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1.環境保全対策について
(1)上安産廃処分場の安全対策について
(2)廃棄物施設の環境配慮手続き条例について
(中原委員)
産業廃棄物処分場、上安の周辺の盛り土についてうかがいます。安全対策と再発防止という視点からうかがってまいります。1月25日付の中国新聞がトップ記事で報じました。記事の一部を紹介させていただいております。盛土と処分場が重なっている上安処分場の状況です。中国新聞は、「不適切な盛土、上に産廃広島市認可、一部崩落」として、この盛土と産業廃棄物処分場の危険性を報じました。
この処分場の危険性については、日本共産党の市会議員でした藤井とし子議員が、2020年令和2年度の12月議会の一般質問 以来、安佐南区の選出として当該の有権者の思いも含めて、いく度も危険ではないかということを指摘してまいりました。
例えば有害物質が当該処分場から排出されているのではないかということもありましたし、盛土の上に積まれた廃棄物は崩壊の危険性もあるんじゃないかと指摘しまして、処分場を認可した市の責任として対策をしてほしいと求め続けてきました。広島市は産業廃棄物処理法に照らして問題はないということでこの問題についてはずっと膠着状態でまいりました。
しかしご存知の通り、県が2021年に実施しました目視による県内1514ヶ所の盛土調査の結果、20ヶ所で是正指導が行われまして、上安産廃処分場周辺の盛土についても一部が崩落していることが指摘され、是正指導を受けることになっております。
ここにグラフをお示しします。上安産廃処分場の埋め立て許可容量の変遷です。この処分場は平成5年、1993年に本市の許可を得て設置されておりますけれども、例えば令和2年度までの27年間で6回拡張申請が行われてきました。この赤いポチのところが拡張申請があった年度です。平成6年、平成7年、平成9年、平成23年、平成28年、令和2年の拡張です。これによって当初の6倍の埋め立て容量へと膨らんできました。グラフを見ていただくと一目瞭然で右肩上がりですけれども、とりわけ平成28年で盛土への拡張がなされました。これ以来伸び方がぐっと勢いを増しまして、埋め立て盛土の上に産廃が許可された平成28年度以降は、処理容量は111万から2倍にあたる210万に跳ね上がり、マツダスタジアムの1.7倍ぐらいの規模に膨らんでいるということです。
そこで最初の質問ですが、この不適切な盛土は地震や豪雨で崩れる危険性は大変高いということです。熱海の土石流災害の二の舞になるのではないかと思うのは当然の話です。
この盛土が崩壊すれば、その上にある産廃とともに地域に大きな被害をもたらすわけですが、盛土の上に廃棄物処分場があることについて市はどのように受け止めていらっしゃるのかうかがいます。
(産業廃棄物指導課長)
今回の事案は、廃棄物処理法に基づき処分場の拡張等の許可を行った環境局と、当該盛土が造成された当時、森林法に基づく林地開発の強化を所管していた県の農林部分が関係するなど、関係法令や所管部署が複数に及んでいたものです。
このうち、最終処分場の拡張に係る廃棄物処理法に基づく本市の許可については、これまで議会の場でご答弁してきた通り、施設の構造等の計画が技術上の基準に適合することなど、現地確認に基づく専門家の意見聴取等も行った上で、許可要件への適合性を法令に基づいて適正に審査し、許可しているものです。
こうした中、本年1月27日に地元の住民団体から当該盛土の徹底した調査と災害防止対策を求める要望を受けたところであり、盛土の安全性に係る住民の不安解消に向けて現地の関係部署が連携ししっかりと対応していく必要があると考えています。
(中原委員)
あくまでも法に照らして問題はなかったというふうにおっしゃるし、関係法令所管もたくさんあるというようなことですけれども、しかし、実際目の前で大きな危険があるという、これはどんな法の理由にもよらず、やはりそれは改善すべきだと思います。
法を理由にして危険対策が後回しになるということがあってはならないと思うんです。
先ほど紹介した中国新聞の記事に、京都大学の防災研究所の釜井俊孝名誉教授のコメントが掲載されておりまして、これは非常によく、言い当てられていると思うのでご紹介をしておきたいと思います。
名誉教授の話では、「危険性がよくわからない盛土の上に産廃処分場が作られることは想定されておらず驚いている。広島市は、業者が提出した書類を鵜呑みにせず、ボーリング調査をさせて盛土部分の強度と構造を把握すべきだった。やるべきことをやっていない。人家が近く、盛土が崩壊すれば、熱海の土砂災害と同じことになる。5月に施行される盛土規制法に基づき、一帯は規制区域になると思われる。今後、詳細な調査が求められる」というふうにコメントをされております。
広島市の不十分さがやはり指摘をされているというふうに言わねばなりません。それで早急な対策が必要なわけですけれども、今後どのように安全対策が進んでいくのか、まず調査も必要なんでしょうけど、早期の安全性把握調査についてはどのようにされていくのか教えてください。
(森づくり担当課長)
議員ご指摘の上安産業廃棄物最終処分場の周辺盛土につきましては、令和3年10月に県が国から依頼を受けて盛土に係る総点検を実施し、その結果直ちに住宅などへ被害が及ぶ状況ではないとしつつも、一部侵食している盛土のり面の復旧等に関する是正指導中とされました。 その後、昨年1月に地元住民から県に対し、盛土の安全性に関する調査をしてほしいと要望が出され、本市からも住民の意向を踏まえて県に対して申し入れをしたところです。
しかしながら、事業者によると、盛土の所有者も明らかでないことから安全性調査が行われていないことに鑑み、住民の不安の払拭や安全性の確保のために市としても県と協力連携して調査を進める必要があるとの考えに転換し、所有者が未確定であっても自治体が調査を実施できる国の盛土緊急対策事業の活用を視野に入れて、県と調査方法や県市の役割分担等について協議を行っているところです。
したがいまして、現時点においては県市の役割分担、安全性の把握調査の方法および今後のスケジュールが固まっていませんが、今後できる限り早期にこれらを確定させ、県市共同で必要に応じて予算措置を講じて調査を進めていきたいと考えております。
(中原委員)
県市で、所有者不明だけれども、やはり安全対策最優先で進めていくということであります。
それで地元の人は、当初は事業者から盛土は建設残土だということで話があったとのことですが、見ているとどうも建設残土だけが入ってるようじゃないと、ゴミも入ってるなということを生活する中で見てらっしゃるということのようです。
ですから、やはりこの盛土の中には、ゴミがあるんだろうということは想像に値するわけですけれども、そうなりますと地元はやはりこの調査をして何か安全対策するというよりは、もう危険なものは取り除いてほしいとこれが一番の安全だということを願ってらっしゃるということがありますので、お伝えをしておきたいと思います。
それで早期にやるということでありますが、調査をやって必要な対策を講じるという答弁でした。これは大きく一歩前進したというふうに思いますけれども、国は盛土緊急支援事業というのを立ち上げて、防災安全交付金で対策できるというふうになっているようですから、財政措置はあるというふうに思っております。
当然市も補正を組まなければなりませんので、一番早い次の議会といえば6月議会ですが、ぜひ6月議会には具体的な調査や対策が進むように取り組んでいただきたいということを要望していきたいと思います。
(中原委員)
次に、同じような事件を再発させないためにはどうするかということも合わせて、安全対策と同時に必要だと思います。
地元は、住民の安全とか安心とか二の次じゃないかと。勝手に谷埋め盛土をして、森林を伐採して産廃処分場が許可されるのは無法に等しいと怒りをお持ちです。こんな無法状態は解決してほしいということで、法に照らして適法だというのがずっと市の見解ですが、市民は無法状態だというすれ違いがあるわけです。そこを整合させていくためには、法の方が変わるべきだと私は思っています。
それで今回5月に盛土規制法というものが整備されますが、これによって、住民の不安、無法状態、感じてらっしゃることが今後解消していくのか。山林や谷に盛土が無法状態で実施されるようなことがなくなるのか、市の見解をお聞かせいただければと思います。
(森づくり担当課長)
この盛土が平成10年ごろに造成された当時、森林における盛土等の造成を規制する法令は森林法に基づく林地開発許可制度のみで、この規制の対象となる森林の面積は1万平方メートルを超えるものであり、それ以下の盛土等につきましては法令の規制がない中で、造成が行われておりました。
その後県において、平成16年に土砂埋め立て区域の面積が2000平方メートル以上の場合に許可を必要とする条例を制定し、また、本市においても、同年に土砂堆積区域の面積が500平方メートル以上2000平方メートル未満の場合に許可を必要とする条例を制定しました。
これにより、市内全域における500平方メートル以上の盛土等の造成について許可が必要となっております。
一方国においては、昨年5月に宅地造成のみを規制対象としていた宅地造成等規制法を、農地、森林などを含め土地の用途やその目的に関わらず、盛土等の規制ができるように盛土規制法に改正し、本年5月にそれを施行することとしており、その規制区域指定の上は罰則などの規制内容の評価が行われることとなっております。
これらの法令による規制によって、盛土等について住民の不安を生じる恐れのある事業の抑止につながっていくものと考えております。
(中原委員)
今後そういう無法状態と感じるような森林の伐採や埋め立て、そういうことがないように期待をしておきたいと思います。
もう一つ、再発防止に向けて産廃施設の設置に当たっての環境破壊の防止という観点から、環境配慮手続き条例というものの制定を求めておきたいと思うんです。
当該上安産廃処分場では、周辺の住民から、臭いがするとか泡が立っているという異常を感じて、市に対しても調査指導を求めてこられました。安定5品目を埋める安定型の上安産廃処分場において、本来なら臭いがしたり泡が出たりすることはあり得ないわけです。
しかし、ここの施設には排水処理施設というものが設置されました。本来なくてもいいはずなんです。ある必要性がないんです。安定5品目だから。しかし、排水処理施設を設置しなければならないということになって、これはまさに安全性を疑ってしまいかねないと思います。
全国でも安定型と言いながらいろんな問題が起きている処分場があって、県内の三原や竹原でも今裁判にもなっております。
2020年10月に弁護士会が、廃棄物処理施設による環境被害を防止することが必要として、施設設置許可にあたり、環境配慮手続き条例の制定を求めるという会長声明を出していらっしゃいます。
全国でも安定型処分場から有害物質が漏出して裁判に発展するというケースが後を絶たないということで、やはり処分場設置の際には細心の注意が必要ということですけれども、この弁護士会の声明について市はどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
(産業廃棄物指導課長)
昨年10月の広島弁護士会による声明は、広島県や本市では、産業廃棄物処理施設の設置の許可に先立った事前手続きにかかる要件が設けられているが、その実効性を担保するため、これらを条例で制度化するように求めるものでありました。
本市における許可申請前の手続きについては、これまで要綱に基づく事業者への指導により、地元住民への事前説明が適宜行われるなど、十分対応ができていることから、弁護士会の声明を踏まえて、直ちに条例を制定する必要はないと考えていますが、こうした条例を運用している自治体からの情報収集を行いながら、県との連携の要否などを含め検討を行っているところです。
(中原委員)
検討を行うということではありましたけれども、十分対応できているという今の段階でのご認識があるということでした。
十分対応できていないから、様々地元から使用し市の方に要望が出されているわけじゃないんでしょうか。何も問題がなければ要望書は提出されないわけであります。やはり対応不十分ということでしょう。
広島市には独自の手続き条例がないというのが弁護士会のご意見で、作ってほしいということなんです。
広島市は要綱なんですが、どんな要綱なのか持ってまいりました。いろいろ書いてありますが、例えば先ほどの地元説明会、十分対応できているということでありますけれども、「地元説明会の開催、第8条説明会を開催するよう求めるものとする」努力義務で、しなければならないという強制力は全くないんです。事業者の誠意、誠実さに依拠するというようなことではやはり不十分だと私は思います。
弁護士会の意見では、画一的な基準では駄目なんだと。地域ごとに土質も違うし、今回のように産廃処分場の下は盛土だったというケースもあるわけですから、みんな谷に埋めるというような画一的なものじゃないと。だから個別にきちんと細やかな配慮ができるような規制が必要だとおっしゃっている。もっともだと私は思います。
地域の住民こそが、その地域にどんな問題があるか一番よくわかってらっしゃる。盛土の中にはゴミが入っているということを感じてらっしゃる。もっと説明会を事前に行って、ここに産廃処分場を作りたいけれどもどうだろうかと地元におっしゃれば、そこは危険ですよと。建設残土だけじゃなくてゴミも入ってるように感じますよというふうな情報がもっと入れば、市も合わせてそれはちょっと調査をしてみよう、ボーリング調査もやってみよう、その安全性についてはきちっと調査ができたのではないかと私は思いますけれども、どのようにお感じですか。
(業務部長)
ただいま課長が、本市においては要綱で十分対応できているという旨を、答弁させていただきました。この上安処分場につきましても、先ほど委員が言われた28年の拡大の申請時、あるいは直近令和2年度の拡張の申請時、いずれも事業者の方が地元の方に説明をされております。我々は地元の方に対して説明を受けているということを確認しております。
さらに、廃棄物処理法の制度の中で、申請を受けて許可に至るまでの間に中身を公示して縦覧するということを定められております。それに対して利害関係者は意見を提出することができるという制度もございます。そうした拡張の許可の際には、そうした意見は寄せられてはいないというようなことがございます。そういうことで、今は法と要綱で十分に対応できているという認識でございます。
(中原委員)
繰り返し、今の要綱で十分だということですが、私はこのたびの事件の教訓をどこに持つのかということが非常に大事だと思います。先ほど京都大学の名誉教授がおっしゃったように、盛土の上に産廃を作れなんていうのはもう想定外だったと。驚きだと。
それだけ非常識なことが広島では慎重な審査もなく法に基づいて認められたということで、安全対策を行うというのはそれはもう目の前の危険を回避するということで当然の話です。
再び同じようなことを繰り返さないために、一つは盛土規制法ができますから、そういう危険は回避されていくのかもしれませんけど、私は改めて産廃処分場の設置にあたって市が行っていた方がいい市民の安心安全を最優先にしながら、一方でゴミの処理というのも大事な事業ですから、どう整合性を取るのかやはりそれは安心安全が大前提だと。その大前提を確保するために、市が許可権者として、あらゆるいろんな専門家の例えば今回でいう弁護士の意見、こういうものも真摯に取り入れていく姿勢が私は必要だと思うんですよ。
法でやってるんだからいいんだと、できているじゃないかというようなことでは、また同じようなことが起きはしないかと危惧をするものであります。
弁護士会の意見を今一度言いますと、画一的な基準でなく、個別の施設、立地環境に応じた細やかな配慮を行う実態的な規制が必要。事業者が周辺住民や行政との間で十分な情報意見交換を行って、処分場予定地の周辺環境に適宜配慮する計画に修正する、地元の意見を聞いて、整備計画の方を変えていくっていうね、こういう事前に事前な、そういう地元の声を反映できるような安心安全な施設にしていく、そういう条例をしてくださいと。それで最終的には不許可、許可しない厳しい中身を持つことが求められるという意見で、私はこれは広島市に対してご意見をいただいたと思っておりまして、ぜひ今後検討いただきたいと思うんです。
令和3年3月付の産業廃棄物行政組織等調査報告書というのがありまして、これは平成30年度に広島県内で安定型産業廃棄物最終処分場がいくつあるか、57ヶ所あるんです。広島県内に。これは北海道について、次いで全国2位の設置数だと。たくさんの最終処分場が安定型ですが、広島県には多いということで、どうしてかなと思うと、やはり広島市の基準はゆるいのではないかと言わざるを得ません。
事業者に環境配慮をお願いするという程度のものじゃなくて、やはり災害防止と地域環境、これを守るというここに立脚した実効性のある条例を求めておきたいと思います。
時間が来ましたからこれで終わりたいと思いますけれども、この問題はずっと藤井とし子議員が関わってきました。本来であれば、私でなく藤井とし子議員がこの場でやりたかったと思いますが、それぞれ広島市の今後の環境行政、廃棄物処理法のもっと充実を彼女も求めたいというふうに思ってると思います。
今回の上安産廃処分場とその周辺盛土の安全対策と同時に、先ほど言いました二度と同じような事件を起こさないための条例の制定などを要望して、質疑とします。ありがとうございました。