トップ議会情報・議員の発言 2013年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2013年2月20日 本会議 総括質問 近松さと子議員

  ●被爆行政について
  ●平和・観光行政について
  ●市民生活を守る役割について
  ●大型開発から耐震・老朽化対策に転換を
  ●市営住宅について
  ―再質問―
       

●被爆行政について
(近松さと子議員)
北朝鮮の核実験を受けて、地球上の最後の核実験がおこなわれた日にちからの日数を示す原爆資料館の地球平和時計が、また0にもどるという事態になりました。あらゆる核実験を許さず、核兵器禁止条約の締結に向けて被爆地から声を上げていかなくてはなりません。
3月、ノルウエーのオスロで核兵器の人道的影響をテーマとした国際会議と「市民社会フォ―ラム」が開かれ、市長のかわりに平和文化センターのリーパー理事長が参加されると聞きました。核兵器禁止条約の実現にむけて、大変注目されています。さまざまな紆余曲折がありながらも、被爆者の声が核兵器のない世界にむけて、確実に国際政治を動かしているという思いがします。
世界が被爆者の声に耳を傾けようというときに、被爆国日本が、被爆者のねがいに背を向けることは許されません。
昨年、広島県や広島市などが行った「原爆体験者等健康意識調査」の報告書を検証する国の検討会は、「放射性降下物を確認する科学的合理的根拠はない」という不当な言い分で調査結果を認めない結論を出しました。「現地に来て直接の声を聞いてほしい」というねがいにも背を向けて、被爆者を切り捨てるこれまでの立場を踏襲したものでした。
広島市は、広島県3市5町と共同で、黒い雨の降雨地域全域を第一種健康診断特例地域に指定するように国に要望しました。本議会も拡大をもとめる意見書を全会一致で採択し、国会と政府に要請したところです。
しかし、国もこの検討会の結論を追認し、黒い雨の地域拡大をもとめる被爆地の声にまともにこたえようとしていません。
この問題に対して、国の新年度予算では、「黒い雨」被害の指定地域の外側で雨を浴びた住民を対象に、今年の秋から相談事業を始めるとしています。市長は、相談事業をどのように受け止めておられますか。

(市長)
 来年度の政府予算案において、黒い雨を経験した方々に対する相談等の事業費が新規計上されたことについては、今まで施策が何も講じられていなかったということを考えれば、一歩前進と受け止めています。


(近松さと子議員)
黒い雨の被爆者や県や広島市をはじめ3市5町がもとめたのは、あくまで、指定地域の拡大です。これで、幕引きというわけにはいきません。被爆地の市長として、被爆者援護法の精神を生かし高齢化した黒い雨被爆者を救済するため、ひきつづき、一刻も早い指定地域拡大を国に求めるべきだと思いますが、どのようなお考えですか。お聞かせください。

(市長)
 被爆地域の拡大については、本市では、科学的・合理的根拠が必要との国の基本方針も踏まえながら、大規模な調査を実施し、その結果を基に要望を行うなど、出来る限りの対応を行ってきました。
 しかし、昨年7月には、この要望を受けて設置された国の検討会において、これらの調査結果では科学的・合理的根拠にならないとの結論が出されました。
 これを受け、本市では、要望地域の方々の高齢化が着実に進展している状況などを踏まえ、科学的知見重視の検討会の結論を超えた政治的判断を求めてきました。
 こうした中、本年1月には、政権交代後速やかに、自由民主党において、「原子爆弾被爆者救済を求める議員連盟」が設立され、高齢化し病気に苦しむ原子爆弾被爆者を一日も早く救済することを目的としてしっかり議論が進められることになっていると聞いています。
 本市としては、被爆地域の拡大について既に国へ要望をしているところであり、今後、この議員連盟をはじめとするこうした政治レベルでの動きを注視していきたいと考えています。


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●平和・観光行政について
(近松さと子議員)
 市長は「世界に誇れるまちヒロシマにむけたビジョン」のなかで、「迎える平和」を掲げ、より多くの人々に広島に来てもらい、平和への思いを共有してもらうための取組を推進するとしています。
ところが、先般、平和学習センター機能をもつ広島ユース・ホステルを廃止するとしました。どのような検討をされてユース廃止の結論を出されたのかおたずねします。
第一に廃止理由として、平和公園や駅に民間の宿所があることを挙げられていますが、料金もユースほど廉価ではありません。食事の提供がない、団体利用できないなどの課題もあります。これについてはどうお考えですか。
第二に複数の民間の同種宿泊所でネットワークをつくり連携すれば、ユースが果してきた役割以上の機能の充実がはかれるとしていますが、果たして可能でしょうか。
ユースが2005年10月からはじめている交流会「平和と国際交流の夕べ」における被爆講話は48回を数え、「世界中の人たちに平和を伝えるメッセンジャー」を生み出してきました。50年間培ってきた実績と蓄積してきた経験は、同種の宿泊所であればどこでも誰でも、一朝一夕にできるものではありません。
第3に築52年の施設の老朽化を廃止理由にされていますが、老朽化の課題を解決する道は、新ユースを建設することではありませんか。
大阪や京都では、それぞれユースを新築し、世界の若者を迎えて、成果を上げています。世界の都市のなかでも被爆地ヒロシマの知名度は群を抜いています。
平和学習と国際交流の拠点として、観光の柱として、世界の若者を広島に迎える特別な役割を果たすのではありませんか。ユースが広がる世界のなかで、ヒロシマが廃止するというのは、理解され難いことです。ユースの廃止は「迎える平和」をかかげる市長の方針と相反するのではありませんか。お考えをお聞きします。

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●市民生活を守る役割について
(近松さと子議員)
●政府は、来年度、参議院選挙が終わった8月から、生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助を3年間で段階的に引き下げる方針を示しました。96%の世帯が引き下げられます。最も所得の低い1割の世帯の消費水準と比較して、高い低いと議論されました。生活保護基準以下の水準にある人のうち、現に利用している人は、1割とも2割といわれる中、受給漏れが多数含まれる低所得者世帯と比較すれば、基準は下がる一方です。こうした比較を引き下げの根拠としている自体が問題です。
現在、生活保護利用者は、214万人を超えて戦後最高になったといわれています。しかし、アメリカに次いで貧困率が高いのに、予算額はOECD平均と比べてもGDP比で七分の一と極めて低い水準です。
昨年、自民党の国会議員によるお笑い芸人の家族を通しての生活保護パッシングが過熱しました。生活保護全体に不正受給が、横行しているかのように印象付けましたが、実際の広島市での不正受給額は、全体の0,5%前後です。
苦しい家計をやりくりするお母さんに携帯電話がほしいといえず、黙ってバイトをしていた高校生。こんな子どものアルバイト代も申告されていなかったとして不正受給にカウントされているのです。
今回の生活保護引き下げは、子育て世帯の引き下げ幅が大きく、一番打撃を受けるといわれています。ほとんどの子が高校進学する中で、生活保護世帯の子どもの全日制の高校進学率は、6割台と大きな格差が生まれています。今回の引き下げで、ますます、貧困の連鎖が断ち切れなくなるのではありませんか。
生活保護世帯では、私学の高校に進学するためには、生活福祉資金の貸し付けを受けないといけないため、負担が重く、「公立へ行けなければ、高校は行かせられない」という保護者が少なくありません。そうした中で、小学生のうちから、学習支援をおこなって、高校進学につなげたいと生活保護世帯で育つ子どもたちを対象にした学習支援事業が始まりました。
先日、広島市がおこなう学習支援事業の教室を見学しました。次の月曜日が公立の選抜1の受験日だということで、英語のヒアリングや面接の模擬試験を行っていました。受験する子どもは、「頑張ってね」と支援員さんやボランティァさんなどたくさんの大人から、激励を受けていました。「長く学校にも行っていなかった子どもが、担任教師やケースワーカーの支援で、学習支援事業に参加するようになった」という話も聞きました。広島市は、こうした学習支援事業の拡大についてどのように考えておられますか。
生活保護基準の引き下げは、利用者だけにさらなる厳しい生活を強いるのではありません。基準額を物差しにしているさまざまな制度に連動しており、今回の引き下げは、市民生活へ大きな影響を及ぼすのではありませんか。
政府は、あわてて「就学援助に影響がないように自治体にお願いする」といっていましたが、生活保護基準の切り下げは、就学援助制度や生活福祉資金貸付制度の基準に連動するといわれています。
また、基準が下がることで、非課税だったのが課税世帯になる、課税世帯になったら、介護保険など様々な福祉サービスの利用額が増えてきます。
さらに、国民健康保険料、市営住宅家賃、保育料などの減免制度の基準の引き下げにもつながります。どのように対応されるおつもりですか。
命と人権を守る最後の砦が危うくなれば、毎年のように繰り返される生活保護を受けられず、餓死や凍死という悲劇を招くことになりかねません。市民の生活を支えるというのが自治体の役目です。今回のような「最低生活」を崩していく国による生活保護基準の引き下げをやめさせ、市民生活を守るべきですが、どのように考えておられますか。

●最低賃金法9条1項は、「生活保護にかかる諸施策との整合性を図る」とあり、今後、生活保護基準の引き下げが、最低賃金・年金の引き下げの根拠にされかねません。社会の安心が揺らげば、ますます消費が落ち込んで、デフレ不況脱却どころではありません。広島市も「福祉から就労支援」ということを合言葉にして、生活保護受給者の就労支援を強化しようとしていますが、デフレ不況からの脱却が雇用促進の大前提です。
日本経済の深刻な状況は、地域経済にも暗い影を落としています。正社員のリストラや35%をしめる非正規労働者の増加による14年間におよぶ賃金の下落は、世界でも日本だけです。GDPの6割を占める個人消費を落ち込ませ、モノが売れず、売り上げが落ちて、また、賃金が下がるという負のスパイラルに陥っています。
働く人の賃金は、1997年から65万円も下がる一方で、大企業の内部留保は、120兆円も積み増されて260兆円を超えています。設備投資にも使われず、海外投資や投機に回されてきました。くしくもローソンが内部留保から4億円をとりくずして、消費意欲の高い子育て世代の社員に年間15万円の賃上げをおこなうと発表しました。このデフレ不況を抜け出す処方箋は、賃金を上げることです。
安倍首相も麻生財務大臣も大企業には、賃上げの体力があると認めています。
市長はどう考えられておられますか。
内部留保を活用して、自らの労働者の賃金や下請けに対して正当な単価を支払うルールを確立させることがもとめられています。物価を上げる目標ではなく、賃金を上げる目標設定こそが、デフレ不況から脱却する方策ではありませんか。ましてこんなときに消費税増税なんかとんでもありません。
 新年度予算では、雇用対策協定推進会議を発足させて、就労促進などに取り組むとされますが、その中で、景気回復に有効なリストラ防止と賃上げの要請についても協議されるお考えはありませんか。お聞きします。
●次に事務事業見直しについてお聞きします。
昨年11月に、議会に中間報告した事務事業の見直しは、お年寄りから障害者・子どもにかかわる事業が半数をしめ、地元紙にも「福祉事業の縮減反対」という投書が掲載されました。12月に続いて2月議会でも市民いじめの事務事業見直しの撤回をもとめる多くの請願や陳情がよせられているところです。
今回の見直しの結果、来年度から削減縮小するものについて、いくつかお聞きします。
療養援護金支給事業は、段階的に廃止するとされました。2005年に国の医療改悪の中で、入院費から食費がはずされて、自己負担が大幅に増やされることになりました。福祉医療制度の利用者を対象に、この負担を軽減するため創設されました。
食費はどこにいてもかかるといいますが、塩分・カリウム・リンを除去しなくてはいけない腎臓病の患者にとっては、命に係わる問題で、医療行為と同じだと廃止に反対されています。どのように受け止めておられますか。
長期入院されている方は、病院の紙おむつ代は高いからと家族が安いお店を探して購入される等、やりくりをされています。入院にかかる費用負担が重い中で、食費負担軽減に役立ってきたこの制度の役割について、どのように考えておられるのですか。必要ないというお考えですか。
廃止理由として、県民との公平性がその理由にされていますが、市民の立場から到底、納得の得られるものではありません。
かって、福祉医療費助成にかかる県の負担金が本市だけカットされました。市行政と市議会が一体になって県のやり方は公平ではないと抗議して、「凍結」ということですが、元に戻させた経緯があります。これこそが、広島市民の立場からすれば、県民間の公平性に問題ありということではありませんか。
県内で福山市も廃止し、広島市だけになったからといって、広島市行政の自主性・独自性を投げ捨て、県並みに悪いほうに右ならえしようというお考えですか。
●次に、来年度から、縮小するとされた国民健康保険法44条でしめされている窓口一部負担金減免制度の見直しについてお聞きします。お金の心配をして病院にかかれない人がないように、窓口での負担を軽減してきました。この運用については、昭和34年の厚労省通知で地方の事情をよくくんで実施するように示され、広島市は、長く対象を低所得者とし、入院通院とも利用でき、3か月ごとに申請し、上限を定めていません。
2010年国は、病院窓口での未収金が問題になり、国保法44条にある窓口での負担の減免制度が、自治体によって活用に大きな差があり、その活用を促進させるために、基準を示しました。今回、国の通知を根拠に見直すとしていますが、2010年9月の国会答弁でも自治体向けのQ&Aでも「国の基準を上回る基準をもうけていても下げる必要はない」と答えています。この通知をどのように認識されていますか。
他の政令市より利用額が多いということを特に問題視していますが、財政を削減するために、国の指導も無視して、国のしめした基準を悪用したといわれても仕方ないのではありませんか。
今回の見直しで、恒常的な低所得ではなく、家計が急変した生活困難者だけを対象とし、6か月という上限を設けるとしています。恒常的な生活困難者は、生活保護でカバーするとしていますが、数万円の所持金しか認めないなど、厳しい要件があります。
国保には、傷病手当のないため、零細な自営業者は、病気になったら途端に仕事ができず、収入は途絶えてしまいます。廃業せざるを得ない事例もでてきます。
失業したバセドー病の患者は、毎月1万円の負担がありますが、減免制度と貯金で何とかしのいでいるといいます。パーキンソン病の夫を持つ女性は、夫婦で13万円の年金暮らしです。家のローンで貯えを費やし、毎月1万円の医療費と6万円の負担があります。入院代は、療養援護金や減免制度で何とか息をついていると訴えています。
見直し後、平成26年まで経過措置をとる、その間に、生活設計を考えてほしいとしています。それは、家族や親せきの援助に頼りなさい、わずかな貯えを使い果たす「自助・共助を活用しなさい」ということですか。
これでは、生活保護が低所得者の2割も利用されていない現実のなかで、受診をあきらめる、治療を中断する、病気になっても患者になれない事態が生じてしまいます。
「社会保障」と明記された国民健康保険法の目的を骨抜きにし、広島市民の命と健康をまもる公的責任を放棄するものではありませんか。
●来年度から65歳以上の高齢者の公共施設の利用料免除をやめ、半額程度の負担をしてもらうといいます。「なつかしい映画を見て過ごそうとおもっていた老後の唯一の楽しみを奪うのか」こういう高齢者の声にもっと耳をかたむけるべきです。
高齢者施策の見直しは、高齢者の増加を前に「高齢者は支えてもらう存在から支える存在に」なってもらうといいますが、高齢者にさらなる負担をしいて、歳入を確保したいということでしょうか。 
高齢者から料金をとって目先の収益は、上がるかもしれませんが、無料であったから、気軽に文化スポーツ施設を利用でき、高齢者の健康づくりや生きがいづくりに役立ったのではありませんか。
利用料を免除して利用促進を図ることで、元気で長生きする高齢者が増えれば、介護保険や医療費の給付の増大を防ぐ・歳出の抑制にもつながるのではありませんか。
せめて、市民税非課税世帯の高齢者の負担をなくす制度をもとめます。
また、こうした文化スポーツ施設は、指定管理者制度で、運営管理がおこなわれています。今回の利用料免除制度の見直しで、利用者が減るということになりませんか。
映像文化ライブラリーの利用者は、7割が高齢者です。日本でも有数のすぐれた施設として評価されています。
利用料金が半額負担になり、利用者が減るということになれば、指定管理者の評価に直結します。こうした市の施策の変更により、指定管理者の評価が左右されことはありませんか。
利用者の減少は、ユースホステルのように、存続が危ぶまれてくる可能性も出てきます。社会教育事業である文化・スポ―ツ施設の運営への影響をどのように考えていますか。
●来年度中に見直しを検討する事業について、2点お聞きします。
「乳幼児医療費補助制度」について広島市は、小学校に入学したら、全額窓口で負担しなくてはいけません。これは、政令市で一番遅れていると市当局も認められています。全国では、年齢制限を引き上げて、小学校卒業あるいは、中学校卒業までと拡充しています。県内の他の自治体熊野町、三次市でも拡充をすすめています。
所得制限をさげ、県の基準並みに自己負担を増やすことを検討しています。何はおいても、遅れている現在の年齢制限を改善するのが、最優先にすべきことではありませんか。
●国の放課後児童健全育成事業に位置付けられている留守家庭子ども会事業は、児童福祉法の改正により、対象は3年生までを小学校6年生までに、基準は、ガイドラインだったのを条例で定めることになりました。広島市は、これを機に「社会教育事業から福祉事業へとかえる」「福祉は有料だから、利用料を徴収する」と方針の大転換をはかるとしています。「いつから福祉は、有料になったのでしょう」
これまで、やむに已まれず、保護者がエアコンを設置し、電気代も払い、おやつ購入して負担してきました。指導員と保護者が手をとりあって子どもの放課後を過ごす環境を整えてきた事業なのです。
そして、5年前に「あり方検討委員会」が9回にわたり開催されて、指定管理者制度はなじまない、有料化も議論の末に、無料で行こうという方針をだしたところです。
こうした保護者がささえてきた留守家庭子とも会のあゆみの中で、無料でいくとしたあり方検討委員会の結論をどのように考えているのですか。一方的な方針変更では、保護者の理解は得られないのではないでしょうか。
これまで、留守家庭子ども会は、市民が毎年、20万筆以上の署名を集めて公設公営無料をもとめてきました。昨年、署名を出して直後に「留守家庭子ども会」の有料化がしめされました。
サッカー場建設の30万人署名の市民の声なら、留守家庭子とも会の20万人署名も同じ市民の声ではありませんか。
●市民が見直さないでという市民サービスは、削減や縮小の方向へ見直しをする。一方で、広島市は、昨年12月、住民が見直しを求めている高速5号線事業は、トンネル工事を着工すると決めました。見直す事業が、違うのではありませんか。
この間、料金収入の見込みを6750億円から6550億円に下方修正していますが、どういう根拠によるものですか。
トンネル工事に当初予定の2,4倍の190億円かけて着工するとしました。建設費をまかなう料金収入は、下方修正して、トンネル工事費用は、大幅に積み増しをする、これで一体採算が取れるのでしょうか。
安全のためなら、中止の決断が最良の道ではありませんか。


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●大型開発から耐震・老朽化対策に転換を
(近松さと子議員)
●今、公共事業のあり方の抜本的見直しが求められています。
国土強靭化で200兆円、防災ニューディールで100兆円と公共投資計画を掲げていますが、総額先にありきのやり方は、無駄と浪費の公共事業を進めた結果、今日の財政破たんを招いた要因になりました。大手ゼネコンが大儲けをしただけで、景気対策に役にたたなかったすでに破たん済みのやり方です。
国土交通省の「国土の中間まとめ」では、あと100年で人口は半減するという予測が出されています。人口の急激な減少と高齢化の進行が、予想されています。
また、笹子トンネルの天井落下事故に見られるように、高度成長期につくられた道路・橋・公共施設などが、老朽化し、早急な対策がもとめられています。

●広島市は、6つの川にかかる橋が、それぞれの町をつないでいます。
この重要な橋梁の修繕が、進んでいません。2013年度までの橋梁の修繕計画では、63橋のうち31橋しか、完了しなかったといいます。その理由はなぜですか。
のこりの32橋に加え、新たに41橋の対策が必要だと判明しました。合わせて73橋の整備が急がれますが、どのように進められるつもりですか。

●これまでも何度も繰り返し指摘してきました。急がれるのは、保育園の耐震化です。学校の耐震化は、補正も組まれていよいよ完了するめども立ちました。
ところが、保育園の耐震化は、政令市で16番目と最も遅れている自治体なのに、耐震診断もできていません。学校の児童と保育園の子どものいのちの値打ちに違いがあるのですか。
耐震診断にどれだけの予算がかかるというのでしょうか。今後保育園の耐震化にどのように取り組むつもりですか。お答えください。
人口減少時代を迎えて、新規建設ではなく、防災・老朽化に備えた維持・更新事業を優先すべきです。高速道路や駅前再開発などの大型開発事業より中小規模生活関連事業に転換するべきではありませんか。

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●市営住宅について
(近松さと子議員)
 最後に市営住宅についてのお聞きします。
建設後30年以上経過したものが約6割を占め、入居者の高齢化も一層進み、居住環境の改善は待ったなしの課題です。
2009年に自ら定めた市営住宅ストック有効活用計画を実行するどころか、なし崩し的に公営住宅の役割を投げ捨てる動きを加速させています。今回の事務事業の見直しで、ストック有効活用計画ですすめるとした階段室型中層住宅へのエレべーター設置計画の中止や基町団地再整備の延期などが、しめされました。また、維持補修するとしてきた市営住宅の廃止が新聞で報道され、住民に不安を与えています。
今になって、市営住宅ストック有効活用計画そのものを見直すといいますが、そもそも、順番が逆ではありませんか。
 今回の事務事業の見直しで、このエレべーターの設置計画を中止するとしています。35棟803戸にのぼる住宅が影響をうけます。
高齢者など配慮の必要な住民の住宅環境の改善について、どのように責任をはたすつもりですか
広島市は、1階への住み替えの制度があるとしていますが、1階の空き室があいていればという条件付きです。しかも、引っ越し費用の負担は、自前であり、決して容易ではありません。住み慣れたところで、エレベーターがついて少しでも便利になってほしいというのが、住民のねがいではないでしょうか。
また、基町再整備は、3年完成を延期させるといいます。住民の4割が高齢者である中で、手すりが付いてバリアフリーになる住戸改善は、今かいまかと待ち望んでいます。従来の居室を合体させて、ファミリー向け住宅190戸の整備をおこない、若い世代を呼び込むというのも、高齢化した団地住民のねがいでもあります。こうした住戸改善は、住民の福祉向上のために、速やかにすすめるべきではないでしょうか。
今、広島市は、中央公園周辺地域の今後のあり方を検討する中で、基町県営住宅の廃止後の跡地の活用について、市営中層アパートの廃止も長期的に検討をするとしています。一昨年の県営住宅300世帯の廃止決定は、住民の基町団地再生の取り組みに冷水をあびせるものと住民の怒りを呼びました。
少子高齢化が進む中で、こうした大規模団地は、コミュニティの崩壊の危機に直面しています。こうした中で、地域では、住民自身による街の再生に向けた模索が続いています。今年は、団地の活性化に向けて検討をおこなう予算もついて、行政が住民と一緒にまちづくりを模索している今まさに真っ最中です。
活性化にむけて、どのような検討が進んでいますか。
こういう中で、市営中層アパート廃止の検討が、発表されること自体、住民の不信を招くものです。地域住民の声を無視して、計画を進めるべきではありませんが、どのように認識されていますか。
今回、見直すという市営住宅ストック有効活用計画では、すでに、民間の借地や小規模団地のうち、22団地152戸を廃止するとしています。建て替え方針の住宅は、470戸ですが、市街地再開発事業やPFI方式という民間に丸投げする手法をとり、あくまで、市の財政負担の抑制が大前提になっています。
見直しのなかで、今後、世帯の減少などを考慮して長期的な目標戸数を決めるとしています。 再編集約化を図るといいますが、これ以上の廃止を考えているのでしょうか。
広島市の住宅のうち、公営住宅の割合は、4%で全国平均より1000戸少ない現状であることをどのように認識されていますか。
昨年もっとも人気があった公募倍率は、181倍、4戸の住宅に724人が応募されました。平均公募倍率は、26,8倍と市営住宅への要求の高さをしめしているのではありませんか。
また、広島県の資料「将来の広島県のすがた」でも、「世帯所得で見ると,より低い所得階級に分布が移行している。」とのべて、低所得層の増大を予想しています。こうしたことも目標戸数を決める際には、考慮すべきではありませんか
最後に、県と市の連携強化に向けて、県営住宅と市営住宅の検討が合同研究会でとり挙げられています。何がどのように問題だと考えておられますか。
終の住まいと思っていた高齢者を追い出す基町県営住宅用途廃止や住戸改善時の家賃の値上など、住民に負担をしいる県の冷たい住宅政策と歩調を合わせるような一元化はもってのほかです。
公営住宅法では「国と県や市町村が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し低所得者に安い家賃で賃貸すること」と定めています。貧困と格差が拡大し、高齢者や若い世代の中には、安心して暮らせる市営住宅が切実に求められているのではありませんか。

以上、総括質問を終わります

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―再質問―

(近松さと子議員)

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