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【発言内容】
(村上あつ子議員)
日本共産党の村上厚子です。党市議団を代表して一般質問を行います。
最初に、核兵器廃絶をめぐる問題です。
いよいよ、被爆地広島の悲願である核兵器禁止条約が、年内にも実現する可能性が高まりました。6月15日から7月7日までを会期に行われている核兵器禁止条約を制定するための第2期の国連会議で、5月に示されたエレン・ホワイト議長の草案が検討されます。草案では、核兵器の非人道性を強調し、ヒバクシャの苦難に留意すべきと前文に明記しています。その中で、核兵器を使うこと、持つこと、造ることなどすべてが違法だと宣告され、核兵器禁止の明確な規範を示しています。国連の決議第1号で核兵器廃絶が掲げられて70年あまり、世界で最も非人道的な兵器が国際法で禁止され「悪」の烙印がおされることになります。
条約により、すぐに廃絶をめざすものではありませんが、核保有国の政治的・道義的な責任が、きびしく問われていくことになります。市長は、この草案についてどのように評価しておられるのか、伺います。
(市民局長)
ホワイト議長により5月に発表された草案では、被爆者の苦しみや願いをきちんと受け止め、前文に、「核兵器の使用の被害者(ヒバクシャ)の苦しみに留意する」と言及していることを歓迎しています。
また、将来、核兵器に依存する国々が加盟できるようにするための工夫が凝らされており、平和首長会議の首長と合致していると評価しています。
(村上あつ子議員)
今後、核兵器廃絶への道筋をつけていくためにも禁止条約を力に、内外の世論を発展させていくことが必要です。その際、被爆者が命を懸けて呼びかけた「ヒバクシャ国際署名」が「2020年までに世界で数億人」の署名をめざしています。署名をさらに自治体ぐるみ、国民的な運動として発展させることが期待されています。平和市長会議に加盟している世界7355都市と国内の1671都市とが力を合わせて、禁止条約制定、発効、核兵器保有国を含むすべての国々の批准に向けて各国政府を動かす上で、この署名が果たす役割は大きいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(市長)
村上議員からのご質問にお答えします。「憲法9条を守り、核のない世界の実現に向けて」のうち、「ヒバクシャ国際署名」についてのご質問がございました。
各国政府を動かして速やかな核兵器廃絶を進めるためには、市民社会の後押しが重要となります。市民社会の核兵器廃絶に向けた意識を高揚させ、幅広い国際世論の形成を図るうえで、署名活動の果たす役割は大きいものであると考えています。
ヒバクシャ国際署名は、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求める署名活動であり、これまでも私や平和首長会議事務総長の賛同メッセージ等をアピールポスターやパンフレット、ウェブサイトへ掲載するなど、協力してきたところです。
最近では、今月、広島の被爆者7団体が協力して実施したヒバクシャ国際署名の街頭署名活動に参加し、ともに署名を呼びかけました。さらに、長崎市と連名で、国内外の平和首長会議加盟自治体に対し、ヒバクシャ国際署名への賛同を呼びかける文書を送付したところです。
先日、国連ニューヨーク本部での核兵器禁止条約の第2回制定交渉会議に出席した際には、被爆者の方々がヒバクシャ国際署名をホワイト議長及び中満国連軍縮担当上級代表に手渡す場に私も立ち会いました。ホワイト議長からは多くの署名書に対して目をうるませながら「感動的です」との言葉がありました。私自身もすでに署名し、この活動をアピールできたことは意義深いことであったというふうに受け止めております。
その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
(村上あつ子議員)
世界の115を超える国々や非政府組織の代表があつまって、核兵器禁止条約づくりの交渉がおこなわれていますが、そこに日本政府の姿はありません。空席の日本政府の席には、「あなたがここにいてくれたら」というメッセージが書かれた折鶴が置かれていました。日本政府は、核保有国が反対し、交渉に参加しないことを挙げ、核兵器禁止条約の交渉をボイコットしています。この会議への参加をもとめてきた被爆地の市長、議会、市民の願いを無視する、ただ一つの戦争被爆国の政府として恥ずかしい態度です。今後、日本政府にどのように働きかけていくのか伺います。
(市民局長)
日本政府に対しては、実効性のある核兵器の法的禁止を実現するために、核兵器禁止条約交渉会議に勇気をもって参加し、核保有国と非核保有国の橋渡し役として力強いリーダーシップを発揮するよう機会あるごとに要請してきたところです。
今後とも、日本政府には、「核兵器のない世界」の実現を待ちわびながら高齢化する被爆者の思いをしっかり伝え、核兵器廃絶に向けた歩みを一歩でも二歩でも進めるための取り組みを行ってもらえるよう働きかけていきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
この間の、北朝鮮をめぐる軍事的緊張の高まりは、あらためて核兵器を禁止する緊急性を示しているのではないでしょうか。実験を繰り返すミサイルには、核弾頭の搭載も可能とされています。万一、そうなれば、核戦争という最悪の事態を招く可能性もあります。
市の国民保護計画は、核攻撃を受ける場合も想定しています。市は、核攻撃から防御も避難もできない、生き延びられないと分かっているはずです。この計画策定にかかわった葉佐井博己広島大学名誉教授は、中国新聞の取材にこたえて「核兵器攻撃を回避する方法はただ一つ廃絶しかない」と明確に述べておられます。
広島市は、核ミサイル攻撃という軍事的な衝突から市民を守るためには何をすべきだとお考えでしょうか、改めて伺います。
(危機管理担当局長)
本市では、国民保護法に基づき、武力攻撃等に寄り、市民の生命、身体及び財産を脅かす事態が起こった場合に、本市がとるべき措置をあらかじめ定めておくこと等を目的に広島市国民保護計画を策定しています。
この計画では、ひとたび核兵器攻撃が行われれば、被害を回避することはできず、行政が最善の対処措置を講ずることができたとしても、被害をわずかに軽減する程度の効果しかなく、核兵器攻撃による被害を避けるためには唯一、核兵器の廃絶しかないという認識の下、策定しています。
しかしながら、万一、核兵器攻撃が行われた場合には、たとえ被害をわずかに軽減する程度の効果しか発揮しえないとしても、爆心地から離れた地域等においては、可能な範囲で、最善の対処措置を実施するものとこの計画には定められております。
(村上あつ子議員)
本来、北朝鮮の核問題を解決するためにも、核兵器の惨禍を体験した被爆国日本が、いかなる国の核兵器も禁止するという立場へ転換すべきです。核の傘にある日本政府が、その傘からでる勇気を示さないで、核保有国に核兵器の放棄を求めることはできません。
平和憲法をもち、戦争被爆国である日本には、紛争を話し合いで平和的に解決する先頭に立つ責務があります。
しかし、安倍政権はどうでしょうか。米艦船を守るためといって護衛艦を派遣し、6カ国協議の再開にも否定的です。それだけではありません。トランプ政権がほのめかす先制武力攻撃について、「力強いもので、歓迎する」と持ち上げる始末です。これでは、軍事的緊張をさらに高めるだけで解決につながりません。万が一、アメリカが先制武力攻撃にふみきれば、沖縄や首都圏など日本各地にある在日米軍基地が真っ先に標的になります。こうした事態は絶対に避けなければなりません。戦争で核兵器が使用された被爆地広島は、日本政府に対して、憲法9条を遵守し、国際社会が一致して問題の外交的平和的解決に全力を尽くすよう求めていくべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(市民局長)
憲法の前文にうたわれる、恒久の平和を念願するという根幹的な理念や、9条にうたわれるように、国際社会での紛争の解決や抑止にあたって、武力ではなく対話による平和的解決の道を探ることは、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う本市の立場に通ずる、何よりも大切な考え方だと認識しています。
日本政府には、これまで以上に、広島の思いをしっかり受け止め、国際社会が対話による信頼醸成に一層努め、相互不信にとらわれることのないよう、あらゆる外交努力を尽くしていただきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
次に、日本共産党市議団は5月にポーランドに行き、「負の世界遺産」として登録された国立博物館アウシュビッツ強制収容所と世界遺産登録第1号の「ヴィエリチカ岩塩坑」などを視察しました。
アウシュビッツ博物館ではアジア人で唯一の公認ガイドとして活動されている日本人ガイドの方の案内で、約3時間半、ポーランドの歴史やこの強制収容所で何が行われたのか各施設の説明を受けることができました。
残された建物だけでなく廃墟となったものも含めた敷地全体が博物館となっていて、建物だけでなく、遺品や写真なども修理をしながら保存し公開されています。運営費用はポーランドだけではなく、加害国のドイツはじめヨーロッパの国々が負担しています。広大な土地全体が「墓石のない墓」だとされ、ビルケナウ第二収容所の敷地の奥に追悼碑が設置されている以外は手を加えられていません。
振り返って広島市では負の世界遺産原爆ドームを保護し、価値を高めるために設けられているバッファゾーン内に、お酒や食事を楽しむ「かき船かなわ」や「カフェポンテ」の新設を認めてきました。冬場には原爆ドーム周辺はイルミネーション、バッファゾーン内はドリミネーションで飾り付けもされます。このような環境は、72年前の原爆による「地獄の体験」を想像させる展示とは相反するものだということを改めて指摘しないわけにはいきません。周辺には何もない田舎に位置するアウシュビッツと違い、原爆ドームを含む平和公園は、繁華街と隣り合わせです。そうであるからこそ、単なる観光や賑わいとは一線を画す役割をバッファゾーンが果たせるようにするための特別な意識性が必要です。
伺いますが、バッファゾーン内にお酒を楽しむ場があることは、「負の世界遺産」として、原爆ドームや資料館・平和公園が果たす責務と役割を損なってしまうことになると思いますが、市はどのようにお考えでしょうか。ドームと一体のバッファゾーンについてはどうあるべきだとお考えでしょうか、お答えください。
(市民局長)
本市が策定した「平和記念施設保存・整備方針」において、
・原爆ドームを頂点とした平和記念公園の中央を貫く軸線上の見通しを大切にするとともに、原爆死没者慰霊碑を中心に、慰霊・鎮魂のための「聖域」としての静けさや雰囲気を確保する。
・平和活動や平和文化を発信するための集いの場、来訪者のための憩いの場、賑わいの場を確保する。
・平和記念公園や世界遺産原爆ドームの周辺にふさわしい景観形成に努める。
等を定めており、これらに沿ったものであることが必要と考えています。
バッファゾーン内に存在する飲食点は、保存・整備方針で示す基本方針に沿ったものであることから、そのことをもって原爆ドームや平和記念資料館・平和記念公園がその責務や役割を果たせなくなるとは考えていません。
次に、バッファゾーンは、「文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷・破壊等の脅威から保護し、保存する」という世界遺産条約の目的を達成するため、遺産の周囲に設ける緩衝地帯として世界遺産条約の指針にのっとって、設定したものです。
このバッファゾーンは、文化財保護法、都市公園法及び広島市公園条例、河川法、景観法及び広島市景観条例などの国内法令等に基づき適正に保護していくべきものと考えています。
【再質問】
(村上あつ子議員)
バッファゾーンについて、これ賑わいをどういう風にとらえるかということなんですね。アウシュビッツに行っても、岩塩坑に行ってもたくさん人はいました。本当に多くの人が訪れていました。ある意味これは賑わっているということだと思います。
広島市が言う賑わいはどういうことを言うのだろうか、観光でしかとらえていないという風に答弁を聞いて思いました。反論があれば言ってください。
(村上あつ子議員)
広島市の原爆ドームや資料館を訪れた人々に,ヒロシマは何を伝えるのかと考えたとき、原爆の悲惨さや非人道性などの被爆体験を語るだけでなく、なぜ、核兵器が投下されるに至ったのか、日本がアジア諸国を侵略した戦争の加害者としての歴史も含めて、きちんと語ることが必要ですが、市はこの点についてどのように考えておられるのか、お答えください。
(市民局長)
原爆ドームや平和記念資料館を訪れる人々に、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願うヒロシマの心を共有していただくうえで、広島に原子爆弾が投下されるに至った歴史的背景を含めた史実を知っていただくことも重要な意味を持っていると考えています。
このため、平和記念資料館では、「核兵器の危険性」ゾーンにおいて、核兵器開発の経緯やその脅威を解説するとともに、「広島の歩み」ゾーンにおいて、戦時下の広島に触れる中で日本による朝鮮の植民地化と戦時動員、中国大陸への出兵・転戦などについても解説しています。
(村上あつ子議員)
アウシュビッツ博物館では、とりわけ、14歳~25歳までの若者が訪れることを望んでいます。実際にヨーロッパでは、アウシュビッツを過去に起こった出来事にとどめず、人類の犯した過ちの恐ろしさを胸に刻み、戦争という過ちを繰り返さないために、今、何をすべきかが若者の教育テーマになっており、その為、アウシュビッツで学ぶことが教育カリキュラムの中で位置づけられています。私たちが訪問した日も若者が多いのにびっくりしましたが、ガイドの話を伺い納得しました。伺いますが、本市の学校では核兵器に関して、どんなことを学習しているのでしょうか。
(教育長)
核兵器の学習については、教育委員会が作成した「広島平和ノート」において、発達段階に応じて、小学校低学年では、原子爆弾によって大切なものが一瞬で失われるという恐ろしさ、小学校高学年では、原子爆弾による被害や広島の復興の家庭、中学校では、核兵器をめぐる世界の現状と核兵器廃絶に向けた世界の動向、そして、高等学校では、これまで学習してきたことをもとに核兵器廃絶や世界平和の実現を展望する内容について、計画的、系統的に学習しています。
(村上あつ子議員)
また、全ての小中学校の児童・生徒が原爆ドームと資料館で学べる条件を確保すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(教育長)
原爆ドームや平和記念資料館等の施設見学については、各学校に対して、児童生徒の在学中に一度は平和記念資料館を見学するよう指導しており、各学校においては、その見学に合わせて、平和記念公園での碑めぐりや原爆ドームの見学、被爆体験証言者の話を聞くなどの活動を行っています。
平成27年度に実施した「平和に関する意識調査」によると、小・中・高等学校に在学中に平和学習等で見学したことのある場所として、95.8%の児童生徒が「原爆ドーム」を、92.2%の児童生徒が「平和記念資料館」をあげており、このことから多くの児童生徒が、「原爆ドーム」や「平和記念資料館」で被爆の実相を学んでいるととらえています。
教育委員会としては、児童生徒が、このような場を見学したり、調査したりして実感を伴った体験的な学習をすることは、ヒロシマの被爆体験を原点として進めている本市の平和教育にとっても意義のあることだと認識しており、引き続き、各学校の実態に即した平和教育の取り組みが充実するよう、指導・助言を行っていきたいと考えています。
【再質問】
(村上あつこ議員)
一項目ずつの答弁に一つずつ言いたいのですけれども、時間がありませんので、一つ資料館の学習なんですけれども、教育長が%を言われました。私が言いたいのは学校で、学級(クラス)で行くということで、教育長が答弁された数字は子供が一人ひとり行ったことがあるという数字だと思います。したがって学校で行くという計画を作る際に、じゃあ学校ごとに何が支障なのか、そこにはやはり財源処置も必要だという風に思いますので、学校ごとにクラスで行きたいというそういう学校に対しては是非とも財源措置をしていただくように財政局長もしっかり聞いていてほしいと思います。
(村上あつ子議員)
今年4月から教職員の人事権限が全面的に広島市に移行されたことに伴い、教職員にも8月6日を休日とする条例が適用されることとなりました。そのため、「8月6日の登校日が消える」という報道がありました。小中学校時代毎年登校していたという35歳の男性は、「みんなで式典の中継を見たり、いろんなことをしてきた。登校日は自然なことだった。今でも8月6日の8時15分はどこにいても、何をしていても手を止めて平和公園の方向を向いている。」と話していました。
平和教育は8月6日でないとできないことではありませんが、8月6日を「特別な日」として位置づけ、全ての児童・生徒が平和学習ができるようにすべきではないでしょうか。当局のお考えをお聞きします。
(教育長)
教員については、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」等により、修学旅行や非常災害等の業務で臨時または緊急にやむを得ない必要があるとき以外は、休日に勤務を命ずることができないとされています。
そのため、県費負担教職員制度の権限移譲の過程で、8月6日における平和学習の実施について国とも協議した閣下、困難であるとの結論に至り、いったんは現在の取り扱いで整理を行ったところですが、改めて、関係法令の解釈によって、教員が平和学習等の実施に関する業務に従事することができる余地がないか、再度、国等と協議を行いたいと考えています。
(村上あつ子議員)
アウシュビッツ強制収容所には年間約500万人が訪れています。歴史や施設内容を案内するパンフレットがポーランド語だけてなく多数の言語で書かれ、販売されていました。日本語のパンフレットもあり嬉しく感じました。価格は日本円で約150円。日本語のパンフレットを買い求めました。
ところで、アウシュビッツには日本語のパンフレットがあるのに、平和記念資料館は日本語と英語が併記されたものしかありません。これでは世界中の国々から訪れる方に対して不親切であり、市長の「迎える平和」と相いれないというべきです。
パンフレットの言語を増やすお考えはないでしょうか、お答え下さい。
(市民局長)
現在、平和記念資料館は再整備事業により本館が閉館し、東館のみで展示を行っている状況であり、パンフレットについても暫定的な措置として日本語と英語を併記したもので対応しているところです。
今後、本館の再整備が終わり、両館がリニューアルオープンした際には、従来通りパンフレットを10言語で作成し、配布することとしています。
(村上あつ子議員)
世界遺産第一号として登録されたヴィエリチカ岩塩坑では、35か国の言語で説明できるようにと500人もの公認ガイドが登録されていると聞きました。資料館では現在、ガイドが対応できる言語はいくつでしょうか。現在おられるボランティアガイドだけでなく、原爆ドームを含めた資料館や平和公園内の慰霊碑も含めた統一した説明ができる広島市の公認ガイドを配置すべきではないでしょうか。原爆ドームと平和公園一帯を「負の世界遺産」にふさわしく、世界的レベルにするためには、言語数もガイド数も充実させることが必要です。答弁を求めます。
(市民局長)
本市では、平成11年度から、平和記念資料館の展示解説及び平和記念公園内の慰霊碑等の移動解説を行うヒロシマピースボランティアを配置しており、その登録者数は現在225名で、そのうち外国語での解説が可能なボランティアは64名、対応言語は英語、中国語、スペイン語、ドイツ語となっています。
このピースボランティアについては、最近の外交人入館者数の増加や、買う兵器を取り巻く世界情勢の変化などを踏まえ、昨年度、追加募集をするとともに、コミュニケーション能力や英語力の向上のための継続的な研修を開始しており、こうした取り組みにより、質量ともに充実を図っています。
ピースボランティアには、被爆者や被爆2世の方も含まれ、その熱心な解説を受けた利用者からも高い評価をいただいており、制度として定着しています。本市としては、今後とも、このピースボランティアの更なる資質の向上を図るとともに、その活動を最大限に活用することで、多くの人々にしっかりと被爆の実相を伝えていきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
次に、広島市は高齢者公共交通機関利用助成制度が、高齢者の「社会参加」の役に立っていないとして、制度の廃止に向けて補助額を今年度から半額の3000円に引き下げてしまいました。
この制度は、高齢者の外出を支援する制度として、高齢者のみなさんの強い要望に応えて導入されました。
最初は回数券で始まり、その後バスカードが主になりましたが、高齢者が使うものと他の市民が使うものとは区別ができました。ところが、現行のパスピーに変わって以降、一般の市民が使うものと同じカードになったので区別できなくなり、そこから不正使用が心配されるようになりました。しかし、このことについて、利用してきた高齢者には何の責任もありません。むしろ一般と区別できないものを導入した広島市の行政側に責任があります。
この制度を利用して、多くの高齢者が外出していることに違いはなく、「社会参加」の内容についてあれこれ問われることはありませんでした。外出すれば当然、他の人と何らかのかかわりを持つこととなり、それは社会にかかわりを持つということです。広い意味での「社会参加」に違いはなく、制度の趣旨に沿わないという言い分は当たりません。つまり、これまでの制度に何ら不都合なことはないのです。
何の問題もなく20年にわたって利用してこられた高齢者にしてみれば、市の言い分は単なる言いがかりです。市のお考えを改めて伺います。
(健康福祉局長)
高齢者公共交通機関利用助成制度は、高齢者の社会参加を促進するという目的に沿って一定の役割をはたしてきたと考えていますが、対象となる高齢者に公共交通機関の利用券等を一律に支給するという方法を採用しているために、制度本来の目的に沿った利用がなされているかどうか検証できないという問題があります。
この問題点を解消し、制度本来の目的を生かしながら、より的確かつ効果的に高齢者による社会参加を促進できるよう、活動実績に基づいた支援が行える制度である高齢者いきいき活動ポイント事業への移行を図ることにしたものです。
(村上あつ子議員)
この制度ができて23年が経過しましたが、その当時に比べても高齢化はいっそう進行し、いわゆる交通弱者と言われる人々が着実に増えています。団地の高齢化で日常の買い物や通院は深刻化する一方です。広島市内のあらゆるところに網の目のように公共交通機関を整備していくことが、差し迫った課題になっているのではないでしょうか。
他方、こうした取り組みが十分ではない中で、高齢ドライバーの問題が最近特に言われています。元気な方であっても年齢を重ねることによる心身の衰えは当然に進み、一瞬の判断力の衰え、肉体の反応が遅くなるなどにより、車を運転するのは危険だと思える高齢者ドライバーが増えています。しかし、車なしでは生活できない実態が広範にあります。
安全な社会を維持し、高齢になってもこれまで通りの地域で生活し続けるためには、行政と交通事業者が一緒になって公共交通機関を市民生活の実情に応じて適切に整備することが不可欠ですし、その公共交通機関の利用を促進する仕組みも必要です。
その点で、公共交通機関利用助成制度は大変有効だと考えられます。年金という限られた収入で生活せざるを得ない高齢者が積極的に外出し、外部と交流する機会を増やすためには、この制度は縮小・廃止という方向ではなく、むしろ拡充することこそが求められています。広島市はどのようにお考えでしょうか。
この制度は、条例による制度ではなく予算措置で変更可能です。当面、制度の要綱を元に戻し、9月議会で昨年並みに予算を増額補正した上で、今後拡充について検討するべきです。どうされるか、答弁を求めます。
(健康福祉局長)
高齢者公共交通機関利用助成制度は、あくまでも高齢者の社会参加の促進を目的としているものであり、現行制度の問題点を解消するため、高齢者いきいき活動ポイント事業への移行を図ることにしたものです。
新たに導入するポイント事業は、高齢者による地域のボランティア活動や介護予防・健康増進に資する活動への参加にあたって、より直接的なインセンティブになるよう、支給する奨励金の年額上限を既存の制度の6千円から1万円に引き上げており、積極的に参加していただければ今よりも一層充実した支援を受けていただけるようになると考えています。
また、既存の制度とし新しい制度を併存させるという移行期間を設け、当面、交通費助成を存続させることで、現在支援を受けている方々への配慮を行うとともに、より多くの高齢者が活動に参加いただけるよう、活動の受け皿を増やすなどの環境整備を進めながら、新しい制度の着実な定着を図ることとしており、今後、公共交通機関の利用助成額を6千円に戻すための補正予算を計上することは考えていません。
(村上あつ子議員)
次に、来年度から国民健康保険制度が県の制度になります。県は5月19日、県民の間の「公平性」を確保するという名目で、統一保険料率で保険料を決めることとした場合、市町ごとの所得水準を反映した、市町ごとの1人当たりの保険料の試算を発表しました。
今回示されたものは、県が被保険者から集めてもらいたいとする市町ごとの保険料額です。広島市の場合、一人当たり保険料額が現行よりも1割近く引き上げられるものになっています。
現状は、市町によって、保険料の計算方式が違い、一般会計からの法定外繰り入れ額も違います。県は、「計算方式は県が示したやり方に統一してもらいたい」、「赤字補てんを目的とする(つまり保険料額を低く抑えるための)法定外繰り入れはせずに保険料を集めるべき」だとしていますが、保険料の計算方式は、各市町に「強制はできない」とも言っています。厚生労働省も国会では「自治体でご判断いただく」と答弁しています。
ということは、市町としては、県が示した納付金総額を100%納めさえすればいいということです。保険料率をどのように設定するかは、厚生労働省が答弁したように市町が判断すればいいわけです。広島市のご見解を伺います。
(健康福祉局長)
国保の都道府県単位化においては、保険料率の決定は、都道府県の示す標準保険料を参考に、各市町村が行うこととされており、その際、仕組みとしては、各市町村の判断で、法定外繰入を行えるものとなっています。
他方、決算補填等を目的とする法定外繰り入れについては、国の「都道府県国民健康保険運営方針策定要領」において、計画的・段階的な解消を図ることが求められており、「広島県国民健康保険運営方針素案」では、各市町は6年以内に解消する計画を策定することとされています。
このような中で、本市としては、県が示す標準保険料率を参考に、保険料率を決定することになります。また、その際、6年間の赤字解消計画を作成したうえで、法定外繰り入れの解消を図っていきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
また、自分たちのところがどれくらいの保険料になるのかが被保険者にとっては今の最大の関心ごとです。世帯モデルでの保険料がどうなるかについて、いつごろ示していただけるのか、見通しを教えてください。
(健康福祉局長)
この度、広島県において、国が都道府県に配布したシステムを用いて、40歳の夫婦二人世帯で給与収入360万円のモデル世帯を設定したうえで、保険料額の試算が行われたところです。
本市としては、国から都道府県に試算に必要なデータが改めて提供され、全国的に次の試算が行われる11月ごろ、県に対して、他のモデル世帯の試算も行うよう、要請したいと考えています。
(村上あつ子議員)
現状で、本市の収納率は県内で最も低く、その要因は保険料が高すぎることにあるということは当局も認識されています。加入世帯の8割近くが年収200万円以下です。そういう中で、さらに保険料を1割近くも引き上げるというのは、被保険者世帯の生活をいっそう圧迫し、収納率の更なる低下を招くことにしかなりません。
本市の国保料は、被保険者の所得から考えれば現状でも限界を超えています。市として、この保険料率を機械的に適用して保険料を計算して賦課するということではなく、地方自治体としての独自性を発揮し、保険料を一定水準に抑えるための法定外繰り入れを前提にするべきです。さらに、広島市内の被保険者世帯の生活の実態からすれば、むしろ法定外繰り入れをいっそう増やして1人当たり保険料額を抑えるべきです。以上の2点についてどうされるか答弁を求めます。
(健康福祉局長)
国保については、持続可能な制度として安定的に運営していくため、必要な支出を保険料や法定の公費等でまかない、収支が均衡していることが基本とされています。
このため、決算補填等を目的とする法定外繰り入れは、計画的・段階的な甲斐性を図ることが求められており、激変緩和措置のほか、保険料額を一定水準に抑えることを目的として、法定外繰り入れを増やすべきではないと考えています。
(村上あつ子議員)
また、保険料の法定軽減制度とは別に、前年の所得より3割以上所得が減った場合だけ適用される市の保険料軽減制度がありますが、これでは極めて不十分です。個々の被保険者世帯の生活を破壊することがないような柔軟な保険料軽減制度、少なくとも保険料を支払った後の生活が生活保護基準を下回ることがないようにする制度を、市民の暮らしを守る立場で創設するべきです。この点も、改めて答弁を求めます。
(健康福祉局長)
国保の保険料については、国において、所得が一定基準以下の世帯に対する法定軽減制度、倒産・解雇等により離職された方に対する軽減制度が設けられているほか、失業等により所得が減少し、保険料の納付が困難になった場合の本市独自の減免制度を設けています。
このうち保険料の法定軽減については、平成26年に対象が拡大されて以降、平成29年度まで、毎年度拡充されているところです。
生活に困窮している方の生活の保障については、ナショナルミニマムの観点から、国において、制度設計が検討されるべきものと考えていますが、国保の保険料の支払いにより、最低生活費が収入を上回り、その他の保護の要件も満たす世帯については、生活保護制度の適用対象となっています。
【再質問】
(村上あつ子議員)
それから、国保の問題ですけれども11月ごろに県に改めて試算をするように求めるということなんですけれども。具体的に知りたいのは自分たちの保険料がどれくらいになるか。これは今の答弁での11月ごろというのはそれではありませんよね。市民が自分たちの保険料がわかるというがいつ頃になるのか改めて答弁をしてください。
それから、法定外繰り入れはもうしないと。6年間の経過措置の間はするけれども。しないということで今から取り組んでいくんだという風にはっきりといわれましたけれども、これ以上保険料が上がって払えない人が増えてくる。収納率は上がらない。どうされるんでしょうか。
法定外繰り入れはせずに今考えてらっしゃる6年間は医療費の比分程度の値上げだと言われましたけど、ずっとその幅で将来行くということなんでしょうか。答弁を求めます。
(健康福祉局長)
まず、保険料のモデル世帯の金額のしるす時期なんですけれども、県に対してはもう要請をすぐにでもしたいと思っております。で、実際に先ほど答弁でも申し上げましたように全国的な試算が行われるのが11月ごろということで、そこで段階では県もモデル試算を行うことができますので、それを受けまして実際に、その試算結果を受けまして実際のモデル世帯の保険料率、保険料ですね年間の保険料がどれくらいになるかというのをその時期にできれば、その時期に近い時期に示したいという風に考えております。
それと法定外繰り入れをしない。その結果保険料の上昇をどうするんだというお話でございますけれども、基本的に先ほど申し上げましたように、国保の制度というものは保険制度でございますので、保険料と公費でもって賄われるというそれで均衡しているという。それが保険料、国保制度の大前提と考えております。それが、持続可能な保険制度を維持していくための条件だという風に考えております。
ただ、保険料の上昇につきましては最終的に保険料そのものが医療費水準と収納率によって最終的に決まってまいるということがございますので、これまでもそうでしたが、これまで以上に、県単位化後も含めてましてですが、県あるいは関係市町と一緒になりまして医療費水準の抑制。それと収納率向上対策を図っていくということによりまして、保険料そのものの上昇を抑制していきたいという風に考えておりますし、それは今回の6年間の激変緩和措置を行います、赤字削減計画の中で位置づけをしていきたいという風に考えております。
(村上あつこ議員)
最初にちょっと確認するのを忘れておりました。
国保制度は社会保証制度だというその大前提で立って議論をしているという前提で私は発言をしております。その前提で答弁をされているのという風に思うわけですけれども。
しかしいくら高くなっても保険料は払え。滞納したら財産を差し押さえる。そして一方で医療費は使うな。ということを市民に、被保険者に呼び掛けているという風なことだという風に今の局長の答弁を聞いて思いました。
これからこの問題については委員会でもずっとやっていきたいと思います。
(村上あつ子議員)
次に教育問題についておききします。
これまで教科外の活動であった道徳が、2018年度から小学校で、翌2019年度から中学校で正式の教科となります。現在市内の小学校において検定教科書の採択に向けて展示が始まっていますが、数値ではなく、文書で児童・生徒の成長の様子を「評価」する制度がはじめて導入されることになります。教員や教育研究者から、「道徳を教科化して、国が教え、評価することになれば、国が特定の価値観を子どもに押し付けることになる」「子どもの思想・良心の自由を侵害するのではないか」など問題を指摘する声が上がっています。
戦前の道徳教育は、教育勅語で定めた軍国主義国家の道徳を修身として教え込み、その結果、多くの若者が戦争に狩り出され、アジアで2000万人もの犠牲者を出す戦争に突き進みました。戦後はその反省から、憲法に思想良心の自由を定め、道徳の教育は特定の教科ではなく、教育全体を通じて行う教科外の活動としてきました。国民が主権者となった民主主義社会にふさわしい道徳は、国家が押し付けるものではなく、国民みんなで考え一人一人が主体的に選び取っていくものでなければなりません。
ところが安倍内閣は、道徳を教科に位置づけ、検定教科書を導入し、評価を行って特定の価値観を国が押し付ける体制を確立しようとしています。
文科省は、道徳の教科化について、各学校で道徳の全体計画を策定し、校長によるリーダーシップと道徳推進教員を中心に推進するとしていますが、子どもに対する道徳観の押しつけは基本的人権を尊重する憲法と矛盾し、日本も批准する子どもの権利条約との整合性が図れないと思いますが、お考えをお聞きします。
(教育長)
道徳教育の要として行う道徳家は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間としての生き方を考え、主体的な判断のもとに行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標として行うよう、国が、学習指導要領に位置付けているものです。
したがって、日本国憲法やわが国が批准している子どもの権利条約に合致しているものと判断しています。
(村上あつ子議員)
また、評価については、現場では、記述式で本当にできるのか不安の声がありますが、どう対応されるのかお答えください。
(教育長)
道徳科の評価については、道徳科の性質上、他の児童生徒との比較による評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ますことを目的とした「個人内評価」として記述式で行うものです。
本市では、道徳科の円滑な実施に向けて、校長や各校の道徳教育推進教師等を対象に、学習指導要領改訂の趣旨や道徳の指導方法、記述式となる評価への対応等についての研修会を開催し、その受講者が、校内でその研修内容を他の教師に周知しています。
(村上あつ子議員)
そうした中でさらに、安倍内閣は今年3月、教育勅語の教材としての活用を容認する閣議決定をしました。
教育勅語は、明治憲法下、天皇が臣民にこの通りにせよと与えた文書であり、その目的は忠君愛国です。国民主権、基本的人権の尊重を基本理念とする日本国憲法とは、まったく相容れないものだということをまず指摘したいと思います。
戦前、この教育勅語は子どもたちを侵略戦争に駆り立てる精神的支柱としての役割を果たし、多くの若者が戦争に駆り出され命を落としたという歴史の反省の上に戦後教育は出発し、今日に続いています。
今回の「教育勅語」の教材使用を容認する閣議決定は、こうした歴史を無視し、再び教育現場に混乱を持ち込むものであり、これまで広島市が築いてきた平和教育を根本から否定することにつながるものです。今後、教育勅語の教材としての活用については、その判断が教育委員会に委ねられることになります。
伺いますが、教育勅語は、戦後、1948年6月、衆参両院で、それぞれ全会一致で教育勅語の排除と失効が決議されました。この国会決議は、「この教育勅語は、明らかに基本的人権を損ない、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる」としたもので、今日でも政府・文部科学省が引き継いでいることが国会で確認されています。この決議について市教委のご認識を伺います。
(教育長)
内閣総理大臣が、平成29年3月7日衆議院議長にあてた答弁書において、教育勅語等排除に関する決議(昭和23年)がなされたと承知しており、また、教育勅語は、日本国憲法および教育基本法の制定をもって、法制上の効力を喪失したと考えている旨、回答しており、そのように認識しています。
(村上あつ子議員)
また、政府は、「憲法や教育基本法に反しないような形で教育勅語を教材として用いることはまでは否定されない」と説明しています、「憲法や教育基本法に反しないような形」とはどのような場合でしょうか。ご認識を伺います。
教育勅語には、「父母ニ孝ニ」「兄弟ニ友ニ」「夫婦相和シ」「朋友相信シ」など、良いことが書いてあると評価される向きがありますが、いずれも天皇国家のために身を捧げよと求める道徳観の流れの中にあります。教育勅語の枠の中で個々の徳目を扱う限り日本国憲法とは相いれません。わざわざ教育勅語の中で扱わずに、例えば、「親孝行を」「夫婦は仲良く」などと言えばいいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。お答えください。
(教育長)
平成30年度から小学校、平成31年度から中学校で全面実施される学習指導要領では、道徳化で指導すべき内容を「主として自分自身に関すること」「主として人との関わりに関すること」「主として集団や社会との関わりに関すること」「主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」の4つの視点に分け、その視点から内容項目を「友情、信頼」「家族愛」など、22項目に分類しています。各学校では、それに基づき、児童生徒の発達段階に応じて道徳科の指導を行うこととなっています。
したがって、個々の徳目を、「教育勅語」の枠の中で取り扱うような状況は生じておりません。
(村上あつ子議員)
教育問題の2つめは学校給食についてです。
この4月から、五日市地区の二つの給食センターが廃止されて、小・中18校の給食が、民設民営の広島アグリフードサービス(株)によって提供されています。
2階建ての施設は最新鋭の設備を整備し、建設費相当を含め83億円で15年間の契約を結んだものです。
新年度、給食の提供がはじまり、この間、さまざまなトラブルが起きていると報道されましたが、私たちのところにも冷凍パンについて苦情が寄せられました。そこで、先日施設の見学と試食をさせてもらいました。
担当課によると、冷凍パンは熊本の業者から仕入れているということです。それは、新しい施設でご飯を炊くことになり、これまでパンを週1回、ご飯を週4回納品していたパン業者が週1回の納品に減り、契約が継続されなかったためです。
この事業者は、「地産地消」「雇用の創出」をうたい文句に参入しました。しかし、実際は、パン業者の経営を圧迫し、営業の縮小に追い込んでしまったということではないでしょうか。
熊本からですから当然運搬費がかかり、これまでより20円割高になったということでした。決まった食材費の中で賄うわけですから、他の食材にしわ寄せせざるを得ません。
冷凍パンになってこれまでよりコストが高くなったのは市教委の責任です。子どもたちに謝罪すべきです。どうされますか。
(教育長)
「冷凍パン」については、従前の給食用パンに比べて、加工・配送等のコストがかかるため割高になってはいますが、それが広島市の給食全体の食材費に占める割合は0.2%程度です。
本市学校給食における食材費は、献立により日々のコストが変わって来るため、給食を提供している全市児童生徒約8万3千人分の学校給食費の総額を踏まえ、年単位で管理していることから、食材調達に大きな影響は生じていないものです。
(村上あつ子議員)
専門員さんによると、自然解凍から冷蔵解凍に代えて苦情がなくなったと説明されました。確かに試食して、味が大きく落ちるというものではありませんでした。
しかし、地場のパンのほうが地産地消で、安価です。市教委は冷凍パンをどう考えているのでしょうか。お答えください。
(教育長)
「冷凍パン」についての認識ですが、従来のパンと同様に、本市の学校給食に必要な原材料の配合基準や重量等の規格などを満たしたもので、味や食感も従来のものと遜色なく、品質面、安全面において問題はないと考えています。
(村上あつ子議員)
よりよい給食を提供する新しい給食事業だと宣伝してきたのにこのまま、パンは、冷凍製品でいいのでしょうか。給食は少なくともその日に作ったものを提供すべきです。冷凍パンでなく、これまで通り、地元事業者の焼いたパンを提供していただきたいと思いますが、どうされるかお答えください。
(教育長)
なお、今回の「冷凍パン」への切り替えは、地元のパン業者からの調達が困難となったことによるものでありますので、改めて冷凍パンでないパンの地元調達を可能にする方途について、関係団体等と協議を始めているところです。
【再質問】
(村上あつ子議員)
それから、学校給食についてなんですけれども、食材費は影響していない。他の食材には影響していないということだったんですけれども、しかし割高になっているわけですから確実に他の所が同じπの中でやろうと思えばどこかで工夫をしなくてはいけない。これまで使っていた食材をこっちにする。そういうことは絶対におきているはずです。影響がないというのは納得いきません。それからなぜパン業者が納品出来なくなったか。そこのところが市教委はどういう風にとらえていらっしゃるのでしょうか。今の民間にセンターでやってもらうというようにしても、これまで通りご飯とパンはパン業者に入れていただくことだってできたはずですよね。
それをしなくてこういう問題が起こったんです。そこはしっかりと反省していただきたいという風に思います。
(教育長)
それでは学校給食の関係でお答えいたします。先ずなぜ冷凍パンになったかというようなことでお尋ねがありました。
私の理解、元々は地元のパン業者から調達する方向で関係者と協議調整を行ってきたという中で、結果としてまとまらなかったというものと理解しております。この件に関しては先ほど申し上げました通り、改めて地元調達ということを可能とすることについて協議を始めているというところでございます。
それともう一つ20円高いので、端的に言うとしわ寄せがあるはずだというお尋ねです。ご承知と思いますけれども、給食費は市内どこの学校でも小学校であれば250円。これは冷凍パンを食べているお子さんも、そうでないお子さんも250円です。中学生であれば300円でございます。したがって9,000食の20円週1回分の額が広島市全体のその250円・300円という8万何千人かの給食費の総額に占めるウェイトとしますと先ほど申し上げた0.25%となります。
今そういう数字になっておりますので、そういう数字の範疇であればこれまでと変わらない質・量の給食が現時点では提供がされているということでございます。
(村上あつこ議員)
教育長それね、9,000人だから、全体の給食を食べている子供たちの人数にしたら比率が少ないからそうなんでしょ。全員がみんな20円高かったらどうなりますか。ちょっといけませんね。