2002年9月定例会 中森辰一議員の一般質問 9月27日(金) |
広がりみせる原爆症認定求める運動に 市としても支援を 【中森辰一議員】 長崎市の松谷訴訟の勝訴を契機に、原爆症認定を求める運動が新たに広がっている。秋葉市長は、市長選挙での被爆者団体への回答で「原爆症認定申請を促進し、国に被爆者の実態を知らせ、意見を述べる」と約束されたが、現在の申請運動に対して、市としてどのような支援を考えているか。 今年の広島市、広島県の申請の件数はいくらか。また、かつては市役所内にも「原爆症認定審議会」が設置され、認定作業の促進に取り組んでいた。今日、改めて申請者が増えていることに加えて、高齢化が進み重病の状態で申請している実態もあることを踏まえ、認定作業の促進をはかるため、今後どのような努力をするのか。 【守田貞夫社会局長】 国に対する原爆症認定申請については、被爆者団体が集団申請の運動をしていることなどから、今年度の本市への申請件数は9月20日現在、既に昨年度のほぼ同数の194件あり、広島県への申請件数は昨年度の約2倍の102件となっている。 原爆症の認定審査については、これまで国に審査の迅速化を求めてきたが、昨年度、国において「原爆症認定に関する審査の方針」を定めるなど、医療認定審査事務の透明化や迅速化が図られている。 そうしたことから、平成13年度において、認定の可否が決定された本市経由分の件数は、過去3か年の平均105件に対して約2.5倍の241件で、今年度についても9月20日現在、145件となっている。 本市としては、申請される多くの被爆者の方々の気持ちを踏まえながら、国の認定審査が迅速に行われるよう、今後とも進達事務や相談業務など、日々の業務を適切に行っていく。 【中森辰一議員】 在外被爆者への対応など、担当事務が増大しており、被爆者手帳の認定作業などに遅れが出ないように現場職員の増員が必要だと思うがどうか。 【守田貞夫社会局長】 被爆者健康手帳審査事務については、常に迅速化を念頭において事務処理を行っており、審査体制については、本年度からの在外被爆者支援事業の開始に伴う審査事務を円滑に進めるため、1名を増員し、現在7名の職員で手帳審査に当たっている。 今後とも、被爆者の高齢化が進む中、手帳審査事務の迅速化について、より一層の努力をする。 「調査目的は被爆地域の拡大」と市が明言 −原爆被爆実態調査研究− 【中森辰一議員】 広島市も県も、これまで、黒い雨地域を含めた被爆地域の拡大を国に要望してきたが、これに対して国は「被爆地域の見直しには科学的根拠が必要」と言い続けてきた。今回、原爆被爆実態調査研究ということで1万人アンケート調査が行われる。これは国に対して被爆地域の拡大を求める科学的根拠を得るための調査だと思うが、そのとおりか。 また、市長が、かけがえのない存在とした被爆者がどのようにつくりだされたか、新たな事実を明らかにする調査であり、そのことで被爆の実相をさらに深める調査となるべきものだと考える。この点では、広島市内だけの調査ではやはり不十分だと考える。 国に対して広島市と一緒に被爆地域の拡大を要望してきた県も、今回と同様の調査を周辺市町村に対して行うべきではないか。是非、このことを県に強く求める必要があると思うがどうか。 【守田貞夫社会局長】 原爆被爆実態調査研究は、近年、大災害のもたらす心理的影響がクローズアップされる中で、本市として、原爆被害のより一層の実態解明と被爆者の実態に即した援護対策の促進、さらに、被爆地域の拡大に資するため、昨年度から本年度にかけて、被爆による心理的影響に関して実施しているものである。 本年度においては、この8月に、1万人余りを対象に郵送によるアンケート調査を行ない、今後、集計・分析作業を進め、専門家からなる広島市原爆被爆実態調査研究会に諮ったうえで、調査結果を取りまとめたい。 また、本市としては、この調査研究の成果から被爆地域拡大へつながるような材料が出せるということになれば、周辺市町村における同様の調査の必要性について、広島県や周辺市町村と協議・調整を行っていきたいと考える。 ↑上に戻る |
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