トップ議会情報・議員の発言 2014年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2014年2月19日 本会議 総括質問 村上あつ子議員

  ●国の悪政から市民生活を守る防波堤になる予算編成を
  ●ヒロシマは戦争する国づくりを許さない
  ●被爆70周年を迎えるにあたって
  ●地域経済の活性化のために
    ・企業立地促進補助事業と中小企業支援について
    ・住宅リフォーム補助制度について

  ●区役所機能の充実を
  ●全国に誇れる施策に誇りを持って
    ・学童保育事業について
    ・障害児通園施設利用者負担助成について

       

●国の悪政から市民生活を守る防波堤になる予算編成を
(村上あつ子議員) 
 はじめに、2014年度予算編成についてお聞きします。
 国における2013年度補正予算案は、アベノミクスで格差と貧困がさらに一層広がっているなか、消費税増税、社会保障改悪など国民負担を増大させる一方で、大企業向けの減税や大型開発への財政支出を行うものでした。
 その最たるものは、復興特別法人税の廃止です。国民に対しては25年間8兆円もの特別所得税の負担を押し付け、法人に対しては特別法人税の負担を2年でやめる、つまりは、今後23年間で約20兆円の恒久減税を行うというものです。
そもそも、法人税の実効税率を5%引き下げており、復興特別法人税を上乗せしても企業にとって何の痛みもありませんでした。さらに、「国土強靭化」と称して3,000億円以上の公共事業の追加で大企業へ仕事が回る仕組みが作られています。東日本大震災の復興のためと個人市民税が増税されましたが、徴収された一人500円は被災地には回らず自治体の「防災・減災」対策に使われていることを市民は納得しているのでしょうか。自治体が防災・減災に予算を使うことは必要なことですが、復興のための財源となる特別増税なのですから被災地に向けられるべきではないでしょうか。
 さて、大企業優先、国民生活切り捨ての安倍政権の下、市政においては「住民の福祉の向上を図る」自治体本来の役割を発揮しなくてはなりません。
 2014年度(新年度)予算案は、一般会計の予算規模は、対前年度比2.8%増で3年ぶりにプラス予算となりました。歳出では、小、中学校の耐震化・空調整備や保育園の耐震診断、道路・橋りょう維持補修費などの市民生活に直結した土木予算が計上されていますが、高速5号線総事業費1,036億円、広島駅周辺再整備の総事業費は1,018億円。さらに、広島駅南口再整備で路面電車の軌道変更、アストラムライン延伸、旧市民球場や西飛行場等の跡地活用の検討の予算が目白押しで巨大開発まっしぐらの兆候を指摘せざるを得ません。4月からの消費税8%への引き上げで市民の負担は約850億円も増え、さらに公共施設使用料等の引き上げで12億円の負担増となり市民の暮らしは一層深刻さを増します。一方、市債は、前年度比5.7%の伸び率となっています。
 2014年度末の市債の実質残高は、7,148億円に膨れ上がり、財政運営方針より140億円多くなっています。その理由を、財政運営方針策定後に土地開発公社の解散に伴い、第三セクター等改革推進債を発行したためであり、これを除けば計画を下回っているとの説明がありましたが、これは当局の都合のいい説明であって、これを加味しても財政運営方針の目標を達成できるよう大規模公共事業は抑制するべきではありませんか。

(財政局長)
 新年度の当初予算におきましては、公共事業において、大規模か否かによるのではなく、都市の発展や市民生活に必要不可欠なものは、着実に前進させるという考え方のもとに、しっかりと取り組むこととし、一般会計の普通建設事業費全体では前年度に比べて2.8%、20億円の増となっています。
 とりわけ、市民生活に必要不可欠な公共事業については、学校の耐震化及び空調設備に対前年度46億円増の83億円、民間老人福祉施設及び民間保育園の施設整備補助に対前年度5億円増の28億円を計上するなど、重点的に予算配分しているところでございます。
 

(村上あつ子議員)
 また、市民一人当たりの市債残高を政令市平均とするため、市債の実質残高を4年間で8%削減するという目標を掲げていますが、どうなっていますか。お答えください。

(財政局長)
 一般会計の市債残高から臨時財政対策債残高および減債基金の積立額を除いた市債残高の抑制については、毎年度の当初予算編成において、前年度に比べて2%以上削減する用意を用いており、平成25年度当初予算では約146億円の減、平成26年度当初予算では約149億円の減と、これまで着実に抑制してきております。
 土地開発公社に係る債務を抜本的に解消し、将来に向けて財政健全化を図るため、多額の第三セクター等改革推進債を発行せざるを得なくなったことから、財政運営方針で掲げた市債残高抑制の目標を達成することは容易ではありませんが、引き続き、予算編成のみならず、予算執行においても、目標達成に向け全力を傾注してまいりたいと考えております。


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●広島は戦争する国づくりを許さない
(村上あつ子議員) 
 1月15日、大竹市阿多田島沖で、海上自衛艦「おおすみ」とプレジャーボート「とびうお」の衝突事故が起こりました。亡くなられた方々と、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
瀬戸内海は風光明媚でおだやかな気候に恵まれ、古より多くの文化と産業を育んできた豊かな海で、漁業者の生業の場であり、市民の憩いの場です。
ところが近年、瀬戸内海で船舶事故が多発しており、なかでもこの海域を日常的に航行している自衛艦の存在は、その危険度を一層高めています。呉の海上自衛隊も江田島の自衛隊も瀬戸内海を航行。事故当日も、「おおすみ」は定期点検でなく日米共同作戦に対応できるようにと、水陸両用船エルキャックやオスプレイを搭載可能にする改修を行うために岡山県玉野市の造船所へ航行していたと聞いています。事故の原因は調査中ですが、憩いの瀬戸内海を「そこのけそこのけ自衛艦が通る」という現状は、「通学路を大型ダンプカーが走る」ような、きわめて危険な状況だというべきです。市の認識をお尋ねします。
新年度予算案には、広島県、愛媛県及び関係市町とともに瀬戸内海地域の魅力を生かしたイベントや情報発信を行う「瀬戸内しまのわ2014」事業を取り組むとしています。この事業を成功させるためにも、平和で安全な瀬戸内海が求められます。
「おおすみ」の母港の海上自衛隊呉基地は、大型艦船の増加に対応するため桟橋を2倍に拡張する予定と聞きます。さらに、岩国米軍基地には現在約50機の米軍機が配備されていますが、今後空中給油機15機、空母艦載機59機が移駐する予定で、現在の2.5倍の120機が瀬戸内海上空を飛び交うことになります。被爆地ヒロシマの目と鼻の先の海と空が、軍事優先で軍艦や米軍機が思うままに走り、飛び交うことは許せません。
なによりも、市長には市民の命を守る責務があります。
美しい瀬戸内海を平和と安全な海にするために、被爆地ヒロシマの首長として、軍事優先でなく平和で安全な海と空になるよう国及び防衛省に働きかけるべきではありませんか。

(企画総務局長)
 瀬戸内海は貨物船、旅客船、漁船など大小さまざまな船舶が航行し、船舶交通がふくそうする海域ではありますが、海上交通の安全を確保するためのルールが定められており航行する船舶がこれを遵守することによって、海域の安全は確保されるものと認識しています。
 こうしたルールは、航行する全ての船舶が守るべきものであることから、自衛艦の航行に当たっては、国及び防衛相において率先垂範して海上交通ルールを遵守し、十分な安全確保が図られるべきものであると考えております。

(村上あつ子議員)
 さて、広島市では日本で初となるNPDI(軍縮・不拡散イニシアチブ)が4月11日、12日の二日間開催されます。この会議には非核兵器国の12ケ国の外相が出席し2010年のNPT再検討会議での合意事項である「核兵器禁止条約の交渉開始」を着実に履行させる政策が話し合われます。
日本政府は昨年秋、内外の強い批判に押されて、「核兵器がふたたび、いかなる状況下においても使用されないことに人類の生存がかかっている」と訴える125か国の共同声明に賛同しました。
 ところが、1月20日に広島選出の岸田文雄外相が被爆地長崎市での講演で「核兵器の使用を個別的・集団的自衛権に基づく極限の状況に限定する」ことを核保有国が宣言すべきだと述べ、「集団的自衛権行使」の口実がつけば、「極限状況」の名で核兵器の使用が許されるという、驚くべき発言をしました。
 日本政府はこれまでも、米国の「核の傘」に依存することを表明してきましたが、核兵器の使用を公然と容認したのは初めてです。岸田外相は記者会見で「外務大臣として初めて我が国の軍縮・不拡散について体系的に話をした」と述べており、講演の内容は、4月の外相会合などの「重要な外交行事を視野に入れた」「包括的な考え方」で、来年のNPT再検討会議を見据えた政府の基本方針といえます。安倍政権の「戦争する国」づくりと軌を一にしたものとして重大です。被爆地の市長として岸田外相と国に抗議するとともに、政府の政策転換を求めるべきではありませんか。市長の認識を伺います。

(市民局長)
 これまでも、本市は、核兵器は絶対悪であり、廃絶すべきものであると訴え続けているところであり、何より信頼関係の醸成に向けた外交を展開することが大切であると考えております。
 本件に関しては、外務省に対しての大臣の発言について確認しましたところ、核兵器の使用は人道主義の精神に合致するものではなく、これまでの政府の考え方に何ら変更はないということでした。その上で長崎市とも協議をいたしまして、対応は特段行わないこととしたものでございます。なお、岸田外務大臣は、長崎市での講演会において、質問に答えまして核兵器の「使用を認めるという話ではない。」と説明されたと報じられています。

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●被爆70周年を迎えるにあたって
(村上あつ子議員)
 新年度予算案には、被爆70年の取り組みとして35事業が提案されていますが、そのひとつに「レストハウスの改修」予算が計上されています。
昨年12月、爆心地中島地区に生まれ育ったゆかりの会の8人の方が、「レストハウス」の名称を「爆心地資料館」と改め、被爆前の繁華街・中島地区の街並みと被爆後の状況のパノラマを展示する記念館として活用することなど求め、市長と各会派に要請されました。市長はお聞きになっていますが、この時の一人の発言の一部を紹介します。

『昔は広島一の繁華街で文化の中心として栄えていた街で、あの生き地獄を目にしながら耐えてきた建物です。しかし、広島市民でさえこのことを知っていません。外国から来た人は“公園だったので被害が少なくてよかった”と言われ、一瞬にして犠牲になった中島地区の住民、動員で若くして命を絶った多くの学生を思うと腹立たしくなります。国の為にと何もかも取り上げられ、今の平和で豊かな生活も知らず街と共に消えていくのはあまりにも理不尽ではないでしょうか。私たち残された遺児には慰霊式の案内もありません。又、被爆手帳を持っていないからといって見舞金もありませんでした。私は幸いにして被爆していませんが、両親を奪われた犠牲者の一人です。国の助けは何一つ受けていません。ただ中島地区に生まれ育った証が欲しいのです。原爆の恐ろしさを伝えるだけでなく、平和を語る場が欲しいのです。』と言われました。

市長は「よく相談して予算を組む」と返答されたと聞いています。被爆70年を迎えるにあたって、遺族の思いを充分汲んだうえ、爆心地で唯一生き残った被爆建物のメッセージが活きる活用策を講じて頂くよう要望しておきます。
 先日、NHKで「どうする被爆建物」という特集番組が放映されました。被爆建物は、被爆の実相を今に伝える、地域の貴重な共有財産です。1996年(H8年)100件あった被爆建物は現在86件になり、これまで所有者の並々ならぬ努力によって保存されてきましたが、老朽化の名のもとに次々取り壊されてきている実態があります。番組では、「改修費用が莫大かかり限界がある」との所有者の悲痛な声が紹介され、行政の姿勢が問われていました。
 被爆建物の耐震・免震は緊急課題であり、「被爆建物の保存要綱」を見直して増額が必要です。お考えを伺います。また、現行の「限度額3,000万円」の根拠をお聞きします。まずは被爆70年を迎えるにあたって、市としても所有者の要望を聞き、実態を掴むべきです。早急にアンケート調査を実施する必要があるのではありませんか。お答えください。

(市民局長)
 本市では、被爆の実相を今に伝える被爆建物を行背に継承していくため、民間所有の被爆建物を対象とした被爆建物保存・継承事業補助金制度を平成5年度から設けておりまして、建物の保存や補修の工事に対して、経費の4分の3以内で、3,000万円を限度に補助金を交付することとしております。
 これまでの補助金交付実績を見て観ますと、補助件数19件のうち補助金額が限度額の3000万円に至ったケースは1県のみであり、また、この限度額や補助対象額の4分の3という補助率も、補助制度創設時に参考としました他の政令市の文化財保存の補助制度と比較して、現在でも高い額、補助率となっていることから、今直ちに見直さなければならない状況にはないものと考えております。
 次に原稿の補助限度額3,000万円につきましては、補助制度創設当時、他の政令市の文化財保存の補助制度において、限度額が一番高かった横浜市の非木造の認定歴史的建造物の外観保全に係る補助限度額を採用したものでございます。
 最期にアンケート調査についてでございますが、被爆建物の保存・継承をより確実に行っていくためには、個々の建物の状況や所有者の意向を把握しながら適切に対応していくことが必要でございます。このため本誌では、民間所有の被爆建物を対象といたしまして、平成9年度以降6年ごとに、平成15年度、21年度と建物の現況や所有者の移行等を調査しており、次回は平成27年度に実施する予定でございます。


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●地域経済の活性化のために
    ・企業立地促進補助事業と中小企業支援について
    ・住宅リフォーム補助制度について

(村上あつ子議員)
 災害やグローバリズム化する時代のなかで、住民の命とくらし、地域経済を守り、市民生活を守る最大の砦は基礎自治体の役割ですが、安倍内閣のもと暮らしも経済も破壊する暴走政治におおくの市民が不安を感じています。安倍首相はアベノミクス効果で景気回復が進んでいるといいますが、どの世論調査でも国民多数は「景気回復の実感がない」と答えています。消費税増税前の駆け込み需要があるにもかかわらず、国内総生産は微増にとどまっており、肝心の働く人の賃金は18ケ月連続でマイナスとなっています。増税は経済も財政も共倒れさせるものでしかありません。地域経済を活性化するには、仕事と安定した雇用の拡大、大企業の270兆円の巨額の内部留保の一部を活用した大幅な賃上げこそ必要です。経済を担っているのは圧倒的多数の中小企業であり、経済の持続的発展と地域づくりのためには、中小企業の振興と手当が不可欠です。この立場からいくつかお聞きします。

 企業立地促進補助事業と中小企業支援について聞きます。
広島市は2005年度(H17年度)から、市外への企業の流出を防ぎ、産業の集積と雇用の場の創出を通じて経済の活性化を図るとして、企業等の立地誘導を推進しています。新年度も9億2,000万円の補助金を計上されていますが、この補助金の最高限度額は1社に10億円で、広島市内に事業所を新設・移設した企業に原則5年間支給され、広島県の制度との併用できることから、これまで30社が補助金を受けていま。その累計総額は市が約29億円、県は約27億円で合計約56億円が補助金として企業に支給されています。企業誘致も重要ですが、企業誘致によって、どういった地域経済・産業をつくりあげるかという検討もなく企業に誘致補助を行い、何でも誘致すればよいという誘致依存の姿勢は問題と考えますが、市の認識を伺います。これまでの効果についてもお答えください。

(市長)
 村上議員からのご質問にお答えします。「地域経済の活性化のために」のうち、「企業誘致と中小企業支援に対する市の認識」についてご質問がございました。
 企業誘致はそもそも、地域に雇用の場をしっかりと確保し、地域経済の活性化を図ることに加え、今後企業経営や産業構造が変化して行く中で、中小企業が大半を占める地場産業の拡大や転換を図っていくということを基本に据えて行っていくというものであります。
 こうした考え方のもと、具体的な企業誘致に当たっては、地域経済の持続的な発展を図るために、企業群をどのように配置するかという視点に立って、既存の産業集積や交通結節点などに着眼し、商業系、工業系、流通系、ビジネス系などのエリアを設定し、それにふさわしい機能を持った企業を、戦略を立てながら誘致しております。
 このように、今後とも、企業誘致を積極的に推進することで、「活力にあふれにぎわいのあるまち」づくりを進めてまいりたいと考えております。

(経済観光局長)
 企業誘致に当たっては、地域間競争に勝ち抜くため、平成17年度から、企業立地促進補助制度を設けとりくんでおり、誘致の効果としては、雇用の創出、地域経済の活性化、税収の増加などがあります。
 まず、雇用については、これまでに補助金を交付した企業30社の合計で常用労働者数は1656人で、そのうち740人は新規雇用であり、雇用の創出に大きく貢献しております。
 次に、地域経済の活性化については、これら30社による建物や機械設備などへの直接投資額は227億円にのぼり、これらの企業の事業活動に伴う地場企業への仕事の発注や従業者による消費活動などの効果もあり、地域経済への波及効果は大きいと考えています。
 さらに、税収については、これら30社の固定資産税、都市計画税及び事業所税を推計すると、平成24年度までの累計で、約10億2千万円となるほか、法人市民税や従業者による個人市民税などの増収も見込まれます。


(村上あつ子議員)
 2012年度(H24年度)からは「効果的で使いやすい制度に見直す」として、雇用者数の人数要件を撤廃し、これまで、新規立地の場合「常用雇用数10人以上」としていた要件を取り除きました。収支不足を理由に市民の暮らしを応援する予算は削減されているなか、新規雇用がゼロでも補助金を出すのは、企業への税金のバラマキであり、企業を優遇すれば「いずれおこぼれが働く人にまわる」という失敗済みのやり方です。さらに、補助金支給期間の5年を過ぎたら「撤退も自由」というのは無責任の極みです。正規雇用者数を企業立地補助金の支給対象要件にするとともに、雇用維持につなげる厳しい補助制度に見直すべきではありませんか。どのようにお考えかお伺います。

(経済観光局長)
 企業立地促進補助制度については、平成24年度に見直しを行っており、企業にとって分かりやすい「投下資本額」に対する補助に一本化にしているところですが、対象となる事業所の要件を延べ床面積1,000u以上としております。このような要件設定が、多くの企業誘致につながっているところであり、実績を見ても、平成24年度以降、補助申請を行った企業16社の常用労働者数は約970人で、1社当たり60人を超える雇用が確保されております。
 こうしたことから、現行の補助制度の的確な運用を通じて、引き続き、雇用の維持を図ってまいりたいと考えております。


(村上あつ子議員)
 雇用拡大・地域経済の発展のためには、大企業への偏った支援でなく、地元の中小、零細業者への経営支援・仕事づくりこそ重要です。新年度予算案では、中小企業支援の充実で215万円計上していますが、中小企業支援として具体的にどんな支援策を考えているのですか。

(経済観光局長)
 新年度における中小企業支援について、新規・拡充分を中心にご説明します。中小企業融資制度については、「景気対策特別融資」や「借換融資」などの取扱期間を一年延長するとともに、原材料の高騰などにより売上高が横ばいでも利益が減少した中小企業も対象となるよう「景気対策特別融資」の要件を緩和するなど充実を図ります。
 また、創業者に対する支援策については、創業者等に対して原則1回無料で行っている専門家派遣について、国の創業補助金の交付決定を受けたものに対しては2年間、6回無料で行うこととし、充実を図ります。
 さらに、「ザ・広島ブランド」の知名度の向上及び消費拡大を推進するため、新たに、首都圏の百貨店等で開催される地方物産展への出店を企画するとともに、認定事業者が商談会に出展するための経費の一部を補助します。
 また、商工センター地区の活性化を図るための検討会や商店街の課題解決に向けた取り組みを支援するための「商店街ネットワーク交流会」を新たに開催いたします。
 加えて、新産業の育成・新事業の創出に向けて、今年度に引き続き、製造業の医療・福祉などの新成長分野への参入を促進するため、「広島発高齢者見守り支援システム開発プロジェクト」や「新成長ビジネス事業化支援事業」を実施するとともに、ICT企業と医療・福祉分野などの企業とを組み合わせる「IT融合」の促進などに取り組むこととしております。
 このほか、中小企業支援センターへ県西部地域総合相談窓口を設置し、県・市の役割を見直すことで充実を図るとともに、引き続き専門家派遣、販路開拓支援などにも取り組むことにより、中小企業の支援に努めてまいります。


(村上あつ子議員)
 市長はある会合の席で、中小企業振興条例の必要を語られましたが、全国でも25道府県で中小企業振興基本条例が制定されています。地域経済を活性化させるために、自治体の責務、中小企業や大企業が果たすべき役割を明確にし、市民の暮らしを守る姿勢を示す中小企業振興条例を制定すべきではありませんか。お答えください。

(経済観光局長)
 議員ご提案の中小企業振興条例の制定につきましては、平成20年度に広島県中小企業家同友会の要望を受け、同会と意見交換を行うとともに、広島県中小企業団体中央会や広島商工会議所、広島県商工会連合会などの関係団体へのヒアリングを実施しました。その結果、条例の制定を望む声がある一方で、条例の制定には、機運の醸成と各団体間での意見集約が欠かせないことから、まずは、実効性のある具体的な施策を求める声も多くありました。 
 こうした中、広島県中小企業家同友会が、ほかの地方公共団体の事例研究等を行っているところであり、本市としては、これらの団体の状況を踏まえながら対応していきたいと考えています。

(村上あつ子議員)
 次は住宅リフォーム補助制度についてお聞きします。
この制度は、一般住宅のリフォームを市内の業者に発注した場合、自治体が一定額を補助するものです。「住宅リフォーム補助制度」は、市長も言われている通りヒト・モノ・カネを循環させて、中小業者の仕事と雇用をつくり、大きな経済波及効果をもたらす事業であることは全国の事例で明らかになっています。すでに562自治体で実施されています。市はこれまで、「特定業種の支援は問題だ」との理由で、住宅リフォーム補助制度を実施されていませんが、企業立地補助事業では一企業に10億円もの補助金を支給されており、特定業者の支援という「理屈」は通りません。
 そうしたなか、ついに国も新年度予算では「住宅の長寿命化に資する先導的にリフォームの取組を支援する」として住宅リフォームを制度化しました。当面、3年間事業を続けるとしています。国の制度化は一歩前進ですが、補助限度額はリフォームに要する工事費の三分の一、限度額は200万円と、地方自治体の取組とは違ったハードルの高いものになっているようですが、住宅の改善を望む全ての市民や中小零細業者の仕事づくりになるよう広島市も住宅リフォーム補助制度に踏み出す時です。
 本市には民間建築物耐震診断、高齢者や障害者のためのバリアフリー改修などの政策目的を限定した補助制度がありますが、いまこそ、特定の世帯の限られた改修工事に限定せず、一般的な住宅リフォームすべてに拡大すべきです。どのようにお考えですか。

(経済観光局長)
 本市における住宅リフォーム関連企業への支援については、住宅耐震診断、高齢者や障害者のバリアフリー改修等に対する補助制度がありますが、これらは、耐震化やバリアフリー化などに係る市民の取り組みを促進するというテーマを設定し、このテーマに基づく支援が、結果として、企業に経済的効果が波及するという仕組みとしているものであり、これからも基本的にこの仕組みを守っていきたいと考えています。
 これは、基本的な考え方として、中小企業に対する補助制度については、新製品・新技術に関して、試作品の商品化や見本市への出店による販路開拓など、企業をあと一押しすれば実現するであろうものを対象としており、幅広く中小企業の活性化につなげようとするものです。
 中小企業の基本的な経営への支援については、民間の金融機関から事業資金を調達しにくい中小企業が円滑に調達できるよう支援する「中小企業融資制度」や中小企業が抱える様々な課題等の支援を行う「専門家派遣」など、補助金以外で可能な限りの支援策を講じているところです。

(村上あつ子議員)
 また、2010年に建設工事、物品発注、請負サービス発注をできるだけ地元で、しかも最低賃金や業者の再生産費を上回る入札価格で行うという公契約条例が千葉県野田市から始まり、現在は6自治体に広がっています。毎年、多額の公共調達を行っている自治体が率先して、労働者の最低賃金や経営者の再生産費を一定以上に維持し、ワーキングプア問題を自治体自ら率先して解決する公契約条例を制定すべきではありませんか。お答えください。

(財政局長)
 賃金等の労働条件に関する基準は法律で定めることになっており、公共工事等に従事する労働者の労働条件についても、法律で定める基準に基づき、労使当事者間において自主的に決定されるべきものと認識しております。
 したがって、公契約条例の目的である、公共工事等に従事する労働者の良好な労働条件の確保に向けて、労使当事者間でしっかりした交渉ができる環境を醸成することが重要であると考えており、そのため、本市が発注する工事等について、適正な価格での契約を確保する観点から、入札・契約制度の改善に取り組んできております。
 その結果、建設工事の落札率は上昇し、低入札案件について確認できたふつう作業員の支払賃金平均額も平成24年度は前年度より約8%上昇しているなど、制度改善の成果が得られているものと認識しております。


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●区役所機能の充実を
(村上あつ子議員)
 新年度予算案で、区役所の窓口のレイアウトを変更したり、2016年の個人番号カードの交付に合わせて証明書のコンビニ交付を行うための準備にとりかかるなど、区役所機能の強化を図るとしていますが、そもそも、区役所の果たす役割についてどのようにお考えでしょうか。お聞きします。

(企画総務局長)
 区役所は、市民に最も身近な行政機関であり、戸籍や住民基本台帳、保健・福祉など、市民のくらしを支える基礎的行政サービスを提供するとともに、市民を主体とする地域づくりや安全・安心な街づくりを推進する役割があります。また、市民ニーズを把握し、それを市政に反映させるパイプ役としての役割も担っているものと考えております。


(村上あつ子議員)
 市民にとって行政区が最も一番身近な自治体です。政令市において「自分たちのまちを自分たちでつくる」住民参加が組織化された都市が特に2000年以降一挙に増えています。設置根拠はさまざまですが、住民参加の仕組みが全くないのが、20政令市中、仙台・千葉・岡山と広島の4都市です。
 新潟市と浜松市は、地方自治法第252条の20第6項の、「指定都市は必要と認めるときは条例で区毎に区地域協議会を置くことができる」に基づき「協議会」を設置し、細則は条例で定めています。
 私たち市議団が視察した新潟市では、2007年の政令市移行時から全区で区自治協議会を発足。委員は原則30名で、区内のより狭域の住民参加の仕組みであるコミュニティ協議会の代表のほか、公募委員・学識経験者が参画しています。区長の諮問に対する答申権や建議権を有し、各区に配分される「特色ある区づくり予算」事業の内容を審議するほか、区自治協議会が提案し、区役所と協働で実施する事業予算が各区で300万円(2012年度)確保されています。区役所に決定権と独自財源をもたせ、区自治協議会には市の職員も配置し、区民と区が協働してまちづくりやその他の課題に取り組んでいます。
 区の抱える独自課題について自主的に区民が審議し、市長への意見書を積極的に採択しており、区の役割を本庁の出先とするのでなく、自分たちの将来の在り方を住民自身が決定するしくみとして、住民の力を引き出す取り組みが始まっています。
 広島市はこれらの事例を調査・研究しておられますか。どのように評価されておられるかお聞きします。

(企画総務局長)
 区地域協議会は、平成16年の地方自治法の改正において、住民自治の充実を図るため、導入された制度です。
 指定都市の中では、議員ご指摘の新潟市と浜松市の2市が、この制度を導入しています。
 区地域協議会は、各区が所掌する事務棟について、市長等の諮問等に応じて審議し意見を述べることができる機関であり、区民の意見を区政に反映するための一つの手法であると認識しています。
 なお、この制度を実効性のあるものとするためには、新潟、浜松両市の経験を踏まえ、協議会の意見を市の施策に反映させる仕組みなどの課題を整理する必要があると考えております。

(村上あつ子議員)
 広島市の8区にも、それぞれ区に個性があります。その個性にあう形で住民の声を反映させる行財政運営や、地域の産業や福祉の計画が住民の意見でつくれるようにすることが必要です。
 例えば、安佐北区では安佐市民病院の建て替え問題が区内の重要案件となっていますし、「ハコモノ白書」では全ての公共施設を更新する予算がないとして、公共施設の統廃合も検討課題となっています。今後、集会所や公民館など市民に親しまれている身近な公共施設の在り方をどうするかなど、本庁が決定するのではなく、各区の区民とともに「まちづくりの基本」として考えていく姿勢が必要です。
 そうした意味からも、まちづくりをはじめ、交通政策、団地の在り方、行政区内の環境整備などについて区長と頻繁に意見を交換し、多くの市民が区や市の意思決定過程に参加できる仕組みづくりが必要と考えますが、市はどのようにお考えですか。

(企画総務局長)
 区政を運営するうえで、区民の意見を反映させることは重要であると認識しています。このため、各区においては、区民特徴が事由に意見交換を行う場である区政懇談会を地域ごとに開催するとともに、投書箱の配置や区職員全員が日頃から市民との対話を心がけることなどにより、区民の意見の積極的な把握に努めています。また、市の各種施策の実施に当たっては、必要に王子本町担当部局との連携のもと地元説明会などを開催し、意見聴取なども行っています。
 さらに、今年度から新たに、各地域のまちづくりについて区民特徴が話し合う区車座談義の開催や、区長が地域に出かけて区民との対話を行いやすくするための副区長の配置、さらに、市民ニーズに迅速かつ柔軟に対応するための区政運営調整費の創設を行いました。 まずは、こうした取組みを積極的に行い、区民の意見を区や市政に適切に反映させていきたいと考えております。



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●全国に誇れる施策に誇りを持って
    ・学童保育事業について
    ・障害児通園施設利用者負担助成について

(村上あつ子議員)
 市は、全国に誇れる学童保育の「公設・公営・無料」を維持してきました。専任の指導員を配置し、すべての小学校に「留守家庭子ども会」を設置し、子どもたちの放課後の居場所に責任をもち、安全・安心な放課後が保障されてきました。ところが今後、この「三原則」を崩壊させ有料化を検討しようとしています。
また、子どもの療育についてもその実践は全国に誇れるものです。今、これまで職員と障がい児、保護者とが築き上げてきた輝かしい実践を葬ろうとしているのが「障害児通園施設利用者負担軽減」の廃止です。
両者は、本市の数少ない誇れる事業で、全国からも注目を集めています。その自覚をお持ちなのでしょうか。事務・事業の見直しで「誇り」を脱ぎ捨てるのでしょうか。お答えください。

(教育長)
 留守家庭子ども会事業につきましては、児童福祉法が改正され、受け入れ対象児童が小学校6年生まで拡大されるとともに、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準条例を制定することが義務付けられたことを契機に、施設の老朽化等の課題の早期解消と受け入れ体制の整備を図り、良質なサービスを提供するために、見直しに着手することを提案しているものでございます。 
 また、この見直しは、これまで社会教育事業の考え方に立って展開してきたものを、福祉サービス事業として再構築するために行うものであることから、サービスの享受に伴う応分の負担を保護者に求めることを提案するものであり、必要な見直しであると考えております。

(村上あつ子議員)
 療育センターに通う障害のある子の給食費について、市独自の負担軽減を廃止してはどうかと提案があったのは昨年の11月です。わずか3カ月も経たないうちに、来年度4月1日以降申請する世帯から助成を廃止することが予算案に示されました。
 突然の提案に療育センターの保護者のみなさんは驚き、12月24日には撤回の申し入れをおこない、今年1月24日には、120人が集まり、「ポテトチップスしか食べられない」「ミルクしか飲めない」子どもたちが療育との出会いで生きる力をどんどん身につけて、保護者を励ましてきたかを切々と訴えられました。この日の懇談で、担当課がセンターの給食時間を一度も見学したことがないこと知ったお母さん方の怒りと不信感は一層強まりました。大事な施策を展開するとき、現場、あるいは実態から出発するのではありませんか。今からでも子どもたちの様子を見るべきです。どうされますか。
 2月13日の本会議終了後には、食費負担助成廃止案の撤回を求める請願が提出されました。短期間に取り組まれた1万筆を超える署名にもお母さん方の熱い、熱いが思いが凝縮されています。小学校に上がった自閉症児のお母さんは、センターに入園した時は白ごはんと海苔しか食べられず、給食の時間部屋にも入られなかったわが子が少しずつ、少しずつ変わっていき、3年かけて友達と一緒に食べられるようになった体験を語られました。すでに卒園した人やこの春卒園する人たちが給食費の助成がなくなることで、集団でしか築けない療育の場が崩れることを懸念されています。
 市は、この間の障害のある子と保護者を励ます支援の継続をもとめる声をどのように受け止められていますか。

(健康福祉局長)
 まず、具体のご質問にお答えする前に、このたびの見直しの経緯及び概要について、改めてご説明をさせていただきます。
 障害児通園施設の利用に係る保護者負担については、平成18年の児童福祉法改正により、従来、所得に応じて一元的に負担していた徴収金が、療育サービスの利用に係る利用者負担金と食事の食材費等に係る食費の2つに分かれ、利用者負担金については1割負担、食費については実費負担に変更になりました。
 しかし、これにより急激な負担増が生じることから、国において、食費に関しては、低所得者に限って一定の負担額を減ずる措置を講じました。そして、本市では、これに加え、激変緩和措置として、児童発達支援センター利用者に対し、@サービス利用について、所得に応じ、市独自の負担上限額を設定して行う利用者負担助成と、A食費負担について、所得に応じ、無料または1日200円を限度とする食費負担助成を実施したものです。
 その後、国において、食費負担軽減措置の所得階層を段階的に拡大し、現在ではほとんどの世帯で国制度において、負担額が引き下げられているということから、激変緩和措置として実施してきた本市の端子上乗せ措置の役割は薄れて来ており、また、食に係る負担は、本来障害の有無にかかわらず必要なものであることを考え合わせ、引き続き助成を続けることは公平性を欠くと考え、廃止が適当と考えたものです。
 なお、この食費負担助成の対象者数は、昨年5月実績で70人、1日一人当たりの補助額は、平均で約120円となっております。以上が今回の見直しの経緯及び概要です。
 次に、ご質問に順次お答えします。まず、療育の輝かしい実践の誇りを脱ぎ捨てるのかとのお尋ねについてですが、本市における障害児通園施設においては、職員、障害児、保護者が一体となって取り組むことにより、食事を通じた接触指導や機能訓練も含めて、質の高い療育が行われていると認識しております。また、こうした取組みは、今後ともしっかりと続けていかなければならないと考えています。
 一方、今回廃止の提案をしている食費負担助成については、療育サービスの提供そのものではなく、先程ご説明しました通り、実費負担が原則とされている食費の負担に関わるものであり、これを廃止すると療育が低下するというものではありません。
 次に、支援の継続を求める声の受け止めについてですが、これまでも保護者をはじめ多くの方から様々なご意見が寄せられております。これに対し、こうした要望をお聴きする会などにおいて、先ほど、申し上げたような廃止の理由、現在の利用者を含め本年3月末まつまでに支給決定を受けている利用者については就学時まで現行通り助成するという経過措置を講じること、療育室に影響を及ぼさないことなどについて、説明してまいりました。今後とも、ご要望に応じ、きちんと対応させていただきます。

(村上あつ子議員)
 2006年の障害者自立支援法で国は、応益負担の考えを持ち込みました。より多く福祉サービスを利用しなくてはいけない障害の重い人ほど利用料負担が重くなるというものです。こうした障害を「自己責任」とする立場で、生きていくうえで最低限必要な支援まで「利益」とみなし負担を課す自立支援法に対して、全国の障害者や家族から、障害を自己責任として負担をもとめる自立支援法違憲訴訟が取り組まれ、時の厚労大臣が「障害者の尊厳を傷つけた」と謝罪したのは周知のとおりです。その後、一定の負担軽減措置をとってきましたが、応益負担原則をかえたわけではありません。
とりわけ、子どもの療育は、できるだけ早期に継続してこそ、障害の軽減やさまざまな困難を乗り越えていく力を身につけることができます。本市は、重要な子ども施策として「療育の充実」をはかり、「給食も療育の一環」と位置付け、全国に誇る水準を維持してきました。本来、わが国も批准している「子どもの権利条約」第23条でも明記されているように、障害児には特別のケアを受ける権利があり、子どもの発達を保障するためのケアは本来無償であるべきです。
ところが、自立支援法の応益負担原則で、比較的所得の低い、若い保護者世帯には、大きな負担が生じることになり、療育をあきらめる人が生まれると危惧されました。本市は、こうした世帯の負担軽減を他市に先駆けておこなってきたものです。
市長の基本コンセプトでも広島市の障害基本計画の基本理念でも『障害のある人もない人も、全ての市民が社会のあらゆる活動に自由に参画し、その能力を最大限に発揮するとともに、互いに人格と個性を尊重し、支え合うことが必要である。そのためには、障害者の活動を制限し、社会への参画を制約している要因を取り除き、経済的な側面を含め、障害者が住み慣れた地域において、自己選択と自己決定の下、自立して生活できるように社会のバリアフリー化を推進するとともに、地域における障害者の自立支援に取り組む』と明記しています。経済的負担の軽減を廃止することは、こうした基本理念にも逆行するものではありませんか。

(健康福祉局長)
 本市のコンセプトや障害者計画においては、「経済的な側面を含め、障がい者が住み慣れた地域において、自立して生活できるよう、障がい者の自立支援に取り組みます」としていますが、その取り組みに当たっては、我が国の障害福祉サービス等の費用に係る基本原則を踏まえる必要があります。
 すなわち、サービスに係る負担については、サービスの量と所得に着目した懊悩負担が、また、食費や光熱水費などの実費については、低所得者層に対する一定の配慮を行ったうえで自己負担が基本原則となっております。
 このたびのような事務・事業見直しは、税を負担する人口が減少する一方で障害者の数が増加している中、将来にわたり質の高いサービスを持続的に提供していくために必要なものであり、基本コンセプト等の理念に逆行するものではないと考えています。 

(村上あつ子議員)
 とりわけ、障害者のみなさんを傷つけているのは、「障害のある子もない子も食事をとり、食費は自己負担があたりまえだ」とする廃止の理由です。まるで、今まで不公平であった=逆差別であったと読み取れます。これは公平さを欠くことでしょうか。我が国が批准した障害者権利条約の第5条の4をもう一度ご覧ください。『障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この条約に規定する差別と解してはならない』。つまり、障害児の療育に必要不可欠な給食の費用を補助することは差別ではない・障害のある子とない子の公平さを欠くことにはならないのではありませんか。ご所見をお伺いします。
 子どもの権利条約にも、障害者権利条約にも反する、市が自ら制定した障害者基本計画にも逆行する、「障害児通園施設利用料負担助成の廃止」は撤回すべきです。
 障害者の平等を実現するための特別な配慮をおこなうことをもとめる国際的な流れの中で、こうした認識を理由として事業を廃止するなど、言語道断であると厳しく指摘するものです。
 以上で総括質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(健康福祉局長)
 食事に係る負担は障害の有無にかかわらず必要なものです。障害があることに起因して必要となるというものではありません。
 また、本市における女性の対象は旧児童福祉法に規定された児童発達支援センター利用者に限定しており、同じ障害児であっても旧法施設以外の児童発達支援センター利用者は助成対象となっておりません。さらに、児童発達支援センター以外の通園施設の利用者にはそもそも食事が提供されておらず、食費は各世帯で負担をしておられます。
 このように取り扱いがまちまちになっている食費に係る補助は、障害児の療育に不可欠なものとはいえず、障がい者権利条約に規定された「障害者の平等を促進し、または達成するために必要な措置」には当たりません。これに加え、国の負担軽減措置の拡大により激変緩和措置として実施してきた本市の単市上乗せ措置の役割が薄れてきていることから、本事業は廃止することが適当であると考えたものです。


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