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日本共産党広島市会議員団を代表して、上程された諸議案についての討論を行います。
上程された議案のうち、第52号議案、令和2年度広島市一般会計補正予算(第1号)、第53号議案、広島市国民健康保険条例の一部改正について、第57号議案、広島市後期高齢者医療に関する条例の一部改正については、意見を付して賛成とします。
第55号議案、専決処分の承認について(広島市市税条例の一部を改正する条例)は反対です。その他の議案は賛成します。
まず、第55号議案は新型コロナ問題とは関係ない議案ですが、企業版ふるさと納税制度の寄付者に、より一層の減税を行おうとするもので、自治体間の税収の奪い合いを助長し、地方税の原則を歪めるしくみをいっそう強化する条例であり、反対します。
次に、一般会計補正予算(第1号)について、意見を述べます。
新型コロナウイルスの感染拡大について、市民の間には不安が大きく広がり、営業の自粛や売り上げの大幅減少、休業などが市内でも大きく広がっています。これは、広島市にとって、市内全体で災害が発生し、日々刻々と被害が拡大しつつあるというような事態です。しかし、今回の広島市の補正予算を見ると、こういう予期しない事態の中で重大な不安や困難に追い込まれている市民や事業者に対する思いが何にも感じられません。1200億円を超える補正予算のほとんどが国の施策で、5項目の補正のうち、4項目が国と県の施策です。市の独自施策は1項目だけ、2億円しかありません。一言で言って、大変な事態の中で、実態に即応しているとは言えない補正予算だと言わねばなりません。
先ほどの質疑で、市民、市内事業者の差し迫った実態が訴えられました。私たちもたくさんの切実な声を聞いています。今すぐやってほしいことがたくさんあるわけです。スピードが問題です。一体、広島市長は市民の危機感を共有できておられるのか疑問だというのが、率直な感想です。
すでに海田町では独自の、市民や事業者、医療機関への支援事業を3件、合わせて1億600万円余り、広島市の財政規模にすると40億円以上に匹敵する支援事業を発表されています。こういう姿勢がいま必要です。全国の自治体が国の1兆円の交付金を大幅に増やすよう求めていますが、広島市では、当面の1兆円の配分金さえ、まともに活用する施策になっていません。私たちは、営業休止や売り上げゼロの事業者の、せめて家賃などの固定費を出してほしいという強い要望があることや、福岡市がすでに実施を表明していることも示して対応を要請してきましたが、こうしたマスメディアを通して強い要望があることがわかっている施策もなく、現実の必要に応じた早い対応が欠けています。県の補正予算と比べても、市の存在感は極めて薄いということを、まず指摘しておきます。
今後、国の1兆円の交付金の規模が大きくなるにしろならないにしろ、早急に追加の対策予算を編成して、苦境にあえいでいる市民の要望にお応えいただきたい。新型コロナウイルスとの市を挙げてのたたかいです。そういう覚悟を持って、たたかいに臨んでいただきたい。市長は、第2弾、第3弾を打ち出すと表明しておられますが、この補正が議決されたら、直ちに、どのようなことを、いつ、やるお考えか、表明するべきだということ、この際、県が表明しているように、緊急のたたかいだという位置づけで、今年度の事業計画を変更してでも財源を確保するべきことも、併せて指摘しておきます。
今回の新型コロナウイルス対策で重要なことの第一は、感染者増に的確に対応できる医療体制の確立、強化です。第二は、極めて限定的に行われているPCR検査の検査件数を抜本的に増やすことです。第三は、感染防止のために要請する経済活動や文化活動の自粛や休業による損失や収入減少をどのように補てんして、安心して要請に応えられるようにするかです。これは、感染収束後に経済活動や文化活動を再開できるためにどうしても必要です。第四に、縮小する経済活動の中で、市民の暮らしをどう支えるかということです。そして第五に、感染防止の取り組みと並行して続けられている、市民の命と健康と人間らしい暮らしを保障する一般医療活動、介護事業活動、障がい者の権利と暮らしを守り支援する活動をどう支え継続できるようにしていくかです。
こうした様々な対策を、緊急事態ですから、その時期、その時期の充分・不充分は一定あるとしても、政府と地方自治体が連携して、より実態に即した迅速な取り組みを行う必要があります。
私共日本共産党市議団としては、今回の諸議案に基本的に賛成し、その事業の速やかな実行と、その成果がより早く市内の隅々に行き渡るようにする必要があると考えます。同時に、今申し上げた点から、いくつか改善すべき点を指摘し、早急な取り組みを要請するものです。
第一の、医療体制という点では、すでに多方面から指摘されているように、今後入院治療すべき重症者が急速に増えた場合、対応すべき集中治療室が足りないという問題があります。政府にも早急な要請を行って必要な機材及び防護資材の確保と、県とも連携して医師・看護師・技術者などのスタッフの確保を行うことが必要です。
舟入市民病院などの陽性患者を受け入れているところでは、まさに今、命がけの医療活動を行っておられます。徹底した防護体制をとる必要がある中で、防護資材が不足しているというのは、無責任な話です。共助の精神で市民に防護資材の提供を求めるのはいいとして、市の行政として、あらゆる情報を集めて、業者と交渉して、責任を持って必要な資材を調達するべきです。そのための広島市独自の予算が組まれていないのは、市の覚悟のほどが問われていると言わねばなりません。県の取り組みに頼るだけでなく、政令市として、少なくとも市民病院については、市として責任を持つべきです。
第二の問題ですが、日本の検査数に対する陽性率の高さは、世界でも突出しています。これが感染の広がりに対して検査件数が極めて少ないことを表していることは、もう共通認識です。人口当たりの検査件数は、他の国々より一桁から二桁少ない。広島でも、今なお、PCR検査は厳しい検査実施基準をクリアして検査にこぎつけた人と、それで陽性がわかった人の濃厚接触者だけです。いま、1日1万5千件の検査が可能だとされていますが、実際はその半分程度しか検査が行われておらず、広島市の検査件数もこの一月で1日当たり60件程度です。日本のこうした検査のあり方を、WHOを含めて世界中が批判しています。
慶応大学病院での新型コロナの症状のない新規の患者のPCR検査の結果で陽性率6%という数字があります。仮にこの程度の感染率だとすると、広島市内でも約7万人が症状のあるなしに拘わらず感染しているということになります。東京の感染率よりは低いとしても、PCR検査の実施を厳しい基準で限定しているために、発表されている市内の感染者数が全く実態を反映していないことを多くの市民が感じています。これは、市民の間に不安を独り歩きさせることになるし、的確な対策をとる根拠を持たないまま、ただ出るな、集まるなと言っていることになります。軽い風邪症状の人でも、感染しているという自覚がある場合とそうでない場合は、行動や生活の仕方は変わってきます。発表されない感染者が広がれば、重症者が増大することがあり得るでしょう。根拠のある感染の実態を知り、何が必要かを認識し必要な対策を市民の共通認識にしていくために、少なくとも何らかの症状がある人をすべて検査できる体制をつくるよう取り組まれることを要請します。
以上のいずれの対策にしても、政府の予算があまりも少なすぎて一桁足りません。市としても危機感を持って、政府に予算の増額を要求されることも併せて求めておきます。
第三の経済活動、文化活動をどう支えるかです。中小・小規模企業者、フリーランスの事業者の持続化給付金が支給されることになっていますが、今後の先行きが見通せない中、1回限りの給付金では限界があるのは誰でもわかることです。一つは、今後、休業や営業、イベントの自粛要請がいつまで続くのかを見通しながら、その状況に応じた継続的な支援を行うこと、最低限の支援として家賃などの固定費の補てんを継続して行うことが求められており、財源問題は政府や県と協議がいりますが、そういう施策を行うという意思表示を行うことで、終息後に、市内の経済活動が再開できる土台を確保することが必要です。
また、当面の資金繰りは急を要する場合がほとんどです。急な資金需要に間に合うような迅速な融資の実行ができるよう金融機関などと協議、連携を行っていただきたいのと、そのためにも手続きの簡素化が重要で、この点も強く要請します。
第四の市民生活を支える問題です。事業活動への支援とは別に、フリーランスの方々を含めて、仕事を失ったり、事業休止で生活のための収入が途絶えたりした市民への生活支援が必要で、これも継続的な取り組みが必要です。政府が当面1人10万円を支給しますが、これだけで済むわけがありません。追加の対策を政府に要請することと、社協が実施する緊急小口資金の貸し出しや総合支援資金の貸し出しを緊急事態にふさわしく、貸し出しの実行が半月程度で行われるように、必要な資金の確保を含めて県に要請していただくことを求めます。
最後に、感染した患者を治療する医療機関での医療スタッフの献身的な活動には、深く敬意を表するもので、その負担を少しでも軽減できるようなあらゆる方策を専門的な知見を動員して進めていただきたいと思います。
感染防止の防護資材の不足への対応については、先ほど指摘しましたが、他方で、医療スタッフの決死の業務遂行にふさわしい処遇も必要です。1日300円に満たない危険手当が出されているようですが、到底ふさわしいものとは言えません。大阪府が1日3000円を支給するとしていますが、そういう思い切ったことが必要です。県の仕事だと逃げずに、感染防止の資材の調達と併せて、市民病院のスタッフに決然とした市長の意思を示すべきです。ぜひ、ご検討ください。
また、感染病棟でたたかっている看護師たちは、家に帰れば家族への感染の危険とも常に隣りあわせです。そういう心配をしないで済むように、専用の宿泊施設が必要です。舟入病院から、橋を一つ渡るとアステールプラザや文化学園ホールといった宿泊施設を持つ施設が休館状態です。これらの活用を含めて、早急に舟入病院などの感染者に対応している医療スタッフの宿泊施設を確保されることを要請します。
第53号議案と第57号議案は、国保や後期高齢者医療の被保険者のうち、雇用されて働く人に限って、特例で新型コロナに感染して休業する際の傷病手当を認めるとする条例改正です。これはこれでいいのですが、同様に感染して休業しても、フリーランス・自営業者は対象外で、極めて差別的な取り扱いです。感染して休業すれば同じように収入を失うわけで、こんな差別扱いは問題です。自営業者も対象に含めるよう国に要請することと、それまでは市の独自施策として自営業者にも傷病手当を支給できるようにすることを求めておきます。
以上、第2弾、第3弾の施策で、いま提案した施策が取り組まれることを求めて討論を終わります。
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