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2012年6月26日 本会議 一般質問 近松さと子議員 |
●被爆地ヒロシマの使命と役割 ・核兵器廃絶について ・オスプレイ岩国基地配備について ・黒い雨地域拡大について ・広島ユース・ホステルの休止問題 ●住民福祉の機関として ・ふくしま第二保育園廃園問題 ・公益通報者保護法について ・市立病院の地方独立行政法人化について ●よりよい教育のために ・教員の超過勤務の改善について ●住民本位の都市開発事業について ・国道2号線西広島バイパス高架延伸について ・広大跡地「知の拠点構想」について ・広島駅南口Bブロック第1種市街地再開発事業について ・高速5号線事業について ≪再質問≫ ・広島ユース・ホステルの休止問題 ・ふくしま第二保育園廃園問題 |
●被爆地ヒロシマの使命と役割 (近松さと子議員) 広島に原爆が投下されてから67年目の夏を迎えようとしています。 4月30日、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会が開催されました。松井市長をはじめ広島から被団協の吉岡幸雄副理事長が、開催地のオーストリア・ウィーンを訪れました。被爆者のみなさんは、国連施設で原爆展を開催し、準備委員会の議長を訪ね、全国から寄せられた「核兵器全面禁止のアピール」署名を提出しました。 昨年の国連総会でも、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が130の国々の賛成で採択されました。ウイーンでも、非同盟諸国をはじめ多くの国やまた、日本の被爆者や平和市長会議をはじめ、世界のNGOの代表もこぞって禁止条約の交渉開始を訴え、この声は、いまや国際的な大きなうねりとなっています。 核兵器の廃絶を実現するうえで最大の障害となっているのが、核抑止論です。 唯一の被爆国である日本政府が、核抑止論を正当化し、アメリカの核の傘の下にしがみついています。 あらためて、広島市として、日本の政府に対して、「核抑止論」の克服や核の傘から離脱し、被爆国として、核兵器を廃絶するための役割を果たすようもとめるべきではありませんか。 (市民局長) 本市は、平和市長会議とともに、「2020ビジョン」を掲げ、2020年(平成32年)までの核兵器廃絶の実現に向け全力を尽くしており、国に対しても、様々な機会を捉え、積極的に取り組むよう要望しています。 その中で、国民的な議論により「核の傘」に頼らない安全保障体制を構築することについても言及しています。 (近松さと子議員) オスプレイの岩国基地配備についてお聞きします。 日本政府は、普天間基地へ配備を強行しようとしている米軍新型輸送機「MV22オスプレイ」を、沖縄配備に先行して岩国基地に搬入し、試験飛行することを山口県や岩国市に、要請しました。オスプレイは、今年4月に続いて、この6月にも、訓練中に墜落事故をおこし、事故多発の欠陥機と指摘されて、沖縄をはじめ全国で反対運動が起きています。 今、米軍の報告書で、その飛行・訓練の内容が発表されました。岩国基地にオスプレイの分遣隊をおくことや日本本土が、オスプレイの低空飛行による危険な訓練場になることが明らかになりました。廿日市の真野市長や北広島町議会も、反対の声を上げています。広島市の上空をわがもの顔で飛ぶ危険性のあるオスプレイの岩国基地配備に反対すべきではありませんか。 (市民局長) 我が国と米国の安全保障上の問題は、基本的には、国家間の問題として、国民世論を踏まえ、国政の場で議論されるべきものであると考えています。 オスプレイに関しては、その安全性への懸念が高まっていることから、地元の山口県知事が国に対して、搬入の棚上げを要請しており、今月18日には、広島県が国に対して、先般の墜落事故の調査結果、岩国基地への搬入時期や訓練飛行ルート等について、説明を求めている状況にあります。 本市としては、今後、市民生活に影響を及ぼすような事態が生じるようであれば、市民の安全・安心を守る立場から、国に対し適切な対応を求めたいと考えています。 (近松さと子議員) 黒い雨の地域拡大が、いよいよ重大な局面を迎えています。要求の実現にむけて、広島市の今後の取り組みについて、お聞きします。 被爆当時、爆心地から西南西に10キロメートルの地域に位置する旧佐伯郡観音村千同の国民学校の3年生だったAさん。弟とサツマイモ畑を駆け回っていると、灰が飛んできて暗くなり、夕立のような雨が降り出した。粘り気のある黒いしみがシャツについた。庭にある蓋のない井戸水を飲み続け、田畑で作った野菜やコメを食べ続けた。体がだるく遅刻の常習犯、体育もクラブ活動もできず、異端児扱い、横着病といわれ続けた。 爆心地から北17qの旧亀山村西綾ケ谷にある綾西国民学校の2年生だったSさん。山の向こうにきのこ雲が上がり、グーッとこっちに来て暗くなった。歩いて帰る途中、雨にあった。米軍が爆発測定無線装置をつけて、投下した落下傘が、3つ近くに落ちた。今、原爆資料館に展示されている。黒い雨が降り注いだ小川の水を飲み、その水で飯を炊き、野菜を洗って食べた。20代の頃から胃が悪く、薬草を煎じて飲んでいた。40代で胃潰瘍を患い、58歳で胃がんが見つかり、全部摘出した。2歳上の姉も数年後、腸を患い、今は、甲状腺が悪く治療を受けている。 原爆の投下直後に、「黒い雨」が降ったと政府が指定した「大雨地域」の外側の2つの地区に住んでいた住民の証言です。 厚生労働省は、一昨年12月、検討会を設置して、広島市が、2008年に行った「原爆体験者等健康意識調査」を検証して、「黒い雨」被ばく者の救済に道をひらく姿勢を見せました。しかし、今年の5月29日に開催された第8回検討会では、黒い雨体験者の健康不安は認めたものの、今紹介した旧佐伯郡観音村千同も旧亀山村西綾ケ谷などの未指定地域を原爆放射能による健康影響があったとする根拠が見いだせないという報告書案を大筋で了承しました。7月上旬には、検討会として最終決定する予定としています。 検討会の委員からは、「60年以上前の記憶であり、正確でない」「そもそも、黒い雨に放射能があったのか」という耳を疑う発言も飛び出しました。今後「調査を繰り返して時間を費やすことは無駄だ」という姿勢です。黒い雨の会のみなさんは、高齢の身を押して毎回傍聴に行かれ、歯がゆい思いをされています。 本来、政府がやるべき被爆実態調査も行わずに、「科学的、合理的根拠」がないといって広島市などの報告書に難癖をつけるのは許されません。 今、広島大や金沢大などの研究で、「大雨地域」から遠い地域でも原爆投下に由来するセシウムが発見されました。広島・長崎にある放射線影響研究所が1950年に集めた1万3千人のデータがあることも昨年明らかになりました。 原爆症認定の裁判で、8つの判決が、国の援護対象区域の外で「黒い雨」や放射性降下物が広範囲に降り、住民が被ばくした可能性があると判断しています。 政府は、住民の証言と新たに発見された事実を積極的に受け止めて指定地域を拡大すべきです。 今後、検討会がおこなう「最終まとめ」に向けて、市としてどのように対応されるつもりですか。 「黒い雨」体験者は高齢化しています。「黒い雨」で被爆した住民の救済は、ヒロシマの悲願です。 これから最終判断をする国に対して、広島市は、「黒い雨降雨地域拡大」「第一種健康診断受給者証の交付」にむけてどのように働きかけられるのでしょうか。 県内の3市5町の長と議会が、オールヒロシマで、党派を超えて国に働きかけるべきです。その先頭にたつ市長の決意をお聞かせください。 (市長) 本年5月29日の国の検討会に提出された報告書案は、まだ案の段階であり、最終的なものではありませんが、その内容は、被爆地域(第一種健康診断特例区域)の拡大を要望している本市にとっては、非常に厳しいものであると受け止めています。 国の検討会の最終的な結論は7月に開催される会議で取りまとめられると承知していますが、本市としては、これまで、検討会に対しては、参考人として出席し、本市としての考え方や、議論の取りまとめに当たり踏まえていただきたい事項を申し述べるなど、行政として行うべきことを十分に行ってきました。 したがって、国における被爆地域拡大についての最終的な判断に向けて、未指定地域の方々の高齢化が着実に進展している中、政治的な決断をしていただくことが必要になっているものと考えています。 こうした中、先月の22日に、「被爆者問題について、問題意識を共有し、政治解決を目指すことを目的とする」民主党の「被爆者問題議員懇談会」が活動を再開され、黒い雨の問題についても取り上げていくことが決まっています。 本市としては、今後、このような動きに合わせて、国において、よりよい政治的な判断がなされるよう、適切に対処していきたいという風に考えています。 なお、広島県や3市5町が連携することについては、7月の検討会で最終結論が出され、それが国に報告された後に、本市が中心となって、国に対する要望活動を行うようにしていきたいと考えています。 (近松さと子議員) 8月6日を前に、被爆地ヒロシマで平和を学ぼうとする世界中の旅行者、特に若者をうけいれてきた広島ユース・ホステルが休館しています。 広島ユース・ホステルの指定管理者であった、特定非営利活動法人青少年共育活動協会(以下「協会」)は、東日本大震災、福島原発事故の影響で宿泊数が激減したことを理由に、今年1月に正式に「辞退」を申し出ました。市は、これを受け、4月1日からユース・ホステルの「休館」を決めました。 広島ユース・ホステルは、1960年に開館して52年、開館当初から外国人の利用が多く、今でも4割が外国人利用者で、日本を代表するユース・ホステルです。 同時に、平和都市ヒロシマとしての国際交流に貢献してきました。 2003年には、国際ユース・ホステル連盟とユネスコから世界4000箇所のユース・ホステルのなかで、11館しかない「平和学習センター」に認定されました。 市は、ユース・ホステルの利用者が年々減少傾向にある理由として、市内に安価な宿泊施設が増えたことをあげていますが、これまで被爆地ヒロシマの「広島ユース・ホステル」が果たしてきた役割をどのように評価しているのでしょうか。 4月1日からの「休館」という突然の報道に、国内外から一日も早い再開を求める声が届けられています。外国からの観光客がもどりつつある中で、1度閉じてしまうと元のお客さんを取り戻すのは、並大抵のことではありません。 とりわけ市長は、「迎える平和」をかかげておられるのですから、世界の若者を広島に迎えるため、当面直営に戻してでも、8月6日までに再開すべきではありませんか。 一方で、築52年の施設の老朽化の問題があります。開設当時から管理運営を任されていた日本ユース・ホステル協会は、20年前から建替えの要望を出していました。これから、建て替えなどの問題をどのように検討されるのでしょうか。 指定期間の3年を残して「指定の取り消し」になった指定管理者は、今回がはじめてのケースです。 広島市は、これまで、「指定管理者制度を導入してもサービスの低下はしない」と説明してきましたが、「赤字になると撤退し、事業が休止を余儀なくされる」と懸念されてきた指定管理者制度の問題点が、浮き彫りになりました。 指定管理者が、撤退することがないような方策を考えるべきではありませんか。 (企画総務局長) 本市では、指定期間中に安易な撤退を抑止する方策として、現在、指定管理者と基本協定を締結する際には、指定取消となった場合、指定取消の日から2年間は本市の指定管理者候補に申請できないことを申請者に対して事前に認識させています。 指定期間中に指定管理者が撤退するような事態が生じることは好ましくないことであると考えており、今後とも、こうしたことを通じて、抑止策を徹底していきたいと考えています。 (経済観光局長) 広島ユース・ホステルは、青少年等に対し健全な旅行を誘致奨励するために低額な料金で規律正しく宿泊できる場を提供する施設であり、昭和35年の開館以来約78万人の利用がありました。特に、外国人の利用が多く、国内外の宿泊者が気軽に交歓できる国際交流の場としても活用されてきました。 また、平成15年6月、国際ユースホステル連盟から「平和学習センター」の認定を受け、外国人旅行者などを対象に被爆者から講話を聞く「平和と国際交流の夕べ」を通算48回開催するなど平和について考える場を提供してきました。 こうした取組を通じ、被爆の実相を伝え、本市が目指す核兵器廃絶への理解を深めるという役割を果たしてきたと認識しています。 広島ユース・ホステルについては、これまで果たしてきた役割や今後果たすべき役割などを踏まえ、運営も含めた施設のあり方について幅広く検討を行った上で、平成24年度中に方針を決定することにしています。 このため、8月6日までに再開することは困難です。 上にもどる ●住民福祉の機関として (近松さと子議員) さて、待機児が昨年よりも125人増えて、保育園が足りないという時に、広島市は、ふくしま第二保育園を廃園しようとしています。これでは、待機児ゼロに逆行するのではないでしょうか。 20年前から、ふくしま第二保育園は、食肉市場あと地に、教育集会所、県営住宅とともに、移設することが合意されていました。1992年には、ふくしま第二保育園の実施設計費が当初予算に計上されました。しかし、化製場が残ることになって、計画全体が凍結されてきたという経緯があります。 そもそも、地元との約束は、ふくしま第二保育園の移転建て替えではありませんか。 貧困問題から子育ての困難さを抱えている家庭が、増えています。ふくしま第2保育園は、地域と連携し、教育・子育て環境の改善に取り組んできました。 ふくしま第二保育園が果たしてきた役割について、どのように考えておられますか。 (こども未来局長) ふくしま第二保育園は、地元の要望を受けて、平成3年度に、旧食肉市場跡地に公立保育園として移転整備することを決定し、地元に説明しています。 その後、旧食肉市場跡地の隣接地にあった化製場の移転が平成18年まで実現しなかったことから、保育園の移転は凍結となりました。 この間、社会・経済情勢など保育を取り巻く状況も大きく変わったことから、本市では、平成20年に今後の保育施策の方向を定めた「保育園のあり方について」を策定し、厳しい財政状況の中で限られた財源を最大限有効に活用しながら、より一層保育サービスを充実するため、民間活力の積極的な活用を図ることにしました。 旧食肉市場跡地への保育園の新設に当たっては、こうした考え方に基づき、民間保育園として整備するための経費を今年度予算に計上し、議会の了承をいただいています。 保育園は、保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設です。また、家庭や地域との連携を図りながら、入園児童の保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割も担っています。 ふくしま第二保育園においても、長年にわたり地域と連携しながら、こうした役割を果たしてきました。 保育園の果たす役割は、民間保育園であれ、公立保育園であれ変わりありません。また、保育の実施については、公立保育園・民間保育園を問わず、本市に実施責任があります。 したがって、旧食肉市場跡地に新設する民間保育園においても、これまでふくしま第二保育園が果たしてきた役割と同様の役割を果たしてまいります。 (近松さと子議員) 昨年の社会福祉法人ひまわり福祉会の2億8千万円の補助金不正受給事件は、広島市の保育行政や公費の使われ方への信頼を大きく損ないました。監査で不正を見つけることができず、発覚の発端となったのは、内部告発です。しかも、内部告発・通報があったときの対応がまずかったと広島市はその責任を認めました。 全国でも、相次ぐ企業や行政の違法・不正行為は、関係者の勇気ある告発で明るみに出ました。しかし、告発した労働者が解雇やいじめなどの報復を受けるケースが後を絶ちません。そこで、告発者を保護し、行政機関が通報を受け付け、対応する公益通報者保護制度が2006年に施行されました。通報の範囲が罰則を伴う法令違反とするなど、要件が厳しすぎる問題がありますが、不正をただすために告発した人を守るべきだという法の精神は、とりわけ、公共分野や自治体では、尊重されなければなりません。 昨年12月に社会福祉法人の副園長が、広島市の自立支援課に、支援費の請求について疑念があるという通報をおこなった後、今年の2月29日づけで、虐待を理由に、20数年勤務した施設を解雇されました。今、不当解雇だと裁判所に訴えています。 国の示すこの制度のガイドラインでは、通報した内容を速やかに調査し、通報者へも報告をおこなうとしています。この間、通報者が、調査の報告をもとめても広島市は、逆に情報公開条例での開示請求をもとめ、門前払いになったといいます。 今回の事例について、ひまわり福祉会の問題の反省と教訓は、いかされていますか。 通報者を守らないと公益も守れないという制度の精神を踏まえて、対応すべきではありませんか。 特に、通報者への報告など誠実な対応が必要ではありませんか。 さて、県内でも、廿日市市や三次市などで通報について、窓口や要綱が作成し、公表されています。広島市には、外部通報の窓口もなく、内部でのとり扱い方針があるだけで、市民に広く知られていません。 通報にすみやかに対応し、不正や違法行為をなくすため、窓口を設置し、要綱をしめすことが必要ではありませんか。 (企画総務局長) 本市においては、公益通報者保護法が施行された平成18年4月に、「行政機関通報に関する取扱方針」を作成しました。 この取扱方針では、通報の受け付け、調査の実施、必要な措置の実施及び調査結果等の通報者への通知などについての手続きを定めており、その内容については、職員に対し、説明会等を通じて周知を図っています。 通報の受け付けについては、対象となった事実に対する処分又は勧告等の権限を有する事業主管課で行うことにしています。加えて、通報者の利便性に配慮し、市民相談を業務として行っている市民相談センターや消費生活センター、さらには市民に身近な区役所において通報を受けたときは、通報の主旨を聴取したうえで、速やかに事業主管課へ案内することにしています。 公益通報者保護司度の運用に当たり、今後とも、職員への取扱方針の周知や、市民への制度概要、受付窓口等に関する情報のPRに努めていきたいと考えています。 (健康福祉局長) ひまわり福祉会の問題については、定期監査の甘さと通報に対する対応のまずさがあったと認識しており、社会福祉法人の適正な運営等の一層の推進を図るため、監査体制の見直しを行いました。 ご指摘の件については、監査体制の見直し以前に行われたものですが、ひまわり福祉会の問題の反省と教訓をいかし、迅速かつ的確な対応・調査を行いました。 今回の件で、社会福祉法人の副園長が解雇されたことは承知していますが、解雇された理由は、市に調査要請を行ったことではなく、@施設利用者に対する虐待があったこと、A虐待行為に関する職員会議録を改ざんさせたこと、などによるものだと法人から聞いています。 また、今回の通報は、「職員配置上の常勤換算において過誤があったのかを調査してください。」との調査要請であり、公益通報者保護法に基づく公益通報としては受理していませんが、要請を受け、迅速かつ的確な対応・調査を行いました。 このように過誤に関する通報であっても、不正行為につながる可能性のあるものについては、公益通報であるか否かに関わらず、迅速かつ適切に事実の把握に努めることは行政庁として当然のことと認識しており、今後とも、こうした認識のもとに、適切に対処してまいります。 本件については、通報者からの調査要請を受けて、調査を行った結果、請求誤りが確認できたため、現在、その過誤処理手続を進めています。 ひまわり福祉会の問題を受けて策定した「通報による監査の手引き」では、不正行為等の通報があった場合には、通報者等に調査結果を説明することを前提に調査を行うとしており、通報者に対しては、過誤処理手続きが終了した段階で、結果をお伝えするよう考えています。 (近松さと子議員) 次に市立病院の経営形態見直しとして、焦点になっている地方独立行政法人化についてお聞きします。 自民党小泉構造改革の医療費抑制の下、病院経営の悪化や医師不足を引き起こし医療崩壊が大きな社会問題になりました。急患の受け入れ先がない、また、退院先が決まらないのに追い出される医療難民・介護難民という事態が広がり、産科や小児科の減少で、安心して子どもを生み、育てることも困難になっています。 特に08年自治体財政健全化法と07年公立病院改革ガイドラインで「公立病院の約8割は赤字」であるとし、「経営形態の見直し」という名で、自治体病院リストラがすすみ、地域医療の崩壊に拍車がかかりました。 感染病棟や小児科救急などの不採算部門をになう舟入病院と、開設間もないリハビリテーション病院が赤字とはいえ、他の病院は、黒字経営という状況です。なぜ、独立行政法人化などの見直しを検討しなくてはいけないでしょうか。 しかも、市立病院は、経営効率化をすすめる総務省の改革ガイドラインが、示す経営形態の地方公営企業法の全部適用をすでに受けています。 そうした中で、今、なぜ、経営形態の見直しが必要なのでしょうか。取りざたされている地方独立行政法人の中心的な目的は、「経営の効率化」です。もうけ本位に走り、不採算部門が、切り捨てられるのではないか。住民にとって、「いつでも、どこでも、だれでも安心してかかれる医療」サービスが、低下しないかと危惧されます。 医療法で自治体立病院は「一般の医療機関に常に期待することのできない業務を積極的に行い、これらを一体的に運営することが期待できること」と特別な役割を定めています。 今、求められているのは、地域医療の後退、自治体病院の役割を否定する経営形態の見直しではなく、医師・看護師など医療従事者を増やすことや自治体病院が、公的医療機関の役割を果たすために国と自治体は、政策的支援・財政措置を強めることではないでしょうか。 (病院事業局事務局長) 病院事業局では、病院を取り巻く環境変化や経営の安定化、医療スタッフの確保などに、迅速、柔軟に対応できる経営形態を検討するため、外部の医療関係者等を委員とする委員会を設置し、5月28日に第1回目の委員会を開催したところです。 今後、この委員会の意見を踏まえ、これまで以上に質の高い安全で安心な医療を安定的に提供できる病院の経営形態について、病院事業局としての考えをとりまとめていきたいと考えています。 議員ご指摘のような意見は、先日開催した1回目の委員会でも出されており、病院事業局としても現在の病院の課題等について十分説明していきたいと考えていますので、次回以降の委員会で、こうした議論が深められていくものと考えています。 なお、経営形態の方向性については、8月末までに中間報告というかたちでとりまとめていただくことにしており、まとまり次第、その内容等について、議会にもご説明させていただきます。 上にもどる ●よりよい教育のために (近松さと子議員) OECD諸国の平均と比べ、日本の教員は一年で約100日分(799時間)も多く働いており、超過勤務は、教職員の健康に影響を与える大きな要因になっています。 定年を待たず早期退職する教員が増えて、平均の退職年齢は51才になっています。広島市教育委員会においても、病気休職者が増加しており、2010年度の病気休職者は81人で、そのうち精神疾患は48人、全体の6割に当たります。 とりわけ、29歳以下の若年退職者が、2010年度14名もありました。希望を胸に教育現場に飛び込んだ若い先生たちが、志半ばに辞めざるを得ないという状況は、一刻も放置できません。 教職員の命と健康を守るために、蔓延する長時間・過密労働を解消していくことが、必要です。市教委も、「メンタルヘルス対策実施事業実施要領」を作成しました。超過勤務の実態を把握し、改善するために、県内の他の自治体に先駆けて、パソコン入力し、入退校の時間の記録をとることがおこなわれています。 入校・退行時刻の記録がなぜ必要なのか、管理職をはじめ、現場に周知しているのでしょうか。 超過勤務の教員数や超過勤務の時間は、どのように推移していますか。 「労働安全衛生法」は、超過勤務が一か月あたり100時間を超える場合には、医師による面接指導を実施し、校長は勤務の軽減をはからなければならないとしています。常勤者が50人を超える職場には、衛生委員会の設置を義務づけ、50人未満の職場も努力義務となっています。 「衛生委員会」は、毎月定期的に開催して、入退校記録をもとに、超過勤務の解消など、教員の健康管理の手立てをつくしていますか。 仕事が終わらないから帰れないわけです。市教委からの報告文書などの仕事量は軽減されているのでしょうか。 教員が消耗品のように扱われては、子どもに向き合い、一人一人を大切にする教育はできません。教員こそ、最大の教育条件であるという立場で、超過勤務の改善をもとめます。 (教育長) 本市においては、教職員の勤務時間を適正に管理し健康管理に活用することを目的として、各学校において教職員の入校・退校時刻を記録しています。 入校・退校時刻を記録する目的等は、年度初めに各学校に通知するとともに、年間を通じて校長会等で周知を図っています。 小・中学校の教諭の勤務時間外における平均在校時間について、平成22年度と平成23年度を比較すると、小学校では、平成22年度が2時間7分、平成23年度が2時間13分となっており、6分増加しています。 また、中学校では、平成22年度が2時間30分、平成23年度が2時間28分となっており、2分減少しています。 1か月あたり100時間を超えて、勤務時間外に在校していた教諭数は、小学校では、平成22年度が73人、平成23年度が43人で、30人減少しています。 また、中学校では、平成22年度が571人、平成23年度が390人で、181人減少しています。 常時勤務する教職員が50人以上の学校では、労働安全衛生法に基づき、衛生委員会を設置するとともに、50人未満の学校についても、9割以上の学校が衛生委員会に準ずる組織を設置し、年間を通じて計画的に衛生委員会等を開催しています。 各学校の衛生委員会等では、定期健康診断の結果や入校・退校時刻の記録等の資料を活用して、教職員の安全と健康の保持・増進に関する審議等を行っています。 教育委員会から学校に対して求めている各種の調査・報告については、真に必要な調査・報告に厳選するとともに、年間を通じて学校に依頼する調査・報告の件名やその実施時期等を取りまとめた計画表を作成し、年度当初に各学校に送付することで、学校が年間を見通して計画的に事務を進めることができるようにしています。 調査・報告件数については、平成20年度と平成23年度を比較すると、全ての校種において減少しています。例えば、最も件数の多い小学校についていえば、平成20年度が168件、平成23年度が108件と減少しています。 上にもどる ●住民本位の都市開発事業について (近松さと子議員) 広島市の都市開発・道路事業について、住民本位の立場からお聞きします。 国土交通省は、国道2号観音高架延伸2期区間(西区観音から中区平野)の整備について、広島市と協議するとしています。 この工事に対して、市は過去に、ひとつは「地元説明が不十分」。2つ目は「財政非常事態」という理由で着工に同意を与えてこなかった経過があります。この2つの理由については、今日、どのような認識をもっているのかお聞きします。 「地元説明が不十分」という点で、工事に対して、沿線住民が国と市を相手に起こしている騒音訴訟の裁判が行われていますが、この行方について、市の着工判断にどのように影響すると考えていますか。 そもそも、この事業が計画された20年前と現在は、様々な事情が違います。 とりわけ広島市内に通勤する人が多いと考えられる廿日市市などの人口減と市内の雇用状況の低迷は、当然ながら流れ込む交通総量は、増えないことが予測されます。 現在、国道2号線と並行して走る広島南道路の市街地域が、来年度中には完成する予定です。この道路は有料の高架道路に並行して無料の一般国道も走るというものです。南道路の開通による2号線の交通量の見込みをお示しください。 これが開通すれば、国道2号線を走っていた車が、かなりこちらに回り2号線の渋滞も緩和されると思うのですが、どのようにお考えですか。 財政難の中、総工費300億円のうち100億円もの負担をして、高架延伸をする必要性があるでしょうか。お聞かせください。 (道路交通局長) 西広島バイパス都心部延伸事業については、平成14年8月に提訴された「国道2号線道路公害差止・損害賠償請求事件」の一審判決において、事業についての公共性及び公益上の必要性、また、沿道環境の改善効果などが認められ、事業の差止請求については棄却されています。 西広島バイパスの交通量は、平成23年に国が事業再評価のために実施した平成42年の推計値で、西区庚午付近の日当たり交通量が約9万4千台と予測されています。このため、広島南道路の開通後についても、西方面からの交通を都心部に円滑に分散導入するため、都心部延伸の必要性はあるものと考えています。 事業実施に当たり、本市が負担することとなる費用については、市の事務・事業全般の見直しに取り組む中で、確保することとなると考えています。 (近松さと子議員) 次に、広島大学跡地活用について、お聞きします。 今年度に土地鑑定を行い、土地交換や民間事業者へ売却し、跡地活用を決めるとの方針といいます。広大跡地の利用について、2006年有志懇談会による「ひろしまの”知の拠点“再生プロジェクト」の構想が出されました。 その後、紆余曲折を経て今日に至っていますが、現在も跡地利用について、”知の拠点“の基本的な考えには、変わりないのでしょうか。 「ひろしまの”知の拠点“再生プロジェクト」では、東千田地区利用計画案に示されているように「知の拠点」を支えるゾーンとしての導入機能例がいくつか書かれています。これによると、2号線に面したゾーンは、「幹線道路に接する立地性を活かし、主に住宅・商業・業務関連の土地利用となることが望ましい」を加え、商業施設の設置も容認しています。 これでは”知の拠点“はどこにいったのかと言われてもしかたありません。どのように考えておられますか。 マンション業者に売却された隣接地では、賃貸された土地に大型商業施設が進出して、地元商店街は、大きなダメージを受けたとされています。もし、商業施設となれば、隣接する国泰寺交差点(国道2号と駅前通りの交差点)で一層の渋滞が予測され、近隣住民に影響をおよぼすことが懸念されます。 こうした大型商業施設の進出は、認めるべきではなく、民間業者への土地売却に際しては、あくまで、知の拠点構想での跡地利用計画の実施をすすめるべきと思いますが、いかがですか。 今月14日、被爆建物である旧広島大学理学部1号館を『自然史博物館』として、保存・活用することを求めて、市民グループが広島大学の浅原利正学長に要望書を提出しました。これに対し、学長は、「旧広大理学部一号館は最終的には広島市の土地になる予定。できるだけアカデミックな拠点として頂きたいという話をしていく。」と述べたと報道されています。土地交換・売却となれば、いよいよ旧広島大学理学部1号館の保存も具体化しなければなりません。その内容や実現の目途を明らかにしてください。 (都市整備局長) 広島大学本部跡地は、都心に残された数少ない大規模未利用地であり、かつての広島の教育の中心として栄えてきた経緯などを踏まえ、その有効活用を図る必要があると考えています。 有効活用に当たっては、広島地域大学長有志懇談会から提案された「ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト(仮称)」の基本的な考え方に沿って取り組んでいくこととしています。 (近松さと子議員) 広島駅南口Bブロック市街地再開発事業についてお聞きします。 今年度6月1日から14日まで権利変換計画の縦覧が行われ、1988年に都市計画決定されて以来、長年の懸案であった再開発が動き出しています。しかし、借家人から「組合に借家権を奪われている」との声が複数よせられています。 再開発組合について監督権限(都市再開発法125条)と権利変換計画の認可権限(同法72条)を持つとされる広島市は、都市再開発法を順守するよう組合を指導すべきです。借家権者の営業と生業を成り立たせることは、新ビル建設事業を本格化させるための大前提です。 広島市の都市再開発法の運用について、認識をおたずねします。 借家人によると、組合は、組合設立後20年間もの間、借家人への説明会は、今年(平成24年)の3月21日の一回だけで「書類を出さなければ、補償の算定ができない」と借家人は、「転出」を迫られたといいます。100万円にも満たないわずかな補償金では、商売の再建は出来ません。 また、都市再開発法79条第三項を理由に、「過小の借家人には借家権を与えない」としています。これは都市再開発法の誤った運用です。 さらに、法定期間内に転出申出をしていない「無効」な転出申出を「有効」扱いにし、権利変換計画では、「転出扱い」とされています。その他、権利変換を希望した借家人に「床が足りない」と転出をせまるケースなどもあります。このような借家人の借家権を奪ったまま、市が権利変換計画を認可すべきではありません。組合のやり方に誤りはないのかお答えください。 そもそも、市は、都市再開発法の借家権については、どのように解釈されているのでしょうか。 借家人の営業と生業を奪うような市街地再開発の進め方では、公共の福祉に寄与することを目的とした都市再開発法の目的に反するといわざるをえません。市は、どのように受け止めておられますか。 1975年、衆議院建設委員会の付帯決議では、「借家権者その他の零細権利者の生活の安定が図られるよう必要な助成、措置を講ずること」としています。附帯決議の主旨にも反するこのようなやり方での転出は無効です。市は、これまで組合にどのような指導をされたのでしょうか。借家権への配慮について、国の付帯決議の主旨と、監督官庁としての市の役割をお聞きします。 (都市整備局長) 広島駅南口Bブロック市街地再開発組合(以下、単に「組合」と言います。)は、本年3月の説明会のみならず、平成20年4月の事業説明会の開催時や、同年8月から11月にかけて補償の概算額の提示や残留・転出の意向調査を行った際にも、借家人への説明を繰り返し行ってきています。 組合は、補償に当たっては、一般の公共事業に伴う損失補償基準に準じた補償基準を作成しており、所得税の確定申告書などの公的な資料により営業補償を算定するなど、客観的な基準によって補償を行うこととしています。 以上のような組合の対応は、「周知措置」について定めた都市再開発法第67条、「土地の明渡しに伴う損失補償」について定めた同法第97条の規定に基づき、適法に実施されているものと理解しています。 昭和50年6月4日の衆議院建設委員会での附帯決議は、法的拘束力を持つものではなく、また、その対象も政府に対するものであり、直接、本市を始め、地方公共団体に対して決議されたものでもありません。 これまで本市においては、再開発事業にかかる零細権利者に対して必要に応じた措置を講じてまいりましたが、それらを検証するとともに、今後とも必要なものについては適切に対処していきたいと考えています。 現行の都市再開発法においては、第79条第3項の規定にあるように、再開発施工後に借家権が与えられない可能性も許容する内容となっています。 一方、第83条第2項により、土地所有者等と同様に権利変換計画について意見書の提出が認められているなど、借家人の保護に配慮した規定も設けられています。 組合から申請される権利変換計画の認可にあたっては、こうした都市再開発法の規定に基づき、適切な手続き、対応等が行われているかについて、審査して判断することになります。 (近松さと子議員) 最後に、広島高速5号線事業についてお聞きします。 先日の記者会見で、市長は、トンネル検討委員会の結論が出たのち、地元住民と会うといわれています。反対派の住民は、いますぐ現地視察して会ってほしいとの要望を、出されています。なぜ、検討委員会の結論の後なのですか。お聞かせください。 第8回トンネル安全検討委員会が、6月23日に行われました。その閉会間際に委員長より、委員会の打ち切りが一方的に告げられました。土質や地下水の調査の解析結果が出され、いよいよじっくり科学的検証をしていくという矢先でした。傍聴者から憤りの声があがった、こうした一方的な「審議打ち切り」は、撤回すべきことをもとめて質問を終わります。 (道路交通局長) 高速5号線については、現在、住民団体の代表の方々と協議・調整のうえ設置したトンネル安全検討委員会において、トンネル建設に伴う住民生活の安全性に関する審議がなされているところです。 本市としては、事業判断を行う際の一番のポイントである住民生活の安全性について、まず、安全検討委員会でどのような結果が出されたかということを確認する必要があると考えています。 その結果を踏まえた上で、住民の皆様の意見を聴く機会を持ち、最終的に判断するという手順が適切だと考えているものです。 上にもどる ≪再質問≫ 広島ユース・ホステルの休止問題 (近松さと子議員) ユース・ホステルの建て替えをなぜ行わなかったのか。 (経済観光局長) ユース・ホステルについては、昭和35年(建設で)、ブロック造りということもあり、直すとすれば、ほぼ全面改修的な整備が必要ということもあり、かなり大きな額が必要であったということもあると思われます。 低廉な料金で提供するという部分で、収入が上がるかというと、その部分も難しいという実態もあり、なかなか改築とか、そういうところには踏み切れなかったと考えています。 ふくしま第二保育園廃園問題 (近松さと子議員) 昨日、要望書が提出されたが、この声にどのように応えるのか。 (こども未来局長) 昨日、福島第二保育園保護者会と広島市公立保育園保護者会連絡会との連名で、福島第二保育園の廃止に反対する旨の要望書を受理しております。 このような要望書が提出される背景といたしまして、公立保育園がなくなるということに対して、市の責任が後退するのではないかといった誤解や、あるいは、保育士が入れ替わるということにより在園児に悪影響があるのではないかといった保護者の方の懸念などがあるというふうに考えております。今後とも、保護者の方、また、地域の皆さんともですね、こうした懸念等を解消できるように、引き続き丁寧に御説明し、しっかり話をしていきたいというふうに考えています。 上にもどる |
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