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2009年8月11日 市基本構想・基本計画特別委員会 質疑 中森辰一議員 |
原爆ドームバッファゾーンの景観問題 子どもの貧困の認識について 貧困問題に対する社会保障制度見直しについて 道州制について 市行政による「マツダ」支援等の文言について |
原爆ドームバッファゾーンの景観問題 (中森辰一議員) 基本計画の11ページに原爆ドームに関しての記述があるんですが、この世界遺産原爆ドームのバッファゾーンの景観の問題についてどこか記述があれば教えてください。 (企画総務局長) 原爆ドームのバッファゾーンそのものについての景観に関する記述はございませんが、景観に関しては44ページに項を設けて記述しております。3の(1)のアですけれども、景観形成基本計画において重点的景観形成地区に位置付けた地区について景観法に基づく景観計画の策定に取り組むといったことを盛り込んでおりまして、原爆ドーム周辺地区についてはこの重点的景観計画地区に位置付けられております。 (中森辰一議員) 今いろいろと紛争がある問題でもあるんですけれども、それだけにできれば具体的な記述があったほうがいいんじゃないかなと思ったので、私のほうで提案をしますので検討をお願いしたいと思います。この11ページの(2)平和記念施設の保存整備 (ア)の文章のあとでも項目を起こしてもいいと思うんですけれども、いずれにしても、「世界遺産原爆ドームのバッファゾーンとしての景観の確保に向け、該当地域住民の財産権を害することが無いよう十分な調整を図りながら長期的視野を持って取り組む」こういった内容をぜひご検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 (都市整備局長) この件に関しましては地元説明会等を行なった時にいろんなご意見もいただいておりますし、それから先ほどの6月議会では請願も採択されたということがございますので、そういうことを含めて内容については検討いたしたいと思っておりますが、今のこの基本計画そのものにどういう形で盛り込むかということにつきましては、関係部局とも協議した上で検討させていただきたいというふうに思います。 (中森辰一議員) 課題がはっきりするようにですね、ぜひ文章を、どういう形で入れるかっていうのはありますけれども、検討していただきたい。課題があるのに全く触れられていないというのは問題があるんじゃないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 上にもどる 子どもの貧困の認識について (中森辰一議員) 子どもの問題でですね、子育てをしていく上での経済的支援というのが位置付けられているわけですけれども、私どもがずっと要望してきた課題でありまして、大変結構なことだと思うんです。一方で来年度からの子どもの総合計画の柱の一つに「子どもの貧困」というテーマが掲げられております。最近はテレビでも新聞でも子どもの貧困の問題は様々な角度からかなり頻繁に取り上げられております。また全国でいろんな取り組みが行なわれております。子どもたちの貧困の問題は経済的な問題が大きいわけですけれども、単に経済的なことだけではなくて、子どもたちの周りの人間関係であるとか社会の諸条件も関わっておりまして、その中で子どもの貧困がどのように表れているのか、それにどのような対応をしていくのかという分析と検討が必要ではないかと思います。経済的な支援だけではなくてソフト、ハードを含めた施策が必要になっております。子どもに関わる課題の中で個別課題としても、全体が関わる課題としてもかなり重要で急がれる課題ではないかと思います。 同時にこの問題は何か施策を行なえば一気に解決していくといったことではないというふうに思います。少なくとも今の子どもの世代が親の世代になるくらいの時間が必要な課題でもあるんではないかと思います。長期的な視野で施策を行い検証しながら取り組みを進めていく必要があります。 しかしこの子どもの貧困という問題については、基本構想では全く触れられておりません。基本計画の第4章第1節の2の(7)で僅か3行。「総合的な施策の推進に取り組む」というふうなことが書かれているだけであります。もっと大きな扱いが要るんではないかなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。 (子ども未来企画課長) 基本計画の素案の段階におきましては、子どもの貧困の問題につきまして特に記述しておりませんでしたが、5月の本特別委員会におきまして、皆川議員からのご指摘があり、それを受けまして第4章子どもの未来の創造の中で諸策の展開の一つとして、子どもの貧困の問題に対する総合的な施策の推進を掲げたものでございます。 そのための取り組みといたしまして、保育施策や教育施策の充実、社会保障制度や税制改正の国への働きなどを掲げておりまして、総合的に施策の推進に取り組むことにしております。またこの基本計画の部門計画として、現在内容の検討を行なっております新しい、子どもに関する総合的な計画におきましても可能な限り具体的な施策を掲げたいと考えております。 (中森辰一議員) この第4章の冒頭部分ですけどもね、子どもの貧困の問題がマスコミでもよく取り上げられる様になっている訳ですけれども、まだ市民一般にはどういう問題なのか理解されていない状況もあるのではないかと思います。それからこの実態は、子どもの権利が守られていないということでもあると思います。同時に子どもの貧困という課題は、私たちの社会の貧困という問題でもあろうかと思っています。そういう意味を含めて、少なくともこの52ページの第1節の現状と課題の中で、子どもの貧困の課題が明確になるような、少なくとも、こういう課題があるということが分かるような記述が要るんではないかと思っています。現状分析、課題認識があるからこそこの施策ということが出てくるんだろうと思うんですよね。そういう点でぜひ触れていただきたいと思うんですけども、この現状と課題というところの中で、最初の4行ですけども、最初の2行と3行目以降がこれは並列の問題として扱われているわけですけど、最初の2行の状況を背景の一つにしてその後の問題が表れていると思いますから、ここは少し文章の書き方が違うんじゃないかなと思います。それで、ちょっと控えめな提案ですけれども、この3行目の最初、「また」と書かれていますが「そうした中で」というふうに書き換えて、その後に「子どもの貧困といわれる問題や」という形で、こういう問題があるということをぜひ触れていただきたいと思うんですが、ご検討いただけないでしょうか。 (子ども未来企画課長) 現状と課題の記述でございますが、まずは子どもの貧困につきましては2行目のところで所得格差の拡大ということで触れております。現在の基本計画案では、子どもの貧困の問題に対する総合的な施策の推進につきまして現状と課題のところ、及び基本方針において記述した上で、施策の展開のところにはですね、1項目掲げて記述したものでございまして、この問題につきまして本市として一定の認識を示したものというふうに考えております。 (中森辰一議員) 後の方のですね、基本方針とかね、いうところではちゃんと文言が表れているわけですよ。しかし現状と課題のところでは全く、一番最初のところでね、きちんと出てきていないということなので、少しアンバランスな感じがします。検討をお願いしたいと思います。 上にもどる 貧困問題に対する社会保障制度見直しについて (中森辰一議員) 社会全体で格差が広がって貧困の問題が出てきているわけです。これに対してこの間の国政の状況を考えてみますとですね、庶民に対しては相次ぐ増税が行なわれました。それによる様々な影響があります。それから介護保険の負担など、介護の在り方も変わってきております。障害者自立支援法の施行も行なわれました。生活保護費の一部削減とか加算の一部廃止も行なわれました。もっと言えば就学援助の補助金とか公立保育園の運営費の補助金、こういったものが一般財源化されて、こういった施策については自治体に後退を促すといったような、言ってみれば政府の施策がむしろ格差を広げ貧困化を助長する方向になっているんじゃないかと思うんです。こういう中で子育てに対する経済的な支援を打ち出したのは大変良いことだと思いますけれども、この貧困化を推進するような状況に対して、広島市の行政が市民生活をしっかり守ると、こういう自覚を持って役割を果す必要があるというふうに思います。これまで、こういった点では広島市として一定の努力はしてこられました。しかしながら現状を見ますと国民健康保険の保険料は収入が増えていないのに「給付費が増えた」ということで増え続けております。介護保険サービスの単価がこの間上がりましたけれども、それに応じて利用限度額への対応があった訳ではありません。障害者自立支援法で全国に先駆けて大胆に負担軽減措置を取られましたけれども、あと僅かの予算を積み増しをしたら、制度以前程度の負担に戻せるというのに、これをやっておりません。それから障害児の療育の保護者負担を見てもですね、同じサービスを利用しながら施設の規模によって差がある矛盾。これを指摘しましたけれども未だに放置されたままになっています。これは私は、理解できない行政だというふうに思っています。国に遠慮してるんじゃないか、というふうに思うんですよ。そういう意味で「市民生活を守る」、こういう立場が確固としていないんではなかろうか、こういう点についてやはり検討は必要ではなかったか、と思うんですけどもいかがでしょう。 (健康福祉企画課長) 今ご指摘ありました近年の社会保障制度などの見直しに対しまして、本市では一つとしては、低所得者の方の負担の増加をできる限り軽減する。それから二つ目として、これまで利用してきたサービスが引き続き利用できるように配慮する、といった考え方に基づきまして種々の措置を講じて参りました。今ご紹介いただきましたけれども、一例としましては、障害者自立支援法の施行に伴いまして市民税非課税等の低所得者の自己負担が増えることに対しまして、障害福祉サービスですとか、補そう具の利用などについて本市独自の負担軽減措置を講じております。今後とも市民に最も身近な行政主体と致しまして、高齢者や障害者の方の負担が過度にならないよう、必要な配慮をしていきたいというふうに考えております。 (中森辰一議員) いろいろ取り組んでこられましたし、今回の基本計画の中でもですね、個別のいくつかの課題について、低所得者の支援という記述もある訳ですけども、まだ全体的な記述が欲しいなと思っています。基本構想で「市民生活の安寧の確保」ということを述べております。穏やかで平和な市民生活にしようということな訳ですけれども、そうであるなら、日々の暮らしが安心だ、医療も介護も安心して受けられる、経済的に恵まれていなくても意志と能力があれば希望する教育が受けられる、そういう街にしたいではないかというふうになると思うんですよね。そのためには、広島市は国とは独立した行政権限を憲法で保障された自治体である、ということを土台として市民の暮らしと権利を守るために敢えて国の施策に抗ってでも独自の理念を通す、こういった構えが欲しいと思うんです。その上で国に必要な施策を求めていけばいいというふうに思います。そういう立場で、子育てに対する経済的な支援だけではなくって、格差と貧困の広がりっていうのをしっかりと受け止めて、市民生活の全ての分野において必要なところには経済的な支援を様々な形で実施していく。そういった文章をぜひ考えていただきたいなと思うんですけれどもいかがでしょう。 (健康福祉企画課長) 今ご指摘のあった支援につきましては、基本計画案の中では72ページですけれども第5章第5節「保健医療サービスの総合的な提供」という中で、まず現状と課題のところなんですけれども最後のところで「生活困窮者など日常生活を送るうえで援助を必要としている人に対する支援の充実を図る必要がある」ということで、特に限定が無くこういった考え方を記載させていただいております。その上で施策の展開の中で「低所得者の福祉の充実」ということで、73ページですけれども「年金医療保険など社会保障の充実について国に働きかける」ということと共に、その下ですけれども本市の主体的な取り組みとして、「福祉、医療など低所得者に対する社会保障制度を補完する施策を推進する」という記載をさせていただいております。 (中森辰一議員) いろいろ記述はあるんですけれども、今私が言った趣旨をね、もうちょっとよく検討いただきたいなと思うんです。問題はね、市の行政としてどういう状況になってもやはり市民の暮らし、権利っていうのはしっかり守っていくんだという、そういう趣旨をですね、これは地方自治体の行政の一番大事な役割だというふうに思います。そこがよく分かる様にですね、ぜひご検討をお願いしたいと思います。 上にもどる 道州制について (中森辰一議員) 基本計画の199ページに「道州制への適切な対応」という言葉があります。道州制は「これをやることが日本経済が一層発展するための条件」と言って、財界がその在りようまで含めて熱心に提言をして実施を要求しております。本当に発展するかどうかが問題だというふうに思っておりますけれども、この道州の仕事というのはいろいろ文書を見ますと、今の都道府県の仕事の一部と国の仕事を併せたものになります。しかも中国地方全体の広域の行政ということになりますから、住民からは極めて遠い存在にならざるを得ません。となると地方自治の一方の柱である住民自治というのが実質的に機能しなくなります。そういう点では地方自治というものの形骸化がぐっと進んでいくおそれがあると私どもは考えております。 重大なことは、市町村の広域合併が道州制の推進とワンセットで進められてきたことです。とりわけ広島県では人口が少ない一方で極めて広域の自治体ができております。行政が住民から遠くなって、住民サービスが利用しにくくなるといったように、地域住民の日常生活を担う基礎自治体としての役割を果せなくなってくるほど矛盾が広がっております。それから、かえって周辺地域が寂れた。大きくなった行政規模を保障する財政基盤が必要ですけれども、三位一体の改革で一層困難になっております。道州制推進とセットで行なわれてきた広域合併というのは、基礎自治体のところでも団体自治も住民自治もその機能を発揮しにくくなっているというのが現状ではないでしょうか。これはまさに地方自治の破壊だというふうに思います。要するに道州制というのは地方自治の強化拡大ではなくて、福祉と暮らしのための仕事を担う自治体を大規模にして、少数に再編成をして、行政に関わる財政規模を大幅に圧縮、縮小していく一方で、それでできる財源を活用して財界大企業の儲けになるような広域的な大型プロジェクトを進めやすくする、というところに狙いがあるというふうに思っています。 同時に憲法を変えようという動きと並行して進められているということも大事な点だと考えます。今、憲法九条を変えて日本が戦争できる国になることに向けて、政界の多数も財界も遮二無二走ろうとしています。国が戦争を遂行するために地方を動かそうとするときに、例えば岩国市とか沖縄県のように何かあると住民投票にかける、こういったことになりますと戦争遂行をスムーズにやっていくことの妨げになります。それで国と地方の権限の分担を行う。そういうことで外交や軍事に関わる問題に、地方自治体や住民が口を挟めないようにしていく。国の形を変えるっていうのはそういう内容も含まれている、というふうに様々な文献を読みますと感じます。これは、戦争の無い世界、核兵器の無い世界の実現を世界に呼びかけている広島市の考えとも違うと思うんです。 こういうふうに道州制というのは、地方分権とは異質な目的を持ったものであって、また同時に広島市の理念とも相容れないものではないかと考えます。広島市はこういった道州制についてどのように受け止めておられるんでしょうか。道州制へのこの「適切な対応」という文言ですが、市民への情報提供や国等への働きかけというふうにしておりますけれども、どういう立場で働きかけを行なおうと考えておられるんでしょうか。以上についてお答えをお願いします。 (企画第二担当課長) 道州制につきましては、国の道州制ビジョン懇談会等において議論されていますが、その具体的な枠組み案等が現時点で示されている訳ではありません。従いまして、国民レベルでの議論には至っていないというふうに認識しております。しかしながら新しい基本計画の計画期間中には道州制に関し何がしかの動きがある可能性が高く、今後国等における議論の動向把握に努めると共に、必要に応じまして市民への情報提供や国等への働きかけを行なうなど、道州制への適切な対応を図る必要があると考えております。 (中森辰一議員) この10年の間にはですね、この問題は具体化をしてくる。今回の総選挙のマニフェストの中でも、自民党は3年後には基本法を出していくというようなことを言っている訳ですよ。ですからこれはそんなにのんびりした課題ではありません。全国知事会の中には道州制推進と反対或いは慎重、こういった意見が対立をしているようにですね、もう極めて具体的な課題として議論されている訳で、まだよく分からないといったようなのんびりしたことを言ってる場合じゃあないと思います。広島市として住民の暮らしと安全に責任をもっている、そのためにあらゆる自治権を行使する、そういう責務が基礎自治体にあると思います。市民への情報提供にしても国への働きかけにしてもですね、私はこの基礎自治体という立場で考えると、むしろ道州制に反対の立場ということを明確にするべきではないかと思います。その上で今いろいろと主張しておられる新たな大都市制度を要求していくべきではないかと思うんですがいかがでしょうか。 (企画第二担当課長) 今、ご指摘ございましたように、新たな大都市制度を要求するということにつきましては、指定都市共同で、また本市独自にも強く国等へ働きかけをしております。それから、そういう中で道州制について、これは反対すべきではないかということでございますが、先ほどご答弁申し上げましたように、現時点においては議論の段階、責任ある立場から具体的な枠組案等が示されておりませんので、これについて本市としての見解を表明することもできないと考えておりますので、今後議論の動向を見ながら必要に応じて道州制への考え方を整理するなど、そういったことも取り組んでいきたいと考えております。 (中森辰一議員) 財界が随分と熱心にこれを推進しようとしている。さっき言ったように憲法を変えていくということをセットで、並行して進められている。国の形を変えるというのはですね、いずれも同じことだと思うんですけれども、道州制を進めてその中で地方自治体の在り様も変えていくためにはやはり憲法の問題も関わってこざるを得ません。それを含めてもう既に具体的に何のためにやるのか、どういう形でやっていくのか、ということはですね、財政の問題とかいろいろまだ論点はありますけれども、かなり具体的になってきていて、その目的もそれがどういう方向に進んでいくのか、地方自治にとってどういう結果をもたらす可能性があるのか、かなり明らかになってきているんじゃないかと思うんですよね。さっき言ったように、この10年の間には間違いなく具体化されてくると思います。基礎自治体としてやっぱり住民の暮らし、権利にきちんと責任を負っていくという、そのために自治権を発揮していく、そういう立場でこの問題に積極的に関わっていくべきだ、しっかり発言をしていくべきだと思っておりますから、ぜひその点は、今回の文章に書くかどうかは別として、そういう立場で考えていただきたいと思います。 上にもどる 市行政による「マツダ」支援等の文言について (中森辰一議員) 基本構想の9ページに「マツダ等に代表される市内製造業の技術力や経営力を更に高めるとともに」と、こういう文言がありますけれども、これはどういう意味なんでしょうか。どうしてマツダの技術力や経営力が高まるように広島市行政が取り組むのか、この点を説明していただきたい。 (企画第二担当課長) 基本構想案にあります「マツダ」という表現でございますが、これは広島の産業を代表する自動車製造業やその技術力を象徴的に表す、いわば広島ブランドの一つとして用いているものです。この文言は広島らしい基本構想とするためにも必要なものであると考えておりまして、総合計画審議会におきましてもいろいろ議論はありましたが、最終的には「マツダ」という表現を残すということでご了承いただいているものでございます。 (中森辰一議員) 世界的なシェアで言ったらね、広島ブランドの、例えば万国製針といった企業だってあるんですよ。どうしてマツダだけなんですか。確かに、広島の製造業、事業規模であるとかですね、そういう点では大きな位置を広島の中で占めているというふうに思うんです。しかしだからといってマツダを広島市内の企業の中で特別に扱うようなことは、やはり行政として公平性に欠けるんじゃないかと思います。今年マツダ車を大量に買うという予算がありましたけれども、結局これは「マツダのために」こういう発想じゃあないのか、というふうに思うんです。それが市内各社の受注増に本当に繋がるのかどうか、はっきりした検証も示さずにこの予算を決めてしまった。これは大変問題だったと思いますし、行政が一私企業の利益を図るという結果になりかねないという点でも、行政の在り方としては大変問題があったんではないかと思います。 マツダの問題についてはこの間、労働の問題でいろいろ指摘をしてきました。労働現場の事実に基づいて法違反を指摘されたということとか、それによって国の労働行政から是正を求められた。法違反の事実を否定はしながらも派遣労働は中止するということを、マツダは発表しました。これは行政の指摘とか世論の批判に応えざるを得なかった、ということではないかと思います。こういう一連の状況があってのマツダ車を買い上げて、事実上マツダという一私企業の利益を図ることになった。こういうことと今回の、マツダを代表だという言い方でマツダの名前を出していく、この基本構想の記述、これも同じじゃないかと思います。一私企業に特別に肩入れをする。私は不公平行政になるんではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。 (企画第二担当課長) 先ほどのご答弁の内容なんですけれども、マツダということで片仮名の「マツダ」としか書いておりませんけれども、これはまあ一私企業としてのマツダ株式会社を意味する言葉というふうには考えておりませんで、(議場 笑い)先ほど言いましたように、広島の産業を代表する自動車製造業や、その技術力を象徴的に表す広島ブランドの一つという意味で(議場 笑い『そりゃ無いよ』等々)使用させていただいております。 (中森辰一議員) 私どもの社会で一般的に私企業というのはですね、常に利益を追求している存在です。今日では残念なことに、社会的な責任ということよりも株主に多くの配当を出すことの方を優先する状況になっております。そこではいつでも一般市民の利益と矛盾する事態を引き起こす可能性があります。マツダだけではありませんけれども、法の抜け穴を探して派遣労働の問題では法が制限する3年になる直前で一旦短期間の直接雇用に移して、その後また派遣労働の身分に戻して、事実上3年を越える派遣労働をさせていた。これ自体法違反ですけれども、そういう労働者を、景気が悪くなった途端に要らなくなった部品のようにですね、いとも簡単に路頭に放り出した。市が基本構想という市の基本方針とする文書にあえてマツダの名前を入れようとするんであれば、やはりこういう問題をどういうふうに、こういう問題について広島市はどういうふうに考えるのかということもちゃんと明らかにすべきだと思います。いずれにしてもこの、市がですね市民の利益を損なうような私企業を特別に取り上げていくというのは、これは私は広島市の汚点になるんじゃないかと思うんです。 それから先ほど言われました7月10日の第5回総合計画審議会の中で事務局が基本計画の中で「サンフレッチェ広島や広島東洋カープの名前もある」というふうなことを、委員から疑義が出されているのに対して答えておりますけども、しかし広島市民の多くが応援してくれることを基盤に活動している、或いは広島市民に支えられて活動しているのがサンフレッチェやカープです。これと利益追求を基本に活動しているマツダを同列に論じること自体が、これはおかしいと思いますけれども、いかがですか。 (企画第二担当課長) 企業の社会的責任ということにつきましては、その通りだというふうに考えておりますし、企業としてもそういう社会的な使命、責任を果たせるように努力をしていただきたいというふうに考えております。雇用の問題等で様々な議論があったということは承知しておりますけれども、一つ一つの課題につきましてはそれぞれの部署において対応をされているというふうに考えておりまして、この表現につきましては先ほどご説明申し上げたような意味合いで使っておりますので、ご理解いただきたいというふうに思っております。 (中森辰一議員) もう一回。日本を代表するマツダですよ、製造業としてね。その技術力向上も経営力向上もマツダが自分でやるべきことです。この文章を見ますとね、マツダを支援するというふうに見えます。このマツダっていうのは、市内の雇用にとって非常に重要な製造拠点の問題にしてもですね、部品会社との取引関係の問題にしても、過去にマツダにとって利益がより大きいと判断すればいつでも他に移転しようと、こういう問題があったじゃないですか。そういう意味でもね、これはマツダブランドだと、広島ブランドだというようなね、そういう言い方っていうのはおかしいと思います。広島市行政がやるべきであるのは、地域に根を下ろして地域の雇用を支えてきた圧倒的多数の中小企業がマツダに頼らない技術力や経営力を培うことを支援するということじゃないでしょうか。ハイブリッドとか電気自動車、こういったものは今普及しようとしておりますけども、車の在り方が変わろうとしている。こういう中で企業としての規模は小さいけれども、マツダとか他の大手メーカーとも対等に交渉できるだけの技術力を持つ企業がたくさん生まれるように支援をしていく。こういうことではないでしょうか。実際に広島市もそういうこをやってきたじゃないですか。そういう点で改めてこの「マツダ」という固有名詞を代表、広島ブランド、こういうような言い方でやるのはやめてですね、きっぱりと削除するということをやっていただきたいと思います。いかがでしょう。 (企画総務局長) 先ほど来から課長が答弁させていただいておりますけども、9ページの記述ですが、「マツダ等に代表される市内製造業」ということで、長い歴史の中でやはりマツダが広島の製造業の代表的企業であるというのは事実であろうと思います。それからこの基本構想に記述しております第2施策の構想の部分ですが、4ページに施策の構想、「広島らしさ具現化の視点を織り込みながら」という、できるだけ広島らしさが滲み出るような施策いついて記述したいという思いを持っておりますものですから、このような記述をここの部分ではしておるというのが趣旨でございます。今、いろいろご意見をいただきましたので、ちょっとどういう形になるか、結果はどういうふうになるか分かりませんけれども、今のご意見を受け止めさせていただければと思います。 上にもどる |
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