2001年12月定例会 討論 

2001.12.18  中森辰一議員の討論

 日本共産党市会議員団を代表して議案についての討論を行います。
第103号から118号までの議案のうち、反対の議案は112号議案、意見を付して賛成の議案は103号議案で、あとの14の議案は賛成です。以下、理由を述べます。

水道料値上げ条例改定案には反対

 第112号議案は、水道料の値上げをする条例改定案です。
 まず、指摘しなければならないのは、将来の必要水量を過大に予測して、総事業費1400億円にのぼる国の温井ダム建設に参加したため、巨額の借金で建設費を負担し、あと30年にわたって借金の元利を払い続けなければならないことです。この温井ダムによる元利償還分は当面の値上げ期間の4年間だけで約27億円もあります。
また、この4年間の赤字が約79億円になる分を値上げするとしていますが、赤字のもととなる経費増の要因で大きいのが、未給水地区解消事業と、防災対策です。
 未給水地区というのは、いずれもかなりの距離の配管工事、施設建設工事を必要とし、この4年間で解消するわけではなく、さらに、5500戸の対象世帯に対し、15年もの長い年月と150億円の事業費を必要とします。
未給水地区の解消は必要なことですが、もっと効率的な、事業のあり方についての検討が必要だ考えます。ちなみに、未給水地区の戸山地区の水をよく使う業者の人に聞くと、水道を引いてくれという声は聞かないし、今のままでいいと言っておられます。この問題は、地元とよく協議することも必要だと考えます。また、市民生活に欠かせない水の安定確保の事業を独立採算の事業でやること自体が問題で、これは行政の責任の問題です。同様に、最も重要なライフラインである水道を災害から守る対策も当然に行政の責任です。
 前回の値上げの際の議論でも、当局は地方公営企業である水道事業は、受益者負担・独立採算の原則で運営すると繰り返し述べていましたが、その際、ダムの建設費が膨大で長期にわたる先行投資となり水道財政を圧迫するので、一般会計からの繰り出しをしていると述べていました。
 
 必要なら一般財源からの繰り入れもすべき

また、地方財政法の第6条では、要約すれば“その経費は、能率的な経営を行っても、水道で言えば、料金収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費を除き、料金収入をもって充てなければならない”としています。つまり、経営努力しても料金収入だけでは無理なら、一般会計からの繰り入れも可能ということだと考えます。さらに、1960年10月の地方公営企業制度調査会答申では、企業経営に伴う危険は最終的には地方公共団体が負わねばならない、と述べています。必要なら一般財源から繰り入れを行うべきだと考えます。
この点で、平成9年度は約23億円、10年度は31億円の補助金などが一般会計から繰り入れられていたのに対して、14年度からは年1億7千万円前後になっています。
以前のとおりに補助を続ければ、料金値上げの必要がないわけですから、市行政としての責任に基づいて、以前の水準の補助を続けるべきです。行政としての責任を回避し、しかも、かつてなく深刻な経済状況の中で、市民負担を増やし、景気をさらに悪化させることにつながる、この議案には賛成することはできません。

緊急地域雇用創出特別交付金事業  期限限定で95人だけでは不充分

 次に、第103号の補正予算案には賛成ですが、いくつか意見を付しておきたいと思います。
103号議案では、政府による緊急地域雇用創出特別交付金事業の補正額4550万9千円があります。深刻な失業問題に対応しようとするものでありますが、県が実施するものもあるとは言え、期間限定で95人だけしか雇用できないというのは、あまりにも不十分だと考えます。
 最新の数字で、全国の完全失業率は5.4%、潜在失業を含めると10%を軽く超えるといわれています。中国地方の7月から9月の平均の完全失業率は4.6%で、やや全国よりはいいとは言え、10月の広島県の有効求人倍率は0.64倍で、前月を0.02ポイント下回り、着実に悪化しています。
 本会議でも指摘されましたが、こうした厳しい市民生活の痛みを、最も身近な行政である市が、みずからの痛みとしてしっかりと受け止める立場で、雇用対策に取り組むべきだと考えます。当局が言われるように、国・県・市の役割分担という議論もわかりますが、現今の経済状況はかつてなく厳しく、明るい材料は何もない状況で、そのような立場だけ述べていたのでは、市民生活を守るべき市行政の役割は果たせないと考えます。今回の措置を最大限活用して、より有効に雇用に結びつくように努力を傾けるとともに、ひとつは、もっと雇用数を拡大できるように、市の財政を一定投入して雇用拡大に取り組むこと、さらに、きわめて短期の雇用に限定されており、まったくのつなぎにしかならないわけで、中期的な企業への支援も含めて、常雇いにつながるような事業を検討することも考えられていいと思います。
 
中小企業への支援の努力を

また、企業倒産が増え続けていることについて、小泉首相は「構造改革が順調に進んでいること」などと、国民の困難にきわめて冷淡な態度をとり続けていますが、企業がひとつ倒れれば、今回の事業で臨時雇用する人数ぐらいはすぐに失業になります。大企業は政府のリストラ応援の政策に乗って、当然のように大量のリストラを続けていますが、多くの中小企業は、必死で雇用を守ろうとがんばっています。本会議などでも提案してきた、市行政が直接、実態や要望を把握することに取り組むとともに、引き続き融資や技術支援、経営方策上の支援など、市内の中小企業への支援にこれまでにも増して努力されるよう求めておきます。

プラスチックゴミの減量へ本格的な取り組みを

 次に、プラスチック製容器包装リサイクル事業の委託に関する債務負担行為についてです。法律自体が、事業者責任があいまいな一方、分別・収集を行う市民と自治体に、財政面でも労力の点でも過大な負担を負わせるなどの問題点が指摘されてきました。また、こうした事業に対して、ゴミの減量化への期待が大きいわけですが、しかしこれだけでは排出されるプラスチック製容器自体が減ることに必ずしもつながらないことは、ペットボトルが増えつづけていることを見れば明らかです。ゴミとして出てくるプラスチック製容器自体を減らすための抜本的な社会システムに改めるよう、大きな負担をこうむる市行政などが、国に強力な要請活動を行う必要があると考えます。
同時に、分別して出す市民へのきめ細かい説明と、ゴミ減量に向けた市民の関心を高めるあらゆる努力を行うことも必要です。
 また、示された金額は、仙台市の事例と比べると、1トン当たり1万6千円も高く見積もられています。このままでは、この価格が基準となって入札されることになります。先行事例をよく研究して、入札の前に見直すべきです。さらに、16年度から事業開始となっていますが、2年も必要なのか疑問です。実施時期を早める取り組みもあわせて求めておきます。
 以上の意見を付して、第103号議案には賛成とします。
 以上で、討論を終わります。
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