政策と活動

2024年07月25日

8月6日の平和記念式典の際の規制について申し入れ

 市議団は24日、平和記念公園で毎年8月6日、市主催で開かれる平和記念式典の際、従前に設けていた式典会場や持ち物への規制範囲を拡大するとの市の方針(7月8日時点)を受け、松井一実市長宛ての要望書を提出しました。
 対応した市民局長は「もしまた何か起これば、主催者の責任が問われる。必要最低限の措置として市民の皆さんにもご理解いただきたい」と答えました。


広島市長 松井一實 様

日本共産党広島市会議員団

8月6日の平和記念式典の際の規制についての要望書

 今年の平和記念式典について、「安全対策の強化」ということで、従前の式典会場を、平和記念公園全体に拡大したうえで、式典会場入場口を6か所にして、それぞれで手荷物検査をすることとしたこと等について、懸念がありますので、以下について要望をします。

1.発表された今回の規制の内容をみると、昨年まで式典会場入場時刻以降も行われていた、供養塔をはじめ公園内の碑等への参拝等が手荷物検査を経なければできないことになります。しかし、そのような規制は、都市公園内という自由な空間において、従前実施できていた精神的な行為を阻害することになり、市民の自由な行動(公共の福祉に合致する範囲)に法律に拠らない規制が、新たに行われることになるのではないか、と考えます。
 昨年8月6日に、原爆ドーム前で「衝突事故」があったことから、「安全のため」として規制範囲を公園全体に拡大するとのことですが、実際の式典会場からは、ずいぶん離れた場所での出来事であり、これをもって公園全体に規制範囲を拡大するのは無理があります。国内外の要人が式典に参加するとの理由についても、昨年まで会場内では何の問題もなかったわけで、これも理由としては無理があります。
そもそも、自由に立ち入ることが保障されている空間での法律に拠らない規制はお願いの範囲のものであり有効性がなく、少なくとも規制は従前の範囲(これが実際の式典の会場の範囲として市民の合意があるものと考えられる)内に留めるべきですので、規制範囲の拡大は中止するべきです。
2.式典会場内への持ち物規制が、ゼッケン、タスキなどにまで拡大されていると思われますが、これは、憲法が保障する表現の自由に、相当に踏み込んで規制するものであり、憲法違反に問われると考えます。
同様に、実際の式典会場は、従前の区域内のままであり、その区域の外で式典に参加していない者にまで、声の音量まで規制するのは、これも表現の自由に反するものと考えます。
 なお、原爆供養塔に早朝に参拝される方のなかには、多く宗教者もおられます。その中には、宗教上の理由でタスキをして参拝される方もおられるそうですが、これを規制するのは信教の自由に反するとともに、そこに自由に参拝できないのは基本的人権の侵害であるという意見があります。また、ゼッケンも表現の手段の一つです。
 また、表現の自由のような精神的自由は立憲民主政にとって不可欠の権利であり、精神的自由の基礎をなす内心の自由(思想・良心の自由)は、どのような場合でも尊重されなければならない絶対的自由であると考えます。
3.午前5時に公園内にいる市民を公園外に全員退去させることになっていますが、実際の式典が行われていない区域にまで上記の規制をかければ、午前6時30分に式典会場内への入場を開始するまで、市民は公園内にいっさい立ち入れないことになります。そのような状況は、昨年のG7サミット時以外はないことです。
この規制は法的根拠がないばかりでなく、この日を重要な日として公園内で追悼の思いや平和について考えたいと考える方々に、その営為を規制することは、被爆都市としてあるべきではありません。
 G7サミット時の平和記念公園全体を囲って入園規制をしたことについては様々な意見がありましたが、それと同等に規制範囲を広げて警備を行うことが必要なのか極めて疑問です。むしろ、核兵器廃絶運動、戦争のない世界をめざす平和運動がより発展することをめざしての平和記念式典であり、そのためには憲法21条第1項が保障する表現の自由は無条件に保障されるとの立場から考えるべきです。
 以上のことからも、少なくとも、従前の式典会場以外の区域では従前どおりに規制しない範囲とするべきです。
4.今回の規制の考え方は、憲法で保障した国民の自由と権利を損なうものであり、日本国憲法のもとにある広島市行政としては行ってはならないものです。
 法律に根拠のない規制は、市民に対して協力を要請する以上のものではありません。ましてや退去命令など全く根拠がありません。平和記念公園は都市公園であり市民のものです。
昨年のG7サミットの際、首脳たちの会食会場となった宮島全体に入島規制がかかりましたが、そのなかで、何人かの市民が、あえて宮島に渡りました。その行動を誰も阻止できませんでした。法律に根拠がないとはこういうことです。
 今回、発表された規制が実際に行われた結果、退去命令を受けた、あるいは規制で公園内に入れなかったので、信教の自由が侵された、精神的苦痛を被ったなどの訴えが司法に行われた場合、市はそうした行動の根拠を示すことができないこととなると考えるところです。
 以上のことから、7月8日時点とされた今回の規制のあり方については、再検討され、従前どおりの対応とされるよう要請します。