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2.広島西ウインドファーム事業(仮称)について
(藤井とし子議員)
(仮称)広島西ウィンドファーム事業について、という風力発電の問題です。16日に本会議で桑田議員も質問されました。広島県西部の山間部に東京が本社の電源開発が国内最大の総出力154,800キロワットの風力発電の計画をされて、もう一機あたり最大出力は4,300キロワット、高さは150メートルの風車を36基設置する計画です。この建設予定地は皆さんもご存知のように広島市佐伯区湯来町、廿日市市吉和、安芸太田町の2市1町をまたぐ計画です。この前の本会議でもあったんですが、高さが150メートルということですからリーガロイヤルホテル35階分だということも言われていました。そしてこの開発が今から進むわけですけれども、地域住民の暮らしや健康、自然豊かな環境に被害や影響を与える可能性が大きく、県内初の計画に不安や不満の声が上がっているわけです。今回すでに事業計画が進んでいますが、知事がこの間意見を述べていることで、環境への影響の回避や提言できる科学的根拠を示せない場合は、事業計画の見直しを行うよう求めていると言われております。今この事業はどういう段階か教えていただけますか。
(環境保全課長)
一定規模以上の風力発電所を設置しようとする場合には、まず最初に環境影響評価法と、電気事業法の規定に基づきまして、環境影響評価手続きを行う必要がございます。現在はこの環境影響評価手続きのうち、一番初めの段階である計画段階環境配慮書に係る一連の手続きが終了したところでございます。計画段階環境配慮書とは、事業の区域・規模や施設の配置、構造などの事業計画を検討する段階におきまして環境保全のために配慮すべき事項について、事業者が検討した結果をまとめた図書になっております。本市は本年7月17日付で広島県知事に対し計画段階環境配慮書に対する環境保全の見地からの意見を述べております。
(藤井とし子議員)
この事業について、市と事業者の関係はどのようになっていくのかお聞きします。
(環境保全課長)
今後のこの事業に対する本市の関与と致しましては、環境影響評価法等に基づく環境影響評価方法書及び準備書に対して広島県知事に環境の保全の見地からの意見を述べることとなっております。なお、一連の環境影響評価手続きにおきまして、本市が事業者に対して直接意見を述べるような機会はございません。
(藤井とし子議員)
市として直接事業者には意見を述べることはないということなんですけども、実際に先ほど言われたことが今後こういう結果になっていくということだと思います。 ですから1回目の計画段階の環境配慮書について今回県知事の意見が出されたということで、そこで広島市長として県知事に意見を述べたというのが今回のことだと思いますが、今後、手続きとしては実際にあと何回、広島市長として意見を述べることになるのか教えてください。
(環境保全課長)
意見は今後、方法書段階から準備書段階で各1回県知事に対して述べることとなります。
(藤井とし子議員)
市もあと各1回県に意見が言えるということです。様々な運動が全国で起こっております。いくつか例を紹介します。(写真をみせながら)大型風車建設に反対する理由。鳥取市と県西部にあるものなんですけども、まだ建設されていないということで、なかなかイメージもわかないんですけども、実際海岸沿いがいいというのはみなさんも聞かれてると思います。大きさも色々で、て小型の物も結構あって、風力発電施設はこんなものもあります。実際には陸上においてはこういうイメージですが、尾根伝いにずっと150メートルもの高さの巨大風車が今回は36基、湯来町からの今回の計画ではこういうイメージで違いないと思います。
こうした中で、鳥取市の例で言いますと、4地区の6集落が立地集落で、対象エリアは約4,000ヘクタール。立地集落は賛否が分かれ、地域振興のために賛成する集落もあれば、健康被害や災害を懸念して地区を上げて反対するところもあります。明治地区というところでは、6月下旬に「明治のいのちを守る会」を結成して反対署名にとりくんでいます。その反対する理由としてまず騒音です。超低周波による睡眠障害などの健康被害、1キロ圏内に小学校があり、多くの住民が住んでいます。二つ目に土石流や急傾斜地崩壊の危険区域があり、大規模な土木工事・道路工事は自然破壊・土砂災害に繋がります。三つ目には生態系が破壊され、風車によって山を追われた野生動物による食害など農作物被害が広がる恐れがあるということで、ここは反対を表明する運動があります。
もう一つは大分県内にあります、豊後水道に面する半島部や山中の5カ所で大規模な風力発電の計画が進んでいて、事業者は関西電力、電源開発、東京のところなんですけども、高さは最大200メートル、出力最大5,500キロワットで31基です。これも今環境影響評価の手続きが進んでいるところです。県外企業が売電を目的に自然豊かな湾岸部を広範囲に切り開き、地域の暮らしと環境を踏みにじる計画に反対の声が広がっています。ここでも住民の心配は非常に深刻で、色々ありますが風車が発する低周波音、これは実際に音は聞こえなくても、低周波を体に感じます。健康被害や森林伐採による土砂災害、害虫害獣被害の深刻化、また渡り鳥のバードストライクなども危惧されています。佐伯市というところでは、環境や景観に影響のある開発を条例で規制する意向を示しています。
あと、近くで言えば広島県との県境に接する益田市匹見町です。これに関して北広島町議会では(仮称)益田匹見風力発電計画に対する決議、その中身は、再生可能エネルギー、自然エネルギーの重要性については認識しているものの、先人から守り続けてきたかけがえのない自然環境、愛される景観が失われ、近隣住民の穏やかな生活環境を失うなど多大な影響を及ぼすことが懸念されるため、議会で建設を反対する決議をあげるというもので、可決されました。
もう一つご紹介したいのは、風力発電を研究している武田経世さんという歯学博士の方です。この方は初めは良いと思って投資も考えていたという方ですけども、よく調べたら実はいろいろ問題があることがわかったということで講演をされています。
まず一番やはり住民への影響です。特に自然環境の悪化が心配されるということです。デメリット・デメリットもあるんですけども、とりわけデメリットで挙げられているのが自然景観が壊されるということです。そのためハイキングする人などが来なくなったという例も挙げられています。
電力は実際にはもう十分足りている状況です。ところが風力発電は非常に風が強い時だけしか実際には有効ではありません。コンスタントに回り続けるという条件のところであれば比較的いいのですが、山の場合非常に難しいようです。
低周波の被害が非常に重大です。大体1割ぐらいの人が訴えるそうです。住民への配慮の対策では、夜バスで地域外の宿泊場所に連れて行って、朝バスでまた帰ってくるという例もあると言われています。
民間事業ですので、地域貢献の義務はないという点では、電気だけを作って、本社が儲けるということです。管理道路を必ず作ることになりますが、土砂崩れの原因になったというケースもあるそうです。ほとんどは20年間の借地契約で、地権者にお金を払い続けて、土地を買うわけではないというケースが非常に多いそうです。
また、風力発電は蓄電が難しいということで、地熱とか小水力は蓄電が可能なんだけども、風力というのは非常に不安定で、太陽光や風力は原発の代わりにはならないということを言われています。
もう一つは、平成22年から電力需要が非常に減っています。これは人口減少であるとか、 LEDなどが普及してくれば電力はどんどん需要が低くなっていきます。その中で巨大な風力発電というのは、採算が取れないということも言われています。それともう一つ、風力発電だけではエネルギーが出せず、不安定さを火力発電に頼って調整しており、風力火力と組み合わせなければ通用しません。ですからCO2削減というよりむしろ排気ガスが増えるという見方もされています。国際的な視野からも、この方も意見を言われてるんですけども、まず風力発電は電気がないと動かない。だから動き始める時に電気がいります。それと停電したらまた使えなくなります。こういう問題も指摘されています。先進国のデンマークでは、風力は当初は良かったんですけども、今はデンマークは風力発電反対の国になっています。ヨーロッパ23カ国も風力発電に反対する団体が今生まれつつあります。アメリカではコストが10年以上たっても独り立ちがなかなかできないということで、撤退するという流れがあります。そういうものが世界で余っていて、資材が日本に売り込まれているんではないかと言われています。今日本で急に巨大風力発電が増えている背景でもあるようです。
健康被害ではもう一つ指摘されているんですけども、低周波の被害が続くと、不動産価格も下落します。住民が不眠で船酔いのような状態になるということも指摘されていて、振動音響病とか、慢性騒音病という症状、これは風力発電症候群などという病名まで言われています。一番問題だと思うのは、こういう健康障害っていうのは、因果関係がわからないとして実際には事業者も認めないので住民が犠牲になるということです。
できるだけ距離をとるとかそういう改善をするかもしれませんが、完全というのはなかなか難しいと思います。一回建ててしまえば終わりなので、まずは建てさせないことが一番だということです。
結局、大規模風力発電計画は、CO2削減にもつながらず、採算も取れない。自然環境や住民への影響が大きく、建設会社だけが儲けるという事業だというのが、今世界の風力発電の状況を見て、武田経世氏が主張されています。今回の市議会にも陳情されているんですけども、陳情者の意見を見ましても具体的に皆さんの心配が述べられております。旧水内川の住民、湯来町の方ですけれども、こういう公害施設の影響を受けるのは湯来の町民であります。先祖代々受け継いだこの自然や家屋などの工作物、その中には貴重なお寺などの文化財があるわけですけども、そういったものと、動植物などとも共存してきた本当に地域を愛されてきた方たちです。特に心配されているのは巨大風車について、騒音や低周波音による様々な健康被害や、Uターン・Iターン者どころか地域から離れる人も続出していくのではないか、いっそう過疎化に拍車がかかることも確実です。凶暴化したクマやイノシシによる被害も増すでしょう。工事に伴い渓流や河川の水質も悪化し、天然記念物オオサンショウウオへの被害など影響を心配されています。湯来温泉の源泉への影響や、不自然な景観に変化するということも心配をされています。
そこでお聞きしますけれども、一般質問の局長の答弁で地球温暖化対策の観点からは再生可能エネルギーの導入に資するものであると一定評価をしながら、しかし事業実施想定区域内の周辺は豊かな自然環境が存在し、小学校の近くや住民が生活している地域、環境への配慮を行う必要があるという事業だと考えていると言われましたけれども、ではどういった配慮が可能だと考えていらっしゃるのか教えてください。
(環境保全課長)
現段階におきましては風車の規模や設置場所を含めた詳細な事業計画が明らかになっていません。このため、具体的な配慮事項については今後の環境影響評価手続きにおいて事業者が示すものと考えております。なお、他の風力発電事業におきましては、事業実施区域の縮小や、風力発電の発電機の基数の削減等が行われた事例がございます。
(藤井とし子議員)
いろいろ意見に対応されているということも今紹介をされました。この事業によって私も思うんですけども、一部の地権者は借地料は得られるかもしれませんし、道路工事等の仕事で一時的に雇用が増えるかもしれません。でもやはり住民が住み続けられなくなるケースがあることや、超低周波音で健康被害を訴えても全ての人が感じるわけではないので、だいたい1割ぐらいと言われておりますが、こうした方が出ても因果関係を証明しにくく、結局住民が犠牲になるということを私は心配しています。学校が近いということは住民が住んでいるということであります。こうした地域に移り住もうという人がいなくなるのではということも懸念をしています。建設させないことが最も地域と環境への配慮になると思うんですが、いったん作られてしまえば20年以上も地域の環境や住民に被害を及ぼすということもあります。デメリットも含めて全てに、既に稼働しているところの検証も必要ではないかと思います。住民への情報提供も求められていくわけですけども、まず業者が今から地域住民への説明を行うわけですがこれはどういう風になっていくのでしょうか。
(環境保全課長)
今後予定されております環境影響評価方法書手続き及び準備書手続きにおきまして、説明会を開催することが環境影響評価法のもとにおきまして義務付けられております。ですのでその場において説明がなされると考えております。
(藤井とし子議員)
事業者の説明会に住民が参加することで、しっかり意見を言えることも重要かと思いますが、やはり市として直接意見が言える機会があと2回ありますから、ここで私はしっかりと住民の皆さんの意見を把握して伝えていただきたいということ強く要望しておきます。特に私たちも再生可能エネルギーの普及拡大は本当に必要だと思っています。でも何でもいいというわけではないということを改めて私も理解しました。
小水力や地熱発電など小型なもの、風力でも小型のものが開発もされております。あくまでも住民が合意できるものであることが大前提だと思います。今後市が意見を言う機会があと2回あります。しっかりとの住民の声を聞いて、住民が犠牲になるような計画にならないようにすることを強く要望して質問を終わります。