議会での質問・答弁

2020年05月27日

2020年第3回 5月臨時会-2 議案質疑 きせ康平議員

 日本共産党のきせ康平です。緊急事態宣言が解除されましたが、解除に至ったのは市民の協力と医療従事者の方々のご努力があってこそだと思います。市民の皆様、医療従事者の方々へ敬意を表します。
 それでは日本共産党市議団を代表して臨時議会に上程された議案について質疑を行います。
 第58号議案令和2年度広島市一般会計補正予算(第2号)について8項目お聞きします。

(きせ康平議員)
 まず、広島市立大学における学生支援についてお伺いします。
この度の事業は、大学が新型コロナの影響で家計が急変した学生への支援に要する経費について、市が大学に補助を行うもので、授業料減免に要する費用とオンライン授業の実施に伴うパソコンの貸し出しや通信費の補助に要する経費です。しかし、果たしてこれらの支援で十分でしょうか。
 現在、学生たちは新型コロナの影響で日々の暮らしに大きな不安を抱いています。
 学生たちの声を聞くと「アルバイトができず、授業料どころか生活費もままならない」「食費を浮かすために食事の回数を減らした」「日々カップラーメンで過ごしている」と悲惨な状況です。
学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が実施したアンケートによると、319校の大学生ら1,200人のうち、バイト収入が減ったかゼロになった学生は約7割に上ります。バイト代や親の収入減で5人に1人が退学を検討していることも明らかになり、衝撃が走りました。
 こうした状況を受けて、広島大学では新型コロナの影響で生活が困窮した学生に当面一月3万円の応援給付金を支給しています。
 広島市立大学は、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルバイト収入や保護者の収入が減少し、経済的に困窮している学生を支援するため」、応急奨学金として3万円を支給していますが、必要な学生に支給しきれていない状況です。
この「応急奨学金」制度は広島市立大学基金の事業となっています。基金は、教育の充実を図るために設立されたもので、個人、法人からの寄附金によってつくられていて財源に限度があります。
  法律が変わり、2010年に「公立大学法人」となっていますが、言うまでもなく、大学をつくったのは広島市です。設置者としての責任があり、困窮した学生の支援に市が積極的に乗り出す必要があります。
 「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の基本理念とする広島市立大学で学ぼうとする学生たちが希望を失って退学することがあってはならないと思います。
大学創設の責任者として、生活が苦しくなった学生全てが安心して学業に専念するために、広島大学のように継続的な支援を行うべきであり、その分の補助を大学へ行うべきと考えます。市の考えをお聞きします。

(企画総務局長)
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて生活が苦しくなった学生への支援は、誰よりも学生の実情を把握している市立大学が検討・実施すべきものです。
 大学が今回実施することとした学生への支援に要する経費のうち、大学自体の運営や教育の質に影響を与える経費については、大学設置者として支援を行うこととし、今回の補正において、授業料減免に伴う減収を補てんする経費やオンライン授業の実施に要する経費を措置したところです。

(きせ康平議員)
 さらに、学生たちは4月から始まるはずだった授業は行われず、5月からオンライン授業となっています。しかしオンライン授業は本来の授業に比べて内容が制限されています。芸術学部の学生から、「オンラインでは授業にならない」との声も聞きました。
 市は新型コロナの影響から家計が急変した学生をこれまでの対象に加えて授業料の減免を行うものとしていますがコロナの影響は全学生に及んでいます。
 そもそも授業料はその期間の授業が保証されていることが前提で支払われるものであり、この間本来の授業が行えない状況なわけですから、その分の授業料は全学生を対象に減免するべきと考えます。
 そのうえで生活状況が悪化した学生にはさらなる減額を行うべきであり、それらの減額分を市が責任持ち大学へ補助すべきと考えますが市の考えをお聞きします。

(企画総務局長)
 本来の授業が行えない分の対応ということで、大学に確認したところ、大学では、現在、オンライン授業を行っておりますが、オンライン授業であっても文部科学省の示す授業時間数や教育の質に係る基準を満たしていること、また、芸術学部などの実習が必須である授業については、感染予防対策を講じたうえで、対面方式で実施する予定であることから、全学生を対象とした授業料の減額は行わないと聞いています。

(きせ康平議員)
 つづいて文化芸術活動への支援についてお聞きします。
市は感染症の影響により活動の中止・延期を余儀なくされている文化芸術関係者を共助の精神に立って支援する者等に対し、奨励金を支給することで文化芸術活動の継続・振興を支援するとしています。
 広島市は国際平和文化都市であり、都市のあり方として「文化」は大変重要な分野だと考えます。
 現在、新型コロナの影響で文化芸術活動は予定されていた活動や表現の機会が失われ、経済的にも厳しい状況にあり、今後も活動を継続できるように支援する必要があります。
 しかし、この度の支援策では共助を前提にしているためにすべての団体・関係者が支援を受けられるわけではありません。プロアーティストへの支援も共助を受けることが前提となっていますが、支援の幅が狭めないようにすることが必要ではないでしょうか。
 アーティストの方々は、もちろん協力することはあるでしょうが、一個人・一団体で映像配信をされる方の方が多いと思います。市内の文化芸術を守るためにも、共助を前提とするのではなく個々のアーティストに直接支援をするべきと考えますが、市の考えをお聞きします。

(市民局長)
 新型コロナウイルスの対策が「緊急支援フェーズ」から「段階的な回復支援フェーズ」へ移行する中で、本市が都市像として掲げている「国際平和文化都市」として、「新しい生活様式」にも適合した文化芸術活動の再開を強力に後押ししていくことが重要と考えています。
 アーティストに対する支援については、アーティストが多くの方々と一緒になって文化のまちづくりを進めていくことの重要性をあらためて認識していただくことが重要であると判断し、アーティストを支援する幅広い方々を通して行うようにしたものです。
 今後とも、より多くの方々が共助でつながる取り組みを進め、コロナ禍のピンチを乗り越え、国際平和文化都市づくりを一層推進できるような環境づくりを進めてまいります。

(きせ康平議員)
 つづいてPCR検査体制の拡充強化についてお聞きします。
この度、PCR検査を医療機関に委託することとドライブスルー方式での検体採取を行う採取センターへの支援があげられています。
 ドライブスルー方式についてですが、広島市ではこれが初めて行われるのでしょうか。また、市内で何か所行われるか、1時間でどれぐらい検体採取が可能なのかお答えください。

(保健医療担当局長)
 ドライブスルー方式により検体採取を行う本市内の医療機関は、広島市医師会が運営する検体採取センターを含めて、10施設あります。
 また、広島市医師会が運営する検体採取センターは、検体の採取にあたり、保険証の確認や検査結果の通知に関する説明を行うなど、1人当たり10分程度の時間を要することから、1時間に6人分の検体採取が可能であると聞いています。

(きせ康平議員)
 次にPCR検査の委託についてです。
現在、日本は海外に比べて検査数が格段に少ない状況です。新型コロナは無症状の感染者も多いといわれている中で、今のままでは実態把握ができないとされています。そうした中、5月11日、湯崎県知事は他の17の知事とともに「PCR検査をはじめとする検査を大規模に拡大することにより早期に感染者を発見するとともに、感染の拡大を徹底的に防止することが重要」「感染拡大を封じ込める攻めの戦略が必要」だと国へ提言しています。
 この提言があらわすように、より多くの検査を行うことが大変重要だと思います。
 そこでお聞きしますが、現在市は1日80件の検査数となっていますが、PCR検査を委託することで、検査数が何件増えるのかお答えください。
 また検査数が増えることで、医師が検査を必要と判断した場合、そのすべてを検査することが可能となるのかお答えください。

(保健医療担当局長)
 検査数につきましては、先ほど水野議員にご答弁した通り、医療機関への委託により本市では1日おおむね140件の検査を処理することができます。
 このため、医師が必要と判断した場合など、必要な方へのPCR検査は、現時点では十分な体制を確保できていると考えていますが、今後、感染者が大幅に増加した場合でも対応できるよう、検査体制をさらに強化してまいります。

(きせ康平議員)
 つづいてプレミアム付宿泊券の発行ついてお聞きします。
一刻も早く本市観光業を回復軌道に乗せるために、行う事業ですが、市はこの事業にどれぐらいの利用を見込んでいるのかお答えください。

(経済観光局長)
 プレミアム付宿泊券は、額面が1万円の券を2万枚、5千円の券を4万枚の計6万枚の発行を予定しています。
 この宿泊券は、額面の半額で購入できるため、プレミアム感が高いこと、また、気分転換のための宿泊に活用されることも期待できることから、発行するすべての宿泊券が利用されるものと考えています。

(きせ康平議員)
 この間、我々共産党市議団はアンケートなどで、市民の方々から意見を聞きしました。その中には、「売り上げが50%を切らないため国の持続化給付金が申請できず、鍼灸院を維持できない」「スナックを20年経営している。日銭を回して苦しい営業をしてきたが、家賃を払うのが困難で廃業しかない。」など、経営に苦しんでいるとの意見がたくさんありました。
 そこでお聞きしますが、市はこうした国や県の支援を受けられず廃業・倒産に追い込まれている事業者が市内にどのぐらいいるか把握されているのでしょうか。お答えください。

(経済観光局長)
 民間の調査機関によると、昨日(5月26日)時点で、全国における負債総額1,000万円以上の新型コロナウイルス関連の倒産件数は122件となっており、このうち広島県内の倒産件数は2件で、いずれも広島市内の企業であると把握しております。

(きせ康平議員)
 また、国・県の支援から外れた方々に手を差し伸べることが現時点での市の最も重要な役割であり、家賃補助を始めとした、個々の実情に沿った支援制度を早期に創る必要があります。また、そうした支援を行ってからプレミアム付宿泊券などの支援を開始するべきと思いますが、市の考えをお聞きします。

(経済観光局長)
 国が行った緊急事態宣言は、経済活動を抑制してでも、新型コロナウイルスの感染拡大の防止を優先するために行われたものと認識しており、企業の業績や資金繰りの悪化、世帯の所得減などを直接的に緩和して国内の経済活動の低迷を回避するための諸措置については、まず、国において講じられるべきものと考えています。
 本市としては、事業者への直接的な支援として国や県が行う施策を「公助」と捉え、それを補完・補強するために、地域での支えあい、事業者同士が連携した「共助」による取り組みを強力に支援することとしています。
 こうした視点に立って、本市では、感染拡大防止や苦境打破に取り組む事業者を支援する団体等に対する補助事業として、新型コロナウイルス影響事業者緊急支援事業「広島は決して屈しない!プロジェクト」を実施しているものであり、この事業により、「共助」の支援の輪を大きく広げることで、国や県の支援の対象とならない事業者を含め、より大きな支援につながると考えており、引き続き、事業の周知や活用促進に努めてまいります。
 また、緊急事態宣言が解除されたことを踏まえ、営業活動を再開していく上では、マスクや消毒液など「新しい生活様式」への対応経費は必要不可欠であることから、このたびの補正予算において、拡充のための予算も計上しているところです。
 一方、プレミアム付宿泊券の発行については、国内外ともに人々が異動を大幅に自粛し、宿泊業をはじめとする観光業が甚大な影響を受けていることを踏まえ、「公助」による下支えとして、国による観光促進施策である「GO TOキャンペーン」の実施に先立ち、一刻も早く本市の観光業を回復軌道に乗せようとするものです。
 観光業は、旅行業、運送業、土産物小売業、飲食・サービス業など非常に裾野の広い産業であることから、宿泊業を早期に支援することにより、関係する産業への消費需要を喚起し、着実な経済活動の再開につなげていきたいと考えています。

(きせ康平議員)
 つづいて通所介護事業者などへの支援についてお聞きします。
新型コロナの影響からデイサービスから、訪問活動に切り替えている事業者があります。しかし、デイサービスと訪問活動では介護報酬に大きく差があり、事業継続に影響が出ている状況です。また、感染への不安から利用者が減少し、大幅な収入減となっている事業所も少なくありません。
 こうした事業所に対して、この度衛生資材の購入経費等を補助していますが、今後も事業が継続できるように報酬の差額分も補助するなど行う必要があると考えますが市の対応をお聞きします。

(健康福祉局長)
 介護保険制度において、事業者に支払われる介護報酬は、利用者にサービスを提供したことへの対価であることから、利用者の減少等によって生じた報酬の減額分を公費で補てんすることは適当でないと考えています。
 現在、国は、例えば、通所介護事業所が利用者の自宅を訪問し、短時間でできる限りのサービスを行った場合などでも介護報酬の対象とするなどの特例を認めており、本市としては、こうしたサービス継続支援制度の活用を事業者に働きかけているところです。

(きせ康平議員)
 続いて学校の情報教育環境整備についてお聞きします。
この度、感染症対策のために学校の臨時休業を踏まえ、家庭でのオンライン学習や教職員のテレワークの環境整備を行うとしています。
 来年度整備予定だった小学校1年生から4年生までのタブレット端末約5万台購入を前倒しで行うとのことですが、モバイルWI-FIと合わせてこれらの機器はいつまでに用意ができるのでしょうか。また、モバイルWI-FIを購入するとしていますが、何台購入するのでしょうかお答えください。

(教育長)
 先ほど、水野議員からのご質問にご答弁しました通り、タブレット端末の購入については、現在、令和元年度2月補正予算で計上した約5万4千台について、まずは7月上旬までに600台、10月上旬までに1,000台の納品を受け、その後も可能な限り早期に納品が受けられるように努めます。
 この度の補正予算で計上した約5万台については、今年度末までの購入を目指していますが、こちらも早期に納品が受けられるよう努力したいと考えています。
 モバイルWI-FIルータについては、約1万台の購入を予定しております。
 こちらもタブレット端末と同様に、テレワーク需要の関係から、全国的に品不足となっており、約1万台全てが揃う見込みは現時点では申し上げられませんが、8月以降順次納品を受け、その都度貸出を開始できるようにして参りたいと考えています。 

(きせ康平議員)
 家庭でのオンライン授業への環境整備ももちろん必要だと思いますが、これに埋没してしまってはいけないと思います。
 現在最も重要なのは、この間の自粛による子どもたちのストレスをどう対応していくかが問われていると思います。この点について市のお考えをお聞きします。

(教育長)
 学校の臨時休業や自粛生活の長期化、家計の急変などに伴い、児童生徒が悩みや不安、ストレスなどを抱えていることが懸念されます。このため、6月1日の学校再開後、2週目までに担任等が児童生徒一人一人と必ず面談等を行い、児童生徒の状況を的確に把握した上で、ケアが必要な児童生徒に対し、スクールカウンセラー等の専門家も含めた学校組織全体で支援を行うようにしています。 

(きせ康平議員)
 つづいて高齢者いきいき活動ポイント事業における感染予防対策の支援についてお聞きします。
 これは、今後の活動を促進するために登録団体がオンラインでの活動ができるように貸し出し用のタブレット端末を各地区社協に5台、合計695台購入するもので事業費が約1億3000万円と高額です。もちろん新型コロナの感染防止のために今後オンラインを活用しての活動も必要だと思いますが、多くの団体がすぐに利用することができるのでしょうか。
 更に来年度は地区社協に配布したタブレットを譲渡するとお聞きしています。いきなり5台ずつ配布するのではなく、先ずはモデル事業としていくつか利用団体を募り、利用状況を検証してから広げてもいいのではないかと思いますが、この事業についていくつかお聞きしていきます。
 この度、各地区社協に5台配布しますが、なぜ5台なのでしょうか。この事業に対し、市はオンライン活動を行う団体どの程度見込んでいるのでしょうか。更に、各団体へ利用調査は行ったのでしょうか。お答えください。

(健康福祉局長)
 まず、地区社会福祉協議会に貸与するタブレット端末の台数につきましては、利用調整等を行うこととなる地区社会福祉協議会の事務負担等を勘案して、5台としたものでございます。
 また、各団体への利用調査は行っていませんが、例えば、在宅で体操などの活動を行う際に、その様子を動画で撮影したものを、スタンプを管理する責任者に提示することで活動実績を確認した取扱いにできないか、といったご相談などを十数件いただいており、潜在的なニーズはあるものと認識しております。

(きせ康平議員)
 購入にあたりタブレット1台当たりの予算は55,000円とお聞きしました。そうすると購入の予算はおよそ3,800万円です。残りのおよそ1億円はどういった経費なのかお答えください。

(健康福祉局長)
年間の経費として、通信費が約5,500万円、アプリ使用料が約1,500万円、サポート費用が2,500万円となっております。

(きせ康平議員)
 当初予算において計上されている学校の情報教育環境整備でのタブレット端末ですが、およそ5万4000台のうち、600台程度しか手に入らないとお聞きしています。これに対し、この度の695台はいつまでに用意できるのでしょうか。もし早期に用意できるのであれば、先に学校の台数を優先にするべきと考えますが、市はどのように考えているのかお答えください。

(健康福祉局長)
 さきほどご答弁したとおり、タブレット端末は一度にすべて導入するのではなく、希望を踏まえて、順次、確保を進めていくこととしています。

(きせ康平議員)
 最後に社会福祉施設等従事者および児童養護施設等従事者支援についてお聞きします。
 この間自粛・休業が推進される中、感染弱者と言われる高齢者・障がい者・子どもなどの社会福祉・保育施設では感染の危険があるにもかかわらず、使命感を持って働いていただいています。 その中で社会福祉施設と児童養護施設の従事者に対しては特別手当の補助を支給するとしていますが、同様に感染防止に努めながら献身的に働いている保育士の方々へも支給すべきと考えます。市の考えをお聞きして質疑といたします。

(子ども未来局長)
 保育士の皆さんには、感染防止に努めながら、子どもの健全な育ちを守るとの強い使命感をもって日々の業務に従事していただいており、大変感謝しております。
 従事者の処遇という面で言いますと、保育園の場合は、高齢者や障害者の介護サービス施設と異なり、本市の自粛要請により、等園児童数が減っても、各園に給付する運営費は減らない仕組みとなっているため、制度上、保育士の処遇に充てる人件費は保障されています。
 こうしたことから、保育園に関しては、保育士の処遇に着目した支援より、感染防止対策に資する資材の提供や購入支援を手厚くすべきと考えており、今回の従事者支援の対象とはしていないものです。