議会での質問・答弁

2018年08月28日

2018年第3回 8月臨時会 議案質疑 中原ひろみ議員

 日本共産党市会議員の中原ひろみです。日本共産党市議団を代表して、平成30年7月豪雨災害関連の補正予算について質疑をします。
 最初に、この度の豪雨災害で犠牲とならなれた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、発災後、人命救助、復旧活動を始め、復興にむけて支援をいただいている全ての皆様に敬意を表します。

(中原ひろみ議員)
 この度の補正で、災害復旧工事として総額 約154億円の予算が計上されている。農林業施設728か所、公園施設14公園、道路橋梁施設178路線、468か所、河川施設190、河川815か所の補正だが、これで、すべての被害箇所を復旧できるのか。どのようして被害箇所を把握されたのか、漏れている被害箇所はないのか。全ての復旧が完了するのはいつ頃になる見通しか。

(下水道局長)
 道路、橋りょう及び河川などの公共土木施設や、農道、水路、農地及び林道などの農林業施設の災害復旧工事については、現時点で把握している全ての被害箇所について、本復旧を行うために必要な経費を計上しています。
 被害箇所については、本市職員が現地調査を行うとともに、市民からの情報提供や、建設コンサルタントへの委託により把握しました。
 公共土木施設等の復旧に当たっては、9月上旬から国による災害査定を開始し、順次、復旧工事に着手してまいります。こうした復旧工事については、3年間を基本的な復旧期間と位置付けて、一刻も早く復旧が行えるよう取り組んでまいりたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 道路橋りょう施設の復旧箇所の一つとして、南4区289号線があげられているが、崩れた山は民間所有で地元が負担金を出さない限り対策できないと聞いている。市は、どのように復旧工事をされようとしているのかお聞きする。

(道路交通局長)
 議員ご質問の被災箇所は、黄金山南側の丹那地区と北側の本浦地区を結ぶ、生活道路に隣接した民有地の法面が崩壊したものであり、早期に通行の安全を確保する必要があったことから、本市において崩土撤去や大型土のう設置などの応急対応を行ったものでございます。
 この箇所の本復旧については、道路の安全確保のため、崩壊した法面にコンクリートによる法枠等を設置する必要があると考えておりますが、このように道路防災の観点から、工事を実施するにあたっては、民有地の所有者から、用地の寄付を受けることが前提となります。このため、今後、早期の復旧に向けて、地権者等と必要な協議を進めたいと考えております。

(中原ひろみ議員)
 また、似島の平和養老館の裏山が崩壊している。この施設は特別養護老人ホームや通所介護事業所として80名近い高齢者が利用されている。避難行動に支援が必要な要配慮者が暮らしている施設は、優先的に安全対策が講じられるべきだか、この施設の裏山の安全対策は、この度の補正に計上されているか。

(都市整備局長)
 似島の平和養老館の裏山については、似島臨海公園の区域内であり、今回の補正予算において崩壊した法面を保護するための経費を計上しております。
 なお、応急対策として、崩れた土砂の撤去及び法面へのブルーシートの設置を行っています。
 補正予算議決後は、法面の保護工事に速やかに取り組んでまいります。

(中原ひろみ議員)
 農林業施設災害復旧の分担金・負担金として1億5000万円の補正がされている。この中には、民有林の小規模崩壊に対する地元負担金が含まれているとのことだが、対象箇所数と負担金額はどの程度なのか。民有林の復旧工事は、個人から申し出をうけたあと、行政が現地調査を行い採択基準に適合することが必要だというが、どのような基準なのか。

(経済観光局長)
 小規模崩壊地復旧事業は、大規模な山地災害に該当しない小規模な崩壊箇所を対象とした広島県の単独補助事業であり、県からの補助金、私費及び地元負担金により実施する事業です。
 今回の8月補正予算に計上している箇所数は5箇所であり、地元負担金は390万円です。
 県が定めている採択基準は、地目が保安林及び山林等で、「人家2戸以上又は、人家1戸と道路」もしくは「学校など主要公共施設等」に直接被害を与え、又は与える恐れがあると認められ、1箇所当たりの事業費が100万円以上のものとなっています。

(中原ひろみ議員)
 日本共産党市議団はこれまで、急傾斜地対策の要望が地域から出ているのに、対策が進まないことは問題だと指摘し、市から県に対し必要な予算の確保を求めるべきだと質問してきた。平成28年度末現在では、急傾斜地崩壊対策事業の採択要件に適合する1412か所のうち、387か所は整備済み(整備率27%)で、広島市が要望を受けた箇所のうち43か所が未整備だとの答弁がされている。この度の豪雨災害で急傾斜地対策の要望が出されていたのに、未対策のままとなり被害が発生した箇所はないのかお聞きする。

(下水道局長)
 本市が行う急傾斜地崩壊対策事業において、地元から要望書が提出されている40か所のうち、このたびの7月豪雨災害で、がけ崩れ被害が7か所で発生しています。 

(中原ひろみ議員)
 今回、災害復旧工事のために約60億円の市債を発行することになっている。復旧にむけて市債の発行はやむを得ないものではあるが、被災して、犠牲者を出して多額の借金をするよりも、日頃から、防災・減災のための整備、管理などに予算をしっか確保しておけば、被害を小さくできたのではと悔しく残念な思いがする。今後、砂防ダムの整備や急傾斜地対策が進むように県に強く要望するとともに、市としても災害に強いまちづくりのために予算を優先で確保すべきと思うが、どのようにお考えか伺う。

(市長)
 中原ひろみ議員からのご質問にお答えします。今回の豪雨災害では、市内各所において、大規模な土石流に伴う家屋の流出等により、甚大な人的・物的被害が発生しましたが、平成26年8月20日豪雨災害を受けて、国において緊急事態として砂防堰堤を整備していただいた地域では、幸い被害を免れることができました。
 砂防堰堤の整備が土石流の災害に対して最も効果的な対策であることから、発災後速やかに、国に対して砂防堰堤の整備について要望を行った結果、今回の豪雨で甚大な被害を受けた矢野東地区、上瀬野地区など7地区で国において砂防堰堤の整備を実施することとなりました。
 また、急傾斜地崩壊対策事業についても、県からの補助金が市の要望を下回っているために、事業の十分な進捗が図られていない状況にあるため、本市の要望に沿ったものとなるよう、県に対して強く要望していきたいと考えています。
 昨今の異常気象の増加を背景とし、災害に強いまちづくりを強力に進めるため、河川法船の改良、橋りょうの拡幅や桁下高さの確保など、改良復旧の考え方に立った計画で取り組むことが肝要であると考えております。
 今回の補正予算においては、3年間の基本的な復旧期間の中で、単純な復旧にとどまることのないよう、効果的に予算を執行すると同時に、よりよい復興を目指した計画案を地域の方々に提示いたします。それとともに、愛着を持って住み続けられるような、安全・安心なまちづくりに向けての地元の方々からの提案を考慮した取り組みを行っていきたいと考えております。
 また、ソフト面での防災対策については、平成26年8月20日豪雨災害の教訓を踏まえ、平成27年度からわがまち防災マップの作成支援や地域の防災リーダーの育成などを柱とする防災まちづくり事業に取り組むなど、地域の防災力の向上を図っているところです。
 今回の豪雨災害においても、地域ぐるみで声を掛け合い、避難を促した地域では、早期に避難された方もおられます。こうした地域での共助の取組は住民の避難行動を促進させるものであり、改めて地域の防災力を向上させることが必要であると認識しました。
 このため、学識経験者等による検証会議においては、住民の避難行動の促進を図るだけでなく、地域の防災力の向上を図るための方策についても検証・検討していただくこととしており、その結果を踏まえて今後の施策に反映し、災害に強いまちづくりの推進に取り組んでまいります。

(中原ひろみ議員)
 災害復旧事業がいつまでに、どのように行われるかは、被災者がどこで生活を再建するかを判断するうえで、とても重要な情報である。8.20広島土石流災害では、発災から半年後の3月には「復興まちづくりビジョン」が示され、地域ごとに住民説明会が行われた。今回の豪雨災害で広島県は、被害を受けた市内7河川に西部山系直轄砂防事業として砂防ダムを整備するとしているが、安心・安全なまちづくりに向けて各地域から様々な要望が届いている。
 例えば、似島では家下川の拡幅や土砂を食い止める擁壁の整備、丹那地区は民有林の安全対策、楠那、日宇那は砂防堰堤の管理など、南区だけでも地域ごとに様々な要望となっている。安芸区でも上瀬野の清山団地や矢野東7丁目の梅河ハイツなどの被災者は、「戻ってきても安全に暮らせるのか」「帰ろうか? 帰るまいか?」と迷い悩んでおられる。
 早期に被災した地域の意見を聴く場を設け「地域別の復興ビジョン」を早期に策定し、住民説明会などを開催すべきだと思うが、どのようにされるのかお聞きする。

(都市整備局長)
 平成26年8月20日の豪雨災害においては、被災地を安全・安心な街によみがえらせるための復興には、地域の方々からの意見をお聞きしながら進めることが、効果的であるということを経験しました。
 今回の災害対応においても、前回の経験を十分に生かすことにしています。具体的には、土石流の被害が大きかった地域について、国・県による砂防堰堤の整備や、河川・道路の整備に係る計画案を地域の方々にお示しすることにしています。
 また、それとともに、愛着を持って住み続けられるような、安全・安心なまちづくりに向けて、地域の方々からの提案も考慮した取り組みを行っていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 ここからは、具体的な支援の内容についてお聞きする。
 まず、土砂・がれきの撤去についてです。深川小学校、矢野小学校、矢野幼稚園の土砂撤去を行うため2億2600万円の補正が専決処分されたが、いつまでに全て撤去されるのか。見通しをお聴きする。

(教育長)
 ご質問のあった、学校等の土砂撤去についてですが、深川小学校ではすでに撤去を完了し、8月20日の授業再開時には、グラウンドが利用できる状態となっています。
 矢野小学校については、矢野児童館を含むグラウンド面積約7,200㎡のすべてに土砂が堆積しておりましたが、授業再開時に児童が少しでも体を動かすことができるよう、グラウンドの3分の1程度、約2,000㎡の土砂を撤去し、8月23日に授業を再開しました。
 グラウンドの残り約5,000㎡及び矢野幼稚園の園庭の土砂については、現在撤去作業に着手しており、9月末を目途に土砂撤去を完了させる予定です。

(中原ひろみ議員)
 似島中学校のグランドは土砂の仮置き場となっているが、学校施設を土砂の仮置き場にするのは好ましいことではない。早期に撤去すべきではないか。加えて、似島港の入り口に積まれている土砂やがれきの山にはビニールシートをかぶせるなど、周辺の民家への環境面での配慮が必要ではないのか。

(道路交通局長)
 似島中学校への土砂等の仮置きにつきましては、似島小中学校の通学路の土砂撤去を行うにあたりまして、地域住民や学校と協議のうえ、グラウンド利用の支障とならない区域の、約15メートル四方を使用しておりますもので、この区域の土砂は、9月中旬までに搬出できるよう、現在、調整を進めております。
 また、似島港入口付近の仮置場につきましては、主に地域住民やボランティアにより撤去された土砂等を、一旦集積しているものでございます。現在は、市の委託業者により随時搬出作業を行っていることから、砂ぼこりなどの対策として散水を行うなど、近隣環境の保全に努めてまいります。

(中原ひろみ議員)
 災害救助法の施行令の第二条2項では、「災害によって住居またはその周辺に運ばれた土石、竹木等で、日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去」となっており、民有地でも私道でも土砂撤去は災害救助法にもとづき行政が行うことが明記されている。この救助法に基づき8.20広島土石流災害時には民有地の土砂は公費で撤去された。にもかかわらず、この度の豪雨災害では、過去の支援はご破算とされ、「民地の土砂はボランティアで撤去してください。公共はできません」「公道は行政が撤去するが、私道はできません」などと被災者を二重に苦しめる対応があった。
行政の担当者によっても対応がちがい、混乱する事態となった。
 このような混乱が起こるのは、本庁をはじめ各区の災害対策本部に係る職員に災害救助法が求める被災者支援の内容が熟知されていないといわざるを得ない。
 この4年間で二度も大きな被害を受けた広島市として、今後、災害救助法が適用される規模の災害に見舞われることを想定し、被災者支援マニュアルなどを作成し、混乱なく復旧作業や被災者支援ができるようにすべきだがどうか。

(危機管理担当局長)
 災害時に被災者の皆様に対する行政上の取扱いを、統一的に行うことは重要であると考えておりまして、今回の災害におきましても、8月20日豪雨災害の教訓を踏まえ、被災者に対する支援策を、一覧形式の資料として取りまとめ、市全体で周知を図るとともに、被災者支援総合窓口でも、被災者の相談などに活用しているところです。
 ただし、国の取扱いが追加拡大されたり、市として新たに取り扱いを決定したりした場合には、今回の災害でも、周知が不十分な場合も見られたため、この資料を随時修正したうえで、口頭も含めまして、各担当へ徹底を図ったところであります。
 また、それに加え、指定避難場所運営マニュアルや災害対応事務マニュアルなども作成しているところであり、今後必要に応じてマニュアルを修正し、さらに周知徹底を図ってまいります。

(中原ひろみ議員)
 8月2日に参議院の災害対策特別委員会で、独自に業者に依頼して土砂を撤去した場合も事後清算が可能とであることが明らかとなった。これを受けて、少なくない被災者が業者に土砂撤去を依頼されているが、土砂撤去班によると、被災者が業者に支払った撤去費用の全額を清算できないなどの理由から、償還払いが制度化できず、実効性のないものになっている。何が障害になっているのか。いつ、具体的に事後清算の制度を確定されるのか。現在までに、広島市に償還払いの相談をされた事例はどのくらいあるか。

(下水道局長)
 このたびの環境省における費用償還の補助制度については、本年7月20日の事務連絡において、初めて明らかになったものでございます。
 また、その内容は、これまでは被災した家屋の解体撤去のみが補助対象となっていたものが、このたびは土石流等で宅地に流入した土砂等の撤去についても新たに補助対象となっております。
 そのため、環境省から償還すべき適正な額や撤去数量の具体的な確認方法等が明らかにされない限り、具体的な作業が進められない状況にございます。
 本市としては、現在、こうした状況を打開すべく、環境省や広島県と調整を急ぐなど、運用開始に向けた準備を進めているところであり、環境省における具体的な運用基準等の策定を受けて、運用を開始することとしています。
 費用償還については、現在、128件のご相談をいただいており、このうち、82件については、すでに所有者自らが撤去作業を完了された方からのものでございます。

(中原ひろみ議員)
 次は、避難所や見なし仮設入居についてです。
 被災者が生活避難所から第二次避難所となる見なし仮設に入居される場合、被災者生活再建支援法により生活再建のために日常生活用品が支給される。が、その支給品は「時代遅れ」ではないかとの意見がある。例えば、「ほうき」「ちりとり」となっているが、「掃除機にしてほしい」というのが被災者の生活実感からくる「つぶやき」である。
 また、広島市が被災者に支給されている家電7品目(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・炊飯器・扇風機・湯沸かしポット・照明器具)の中には、エアコンがない。豪雨災害で命が助かっても、エアコンがない仮設住宅では、熱中症で命が危うくなるという被災者の声は切実であり、酷暑のなか仮設住宅で暮らすには、命を守るためのエアコン整備は不可欠である。時代に合わせて、エアコン、掃除機などを生活必需品として追加すべきではないか。国に、日常生活用品の見直しを求めるとともに、市が支給する家電品を見直すべきではないか。

(健康福祉局長)
 災害救助法に基づく支給品は、災害を受けての日常生活を営むのに最小限必要なものとされており、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品は対象外とされているところです。
 ところで、本市では、仮住宅の提供を国の運用対象より広げることにしたことと合わせて、支給する生活必需品の対象に一般的な生活に最小限必要とされるものも追加するようにしたところです。
 このように、災害救助法の解釈について、国と本市の間に差がある中で、被災者の視点に立った支援を行うための運用に努めているところであり、引き続き国に対し支給品目の見直しを要望していきます。
 なお、今回、エアコンについては、国においても、被災者の酷暑対策として臨時的に支給対象とすることとされました。

(中原ひろみ議員)
 また、市が仮設住宅に指定していない住宅を仮住居とした被災者には、日常生活用品の支給はされるが、家電6品目は支給されない。これはとても理不尽である。親戚など、市が認定していない住居で生活を始め、家電7品目の支給がされない被災者は何世帯あるのかお聞きする。
 不要だという被災者に支給する必要はないが、市内のどこを仮住まいとされても、新しく一から生活を始めなければならない被災者であることに変わりない。なぜ、暮らす場所で差をつけるのか。被災して自宅に住めない被災者全員を対象に家電製品を支給すべきではないか。

(健康福祉局長)
 住宅が全壊・半解凍したことで、本市が提供する住宅で避難生活を始められている世帯数は把握できますが、それ以外の住居で避難生活を始めている世帯数までは把握していません。
 ところで、住宅が床上浸水以上の被害を受けた世帯であれば、本市が提供する住宅で生活を始めたか高い中にかかわらず、寝具・日用品の申し込みがあれば、支給することとしています。
 また、家電6品目については、災害救助法では、救助のための必要最小限の物品とはされていませんが、早期の生活再建を支援するために本市が提供する仮住宅が、市民にとって住居として機能を発揮するために、備えておくほうが望ましいと考えられることから、独自に支給することとしているところです。
 したがって、自力で確保された住居については、その機能の状況を逐一把握することを行っていないことにかんがみ、家電6品目までは支給しないこととしているところですが、この対応は、支給するための諸手続等を考慮するならば、妥当なものだと考えています。

(中原ひろみ議員)
 次は避難所での食事についてです。
 一日分の水や食料は市民が持参することになっている。避難指示が出された7月6日は、乾パンでの対応もやむを得ないと思うが、甚大な被害が明らかになり、災害救助法が適用されて生活避難所としての対応が求められたにもかかわらず、その後3日間も4日後も被災者に乾パンの生活をしいた区がある一方で、7月7日から弁当が支給された区もある。同じ自治体で区によって被災者への対応が違うのは問題である。なぜ、このような差が出たのか。

(健康福祉局長)
 被災者に提供する食品については、地域防災計画において「備蓄している食品を優先的に活用する」と定められている中で、各区災害対策本部において、避難所及びその近傍の状況等を踏まえて選択しているところであり、区によって、対応に違いが生じるということはあるものと考えています。
 ただし、食品の取扱いについては、支援を受ける被災者の視点も考慮することが重要であることから、今後、この点についての周知を図ってまいります。

(中原ひろみ議員)
 8.20広島土砂災害でも、一か月間以上の避難所生活が続くなか、朝はパン、昼はおむすび2ケ、夜は弁当と同じものが毎日、食事として提供され、揚げ物ばかりは食べられないなど、被災者から苦情の声が出されていた。広島市は8.20土石流災害で避難所の運営を体験した行政として、生活避難所における被災者への食事の提供の在り方について検証はされなかったのか。今後は災害救助法の目的が果たせる避難所生活になるように支援の仕組みをつくっておくべきではないか。

(健康福祉局長)
 8.20豪雨災害における食事の提供については、避難生活が長期化する中で、弁当の種類に変化をつけたり、野菜ジュースの提供を行うなど、被災者の要望を踏まえ、また、栄養等にも配慮した対応を行いました。
 したがって、今回の対応においても、8.20豪雨災害の経験を踏まえた対応を行ったところであり、今後も、避難者の方々の目線に立った、必要な配慮していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 次は、床下浸水の支援についてです。
床下浸水の場合、罹災証明書は発行されるが、被災者生活再建支援法による見舞金もなく、義援金も対象外となっている。被災者からは、床下に入った土砂撤去のため、フローリングの床をはがすなど、大切なマイホームを壊す(半壊・リフォーム)に等しい対応を余儀なくされ、多額の経費を負担することになった。床下浸水の被災にも、見舞金や義援金をだしてほしいとの声を多数聞いている。それだけでなく、床下浸水により一階に備え付けた室外機や電気温水給湯器に土砂が入り壊れたなど家電被害が発生し、設備の買い替え費用に被災者が苦労されている実態もある。
 島根県川本町や江津市では、「国や県による支援の対象外となっている住宅について、住民の生活再建を後押しする必要があるとして、住宅そのものの修理や住宅設備の補修にかかった費用を最大20万円まで助成することをきめている。また、補修をしない場合でも床下浸水した被災者には一律3万円の独自助成を決めている。県内でも庄原市が独自に床下浸水に2万円の見舞金をだすことを決定されている。広島市も床下浸水への市独自の支援を検討すべきではないか。

(健康福祉局長)
 床下浸水そのものについては、災害を受けての日常生活を営むのに、一般的には、必ずしも支障をきたすまでの者ではないことから、支援の対象にしていないところであり、本市としては独自に支援を行うことは考えていません。

(中原ひろみ議員)
 最後に、民間事業所の被災による経済的な損失はどの程度になるかお聞きする。
 被災した中小業者はどのくらいあるのか。

(経済観光局長)
 本市では、市内商工会議所や商工会等の16の経済団体に電話調査を行い、このうち会員企業から被害報告のあった経済団体については、職員が直接訪問し、被害状況の確認等を行っています。
 こうした経済団体を通じて、現時点で、市内で300社以上の事業者が被災し、建物の床上・床下浸水、機械設備・商品の冠水等の被害を受けていることを確認しております。
 なお、被災企業の被害額については、これら経済団体の調査においても、不明と回答する企業が非常に多く、現時点では、正確な数字が把握できておりませんが、引き続き、関係団体等と連携して、被害額を含め詳細な被害状況の把握に努めてまいります。

(中原ひろみ議員)
 補正では、被災中小企業支援として広島県信用保証協会に対する保証料を免除する144万円の支援だけだが、この程度の支援で十分なのか。この金額は何件の中小企業の支援に相当するのか。

(経済観光局長)
 本市では、発災直後から被災された事業者の一日でも早い復旧・経営再建を目指して、中小企業支援センターでの経営相談や資金繰りに関する相談対応、災害復旧資金などの特別融資制度の運用等を行っているところです。
 こうした施策に加え、新たに、災害により資金繰りが厳しい中小企業者等をしっかりと支援するという観点から、本市の特別融資制度を利用する場合に、公的な保証機関である広島県信用保証協会へ支払う信用保証料を本市が全額負担することとしました。利用件数は、平成26年8月20日の豪雨災害時の融資利用件数の約2倍である30件の利用があると見込んでいます。
 さらに、これらに加え、中小企業支援センターには「災害被害に対する助成金や補助金はないか」といった要望が寄せられており、現在、国が中小企業者等の支援施策として創設した「グループ補助金」や小規模事業者に対する持続化補助金等の周知を図るため、国、県、商工会と連携し、中区、東区、安佐北区、安芸区で中小企業者等を対象に説明会を行っているところです。今後、これらの制度を活用した支援に力を注いでまいります。