議会での質問・答弁

2023年06月29日

2023年第3回 6月定例会 厚生委員会 中村たかえ

付託議案
デジタル技術の活用によるフレイル予防推進事業について

討論
医療的ケア児在宅レスパイト事業について
重度障害者等就労支援特別事業について

報告
令和4年度児童相談所における児童虐待相談・通告及び相談対応の状況について

付託案件外
加齢性難聴による補聴器への購入補助制度について
マイナ保険証について

付託議案
デジタル技術の活用によるフレイル予防推進事業について

(中村たかえ)
 デジタル技術の活用によるフレイル予防推進事業についてお聞きしたいと思います。
 フレイルとは、健康で自立した状態と日常生活で支援が必要な介護状態の中間の状態だと先日の質疑の中でも述べられていたことだと思います。
 今回提案のデジタル技術の活用によるこのフレイル予防推進事業は、具体的にどういう技術で、どのようにフレイル予防を行うのか。どういった効果が期待できるか。ぜひ教えていただきたいと思います。

(地域包括ケア推進課長)
 ご質問どういった予防とどういった効果でどういった測定項目があるのかっていう内容があるのかということで承知いたしました。
 まず測定の内容でございますけれども、歩行姿勢測定システム測定結果として、歩行速度、歩幅、胸腰部の上下動、足の上がり角度など全身の歩行姿勢の36項目の計測結果と、年齢と性別に応じた基準で点数化し、歩行姿勢が何歳相当かわかる内容が記載された帳票に加えまして、健康チェックリストの内容としては握力、基本チェックリストの内容および握力計の数値が記載された帳票をそれぞれ配布することとしております。
 こういった可視化されたものの帳票っていうのがなぜフレイル予防に必要かと申しますと、高齢者の多くの方がフレイルの段階を経て要介護状態になるというふうに考えられております。今は大丈夫であったとしても気がつかないうちにフレイルが進行している場合もございます。
 一方で、フレイルは早めにお気づきいただき、適切な対策をとれば改善できるということがわかっておりますので、今回の取り組みを通じてまずは高齢者の方が現在のご自身の状態を認識していただきまして、それから現場に配置されているリハ職等の意見を聞きながら改善意欲が高まって、実際に行動を移していただくというような効果を期待しておるところでございます。

(中村たかえ)
 ちなみに地域ではどうやってこの事業を進めていく予定なんでしょうか。

(地域包括ケア推進課長)
 どうやって進めていくということがございますけれども、取り組みをまず実施する場所でございますけれども、集会所、公民館、福祉センター等を考えております。
 地域包括支援センターが主体となって開催いたします介護予防教室、地域団体等が運営する地域介護予防拠点の他、地域のイベントでの実施を想定しております。

(中村たかえ)
 今地域包括支援センターが担当するんだって言われたんですが、地域包括支援センターの業務負担が増えるんじゃないかと危惧するんですが、そういったところはどうなってるんでしょうか。

(地域包括ケア推進課長)
 地域包括支援センター職員の業務負担のことでございますけれども、現場の運営が円滑に進められるように、昨年度に歩行姿勢測定システムの活用であるとか、健康チェックリストの項目について、包括支援センター職員、区地域支えあい課の職員、リハビリ専門職の方たちと意見交換を何度か開催いたしました。
 さらに歩行姿勢システムの操作がどういったものかを理解していただくために簡単な従事職員研修会というのも行いました。
 そういった包括支援センターの意見とか現場の意見を聞いたところ、初めての試みで手間取ったところもありましたが、おおむね円滑に進行できたというお声とか、簡便に行えるようなマニュアル等を整備していく必要があるというような意見がございましたので、今後は現場の運営が着実にそして円滑に進むように、引き続き現場の意見を聞きながらマニュアル等充実させていただきたいと思っております。

討論
医療的ケア児在宅レスパイト事業について
重度障害者等就労支援特別事業について

(中村たかえ)
 二つあります。医療的ケア児在宅レスパイト事業についてです。先日の質疑の中で我が党の中森議員も指摘しましたが、レスパイトの本来の目的である、休息を確保するその立場でこれから時間を増やしていく、そういったさらに使いやすくしていくことを進めてほしいということと、また改めて繰り返しになりますが、19歳以降の医療的ケアが必要な方のご家族や保護者を支える同様の支援も準備していくことを求めて、賛成したいと思います。
 もう一つは重度障害者等就労支援特別事業についてです。自らの力を発揮したい、社会と関わりたいという重度障害者の方の就労をサポートする大事な制度だと思います。ただ、収入に関わらず一律に費用負担を求めるという応益負担ではなく、福祉を社会で支えるという視点での応能負担の原則に立つべきだ。これは医療的ケア児在宅レスパイトにも言えますが、応能負担の原則で、この事業を行うべきだという意見を述べて賛成したいと思います。

報告
令和4年度児童相談所における児童虐待相談・通告及び相談対応の状況について

(中村たかえ)
 一つ教えていただきたいんですが、令和4年度の予算で養護療育体制の整備の中で、拡充内容として子どもの養育に関する相談支援等を行うスーパーバイザーを雇用する場合の必要経費を補助するっていうのがあったと思うんですが、このスーパーバイザーの役割と、令和4年度にその方がいらして、その評価を教えていただければ。

(児童相談所次長)
 何に関するスーパーバイザーかもう一度ご説明いただいてもよろしいでしょうか。申し訳ございません。

(中村たかえ)
 すいません、昨年度の予算のところで拡充で、児童養護施設等の職員が抱える悩みやストレスを傾聴し子どもの養育に関する相談支援等を行うスーパーバイザーを雇用する場合の必要経費を補助する、というのが執行されたかと思うんですが、このスーパーバイザーの役割やその後の評価をお願いします。

(こども家庭支援課長)
 ただいまご紹介のありました児童養護施設等の職員の負担軽減に資するための、スーパーバイザーの雇用ということですが、まずスーパーバイザーとしましては、児童相談所OBあるいは施設職員経験者などを想定しておりまして、役割としましては専門的知見からの児童の養育への支援、職員の相談等に応じ負担軽減を図るということで、実施しているものです。
 評価につきましては昨年度利用については、すいませんちょっと今実績等は持ち合わせておりませんが、こうしたことが、この事業が活用されることで施設職員の抱える負担が軽減され、よりよい養育につながるものと認識しております。

付託案件外
加齢性難聴による補聴器への購入補助制度について

(中村たかえ)
 よろしくお願いします。まず最初に、加齢性難聴について認知症予防に関わって、加齢性難聴による補聴器への購入補助制度についてお聞きします。改めてですが、フレイル予防の柱は、栄養、運動、社会参加の三つの柱が重要です。とりわけ社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入口だと言われています。社会とのつながりを遠ざけてしまう要因の一つに、年を重ねたことによる音の聞こえにくさ、加齢性難聴があります。
 音の聞こえにくさから、コミュニケーションに苦手意識を持って、社会参加の場である趣味のサークルや自主グループ、自治会の集まり、地域の介護予防教室、親族の集まりなどを避けてしまう高齢者がいます。
 これまで集まりなどで活発だった方が、聞こえにくさから活動や発言が減り、集まりに来たとしても参加中もぼんやりしていた。こんな話もお聞きしました。
 こうしたことが社会的孤立を招き、認知症のリスクを高めてしまいます。広島市として、加齢性難聴による社会的孤立についてどうお考えでしょうか。

(高齢福祉課長)
 加齢に伴う難聴につきましては、年齢の進行とともに、誰にでも起こりうる可能性があり、その症状が進行することで、適切な聞こえが得られず、人とのコミュニケーションが難しくなり、高齢者が社会的孤立やうつ、認知症、フレイルに陥る危険性を高める要因の一つという研究結果も報告されているところであり、こうしたリスクのある方も含め、広く高齢者全体に対して健康づくり、介護予防や、認知症予防の取り組みを推進していくことが重要だと考えております。

(中村たかえ)
 小倉將信孤独・孤立担当対策担当大臣は、政府の孤独・孤立重点計画で、補聴器等の利用による社会参加の推進について記載したと国会で答弁しました。
 松井市長は所信表明で、全ての市民が住みなれた地域で、仕事や家庭、近所づきあいなどの様々な場面において、それぞれに役割を果たしながら、心豊かに、バランスのとれた日常生活を送ることができる生活環境を整えなければ、持続可能なまち作りを行えないと話しています。
 それぞれの役割を果たそうにも、こうした加齢性難聴によって、地域から遠ざかってしまう高齢者は置いてきぼりになるんじゃないでしょうか。
 軽度難聴を放置していれば、認知症のリスクも高くなります。社会的孤立からフレイル状態になり、介護が必要な状態になってしまいます。
 今回のデジタル技術を用いたフレイル予防ももちろんいいんですが、そもそも介護予防教室や地域の集まりなど交流の場に行くことをためらい、今回提案の取り組みに関わることができない高齢者にも、目を向ける必要があるんじゃないかと考えています。
 広島市として、こうした地域の取り組みやサークル活動に参加をためらう高齢者にどのように対応をしていくのでしょうか。

(高齢福祉課長)
 本市では、地域の取り組みやサークル活動に参加をためらう高齢者に対して、民生委員、児童委員や地域の方などが、サロンや介護予防拠点等の高齢者の通いの場への参加を声かけをしたり、外出が困難な方に対しては訪問による見守りを行ったりしております。
 また、例えば難聴が原因で日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関の受診をすすめるなど、医療や介護の専門的な支援が必要なケースについては、地区担当保健師や地域包括支援センター等と連携して支援を行っております。
 この他介護予防拠点等で開催する介護予防教室において、テーマの一つとして難聴を取り上げた講座を行い、高齢者の理解を深めている事例もあります。本市としては今後とも引き続き、こうした対応を着実に進めていきたいというふうに考えております。

(中村たかえ)
 様々に取り組みをされてるっていうことなんですが、こうした先ほどもお話したんですが、聞こえにくさでコミュニケーションが難しい、それで相手のこれまでちゃんと聞き取れていた人たちとの会話が難しいということで、集まりに行けない人たちに対して、まだもう少し一歩踏み込んだ方がいいんじゃないかなと思ってます。
 今耳鼻科の専門医は、認知症予防という点で、難聴の早期発見と早期治療が加齢性難聴の進行を遅らせられると、早期の補聴器の使用で聞こえをサポートすることが望ましいんだと話をしています。
 こうした耳鼻科の専門医の指摘に対してどのような認識をお持ちでしょうか。

(高齢福祉課長)
 加齢性難聴は徐々に進行し、本人の自覚がない場合も多いことから、早期に専門医の適切な指導のもと、大きな声を避けるなど、耳に優しい生活を送り、難聴の進行を遅らせたり、補聴器を使用することで、生活の質を向上させたりすることは大切なことだと考えております。
 一方で、補聴器使用による認知症予防の効果につきましては、国の令和2年度老人保健健康増進等事業の報告書において、明確なエビデンスが現段階で示されていないと明記されており、本市としては、現在国において進められている聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究の結果の公表を注視しているところでございます。

(中村たかえ)
 先ほどエビデンスって言われたんですけれども、別の方のお話で、これまで耳の聞こえが難しいということで集まりから遠のいていた方も、補聴器を着用し、おしゃべり企画などで自分が話したり、さらにはもうご高齢の方ですけど、自分は掃除だったらできるからみんなのサポートしたいと、そういうふうに積極的に関わる方も出てきています。
 やっぱり専門医のこの予防の観点で、補聴器の使用、早期の使用が必要だということは、私はこのエビデンスも大事かもしれませんが、実際に高齢者の皆さんのその状況を見る必要があるんじゃないかなと思っています。
 今回補聴器の購入補助制度で、私はぜひ、なぜこの質問をするかといえば、補聴器は本体価格に加えて、その人に合わせた設定や調整もあって、片耳でも通常15万円を超え、両耳の場合は50万を超える高額なものです。ある高齢者は、補聴器が高くて買えない、それでも聞こえにくくても自分が我慢すればいいからと、周囲との関わりを諦めています。
 この加齢性難聴による補聴器購入の補助制度が、高齢者の社会参加を後押しし、健康に生き生き生活することを支えることに繋がると思います。
 先ほど、午前中のところでフレイルの予防事業で、今後、このデジタル事業も続けていくつもりだが見直しもしていくという中で、現場の声、実際の高齢者の声も聞いていくということだと思うんですが、もう既に123の自治体が何らかの補聴器購入補助制度を設けています。
 広島市でもこうしたフレイル予防の点から、加齢性難聴による補聴器購入補助制度が求められていると思いますが、どう考えでしょうか。

(高齢福祉課長)
 加齢に伴う難聴は、特定の地域課題ではなく、全国的課題であることを考慮するならば、加齢性難聴者への補聴器購入助成制度は現在進められている国の研究結果を踏まえた上で、全国一律の基準で実施されることが望ましいことから、これまでも政令指定都市が共同して国に対し認知症の予防効果が認められる場合には、加齢性難聴者の補聴器購入に係る全国一律の公的補助制度を創設するよう要望してきており、今後も引き続き国に働きかけていきたいと考えております。

(中村たかえ)
 高齢者福祉に対しても、国の制度待ちだということがよくわかりました。そうは言っても、高齢者も若者も子どもも生き生きと暮らせる社会、そんな広島市をつくるために、私は必要なことを自治体がやるべきだということをお伝えして、この補聴器購入補助制度についての質問を終わります。

マイナ保険証について

(中村たかえ)
 続いて、マイナ保険証についてお聞きします。先日閉会した国会で紙の保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化する改定マイナンバーカード法が強行されました。しかし7割を超える人たちが、紙の保険証廃止に反対しています。
 この背景には、マイナンバーカードの交付間違いや登録間違いにより、医療情報に適切にアクセスできない、また、保険情報にアクセスできず、無保険扱いになるトラブルが相次いでいることがあります。
 先日も我が党の中原議員の一般質問への答弁で、広島市は2023年5月以降、マイナンバーカードの返却が107件、そのうち理由が信頼できないからと明らかになっているものは20件と発表しました。マイナ保険証への不信が大きくなっているということの裏づけではないでしょうか。
 とりわけ問題となっているのは、他人の医療情報が紐づけされるなど、誤った登録が相次いでいることです。
 投薬や治療情報の取り違えは、患者や利用者の命に関わる大問題です。また保険情報の登録ミスやカードリーダーの不具合、ICチップの破損、顔写真の読み取りの問題、こうしたことなどで、窓口で情報が読み取れず、保険情報が無効、該当資格なしとなるケースが報告されています。この場合、窓口で10割負担となってしまいます。広島市でも既に9件問い合わせがあった。さらに、二県では、保険料を払っているのに、窓口で10割負担をしたそういう事例があったということです。
 これらのトラブルは決して事務作業上の問題にとどまりません。文字通り命に関わる重要な問題です。広島市はどのように受け止めているのでしょうか。

(保険年金課長)
 先日の本会議で局長が中原議員にご答弁申し上げました通り、マイナンバーカードの健康保険証利用はマイナンバーカードが全ての国民に行き渡った場合に、より良い医療を提供していくための情報化の基盤となるものと考えておりますが、現状発生しております様々な事案に対しては、国において対処すべきものと認識しており、実際に先日、マイナンバー情報総点検本部を設置し、再発防止と不安解消に努めていくものと承知しております。

(中村たかえ)
 確かにマイナンバーカードの事業は国の問題ですが、国の総点検の問題でも、先日6月27日には、日本共産党マイナンバー問題追及委員会では、デジタル庁に問い合わせをしたら、こうした顔写真の登録間違いによる点検は、この総点検に当たらないんだっていうようなレクチャーがあったそうです。
 ぜひ、広島市はこうした国の不具合が、自治体の事務作業のところに押し付けられているというところを重く受け止めていただいて国に対してもしっかり意見を言っていただきたいなと思ってます。
 そして、問い合わせのあった9件についてお聞きしたいと思います。この問い合わせのあった9件というのは原因が判明しているのでしょうか。また、その後どのような対応をされているんでしょうか。

(保険年金課長)
 各区の保険年金課に問い合わせがありました医療機関の窓口で無資格と表示される事例については、加入手続きの後オンライン資格確認等システムに新しい情報が表示されるまでに、一定期間を要することが原因であったと考えております。
 本市の国民健康保険被保険者について各区保険年金課に問い合わせがあった際は、原因を調査の上、本人または医療機関に対し正しい情報を伝えており、これに基づき適正な一部負担となっているところでございます。

(中村たかえ)
 タイムラグが既に生じるっていうシステムの不備だと思うんですが、今回は、問い合わせの結果保険情報があるということが判明したから、適切な負担割合で窓口負担されたと思うんですが、万が一、保険情報にアクセスできず、被保険者にも関わらず窓口で10割負担をしなければならない。そんな場合、受診できない状況を作ってしまいかねません。医療にかかれない状況を作ってしまうことについてどういう認識をお持ちでしょうか。

(保険年金課長)
 保健資格がある方が適切な自己負担割合に応じて負担を行った上で、必要な保険診療を受けることができる、こうした状況が必要であると考えております。

(中村たかえ)
 それをどのように医療機関の方は対応したらいいんでしょうか。

(保険年金課長)
 オンライン資格確認で無資格と表示された場合の対応については、現在国が検討しておりまして、医療機関に対しては、本人さんに確認の上で3割だったら3割の負担をと求めるような形といったことを検討されていると聞いております。

(中村たかえ)
 今回はおそらく本人さんが、自分はこの保険なんだ国保だとか、協会けんぽで自分は普段3割負担だとか1割負担だとわかっていればいいかもしれませんが、仮に何らかの事情で申請ができずに無保険だった場合、国保だとか協会けんぽ、健康保険組合が支払うはずの9割ないし7割の部分について、これ医療機関が未収金になるんじゃないでしょうか。
 その場合経営を圧迫してしまう危険性があります。こうした事態について、市としてどのようにお考えでしょうか。

(保険年金課長)
 先ほど申しましたように、無資格と表示された場合の対応について現在国の方で検討されておるところでありますが、これによる医療機関の未収金の問題についても適切に対応されるものと考えております。
 報道によると、医療機関に事務的な対応をお願いするものの、それ以上の経済的負担をかけないという基本的な考え方に沿って、医療機関の不足分が補填されるような仕組みについて検討されているとのことでございます。

(中村たかえ)
 国は検討します検討しますと本当に見切り発車で紙の保険証を廃止するっていうのを進めているという状況がよくわかりました。
 今回もう一つお聞きしたいのは、マイナ保険証を持たない場合は、資格確認書を被保険者が申請しなければならないとなっています。
 マイナンバーカードを申請したくてもできない障害者や要介護の高齢者も資格確認書を自ら申請しなければいけません。
 今保険証は、こうした資格確認書を広島市は出さないように努めていますが、こうした医療保険資格ありますよという証明書は、基本的には保険者が必ず被保険者に提供する、遅れずに支給するということになっていますが、このマイナ保険証は、マイナ保険証すら資格確認書の申請です。
 この場合、大変な人権問題にも関わってきます。障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平事務局長は、国会の参考人質疑の際、「顔写真の背後に車椅子のヘッドレストが映っているからマイナンバーカードの申請が却下された」「不随意運動により通院時の顔認証でエラーになる。本人確認ができない」「暗証番号の入力が難しい」こうした声が当事者から上がってるんだと話してます。
 そもそも申請が難しい、さらに資格確認証の場合だったら、1年ごとに自ら申請しなければなりません。医療に関わることを大きく阻害してしまうかねない事態です。
 広島市として、こうした資格確認書を申請できない人にどう対応するつもりでしょうか。資格確認書がなければ無保険状態になり、医療にかかれない人が出てくるのではないでしょうか。住民の命と健康を守る自治体としてどういう対応をしていくんでしょうか。

(保険年金課長)
 マイナンバーカードも資格確認書も、いずれも申請することが困難な方がいらっしゃるということで、そういった方がいらっしゃることを考慮して、こうした方が無保険扱いとなることのないよう、先日の法改正により、資格確認書の職権交付の仕組みが新たに設けられ定められて、今後運用の詳細が国から示される見込みとなっております。
 本市としては、そうした仕組みを適切に運用していきたいと考えております。

(中村たかえ)
 本当に今回の、結局自治体の職権で資格確認書を発行する、今までの国保の保険者としての役割そのままだと思うんですよね。今回政府はこうした自治体に対して総点検をするんだっていうことで張り切ってらっしゃるんですが、タイムラグで無保険状態になるんだっていう、もう最初っから破綻が明らかなシステムです。顔認証も、別の人の顔でも認証ができるそんな状況で、こうした管理運営システムの誤りや、入力ミスもあるかもしれません。こうしたヒューマンエラーを自治体に責任転嫁していると言わなければなりません。
 問題は、こうした総点検せざるを得ない制度設計、さらにマイナンバーカードの強制を進めるために、紙の健康保険証廃止を強行したことが今回の大問題になっています。
 ご家族を介護されているある方は、「親は高齢で、自ら申請することができない。さらに、持病の影響で通院するときには顔がむくみ、顔認証なんてできない。ちゃんと診察を受けれるんだろうか。利用者や、ご家族も、医療にかかれるだろうか」と不安を感じておられます。自治体も医療機関も余計な負担が増え、さらに利用者や家族、そうした人たちが苦労を余儀なくされる。
 安心も安全も、今お話を聞いたら全部検討中っていうことで、全く安心も安全も確立できない制度。ちゃんと制度の安心安全な運用が確認できるまで立ち止まり、検証する必要が私はあるんじゃないかということを述べて、終わりたいと思います。

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