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【発言項目】
1、日本国憲法公布70年の年に
3、原爆ドームバッファゾーンについて
(村上あつ子議員)
今年は日本国憲法公布70年の節目の年です。憲法は政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないことを決意し、主権は国民にあることを宣言しています。ところが、安倍自公政権は、昨年の通常国会で、歴代政府の憲法解釈を180度転換し、6割近い国民の反対の声を無視し、若者が戦場で殺し殺される最悪の事態につながる安保法制、まさに「戦争法」を強行成立させる暴挙を行いました。立憲主義、民主主義、平和主義を踏みにじる暴挙に、大学生を中心にしたシールズやママの会など、若者が主権者として自発的に声を上げ行動するという、戦後の日本の歴史にない画期的な市民運動として広がっています。
今年、1月4日の国会開会日には約4000人が国会議事堂前に集まり、「主権者の一人として、暴挙を決して忘れない」「アベ政治を許さない」とコールを響かせました。加えて、昨年12月には「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が結成され、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が取り組む「戦争法廃止の2000万人署名」にも反響が広がっています。
お聞きします。憲法99条は、「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負う」と明記しています。どんな政権であっても、憲法の枠内で政治を行うことが立憲主義の原則です。その原則さえも踏み越える安倍政権は、「法の支配」をないがしろにする独裁政治であると言わざるを得ません。市長の見解をお尋ねします。
さらに安倍首相は「非常事態条項の新設」を憲法改正のテーマにすると公言しています。これは、憲法9条改定の突破口というだけでなく「緊急事態条項」そのものが大変危険です。内閣総理大臣が緊急事態の宣言をすると、国会の議決がなくても法律と同じ効力のある政令を制定することができ、自治体への指示だけでなく国民の基本的人権の制限もできるようになります。まさに、「戒厳令」「独裁政治」への道です。このような明文改憲を許さず、立憲主義を回復させ、一人ひとりが大切にされ、個人の尊厳が守られる政治と社会を取り戻すことが必要だと考えますが、市長の認識をお聞きします。
(市民局長)
安全保障関連法は、国会の場で議論が重ねられ、可決・成立したものであり、また、法律そのものは、国の専管事項に属するものであることから、このことに対し、地方自治体として意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
次に、憲法改正については、現行憲法の平和主義を堅持して現在の我が国があることを重く受け止めたうえで、将来を見据えた国の在り方を国民に示し、国民の多くが納得できる慎重な議論が必要であると考えています。
本市としては、まずは、今後の憲法の在り方に関する議論の動向を見守っていきたいと考えています。そして、必要に応じ、現行憲法の平和主義の大切さを訴えていきたいと思います。
(村上あつ子議員)
安倍内閣は、安保関連法案の強行だけでなく、原発の再稼働中止を求める国民の声を無視して、川内原発や高浜原発を再稼働したうえ、昨年12月12日には、核保有国インドに日本から原発の輸出を可能にする原子力協定の締結に原則合意しました。
インドは1998年に核実験を強行し、以来、核弾頭の保有数を増やしています。SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によれば、インドは2015年1月現在で90~110発の核兵器を持つ核保有国です。NPT再検討会議に未加盟のインドが、外国からの核物質・技術を核兵器開発に転用・利用する危険が懸念されるなか、日本の原発輸出はインドの核開発に手を貸すものです。重大な原発事故を起こした日本が、事故の収束も原因究明も進まないもとで、国内の原発推進勢力の要請に応えて核保有国に原発を輸出することは唯一の被爆国として常軌を逸する行動です。ヒロシマ・ナガサキの被爆を経験し、戦後70年一貫して「核兵器廃絶」を求めてきた被爆地の願いだけでなく、核廃絶へ向けた国際社会の人々の努力をも踏みにじるものです。
お聞きします。広島市長と長崎市長の連名で国に繰り返し要請されてきた「協定交渉の中止要請」を安倍内閣は完全に無視しました。被爆地の願いに背をむけた国の対応を市長はどのように受け止めておられますか。抗議されたのですか。広島市選出の岸田外務大臣の責任も重大ですが、大臣にはどのように対応されてきたのですか。今後、国会において「原子力協定の締結」の承認を拒否させるために、被爆地の自治体としてどのように働きかけるお考えですか。お答え下さい。
(市民局長)
我が国とNPT未加盟のインドとの原子力協定の締結については、核兵器を廃絶するうえでの障害となりかねず、NPTの空洞化を招くことにもなりかねないという懸念があることから、これまでも繰り返し日本政府に対して交渉の中止を要請してきました。
昨年12月9日には、日印首脳会談に先立ち、市長と長崎市長の連名で、安倍首相及び岸田外務大臣に対して、協定の交渉中止について要請文を発出しました。
また、岸田外務大臣には、協定が原則合意に達した後の12月24日に、市長が直接面会する機会があり、改めて被爆地の懸念をお伝えし、日本政府として、インドに対しNPTへの加盟を強く求め続けるとともに、加盟が実現するまで、この協定を締結しないようお願いしました。
しかしながら、被爆地の要請が届かず、現在に至っているところであり、今後は、必要となる国会の承認に向けて、国会での議論に被爆地の要請が反映されるよう、引き続き長崎市と連携しながら取り組んでいきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
これまでにも中学生や高校生への自衛隊入隊の勧誘が憂慮されてきたところですが、近年、全国各地で高校3年の男子生徒あてに「自衛官募集」のハガキやダイレクトメールが届く状況が広がっています。ハガキを受け取ったある息子さんは『戦争に行かされてたまるか。安倍首相が真っ先に行け』とハガキを破り捨てたそうです。青年に動揺が広がるだけでなく、家族も「親が知らないうちに、自衛隊に名簿が渡り、子どもに働きかけるというあり方は、憲法改定と徴兵制の先取りではないか。恐ろしいことだ」と、抗議の声が出されています。
集団的自衛権行使の閣議決定や、昨年9月に強行された戦争する国づくりである安保関連法の成立以来、自衛隊の退役が相次ぎ、志願者も激減し、大卒者対象の「一般幹部候補生」で昨年度比13・8%の減、「技術海曹」はほぼ半減していると聞いています。これは、戦争法の強行可決以来、自衛隊が災害救助から戦争への道を突き進む軍隊へと質的に変化したことに、若者が強い不安を持っている表れではないでしょうか。
そうしたなか、防衛省は自衛官募集担当者を集めた全体会議の場で、自衛官適齢者の個人情報が載った名簿を提出させるため、市町村への働きかけを強める方針を徹底したといいます。
戦争法が成立した今、南スーダンPKO(国際維持活動)に派兵されている自衛隊員の、まさに、「殺し、殺される」危険が現実化しています。自衛隊員は、新たな任務「かけつけ警護」が追加されたうえ、任務遂行のための武器使用もできるようになりました。現地は激しい内戦状態にあり、政府軍そのものが頻繁にPKO部隊に攻撃しています。もはや、「災害時に出動し救助に貢献する」自衛隊ではありません。自衛隊への入退は命を落とす危険性と表裏一体であり、行政が若者の命を左右する組織の手助けをすべきではありません。
以上の理由から、住民基本台帳の閲覧は止めるべきだと考えますが、市の見解をお尋ねします。
(企画総務局長)
自衛隊法第29条及び第39条に基づく自衛官募集のため、自衛隊から住民基本台帳法第11条に基づき申請があった場合は、住民基本台帳の一部の写しを閲覧させることになっており、本市としては、今後とも法令に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。
(村上あつ子議員)
次に、今回議案となっている連携中枢都市圏構想について伺います。
全国の自治体が取り組んでいる「地方創生」戦略の策定は、まず人口ビジョンを示すことになっています。個々の自治体にとっては、人口減少を食い止めて、現状の地域の姿を守り、発展できる条件をつくることが目的だと考えます。本市では、「地方創生」戦略を広島市が連携中枢都市となる「連携中枢都市圏構想」と一体で取り組み、2060年の人口が93万人まで減少するところを110万人台で維持していこうというものです。
人口減少社会は、日本全体の問題です。これを克服する必要があると言うなら、その政策推進の責任は政府にこそあります。
我が国では、若者の雇用が守られず、半数以上が非正規雇用で低賃金に甘んじさせられています。その原因は派遣労働法の改悪に次ぐ改悪など政府の非正規雇用増大政策にあります。また、教育費を高騰させ、それをカバーすべき返済不要の奨学金制度はありません。この現状を改善しようとしない政府の貧困な教育政策にも出生率低下の原因があります。
派遣労働業界や人件費を引き下げ巨額の利益を上げる一部企業の犠牲にされ、十分な収入と安定した雇用による将来の見通しを得られない若者がたくさんいます。結婚しても経済的に、また長時間労働が常態化する生活実態から、子育てに展望を持てない状況では、子どもを産み育てたいとの思いがあっても断念せざるを得ません。人口を問題にするなら、まずは政府のこうした政策の転換を求める必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。お答えください。
(企画総務局長)
国は、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、これまでの若者雇用施策を見直して、今後は、若い世代が希望通り結婚し、子供が持てるような年収水準を確保する、安定的雇用に取り組むことが必要であるとしています。
本市においても、このたびお示しした総合戦略において、「出生率の向上」や「若い世代の人口確保」につながる、経済的に十分な生活ができる安定した「仕事」を創出するため、基本目標の一つに「すべての人にとっての“ディーセント・ワーク”の創出」を掲げています。
したがって本市としては、本市の取り組みと軌を一にする国の取組を有効に活用していきたいと考えています。
(村上あつ子議員)
広島市は、連携中枢都市圏をつくるために山口県域を含めた23市町と連携協約を結ぶとし、今回、23本の協約案が議会に提出されています。
協約案の中で、様々な事業が掲げられていますが、第一の経済問題では、結局は本市が経済活性化を主導し、連携する市町は、それに協力すると言った形になっています。いったい、連携する市町にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。本市に隣接する市町とかなり離れた市町がありますが、本市との経済連携は条件が違うと思います。それぞれについてお示しください。
また、高次都市機能と言っても、医療機能と教育機能と公共交通を掲げているだけです。ICTを活用する医療支援は有意義だと思いますが、それでもそれぞれの地域に十分な医師がいてはじめて力を発揮するわけで、医師の確保も含めた支援でなければならないと思います。しかし、そこまで触れてはいません。小さい市町は医師の確保が困難で病院の運営自体が困難になっていますが、医師の確保は県や国の仕事です。広島市に何ができるわけでもありません。教育機能と言っても観光振興の人材育成というだけで、ここでも連携する市町は自分のところの情報提供が主です。公共交通は、そもそも遠いところはネットワークなどと言えるものではありません。いったい連携する市町にとってどの程度のメリットがあるのでしょうか。ここでも、近いところと遠いところを分けでお示しください。
住民の満足度を高めるという分野ですが、住民の日常の暮らしにかかわる分野について言うのであれば、それは遠いところと連携するという話にはならないと考えます。自治体が連携して不十分なところを補い合うということなら、距離の近い近隣の自治体がお互いに協力し合うという形が必要です。しかし、連携中枢都市圏構想の連携協約はそうではありません。あくまでも、広島市と個々の市町との連携協約になっています。広島市に隣接する市町との協力なら有効だと思いますが、遠いところとの連携が意味があるのでしょうか。この点もお示しください。
(企画総務局長)
連携協約の取組の具体策を示しております、「広島広域都市圏発展ビジョン」に掲げた63の事業については、経済面や生活面での深い結びつきを前提に展開するものであり、「連携協約」を締結することによって、本市からの距離にかかわらず、すべての市町に対してメリットをもたらすものになると考えております。
経済面の「ヒト・モノ・カネ・情報が巡る都市圏」を創るための事業として、22の事業を掲げております、本市都心部において圏域の特産品の販売を検討する事業や、各市町の観光資源を結び付け、圏域内での周遊、滞在につなげる事業などを実施することとしておりますが、これらは「連携協約」を結ぶ23市町すべてと連携して取り組むものであり、全ての市町に対してメリットをもたらすことになると考えております。
また、生活面の「どこに住んでも安心で暮らしやすい都市圏」を作るための事業、として、5つの事業を掲げており、議員ご指摘の「ICTを活用した地域医療支援」のほか、電話により医療相談を行えるようにすることで、圏域のすべての住民がそのメリットを享受できる「救急相談センター事業」、これらの実施を検討することとしておりますが、これらも経済面の事業と同様に、すべての市町に対してメリットをもたらすことになると考えております。
さらに、行政面の「住民の満足度が高い行政サービスを展開できる都市圏」を作るための事業として、職員研修等の共同実施や情報発信体制の構築等の行政資源の相互利用など、36の事業を掲げておりますが、これらは、本市とそれぞれの市町との間で合意ができるのであれば、各市町にとってメリットがあるということになると思います。
(村上あつ子議員)
自治体が小さいほどそこの行政ができることは限られます。そういうところほど、どこに住んでいても安心して暮らしやすい地域をつくるという課題では、県の責任が大きいと考えます。広島市は、市民の税金を使って広島県の責任まで、山口県の責任まで担おうというのでしょうか。広島市の責任は、広島市民が、市内のどこに住んでいても、安心して暮らしやすいようにすることではないのでしょうか。その責任をしっかりと果たしてこそ、広島市の人口確保につながるのではないかと考えます。この点について、市長のお考えを伺います。
(企画総務局長)
広島市の発展は、本広島市域のみで成り立っているものではありません。
近隣市町から多くの労働力が供給されている、あるいは、近隣市町で多くの製品等の消費がされている本市にとって、近隣市町における人口の減少や産業の衰退が過度に進むことは、ヒト・モノ・かね・情報の循環を縮小させ、当該市町のみならず本市にも、経済活動の停滞や市民生活の不安定化をもたらしかねないものです。
このため、本市だけの発展を目指すのではなく、圏域全体の活性化を図り、圏域の人口減少に歯止めをかけることを目指すことが、ひいては、本市の経済を活性化させ、人口減少の歯止めをかけることにつながるものと考えております。
したがって、広島広域都市圏全体の発展をけん引するエンジンとしての役割を果たしていきことが、本市の責任であるというふうに考えております。
(村上あつ子議員)
本市では今年度から来年度にかけて次々と新たな施策が打ち出されています。安佐市民病院を河戸駅ができる荒下地区に移転する、アストラムラインの西広島への延伸、地元住民の強い反対の声を押しての高速5号線の建設、あるいは今回の子ども医療費補助の年齢拡大など、ハード、ソフトの施策を打ち出したのは、広域連携する中枢都市を考えてのことだと思いますが、お考えをお聞きします。
(企画総務局長)
本市は、「世界に誇れる「街」広島」の実現を目指し、「200万人広島都市圏構想」を掲げ、中四国地方の発展をけん引するとともに、中枢都市として必要な高次都市機能を備え、多様な行政サービスを提供できるよう、ハードからソフトまで様々な施策に取り組んでいるところです。
(村上あつ子議員)
一昨年11月、「水の都ひろしま推進協議会」でかき船「かなわ」の現在地への移転が承認された直後の12月議会で「なぜあの場所でなくてはならないのか」との私の質問に、局長は、「(株)かなわが今まで以上に平和に関する情報発信に努めるようになるならば、世界遺産である原爆ドームを間近に控えながら広島の食文化と平和を希求する『広島の心』を一層効果的に発信できるようになる」と答弁し、移転新設を合理化されました。
しかし、その後、日本イコモスの現地調査により「懸念表明」が出され、原爆ドームとアウシュビッツの世界遺産の特別の意義が強調されました。これを受け、広島弁護士会長の談話、日本被団協と広島の両被団協の再検討を求める意見表明など市に対する批判が相次ぎました。
国土交通省中国地方整備局(以下太田川事務所)は、このような状況から、市長あてに異例の文書による“意見照会”をおこないましたが、市は、市民団体との2回目の公開討論会を5月はじめに約束しておきながら、市長選直後、突如『理解を深めるために説明を尽くした』として早期承認を求めて工事着工を許可させました。
しかし、市のこのような不誠実な態度に反対の署名は5万筆を超え、11月1日には世界イコモスの委員19名が現地を視察し、アローズ会長は、「この場所は聖なる場所。飲食する場はその意味を破壊する」ときびしく批判されました。
「平和と食文化の同時発信」という表現をして、一業者の利益誘導に走る市に対して、「祈りと鎮魂の場を金儲けの場にするな」という被爆者の憤りの声に全く同感です。
この場所への移転計画は、2012年から市と事業者、太田川事務所の3者のみで協議し、市民に知らされたのは諸手続きが整った段階です。市は、「かなわ」に「河川の占用使用」許可が下りたのちに、文化庁や国交省へ説明に上京。日本イコモスへの説明はその2か月後の3月中旬でした。
「懸念表明」にあるように、「原爆ドームに近づき」「平和公園の横に位置し」「左岸に多くの慰霊碑が設置されている」場所になぜわざわざ移転したのか疑問に思います。バッファゾーン内の移動であるがゆえにまず、真っ先に日本イコモス国内委員会に相談すべきだったのではありませんか。なぜ、そうしなかったのですか。明確な答弁を求めます。
(経済観光局長)
日本イコモス国内委員会は、文化遺産の保存に関する研究等の活動をされている方々による任意の組織でございまして、手続き上、同委員会にバッファゾーン内の変更について事前に見解を尋ねるようになっていないことから、事前の相談はいたしてないものでございます。以上でございます。
(村上あつ子議員)
小学校に入るとぐっと医療費の負担が増えて、何とかしてほしいという保護者の願いは切実です。他都市から広島市に移り住んだ若い子育て世代がまず一番に子どもの医療費の負担が大きいのに驚き、広島市に住むのを選択することさえやめる世帯も少なくないといいます。
私たち市議団は、中学3年までどの子も安心して病院にかかれるよう、補助制度の拡充を求めてきたところですが、今議会にようやく、入院中学3年まで、通院小学3年までの年齢拡大の見直し案が提案されました。これでやっと政令市の中で最下位から一歩抜け出すことになります。
しかし、通院は、窓口負担に所得制限を設け、現行の初診時500円を最大で4倍から6倍の負担増を求めることになります。通院の一部負担金の大幅な引き上げと抱き合わせでは、子育て支援の後退だと言わなければなりません。
そこでお聞きします。
(市長)
本市は、「世界に誇れる『まち』広島」の実現を目指しておりまして、その柱であるワーク・ライフ・バランスのまちづくりに向けて取り組むにあたりましては、「翁・媼」と「童」に着目した地域福祉を再構築していくことは必要不可欠であると考えております。また、その際には、「自助」「共助」「公助」の適切な組み合わせによって、「持続可能性」を高めることが重要となります。
すなわち、子育てに関しては、「出生率の向上」や「若い世帯を呼び込んで行くこと」につながるような、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりが必要となります。それを確実に進めていくためには、家庭内の支えいわゆる「自助」に加え、「共助」・「公助」を強化し、将来の広島を担う子どもたちの育ちを広島市全体で支えていくことが極めて重要であります。
私は、今回、乳幼児等医療費補助制度の見直しを行うにあたって、子どもの健全育成の基本となる子どもの健康づくりについては、保護者が努力されたにもかかわらず子どもが病気等になった場合に、経済的な理由によって必要な医療が受けられないことがないよう、支援すなわち「公助」を充実させる必要があると考え、このたびの対象年齢を大幅に拡大するよう、制度を改めることにいたしました。
こうした制度の拡大と拡大後の制度運用をしっかり行うに当たっては、その裏付けとなる財源確保が不可欠であり、これについては、社会全体で広く薄く負担していくことが基本となりますが、受益層の中でも一定の所得(負担能力)を有する層は、所得に応じた最低限の負担を行うことも必要となります。その際には、全体として公平感が感じられるようにしつつ、世代等を超え、社会全体で負担を分かち合うようにすることが重要となります。
こうした基本認識の下、乳幼児等医療費補助制度について、対象年齢の大幅な拡大と一部負担金の見直しを一体的に行い、より多くの子どもの健全な発育をさらに促進してまいりたいと、考えています。
(村上あつ子議員)
東京都全23区、群馬県、さいたま市、名古屋市は、所得制限も一部負担もなく、中学卒業まで“子どもは平等”の原則を貫いています。本市は、現行制度でもすでに18%の子どもが対象から外されています。見直し案は窓口負担に所得制限を導入し、さらに、子育て世代を分断しようとするものです。そもそも子育て支援に受益者負担を持ち込むこと自体間違っています。
新たな所得制限の導入で負担増になる子どもはどれ位いるのですか。金額にしてどれ位ですか。一部負担に所得制限を設けている政令市をすべて挙げてください。
(健康福祉局長)
このたびの見直しにより、一部負担金が高くなると見込まれる子供の数は、未就学児の約25%と見込んでおり、未就学児約6万8千人のうち、約1万7千人になると見込んでいます。
また、一部負担金が増加することにより削減される補助額は、通年ベースに換算すると約1億8千万円と見込んでおります。
政令市の中で一部負担金を所得額に応じて設定している都市はありません。
(村上あつ子議員)
新たな基準を生活保護費の1.5倍としていますが、これは国が決めた児童手当の基準を分断したことになります。児童手当の基準をどのように考えていますか。お答えください。
本来、子どもに必要な医療を受けやすくすることが、病気の早期発見早期治療につながり、医療費全体を押し下げることにもつながります。一部負担金を現在の4倍から6倍に引き上げることは、今までより、通院しにくくなるのは明らかです。実際に医療費の高騰と受診率がリンクしているアンケート結果も出ています。
一部の子どもであっても、受益者負担を求めることは、受診抑制につながると考えます。お考えをお聞きします。
(健康福祉局長)
乳幼児等医療費補助制度におきまして、旧児童手当に準じている所得制限額は、補助制度の対象となるものと通常の医療費負担をするものを区別するための基準であり、これについては従来通りとしています。
補助制度の対象となるものについては、これまで通院と入院を区別し、通院については一部負担を、また、入院については負担なしという制度運用をしていました。
今回の生活保護費の1.5倍に相当する額という基準は、補助制度の対象となる者に関わる所得水準は維持したうえで、医療費の支援の程度について、従来の区分を踏まえつつ、さらに所得の低い世帯における受診抑制にも配慮し、所得に応じたものとなるように設定したものです。
今回の見直しにより一部負担金が変更となるのは、一定程度の所得以上の世帯に限っており、その所得は国においては通常の衣食のみならず、医療費関係支出などを賄える水準にあると考えています。
このため、この水準を超える比較的高い水準にある世帯について、平均的な医療費負担をしていただくことが受診抑制につながるとの意見は当たらないと考えています。
(村上あつ子議員)
開業医の団体による調査では、3歳以上の未就学児の場合、初診料と処方箋料の2割負担は700円、再診の場合は380円です。小学生以上の場合、初診料と処方箋料の3割負担は1050円、再診時は1回580円です。今回の見直し案では、所得が基準を超えた世帯では、補助制度が決めた一部負担額より、保険診療による2割または3割分の一部負担額のほうが下回ります。つまりせっかくの制度が使えない人が出てくるということになるのです。
私たちも「制度設計としては大きな不備だ」と指摘しましたが、この点について検討されたのでしょうか。お答えください。
(健康福祉局長)
今回の見直しにおいては、補助制度の対象となる方の中でも負担能力を有する層に対する医療費の支援について、その負担能力に対する全体としての公平感や受診抑制への影響などを考慮し、設定したものであり、その結果として、個々のケースごとに負担額に変動が生じたとしても何ら問題はなく、合理性のあるものとなっていると考えます。
(村上あつ子議員)
昨年12月、厚生委員会で見直し素案が出され、その後、子育て真っ最中のお母さんはじめ市民から、新たな所得制限導入の撤回をもとめる声や今議会への提案を見送る意見などがたくさん寄せられました。しかし、当局はこれらの声を無視して素案のまま提案されたのです。
なぜ聞かなかったのですか。そもそも広く市民の声を聴いたうえで提案すべきではないでしょうか。お答えください。
(健康福祉局長)
本事業については、平成23年度から「医療費負担の激変や乳幼児の健康面への影響に配慮しつつ、所得制限及び一部負担金の見直しと対象年齢の拡大を一体的に行う」という基本的な考え方をお示しした後、検討を続け、議会に対して逐次、説明を行い、ご意見をうかがってまいりました。また、請願を提出いただいた市民団体等からも所得制限の見直しに伴う急激な負担増についての反対のご意見や一部負担金の増加による受診抑制の懸念についてのご意見などを頂いたところです。
こうしたご意見を踏まえ、昨年12月の厚生委員会に乳幼児等医療費補助制度の見直し素案をお示しし、議会のご意見を聞くとともに市民団体からのご意見を聞いたうえで、このたび、条例案及び予算案を本会議に提案させていただいているところです。
(村上あつ子)
また、発達障害児をもつお母さんの発言も切実です。初診時500円の窓口負担が3倍の1500円に。1か月最大6倍に跳ね上がるのです。そもそも、現行制度で発達障害児は小学2年生まで補助対象としているのはそれなりの理由があったからではありませんか。
今回の見直し案は、“弱者を切り捨てる”ということになります。お考えをお聞きします。
(健康福祉局長)
本市では乳幼児医療費補助の対象を未就学の子どもとしていた中、平成21年度から小学1・2年生の発達障害児も制度の対象に加えました。これは、発達障害がある子どもで重度の知的障害が伴う場合には、重度心身障碍者医療補助の対象となる一方、それ以外の発達障害児については、補助制度がなかったことから拡大措置として行っていったものです。
今回の制度の拡大は、発達障害児を特別扱いすることなく、小学3年生まで対象とするものであることから、他の世帯と同様に一定以上の所得がある場合には所得に応じた最低限の負担をお願いすることとしたものです。
(村上あつ子議員)
4年制の大学に進学するためにいくらかかるのかご存知でしょうか。
国立大学で平均約54万円、私立大学文系で平均約131万円、医歯系では466万円の授業料といわれますが、4年間の学生生活には、約900万円が必要といわれます。世界一ともいわれる高い学費が、大学生とその家庭に重くのしかかり、経済的理由で断念することも少なくありません。
このように学費が異常に高いにもかかわらず、返済しなくてもいい給付制の奨学金がないのも先進国の中で日本だけです。学生のうち6割が奨学金を利用していますが、貸与制であるため卒業するときには、平均300万円の借金をかかえています。ブラックバイトといわれるバイト先でも、学費や生活費を稼ぐために泣き寝入りしています。また、卒業しても、少なくない学生が低賃金の非正規雇用を余儀なくされる中、奨学金返済にあえいでいます。
こうした中で、他の政令市では、国や県の奨学金制度を補完するため、高校生や大学生への独自の奨学金制度を設けています。奨学金制度がない政令市は、仙台市と本市だけです。しかも、返済義務のない給付制をとっているのが、高校生へは10市、大学生へは5市あります。
返済義務のない奨学金事業をおこなう川崎市では、高校生の中退率が1.03%に対して、奨学金制度を受けている生徒の中退率は0.3%と低く、勉学を続けるための大きな支えとなっていると分析しています。また、進学率も全体が78.7%であるのに対して、奨学金制度を受けている生徒は88.4%と高く、意欲や能力のある生徒の上級学校への進学に役立っていると評価しています。高校になれば、授業料こそ軽減がおこなわれていますが、学用品などの負担は大変大きいものです。中学校までは、就学援助制度でカバーされているものが、一気に家計の負担となってきます。
学びたいという意欲のある若者の能力を大きくのばしていくことは、我が国や郷土広島の発展にも大きく寄与するものです。
国や県の奨学金制度の不十分さを補う上でも、本市として、独自に給付型の奨学金制度を創設すべきではありませんか。
(教育長)
奨学金制度としては、高校生等を対象とする広島県高等学校等奨学金、大学生等を対象とする日本学生支援機構奨学金、高校生・大学生等を対象とする母子・父子・寡婦福祉資金、定時制高校の生徒を対象とする給付型の広島市教育振興奨学金など、いくつもの制度があります。
また、教育費の負担軽減等を図るため、国においては、高校生について、平成26年度から、少額給付金制度の創設及び就学支援金制度の拡充がなされ、また、大学生等に対しても、無利子奨学金事業の拡充のほか、変換の負担を軽減するため、所得に連動した返還額とする奨学金制度の導入が検討されています。
本市としては、これらの制度の有効活用を図ることが重要だと考えており、現時点で、公費による給付型奨学金制度を創設することは考えていません。
(村上あつ子議員)
また、新年度予算案に5歳児健診をモデル的に実施、検討する予算が提案されていますが、これまで5歳児健診については、必要とされながら小児科医が少ないことが理由で具体化することができていません。市が、医師を養成する奨学金制度を創設して、市の責任で小児科医師を確保する必要があると考えます。お答えください。
(健康福祉局長)
医療従事者の確保に関しては、医療法に基づき都道府県が策定する医療計画において取り扱うこととされていることなどから、本市としては、現在、広島都市圏における基幹病院の連携強化について、県や医師会等と協議を行っているところです。
こうした取り組みにより地域の医療水準の向上を図り、医師にとっても魅力のある態勢を整えることで、医師の確保につなげていきたいと考えています。
なお、広島県では、すでに大学を卒業後、県内の公的医療機関等に一定期間就業することなどの条件を満たせば全額返還免除となる奨学金制度を設けています。
(村上あつ子議員)
横川高架下の市営店舗入居者の死活問題が浮上しました。
JRは、高架の耐震補強工事を施工するに当たり、市との借地契約を来年(2017年)の3月31日付で解除することとしたことから、市は土地をJRに返還せざるを得ないため、市営店舗を廃止するというものです。これまで店舗入居者が聞いていたのは、耐震補強工事が実施される際は、工事期間の4か月間だけ営業を休んで欲しいということでした。「休むのは心配だが、安全のためだからやむを得ない」と思っておられました。
ところが、突然、「立ち退いてくれ、市営店舗は廃止だ。」と言われ、降ってわいた出来事に、先月行われた説明会には、ほとんどの店舗入居者と、商店街関係者、町内会の方まで参加されました。
横川商店街は、広島市内でも活性化の取り組みが成功して注目されてきたことは周知のところです。「50軒もの店がなくなったら困る。」と商店街の方が言われました。当然です。
これまで、商店街活性化のために、地元と市が一緒になって取り組んできたことは何だったのかということにもなります。厳しい経済状況の中で、地域経済を守るために一生懸命頑張って営業し、商店街活性化に協力してこられた方々の努力を市も認識されていると思います。賃貸人である広島市は、地域の商店街を活性化させ、頑張っておられる中小業者を守る立場にあると考えます。
市と市営店舗の使用を許可するうえで、JRとの契約上、市がJRから返還を求められれば、店舗入居者は市の明け渡しの請求に応じなければならないことになっています。また、その際、移転料等その他何ら請求できない条件が付されています。
しかし、店舗入居者の方々は営業できなくなるわけですから、営業が続けられるような方策を求められるのは当然です。
工事終了後、JRが高架下に店舗を設置し、その使用料は現在の8倍になると聞いています。市営店舗は、市の公共事業に協力して立ち退いた事業者の移転先として設置したもので、当時からの入居者もまだ頑張って営業しておられます。そうした方々への責任もあるはずです。
そこでお聞きします。
市営店舗の使用許可条件上、営業補償はできないにしても、これまで商店街を活性化するよう頑張ってこられた店舗入居者の方々に対し、市として支援を考えているのでしょうか。
(指導担当課長)
市営横川高架下店舗の入店者の方々が、これまで商店街の活性化に寄与しておられることは十分認識しております。
一方で、公共交通機関である鉄道の安全性を確保するために、横川駅高架橋等耐震補強工事を円滑に実施する必要があります。そのため、当該店舗の使用許可条件では何らの補償もできないこととなっている中で、どのような支援ができるかJR西日本とも協議してまいりました。
その結果、当該店舗を返還していただくに当たり、入店者の方が入店可能な市営店舗を希望される場合は、公募によらずに優先して入店していただくことや、耐震補強工事後にJR西日本が新設する予定の店舗に入店を希望される場合は優先して入店条件を提示すること、さらには、支援金をお支払いするなどとしました。
今後、説明回答を行う中で、入店者の方々から出される要望については、どのような対応ができるかJR西日本島と協議してまいりたいと考えております。
(村上あつ子議員)
現在の計画では、2年間の工事期間ということですが、先月の説明会において工事期間をもっと短縮できないのかという意見も多く出されていたようですが、工期の短縮はできないのでしょうか。
(指導担当課長)
JR西日本の現段階での計画によると、一斉に市営横川高架下店舗を撤去した後に、順次耐震補強工事を実施し、その後にJR店舗を設置することとしており、全体工期として約2年間を予定します。
今後、入店者の方々のJR店舗への入店希望をお聞きしたうえで、工期の短縮が可能かどうかをJR西日本と協議してまいりたいと考えております。
(村上あつ子議員)
また、4つのブロックごとに順次工事を進めるということですが、それに合わせてブロックごとに退去時期を調整することはできないのでしょうか。答弁を求めます。
(指導担当課長)
ご質問のように、ブロックごとに退去時期をずらして店舗を撤去することとした場合、遅く着工するブロックの入店者は、現在の低廉な使用料で店舗の経営を継続することができるため、使用料負担の面で入店者間の不公平が生じることとなります。
ブロックごとに店舗を撤去することについては、こうしたことを踏まえ、入店者全員の意向が一致することが前提となるため、今後、説明回答を行う中で確認したうえで、JR西日本と協議してまいりたいと考えております。