議会での質問・答弁

2023年12月08日

2023年第6回 12月定例会 一般質問 大西オサム

1.広島市の平和行政について
(1)CV22オスプレイ墜落事故について
(2)核兵器禁止条約について
(3)イスラエルによるガザ攻撃について
(4)パールハーバー国立記念施設と平和記念公園の姉妹協定について
2.広島市立広島特別支援学 校について
(1)広島市立広島特別支援学校と広島市域の知的障害の県立特別支援学校の児童数等の変化・傾向について
(2)広島市立広島特別支援学校の大規模化によって生じている困難について
3.放課後児童クラブ指導員の欠員の問題について
(1)指導員の欠員によってどのような困難が放課後児童クラブに生じているか、またその解消への対策について

1.広島市の平和行政について
(1) CV22オスプレイ墜落事故について

(大西オサム)
 お疲れ様です。日本共産党の大西オサムです。市議団を代表して一般質問を行います。
 最初に、広島市の平和行政に関連していくつかの質問をします。
先月29日、米軍岩国基地から米軍嘉手納基地に飛行中だった横田基地所属のCV22オスプレイが屋久島沖で墜落しました。
昨日、米軍は、事故調査の進展を踏まえ、全種類のオスプレイの飛行を停止する方針に転じた、と報じられています。
オスプレイはアメリカで開発段階から事故を繰り返し、1991年以降、合計20機が墜落。死者は63人にのぼり、「構造的な欠陥機」と指摘されています。 
墜落した同機種CV22は、昨年8月、エンジンとプロペラをつなぐクラッチが一時的に外れ、再びつながる時に衝撃が発生する「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」が立て続けに起きており、米軍の調査報告書も、「根本的な原因は不明なまま」だとしています。また、従前よりオスプレイには、何らかの理由でエンジンが停止した場合、機体の落下によって生まれる風圧でプロペラを回し緊急着陸する「オートローテーション(自動回転)」の機能が欠如しているという問題も指摘されていました。今回の事故原因はまだ不明ですが、「火を噴いて落下した」との目撃証言から、さらに別の欠陥の可能性が指摘されています。
 岩国基地は広島市から直線距離で約30キロメートルです。そういう機体が人口密集地である広島市上空を飛ぶことはあまりに危険です。実際広島市上空では米軍機の低空飛行がたびたび目撃されています。
 そこでお伺いいたします。今回の事故を受け、どのような対応を広島市が行ったのか、お答えください。

(市民局長)
 広島市の平和行政について数点のご質問にお答えします。
 まずCV22オスプレイ墜落事故について、屋久島沖で墜落したことを受けて、広島市としてはどのような対応を行ったのかについてお答えします。
 本市としましても、オスプレイが重大な事故を起こしたことは大変憂慮すべき事態であると受け止め、広島県を通じて日本政府に対し、関係自治体等の不安払拭がされるよう事故に関する十分な説明、速やかな情報提供を行うことや、安全が確認されるまで国内でのオスプレイの飛行自粛することなどを米国側に申し入れるよう求めていたところです。

(2)核兵器禁止条約について

(大西オサム)
 去る11月27日から5日間、ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約第2回締約国会議が開催され、松井市長もスピーチをされました。
 お伺いします。同条約の採択と発効に当たっては、松井市長も広島市の市長として努力されたわけですが、この条約の国際法としての位置や重要性、またこんにちの国際社会の中でどのように機能しているかについて、広島市ではどう認識されているのかお聞かせください。
 また昨年の第1回締約国会議でのウィーン宣言と、今回の第2回締約国会議での政治宣言に照らして、我が国が核兵器禁止条約に参加する意義がどのようなものか、広島市の認識をお聞かせください。

(市長)
 大西議員からのご質問にお答えします。
 核兵器禁止条約についてのご質問のうち、同条約の国際法としての重要性と、同条約に日本が参加する位に関する市の認識についてのご質問がございました。
 核兵器禁止条約は、史上初めて核兵器を全面的に禁止されるべき対象であることを明確にする根本規範であり、長年にわたって被爆者の皆様が発信してきた、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という願いが、国際社会を動かした証でもあり、被爆者を初め尾根が多くの人々の労苦が結実した未来への希望であります。
 しかしながら、現下の国際情勢を見ると、中東情勢は混迷を極めており、ウクライナでの戦争は収束が見込めない中、核兵器の使用が具体的かつ現実的な選択肢の一つであることが示唆されるなど、これまで長期被ばく地長年にわたって被爆地が訴え続けてきた平和への願いに逆行するような事態が続いております。
 こうした国際情勢にあって、核兵器禁止条約については、徐々に提案国は増えてはいますが、同条約をより実効性のあるものとして機能させていくことが今後の課題であると認識しています。
 こうした中で、唯一の戦争被爆国であり、核保有国と非核保有国との橋渡し役を果たすと明言してきている日本による同条約の署名批准は、多くの国において、全人類の共存や汎用年広島の心、共有されることを促すとともに、核兵器禁止条約の実効性を高める推進力となりうるものと考えております。その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。

(大西オサム)
 核兵器問題で日本政府は、NPT体制の維持・強化の立場をとっています。
 NPT条約は1970年に、米・英・仏・ロ・中、5つの核兵器国だけが核保有を許されるという「核独占」の枠組みでスタートしました。しかし核保有5大国はNPT6条、核軍縮義務を果たさず、さらに他の4か国に核兵器が拡散しました。核保有5大国の責任は重大です。
同時にこの間、この枠組みを世界の世論と運動が「核軍縮をめざすもの」へと大きく変えてきました。さらにその過程の中から、2017年、NPT条約を補完するものとして核兵器禁止条約が、国連加盟国の3分の2にあたる国々の賛成で採択されました。今日の世界政治の重要な到達点です。
 しかし、現局面は、核兵器の使用をめぐって、ロシア・プーチン政権が核の威嚇をくりかえし、イスラエルも、閣僚が核使用を「選択肢」と発言するなど、大変危険な状況にあります。
核使用という現実の危機に直面した今、私たちに、どう行動するかが問われています。
 日本政府は、核抑止論の立場に立ち、核兵器禁止条約は実効性がないと批判し反対しています。
 そもそも、締約国会議へのオブザーバー参加すらせずに、核保有五大国と同じ立場に立ちながら、「核兵器を持つ国と持たない国との橋渡し」をすることなど、ありえません。
 広島市として、我が国政府に対して、核兵器禁止条約に参加し、条約参加国を拡げていく先頭に立つことを一貫して、明確に、迫り続けるべきです。少なくとも、政府は今後、締約国会議にオブザーバー参加すべきです。この問題で広島市はどのように取り組まれるのか、答弁を求めます。

(市民局長)
 次に、核兵器禁止条約についてでございます。
 日本政府に対して核兵器禁止条約に参加し、条約参加国を広げていく先頭に立つことを一貫して明確に迫り続けるべきであり少なくとも政府は今後、締約国会議にオブザーバー参加をすべきと思うがこの問題に広島市はどう取り組むのかについてお答えします。
 日本政府に対しましてはこれまでも国要望や平和宣言において同条約の締約国になることや、締約国会議にオブザーバー参加をすることを継続的に要請しており先月も第2回締約国会議の開催に先立ち、市長が外務省訪問し、岸田総理の総理大臣あての要望書を提出したところです。
 市長が出席した今回の第2回締約国会議では、各司核の傘の下にありながら、どう会議の議論の展開を確認するために出席したという国もあり、日本政府に対してはこうしたスタンスで参加をしている国もあることを伝えつつ、核兵器核保有国と非核保有国との橋渡し役を果たす一つの手法として、引き続き契約会議へのオブザーバー参加を粘り強く働きかけていきたいと考えています。

(大西オサム)
 各抑止論の立場に立つ国々を含め、核兵器禁止条約に圧倒的多数の国が参加するようになるためには、条約に参加していない国の世論を作ることが決定的に重要です。
 その点で、6500を超える海外の平和首長会議加盟都市の役割は重要です。長崎、広島長崎両市の両市は世界の加盟都市を増やす取り組みを精力的に行ってきました。加盟都市がそれぞれの国内で核兵器禁止条約への参加を求める世論を広げる取り組みを積極的に推進するように働きかけることが、今後ますます重要となってくると思います。
 広島市は平和首長会議の会長として、長崎市や薬師役員とそれ連携しながら、各加盟都市の取り組み状況を把握し、必要な支援を行うべきだと考えます。
 そこでお伺いをいたします。各加盟都市の取り組み状況をお答えください。また広島市としてどのような働きかけや支援を行っているか、お答えください。

(市民局長)
 次に、平和首長会議加盟都市がそれぞれの国内で核兵器禁止条約への参加を求める世論を広げる取り組みを積極的に推進するよう働きかけることが重要となっているが、各加盟都市の取り組み状況はどうか。また広島市としてどのような働きかけや支援を行っているのかについてです。
 昨年5月にはスペイン・グラノラーズ市長が議長を務める平和首長会議ヨーロッパ支部は、核兵器禁止条約の推進に向けた地方自治体の重要な貢献について議論するウェビナーを開催し、また本年1月にはフランス・グリニー市長が会長を務める同フランス支部は、フランス政府に第2回締約国会議オブザーバー参加を呼びかける書簡を発出するなど、各国地域において核兵器禁止条約への参加を求める取り組みを展開しています。
 会長都市である広島市は、全ての国に核兵器禁止条約の早期締結を求める署名活動への協力を各加盟都市に働きかけるとともに、集められた署名は、中満国連事務次長兼軍縮担当上級代表を初めとする国連関係者等に手交し、世界の市民の思いを直接届けています。

(大西オサム)
 今年は5月にG7広島サミットが行われ、「広島ビジョン」が発出されました。「核抑止論」を肯定する立場、核兵器廃絶の目標を「究極」目標と「先送り」する表現に対し、被爆者をはじめ、平和を願う多くの市民から厳しい批判の声が上がりました。
 国際法としてすでに機能している核兵器禁止条約には一言も触れず、今日に及ぶ被爆者の被害にも言及しない「広島ビジョン」を肯定的に評価することはできません。これはICANをはじめとする国際的な核兵器廃絶運動とヒロシマ・ナガサキの共通認識です。
 市長は、8月6日の平和宣言で「世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視」すべきと、核抑止論に固執する指導者を断罪されました。ならば「広島ビジョン」で核抑止論に固執する立場を表明したG7首脳を厳しく批判するべきではないでしょうか。この点でのお考えについて、答弁を求めます。

(市民局長)
 次に、広島ビジョンで核抑止論に固執する立場を表明した人生文集の大厳しく非難すべきだ批判すべきだと思うがどうかについてです。
 広島ビジョンにおける核抑止論が破綻していると押してきましたのは、核兵器はそれが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し並びに戦争および威圧を防止すべきとの理解との記述があることにより核廃絶を実施実現するまでの暫定的な機関にあって、なすべきことは実現できていないことを明らかにしているからです。
 したがいまして、G7首脳には、一刻も早く核抑止論から脱却できるよう、ビジョンに掲げるかけ核兵器のない世界の実現という理想に向けた具体的な行動を積み上げていただきたいと考えており、そのために本市が取り組むべきは、平和首長会議加盟都市と連携して平和文化の振興を図ることであり、G7含む為政者の核抑止力に頼る安全保障政策からの脱却を促す環境作りであると考えています。

(3)イスラエルによるガザ攻撃について

(大西オサム)
 ロシアによるウクライナへの侵略戦争のさ中、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃が開始されました。イスラエル軍は、難民キャンプへの連続的な空爆をはじめ、空・陸・海からの大規模攻撃、電気、水、食料、医薬品等、ライフラインなどへの妨害、ガザ地域の封鎖など、国際人道法に違反する戦争犯罪をおかしていることに、世界中の人々が心を痛めています。 
 広島でも様々な市民団体が「ガザへのジェノサイド(集団殺害)やめよ」と、集会をおこなっています。そこには広島に観光で来た外国人が多数参加している、とも聞きました。10月31日には超党派の広島県女性議員有志が「イスラエル・パレスチナにおける紛争の平和的解決を求める声明」を発表しました。
 わが党も各国政府と国際機関に対し、ガザ攻撃の即時中止、停戦交渉の促進を要請しました。日本でも世界でも平和的解決を求める世論と行動がひろがっています。
 この点で、ウクライナ侵略とガザ危機という二つの国際問題について、立場を使い分ける態度は許されません。
 ロシアは、自らのウクライナ侵略を正当化しながら、イスラエルの行動を国際法違反と非難し、立場を使い分けています。
 アメリカは、ロシアによるウクライナ侵略は国際法違反としながら、イスラエルの国際法違反の蛮行を容認する立場をとっています。
 いずれも道理のない態度です。どんな国であれ覇権主義は許されない、そして国連憲章と国際法を守るという一点での共同が平和をつくる道だと思います。
 ところが、残念ながら日本政府を含むG7の国々は、こういった二重基準、「ダブルスタンダード」の立場をとり、アメリカの態度を容認しています。
 そこでお伺いします。広島市として、イスラエルによるガザ攻撃に対してのお考えがありましたら、お聞かせください。

(市民局長)
 次に、イスラエルによる床が攻撃について本市の考えを聞きたいとのご質問にお答えします。
 イスラエルとパレスチナ武装勢力間の武力衝突が激化し、戦火により多くの人々の命や日常が奪われていることは、平和都市を目指す本市にとって極めて遺憾なことであると受け止めています。
 本市としましては、罪のない一般市民が犠牲になるとし武力行使の停止と対話による問題解決が進むためにも、被爆の惨禍から立ち直った経験を踏まえた平和への願いを世界中に広げ、世界の都市や多様な主体との連携を図りながら、あらゆる暴力を否定する平和文化を振興し、市民生活の安全が確保される平和な国際社会が実現する環境作りに、形式としていきたいと考えています。

(4)パールハーバー国立記念施設と平和記念公園の姉妹協定について

(大西オサム)
 イスラエルに武器供与をおこない、ガザ攻撃を支援しているアメリカは、国際司法裁判所が国際法違反と断じたヒロシマとナガサキへの原爆投下をいまだに正当化し続け、被爆者に謝罪していません。
 広島市は、「原爆投下を謝罪していない」アメリカ国家と、「投下責任」を「棚上げ」にし、「核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという機運を市民社会に醸成するための未来志向に立った対応」として、パールハーバー国立記念施設と広島市の平和記念公園との姉妹協定をアメリカ政府と締結しました。これは「米国政府の意向からはじまった」ということが報じられています。
 ウクライナ侵略とイスラエルの蛮行について、「ダブルスタンダード」の態度をとり、原爆投下の謝罪をいまだ行わないアメリカ国家と国際平和文化都市・広島市が協定を結ぶのは、おかしいのではないでしょうか。
 平岡敬元市長は、「真の『和解』は、加害者側の反省と謝罪、補償、犠牲者の慰霊、再発防止などの先にある」と述べておられます。アメリカは反省も謝罪も、被爆者に対する補償もしておらず、核抑止論に固執しています。
 こういったことを「棚上げ」にするのは、原爆投下責任の問題をそのままにし、核兵器抑止論の立場で核兵器を持ち続けるアメリカ国家の立場を認めることなりませんか。「真の和解」を遠ざける態度にならないかと危惧せざるをえません。
 「真の和解」のために、広島市がおこなうべきは、「姉妹協定」を破棄し、アメリカ政府に、原爆投下への謝罪を求めることが必要だと思います。市の見解を求めます。

(市民局長)
 最後に、パールハーバー国立記念施設と平和記念公園の姉妹協定について真の和解のために広島市が行うべきは、姉妹協定を破棄し、米国政府に原爆投下への謝罪を求めることが必要だと思うかどうかについてです。
 本市が姉妹公園協定を締結した経緯等については、9月議会でご答弁している通り、これまで「こんな思いをほかの誰にもさせてはならない」と被爆者が和解と寛容の精神で訴える中で、60年以上にわたり市民同士が交流を深めてきたこと、さらには、迎える平和の取り組みは10年以上にわたり続けてきていることをなどを踏まえつつ、現在の世界情勢を考慮するならば、今こそ和解の精神を重視した対応伸ばしてはならないと判断したものです。
 原爆投下への謝罪については、原爆投下の責任に関する議論を深める中で対処中、就労者と考え、しうるものとも考えられることから、まずは姉妹公園協定に基づき、青少年を中心とする相互訪問の実施や、企画展の開催等、被爆の実相を守り、広め伝える取り組みを進めることにより、核兵器の使用2度と繰り返してはならないという、米国側の市民社会における企業の醸成をしっかり図ってまいりたいと考えています。

【再質問】
(大西オサム)
 平和行政の問題について、先ほどの質問でも触れましたが、今回の各平均集約第2回締約国会議は、本当にロシアやイスラエルによって核使用の脅迫を行われて、他の核保有国も核戦力の維持強化を図る中で、核兵器問題で、そういう重大な逆を怒っているもとで行われた会議だったと思います。
 そういう中で、今回の締約国会議は核兵器禁止条約の国際法としての実効性批判力は一層強化されて、具体的運用は前進した。これが確認されたという点で大きな前進。さらに、核抑止力、核抑止論に対して、多くの国から批判が集中して、克服のための決意が全会一致で採択をされた政治宣言にも盛り込まれたそういうふうにも聞いています。
 35カ国がオブザーバーとして出席をして、NATO加盟国などアメリカの同盟国からのオブザーバー参加国の出席と発言がその会議で歓迎されずいたと思う聞きました。核兵器廃絶を願う市民にとって本当に希望が持てる締約国会議だったのではないかと思います。
 核兵器問題を巡って国際社会の流れを見ますと、核兵器保有5大国など核兵器氏が核兵器にしがみつく勢力と、世界の核兵器廃絶を願う世論とのせめぎ合いの歴史だったんじゃないかなと言えると思うんです。
 元々5大国のみが核兵器を保有していいという不平等で差別的なNPT体制を世界の世論と被爆者の声が、NPT条約60条実施させるという枠組みへ転嫁させた。核保有国の手を縛り、廃絶へ向かわせるための枠組みへと変化をさせた、そしてそれにさらに磨きをかけて核兵器禁止条約という新たな国際条約を生み出したこういう印象を私は持っています。
 1970年NPT条約を発効し、15年後の95年にそれが無期限延長となったときには、当時被爆者を初め核兵器廃絶を願う市民社会、怒りの声を上げました。私どもも批判をいたしました。しかしそれでも、国際社会はこの枠組み、このNPT条約を認めていきました。それは先ほど述べたように、NPT条約の第6条に核保有国は各軍備縮小撤廃のために誠実に交渉を行うこういうことが明記されていて、これを含めて、核保有国が約束してたから、国際社会が認めていったんだと思います。
 90年代後半からは、特に指導名色が国連の中で生き生きと発言をして中心となって、国連総会で期限を切った核兵器廃絶を緊急課題とする決議が採択をされるなど、核兵器廃絶を正面に掲げての機運が発展しました。究極課題という文言と、ここで言う緊急課題と対照的な使い方をしています。
 さらにその5年後に1000年のNPT再検討会議では、母体国も含めて、全会一致で核保有国に条約第6条の約束を果たし、自国核兵器の完全廃絶を目指すということを認めさせました。しかしその後もせめぎ合いが続きます。
 私自身5年後の2005年の第5回NPT再検討会議に募金を集めて広島から市民社会の1人としてニューヨークの国連本部に行った経験があるんですが、そのときは核大国の策動で最終文書が決裂をして大変落胆した記憶がございます。核兵器に固執する勢力と核廃絶をね願う勢力のせめぎ合いを目の当たりにしたそういう思いでした。これ18年前のことです。
 しかしさらに5年5年後の2010年のNPT再検討会議では、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別の取り組みを行うことが最終文書として採択をされました。
 この必要な枠組みというのが、核兵器禁止条約のことだと、当時再検討会議で議長を務めたフィリピンの外交官、リブラんか博打団体滋賀述べています。核兵器禁止条約の効果が作られた。その5年後に1015年5月のNPT再検討会議では、最終文書は採択されませんでしたが、核兵器のない世界のための法的な枠組みという文言が初めて登場して、それを受けて、その年の12月の国連総会でそのための公開作業部会の設置が決定されました。その公開作業部会の国連総会屋の勧告に基づいて、2017年7月国連総会で核兵器禁止条約の成立が実現するに至りました。
 広島市のホームページでも紹介されていますが、核兵器禁止条約は被爆者に言及し、核兵器の開発実験しよう。使用の威嚇などを禁止している国際条約核保有国にも門戸を開いて、条約について話し合う会議、締約国会議は再検討会議の開催も定めて機能しています。
 こういったせめぎ合いの中で、核兵器廃絶への国際的な流れが作られてきました。これがまさに世界の本流だと思うんです。その中で、ロシアパレスチナなどの逆流が生まれているというのを言っとういうのが今の局面だと思います。
 そういう感じなときに、今回の締約国会議日本政府がオブザーバーとしてすら参加しなかったことに対して失望が広がるのは当然です。会議では、赤道ギニアの代表が、日本は国連総会で核保有国と足並みを揃えて投票している。日本の戦略を説明してほしいと発言したことに対して、湯崎広島県知事が、私達も当惑していると述べたと聞いています。
 そこで再度お伺いします。政府は橋渡しをすると言いながら、この会議にオブザーバー参加すらしていないのはおかしいのではないでしょうか。広島市は政府に対し、さらに強力に参加を求めるべきだと思いますがどうでしょうか。この点での見解。次の一手のお考えがありましたらお聞かせください。

(市民局長)
 日本政府の核兵器禁止条約へのオブザーバー参加についてさらに強力な働きかけが必要だと思うのかどうかというそういう質問にお答えします。
 本市としましては日本政府は意見の異なる者同士の間を取り持つ橋渡しの役割を果たすためにもまずは締約国会議にオブザーバー参加して議論に加わりまして、同条約に賛成している立場の考え方を理解した上で、核保有国を巻き込む道を探ることが必要不可欠であると考えております。
 このため本市としましては先ほどもご答弁しましたけども、継続的に国の要請をして知っておりましてこれは広島長崎両市長。あるいは1739の大亀と志賀加盟する平和首長会議国内加盟都市ですねの要請書これをですね行政を続けてきておりまして、令和3年度4年度には直接市長が岸田総理と面会して要請を行ったところです。
 またこれは毎年ではないんですけども、国会での会活発な議論が建設的な議論が起こることが必要だろうと考えており、考えまして、数年前ですけども各政党の党首や、核兵器廃絶に係る議連議員連盟こういった方が代表の方々に対しても要請を行ったところです。
 こうした取り組みも含めまして、今後も引き続き唯一の大戦争被爆国として日本政府に締約国会議への参加を決断してもらえるよう、粘り強く要請していきたいと考えています。

2.広島市立広島特別支援学校について
(1)広島市立広島特別支援学校の大規模化によって生じている困難について

(大西オサム)
 次に広島市立広島特別支援学校に関して、質問いたします。
 「特別支援教育」は、障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児・児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの」でなければなりません。そのためには、児童・生徒一人ひとりに目が届く教育条件が必要です。
 広島市立広島特別支援学校は、現在、児童・生徒数が想定を大きく超え、今年度は551人(小学部190人、中学部98人、高等部263人、113クラス)になっています。そのような大規模化から、様々な問題が生まれていると、保護者や職員から声が寄せられています。
 一つは「特別教室が足りなくなっている」との声です。
 子どもが高等部2年に通う、保護者から次のような声が寄せられました。
 「『体育館』『グラウンド』『多目的ルーム』などの部屋がなかなかとれず、仕方なく通常学級の部屋で授業をおこなう場合がある、と聞いています。また、今年は2回しかプール授業がありませんでした」とのことでした。
 教職員からは「学校規模が大きくなり、体育館や特別教室が足りない。美術教室が2つしかない。教職員で特別教室を割り当てるための『調整会議』を持っているが、限界がある。プール授業は各クラス年2~3回しか割り当てられない」との声が寄せられています。
 そこで伺います。現在、高等部の建設が進められていますが、高等部増築校舎への供用開始後は特別教室等の使用についての課題は解消されるのでしょうか。どのように見通されているのか、答弁を求めます。

(教育長)
 特別支援学校について2項目のご質問にお答えをいたします。
 一つ目は学校の大規模化によって生じている困難についてというご質問です。まず、高等部の増築校舎の供用開始後特別教室等の使用についての課題は解消されるのかについてです。
 広島特別支援学校では、児童生徒の実態を踏まえ、学年や学級の他、障害の程度や学習内容を考慮したグループを編成して授業を行っています。このグループ数が増加していることから、一つのグループが特別教室や体育館を使用できる回数は以前と比べて減っていますが、普通教室やプレイルームなどを活用することで、必要な教育課程は実施できていると聞いております。
 なお、増築校舎の供用開始後は、これまで高等部の生徒が使用していた既存校舎の施設を小中学校部の大学部等の児童生徒が使用することが可能となり、よりゆとりを持ったきめ細かな対応ができると考えております。
 プールでの水泳指導の実施回数につきましては、今年度に関しては、この中で休止していた水泳指導を再開するにあたり、これに応じた対応を行うために配置する非常勤講師の確保に時間を要したことが影響していると聞いております。

(大西オサム)
 二つ目に大規模化に伴い、円滑に学校管理をおこなうべき管理体制に困難が生じている、という問題です。
 現在、本校舎から北側の敷地に令和6年度中の供用予定で高等部校舎が建設中です。
 本校舎から道路をまたぐ形で「渡り廊下」が設置され、「同一校」として扱われることが予定されています。
 しかし、学校関係者からは、「管理職で子どもたちのバスの乗降や欠員となっているクラスの授業などの責任を担い、さらに道路を隔てた場所にある高等部の管理を担うとなると『管理職本来の役割』が果たせなくなるのではないか」との不安の声が寄せられています。また高等部校舎の工事の遅れに伴って「供用開始がさらに遅れるのでは」、との声も寄せられています。
 そこでお伺いします。高等部の供用開始時期と、この間の工事遅延の理由、今後の遅延の可能性について、お答えください。
 また、円滑な管理運営をしていくために、高等部を分離し、新たな学校とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。市の見解を求めます。

(市民局長)
 次に、高等部の供用開始時期と工事遅延の理由、今後の遅延の可能性はどうかについてです。
 現在施工中の校舎の増築については、令和6年3月に工事を完了し、令和6年夏休み明けに供用開始する予定としていましたが、基礎工事の際、当初想定していなかったコンクリートや瓦礫等の地中障害物が発見され、その撤去等の対応に日時を要したことから、工事の進捗におくれ遅れが生じています。
 現在早期に工事完了できるよう、関係部局や受注者等と調整を図っているところであり、令和6年度中に供用開始が行えるよう努めてまいります。
 次に、円滑な管理委員をしていくために、高等部を分離し、新たな学校とすべきと考えるがどうかについてです。
 特別支援学校に関しては、小中高等部の中2年間を見通した授業作り等の推進、年齢間の交流による人間関係の形成など、様々な面での教育効果などを考慮し、一つの学校として運営することが望ましいと考えており、現時点では後頭部を分離することは考えておりません。
 なお、道路を挟んだ向かいの敷地に新たな校舎を増築することに伴い、改めて各学部の管理職の公務を整理して、分担の見直しを図るとともに、必要に応じて体制の強化を検討し、学校の円滑な管理運営ができるよう取り組みを進めてまいります。

(大西オサム)
 三つ目に教職員体制が「大規模化」に追い付いていないことに対する不安の声です。
 教員から「長期に休む教職員の空きを埋める人員が確保できない。穴が開けば管理職が授業に入らざるをえない」という声、別の教員からは「プール授業で子ども一人につける人員が少なく、安全対策にとても神経を使う。プールの外から見守る監視員的な人員がいれば」という声、さらに別の教員からは「年6回の修学旅行と2回の野外活動、計8回の宿泊行事は極めて意義のある行事だが、人の配置の面で不安」という声が寄せられています。
 事務職員も少なく、「期限が決められた書類が市教委に提出できず、待ってもらうことがたびたびある」とも聞きました。
 そこでお伺いします。現在、長期に休まれる教職員の代員が配置できていない件数はどのくらいなのか、お答えください。またそれに対する市の対応と、今後の見通しについてお答えください。

(市民局長)
 次に長期に休む教職員の代員が配置できていない件数はどのくらいあるか。またそれに対する対応と今後の見通しはどうかについてです。
 本市の特別支援学校の令和5年度当初の教職員数は、法律で定められた定員数に9名を加配し、計238名となっており、このうち現在、年度中途から病気休暇を取得した教諭の代員2名が配置できていない状況にあります。
 年度途中での代員の範囲へラインの配置については、人材確保が難しい面がありますが、引き続き、出産休暇育児休業取得予定者の調査を定期的に行うとともに、教員採用試験時に臨時的任用等の登録を働きかけたり、ホームページ等で募集を行い、人員の確保に努めてまいります。

(大西オサム)
 四つ目に、同校の「大規模化」によって、児童・生徒に長時間通学を強いているという問題です。
 ある保護者は「子どもを自宅で自家用車に乗せて、バスに乗りかえさせ、そこから1時間かけて学校に行きます。障害がある子どもにとって、移動がとても負担です。親はバス停がどこになるかによって、引越しを考えざるをえなくなる場合がある」と話しています。
 朝にはこれらのバスが南区出島の学校に集中し、午後には、放課後等デイサービスの車約90台が学校に集中。「学校の前は大渋滞が毎日起こる」とも聞きました。
 そこでお伺いします。「長い」と言われる通学時間、乗車時間を今後どのように改善をはかるつもりなのか、お聞かせください。

(市民局長)
 次に長いといわれる通学時間、乗車時間について、今後どのように解消を図るつもりかについてです。
 特別支援学校のスクールバスについては、令和6年度中に増築校舎が供用開始となることを踏まえ、乗車時間をできるだけ短くするため、バスの発着場所をそれぞれの校舎の前に設ける予定です。
 あわせて、児童生徒の居住地を踏まえ、コースを再編するとともに、スクールバスの各コース内における停留所については、年度ごとに学校が保護者へ希望調査を行い、可能な範囲で調整することで、トータルの通学時間ができるだけ短くなるように努めてまいります。

(2)広島市立広島特別支援学校と広島市域の知的障害の県立特別支援学校の児童数等の変化・傾向について

(大西オサム)
 教職員や保護者の皆さんは、障害がある子どもたちと日々接することに、何ものにもかえがたい歓びをお持ちです。子どもたちと接する一瞬一瞬を大切にしたいと思っておられます。
 しかし、児童・生徒数が想定数を超えて増大し、それにともなって今述べたような事態が生じているのですから、「特別支援教育の目的」を果たすために、市としての対応が当然必要となります。
 そこでこの問題の最後に伺います。
 現在の出島へ移転するにあたって、何人の児童・生徒数を想定していたのか、また、児童・生徒数のここ5年間の変化と、今後5年間の見込みをお答えください。

(市民局長)
 続きまして、広島市立の特別支援学校と広島地域の知的障害の県立特別支援学校の児童数等の変化傾向についてのご質問にお答えいたします。
 まず、現在の出島への移転にあたって、何人の児童生徒数を想定していたのか、またここ5年間の児童生徒数の変化と今後5年間の見込みについてです見込みはどうなっているかについてです。
 平成24年9月に移転開校した現在の交渉を設計するにあたり、平成30年度には、児童生徒数が約370人程度でピークをとなり、その後減少することを見込んでいました。
 直近5年間の児童生徒数については、平成31年度560人、令和2年度541人、令和3年度553人令和4年度555人、令和5年度551人で、おおむね550人前後で推移しており、今後については、当面は微増傾向になるものと見込んでおります。

(大西オサム)
 また、同校同様、知的障害のある児童生徒を受け入れる広島市域の県立の特別支援学校のここ5年間の児童生徒数の変化、その傾向についてお答えください。

(市民局長)
 次に、知的障害のある児童生徒を受け入れる広島市域の県立の特別支援学校の小5年間の児童生徒数の変化とその傾向についてです。
 広島市域の知的障害の児童生徒を対象とした県立の特別支援学校は4校あり、県立広島特別支援学校の知的障害部門の児童生徒数は、5年前が77人、今年度が84人、県立広島北特別支援学校は238人から234人に県立くれ特別支援学校は101人から130人に県立廿日市特別支援学校は220人から280人となっており、4項全体で636人から、730人で94人の増となっております。

(大西オサム)
 広島市として、国に対し、学校建設への補助率を大幅に引き上げることを求めつつ、特別支援学校の分離・新設を進めることが必要だと思いますが、この点での広島市の見解を求めます。

(市民局長)
 次に、広島市として、国に対し、学校建設への補助率を大幅に引き上げることを求めつつ、特別支援学校の分離新設を進めることが必要だと思うがどうかについてです。
 校舎の新築増築や改築等を含む特別支援学校の新築および、分校や分教室の整備に対する国庫補助率の引き上げについてはこれまでも指定都市教育委員会協議会を通じて国に対して要望しているところです。
 特別支援学校の分離新設就学区域の見直しを含めた広域的な施設配置のあり方などについては、特別支援学校の設置義務がある県と引き続き協議してまいりたいと考えております。

【再質問】
(大西オサム)
 もう一つ、特別支援学校の問題について再質問します。
 大規模化に伴って様々な努力をされているということはよくわかりました。
 しかし370人がピークであることを想定した想定して作った学校に既に551人の子どもたちがおり、広島地域の県立の特別支援学校も含め今後更なる増加が見込まれる、そういう事で、矛盾が大きくなることは容易に想像できます。分離新設が必要だと考えます。
 そこで再度伺いますが、このような状況を解消するために、学区の見直し、設置義務を持つ広島県に対して働きかけ、先ほどご答弁ありましたがそれそういったことなど具体的なアプローチをさらにお考えでしたらお聞かせください。

(教育長)
 まず特別支援学校の就学区域の件でございます。
 特別支援学校の就学行きの見直しを含めました施設配置のあり方などにつきましては先ほどもご答弁申し上げました通り、本来の設置義務者であります検討も引き続き協議を行っていくということでございますが、そうしたことに限らず特別な支援を必要とされるお子さんやその保護者に対してそれぞれの特性に応じた支援やサポートをハードソフト両面でできるだけ充実していけるよう今後も取り組んでまいりたいと考えております。

3.放課後児童クラブ指導員の欠員の問題について
(1)指導員の欠員によってどのような困難が放課後児童クラブに生じているか、またその解消への対策について

(大西オサム)
 最後に、放課後児童クラブの欠員の問題についてお伺いをいたします。
 4月から有料化となった放課後児童クラブの欠員をどう解消するか、6月議会一般質問で教育長は「2ヶ月に1回の採用試験」「広報」「退職教員への案内」で対応するとのご答弁でした。しかし半年経った今なお、欠員解消の展望は作れていないと聞いています。欠員クラスでは、1人の指導員に係る仕事量が増え、疲弊が続き、そのことが退職動機となるという悪循環が続いていると聞いています。
 抜本改善のために何が必要か。私は職員の賃金などに対して、広島市が続けてきたコストカット的視点を見直すべきときが来ているのではないか。もちろん無駄使いはいけませんが、構えを変えることが今求められているのではないかと考えます。
 岸田首相は9月25日の経済対策についての会見で、今の日本経済の状況についてこう述べました。「長年続いてきたコストカット型の経済」が賃金や設備投資までコストカットの対象として削ってきたことで、削ってきたことで、「消費と投資消費と投資の停滞」を招いてきた、と指摘して「30年ぶりに歴史的転換を図る」と述べました。
 私はこれはに今の日本経済の状況を捉えた重要な視点だと思います。日本はこの30年間、実質賃金が先進国で唯一上がらない国となる一方、消費税は5%から10%に倍になり、国民年金保険料、介護保険料、いずれも2倍になりました。高学費と奨学金制度によって若者が背負っている借金、これは総額10兆円、30年間で7倍にもなりました。
 この最大の原因は、財界の求めに応じて進められた雇用破壊です。労働法制の規制緩和が繰り返され、正規雇用が低賃金で不安定な非正規雇用に置き換えられ、非正規雇用労働者が全ての労働者の4割にまで広げられ、正社員には長時間労働が押し付けられました。その上に今の物価高騰が覆いかぶさっているところに、極めて深刻な市民生活の実態があるんだと思います。
 その結果、日本社会全体の「ものを買う力」が極端に下がり、消費と投資の停滞を招き、公共の役割も薄くさせられてしまいました。
 広島市も正規職員が非正規職員・会計年度任用職員に置き換わり、保育園や保育園や学校給食現場では専門職でありながら、非正規職員が3分の2を占めるようになりました。
 放課後児童クラブの「指導員」も「臨時指導員」も全員が非正規公務員です。低賃金で働いており、しかもそのほとんどが女性です。雇用条件が劣悪なため、年度当初から定数が埋まらない状況が続いています。このような「コストカット的運営」を見直すことは、今、社会の要請ではないかと思います。
 先日、放課後児童クラブの指導員からお話を伺う機会があり、こう話されました。
 「今年は指導員欠員のままスタート。4月からの放課後有料化で、保護者からの要求が大きくなり、とても不安でした。特に夏休み、いつもならいっぱいにならない部屋が、常に子どもたちで満室状態で、午前8時から夕方6時半まで、事故やトラブルが起きないか緊張の連続でした。地球沸騰化といわれる中、元気に走り回る子どもたちを指導員とシルバー人材センターや、派遣会社からの派遣も含めた臨時指導員で対応しましたが、全員が50歳以上でとても大変でした。臨時指導員も足りず、児童館の館長が臨時指導員探しに奔走しています」との話でした。
 退職者は月を追うごとに増えていて、夏休み明けに多くの退職者が出たとも聞きました。指導員の73%が50歳を超えているとも聞きました。そこでお尋ねいたします。現在の放課後児童クラブ指導員の平均年齢をお答えください。
 また現在の欠員数、4月の有料化以降の月ごとの退職者は何人でしょうか。
 さらに、退職者の退職動機と、指導員退職者の平均勤務年数もお答えください。

(市民局長)
 続きまして、放課後児童クラブ指導員の欠員の問題についての数点のご質問にお答えをいたします。
 まず、現在の放課後児童クラブ指導員の平均年齢と欠員数、本年4月以降の月ごとの退職者数、退職理由、退職者の平均勤続年数についてです。
 本市直営の放課後児童クラブ指導員の12月1日現在の平均年齢は53.7歳となっており、欠員数は49人となっています。
 また、4月以降の月ごとの退職者数は4月2名、5月4名、6月4名、7月1名、8月2名、9月0名、10月1名、11月1名で計15人です。
 主な退職理由としては、健康上の理由や親の介護などとなっており、平均勤続年数は約5年でございます。

(大西オサム)
 さらに現場から強い声が寄せられているのは、数字に出ない欠員の問題です。
 ある指導員からは、「64人(4月)の欠員というが、コロナや病気、忌引き介護などで数字に出ない欠員があります。職場が回りません。うちでは指導員の1ヶ月間の病欠があり、本来6人いるはずの正規指導員が3人になることがありました。欠員が見えないようになっているのはおかしい」との訴えがありました。
 休みを申請したい指導員は、休むとクラス運営に支障が出るため、休みを言い出せず、それが退職につながっているという話もされていました。
 笑顔で子どもたちは親に接したい。どんな訴えも受け止めてあげたいのに多忙すぎてそうならない保護者から先生はいつも走っている忙しそうと言われるのが一番つらいと話す指導員もいらっしゃいました。
 有料化となって今、この慢性的な指導員欠員問題、そして数字に出ない欠員問題を抜本的に解決するための対応が緊急に求められています。
 そこでお尋ねします。欠員解消のための次の新たな策はお考えでしょうか。欠員を埋めるために、臨時指導員の比重を今後増やすというおつもりなのか、考えをお聞かせください。

(市民局長)
 次に、欠員解消のための新たな策を考えているのか、また欠員を埋めるために臨時指導員の比重を今後増やすつもりなのかについてです。
 指導員の欠員解消に向けては、これまでも採用試験を2ヶ月に1回程度実施し、その際には、応募者を増やすため、SNSなどの広報媒体を活用する他、学校長から、定年を迎える教員に対する案内や、広島県保育士人材バンクから潜在保育士に対する案内をしてもらうことなどに取り組んできました。
 さらに今後は、本市の広報紙に指導員のやりがいなどを伝える特集記事を掲載したり、ショッピングセンターに設置されたデジタルサイネージを活用して、指導員の募集について広報するなどの取り組みを行うこととしており、引き続き早期の欠員解消が図られるよう努めてまいりたいと考えています。
 また、臨時指導員については、指導員に欠員が生じた場合に配置するものであり、臨時指導員の配置を増やそうとしているものではありません。

(大西オサム)
 また、数字に出ない欠員の実態をどのようにご認識でしょうか、お答えください。

(市民局長)
 次に、病気や介護で休んでいる数字に出ない欠員の実態をどのように認識しているかについてです。
 指導員が休暇を取得する場合であっても、クラブの運営に支障が生じないよう、必要な人員体制は確保されるべきであり、本市においては、指導員が介護休暇や病気休暇などで一定期間休暇を取得する場合の他、突発的な病気やけがなどで休暇を取得することになった場合であっても、事前に各クラブに登録している有資格者やシルバー人材センターからの人材派遣を活用することで対応しているところです。

(大西オサム)
 指導員が減少し、欠員が生じることで、現場の指導員にさらに負荷がかかり、指導員としての喜びが見失われ、退職が増加し、欠員が埋められない。この負のスパイラルを断ち切ることが今どうしても必要です。
 そのためには一つは、指導員の質の向上と、二つ目に指導員の処遇改善が必要だと思います。
 指導員の質の向上について、現場指導員からは「子どもたちと関わり、成長を見守る喜びをつかみかけた指導員が退職するのはあまりにももったいない。研修を回数を増やして実施することで、全体的に総合的に子どもが見えるようになる。そして、日替わりや週替わり月替わりではなく、ずっとその場所にいる大人、指導員がいてこそ、子どもたちは安心して何でも話せるし、放課後児童クラブ本来の役割を果たすことができる」そういう声が寄せられています。
 そこで伺います。研修を回数を増やして実施する指導員学習の強化は「やめない指導員体制」を作る上で欠かせないと思うのですが、市の見解についての答弁を求めます。

(市民局長)
 次に、研修の実施回数を増やすことによる指導員の学習機会の充実は止めない指導員体制を作る上で欠かせないと思うがどうかについてです。
 指導員の研修を充実させることは、放課後児童クラブを円滑に運営するためのスキルの習得だけではなく、やりがいを持って働き続ける意識の向上にも繋がるものと考えており、現在でも公務員倫理や業務に必要な手続きを習得するための全体研修の他、経験年数に応じた階層別研修や専門的なスキルを習得するための選択研修などを実施しているところです。
 また来年度からは、指導員からの要望も要望を踏まえて、子どもへの具体的な対応などの事例を踏まえたグループワークを拡大するなど、更なる内容の充実を図るとともに、自主回数も増やしていく予定にしています。
 なお、指導員が勤務時間中に職場を離れて研修に参加する際には、代わりとなる臨時指導員を配置しているところです。

(大西オサム)
 欠員解消の二つ目のカギは、指導員の処遇の抜本的改善だと思います。
 自治体が非正規雇用の待遇改善を図ることは、公共の役割を果たすという点でも、地域経済を活性化させるという点でも重要です。
 そしてこれは何より子どもの「健全な育成」という厚労省の運営指針や子どもの権利条約の理念に沿った放課後児童クラブの運営に寄与するものとなるでしょう。
 コストカット型経済から脱却するためにも、まずは放課後指導員の待遇を抜本改善し、安心して働ける環境を作って、欠員の悪循環から抜け出す施策を踏み出してみてはいかがでしょうか。全国に先駆けて一石を投じてみてはいかがでしょうか。
 最後にこの点での見解を求め、一般質問とさせていただきます。

(市民局長)
 最後に、放課後児童クラブ指導員の待遇を抜本的に改善し、安心して働ける環境を作り、欠員の悪循環から抜け出す施策を全国に先駆けて実施してはどうかについてです。
 放課後児童クラブ指導員の処遇改善については、令和4年2月から国の補助金を活用し、基本給を3%程度引き上げる措置を行ったところです。
 また、放課後児童クラブ指導員を含めた本市会計年度任用職員の給与については、正規職員の給与改定に合わせて増額措置を行っています。
 今後とも一層の処遇改善に向けて国に対して更なる財政措置の充実を要望するとともに、これまでお答えしましたように、指導員の早期の欠員解消への取り組みや休暇取得時の代替職員の着確実な配置研修の充実などに努めることで、指導員がやりがいを持ち働き、安心して働くことのできる環境を整えてまいります。

【再質問】
(大西オサム)
 さらにもう一つ、放課後児童クラブの欠員の問題について再質問します。指導員の欠員解消についての質問をさせていただきましたが、欠員解消をいつまでに行うつもりなのか、ご答弁をいただきたいと思います。
 6月議会では有料化された放課後児童クラブと、利用者との契約関係について、この契約を私法上の契約行為だとご説明されています。
 有料化でお金を取っているわけですから、人員の面でも、施設の面でも絶対に曖昧さを残しちゃならないと思います。契約違反ではないかとおっしゃる保護者もいます。
 私人と私人の関係というのであれば、なおさらその信頼関係を行政の側が傷つけてはならないと思いますが、いかがでしょうか。いつまでに欠員を解消するおつもりなのか、答弁を求めます。

(教育長)
 それともう1点の放課後児童クラブの欠員につきまして、具体的な欠員解消の時期を現時点で明確にお答えすることまではできませんが、先ほどもご答弁したような様々な取り組みを実施することで、引き続き早期の欠員解消に努めてまいります。

(大西オサム)
 特別支援学校の大規模化によって生じている矛盾の問題、それから放課後児童クラブ指導員の欠員問題答弁を聞いてましてやはり目が一つという気がいたしました。子育てと市民生活最優先の市政の大きな転換の要望を再度申し上げまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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