう不満の声も寄せられております。
 建築から40年の江波児童館は劣化がひどい上に、雨や雪が廊下に降りこみ、雨が降るたびに職員がバスタオルを廊下に敷くなどの対応に追われております。職員は「ひさしをつけてほしい」と要望されております。
 また、児童館の上階は市営住宅になっておりますが、空き家のベランダの手すりにたくさんの鳩が止まり、ふんや死骸などが児童館のテラスに大量にたまる事態になっております。職員は「週3回ベランダの掃除をするが追いつかない。市に施設整備の要望も伝えるが届かない」と言っておられます。
 保護者からは、「子どもが病気にならないか心配だ。対応に追われる指導員の先生も限界」と話されております。
 このひどい施設の状況を市当局は把握されていたのですか。今後どのような対応を考えておられるのですか。お聞きいたします。

(教育長)
 放課後児童クラブについての数点のご質問にお答えいたします。まず、江波児童館の施設の状況を指示当局が把握していたのか、今後どのような対応を考えているのかについてです。
 江波児童館については、市営住宅との合築施設であり、2階が児童館、3、4階が市営住宅となっています。鳩のふん害等については、市営住宅の住戸の一室に鳩が集まることが原因であったことから、昨年3月に当該住戸の割れていた窓ガラスを修繕することで、室内に鳩が侵入しなくなったため、ふん害等は一定の期間減少しました。その後、時間の経過とともに、再びふん害等が目立つようになったことから、11月にベランダの手すりに鳩除けのワイヤーを設置したものの、建物の別の場所に鳩が止まるようになり、現在もふん害等が続いているため、市営住宅所管課と協議しさらなる対策を検討しているところです。
 また、児童館北側の開放廊下に雨などの吹込みを防止するための対応についても、現場の状況を業者と確認し、関係課と協議しながら、現在具体的な対策を検討しているところです。

(藤本さとし)
 次に、指導員の欠員解消に向けた取り組みと認識についてお伺いいたします。指導員の欠員解消は待ったなしです。欠員のままでは児童・保護者に対する責任が果たせません。
 例えば、施設とは離れた場所で外遊びをしなければならない施設が全体の3割もあります。指導員は屋外活動のために事前に下見をし、活動範囲を定めて、指導員の配置を考えて準備をいたします。特に子どもたちを道路に出しての移動は、事故の原因になりますので、欠員のままではとても実施できません。
 今年2月1日時点で、指導員の欠員は定数563人のうち46人とお聞きしております。欠員解消のためには、会計年度任用職員を正規職員にするなど、抜本的な待遇改善を行い、さらに拡充を行うことが必要ではないでしょうか。お考えをお聞きいたします。

(教育長)
 次に、欠員の解消のためには、会計年度任用職員を正規職員にするなど、抜本的な待遇改善を行うことも必要と考えるがどうかについてです。
 放課後児童クラブ指導員の処遇改善につきましては、令和4年2月から国の補助金を活用し、基本給を3%程度引き上げる措置を行ったところであり、また、指導員を含めた本市会計年度任用職員の給与について、今年度の正規職員の給与改定に合わせて、令和5年4月分から増額措置を行うとともに、令和6年度から正規職員同様に、勤勉手当を支給することにしております。
 今後とも一層の処遇改善に向けて、国に対して更なる財源措置の充実を要望してまいります。
 なお、指導員をフルタイムを前提とした正規職員とすることにつきましては、平日の場合、午後1時から午後6時半までの開所時間に合わせて業務を行っている状況を踏まえ、パートタイムの会計年度任用職員として採用していることから、困難であると考えております。

(藤本さとし)
 放課後児童クラブ利用料の有料化は、まず安心安全の施設を作り、指導員の欠員をなくしてから検討すべきではなかったでしょうか。現状では、施設も人員も十分に整っていない放課後児童クラブの利用料は無料に戻すべきだと考えますが、見解を求めます。

(教育長)
 次に、現状では施設も人員も十分に整っていない放課後児童クラブの利用料は無料に戻すべきと考えるかどうかについてです。
 放課後児童クラブについては、事業費が年々増加し、多くの保護者からサービスの向上が求められる中、令和5年度、5年度から、保護者ニーズの高いサービス向上策の実施に合わせて適切な負担軽減措置を組み込んだ上で、利用者負担を導入したものであり、今後も同様の考え方で、事業の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
 その前提として、サービス提供に必要な人員は適正に配置すべきものと考えており、やむを得ず正規指導員に欠員が生じた場合でも、配置基準を下回ることのないよう、有資格の臨時指導員を配置し、必要な体制を確保しているところです。
 また、施設面につきましては、令和4年度までに洋式便器の複数化や、本市において更新を行うためのエアコンの引き取りを実施しております。
 個別の施設修繕については、従来から現場からの要望等も踏まえ、児童の安全に直接関わるなど、緊急性の高いところから順次対応しているところですが、今回の見直しを機に修繕予算額を増額していることから、これまで以上に積極的に環境整備に取り組んでまいります。

2.学校給食について

(藤本さとし)
 次に、子どもたちの笑顔が広がる、安全で美味しい学校給食の無償化を求めて質問します。子どもたちにとって、学校給食は、同じものを食べて、味を共感したり、話し合ったり、苦手な食材にも挑戦するなど、楽しく大事な学びの時間でもあります。
 物価高騰が長引く中で、義務教育を無償とする憲法に基づき、豊かな学校給食を子どもたちに無償で届けようと、全国で運動が広がり県内でも無償化を進める自治体も生まれております。全国で小中学校ともに、給食費を無償化している自治体は、日本農業新聞によると、2017年、76自治体から、昨年8月には491自治体へと広がっております。
 「隠れ教育費」の研究をされている千葉工業大学准教授の福島尚子氏は、文科省の調査で、学校給食費は年間の全国平均が、小学校で4万9247円公立中学校で5万6331円となっております。
 学校給食費と学校教材費を合わせた隠れ教育教育費の総額は、無償と言いながら、公立小学校で年約11万5000円公立中学校で、年約18万9000円になります。この隠れ教育費の中でも学校給食費は大変重い負担になっていると指摘をされております。
 世田谷区は昨年4月から、物価高騰対策として、区立の小中学校約5万人を対象に無償化をいたしました。保坂区長は、少子化対策や義務教育無償化を進めるためにも、物価高の状況が変わらず、国として、教育費無償化をされるまでの間は続けるとされております。
 広島市で学校給食の無償化に必要な予算は49億円です。国の幼児教育、保育の無償化によって浮いた財源32億円をそれに学校給食に回せば、あと17億円あれば実現できます。
 松井市長はにぎわいを創出するとして、高速5号線などに多額の予算を使っておりますが、予算の使い方を変えれば、小学校学校給食無償化は実現できるのではないでしょうか。
 2018年に国会でわが党の吉良よし子参議院議員が「学校給食は、憲法26条の定める義務教育の無償の範囲であり、学校給食法第11条で保護者負担とされている食材費を自治体が全額補助することを否定しない」という国会答弁を引き出しております。
 広島市も、第三子と言わず、学校給食は完全に無償化すべきではありませんか。また学校給食法第11条根拠に、無償化しない理由はないと思いますが、市長の見解を求めます。

(教育長)
 続きまして、学校給食について学校給食法第11条を根拠に、無償化しない理由はないと思うが、給食費の無償化についてどのように考えているかについてです。
 議員ご指摘の学校給食法第11条は、学校給食費を地方自治体が補助することを否定するものではなく、学校給食の実施に必要な経費に係る分担の原則を定めたものです。
 本市ではこの原則にのっとり、学校給食の運営に要する経費は、学校設置者である本市が負担し、食材費は学校給食費、給食費として保護者に負担していただいています。
 その上で、従来から就学援助制度等により、一定所得以下の世帯の学校給食費を援助するとともに、その他の世帯についても、昨今の物価高騰下でも負担が増加しないよう、国の交付金を活用して支援しているところです。
 学校給食費の無償化については、国民における公平性確保の観点から、基本的には国の責任において統一的に実施されるべきものと考えており、指定都市市長会を通じて、全国一律の負担軽減制度を創設するよう現在働きかけているところです。

3.非正規職員について

(藤本さとし)
 次に、自民党政治は柔軟な働き方と言いながら、大企業の雇用の調整弁として、低賃金の非正規ワーカーを大量に生み出し、格差と貧困を広げ、失われた30年という日本経済の停滞をもたらしました。
 住民福祉の向上を図るべき国や自治体でも、コストカットと称して、公務員を削減し、指定管理者制度などによって公共の役割を後退させてきました。広島市も同様です。
 そして指定管理者など、自治体から委託を受けて事業を行っている多くの団体で、特に文化やスポーツ、保育や福祉などの分野で非正規雇用が多用されてきました。
 住民福祉の福祉と健康の増進を目的とする自治体が、率先して働く人々の暮らしを守るためにも、非正規職員の待遇改善、正規職員化を進めることが必要ではないでしょうか。
 広島市は、人事の考え方として、「業務内容や責任の程度」「政策立案は正規職員、補助的定型業務は会計年度職員など非正規職員」というように、業務内容の分担をされておりますが、正規職員も非正規職員も、責任を持って業務に向き合うことに変わりはありません。
 ここで広島市の正規ワーカーのいくつかのケースについて紹介いたします。消費生活相談員は、行政職員でありながら、民間同士のトラブルに立ち入り、解決に導くため知識だけでなく、人生経験も必要になる独特な仕事です。高いスキルが必要な上に国家資格を持つ専門職にも関わらず、全員が会計年度任用職員で非正規です。
 学校や保育園の給食調理員は、半数以上が会計年度任用職員です。
 同じ職場で同じような仕事をしているにもかかわらず、会計年度任用職員は、無期転換ルールもなければ、働き続けることができたとしても、定期昇給が正規職員と比べ4分の1しか上がらないというのは、差別的な待遇と言わなければなりません。
 各区の図書館司書は、指定管理者の嘱託職員として、退職金もなく基本給に30時間程度のみなし残業代を含めて、月額約18万円の手取りで専門的業務に携わっております。
 「文化で自立した人を育てる」という理念のもと、司書の皆さんは、レファレンス業務を始め、図書案内や専門書の展示など、業務に携わっておられます。
 こうした専門資格を持ち、知識や経験を生かしやりがいを持って仕事をする職員を専門性を軽視した低賃金の不安定雇用におとしめている実態は、世間でいう「やりがい搾取」と言わざるを得ません。
 やはり広島市も恒常的に必要な業務は、正規職員が担うことを原則にしてこそ、公共の現場で働く職員がやりがいと誇りを持って働くことができ、市民サービスの安定的な提供が保証できるのではないでしょうか。
 そこでお聞きします。市はこれらの専門的な職務であっても、会計年度任用職員でいいというお考えなのでしょうか。正規職員にすべきではありませんか。お答えください。

(企画総務局長)
 正規職員について、2点のご質問にお答えいたします。
 初めに市は専門的な職務であっても会計年度任用職員でいいという考えか。正規職員にするべきではないのかについてです。
 本市では、令和2年度からの会計年度任用職員制度の導入期に、全ての非常勤職員および臨時職員について、職の再設定を含む抜本的な見直しを行い、ここの業務の内容や責任の程度などを踏まえた業務の性質により、正規職員と会計年度任用職員の役割分担の整理を行いました。
 行政需要が多様化する中にあって、会計年度任用職員は行政の重要な担い手となっており、今後も個々の具体的な事例に即して、正規職員と会計年度任用職員の役割分担について適切に判断していきたいと考えております。

(藤本さとし)
 ジェンダー平等の実現には、男女の賃金格差をなくすことが土台となります。
 市職員の男女賃金格差は現在、男性は女性の83.8%と大きな差があります。その原因は、市の正規職員、の男女比の構成にあります。
 昨年4月1日時点で、市の正規職員は男性が60.4%、女性が39.6%です。ところが、非正規職員の男女比は男性が13.8%、女性が86.2%と、女性が圧倒的に多くなっております。非正規雇用の女性比率の多さが、男女の賃金格差を広げる大きな要因となっております。
 広島市は、男女共同参画基本計画で「女性の幹部職員への登用推進」や「男女がともにその個性や能力を十分に発揮することができる働きやすい職場作り、ワークライフバランスの促進」を掲げています。その広島市こそ非正規雇用の待遇改善や、正規職員化を率先して進めるべきではないでしょうか。
 そこでお聞きします。市は、会計年度任用職員は子育てや介護などでフルタイムが勤務が困難な女性にニーズがあると言われています。短時間勤務であっても、常に必要な業務であるならば、短時間正規雇用など働く人を支える制度を探求されてはいかがでしょうか。見解を求めます。

(企画総務局長)
 次に、会計年度任用職員は、短時間勤務であっても常に必要な業務であれば短時間正規雇用とするなど、働く人を支える制度を探求してはどうかについてです。
 本市では、会計年度任用職員が安心して働くことができるよう、その処遇について、毎年関係者と十分な協議を行い可能な限り手厚くなるように取り組んで参りました。
 具体的には、会計年度任用職員の任用回数は、上限を設けない他、職務経験を考慮した給料の格付けや昇給の実施、休暇制度や社会保険の適用など、その勤務条件の改善に向けて取り組んでまいりました。
 また、来年度からは正規職員と同じ月数の期末勤勉手当を支給することにしており更なる処遇改善を実施いたします。
 引き続き、会計年度任用職員の適正な処遇を確保するという考え方のもとへ国や他の政令市の動向など集中しつつ、関係者とも協議を重ねながら、その改善に向けて適切に対応してきたいと考えております。

4.病院の再編と体制について

(藤本さとし)
 次に、広島県は広島駅北に1000床の新病院建設の具体化を進める「高度医療・人材育成拠点推進会議」を開催し、新病院の開院予定である2030年度を待たず、来年4月から県立広島病院とJR広島病院を独立行政法人が運営するとしております。
 しかし、1月22日には、南区、中区を中心とした市民が、「周産期医療も含めて総合病院として県立広島病院跡地に地域医療を残してほしい」「独立行政法人化にしないでほしい」と請願署名を知事に提出するなど、県立広島病院の移転・統廃合に市民の合意は得られておりません。
 県立広島病院、JR広島病院、中電病院の統廃合で、病床は235床も削減されます。南区だけで見れば、県立広島病院の712床の入院ベッドがなくなり、中区では中電病院の248床が取り上げられるのですから、身近な場所で医療が受けられなくなると、地域住民に不安が走るのは当然ではないでしょうか。
 地域から医療施設を取り上げることは、県が掲げる地域医療構想の「身近な地域で質の高い医療介護サービスを受け、住み慣れた地域で暮らし続けることができる広島県の実現」という理念に反します。
 県に対し、病床を削減する「高度医療・人材育成拠点基本計画」はやめるよう市から求めるべきではありませんか。

(保健医療担当局長)
 病院の再編と体制について、2点のご質問にお答えいたします。まず、病床を減らす県の高度医療人材育成拠点基本計画はやめるよう市から求めるべきではないかについてです。
 県の新病院計画は、地域完結型医療の実現と、若手医師等の医療人材を確保、派遣循環する体制の構築を目指すものであり、本市としては、本市が目指す資質の高い効果的、効率的な医療提供体制の構築に資するものであると認識しております。また、同計画の実現に当たっては、住民の不安等への誠実な対応が不可欠であると考えており、これまでも県に対し、地元住民の思いに最大限配慮し、その理解を得ながら丁寧に進めるよう意見するとともに、住民アンケートの結果等を踏まえて、よりよい医療環境を提示するよう求めてきているところです。こうしたことを踏まえ本市では今後も、県の検討状況を注視しながら、必要な働きかけを行っていくこととしており、県に対し計画の推進をやめるよう求めることは考えておりません。

(藤本さとし)
 特に南区では、子どもを産める病院がなくなるとの不安が広がっております。南区には産婦人科はありますが、分娩を扱う医療機関は少なく、県立広島病院が移転すると、妊産婦にとっては大きな負担となります。特に、島しょ部に暮らす若い女性にとっては、県立広島病院は頼みの綱です。 市長も重要施策としておられる「少子化対策」や「持続可能な地域づくり」には、命を守る病院が不可欠です。広島でも大地震の危険も近づいております。超高齢化社会の中で安心して子どもを産める自治体病院が、身近な場所に必要なのではありませんか。市の認識をお聞きします。

(保健医療担当局長)
 次に、少子高齢化社会の中、安心して子どもを産める自治体病院が身近な場所に必要なのではないかについてです。
 県は、新病院に県内の周産期医療機関や地域の産科の医療機関と連携しながら、24時間365日、ハイリスク分娩に積極的に対応する総合周産期母子医療センターを設置することとしており、これまで以上に安心して子どもを産める環境が整えられるものと考えております。

(藤本さとし)
 県は昨年9月定例県議会で、南区の県立広島病院を約29億円で解体し、必要な「医療」「介護」「福祉」のサービス体制を整えるとの方針を示しています。しかしその後、医療機能については何一つ具体化されておりません。病院を建てるという話は一切ありません。
 県に対し、跡地に整備する具体的な医療機能を早期に地元に示すよう、市からも強く求めるべきではありませんか。お聞きいたします。

(保健医療担当局長)
 次に、県に対し、跡地に整備する具体的な医療機能を早期に地元に示すよう求めるべきではないかについてです。
 県は、県立広島病院の跡地活用の方向性として、対象地周辺において引き続き、地域の方が安心して暮らし続けることができるよう、地域の医療機関との連携や、高齢者等のアクセスを考慮した上で、必要な医療介護福祉サービスを受けることができる体制を整えるなどと示したところであり、現在その具体的な検討を行っているため、本市としては、その検討状況を注視しながら、県に対し必要な働きかけを行ってまいります。

(藤本さとし)
 次に、県の再編計画では、舟入市民病院の小児診療機能や土屋総合病院の小児循環器診療機能および、その他の医療機関の一部機能についても、新病院へ集約が検討されております。
 各病院の優れた診療科を県が集約する「良いとこ取り」のやり方は、病院の淘汰に繋がりかねないかと危惧されます。優れた診療科を奪われる舟入市民病院は、その後の経営が厳しいものになるのではありませんか。市の認識を伺います。
 舟入市民病院は、令和6年から9年までの行政経営改革推進プランでは、「地域の拠点病院としての役割を担うため、法人として、より安定した経営のための基盤作りを進め、持続可能な医療提供体制を確保するとしております。
 今後舟入市民病院が経営悪化に陥った際には、市が経営改善のための直接支援をされるお考えがあるのか、おたずねします。

(保健医療担当局長)
 次に、舟入市民病院は、小児診療機能の新病院への集約により、経営が厳しいものになるのではないか。また今後、舟入市民病院が契約に陥った際、市が経営改善のため直接支援する考えはあるのかについてです。
 現在市立病院機構では、舟入市民病院が引き続き市民に必要な医療を安定的に提供できるよう、小児診療機能の移管を見据えた病院のあり方の検討を進めているところであり、将来収支についても検証した上で、安定的な病院運営となるよう取り組んでいくと聞いております。
 また仮に、舟入市民病院の経営が一時的に悪化することがあった場合でも、市立病院機構全体で収支の改善を図るよう取り組んでいくと聞いております。

(藤本さとし)
 すでに医療現場では、病院から高度医療に関わるスタッフが引き抜かれるのではないかと不安が広がっております。
 西区の市民からは、子どもの容態が急変したときには、日曜日は深夜でも舟入市民病院に行けば診察してもらえる安心感があったが、広島駅北口までは遠い」「舟入市民病院の24時間365日の小児診療機能を取り上げないでほしい」との声が寄せられております。
 舟入市民病院は、小児救急医療の拠点病院です。これまで広島市が人・モノ・カネを投入して、子どもの命を守るための最前線の医療としてのスキルを蓄積してきた誇るべき財産です。その小児診療機能を県立広島病院に集約することに、市として異論はないのでしょうか。
 引き続き舟入市民病院が担うべきではありませんか。市の見解をお聞きいたします。

(保健医療担当局長)
 次に、舟入市民病院の小児診療機能を県立広島病院に集約することに市として異論はないのか、小児診療機能は引き続き舟入市民病院が担うべきではないかについてです。
 県は、新病院に多くの小児科医師等を集約し、小児の1次救急から3次救急まで対応する。中国地方初のER機能を併設した小児救命救急センターを整備することにより、全ての小児救急患者への高度かつ迅速な対応が可能になるとともに、若手医師の安定的な確保が図れるとしており、このことは、本市が目指す質の高い効果的、効率的な医療提供体制の構築に資するものであると考えられることから、本市としては、舟入市民病院の小児診療機能を新病院に移管する予定としております。

(藤本さとし)
 広島市は2014年に、広島市民病院を独法化し、独立採算への流れが強まる中で、「人員確保や物品購入にも苦労している」と、病院の関係者などから聞いております。特に労働強化で疲れ果てたベテラン看護師が退職するという事態が続いていると伺いました。
 理由の一つは、子育て中の看護師の夜勤回数を軽減する「育児短時間勤務」のしわ寄せが、ベテラン看護師に割り振られ、月に10日を超える夜勤回数で、「仕事が続けられない」と退職に追い込まれると言っていると聞きます。
 子育て中の看護師の夜勤回数を減らすことは、子育てと仕事を両立働き続けるために必要です。そのためには看護師の人数にゆとりが必要です。しかし現実には、看護師不足を解消するため、広島市民病院では病棟の一つである中7棟を閉鎖しているとお聞きします。
 看護師を確保する何らかの抜本的な手立てを早期に講じなければ、どんどん看護師が減り続け、次々に休棟を余儀なくされることになりませんか。そうなれば、本来は入院が必要なのに入院ができず、自宅で亡くなるという最悪の結果にもなりかねません。
 市は、中7棟が閉鎖している現状をどのように認識しておられるでしょうか。現在何人のスタッフが不足しているいますか。早急にスタッフの確保に向けた有効な手立てを行うべきですが、お考えをおうかがいします。

(保健医療担当局長)
 次に、市は広島市民病院の中7病棟を閉鎖している状況についてどのように認識しているのか。現在何人のスタッフが不足しているのか、早急に確保に向けた手立てを行うべきではないのかについてです。
 広島市民病院の中央棟7階の病棟41床につきましては、令和3年1月以降、県からの要請を踏まえ、コロナ病床として確保することとし、患者数に応じて適宜必要な看護師数を配置し対応してまいりました。
 県の要請が昨年10月末に終了したことに伴い、一般病床に戻すことを検討しましたが、再開に必要な配置定数24人に対し、当時、当該病棟を担当する看護師は9人であり、不足する15人の確保が、病院全体での産育休者の増加により困難だったことから、病棟を一時的に休止することとしたものと聞いております。
 市立病院機構においてはこうした実態を踏まえて、本年4月の採用者数を増やしているところであり、体制が整い次第当該病棟を再開する予定にしております。

(藤本さとし)
 「どこの地域でも命は平等」という医療の基本理念と、憲法25条の立場から、自治体病院に独立採算を求めるような、独法化自体が不可能なのではないでしょうか。
 しかし、新病院は独立行政法人で運営するとしております。県に対し、独法化をやめて、自治体直営の病院として運営することを求めるとともに、広島市立病院機構においても、経営悪化の解消策として、患者負担増や人件費削減につながりかねない独立行政法人方式からは転換し、市が直営する自治体病院に戻すべきではありませんか、お聞きいたします。

(保健医療担当局長)
 最後に、市立病院機構は、独立行政法人方式から転換し、市が直営する病院に戻すべきではないかについてです。
 広島市民病院を初め市立4病院については、医療制度改革や医療事業の変化など病院を取り巻く環境変化に迅速、柔軟に対応し、質の高い、安全で安心な医療を安定的に提供することを目的として、地方独立行政法人化したものであり、平成26年4月の市立病院機構設立以降、自立性、機動性、透明性という、地方独立行政法人制度の特徴を最大限に生かしながら、本市の医療政策上必要とされる医療を安定的に提供していることから、運営形態を目指すことは考えておりません。

5.農業振興について

(藤本さとし)
 次に、広島市は核兵器廃絶を世界に訴え、国際社会に常に窓を開いている国際平和都市として、同様に国際的な大問題である食料危機に対しても誠実に対処することが求められています。
 今世界を見れば、人口の急増によって食糧危機が起こり、開発途上国の多くの人々に食料が行き渡らず、餓死する人々が後を絶ちません。世界の国々は、農地を荒らさず全て活用して、食糧危機に対処することが求められています。
 とりわけ日本を含むアジアモンスーン地帯は雨量が大変多く、生産力の高い地域ですから、全農地を有効に活用することが、世界からも期待されております。
 世界で戦争が起こっておりますが、何らかの事情で日本に食料輸入がストップされたら、大変な事態にならざるを得ません。広島市は人口も多く、それ自体で大消費地でもあり、輸送経費をかけずに地元消費に回せるわけですから、不測の事態になっても市民の命を守れるよう、最低限の食糧は地元で確保できる対策を強めるべきです。
 広島市の農業政策は、これまで主に都市近郊という有利な立地条件を生かして、農業集約的な野菜作を中心に振興が図られてきました。
 しかし、集約的な野菜作だけでは、全農地の有効活用は不可能です。なぜなら、野菜作では自分の農地を耕すだけで手一杯で、他人の農地まで借り受けて耕作することは不可能だからです。不耕作地が広がる今、穀物作をベースにする農地利用型農業を地域に育成することが急務になっていると思います。
 日本全体の食料自給率は、現在カロリーベースで38%です。それも大変低い状況ですが、広島市の食料自給率は、水産業も含めて2%と、もっと低い状況です。そこでお聞きします。広島市の農地で休耕などで現状では作付けされていない農地の割合は、今どのようになっているでしょうか。

(経済観光局長)
 農業振興についての2点の質問にお答えします。まず広島市で現状では作付けされていない農地の割合はどのようになっているのかについてです。
 令和5年4月1日現在本市の農地面積3325ヘクタールのうち、作付されていない農地、いわゆる荒廃農地は473ヘクタールで、農地面積に占める割合は約14%となっています。

(藤本さとし)
 この休耕地を復活させ、全農地を本当に活用して、世界の食糧危機に少しは貢献できる。広島市の農業をつくる考えはありますか。低い広島市の食料自給率を当面何%まで高めるお考えですか。それとも現状を放置するお考えですか。自給率に対する市のお考えをお聞きします。

(経済観光局長)
 次に、食料自給率に対する本市の考えはどうかについてです。
 本市域では、消費地に近い都市近郊の農地を有するという条件を生かして、水稲に比べて収益性や生産効率の高い、小松菜・ほうれん草等の生産に取り組む生産者が多く、葉物野菜が主要な農産物となっています。
 本市としましても、これらの農産物を広島近郊7大葉物野菜として販路の拡大支援を行っているところでございます。
 これらの葉物野菜は重量当たりのカロリーが低いことから本市の食料自給率はカロリーベースで計算すると、現時点で約2%にとどまっています。
 市長の答弁にありましたように、国が食料の安定的な供給について国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、輸入および備蓄を適切に組み合わせることで確保する必要があるという考え方を堅持した上で、不測の事態が発生する前段階からの食糧確保に向けた対策を検討しているという中で、本市としましては、総合的な農業振興施策を実施することで農業として継続でき、就農人口を保てるよう努めているところです。

(藤本さとし)
 近年、農家の高齢化が一段と進み、多くの農地が耕されず、農業崩壊とも言える状況が市内各地で進んでいます。農業者は必死の思いで耕作していますが、多くの担い手が7、80歳代で農業労働の限界に達しております。
 今がまさに農業構造を切り替える絶好の機会です。一刻も早く、農地の賃貸借や請負耕作、作業請負などを広げ、頑張る農家に農地を集約することによって、穀物作で生活する農家を全ての地域に作り上げることができると思います。
 そういう農業地域農業の構造を作り上げるためには、行政の相当な補助やバックアップが必要です。
 農業の転換期にあたって広島市は農業構造の転換を先導していく必要があると思います。これからの農業振興をどのように図られるのか、おうかがいします。
 市民の命を守るためにも、先祖代々受け継いできた。広島市内の貴重な農地を、表さず、全て活用して、食料自給率向上の努力が求められると、指摘をして、質問を終わります。ありがとうございました。

(市長)
 藤本議員からのご質問にお答えします。農業振興についてのうち、農業振興に対する本市の考え方についてのご質問がございました。
 本市において持続可能な社会を実現する上で大変重要な産業である農業は、市民に新鮮で安全・安心な農産物を供給し、健康で豊かな市民生活を支えるとともに、中山間地域においては地域コミュニティと密接に結びつき、集落機能の維持に大きな役割を担っているものと認識しております。
 一方、国においては、令和2年3月に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」の中で、「食料の安定的な供給については、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、輸入および備蓄を適切に組み合わせることにより確保する必要がある」との考え方を示しており、この考え方を堅持しつつも、昨今の不安定な国際情勢等を受け、緊急時の食料安全保障のためには、平素から、農地・担い手の確保等を通じ、食料自給力の維持向上を図る必要があるという考え方のもと、不測の事態が発生する前の段階から、食料の確保に向けた対策を講ずるための新たな法的枠組みの創設を検討しているところであります。
 こうした国の動向を踏まえ本市では、担い手の育成・支援、農地の利活用、販路の拡大という三つの施策の柱を中心に、本市のまち作りと連動させながら、ハード・ソフト両面の支援策を総合的に展開しているところであります。
 そうした中で、農地を持続的に耕作する担い手の育成が最も重要であることから、認定農業者等が物価高騰の中においても所得を確保でき、農業を業として継続できるよう支援し、就農人口を保つ必要があると考えております。
 こうした考え方のもと、新規就農者の育成・確保、支援に努めているところであり、新たに、”ひろしま活力農業”経営者育成事業において、ビニールハウス等のリースの期間の見直しによる初期投資の負担軽減や、市場価格の変動の影響を受けることなく安定した販路を確保・拡大するためのモデル事業を来年度から実施したいと考えております。
 本市としては、国との適切な役割分担のもと、農業者への伴走支援を行う基礎自治体として、総合的な農業振興施策を着実に実施することにより、これから先も中山間地域等で安心して営農が継続できる、そして農地が活用され、市民に新鮮で安全・安心な農作物を供給し続けられるまちづくりにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。

【再質問】
(藤本さとし)
 市長のこれからも農業振興を進めるというお話でありましたが、現実はどうなっているでしょうか。昭和60年、1985年には広島市内の米の収穫量は、1万2290tもありました。しかし、昨年は米が余っていることももちろんありますが、3850tと31%に減少しております。
 また、その間の耕地の利用率で見ますと、昭和60年、1985年には水田の84%が作付けされておりました。しかし昨年は、作水田の41%しか作付けされず利用されておりません。あとの6割の農地水田は、休耕されております。そういう点で、全農地の活用を本当に進めることが、大事だと思います。
 広島市は、答弁にもありましたように、野菜作など集約的な農業をやられておりますが、しかし、一方で、耕作されていないと農地が答弁にあったような実情ではないのではないかと思います。全農地を活用して、頑張ろうとする農業者を本当に手助けして、農地を荒らさずしっかりと活用できる広島市を作っていただきたいと思います。

 また、有料化の問題で答えていただきました放課後児童クラブの問題ですが、まだまだ施設が本当に整っておりません。子どもたちが放課後、親の都合で1人で家で過ごすことがないように、改めて無料に戻していただきたい、無料化を検討していただきたいのと、施設の充実もお願いをいたします。

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