議会での質問・答弁

2021年12月15日

2021年第5回 12月定例会 議案討論 近松さと子議員

 日本共産党近松さとこです。市議団を代表して12月議会に提出されています議案について討論を行います。

 反対する議案は、第124号議案一般職の職員の給与に関する条例の一部改正についてと第292号議案契約の締結についてです。
 以下、反対の理由を述べます。
 第124号議案は、民間企業のボーナス水準が市職員を下回ったとする人事委員会の勧告に従って、一般職員の期末手当を0.15月、会計年度任用職員の期末手当を0,10月引き下げるものです。
 こうした中で、期末手当引き下げを見送った自治体もあります。青森県むつ市長は、「新型コロナ対応とワクチン接種、大雨災害対応などで業務負担が大きい中、職員は卓越した働きをしてくれた。今はコロナ禍からの景気浮揚の局面で消費マインドを下げる減額は考えられない」と地元紙の取材に答えています。まさに、社会全体で、働く人の賃金を引き上げようとしているときに、今回の引き下げは、地域の賃金相場にも地域経済にも悪影響を及ぼすものです。
 また、本市でもコロナ対応のために、月200時間を超える時間外勤務を行った職員もいますが、過労死ラインを大きく超える長時間残業をしても災害など緊急の対応については特例とされ残業規制の対象外です。単純に民間企業に準拠して引き下げるのは職員の士気をそぐことではありませんか。
 さらに、自治体の非正規職員である会計年度任用職員の期末手当も今年は引き下げられます。その多くが女性であり、男女の雇用形態の格差による賃金格差がますます拡大し、ジェンダー平等にも逆行します。とりわけ、会計年度任用のパートタイム職員である放課後児童クラブの指導員への影響が懸念されます。市は、利用料金の有料化で大規模クラブの指導員を増やし、サービス向上を図るといいますが、肝心の指導員の賃金が下がるのでは、ますます指導員不足に拍車がかかり、サービス向上が絵にかいたモチになりかねません。
 以上の理由で、職員の期末手当引き下げに反対します。
次に反対するのは、第292号議案です。広島駅前大橋の軌道など新設その他工事の契約を広電と結ぶものです。
 広電の電車の軌道を高架化しても短縮できる時間はわずかの数分です。急いでやらなくてはならない必要性がありません。加えて、電車の軌道の高架化なのに、広電の負担はインフラ以外のレールの材料費や架線、電気通信設備などほんの一部です。今回の工事契約の事業費124億円についていえば広電の負担はゼロであり、応分の負担を求めるべきです。そもそも、新型コロナ禍で事業者・市民の収入が減って困っているときに、不用不急の大型事業よりも市民の生業や生活を支えることを優先して、自治体の本来の役割を発揮すべきです。

 次に意見を付して賛成する議案です。
 第116号議案令和3年度広島市一般会計補正予算(第8号)は放課後児童クラブ利用料有料化を前提としたシステム改修の債務負担行為や職員の期末手当引き下げの予算には反対ですが、補正予算の多くは3回目のワクチン接種費用など必要な経費なので、補正予算案全体には意見を付して賛成とします。
 これまで、日本共産党市議団は、放課後児童クラブの有料化には繰り返し反対してきました。少子化に歯止めがかかっていない中で、現在のような放課後児童クラブの需要拡大もいずれは収まり、運営費も自然と減少していきます。市全体の予算が維持されている中で、子ども関連予算を減らさず維持していけば、放課後児童クラブの運営費についても有料化しなくても市のいう持続可能性を確保することは可能です。少子化の中で、さらに子育て世帯への負担を求めるのは、とうてい「子育てにやさしい街」とは言えません。せめて、窓口負担が500円ですむ子ども医療費補助受給世帯と同じ所得の世帯も放課後児童クラブ利用料を無料にすることをもとめます。
 第149号議案、公の施設の指定管理者の指定について、吉島老人いこいの家の指定管理者を指定する議案についても意見を付します。
 来年度いっぱいで、吉島老人いこいの家を廃止するのを前提に1年間指定管理者を指定するものです。利用者の意見も聞かず、9月議会に憩いの家を廃止する方針を決めるやり方はおかしいとこれまでも指摘してきました。10月に市が行った説明会に参加した利用者からは、廃止に反対する意見が多数であったと聞きました。80歳台の利用者からは「いこいの家のお風呂があるから、毎日行くところがある。生きる支えだ」との切実な声があがったそうです。
 厚生委員会の質疑では、吉島プール建て替え後も6年後まで「吉島老人いこいの家」を存続することは可能だという答弁がありました。コロナ禍で利用者の意見を聞く場が持てなかったというなら、2月議会に提出予定という「吉島老人いこいの家」廃止条例は見送り、利用者の納得が得られなければ、来年度1年間という指定管理者の指定期間も今後延長すべきです。
 
 最後に、13日に発送した子育て世帯への5万円の給付についてですが、13日の衆議院予算委員会で岸田首相から、自治体がクーポン券ではなく全額現金で支給しても国の予算をつけるとの答弁がありました。これを受けて、全国で次々と現金給付を選択する自治体が増え、県内でも福山市も全額現金給付を行うとのことです。広島市は、一括給付に間に合いませんでしたが、残りの5万円も現金でできるだけ早く子育て世帯のところに届けるよう求めて討論とします。