2002年第2回定例会(6月議会)一般質問 6月26日(水) |
教育について 【中原ひろみ議員】 学校完全五日制は、子供と先生が、ゆとりをもって勉強し遊べると実感できるものでなければならない。しかし、実態はそれどころではない。 特色ある学校づくりを進めている広島市内のある小学校3年生は、月曜日から金曜日までの5日間に6時間授業が4日、下校時間は午後4時30分にもなっている。 中学・高校では7時間授業で、子供たちは「クラブ活動をもっとしたい」、先生たちは「最後の授業は集中力がなくなっている」「生徒に声かけする時間もない」との声が出ている。 また、文部科学省は、授業内容が三割削減された新学習指導要領は、「最低基準」「基礎・基本の徹底を」と言い出し始めた。 全教広島が実施した県民アンケートでは、父母が学校に期待する事は「基礎学力の充実」がトップである。子供たちも、「学びたい・知りたい・できるようになりたい」という知的好奇心は高いのに、「意味もわからないのに覚える勉強」「早くできることを強要される勉強」では、逃げ出したくなるのも当然ではないか。 文部省のアンケートでも、「授業が分らない」ことが一番不安だと答えている子どもが半分以上もいる。それなのに、広島市は、今回から新学習指導要領に基づく指導書の購入費を削り、これまでの各クラスに一冊から、学年に一冊へと、学校規模に関係なく一律78万円しか補助しなくなった。教科書を補足する指導書を削ることは、先生から「授業づくり」の手がかりを奪うことにならないか。 一方、愛知県犬山市は、「授業を通じて子どもに学びを保障しよう」と、現場教師と大学教授が中心になって算数副読本の作成委員会を設置して、小学校5年生と中学校1年生の算数の学力テストを実施。その回答を分析し、つまずいている箇所を明らかにした上で、基礎学力を身につけられる算数副読本をつくり、市独自の副教本として、今年の4月から学校で活用されている。 広島の子どもには広島市が責任を持つと言う立場で、どこでつまづいているのか子どもの実態を調査し、「わかる授業・わかる面白さ」が体験できる学校づくりへ取り組みを始める考えはないか。 【教育長】 本年度より全面実施となった新学習指導要領は、各教科の教育内容を厳選し、児童生徒がゆとりをもって基礎・基本をじっくり学習できるようにするとともに、各教科等の学習で得た個々の知識を結びつけ、総合的に働かせる「総合的な学習の時間」を設けるなど、興味・関心に応じた学習に主体的に取り組むことができるように改善されている。 こうした新学習指導要領に対応した指導を図るため、本市教育委員会においては、少人数授業や複数教員による指導、習熟の程度等に応じた学習指導を取り入れるなど、指導方法の工夫改善を行うとともに、各教科等の指導資料を作成・配付している。 さらに、指導主事が計画的に全ての学校を訪問し、教職員の資質向上を図り、充実した授業の展開がなされるよう指導を行っている。 また、6月25日には、広島県教育委員会とともに基礎学力の定着状況調査を実施し、今後、その調査結果を詳細に分析し、指導方法の工夫改善に役立てることにしている。 今後とも、各学校において児童生徒や地域の実態を踏まえ、創意工夫を生かした教育活動を展開し、特色ある学校づくりを推進するよう指導していく。 【中原ひろみ議員】 「ゆとり」のなかで自ら学ぶ力を育てるというなら、こどもひとり一人に目配りできる少人数学級の実現が欠かせない。市は、小人数学級の実践研究をしているが、市長の20人学級の公約からすれば、内容もテンポも規模もまったく遅すぎる。県とは別に市が独自に予算をつけ、30人以下学級を実現すべきである。来年度はどうする考えか。 【教育長】 本市教育委員会においては、一人ひとりの子どもに応じたきめ細かな指導の充実を目指して、昨年度から、小学校1年生における「複数教員による学習指導に関する実践研究事業」及び小学校6年生と中学校1年生における「少人数指導の導入に係る実践研究事業」を導入し、実践研究を進めている。 また、本市独自で小・中学校に約550名の非常勤講師を配置し、教科指導等の充実を図っている。 学級編制については、広島県教育委員会が定めた基準によることとなっており、昨年度、小学校1年生で「はばたきプラン」が実施され、36人以上の学級が3以上の学校には常勤教諭1名を加配し学級数を増やすことにより、35人以下の学級編制となった。さらに本年度は、このプランが小学校2年生まで拡大された。 今後、本市教育委員会としては、本市の実践研究事業の充実・深化を図り、その研究成果をもとに少人数指導の充実に努めるとともに、学級編制の一層の弾力化について県教育委員会と協議を進めていきたい。 【中原ひろみ議員】 市が6月3日から実施している「学校フレッシュアシスタント雇用事業」の実施状況はどうなっているか。 【教育長】 学校フレッシュアシスタント雇用事業は、児童生徒の学校生活の支援等を行なわせることを目的として、緊急地域雇用創出特別基金の活用により、失業中の教職員志願者を臨時教員補助者として雇用して行なうものである。 現在、全小中学校に各1名、計196名を配置し、各学校において児童生徒の学校生活の支援や、総合的な学習の時間の指導補助など特色ある学校づくりの推進にかかる業務を行なっている。 【中原ひろみ議員】 保護者から、五日制にふさわしい受け皿づくりを求める声が出ている。「子供だけ休みになっても親が仕事では意味がない」「児童館の開館が9時では、子どもを置いて仕事に出かけることになり、閉館の4時までには帰れない。児童館の時間を延長してほしい」という切実な要求に答える考えはないか。 【社会局長】 本年4月からの学校週5日制の実施に伴い、今年度の留守家庭子ども会及び児童館の土曜日の開会・開館時間については、保護者を含む関係者の意見や要望を踏まえ、留守家庭子ども会については午前9時から午後3時まで、児童館については午前10時から午後4時までとしている。 この時間については、今年度は「試行」という位置づけとしており、利用状況や運営上の問題点等を整理した上で、再度、保護者の方々の意見も聞きながら、検討を行なっていく。 【中原ひろみ議員】 また、40度を越えるプレハブの留守家庭子ども会へのクーラー設置は、一刻も待てない緊急の問題である。もし、熱中症で子どもが死んだら市の責任問題である。市は寄付での設置を検討すると青少年問題特別委員会で答弁したが、本来、市が予算を付けてクーラーを設置するのが当たり前である。どうするのか。 【教育長】 留守家庭子ども会が運営されている施設の中でも、特に、プレハブ施設の夏季の環境が厳しい状況であることは認識している。 しかしながら、厳しい財政状況の中で、特別な場合を除き学校の教室への冷房設置を行っていないこと、留守家庭子ども会事業は、登録された児童を対象としていること、児童館が建設されるまでの暫定施設であることから、プレハブの留守家庭子ども会施設への冷房設置は、現状では困難な状況である。 このため、夏休み期間中において可能な場合には、教室へ移動するなどの工夫も行っている。 なお、保護者会による冷房設置の申し出があった場合には、その承認について検討を行っていく。 【中原ひろみ議員】 今年は22館の児童館にクーラーが設置されるが、今後の整備計画はどうなっているのか。 【社会局長】 児童館への冷房設備については、今年度から静養室へ順次整備していく予定。これに合わせ、篤志、好意に基づく寄附申し出も積極的に受け入れることとし、現在までに12台の寄附を受けており、本市整備分22台と合わせると、今年度の児童館への整備は、現時点では合計34台となる。 今後とも、厳しい財政状況ではあるが、できるだけ早期にすべての児童館へ整備できるよう努力していきたい。 【中原ひろみ議員】 指導書の位置付け、削減理由と額、先生たちにどんな授業をもとめているのかお聞きする。 【教育長】 これからの社会を生きる児童生徒には、自ら学び、自ら考える、いわゆる「生きる力」を育成することが求められている。 このため、各教科の授業において、児童生徒の興味・関心を生かし、自主的、自発的な学習が促されるよう、体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図るなど 教員一人一人が多様な指導方法を創意工夫することが必要であると考えている。 したがって、議員お尋ねの指導書は、教科書発行者が教科書に則して独自に作成している教師用の資料であり、こうした授業計画を立案するなどの参考資料の一つとして捉えている。 平成14年度の指導書予算については、政令市の実態及び本市の財政事情等を総合的に勘案し、各学年に1セットとし、その結果、前回と比較して小学校で約1億2,900万円(1校平均▲約95万円)、中学校で約1,900万円(1校平均▲約32万円)、それぞれ減額となった。 ↑上に戻る |
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