議会での質問・答弁

2021年03月25日

2021年第1回 2月定例会・予算特別委員会 辞職勧告決議案趣旨説明・提出理由 中森辰一議員

三宅正明議員(+3人共通の提案理由)
八軒幹夫議員
児玉光禎議員

各議員の辞職勧告決議案

 決議案第39号、三宅正明議員に対する辞職勧告決議案について、提案者を代表して趣旨説明を行います。
 まず、案文を朗読します。(案文朗読)

 河井夫妻による選挙買収事件で被買収者とされた本市議会の議員に対する3回目の辞職勧告決議案の提案となりますが、対象となる13人の本市議会議員のうち買収金の受領及びその状況などが明らかになっていなかった3人の議員が、河井被告の公判でそれぞれ証言され、あるいは供述調書の読み上げが行われ、それぞれの現金受領などについて明らかにされたことに基づくものです。
 理由についてですが、辞職勧告の対象とした方に共通することから申し上げます。
 まず、前回も申し上げた3点が重要で、再度申し上げます。
 第一は、選挙での金にまつわる疑惑が繰り返されることが有権者の政治不信を招いてきたこと、公職選挙法では選挙買収と被買収だけでなく、どのような名目によるものでも議員や候補者には寄付が禁止され、罰則が定められていること、今回の河井夫妻による現金の配布は、選挙を前にした時期に行われたことです。
 第二は、13人の議員のいずれもが違法な金を受け取っていたことが、疑惑ではなく事実として明らかにされたことは重要です。
 また、13人の議員のいずれもが、河井被告側の明確な違法行為を、検察などに通報せず見逃したことは、法に基づいて行政を監視する立場の議員として問題がありました。
 さらに、議員の活動は市民の厳粛な信託によって行われるものであり、市民の市議会に対する信頼を維持することは我々市議会議員に課せられた重要な責務であるため、議員の資格にかかわる事で疑惑を持たれた議員は、市民に対して十分な釈明ができ、疑惑を晴らすことができなければ、自ら責任をとって辞職するべきであること、これは刑事責任が明確になるかどうかとは別次元の責任であることです。
 第三は、違法な現金を受領したとされた40人の政治家のうち、広島市議会議員が3分の1を占めていることは、広島市議会にとって極めて不名誉な事態であることです。
 加えて、以下7点指摘します。
 第一に、検察によって起訴されるかどうかが、辞職するかどうかの判断に関わるといったことや後援会の意見によって判断するといった発言があります。
 しかし、違法な金を受け取ったことを認めた以上は法違反を認めたということであり、検察による起訴不起訴や後援会の意見に拘わらず、議員の職と両立しないことを行ったという事実から逃れることはできず、その事実に基づき自らが判断するべきです。 また、起訴されないことをもって、公職選挙法違反を行っていないということにはなりません。
 第二に、当選祝いや陣中見舞いだとする主張があります。
 しかし、金を受け取った側が、その趣旨をどのように理由付けしようと、選挙直前の時期に、候補者の夫が持って来た多額の金の趣旨が選挙のためと考えるのはごく普通のことです。
 一昨日開かれた河井克行被告の公判で、河井被告は金を配った趣旨について、買収の意図を認めたと報道されています。
 当選祝いや陣中見舞いだという言い分は、金を渡した側が否定したわけです。
 第三に、現金を受け取った当時、それぞれの議員には事情があったとか、もらい事故だったとかの言い分も聞こえています。
 事件に巻き込まれそうな事態が発生したときに、法を守る立場に立って、事件を避けたかどうかは、結局のところ、金のやりとりが行われた場面での対応が分かれ目となります。
 買収の金を受け取ったとして検察から名前を挙げられた13名の方々の誰もが、結局は、法を守ることよりも、国会議員との関係を維持することを選んだために、公職選挙法違反の中でも最も重大な犯罪に加担してしまったということです。
 一旦受け取った金を、思い直して、翌日に返却しても有罪となった事例があるのです。
 第四に、議員は、教育行政や教育のあり方などに関わる発言をすることもありますが、国会議員や首相の側近に遠慮して、犯罪に加担してもやむなし、という判断をした議員が、法律を守らなければならないと子どもたちに言う資格があるでしょうか。
 まさに、議員の職と両立しないという理由の一つがここにもあります。
 第五に、この問題が発覚した当時に、マスコミなどに説明したことと、裁判所での証言などで明らかになったことと違いがある方もおられることは、市民の市議会議員への不信を深めるものとなりました。
 第六に、中国新聞が昨年12月に県内の地方議員にアンケートを行い、8割を超える議員から回答が寄せられたそうですが、回答のうち6割が、被買収議員は辞職すべきだとしています。
 今回の問題で辞職された方が述べられた「政治的、道義的責任を取り、町民に対して、けじめをつけた」という理由は大変大事です。
 第七に、今月6日の中国新聞に、元鳥取県知事の片山善博さんが、総務省の幹部職員の接待問題で寄稿された記事がありました。以下、要約して引用します。
「官僚人事の権限を事実上独占し、しかも好き嫌いが人一倍激しい菅氏に対して、忖度せざるを得ない事情があったとしても、それでも官僚として是は是、非は非の姿勢を貫くだけの矜持を保ってほしい。
 それによって権力の座にある人から疎んじられることになるかもしれないが、権力におもねり、右顧左眄して醜態をさらけ出すより、堂々と胸を張って生きることのほうがよほど貴重で大切なことだ」
 この指摘は、選挙によって市民から選ばれて、行政の監視を負託された議員であれば、一層重要なことであり、ましてや、権力を持つ人物への忖度で、犯罪に加担するなどあってはならないのは当然でしょう。
 わが広島市議会でも、「政治的、道義的責任を取り、市民に対して、けじめをつけた」と辞職の弁を語られる議員が現れることを、今回の3人だけでなく、13人の議員諸氏に対して、強く期待するものです。

 三宅正明議員は、河井克行被告の公判に出廷され、検察側の証人として証言をされました。
 その中で、河井克行被告から2回に渡って計50万円の現金を受領されたこと、その現金の趣旨が河井案里被告の参議院選挙での応援であることを認識しておられたことを明らかにされました。
 また、その金の授受が違法であることを認識しておられたことも証言の際に述べておられます。
 証言によると、一旦は拒否されましたが、結局、違法行為に加担してしまわれました。公職選挙法の買収罪の条項をみれば、この行為が、本来司法で処断されるべきものであることは明らかです。
 これは、議員の立場と両立できないことであり、三宅正明議員は一旦辞職されるべきであると考え、本決議案を提案いたしました。

 ご賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。


 決議案第40号、八軒幹夫議員に対する辞職勧告決議案について、趣旨説明を行います。まず、案文を朗読します。(案文朗読)

 本決議案の提案理由についてですが、
 八軒幹夫議員は、河井克行被告の公判に検察側の証人として出廷され、ご自分が関わった現金の授受などについて証言されました。
 その中で、河井克行被告から2回に渡って計50万円の現金を受領されたこと、現金の趣旨について、陣中見舞い、当選祝いとの認識を述べられましたが、その金を受け取った際に河井案里被告のことが頭をよぎったと証言しておられます。
 2回目の現金の受領は河井案里被告の選挙が目前に迫る6月で、その際は河井克行被告がポスターやチラシを持参しました。現金を渡すと同時に選挙への協力も要請しているわけです。
 八軒議員が、現金の趣旨をどのように受け止めようと、選挙をまじかに控えた時期にその選挙の候補者の夫が候補者のポスターやチラシを持参したうえで選挙への協力を依頼し、現金を渡したことは、金を渡して選挙への協力を依頼したということであり、八軒議員は金を受け取って選挙に協力したことになります。
 これを、買収、被買収というのではないでしょうか。
 八軒議員は、公判での証言の後、報道各社に説明した際、「認識の甘さ」「判断の誤り」があったとして「心からお詫びする」と陳謝されました。
 また、司法による処罰の可能性のある問題であるとの認識も述べられたようです。
 つまり、自らの行為についての違法性を認識しておられるということですが、そうであるなら、市民の負託を受けて法に基づいて行政を監視する立場の市議会議員の職務とは両立しません。
 八軒幹夫議員は一旦辞職されるべきだと考え、本決議案を提案いたしました。

 ご賛同をお願いして趣旨説明といたします。


 決議案第41号、児玉光禎議員に対する辞職勧告決議案について、趣旨説明を行います。まず、案文を朗読します。(案文朗読)

 本決議案の提案理由についてですが、児玉光禎議員については、河井克行被告の公判の中で、供述調書の朗読という形で、河井被告からの現金の授受などについての事実が明らかにされました。
 児玉議員の供述調書のなかで、児玉議員が選挙活動に出ておられて不在の事務所に河井被告が30万円の現金が入った封筒を持参し、ご子息がそれを預かられたとしておられます。
 また、その現金の趣旨は河井案里氏の選挙を応援してほしいということであるとの認識を述べておられます。河井案里氏の応援はしなかったが、受け取った現金は様々な支払いに使った、事件が発覚し検察から聴取を受けた後の昨年3月に、30万円を書留で河井克行被告あてに送った、とのことです。
 違法な金であると認識しておられたにもかかわらず、国会議員にすぐに突き返すのは失礼にあたると考えて現金を受領したままになったということですが、国会議員であろうと総理大臣であろうと違法行為は正されなければなりません。
 繰り返し述べてきたように、市民の負託を受けて活動する議員は違法行為を正す立場にあります。
 国会議員が公正な選挙を汚すという、重大な問題が発生しているにもかかわらず、それを通報、告発することもせず、消極的であれ結果的であれ、自らが違法行為に加担してしまっては、児玉議員ご自身の議員活動の根拠を投げ捨てることになるのではないでしょうか。
 これは、議員の職務と両立しないことであると考えます。
 以上の理由により、児玉光禎議員に対する辞職勧告決議案を提案いたしました。
 
 ご賛同をお願いして、提案説明といたします。

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