2002年9月定例会 厚生委員会/中原ひろみ議員 10月1日(火)
本気で取り組む姿勢なら、すぐにできることはある
〜バリアフリー社会の実現に向けて〜

 広島市は、97年から06年の10カ年計画で、「障害のある人もない人も住み慣れた地域でともに暮らしていくための施策」を盛り込んだ「広島市障害基本計画」を推進しています。
 しかし、障害者のみなさんからすると、まだまだ社会参加を妨げる意識面での偏見や差別、物理的な障壁など課題が残されています。
 中原ひろみ議員は、市がバリアフリーの社会実現に本気で取り組む姿勢があるならば、すぐにでも解決・改善できることがあると是正を求めました。

盲導犬も一緒に診療室へ入れます −市民病院−
 10月から、盲導犬も市民病院に同伴して入れることになりました。「犬は自分の体の一部。離れ離れにされるのは不安で仕方ない。犬と一緒に治療が受けられるようにしてもらいたい」。市民病院に通院する視覚障害者の方の言葉です。
 市内で盲導犬と生活している視覚障害者はわずか11人ですが、これまで市民病院では盲導犬はロビーまでで、2階以上は受け入れない方針でした。10月から補助犬法が施行され、病院や公共施設での補助犬の受け入れ拒否はできなくなりました。
 この問題は、6月議会でも村上あつ子議員が厚生委員会で取り上げ、「病院という性格上、難しい面もあるが積極的に検討すべき」と求めていたものです。

 中原ひろみ議員は、すでに補助犬を受け入れている広大付属病院などを紹介し、市民病院でも盲導犬、聴導犬、介助犬を同伴した診察ができる体制の確立と、患者も含めた啓発活動を求めました。

障害者差別につながる標示撤去へ −市民病院−
 「車いす使用の方がエレベーターを利用されるときは、できる限り付き添いの方と一緒にご利用ください」。これは、市民病院のエレベーター付近に掲示されたプレートです。
 中原ひろみ議員は、このプレートは車いすで1人で外出できるバリアフリー社会を目指す市の姿勢と逆行するものだと指摘し、撤去を求めました。
 これに対し市民病院事務室事務長は、改善を約束しました。

途切れた手すりがつながります −地下街シャレオ−
 紙屋町地下街シャレオの階段の手すりが途中で切れており、障害者の方から改善を要求する声が出ていました。 
 現地は、平坦になったかと思うと、まだ階段が続いているという、大変危険なつくりになっています。
 中原ひろみ議員は、現地の写真を示しながら改善を求めました。これに対し社会企画課長は、「知恵を出していく」と改善を約束しました。

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土曜・日曜・祝日の昼間診療スタート
〜舟入病院の小児科救急外来〜

 10月5日から、舟入病院の小児科救急外来は、土曜、日曜、祝日の昼間診療を開始しました。多くの保護者の声で実現したものです。
 9月議会では、医師3名、薬剤師2名、嘱託看護士2名の人権費など、約7,200万円の補正予算が提案されました。
 同病院の夜間救急を利用した子どもは、この5年間で1日72人から100人に増加しており、日本共産党はこれまでも小児医療の充実を求めてきました。

一部議員から耳を疑うような発言
 しかし委員会のなかで一部議員から、「毎年3億円から4億円の赤字を出しているなかで、採算のとれない救急医療体制を整備することは問題ではないか」と、耳を疑いたくなるような発言がありました。
 中原ひろみ議員は、「子どもの命はお金には代えられない」と強調したうえで、「病院が赤字経営にならない努力は必要だか、市民の命を守る自治体本来の仕事をしようと計上した予算を問題にするのはおかしい」と批判。「採算性を問題にするならば、緊急性、必要性のない巨大開発こそ見直すべき」とただしました。

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市は公的責任を果たしサービス切り下げないで
〜障害者支援費制度〜

 障害者への福祉サービスは、来年4月から障害者本人がサービスを選択し、サービス提供事業者と直接契約する「支援費制度」に変わります。提供されたサービス利用料の一部を国が補助します。
 11月から支援費の申し込みが始まりますが、「サービス切り下げにならないか」など、新しい制度への不安の声があがっています。

生活実態を区が認定 認定証なければサービス受けられない
 市役所がサービス内容を決定する現行の「措置制度」は、現在、市内約3,800人が利用しています。
 「支援費制度」では、本人が区役所に申し込み、区の担当者が障害者手帳とは関係なく、障害者の生活実態を3段階(重度・中度・軽度)に分けて認定証を発行することになります。
 この認定証がないと、来年の4月からはサービスが受けられず、新たな施設入所もできません。

本人がサービス選択困難な場合へのサポート体制を
 知的・言語障害・コミュニケーションの困難など、本人によるサービス選択や事業者との契約が難しい障害者ついてはサポート体制が必要です。また、障害者区分の認定をする市の職員には専門知識が必要となります。
 中原ひろみ議員は、今の職員体制では対象者を訪問し、本人と家族の状況を判断し認定することは困難であることを指摘し、職員の増員を求めました。
 これに対し障害福祉課長は、「支援費の申請受付は各区でおこなう。現在、職員研修をおこなっている。障害者区分調査については、現行利用者記録をもとに、障害者厚生相談所や児童療育指導センターなどの専門機関と連携して実施する」と答えました。

福祉サービス利用者と職員数 (市社会局障害福祉課資料より)
区分 在宅サービス
利用者
施設サービス
利用者
利用者合計 職員数
中区 269人 173人 442人 5人
東区 288人 173人 461人 7人
南区 298人 187人 485人 5人
西区 314人 195人 509人 5人
安佐南区 443人 183人 626人 5人
安佐北区 432人 185人 617人 5人
安芸区 119人 88人 207人 6人
佐伯区 305人 174人 479人 7人
合計 2,468人 1,358人 3,826人 45人

市内施設整備状況・利用状況 (2002.6.1現在 市社会局障害福祉課資料より)
区分 基本計画 整備状況 利用者数 待機者数
身体障害者施設
(療護施設、授産施設、福祉ホーム)
入所 160人分 156人 6人
通所 60人分 57人 1人
合計 390人分 220人分 213人 7人
知的障害者施設
(更生施設、授産施設、重症心身障害児施設)
入所 524人分 503人 61人
通所 401人分 393人 12人
合計 1,100人分 925人分 896人 73人
(注)利用者数および待機者数は市外の措置者数を含む。

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障害者の負担を増やしてはならない
〜無料ガイドヘルパー〜

 中原ひろみ議員は、サービス量・内容・負担のどの角度からもサービスを後退させることのないよう、特に盲人ガイドヘルパーや車椅子ガイドヘルパーなど、市独自で無料で実施してきたサービスを維持するよう強く求めました。

(障害福祉課長)
◎非日常的な生活にのみ、月80時間まで利用できることに変更はない
◎国基準(9月12日発表)では、本人と扶養義務者それぞれの税額に応じて利用者負担が必要となる
◎現在、ガイドヘルパーの交通費は2千円を上限に支払っているが、この制度を維持するかどうかは検討している
◎ガイドヘルパーを担っているのはボランティアであり、実施形態については利用者とボランティアの意向を聞いて検討する
◎負担額は制度全般を検討しないと決められない。従来のサービス水準から低下させない方向で検討していく

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介護保険料3割引き上げは許されない
高齢者の保険料負担は合計約18億3000万円増える

 市が来年4月から介護保険料を見直し、第3段階の場合、3004円(現行)から3900円へ大幅な引き上げを明らかにしています。高齢者の保険料負担は、全体で約?18?億3千万円増えます。
 中原議員は、全国の保険料の引き上げ率平均?11?%に比べ、広島市の?30?%引き上げは異常であることや、政令指定都市でも最悪の上げ幅(表)であることを強調し、引き上げの根拠を聞きました。社会局長は「高齢者の認定数が3割伸び、サービス利用量が増えたため」と答えましたが、納得できる回答はありませんでした。

(社会局長)
 65歳以上のお年よりへは医療も介護も負担が大きいが、所得に応じた負担になっている。3割高の原因は、高齢者の認定者数が3割伸び、サービスの利用量が増えたためである。介護保険は、全体のサービスにかかる経費を負担する仕組みになっており、サービス料が増えれば負担も増える仕組みになっている。
(介護保険室長)
 サービス利用と支給限度外との割合が、介護度別に、「要支援」46.3%、「介護度1」は35.4%、「介護度2」は43.7%、「介護度3」は46.7%、「介護度4」は51.0%、「介護度5」は55.1%、「全体」で44.1%の利用となっており、国の介護サービス全体の平均利用率39%と比較すると、広島市のサービス利用率が約5%高く、国基準を大幅に上回るのが引き上げの理由である。

介護保険料引き上げ・医療費負担増  年金支給額引き下げで トリプルパンチ
 本来なら、利用率は100%で当然ですが、現実には利用料が所得に関係なく一律であるため負担が重く、利用限度額いっぱいのサービスを使えずに手控えています。使えると認定されたサービスさえ思うように使えない中で、保険料引き上げは、「保険あって介護なし」の状態をますます拡大することに。高齢者は、介護保険料の引き上げに加え、医療費の負担増、年金支給額引き下げと、トリプルパンチとなります。

国に対して「制度見直し」を求めよ
 介護保険は、無収入の人からも保険料を徴収し、低い所得の人ほど負担が重くなります。サービス利用者が増えれば保険料が上がる制度そのものが根本的に成り立たちません。中原議員は、「市は、市民への負担で乗り切るのでなく国へ現行制度の抜本的見直しを求めるべき」と追及しました。

各政令都市 2003年度からの介護保険料 第3段階の場合
都市名 現行の月額介護保険料 次期計画の介護保険料 増額分 伸び率
広島市 3,004円 3,900円(見込み) 896円 29.82%
札幌市 3,141円 3,856円 715円 22.76%
仙台市 2,858円 3,467円 618円 21.62%
千葉市 3,000円 3,259円 259円 8.60%
川崎市 2,953円 3,355円 402円 13.61%
横浜市 3,165円 検討中 増額見込み
名古屋市 2,876円 検討中
京都市 2,958円 検討中
大阪市 3,381円 3,847円 466円 13.78%
神戸市 3,137円 検討中
北九州市 3,150円 3,870円 720円 22.85%
福岡市 3,290円 3,652円 362円 11.00%

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介護保険減免制度 用件を緩和し、減免対象者の拡大を
高齢者の35%は第2段階  2250円→2925円  生活保護世帯との矛盾拡大

 毎月2250円の介護保険料を支払う第2段階に属する人は、高齢者全体の約35%にあたる約6万人で、そのうちの800人が減免制度を受けています。
 しかし、来年度の見直し後の保険料は第2段階で2925円となり、今の第3段階(3004円)に匹敵する金額に引き上がることから、生活保護世帯との矛盾が一層拡大します。
 中原議員は、減免基準は生活保護基準といいながら、生活保護で認めている家賃も高齢者加算も、実際には認めていないことを指摘。せめて、家賃を払っている非課税世帯には、家賃分を減免基準額(年収?92?万4千円)に上乗せし、減免用件を緩和するよう要望しました。

(介護保険室長)
 生活困窮者への減免は、第2段階の所得に属する人で、特に、収入の少ない人を対象に申請によって減免をする形をとっている。この措置の対象者の収入用件は、ひとり暮らしの高齢者は生活保護基準の食費、被服費にあたる第1類比、家具什器費にあたる第2類比の額を合計して、?92?万4千円以下の基準をつくっている。
 これにより、生活保護世帯との公平性を確保できていると考える。介護報酬の改定も予定されている。減免の拡大についてはまだ予算時期の前で考えていない。

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児童館 「整備・充実」「開設時間の延長」早く
市 本格的な整備計画示さず

 一年に一館という建設テンポでは、全ての小学校区に児童館が整備されるまで?30?年もかかります。今年4月から五日制が始まりましたが、土曜日が仕事の家庭も多く、子どもたちの居場所として改めて児童館の役割が大きくなっています他県には、朝8時半から夕方6時まで開設している児童館もあります。中原議員は、@段原小学校など未整備児童館の早期建設、A児童館の開設時間延長ーを要望しました。

 児童担当課長は、6月議会とほぼ同様に、「既存公共施設を転用する」「余裕教室を暫定児童館に整備」「利用時間延長は、関係と協議調整する」と答えるにとどまり、本格的に整備する姿勢は示しませんでした。

(児童担当課長)
 新規建設のみならず利用可能な既存公共施設の児童館への転用を含め、関係課と調整を行っている。建設費の圧縮にもなり、将来にわたり弾力的な運用が可能な学校の余裕教室を暫定児童館に整備することを検討している。児童館未設置の小学校の現状調査を行い、余裕教室の実態を把握すると共に、学校長から現場における実情を聞いている。
 開館時間については、保護者体や現場の職員との協議の場を設け、現在、意見交換を行っている。職員の勤務時間や体制の問題があり、今はまだ、結論が出ていない。引き続き利用実態を踏まえて関係者と協議調整を行い決めていく。

全ての児童館にクーラー設置を
 今年は49館にクーラーが整備されました。静養室という限られた部屋への設置ですが、「クーラーが付いて涼しい部屋があると言うだけで、この夏休みの子供たちの遊びかたが違ってきた」と大変喜ばれています。しかし、まだ半数の児童館に未整備です。中原議員は、来年の夏までに全ての児童館に設置するよう求めました。

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