2002年第2回定例会(6月議会)一般質問 6月26日(水)
生活保護行政について

【中原ひろみ議員】
 長引く不況は、市内でも倒産、廃業、失業者の増大など、暮らしと営業に深刻な影響を与え、生活保護世帯は最近の5年間で、平均5529世帯から8125世帯へと、実に1.5倍になっている。
 そういう中、福祉事務所の相談窓口では、相談にきた市民を厄介物扱いし、公務員とは云えない対応があるようである。
 一例を挙げると、二つの仕事を掛け持ちしても国保料滞納で資格証の50才台の女性は、200以上の高血圧でフラフラ状態なのに、若い職員に「高血圧はみんな薬を飲んで働いている」と言われ、たいへん惨めな思いをされたと言っておられた。
 また、20年近く厚生年金を掛けた男性は、保護申請時に、厚生年金の脱退一時金で生活せよと職員に指導された。一旦、生活保護を適用して就職させ、厚生年金を継続すれば自立の道が開かれるのに、逆に自立の道を閉ざす指導をしたわけである。
 保護世帯の高齢化と就職難の中で、自立を支援するケースワーカーには人間らしい思いやりの姿勢、親切で的確な対応が求められる。ケースワーカーの質の向上・増員が急務である。
 そこで質問する。
広島市は、ケースワーカーにどのような資質を求めているのか。資質を向上させる具体的な取り組みはどうなっているのか。

【社会局長】
 ケースワーカーは、市民の最低生活の保障と自立の助長という重要な役割を担っており、生活保護制度を始め各種福祉制度の知識を深め、相手の話しをよく聞き、相手の立場に立って、現在どのようなことが必要であるか、自立のために何が必要であるかを判断し、援助することが大切である。
 このケースワーカーの資質の向上を図るため、日常の業務の中で課長、係長(査察指導員)等が指導を行うとともに、必要に応じて職場研修にも取り組んでいる。
 さらに、新任のケースワーカーを対象に年金制度、面接相談の技術、病状把握の方法等について本庁で研修を行っている。


【中原ひろみ議員】
 ケースワーカーの経験年数が3年未満、さらに、1年未満の職員、新入職員が2〜3割も占めている状況では、まともなケースワークを行うことは困難である。この状況をどのように考えているのか。

【社会局長】
 ケースワーカーの人事異動にあたっては、業務の専門性から3年という基本的なサイクルにこだわらず行ってきているが、本年度はケースワーカーの増員が6名あったこともあり、新任者が多くなっている。
 今後のケースワークにあたっては、新任者の研修に努めるとともに経験不足をカバーし、公平な指導援助を確保するため、新規に受理したケースについては課長、係長(査察指導員)がケースワーカーから世帯の実態を聴き、生活の保障の実施や自立のための指導援助の方法などについて協議し、共通認識をもって取り組み、困難ケースについては検討会議を開き、所長を含めて全職員で問題解決に取り組むなど、組織的な取り組みを行っていきたい。

【中原ひろみ議員】
 国のケースワーカー配置の目安は80世帯に一人である。広島市の配置基準と人数、1人当たりの担当世帯数はどうなっているのか。ケースワーカー1人当たりの担当世帯数を80世帯以内になるように、適正な人員配置をする考えはないか。

【社会局長】
 ケースワーカーの配置は、社会福祉法(第16条)の規定により、「被保護世帯数が80増すごとに1名を加えた数を標準として定める」とされており、本市においてもこれを基本としている。
 ケースワーカーの人数は92名で、平成13年度平均の被保護世帯数8,125世帯に対し、1人当たりの担当世帯数は88世帯となっている。
 本市においては、平成9年度から行財政改革のもと、職員数の削減に取り組んでいるが、ケースワーカーについては被保護世帯の増加に伴い、平成14年度までの6年間で29名(46.0%)の増員を行っている。
 今後とも、保護の動向を踏まえケースワーカーの確保に努め、親切で適切な援助を行うよう努力していきたい。

【中原ひろみ議員】
 昨年4月から、家電4品目のリサイクル費、運搬費が必要となった。生活保護世帯といえども、家電4品目の保有は可能であり、壊れれば1回で数千円になるリサイクル費用の負担をすることになる。この負担が生活保護世帯には大変重く、最低生活費にしわ寄せされている。生活保護の目的を損なうことのないように、何らかの助成措置が必要だと考えるが、どうするのか。

【社会局長】
 大型ゴミを処分する場合、運搬費用は減免されているが、洗濯機、テレビ、エアコン、冷蔵庫の家電4品目は、特定家庭用機器再商品化法において、2,400円から4,600円程度のリサイクル費用を支払うこととなっている。
 この制度については、始まって間もないところであり、リサイクル費用の生活への影響について実態を調査したい。

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