議会での質問・答弁

2018年10月11日

2017年度決算特別委員会 総括質疑 中森辰一議員

◆中森 委員         お疲れさまです。私は,防災に関することについて少し議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 初めに,この7月の豪雨災害の中で,私たちとしては,とりわけ河川防災課,それから危機管理室の皆さんには本当に御苦労いただいたというふうに思っています。ほかの職員さん,みんな一生懸命頑張られましたけども,本当に特に現場という最前線の場でですね,本当によく頑張っていただいたなと,本当にその御労苦には感謝を申し上げたいというふうに思います。
 それでですが,この7月に豪雨災害がありまして,市の職員の皆さんも,4年前の8.20災害を思い起こしておられたと思います。19年前に被災して,それから15年たって,77名もの犠牲を,犠牲者を出した4年前の災害があって,市は真剣に防災のことをお考えになってこられたというふうに思うんですよね。私は,4年前の災害以前,何をやっていたのか,災害後,どういう取り組みをしたのかいうことを改めて振りかえる必要があるというふうに思っております。今回,改めてこの点について聞いていくとともに要望もさせていただきたいというふうに思っております。
 まず,4年前の災害以降,市として災害から広島市民を守るためにどのような取り組みをしてこられたのか,お聞きしたいと思います。まず,ソフト面の取り組みを項目的に簡潔に報告してください。

◎河本 災害予防課長     ソフト面の対策でございますが,8.20豪雨災害を踏まえまして,共助のかなめでございます自主防災組織の活性化を図るため,平成27年度から防災まちづくり事業を展開しているところでございます。この事業では,地域が主体となりまして,地域の危険箇所や避難場所などを確認していただくためのわがまち防災マップの作成支援であるとか,次世代の防災活動の担い手を育成するための地域の防災リーダーの養成などに取り組んでいるところでございます。また,市民の防災意識の高揚を図るための防災講演会,防災研修会等を開催するとともに,本市ホームページのほか,市広報紙,各種ハザードマップによりまして,地域の危険性であるとか,市民がとるべき適切な行動などにつきまして市民への周知を図っているところでございます。
 さらに,今年度から防災訓練の促進を図るため,地域の自主防災組織が行う防災訓練に対する助成制度を設けまして,より効果的で実践的な防災訓練となるよう,区役所や消防署が自主防災組織に対しまして必要な助言,指導を行っているところでございます。

◆中森 委員         次に,ハード面はどうであったのかということなんですけども,この問題は,19年前の豪雨災害で大きな犠牲を出したことをきっかけにして,危険箇所を特定して,住民に周知し,建築規制をしていくということとあわせて,危険箇所の解消に向けて,砂防堰堤の設置とか,急傾斜地崩壊対策工事が行われてきました。じゃあ,そうした取り組みで,被災した場所も含めて,市内の危険箇所はどうなってきたのか,昨年度までにどういうことがどこまでできていたのかいうことを報告してください。

◎石倉 砂防事業推進担当課長  ハード面の取り組みについてお答えいたします。
 平成26年8月20日の豪雨災害を受けまして,本市といたしましては,特に土砂災害を防ぐための砂防堰堤の早期整備について国や県に対して強く要望を行いました。その結果,まず,国においては,緊急事業により安佐南区及び安佐北区の28渓流において,砂防堰堤の整備が実施されることとなりました。このうち,特に著しい被害が生じた24渓流については,昨年5月に緊急事業として整備が完了いたしました。また,残りの4渓流につきましても昨年度末までに工事に着手しており,これら28渓流全ての整備が平成31年度末までに完了する予定でございます。
 一方,県においては,同様に緊急事業によりまして,七つの渓流で砂防堰堤の整備や,4カ所で急傾斜地崩壊対策工事を行い,全て完了しております。
 また,砂防堰堤に関する事業といたしまして,本市では,八木・緑井地区において,砂防堰堤等からの雨水を安全に流すための大口径の雨水渠の整備に本年3月から工事着手をしており,集中復興期間の31年度末までに完了する計画としてございます。

◆中森 委員         今,4年前以降のことはお答えになりましたけども,私はこの取り組みは,この19年間,どういう取り組みが行われてきたかということが非常に大事であったというふうに思うわけです。何もこの広島県・市における防災工事が4年前をきっかけに行われたわけではないわけですから。19年前に広島市と,それから呉市も含まれましたけれども,たしか35名だったと思いますが,の方々が犠牲になられた,大勢の方々の家々が破壊された,そういう深刻な被害を受けて,大きな動きもあったと思いますけども,そういった取り組み以降ですね,どういうふうに今日まで広島市内,まあ,県がやることが中心でしたけれども,今の広島っていうまちはどういうふうになってきたのかということをちょっと答えていただけないですか。

◎早志 下水道局長      先ほどの2人の課長,4年前からの災害対応と防災対策について中心に述べさせていただきましたが,今,委員からありました6.29災害,私も経験しております。それをきっかけに国のほうで法律が整備されて,本市としても,土石流対策,あるいは急傾斜の対策に力を注いできたところでございます。後ほど御質問もあろうかと思いますが,そうしたハード整備にはやはり財源的なものが不可欠でございまして,そうした財源確保の要望であるとか,あるいは先ほど危機管理のほうでお答えしましたソフト面の対策でも,地域の防災に対する意識の向上というのに努めてきたというふうに認識しております。

◆中森 委員         それがどうであったのかということなんだと思うんですよ。このハード面の問題,非常に大事だと思ってきたわけですけども,19年前,4年前に続いて,またもや大きな犠牲を出して,たくさんの市民の暮らしが奪われてしまいました。まちに暮らす市民の暮らしそのものが根底から奪われたわけですよね。どうしたらよかったんだろうかということをやっぱり私たちは考えました。これまでの対策がどうだったのかということはやっぱり今回の災害を機に問われているんではないかというふうに思うんですよ。その点についてはどのように受けとめていらっしゃいますか。

◎早志 下水道局長      今,委員おっしゃったように,特に土砂災害の関係ですね,急傾斜であるとか,土石流関係の危険箇所については,そうした市民の生命や財産を守るという非常に重要な事業であると考えております。いろんな面でこうした対策というのは,もちろん広島市としてきちんとしっかり対応していくということも重要でございますが,国や県,そういう関係機関と協力しながらやっていくということももちろん重要でございますし,繰り返しになりますが,市民の意識高揚ということも非常に大切なことだと考えております。

◆中森 委員         災害が発生する可能性が大きいので,対策が大いに行われてくることが必要だったというふうに思うんですが,それが本当に私たちはおくれていたなというふうに評価をしているわけですよ。今回も,実際には対策がなされていなかったところで被害が発生したんだということをまずはよく考えていかなければならないんではないかと思います。
 2002年,平成14年時点の数字ですから,今後の見直しで数がもっとふえるかもしれませんけれども,県のホームページで発表されているところでは,広島県内の土石流危険渓流,急傾斜地崩壊危険箇所,地すべり危険箇所の総合計は3万1987カ所ということになっております。全国で一番多いわけですよ。土石流危険渓流は9,964カ所,急傾斜地崩壊危険箇所は2万1943カ所,地すべり危険箇所は80カ所です。そのうち広島市内は地すべり危険箇所は4カ所ですけれども,土石流危険渓流は2,402カ所,県全体の4分の1を占めておりまして,県内のどの市町よりも多いです。急傾斜地崩壊危険箇所は3,634カ所もあります。急傾斜地崩壊危険箇所のうち規模が小さくて広島市の施行対象となる危険箇所は670カ所で,そのうち165カ所の整備が完了していると,先日の本会議でも答弁をされました。およそ3割近い進捗率ということになりますけども,これは急傾斜地の話です。県が発表している広島市内の危険箇所のうちで対策を行わなければいけない危険箇所は,土石流危険渓流,急傾斜地崩壊危険箇所,それぞれ何カ所ありますか。

◎石倉 砂防事業推進担当課長  土石流危険渓流についてまずお答えします。
 平成14年に広島県が公表しました数値によりますと,土石流危険渓流については,本市に,先ほど委員もおっしゃいましたように,2,402カ所ございます。このうち国や県が行う砂防堰堤の整備対象となる保全家屋数5戸以上の渓流は1,489カ所ございます。
 続いて,急傾斜地崩壊危険箇所でございますけども,これにつきましては,崖の高さが5メートル以上,保全家屋数5戸以上などの市の採択要件に合致するところは670カ所,また,崖の高さ10メートル以上,保全家屋数10戸以上など,県の施行採択要件に合致するところは742カ所ございます。このうち平成29年度末現在で市の整備済み箇所は165カ所,県施行の整備済み箇所は227カ所ございます。

◆中森 委員         土石流危険渓流の1,489カ所,これは対策をやらなければならない場所だというふうになっているわけですが,そのうち実際に対策が行われてきたのはどれだけあったのか,どんだけ完了してるのか。

◎石倉 砂防事業推進担当課長  広島県の市町ごとの整備箇所数については広島県からは公表されてございませんが,その整備率は約3割程度と聞いてございます。

◆中森 委員         土石流にしろ急傾斜地にしろ3割程度が終わっているのかというふうに考えてもいいのかなと。広島市が実際に施行対象にしているところも3割程度ということなんだと思いますけれども,まだ3割しか終わってないわけですよ。残りのほうが非常に多いわけですよね。こういう中で,広島市として市民の生命,財産を守るために,こんなにたくさんある危険箇所,これらを,この問題を解消していくためにどのように取り組んでこられたんでしょうか。

◎石倉 砂防事業推進担当課長  土砂災害危険箇所の対策といたしまして実施しております急傾斜地の崩壊防止対策や砂防堰堤の整備は,市民の生命や財産を守るための重要な事業であると考えております。このうち県から2分の1の補助金を得て実施する急傾斜地崩壊防止対策の進捗を図るために,県の補助金の確保が不可欠でございます。これまでも県に対しまして補助金確保の要望を行ってまいりましたが,平成26年8月20日の災害を受けまして,広島県市長会を通じて要望を行うとともに,平成27年度,28年度には,県知事,広島市長のトップ会談の議題といたしまして,補助金の増額を県知事に直接要望いたしました。こうした要望の結果,それまで県の補助金が約8500万円程度であったものが平成29年度には1億3500万円となり,約1.5倍の増額となってございます。

◆中森 委員         私が聞きたかったのは,そういうたくさん危険な箇所が残され,未対策の箇所が,危険箇所が残されている中で,本当に市がもっと早くやってほしいというふうに思ってたんじゃないかと思うんですけども,そういう思いに応えていただけるような進捗だったのかどうか。やっぱりそういう点について,広島市は今の状況についてどのように評価しておられるんでしょうか。そのことをちょっとお聞かせいただきたかったんですが,どうでしょうか。

◎倉本 下水道局次長     県の予算についてのお話だと思うんですけれども,県もこういった事業を非常に重要な事業として捉えられておりまして,しかしながら,県としても毎年毎年県の優先順位の事業があることですから,今の県の予算は県の状況のもとでつけられたと思っております。したがいまして,本市がやるべきことは,県にしっかり強く災害防止のための事業費確保をやっていただきたいということをしっかり要望いたしまして,事業費を確保して進捗を進めていこうということでございます。

◆中森 委員         そういうふうにおっしゃいますけど,実際は県の土砂災害の防止対策予算っていうのはずっと減額され続けてきたというのが実態なわけですよ。県は,19年前の佐伯区,安佐南区,安佐北区,そして呉市に及ぶ大規模な土石流災害があったわけですけども,この災害が起きた当初3年間は砂防予算を少しずつふやされました。3年後は180億円までいったわけです。でもこれがピークでありました。土石流災害の2年後に土砂災害防止法が施行されて,さらに翌年,広島県内の危険箇所を発表した,先ほど言いました数字が出たんですけども,その次の年からは急速に砂防対策予算,これを減らしてきたんですよ。4年前のあの災害が起きた年はどうだったかというと,わずか59億円,3分の1ですよ,そこまで減っていた。土砂災害防止法を具体的に実行する職員体制っていうのは実は非常に弱体化させていて,専任の職員はいなかったんですよね,この問題に対応する。そのために特別警戒区域の指定も極めておくれておりました。そういう中で4年前のあの災害が発生したわけです。4年前の豪雨災害後の緊急対策ということもあって,先ほども言われたような形で,直後はふやされました。だけれども,またことしは減少に転じているんですよ。4年前の豪雨災害の直前に危険箇所の解消に333年かかると県の当局者は議会で答弁しておりますけども,最近は200年かかる,数字は減りましたけども,それでも200年かかると言っているそうです。200年ということになりますと,コンクリートの耐用年数っていうのを考えると,ことしつくったものも,あと2回は更新しないといけない,そういう年月になるんですよ。これじゃあいつまでたっても危険箇所の解消はできません。本気で危険箇所の解消に取り組む姿勢があるのかということが今問われているんじゃないかと思うんですよ。そういう状況をきちんと見て広島市行政がどこまで県に迫ってきたかということが,今回の災害を見て改めて考えていただきたいと私は思うわけです。
 昨年の決算のときでしたか,市が予算で計画していた急傾斜地の対策工事が半分ぐらいしか実施できなかった。なぜかと聞いたら,県が予算をつけてくれなかったからだと,せっかく広島市がこんだけ,この1年間にやりたいと思って,急傾斜地の予算をこんだけの箇所数をやるということで予算化したのに,県はその半分しか予算を立ててくれんかったということなんですよね。先ほどふやしたというふうにおっしゃいましたけれども,去年というか,去年,もう1年先,そういう実態だったんですよ。私はそういう中で,そんな嘆いとる場合じゃないよねと,こぼしとる場合じゃないと,県から半分補助金をもらわんとできんというふうにおっしゃいましたけれども,しかし,市民の命を守るためだったら,せっかく市が予算を立てていたわけですからその予算どおりに,どこからお金を持ってきて実行するとか,それぐらいの強い姿勢がなければいけんかったんじゃないかなと私は思っているところです。
 何度も言いましたけれども,19年前の豪雨災害から15年たって,4年前に豪雨災害にまた見舞われた,災害の範囲は狭かったけれども,失われた人命は2倍以上,77名になりました。その際,そういう災害が起こって,広島市の行政としては本当に深刻な問題だなというふうに受けとめられたんではないかと思うんです。だけども,県の対応っていうのは極めて生ぬるい。あんだけの災害が起きたのに,ピークに戻すどころかわずかふやしただけにとどまっとるわけですよ。そういう状態で思うように対策が進まない,確かに被災した地域は,国もやったし県も緊急対策事業でやったからほぼ完了する見通しができてきてる。だけども,それ以外はあんまり進んでないじゃないですか。今回は進んでなかったところが被災したわけですよ。そこはやっぱりもう一度よく考えなくてはいけないんじゃないかなと。そういう点では,進捗状況が遅い,まだあと7割も残っているじゃないかと,こういう状況について,もっと砂防対策を思い切って予算をふやせと,そうやっぱり県とやり合わんといけんのじゃないかと思うんですよ。今の状況だったら2倍にふやしても到底足らんですよ。広島市は自治体行政として,広島市の自治体行政として,やっぱり災害から市民の,先ほど言われました生命・財産を守る,そういう非常に重要な事業だというふうにおっしゃいましたけれども,そういう事業を行っていく責任という点から,これまでの市の防災行政についてやっぱりもっと深刻に受けとめていかないけんのじゃないかなというふうに思うんですよね。
 なかなかお答えになっていただけないのであえては聞きませんけれども,今の広島市の置かれてる状況というのはどういうふうなものなのか,ちょっと考えを聞きたいと思うんですけども,ことしの7月は広島だけじゃない,各地に被害を及ぼしましたけれども,このときの総雨量っていうのを見ると,広島はほかの県の被災地域に比べて総雨量が特別に多かったわけじゃないんですよ。だけども,それでも一番たくさんの場所で土砂災害が発生して,一番たくさんの命が失われました。よその県では広島の2倍も3倍も降ったところあるんです。この点は物すごく大事な点だと思いますよ。危険箇所が多いというだけじゃなくって,災害が起きやすい地質だということで,ほかの地域よりも特別に対策を強化せないかん,それが広島だということを私はよくよく自覚しなくてはいけないのではないかと改めて思うんですけども,皆さんはどうですか。

◎早志 下水道局長      今,中森委員,災害対策の重要性について,るる,御発言いただきました。災害対策の重要性については委員が言われるとおりだと思います。ただ,先ほどの委員のほうからの地形上の問題で広島県自体が非常に急傾斜地の数が多い,土石流の危険箇所が多いということで御紹介ございましたが,確かに広島県が一番多うございます。他の島根,山口と比べて2倍近いぐらい危険箇所が多いということでございます。先ほどより県の補助予算が非常に少ない,市の要求に対して少ないという御発言もございましたが,我々,例えば急傾斜の対策を行う場合に,その急傾斜の施行をする土地というのは個人が所有されてる土地でございます。一義的にはその個人さんできっちり守っていただくということが基本ではあるんですが,ただ,そこに,人命にかえがたいものですから,急傾斜の対策を行っていくわけですが,そうした対策についてはやはり費用と高い技術力が生じます。そういうことで,本市も国,県からの補助金ではありますが,それを得て事業を進めとるということでございます。
 ただ,こうした治山対策というのは基本的には都道府県の責務でございますが,県のほうにおいて,各市町に急傾斜の予算を配分しているというのは,私が聞くところ,調べたところによると,広島県と千葉県だけでございまして,ほかの都道府県ではその都道府県が急傾斜の対策をやっていると,各市町にはその予算配分はしてないということでございます。ただ,先ほど言いましたように,広島は地形が非常に急傾斜なとこが多うございますんで,県のほうも各市町にそういう急傾斜の対策費用の予算を配分してやっておるという状況でございます。
 済みません,ちょっと前置きが長うなりましたが,繰り返しになります,市民の生命・財産を守るという観点で,本市としてもこれから県に対してきちんと増額要望をしてまいりますし,現に,この7月6日,7日に発災しました直後でございますが,7月の下旬に市長名みずからの県知事への要望書を,私みずから県の事務方のトップのほうに要望を持っていきまして,今回の災害を受けて,そうした急傾斜,土石流の対策について,ぜひとも県としても早期に対策を講じていただきたい,なおかつ予算の増額をお願いしたいという要望もしてまいりました。新年度の予算に向けて,予算の獲得ということに努力をしてまいりたいと思います。

◆中森 委員         4年前の災害のときに,どうしてあんな危険な場所に人が住んどるんじゃろうかというようなことを私たちも思いましたし,いろんな人たちがそういうことも言っていらっしゃいます。被災された市民の多くは危険だと思わずに,従前から住んでいた場所で何事もなく生活をしておられたわけですよ。そういうところに思いがけなく災害に遭ってしまったと。19年前も4年前もそうだったと思います。そういう中で,子供さん,親御さん,兄弟姉妹,亡くされた方がおられる。家を失い,生活が根こそぎ奪われた,そういう方々を見ると本当に言葉がありません。気の毒としか言いようがないんですよ。今回もそうです。やっぱりこの危険箇所というものをどう解消していくか,確かに一義的には早く逃げるということが本当に大事だというふうに思います。この点はまた後から言いますけども,ただ,やっぱりそういう広島という町をいかに災害から守っていくか,そういう観点というのは非常に重要なわけで,その点はもっともっと私たちは,課題が大きい,頑張らんといけんというふうに思うわけです。
 1995年の阪神・淡路大震災,あの後,広島市は災害に強いまちづくりということを進めてきました。だけども,確かに公共施設っていうのは着実に防災対策も地震対策も進んできましたけれども,だけども,民間家屋の耐震化っていうのは,実はほとんど自然増に任されてきたというのが現状ではないかというふうに思うんですよ。やっぱりそういうところも改めて,大きな地震ということも言われている中で考えていかなくてはいけないんではないかなというふうに思います。
 実際に,もう一つ反省していただきたいのは,その一方で,やっぱり広島市もそうなんですけども,大きな開発事業っていうのを進めてきたと。県は公共事業が以前のような規模ではなくなっています,確かに。でも,それでも大きな公共事業をやってきてるんですよ。そのしわ寄せが,結局思い切って防災対策予算を確保するということを阻害してきたという面もあるんではないかなというふうに私は思います。こういった大型事業は広島市も一緒にやってきたと,そういう面もあります。ついこの間,ほとんど使われとらんじゃないかと問題になったあの出島の産廃処分場,四百七,八十億円かかったと思います。それから,出島の埋め立て事業,巨額の費用がかかりましたよ。その他の港湾開発事業,まだ続いているものがあります。高速道路建設,ここにも巨額の投資をしてきました。そういうものを県も市も一緒にやってきたわけですよ。
 だけども,そういう事業について,広島市はこの前の本会議でも必要な事業なんだというふうに答弁をされました。だけども,こんだけ大きな災害が起きてみると,やっぱり市民の生命・財産,これを守ることが何よりも優先するんじゃないかと,私はそのことを改めて強調しておきたいというふうに思います。実際には防災対策よりも優先順位,私たちは低いと思ってますけども,そういうものを優先してやってきたじゃないかというふうに思うんです,その点では。やっぱり改めてこの公共事業のあり方,市民から預かったこの税金をいかに使っていくか,そのあり方が問われているんじゃないかなというふうに思っています。それだけに,やっぱり市と県と国と,国もですよね,一緒になってこの問題についてやっぱり果敢に挑戦していくということをぜひやっていただきたいというふうに思います。その点では,この前聞いたら,県がやる砂防対策も,結局,補助率は半分ぐらいしかないんですよね。やっぱり国の責任ということで考えても,この補助率を大幅に引き上げていくといったようなこともやっぱりやっていかないかんのじゃないかなというふうに思っていますし,私たちもぜひ国にも,そういう出かけていって直接要望もしたいと思いますし,県にも今のようなことじゃだめですよというふうなことも言っていきたいというふうに思っています。ぜひ,引き続き市としても,そういう点ではこの防災という面について積極的に予算をふやしてもらうという点で,先ほどふやすというふうなことをおっしゃいましたが,でも,少なくともかつての180億円,砂防対策をやったと,せめてあれぐらいには戻すというのが少なくとも必要ではないかというふうに思っていますので,その点は改めて強調しておきたいというふうに思います。
 それから,ソフト対策のほうですけれども,土砂災害に関するハザードマップ,どれだけの額が必要で,昨年度までにどこまでできていたのか,それから,全体としてはいつ完了する予定かお答えください。

◎石倉 砂防事業推進担当課長  土砂災害ハザードマップについては,広島県が小学校区ごとに土砂災害警戒区域や特別警戒区域を指定した後に,本市が速やかに作成することとしております。本市には,土砂災害警戒区域等の指定対象となる小学校区は112小学校区ございます。これまでに県が区域指定を終えた74の小学校区のうち,72の小学校区においてハザードマップを作成してございます。また,土砂災害ハザードマップの作成の完了時期についてでございますが,県が行う区域指定の完了見込みが平成31年度末でございますので,平成32年度の早い時期で完成を予定してございます。

◆中森 委員         それで,ハザードマップ,ここの中には学区,地区内の指定避難場所というのが載せてありますけれども,地域によっていろいろ選べるところと,1カ所しかない,あるいは2カ所しかない,こういうところがあるわけですよね。実際には広い地域の住民がみんな入れるような避難所ということにはなっていません。この収容人数というのはどのようにお考えでしょうか。

◎河本 災害予防課長     指定緊急避難場所の収容力に関する基準についてお答えいたします。
 この指定緊急避難場所といいますのが,災害の危険性が高まった場合に市民の方に一時的に避難していただくものでございます。このため,法令等におきまして国から基準等が示されていないことから,本市におきましても具体的な基準は定めてございません。

◆中森 委員         基準はないということなんですけれども,一例なんですけども,例えば西区の己斐上小学校区ですが,ここには己斐上三丁目,四丁目,五丁目,六丁目もありますけども,さらに己斐大迫という名前がついた丁目が全部入っとるわけですよね。非常にたくさんの世帯があるんです。この大きな団地を抱えた中で緊急避難所というのが己斐上児童館だけなんです。己斐上小学校の校庭の中にありますけども,ここはたったの20数世帯しか入れません,ここだけしかないわけですよ。7月の豪雨のときも,すぐ近くの己斐中に行ったらあいてなかったと,己斐上児童館に行けと言われたんだけども,遠過ぎるし狭いしとても行けないと思ったので,家の2階で一晩過ごしたというて私のところに言ってこられた方がありました。この方は己斐上三丁目に住んでおられる方ですけども,あそこから己斐上児童館まで行こうと思いますと,車で結構かかります。直線距離でも結構あるんですけども,実際には4キロ行かないけんわけですよね。非常に遠い。例えばこの己斐上小学校区の場合は,あれで間に合うというふうに考えたとはとても思えませんけれども,どうしてあそこ1カ所だけしかないのかと。それから,あれじゃあ到底,あそこに行ってみようという気にならん人たちがたくさんおるんじゃないかなと思うんですけど,あのままでいいというふうにお考えでしょうか。

◎河本 災害予防課長     土砂災害に適用しました指定緊急避難場所の指定につきましては,土砂災害警戒区域外にあり,安全性の基準を満たす収容施設を指定してございまして,己斐上小学校区の場合でございましたら己斐上児童館──60人収容人数ございますが──を指定しているところでございます。しかしながら,当館のみでは,委員の言われますように,収容人数に限りがございますので,民間施設等を含めて他の候補施設の有無などにつきましても,地域の自主防災組織や区役所と協議を行い,適切な避難場所の追加指定等を検討しているところでございます。

◆中森 委員         私は,民間の施設っていっても,あのあたりはそんな民間の施設はないんじゃないかなというふうに思うんですけど,どういうんですか,一つは,場合によっては新たな避難場所を公共として設置をする,あるいは,己斐上三丁目であると,己斐中学校がすぐ,同じ町内の中にあるわけですよ,三丁目の中に。ところがここはすぐ近くの山から土石流が来るかもしれんという,そういう場所にあるということで,ここは避難場所に指定されてないんです。己斐上小学校の体育館なんかもなんですけれども,そういうところは何らかの形で,土石流が起きたとしても,ちゃんとそれから守られるみたいなそういう対策をとれんもんかなと,そんなことも考えてみるわけです。己斐上三丁目の人たちにとっては,あそこが使えれば,己斐中学校が使えれば一番いいわけですよ。わざわざ己斐小学校までおりていかんでもええですし,遠い,一山,一つ谷をおりてまた山を上がって行かないけんわけですよ,己斐上小学校っていうのは。そういうことを考えると,もっと住民の,いざというときの緊急に間に合うような形というのがやっぱり考えていかれないといけんのじゃないかなというふうに思うんですけども,ちょっとこの点はどういうふうにお考えですかね。

◎勝田 危機管理室長     平成30年1月に己斐上小学校区の大部分が土砂災害警戒区域に指定されたため,己斐上児童館の使用となりました。しかしながら,委員御指摘のとおり,収容力の不足につきましては見込まれております。己斐上中学校でございますが,建物の一部が土砂警戒区域に位置しているところもあるため,全てを使うというのはちょっと困難でございます。しかしながら,一部の校舎であるとかそういったところは使えるということもありますので,己斐上中学校の活用も視野に入れ,隣接の小学校区の避難所の活用並びに民間施設の活用も踏まえて,適切な避難所の確保について検討していきたいと考えております。

◆中森 委員         各地域のハザードマップっていうの見てみたんですけども,遠かったり容量が小さかったりいろいろ問題があるように思いましたので,ぜひそういう点は改善ができるところはどんどん改善をしていくということをやっていただきたいというふうに思います。やっぱりいざというときにすぐに避難できる身近な避難場所というのは非常に大事だと思います。もちろん,もう少し時間の余裕がある避難勧告の段階,あるいはそれより,必要な人は避難準備情報の段階でしっかり避難をしてもらう,そういう意識を持っていただく,そういう勉強会もするという,本当に大事なことだというふうに思うんですけども,それでもやっぱりぎりぎりまでとどまるっていう人たちもまだまだたくさんいらっしゃるので,そこはより身近なところにということはぜひお考えいただきたいというふうに思います。
 それから,豪雨になっていて気象警報も出ている中で,避難準備情報,避難勧告というのが出されますと避難所が開設されるわけですよね。4年前の災害の際に,通常の生活避難場所では利用が難しくて配慮が必要な障害のある人たちとか,それから介助が必要な高齢者とかいう人たちが避難できる福祉避難所の確保ということが問題になりました。その後,市の行政も努力をされて,福祉避難所として利用できるところはできて,指定ではないというふうにおっしゃるんで,協定をしたんだというふうにおっしゃるんですが,これがホームページにもリストが載っているわけですよね。ところが,いざ避難をというときに,学区の避難所として指定されている,つまりハザードマップに書いてある避難所にこういった福祉避難所っていうのはないわけですよ。だけども,大勢の避難者と一緒の環境で一晩だけといっても無理な人もおられます。結局そういう人たちや家族は自宅にこもったままということになるわけですよ。こういう方は早目に避難行動をしていただくということが必要な人たちですから,多少時間の余裕はある段階で避難をしていただくわけですけども,そういう点で,福祉避難所になっているところが緊急の避難場所としても利用できるようにしておくべきではないのかなというふうに思うんですが,その点はいかがですか。

◎児高 健康福祉・地域共生社会課長  災害が発生,またはそのおそれがあるときは一刻も早く安全を確保していただくという観点から,まずは最も短時間に避難できる小学校の体育館などに設置される指定緊急避難場所に避難していただくことを原則としています。一方で,指定緊急避難場所での避難生活が困難な障害者の方などについては,例えば避難準備・高齢者等避難開始情報が出された場合に,本人等からの電話等があり,それを受けて避難に係る安全確保に支障がないことや福祉避難所の受け入れが可能であること等を確認した上で,指定緊急避難場所を経由することなく自宅から直接福祉避難所へ移動していただくこともできることとしています。こうした取り扱いについて,要配慮者の方々の安全を確保する観点から,その周知に努めてまいります。

◆中森 委員         特に一番はやっぱり障害のある方が問題になるかなと思うんですけども,そういう方々とか家族,それから,もっと言えば団体も含めて,緊急の場合も利用できるので,まずはここに連絡してほしいといったようなことをきちんと周知しておいていただきたいというふうに思います。緊急の場合にどこに行ったらいいかということにならないように,しっかりと段取りを含めて周知をお願いしたいと思います。
 それから,ハザードマップの所管なんですけども,ちょっと確認しておきますが,ハザードマップを作成する責任部署はどこになりますか。

◎河本 災害予防課長     土砂災害のハザードマップにつきましては下水道局,洪水のハザードマップにつきましては危機管理室で作成を行っているところでございます。

◆中森 委員         ですから,所管するところは2カ所あるわけですよね,つくる責任を持ってるところが。危険箇所を周知して,いざというときには住民の避難行動を促していく,避難対策というのを進めていくということになるんですけども,それはどこが所管ですか。

◎河本 災害予防課長     作成につきましては複数の部局にまたがっているところでございますが,二つのハザードマップにつきましても,住民からの問い合わせや配布は,各区役所の地域起こし推進課が窓口になって対応しているところでございます。

◆中森 委員         それで,ハザードマップっていうのはつくっただけではだめなわけですけれども,このハザードマップができた後からいろいろ地域に働きかけて,いろんな取り組みをつくっていくということになるんですけども,そういうことを進めていく,やっぱりそこはつくるところが下水道と危機管理というふうに分かれるんじゃなくて,どっちか一本にする。私は,河川防災課の名簿を見たんですけども,事務職の方いらっしゃいますが,10人の職員のうち7人までが技術職ですよね。本来,土砂災害危険箇所の解消とか市が所管する河川の保全,河川の氾濫対策,これが本来の任務だというふうに思うんです。私たちはその河川防災課に対しては,その名のとおりそちらのほうで大いに頑張っていただきたいというふうに思っているんです。土砂災害だけ下水道局はつくっておりますということじゃなくて,まとめて全部どっかが,危機管理室あたりが専任で所管をしてやっていくべきではないかというふうに思うんです。この前伺って,ハザードマップつくるのが下水道局だというのを聞いてびっくりしたんですけども,これはやっぱり危機管理のほうで全部所管するというのが自然じゃないかなというふうに思うんですけども,それはどうでしょうか。

◎河本 災害予防課長     繰り返しの答弁になりますけれども,作成部局につきましては複数の部局にまたがってございますが,住民からの問い合わせ等の対応につきましては各区役所の地域起こし推進課が窓口になって対応しているところでございますので,十分市民の利便性を確保できているというふうに考えてございますので,現時点ではハザードマップの作成につきまして危機管理室で一元的に担うということまでは考えてございません。

◆中森 委員         あなた方がそうおっしゃるならそれでいいんですけど,どういうんですかね,洪水についてはやるところがないから危機管理だっていうことになってるわけでしょう。それもやっぱり危機管理のほうでまとめてやったらいいんじゃないかなと私たちは思います。それから,それぞれの地域の特別警戒区域,警戒区域というのが法的に位置づけられてハザードマップっていうのができていくわけですけど,区域指定の際の説明会に出てくるっていう方は一部ですよね。この区域は特別警戒区域ですということをその地区の全住民に周知していくというのはどういうふうにしてこられたんですか。

◎河本 災害予防課長     土砂災害や洪水のハザードマップにつきましては本市ホームページで掲載し,誰でも自由にダウンロードできるようにしてございます。また,区役所の窓口で直接印刷物としてお配りしているところでございます。

◆中森 委員         いやいや,私は,一遍は多分全戸に昔配ったんじゃないかなというふうに思っていまして,ですから,新しく土砂災害ハザードマップができたら,やっぱりその地域全戸にまずは配るということが必要ではないかなというふうに思っておりますが,それについてはどうですか。

◎河本 災害予防課長     全戸配布につきましては,二つのハザードマップについては現在行っておりませんけれども,地域が主体となって,各種ハザードマップの情報をもとにつくっております地域独自の情報を盛り込んだわがまち防災マップが全戸に行き届くように,地域の自主防災組織等の御協力を得ながら配布していただくことにしてございます。

◆中森 委員         区域指定がされてハザードマップができて,ハザードマップはできるんだけども,それをもとにわがまち防災マップっていうのを地域の皆さんでつくっていっていただくと,一緒にやっていくということなんですが,これはあくまでも市が働きかけて地域の皆さんが立ち上がって努力をされてできていくというものですよね。それは大いにやっていかなければいけないことなんだというふうに思うんですが。
 ただ,自分が住んでいる地域のハザードマップができたとか,それから,あるという情報すら知らない世帯がたくさん残されているんじゃないか。この前,私たちの集まりに来てくれた一般の市民の方が,防災マップっていうのはあるんかと,わしゃ見たことがないという方がおられたんですよ。やっぱり大きな災害が起きたから関心を持った市民っていうのは,いろいろ自分で調べてそういうものがある,その中身を知るということになるかもしれませんし,依然としてそういう情報に接することがないままの市民も大勢おられるんではないかというふうにも思います。避難準備情報,避難勧告,避難指示,これらの言葉の意味,それが求める内容,お互いに声をかけ合っていこうといったことも,やっぱり災害から自分の身を守ることに関心を持ってもらう,考えてもらう,そういうことも全ては情報に接するというところから始まるんではないかなというふうに思います。わがまち防災マップ,これはハザードマップができてからいつごろをめどにつくる,こういった目標っていうのは特に定めてないんじゃないかなと思うんですけど,どうなんですか。

◎河本 災害予防課長     土砂災害警戒区域の指定がされますと土砂の災害のハザードマップを作成することとしてございます。それをもとにわがまち防災マップを作成していただくように地域に働きかけてまいりたいと思ってございます。年度別の目標につきましては私が午前中申し上げましたが,平成32年度までに1,900,全市内,全地域についてわがまち防災マップを作成するということを目標に掲げて,今,一生懸命取り組んでいるところでございます。

◆中森 委員         じゃあ,その年度までには全部でき上がるというふうに考えといていいのかなというふうに思うんですけども,いずれにしてもやっぱり情報っていうのは非常に大事ですので,いろんな形でぜひこれは市民に働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 それから,ハザードマップ,一応つくられる,区役所なんかに置いとかれるいうことなんですけれども,その点で,その地域に転入してきたときに転入届を出されます。そのときにごみの出し方という印刷物が渡されますけども,同じようにその地域の,区役所に置いとるわけですから,そういうハザードマップを一緒に渡すということぐらいはしてもええんじゃないかなというふうに思いますので,その点は要望しておきます。
 次に,土砂災害が起きる危険性の高い区域のうちで,特別警戒区域というのはそのままでは人が住むのは危険な区域だということになるわけですよね。ということになると,これは危ないから移転しようというふうに考える方はおられるだろうというふうに思います。そういうことを促進するために新たな住宅の取得の費用の融資制度とか,それから補助制度というのがあるということが,土砂災害防止法を説明するいろんなチラシなんかには書いてあるわけですよ。その制度について,簡潔に説明してください。
◎阿舎利 建築指導課長    土砂災害特別警戒区域からの移転に伴う融資制度についてはございませんけれども,移転に伴う補助制度についてお答えをします。
 本市においては,崖崩れや土石流などの土砂災害から市民の安全を守るため,土砂災害特別警戒区域内等にあり,崖地の崩壊等により損壊のおそれのある既存住宅について移転に要する費用の一部を補助するがけ地近接等危険住宅移転補助事業を平成27年6月から開始しております。本補助制度については,安全な区域へ移転するに当たり,住宅の除却費や移転先住宅の建設または購入にかかわる借入金の利子相当額にかかわる費用の一部を補助するものです。なお,本制度は国の制度に基づき設けておりまして,国,県,市がそれぞれ費用負担することになっております。

◆中森 委員         ですから,これは何か公的な機関でしたかね,金融機関,公的な金融機関が,何とか機構でしたか,そういうところが融資する制度がありますよと,その際の利子を補助しようという,そういうことなんだというふうに思いますけれども,そういう制度があるということになると,そういう制度を利用して移転をするという件数っていうのはわかるんではないかなというふうに思うんですけども,4年前の被災地では砂防堰堤の建設用地とか都市計画道路の用地として移転補償を得て移転した方はおられますけども,そうしたものを除いて特別警戒区域から移転するためのこの制度を利用して移転したというところがどれだけあるのか教えてください。

◎阿舎利 建築指導課長    本補助制度の活用の実績についてお答えします。
 平成27年度は移転にかかわる5件の相談があり,既存住宅の除却費について1件の実績がございました。平成28年度は移転にかかわる4件の相談があり,29年度は6件の相談がありましたが,いずれも補助の申し込みはありませんでした。平成30年度は,これまで5件の相談を受けておりますけれども,補助の申し込みまでには至っていない状況であります。

◆中森 委員         わかりました。なかなかこの制度は使われていない,あんまり有効な制度になっているのかどうかって,そういうこともわからないという状況だというふうに思います。先ほど最初からいろいろ言ってきましたけれども,砂防堰堤の事業にしても急傾斜地の事業にしても,危険箇所がまだたくさん残されているわけですけども,この事業はいつになるかわからないというのが現状です。そういう中ですから,私は差し当たって,できることなら危険な地域からは移転するというのが一番安全なことだなというふうに思うんですけども,今の制度では本当に不十分で,世帯ごとの条件にもよりますけども,なかなか簡単なことではない。今,実際には制度を利用する人もいないというふうな報告になっております。この補助制度を抜本的に改善をするいうことが必要だということと,それからハード対策の予算,少なくとも数倍にふやすということが行政の責任だということを再度強調しておきたいと思います。
 そういう中で,実際に被災して,こんな危ないところにはおれないということで移転してしまった方は現実にはおられるわけですよね。そういうふうにして空き地になったままのところがどれだけあるかということを聞こうとしたら,カウントしてないということなんですよ。これは本当は被災地を歩けば多分わかるんではないかなと思うんですけども,問題は,移転してしまった方にとっては何の価値もない,特別警戒区域で建築規制もあるところですから,実際には空き地になっていても売れる可能性はほとんどない,こういう土地がそれでも固定資産税だけはかかるということになっておりますけども,これはどうなっておりますか。

◎松坂 固定資産税課長    土砂災害特別警戒区域の指定を受けた区域内に所在する土地につきましては,指定を受けたことにより固定資産税が非課税になるということはございません。課税されるということになります。ですが,土地の評価額の算出に当たりましては,総地積に占める土砂災害特別警戒区域の面積の割合に応じまして減額補正を行っております。

◆中森 委員         減額補正を行っておるということは,それから免除されることはないというふうなことでありまして,住めない土地だと,どれくらい減額されるかっちゅうのによるんですけれども,住めない土地だとわかっているのに資産だといって行政が税金を取り続ける,これは本当に理不尽な話だなと思うわけですよ。移転したら二重に税金を払わんといけんわけですよね。こういうことももしかしたら移転促進に水を差す原因になってきたんではないかというふうにも思ってしまいます。実際にはそんな価値のない土地はせめて市が無償で引き取って,税金がかからんようにすべきじゃないかと私は思うんですけど,これはどうですか。

◎川上 管財課長       本市において土地の寄附受領等,取得する場合は,あくまで行政目的で活用するということが大前提であり,委員御提案のような目的で積極的に利活用する予定のない土地を受領することは困難であると考えております。

◆中森 委員         今はそうでしょう。だけども,こういうふうに,これは広島だけの話じゃないと思うんですよ。これはもう最近のテレビでもたしかやってましたけども,もうよそへ移転するという方はたくさんおられるわけですよね。そういうところに二重に税金をかけると,非常におかしな話で,これはやっぱり国に対しても制度を変えてもらうというふうなことも含めて,やっぱり行政としては取り組んでいく必要があるんではないかなというふうに思いますよ。いろいろ災害にかかわっては課題がありますけども,一つ一つ着実に,だけども,できるだけ急いでやっていただきたいというふうに思います。
 もう一つ,ちょっとこれは通告してないので,だけども,多分簡単に答えられると思いますからお答えいただきたいと思うんですが,危機管理室災害予防課のホームページを見ますと,災害時要配慮者利用施設における避難確保計画の作成等についてというタイトルの文書が載せられておりまして,平成29年6月に水防法及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律が改正され,浸水想定区域内または土砂災害警戒区域内に所在し,円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるものとして,広島市地域防災計画に定められた要配慮者利用施設の所有者または管理者は次の事項について,二つあるんですけども,作成,報告,実施が義務化されましたと書いてあります。一つは,避難の確保に係る計画の作成,それから二つ目が計画に基づく訓練の実施ということになっております。それで,これは全国の資料なんですけども,広島市は対象になる施設数が821あって,避難確保計画を実際につくっている施設の数,これは298ということになっております。そこで,三つお聞きします。今,ある施設はいつまでに作成することになっているのかということと,作成した施設は実際に訓練が行われたかということ,それから,計画に書かれたことが着実に実行されているかどうかをチェックするそういうシステムがあるのかと,この三つをお答えください。

◎河本 災害予防課長     順次,三つにお答えします。
 いつまでに作成を行うかということでございますが,私の手元に作成済みの計画数のデータがございませんが,今現在記憶してますのが,作成率が63%ということで,国とか全国平均をかなり上回っておるところでございます。ですが,引き続き避難確保計画が未作成の施設につきましては,ホームページとか,関係部局と連携しながら作成が円滑に進むように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 あと,防災訓練につきましては,まずは避難確保計画を作成した施設について,防災訓練の実施状況の有無について把握する必要があるというふうに考えてございます。そのため,今後の動きになりますけれども,個別にアンケート調査をするであるとか,今,方法を考えてございますが,その実施方法の把握について今,検討しているところでございます。
 最後のチェック方法でございますが,その訓練の実施方法,実施状況を把握して,なおかつ訓練を実施していない施設がもしあったというふうに仮定しますと,やはり施設の入所者の方の命を守るということが大変重要でございますので,やはりより必要性の高い施設から,例えば河川の近くにある平家建ての1階の要配慮利用者施設といったように,緊急性の高い施設から順次,訓練を実施するように働きかけて,その前に当然,避難勧告計画を作成するということが前提ではございますが,そういったところを今,検討している,そういったところで確認とかチェックができるというふうに考えてございます。

◆中森 委員         この確保計画の中には5項目定める事項というものがあります。防災体制に関する事項,避難の誘導に関する事項,避難の確保を図るための施設の整備に関する事項,それから防災教育及び訓練の実施,それから自衛水防組織の業務に関する事項,この五つがきちんと書かれていればいいものもありますけども,実際にちゃんと設備が整えられておるか,教育が行われたか,訓練が行われたか,こういうことはやっぱりチェックできないと意味はないと思いますので,そこはやっぱりきちんとやっていただくということでお願いをしておきたいと思います。終わります。

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