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日本共産党市議団を代表して上程された決算と議案について討論を行います。
反対の決算は、決算第1号平成30年度広島市一般会計歳入歳出決算、
以下、決算第8号西風新都特別会計決算、
決算第9号後期高齢者医療事業特別会計決算、
決算第10号介護保険事業特別会計決算、
決算第11号国民健康保険事業特別会計決算、
決算第12号競輪事業特別会計決算、
決算第16号開発事業特別会計決算、以上7件の歳入歳出決算です。
他の決算と議案は賛成とします。
反対の理由のうち、まず一般会計決算と西風新都特別会計決算、開発事業特別会計決算について、一括して理由を述べます。
平成30年度決算の説明に当たって、市長は、200万人都市圏構想のもと人口減少・少子高齢化に打ち勝ち、世界に誇れるまちの実現に向けてワンステップ駆け上がるための諸施策に取り組んだと説明されました。しかし、その中身はさらなる大型開発重視のまちづくりであり、市民の暮らしや防災が後回しになっていると言わざるを得ません。
昨年7月には、この20年間で三度目の大規模豪雨災害が発生し、関連死を含め25名の犠牲者を出し、多くの被災者の住まいが奪われました。平成26年の8・20豪雨災害により甚大な被害がもたらされ、防災対策の強化は最優先課題のはずでした。しかし、市内で市施工の対象となる急傾斜地対策の執行状況は、整備を完了するのにさらに100年以上かかるペースです。従来の延長線上の防災対策では、到底市民の命も財産も守れません。
一方で、平成30年9月、県と市の共同で設立した広島高速道路公社は、住民の反対を無視して広島高速5号線二葉山のシールドトンネル工事を強行開始し、その40日後に、契約額200億円には材料費と一部工事費が含まれていなかったということを明らかにしました。通常では考えられない前代未聞の事態です。一旦、工事一式で契約したにもかかわらず、工事業者言いなりに増額を認め交渉中だとしていますが、いまだに事業費が確定する目処も示せないのに、工事だけは進めてきた行政の姿勢は不誠実そのものです。
また、前年の3倍の42億円となった企業立地促進補助金も一部企業を優遇するものであり税金の使い方として問題です。西風新都などに民間が所有する用地の売却促進のために、市内5万を超える中小企業、小規模事業所がある中でわずか23社に42億円もばらまくものです。市はこれまで多額の税金を使い大規模開発を後押しして開発団地の利便性を向上させてきました。利便性があると自ら進出してきた企業にさらに税金をつぎ込む必要性もなく市民が納得できるものではありません。
平成30年は、10月に生活保護基準が引き下げられ、実質賃金の低下も続き、格差と貧困はますます拡大しました。こうした中で、低年金で暮らす高齢者や子育て世代への支援がもとめられてきました。
高齢者公共交通機関利用助成制度はいきいきポイント事業に移行し廃止するという方針ですが、いきいきポイント事業に参加している高齢者は5万人に対して、高齢者公共交通機関利用助成制度を利用している高齢者は14万人にのぼり、とうてい市民に理解される状況ではありません。
平成29年7月、市が県と一緒に実施した調査では、4人に1人が生活困難層だという結果になり、子育て世帯のくらしも深刻なことが浮き彫りになりました。こうした家庭では、経済的な理由での受診抑制があることが明らかになりましたが、調査の対象の小学5年と中学2年は、子ども医療費補助制度の通院助成の対象外です。
また、財源が1億8千万円不足するとの理由で持ち込まれた、全国に例のない新たな所得基準によって、6歳までの1万3000人への補助が実質的に打ち切られましたが、決算では前年に続き5億円も予算を余らせました。子育て支援の拡充をという市民の願いを逆なでするものです。
次は、決算第9号、後期高齢者医療事業特別会計決算についてです。
年金給付の削減が続く中で、広島県の保険料が年間1143円、1.6%引き上げられました。また、平成29年から保険料を軽減するための措置が次々と縮小されてきています。平成30年は、被保険者本人の所得割の2割軽減を廃止し、被用者の元被扶養者に対する均等割の軽減幅が7割から5割に削減されました。高齢者のくらしの実態を無視した負担増です。
次は、決算第10号、介護保険事業特別会計決算です。
介護保険料が改定されて、基準月額が6100円に引き上げられ、この制度が始まった時の2倍を超える保険料となりました。 一方で、要支援1、2のサービスが、介護給付から外され、市がおこなう新しい総合事業に移行し本格的に実施されました。しかし、基準緩和型サービスが導入されて、報酬が8割に減らされるなど事業者やヘルパーなどへしわ寄せが及んでいます。
軽度者の介護の担い手として生活支援員を養成しましたが、実際に現場で働いたのは、研修を受けた75人のうち3人にすぎませんでした。このような安上がりに担い手を確保しようという方向では、必要な介護がうけられない介護難民を生むことになりかねません。
次は、決算第11号、国民健康保険事業特別会計決算についてです。
国民健康保険は、年収300万円以下の低所得者が8割を占めるにも関わらず、保険料がサラリーマン世帯の健康保険の2倍も課せられる理不尽な制度だと繰り返し指摘してきました。ところが、県単位化を契機として今後6年間で今よりも、医療費増加分に加えて保険料を3.8%引き上げる赤字解消計画が示されました。これまで行われてきた保険料上昇抑制のための一般会計からの繰り入れをなくそうとするものですが、低所得加入世帯の生活への配慮を欠いたやり方は、自治体の役割を投げ捨てるものと言わねばなりません。
いま、国保行政に求められていることは、サラリーマン世帯の2倍に上る高すぎる保険料をいかに引き下げていくかの努力です。また、生活のため、やむなく保険料を滞納した世帯に対する機械的強権的な差し押さえは行わないよう求めておきます。
決算第12号、競輪事業特別会計決算についてです。
市は競輪場を建て替え、民間業者に運営させる方針ですが、そのためには、財政への相当程度の貢献がもとめられます。しかし、収益を増やそうとすればするほど、社会問題となっているギャンブル依存症を増やすことになります。こんな社会正義に反する事業は、続けるべきではありません。
最後に、決算審査の質疑の中で指摘しましたが、市が行う市民アンケートの設問のあり方について一言申し上げます。平成30年度実施されました放課後児童クラブを利用する保護者へのアンケートに大変恣意的な設問がみられました。利用料の有料化について問うているのに、無料という選択肢がなくこれでは有料化へ誘導するものと言わざるをえません。さらには、保護者会活動の是非を問うような設問があり、保護者の思想・信条に踏み込むもので問題です。他にも市民アンケートの形をとって、市の行いたい施策へ誘導するようなアンケートがありました。こうしたことはあってはならないことを指摘しておきます。
以上で、討論とします。