議会での質問・答弁

2018年11月02日

2018年第5回 11月臨時会 討論 村上あつ子議員

 日本共産党広島市会議員団を代表して、討論を行います。
 反対の議案は、決算第1号、第8号、第9号、第10号、第11号、第12号、第16号の7つの決算です。他の決算と第107号議案、平成29年度広島市水道事業会計未処分利益剰余金の処分について、第108号議案、平成29年度広島市水道事業未処分利益剰余金の処分については賛成です。
 反対の理由を述べます。
 決算第1号 平成29度広島市一般会計歳入歳出決算、 決算第8号、平成29年度広島市西風新都特別会計歳入歳出決算、 決算第9号、平成29年度広島市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算、 決算第16号、平成29年度広島市開発事業特別会計歳入歳出決算について一括して述べます。
 200万人広島市都市圏構想による23市町の連携中枢都市宣言を契機に、「選択と集中」の掛け声のもと大規模開発は加速を続けています。2017年度(H29年度)は、広島駅南口周辺開発やアストラム延伸事業に加え、西風新都の開発区域内の善當寺地区の山林を購入し、撤退した民間事業者に代わって、市が120億円かけて開発をするという異例の事態となりました。
一方、高齢者の外出を促すための重要な施策である、高齢者公共交通機関利用助成制度を改悪し、補助額を半分の3,000円に削減しました。これに対して、高齢者団体や市民団体から制度の存続や敬老パスに制度を拡充することを求める陳情・請願が出されています。市は、これらの声に応えるべきです。
 高齢者にとっては生活の頼みである受け取る年金は減る一方なのに、医療保険料や介護保険料は毎年上がり、「高齢者は長生きするなということか」と怒っています。足腰が弱り、市営住宅の1階への住み替えを希望しても順番待ちだと言ってあっさり突き放されたと肩をおとす高齢の男性。昨年度の市営住宅の空き家は政策空き家を除いて、1,300戸あったのに対して、公募した住宅はわずか523戸で4割程度です。これでは1階が空いていても応募できないはずです。民間住宅への住み替え事業も対象住宅が利便性の悪いところばかりのため、住み替えを希望する高齢者と民間住宅とのマッチングが進まず、わずか3年あまりで事業を廃止してしまいました。分科会質疑で設置可能な階段室型の市営住宅は33棟あることが明らかになりました。高齢者が住み替えしなくても普通に日常生活が送れるよう、設置可能なところにはエレベータを設置すべきです。
 市営住宅の応募倍率は依然として極めて高いままです。修繕予算を大幅に増やして応募戸数を増やすことは市の責任であり、エレベータの設置で高齢化に対応することも市の責任です。きちんと市の責任を果たされることを求めます。
 そして公契約条例を制定してこれらの事業を進めることを求めます。
 低入札で落札した事業者は赤字覚悟で請け負い、労働者の賃金にしわ寄せされています。
公契約条例で公共の仕事をするにふさわしい賃金を保証すべきです。

 慢性的な人材不足が発生している保育士や介護士の処遇改善を図ることを目的に、昨年度から経済観光局の新規事業として、「保育・介護人財サポート事業」をはじめましたが、この事業は中小企業勤労者共済に加盟した事業所の職員(保育士・介護士)が年間12,000円分の買い物補助券とスーパーマーケットなどの協力店で割引サービスが受けられるというものです。協力店は増えているものの、市内の保育園・介護事業所・障害者施設で加盟している事業所はわずか8%、140箇所にとどまっています。これは、現場で働く職員の要求と乖離している事業ということではないでしょうか。
 京都市は、保育士の処遇改善のために、市独自に約48億円の予算を投入しており、給与水準は、全国平均の1.4倍。一人当たり月額5万円の底上げを行っています。
さらに言えば、保育士の配置基準も独自の基準をもち、国基準より手厚い配置でゆとりを持った保育が実施されています。「働くなら京都市で働きたい」という学生が増えてくるのは容易に想像できるのではないでしょうか。
 真に処遇改善を図るというのであれば、京都市のように賃金の底上げを図ることです。
そのためには、大規模開発推進政策に抜本的なメスを入れる必要があり、そこがない市政のあり方には賛成できません。

 つぎに、決算第10号、平成29年度広島市介護保険事業特別会計歳入歳出決算についてです。 
 2015年度の介護保険改定で、昨年度、2017年度から介護予防給付サービスの対象だった要支援者を保険給付から外しました。総合事業の通所や訪問サービスは、これまでの予防給付の介護報酬に比べて、2割程度引き下げられたため大手の介護事業者は参入しませんでした。そのため、サービスに必要な利用者を守るために参入した中小の事業者は、訪問の時間を減らしたり、利用者にもヘルパーにも負担がかかっています。中国新聞にも事業者の負担が大きいと取り上げられましたが、事業者が安定した経営を行いヘルパーが確保できなければ、介護難民を生むことになりかねません。
 一方、被保険者は増加していますが、前年度に比べて介護が必要だと認定された人は、232人減少しました。これは特に要支援1の軽度者が1、125人減少していることが主な要因です。軽度者を対象にした総合事業は、要支援1,2の認定を受けなくても区役所窓口のチェックリストで訪問介護と通所介護のサービスが利用できます。要介護認定ではなくチェックリストの判定により事業対象者となった事例も含むと思われますが、要介護認定の水際作戦になりかねないと危惧されるところです。
 さらに、新総合事業や予防給付の介護予防ケアマネイジメントは、地域包括支援センターが担っています。地域ケア検討会議で予防プランをチェックする。また、介護サービスから卒業すれば、センターに卒業加算をつけるなど、地域包括支援センターに卒業型の予防プランを押し付ける仕組みを導入しました。こうした軽度者から介護サービスを取り上げていくことは、介護の重度化を招き、本末転倒であり、このような制度をそのまま推進する事業のあり方は認められません。

 つづいて、決算第11号、 平成29年度広島市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算についてです。
 2017年度の国民健康保険料は、前年度の一人当たり年間96、427円から99、751円に値上がりしました。市は、加入者の8割を年金生活者や非正規雇用の低所得者が占めている中で収納対策を強化させてきました。昨年度の差し押さえは2、797件と、2013年の952件の3倍に急増させて、滞納世帯は加入世帯の20%を切り、収納率をあげました。年々、所得が200万円未満の世帯の割合が増え続け、8割を超え、高齢化と貧困化がすすむ中で、所得に比べてあまりにも高すぎる保険料を課すことに根本的な問題があります。強権的な徴収を改めて、せめて協会けんぽ並みの保険料水準へ引き下げるべきです。
 また、2014年度から保険料の計算方式を市民税所得割方式から所得方式に変更しました。所得方式は、子どもが多い、障がい者がいる、病気で医療費がたくさんかかるなど、個々の世帯の状況を一切考慮しない一律の計算方法です。4年間段階的に引き上げるという激変緩和策を講じただけで、世帯の事情に配慮した特別の軽減策を作りませんでした。そのため、収入360万円40代子ども二人の世帯で、変更前の2013年度の年間保険料は267、596円でしたが、2017年度の保険料は、393、714円へ実に1.5倍に引きあげられました。きわめて重大な問題です。
 そもそも、国の国民健康保険法改正による計算方式の統一は、統一保険料と統一ルールをすすめる県単位化を円滑に進めるための準備でした。今年度から6年間の激変緩和ののちに一般会計の繰り入れを廃止し、保険料の値上げ計画をすすめます。こうした県単位化の地ならしを、軽減策を求める市民の声を無視して進めたことは容認できません。

 最後に、決算第12号 平成29年度広島市競輪事業特別会計歳入歳出決算についてですが、戦後の復興のために、財源確保を目的にはじめた競輪事業ですが、かつてのような市財政への貢献が見通せない以上、きっぱり廃止を決断すべきです。よってこの決算は反対です。
 以上で討論を終わります。