議会での質問・答弁

2022年02月18日

2022年第2回 2月定例会・予算特別委員会 議案討論 中森辰一議員

(中森辰一議員)
 日本共産党広島市会議員団を代表して、討論を行います。
 上程された議案のうち、第302号議案、令和3年度広島市競輪事業特別会計補正予算(第2号)、及び第313号議案、契約の締結について(広島競輪場東スタンド等解体その他工事)については、反対とします。
 その他の議案は、賛成です。

 反対の議案2件は、いずれも競輪事業に関わる議案です。
 第302号議案は、車券売上額が11億円余り当初見込みより多かったので補正を行うものです。大勢の人々が、11億円余りも、意味なくお金を失ったと思わないわけにいきません。
 競輪は、公営ギャンブルであることを改めて強調しなければなりません。広島県内には宮島競艇がありますが、福山競馬はすでに廃止となりました。言うまでもなく、ギャンブルは日本の法律で厳しく禁止されています。しかし、その法律に例外が設けられ、競馬、競輪、競艇、オートレース、及び中央競馬が行われ、近年は、新たにサッカーくじが設けられ、最近はカジノまで認められてしまいました。
 奈良・平安の時代以降、江戸時代、明治政府初期まであらゆるギャンブルが法で禁止されていたのは、人々の暮らしを破壊し、人間の一生を台無しにするものであり、社会にとって有害である、ということが分かっていたからです。明治に競馬が始められたのは外国人居留地で、治外法権が認められていたからでした。やがて、そこから少しずつ一般の競馬が容認されるようになっていきました。
 戦後、各地に競輪等の公営ギャンブルが認められたのは、復興財源の確保が目的でしたが、パチンコの普及・拡大とともに、日本ではギャンブル依存症も拡大していき、今日に至るまで、ギャンブル依存症を防止する実効ある施策は、今なおないに等しい状況です。最近では、競技場に行かなくてもインターネットを活用して、自宅などでギャンブルに参加することができるようになり、それに伴って個人が投入する金額も大きくなっています。ギャンブル依存症は深刻化している可能性があります。
 一旦、ギャンブル依存症になると、その克服には大変な努力と医療を含めた周囲の支えが必要になります。適切な対応ができなければ、まさに人間生活が破壊されてしまいます。
 そのような危険性を持つギャンブルを公共が実施する合理的な理由は、もはやありません。広島市は、来年度は6800億円を超える予算を計上しています。今回の補正予算では税収が見込みより多かったと57億円も、基金に積み立てをする状況です。たかだか数億円程度の収入をあてにしなければならない状況ではありません。広島市が、財政的な理由から、いつまでも競輪を続ける必要はありません。
 全国的に大きな反対の世論が広がったにも拘らず、サッカーくじが導入されてしまいましたが、野球賭博は依然として法律違反として摘発されます。スポーツを掛けごとの対象にすることは社会として容認できないという基本認識が、私たちの社会にはあるわけです。
 「ケイリン」はオリンピックの競技にもなっていますが、それは国際的にも優れた競技種目であると認められたからだと思います。しかし、国際競技の「ケイリン」にお金をかけることは認められていません。他の自転車レースがプロスポーツとして発展しているように、お金をかける公営競技としての競輪も、健全なプロスポーツに転換して発展させていくべきで、広島市がいつまでも公営ギャンブルを続けるべきではなく、新たに施設を更新することは止めるべきです。
 第313号議案は競輪を止めるために施設を解体するのではなく、「チャリ・ロト」という民間企業に、新たに競輪施設を建設させるために、いまの施設を解体するための工事契約です。「チャリ・ロト」という民間企業が、今後34年間にわたって、広島市が責任を負うギャンブルで儲け続けることを保証することになってしまっています。
 国際平和文化都市だという広島市が、34年間も社会的に不健全な事業を続けることを絶対に認めることはできません。
 以上の理由で第302号議案と第313号議案には反対します。
以上、討論とします。