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(近松さと子議員)
被爆者のケアプランの作成についてお聞きしますのでよろしくお願いいたします。被爆75年を迎えまして、被爆者が高齢化しています。介護が必要になった被爆者は、ご本人や家族にとって、どのような介護を受けながら生活するのがいいのか、色々と介護を受ける生活に直面して、切実な問題となっているところです。
市長は、昨年の平和宣言でも、平均年齢が82歳を超えた被爆者をはじめ、心身に悪影響を及ぼす放射線により、生活面で様々な苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を重視することとして、毎年被爆者の援護事業の充実を求めてこられました。
そういう中で、被爆者には介護保険のサービスとは別に、援護事業に介護に関する制度があるところです。
ところが、その被爆者援護事業の介護制度を知らずに申請していないケースがあるとして、被爆者の団体や、被爆者の相談にあたってらっしゃる相談員さんの会から要望書が出されているところです。
まず最初に被爆者援護事業の介護に関する制度というのはどのようなものがあるか教えてください。
(援護課長)
原子爆弾の投下から74年が経過し、年々被爆者が減少するなか、平成31年3月31日現在、本市の被爆者数につきましては、47,632人となっております。一方被爆者の平均年齢は82歳を超え、高齢化が進み、日常的に介護を必要とされる被爆者の割合は年を追うごとに増えております。
こうした、介護を必要とされる被爆者に対する援護制度の主なものと致しましては、介護のために支払った費用を支給する介護手当や、原爆養護ホームにおける養護やショートステイなどがあります。
また、被爆者が介護保険サービスを利用する中で、訪問看護や訪問リハビリテーションなどの医療系のサービスにつきましては、利用者負担を被爆者援護法における一般疾病医療費として支給する制度があります。
また訪問介護や通所介護などの福祉系の介護サービスにつきましては、被爆者介護保険利用料助成として利用者負担を助成する制度がございます。
(近松さと子議員)
その中の、介護手当の支給状況なんかを聞きましたら、2014年には1,010人だったのが、2019年には707人と減少しています。被爆者の方がもう減っているからだということではあったんですが、こういう中で介護のケアプランを作成する際に、被爆者であるという確認が本当に出来てるんだろうかという、そういう問題意識をちょっと持ったものです。
あるデイサービスでは、オバマ大統領が広島を訪問された様子がテレビで流されたそうですが、その時一人の利用者さんが、自分も被爆者だとテレビを見ながらつぶやいて、まわりのスタッフが驚いたと。デイサービスの関係者も、ケアマネージャーも、この利用者が被爆者であるということを知らなかったという状況があったということです。
ある被爆者の方は、ケアマネージャーが、被爆者と確認せずに利用料助成制度を利用しなかったと。年金が少ないので、本来利用できる介護サービス上限額いっぱいを利用すると、利用料が負担できないとして、介護サービスの利用を抑えたケアプランを作成されたということです。結局、本来使えるべきサービスが利用できないという状況が生じているんじゃないかということなんです。
途中で被爆者であると気付いて、ケアマネージャーが、サービス利用料の負担に対して、さかのぼって助成を受けられるので、そういうことも検討もされたそうですが、被爆者の方がすでに領収書などをなくされていたりして、探し出すことができずに、結局手続きもできなかったという事例もあるといいます。
退院を支援するケースワーカーの方からも、ケアプランを作ってもらうのに、ケアマネージャーがこの被爆者援護事業の介護の事業を知ってらっしゃらない、こういうことを痛感しているとのことです。
高齢の被爆者が多い中で、なかなか被爆者自身がその制度について、利用したいと言える状況にない中で、ケアマネージャーが被爆者だと確認して、援護事業を活用したケアプランを作成することが必要なんじゃないかと思うんですが、どのように考えられますか。
(事業者指導・指定担当課長)
介護保険における居宅サービス計画ケアプランは、個々の利用者の特性に応じて作成されることが重要であり、介護支援専門員ケアマネージャーは利用者の課題分析を行った上でケアプランを作成します。
具体的には利用者の有する日常生活上の能力や、利用者がすでに提供を受けている居宅サービスや、介護者の状況などの利用者を取り巻く環境等の評価を通じて、利用者が生活の質を維持向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援することができるよう、ケアプランを作成をしております。
このように、ケアプラン作成にあたりましては利用者の生活全般について、その状態を十分把握することが重要であると考えております。利用者が被爆者である場合は、そのことも考慮したケアマネジメントが必要であると認識をしております。
(近松さと子議員)
そのために、被爆者や相談員の会からは具体的に、居宅介護事業支援事業者が使用しているケアプランを作成するアセスメントというのがあるんですが、この書類の中には、利用者の被保険情報として介護保険、健康保険、生活保護障害者手帳の有無などを記載をする項目が例示されています。
そこに被爆者健康手帳の有無を追加することで、被爆者としての確認をしたり、介護サービスを十分受けられるように、援護事業の介護制度が利用できるように、そういう支援をしたらどうかという、同じく地域包括支援センターの利用者基本情報の中にも、被爆者の項目を入れたらどうかという要望がされています。
こうした点について、広島市として事業者に要請ですることはできないのでしょうか。
(事業者指導・指定担当課長)
委員ご指摘のアセスメントも、課題分析標準項目の利用者の被保険者情報の主な内容例ですけども、これは個々の利用者の課題分析を行うために、各居宅介護支援事業所が確認する項目の例として、国の通知において示されたものであるため、本市においてその項目を追加することはできません。
なお、ケアプランの作成に当たっては、これまでも利用者が被爆者であることは十分考慮されていると考えておりますけれども、今回要望ございましたこれを踏まえまして、今後ケアマネージャーを対象にした市の研修会や、各区で開催されておりますケアマネージャーによる自主勉強会などを通じて、徹底していきたいと考えております。
(近松さと子議員)
本市では、この中にあります例示の中では、身体障害者手帳の有無というようなこともあるんですけど、広島市はやっぱり被爆地です。被爆者のほうがよほど身体障害者手帳を持ってらっしゃる方よりも多いわけですので、被爆地にあわせた情報を盛り込むような項目を要請することはあってしかるべきだと思います。
それに県も、この居宅介護支援事業所が使用しているアセスメントシートにより、利用者の被保険者情報に、被爆者健康手帳の有無に関するチェック欄の追加など、被爆者であるかどうかの確認や利用者の状態に応じた被爆者援護制度の活用を促進するように、各事業者への指導をお願いしますとか、各市町に通知も出してるところです。
被爆地広島市が、要請してきた援護事業を被爆者に十分活用してもらえないような状況を作っているのはおかしいんじゃないかと思うんですけど、ちょっと再度お願いします。
(事業者指導・指定担当課長)
このアセスメントの課題分析標準項目の、利用者の被保険者情報の主な内容例につきましては、国の方が通知において示されたものでございますので、本市においてその項目を追加することはできません。
(近松さと子議員)
重ねて要望しておきます。