議会での質問・答弁

2021年12月10日

2021年第5回 12月定例会 議案質疑 きせ康平議員

第116号議案令和3年度広島市一般会計補正予算(第8号)
 放課後児童クラブ利用料金収納システムの改修等について
第124号議案一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について
第292号議案契約の締結について(駅前大橋線軌道等新設その他工事)

第116号議案令和3年度広島市一般会計補正予算(第8号)
 放課後児童クラブ利用料金収納システムの改修等について

(きせ康平議員)
 日本共産党のきせ康平です。党市議団を代表して2021年度12月定例会に上程された議案のうち、3つの議案について質疑を行います。
 初めに、第116号議案、令和3年度広島市一般会計補正予算(第8号)のうち、放課後児童クラブ利用料金収納システムの改修等についてお聞きします。
 この事業は、2023年4月より、放課後児童クラブの有料化を行おうとするためにシステム改修を行うものです。しかし、まだ有料化は案が提案されているだけで、正式に有料化が決定していません。この事業は有料化を進めるためのものであるため、有料化のことも含めてお聞きしてまいります。
 9月定例会にて、有料化についての案が提出され、利用者負担が、「就学援助を受けている世帯」は無料、「こども医療費補助受給世帯等」は3,000円、「それ以外の世帯」は5,000円と示されました。
 そもそも私たちは放課後児童クラブの有料化に対しては反対の立場でありますが、有料化を行うにしても、無料とする基準が低すぎます。
 「こども医療費補助受給世帯」以上から有料としておりますが、こども医療費補助制度では、低所得世帯の受診抑制への配慮として、窓口での基準を設けて、月に500円を限度とする世帯と月最大3,000円する世帯と区別しています。
 しかし、この度の有料化では、こども医療費補助制度で配慮している世帯に対して、全く配慮がされておらず、低所得世帯への市の対応には整合性がありません。
 安心して子育てを行うために、有料化をするにしても、就学援助受給で区切るのではなく、こども医療費補助における窓口負担500円の世帯までを利用料を無料へとするべきと考えますが、市の考えをお聞かせください。

(教育長)
今回の基本時間部分の受益者負担措置の導入に当たっては、国の考え方、先ほど議員からご紹介がありましたが、運営費の1/2を利用者負担するという前提での試算では、8,700円となるところを、子育て世帯の経済的負担への配慮を重視し、全体の2割強が該当すると見込まれる「就学援助を受けている世帯」までは無料、約5割が該当すると見込まれる「こども医療費補助受給世帯等」は月額3,000円、その他の世帯は月額5,000円に設定することとしております。
 議員の御指摘は、この約2割強の無料の範囲をさらに拡大せよということですが、本市の料金設定は、負担軽減措置も含め、基本時間部分を有料化している政令市の中では最も低い水準となっておりまして、これ以上の拡大は考えていません。

(きせ康平議員) 
 有料化を実現させると、年間で3億2000万円の収入との試算が明らかとなりました。
 半分の1億6千万円については、「夏休み等長期休業中における希望者への昼食の提供」や「古いエアコンの更新など施設面の改善」、「第二土曜日の開所」等の7つのサービス向上策に対する予算だとされ、残り半分は人件費や設備費など運営費にするということが明らかとなりました。
 国の制度により運営費の1/2は利用者負担とされておりますが、サービス向上策に挙げられている施設面の改善においては、運営費には当てはまらず利用者負担ではなく市の責任で行うものだと考えます、なぜ保護者負担となるのか。ご説明ください。
 また、現在トイレや施設そのものなど、施設整備における格差がありますが、このままでは公平性が確保されません。いつまでに解消するのかお答えください。

(教育長)
 施設面の改善のうち、屋上防水や外壁改修など大規模なものについては、国の補助金においても「運営費」ではなく「整備費」として整理されていることから、こうした改修費は利用料釜の算定根拠となる運営経費には含めておりません。一方で、エアコンの更新やトイレの修繕等については、放課後児童クラブを適切に運営していくための維持管理経費であることから、「運営費」として整理し、運営経費に含めています。
 施設面の改善については、アンケート調査により保護者のニーズも高いことを把握していますので、現場の実情も確認しながら、エアコンの更新やトイレの洋式化などの環境改善に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

(きせ康平議員)
 利用者アンケートでは回答の9割近くがサービス向上を求め、7割超がサービス維持・向上のためには、一定の利用者負担もやむを得ないとしております。
 しかし、このアンケートには2割弱の保護者しか回答していないことが明らかとなっています。
 それでも市は一定の傾向がとらえられる数だとしておりますが、利用者の5分の1にも満たない数で傾向がとらえられているとは考えられません。
 改めて、すべての利用世帯にアンケートを行うべきではないでしょうか。市としてのどうされるのかお答えください。

(教育長)
 利用児童の保護者に対するアンケートは平成30年5月1日時点の利用児童数が100人以上の本市直営の放課後児童クラブ(22クラブ)を対象に実施しました。
 調査対象の22クラブの利用人数は約3,000人で、当時の本市直営の放課後児童クラブの利用人数(9,258人)の約32%を占めています。
 また、そのうち、実際に回収した人数は約2,000人であり、統計の精度を確保する上での調査数は十分に確保できているものと考えており、改めてアンケートを実施する予定はありません。

(きせ康平議員)
 続いて指導員についてです。指導員数は現時点でもおよそ30名もの人員不足が出ており、この10年あまり募集しても十分応募がなく、大きな欠員状態が続いています。
 来年の増設分も合わせて来年度までにおよそ40名確保しなければならず、さらに、広島市の掲げるサービス向上策を実現させるためには指導員を2023年度までに、今よりおよそ50名増やさなければなりません。
 しかし、市ではこれまで2カ月に1回のペースで募集をし、幅広く周知してきているにもかかわらず応募が少なく欠員解消となりません。
 また、市の掲げるサービス向上策のうち、施設改善とエアコンの電気代を除く改善策は指導員の負担を増やすものです。
 今でさえ、指導員があつまらない状況の中、さらなる業務の追加はより人が集まらなくなるのではないでしょうか。欠員解消を図る新たな対策が必要ではないでしょうか。市は新たな対策を考えているのかお答えください。
 市は今のままで本当に欠員が解消されると考えているのでしょうか。なぜ集まらないのか、その原因は何だとお考えかお答えください。

(教育長)
 放課後児童クラブの利用児童の増加に対応するため、多数のクラス増設を行った結果、短期間で多くの指導員を採用する必要が生じたことに加え、年度中途に退職者が生じたこともあり、現在まで欠員解消に至っていないものです。なお、欠員が生じたクラスについては、臨時指導員を配置し、配置基準を下回ることなく運営を行っています。
 欠員の解消に向けては、現在、採用試験を2か月に1回程度の頻度で実施し、また、その際には、より多くの方々に応募していただけるよう、市の広報紙や民間求人誌、カラー刷りのチラシによる広報に加え、大学のキャリアセンターとの連携強化などにも取り組むことで、人材確保に努めています。これにより、少しずつ成果も現れているところであり、今後とも、こうした取組を鋭意進めることにより、欠員を解消できるように努めてまいります。

(きせ康平議員)
 指導員確保のためには、抜本的な処遇改善が必要と考えます。そこで指導員を会計年度任用職員ではなく、正規職員にするべきと考えますが、市の考えをお聞かせください。

(教育長)
 本市の放課後児童クラブの開所日数は年間で約280日ですが、このうち、約200日(小学校課業日)の開所時間は午後1時から午後6時30分までとなっています。
 こうした勤務時間の状況を踏まえ、指導員については、パートタイムの会計年度任用職員として採用しているところであり、フルタイムを前提とした正規職員とすることは困難であると考えています。
 なお、本市の指導員については、昨年度、会計年度任用職員への移行に伴い、初任給が増額になったほか、期末手当や時間外勤務手当が支給できるようになったことから、処遇改善が図られたものと考えています。

(きせ康平議員)
 指導員の確保の見通しもないまま有料化を先行すると、市の掲げるサービス向上策は絵に描いた餅となり、サービスが提供できず詐欺だと言われる可能性もあります。市はどのように考えるのかお答えください。

(教育長)
 先ほどもお答えしましたが、放課後児童クラブについては、やむを得ず欠員が生じた場合でも、臨時指導員を配置し、配置基準を下回ることなく運営を行っています。
 また、欠員の解消に向けても鋭意取り組んでいるところであり、採用試験を2か月に1回の頻度で実施することなどにより、本年4月に49人だった欠員は、現在は32人となっています。
 今後とも、サービス向上に支障が生じないよう適切に取り組んでまいります。

(きせ康平議員)
 最後に、この度のシステム改修について、先に述べたように、有料化は決定されておりません。有料化を行うためには条例制定が必要だと考えます。システム改修よりも先に条例制定を行うべきではないでしょうか。なぜ行わないのかご説明ください。

(教育長)
 放課後児童クラブについては、長期休業中の朝の延長サービスを平成30年7月に導入し、当時、本市以外の19の政令指定都市のうち、13都市が条例によることなく利用料金を徴収していたこと等を踏まえ、本市においても、条例は制定せず、要綱を根拠としてその時から利用料金を徴収してきているところです。
 その後、平成30年11月に保護者アンケートを実施し、それにより把握したニーズに応えるため、昨年11月の安心社会づくり対策特別委員会において、「令和5年度当初からサービス向上策を実施するとともに、基本時間部分にも受益者負担措置の導入を目指す」という方向性をお示しし、さらに、本年9月の常任委員会において、サービス向上策の具体的な内容のほか、利用料金や負担軽減策、実施スケジュール等について説明を行いました。
 こうした経緯を経て、今回、基本時間部分の受益者負担措置の導入に必要なシステム改修等に係る債務負担行為を提案しているところであり、基本時間部分の利用料金に関して、新たに条例で定めることは考えていません。

(きせ康平議員)
 市はこの度のシステム改修を先行することで、改修したことを既成事実として有料化を強行するのではないでしょうか。
 今回のシステム改修を行った後でも有料化の中止・延期は可能なのでしょうか。お答えください。

(教育長)
 放課後児童クラブの基本時間部分の受益者負担措置の導入については、先ほど御説明したような経過を経て、今回、必要な債務負担行為の設定を提案したものです。この度、議会の承認を得て、令和4年1月からシステム改修作業に着手できたとしても、その作業に約1年の期間を要することから、システムの運用は令和5年度の利用申込の受付が始まる令和5年1月からの開始となります。
 今後は、放課後児童クラブのサービス充実等に向けて、今、申し上げたスケジュールに従って、着実に準備を進めていくことに注力したいと考えており、中止や延期は考えていません。

第124号議案一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について

(きせ康平議員)
 次に、第124号議案一般職の職員の給与に関する条例の一部改正についてお聞きします。
これは人事委員会の給与に関する勧告等に鑑み、職員の期末手当の割合を引き下げようとするものです。
 新型コロナから市民の命と健康と暮らしや地域経済を守るために頑張った職員たちに対して、一時金を増やすどころか削ってしまうというのは、逆ではないでしょうか。これでは職員の士気を下げてしまうのではないかと思いますが、いかがお考えかお答えください。

(企画総務局長)
 第124号議案は、本年9月に行われた本市人事委員会勧告に基づき、一般職の職員の給与改定を実施しようとするものです。
 この人事委員会の勧告制度は、地方公務員の労働基本権制約に伴う代償措置として、中立的で専門的な第三者機関である人事委員会が、市議会及び市長に対し、給与等の勤務条件を民間の水準に均衡させるために講ずべき措置を勧告するものであり、公務員給与の公正性を確保しようとするものです。本市としては、この人事委員会勧告を最大限尊重しなければならない立場にあり、本議案を提案しているものです。

第292号議案契約の締結について(駅前大橋線軌道等新設その他工事)

(きせ康平議員)
 次に第292号議案契約の締結について(駅前大橋線軌道等新設その他工事)についてです。
 これは、広島駅南口の再整備における、路面電車の軌道の設置・撤去、広島駅南口交通広場に接続する東側のペデストリアンデッキの設置、大屋根の設置などの工事を、委託金限度額124億5千万円で広島電鉄株式会社に委託するものです。
 これまでの工事委託費とこの度の委託費を合わせると257億4千万円です。
本事業の工事費は、360億円ですので差し引いた、残りのおよそ100億円はどのような工事が行われるのかお答えください。

(道路交通局長)
 残りの約100億円については、既に行った実施設計等の業務や支障物移設等の準備工事のほか、今後行うものとして、広島電鉄が実施するレールの新設・撤去などの軌道インフラ外部の工事や、本市が実施する南口広場の整備工事などになります。

(きせ康平議員)
 この度の事業は広島市とJR、広電の三者で協議し決定した事業だと認識しております。これを前提に、本契約では路面電車の軌道の設置・撤去を委託するわけですが、これは本来広島電鉄株式会社が行うべきものだと考えますが、なぜ広島市が行うのでしょうか。広島電鉄株式会社の自己負担はないのかご説明ください。

(道路交通局長)
 都市の形成を担う基幹的な公共交通である路面電車は、道路交通を補完し、交通の円滑化を図るとともに、市民生活を支える重要なものであることから、一般的には、国の制度に基づいて軌道敷、電停などのインフラ部の整備や、低床車両の導入に対する公的支援が行われています。
 この場合、軌道経営者は、軌道の設置・撤去のうちレールや架線、電気通信設備などのインフラ外部を負担し施行することになります。
 この度の委託契約には、このインフラ外部が含まれていないため、広島電鉄の費用負担はありません。

(きせ康平議員)
 この度軌道が設置される、駅前通りには中央に多くのクスノキが植えられています。市民からはなくさないでほしい、移設して残してほしいとの声をお聞きしますが、市はこれらの木をどのようにされるのかご説明ください。

(道路交通局長)
 本事業では、軌道整備やそれに伴う車線確保などのため、クスノキとケヤキ、合わせて約60本を撤去する必要があります。
 これらの樹木は、駅前通りの良好な都市景観の形成などに寄与してきたものであり、専門業者の調査結果を踏まえ、基本的に公共用地へ移植することにしています。

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