2002年9月定例会 中森辰一議員の一般質問 9月27日(金)
今こそヒロシマの市長として
国内外に世界平和を呼びかけるべき


【中森辰一議員】
 ニューヨークの同時テロから1年、アメリカのブッシュ政権はイラクにまで戦争を拡大しようとし、わが国の小泉政権は、こうした核兵器の使用も辞さないとする恐るべきブッシュ政権の方針を支持している。
 イラクは国連の査察受け入れを表明したが、ブッシュ政権は依然として戦争をする姿勢を崩していない。こうした中で、近くの岩国基地をはじめ、全国に展開する米軍基地では盛んに実戦訓練が繰り返され、まさに戦争前夜の状況にある。
 戦争ではいつもそうであるように、かつての湾岸戦争でもたくさんの子供たちや女性が犠牲となった。核兵器は使われなかったが、米軍の劣化ウラン弾の大量使用による放射能の影響で、イラクではチェルノブイリやセミパラチンスクと同じように白血病や甲状腺ガンの子供たちが増大し、悲惨な姿の子供が産まれている。
 ヒロシマは最悪の大量破壊兵器である核兵器使用によるあまりにも悲惨な体験を原点として、世界に核兵器廃絶と各国の協調による世界平和を訴え続けてきた。
 こうした世論の輪は、今日、世界中に広がり、アメリカにおいてさえもイラクへの戦争拡大反対の行動が広がっている。
 市長は今年の平和宣言で、イラクへの戦争政策を進めるアメリカ政府を批判し、わが国政府に対して核兵器の絶対否定と戦争の放棄を求めた。現在の緊迫した状況にあたって、改めてアメリカ政府に対して、イラクへの戦争をしないよう求め、合わせて世界平和市長会議のメンバー市長に協調して行動するように呼びかけるときではないか。
 また、わが国政府に対しては、決してイラクとの戦争に参加しないよう改めて求めるべきではないかと思うがどうか。

【秋葉忠利市長】
 アメリカがイラクのフセイン政権打倒に向け、「使える手段はすべて使う」との強行姿勢のもと、軍事攻撃を計画している危険な状況を大いに憂慮している。そのため、8月末に行われたアメリカの臨界前核実験に対する抗議の際、人類滅亡の道から逃れるために、核兵器の使用は絶対に避けるよう求めた。
 また、今月初めにロシアを訪問し、外務省の高官にプーチン大統領の広島訪問や一層の核軍縮努力を求めた際にも、アメリカの行き過ぎた自国中心主義の姿勢を是正するため積極的な役割を果たすよう要請した。
 わが国政府も、先日訪米した小泉首相がブッシュ大統領との日米首脳会談でアメリカに自制を求めるとともに、国際協調による一層の外交努力を要請している。
 こうした中、イラクは今月16日、国連に対し大量破壊兵器に関する査察を無条件で受け入れる方針を伝えた。査察をめぐる過去の経緯もあり、現時点ではアメリカがこれに懐疑的な見方をしていることなど、事態が実際に好転するかどうか予断を許さない状況だが、今回のイラク側の姿勢の変化をきっかけに、国際的な協調の下、外交努力により事態の打開を図ることが急務と考える。
 本市としては、こうした日々変化しつつある情勢を十分見極める必要があるため、現時点で直ちに行動することは考えていないが、今後も国内外の情勢を注意深く見守るとともに、来月中旬のアメリカ訪問などの機会を十二分に活かし、広島市として、また平和市長会議として適切に対応していきたいと考える。

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