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2011年2月20日 本会議 総括質問 中原ひろみ議員 |
●活力とにぎわいのあるまちづくりのために ・中小企業と消費税増税について ・住宅リフォーム補助制度について ・生活密着型の公共事業に転換を ●「ワーク・ライフ・バランスのまち」について ・雇用拡大と企業誘致補助について ・公契約条例について ・ハローワークの市移管について ・福祉の充実について ・子どもの育成について ●平和への思いの共有について ・「核」のないまちづくりについて ・在沖縄米海兵隊の移転について ・黒い雨の降雨地域拡大について ●猿猴川の護岸工事について ●成績主義賃金導入について ―再質問― ・広島駅南口広場の再整備について ・青崎地区の連続立体事業について |
●活力とにぎわいのあるまちづくりのために (中原ひろみ議員) 日本は世界有数の経済大国ですが、自殺者は13年連続で三万人を超え、孤独死、子どもの貧困、いじめなど、幸せな生活が送れない人が増えています。世界一の長時間労働の一方で、働く場所がないなど、政治の行き詰まりが国民を苦しめています。いかにして閉塞感から抜け出し、希望ある未来を築くのか政治の力が問われています。「政治を変えたい」と国民が実現させた民主党政権は「コンクリートから人へ」「国民生活第一」との国民への約束を裏切り、消費税大増税、社会保障削減、TPP参加、米軍基地拡大など、命と暮らし、平和を脅かす暴走政治をつづけています。 国の悪政から、市民の命と暮らしを守る防波堤としての役割を発揮することが、これまで以上に自治体に求められています。そうしたなか編成された平成24年度の新年度予算は、「世界に誇れる『まち』の礎を築く予算」だとされています。そこで、予算編成の基本的な考え方となっている「市政推進に当たっての基本コンセプト」を中心に市長の認識を伺います。 (市長) 私は、地域における雇用の維持・拡大と、市民の生活を安定させるに足る所得の維持・向上は、市政を進めるうえでのおおきな役割であると認識しています。 「市政推進に当たっての基本コンセプト」においては、地域経済の持続的な発展こそが、まちづくりの土台であるとしています。地域経済が持続的に発展するためには、地域で繰り返し投資が行われる必要があり、ヒト・モノ・カネを好循環させることで、地域に新たな雇用や所得を生むことになります。 私は、地域資源の活用や、近隣市町との連携などにより、ヒト・モノ・カネの循環が中国山地を越え、瀬戸内海を渡るような大きな循環となるよう様々な取組を実施し、雇用の維持・拡大や所得の維持・向上につなげていきたいと考えています。 中小企業と消費税大増税について (中原ひろみ議員) 市長は、「活力にあふれたにぎわいのあるまち」を実現するため、都市機能を充実し、ヒト・モノ・カネを循環させて、雇用を拡大する産業の振興、即効性のある観光振興を推進するとされています。 活力は市政推進の土台ですが、どうしたら活力のあるまちにできるのでしょうか。企業数の99%、雇用の7割を占め、文字通り経済の主役である中小企業と、市民のくらしを応援することが活力のあるまちを実現する決め手です。市民の所得を増やし家計を温める、ここに行政の最大の役割があると考えます。市長の認識を最初にお尋ねします。 その為には、民主党・野田政権が強行しようとしている消費税大増税は、家計と中小企業に破壊的打撃を与えるものであり、市長として反対を表明すべきではないでしょうか。消費税は、若年層や高齢者など収入の少ない世帯に負担が大きい課税です。今の5%でも大変なのに、10%にしたらどうなるのでしょう。 赤字で苦しむ中小企業の割合は73%にも達しています。売上が年間1500万円以下の事業所の6割が消費税を売り値に上乗せできず、赤字でも身銭を切って消費税を納税しています。こういう現状で大増税がされれば経済を支える中小企業は持ちこたえられません。 社会保障と税の一体改革の名の下に、年金を減らし、医療・介護・子育てなどあらゆる分野で負担増と増税が重なれば、市民は二重三重に苦しむことになります。個人消費が冷え込むだけでなく、企業倒産、失業者の増大という事態につながり、活力を奪い観光行政も失敗に終わりかねません。 経済への打撃は歳入にも響くし、生活保護の増加など歳出の増大を余儀なくします。まさに、悪循環です。国に対し、高齢者にも、現役世代にも、子どもにも、負担増と給付削減という連続改悪をすすめる社会保障と税の一体改悪はやめよ、ムダ使いを続けながらの消費税増税は止めよ、大企業や大資産家にこそ課税し、社会保障の財源をつくるべきだとキッパリいうべきではありませんか。市長のご所見を伺います。 (財政局長) 地方消費税については、少子高齢化の進展に伴い今後増加が見込まれる行政需要に責任をもって対応していく上で、重要な財源であると考えています。そのため、その配分割合を引き上げる等より一層の充実について、これまで他の指定都市と共同で、国に要望を重ねてきたところです。 社会保障・税一体改革については、国における今後の議論の動向を注視しながら、引き続き、他の指定都市とも連携し、時宜に応じて、適切に対応していきたいといきたいと考えています。 住宅リフォーム補助制度について (中原ひろみ議員) ヒト・モノ・カネを循環させて、中小企業の仕事と雇用をつくるために、改めて提案します。一つは、すでに400もの自治体が実施し、経済波及効果が明らかな住宅リフォーム補助制度の実施に踏み出す時ではないでしょうか。いかがお考えですか。 この制度は、一般住宅のリフォームを市内の業者に発注した場合、自治体が一定額を補助するものです。市は、介護の必要な高齢者や障がい者世帯のバリアフリー改修などに補助する取組をされていますが、特定の世帯の限られた改修工事に限定せず、一般的な住宅リフォームにも拡大すべきです。市内の業者への発注を条件にすれば、市内に大きな経済波及効果が発揮され、税収増につながると考えます。 昨年度から広島県も実施しています。世帯への補助額は最高10万円です。補助額2308万円に対し、契約額は6億7800万円で、その波及効果は30倍、一定の効果があったと県も認めています。市は、住宅リフォーム補助制度の経済波及効果をどう評価されていますか。 (経済局長) 本市では、住宅リフォームに関する支援としては、耐震診断及び耐震改修工事、住宅環境性能向上のための断熱構造化工事、あるいは、高齢者・障害者の方が日常生活を営む上で支障がある場合に利便性を向上させるためのバリアフリー改修工事など、確実に住宅環境の改善に資する工事を対象に補助を行っています。 その成果として、平成22年度実績は、約7,000件、金額にして約6億6千万円にのぼっており、この支援策は、確実に地元中小企業者の受注機会の拡大にもつながっているものと判断しています。 巨大開発から生活密着型の公共事業に転換を (中原ひろみ議員) 二つには、巨大開発から身近な公共事業への転換です。 公共事業は地域経済を牽引する大きな役割を果たします。だからこそ、その力を地元業者の仕事をつくることに最大限発揮させていくことが求められます。市民生活を守りながら財政再建をすすめるためにも、必要性のない巨大開発を見直し、公共事業の中身を市民が願っている事業である、例えば保育園の耐震診断や補強工事、バリアフリーの歩道や、自転車専用道の整備、高潮対策など、安心・安全な暮らしを支える生活密着型の公共事業に切り替えていくことが必要です。市長のお考えをお聞きします。 (財政局長) 新年度の当初予算では、一般会計の普通建設事業費が前年度より約75億円、8.2%の減となっている中でも、公共施設の小規模な整備や維持補修について、前年度予算並みの約101億円を確保するなど地域経済の活性化に配慮し、地場の中小企業向け事業の確保を図っています。 また、災害時の防災拠点となる区役所庁舎や消防庁舎等の耐震化にも取り組みます。特に、学校校舎等の耐震化対策については、2月補正予算とを合わせ約73億円を計上し、倒壊の危険性が高いIs値0.3未満のすべての校舎に平成24年度末までに着手するとともに、計画の完了予定を平成30年度から平成27年度に前倒しして実施するなど、市民が安全・安心に暮らせる生活環境の整備に必要な予算の配分にも意を用いています。 今後とも、大型開発か否かによるのではなく、今やらなければならないことを、選択と集中により見定め、都市の発展や市民生活に必要欠くことのできない公共事業は、着実に前進させるという考え方のもとに、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 市長は、「市民のニーズ」が事業見直しの判断基準だとされているにもかかわらず、地域住民がその事業の開始を願ってきた「東部地区連続立体交差事業」を「見直す」と公表されました。この事業は、開かずの踏切から市民を解放するとともに、向洋駅・海田駅周辺のまちづくりにも必要な事業です。実施すべきだと考えますが、いかがですか。どのように見直されるのかお聞きします。 (道路交通局長) 先日、三宅議員にもご答弁したところですが、現在、本市においては、全庁を挙げての事務・事業の見直しに取り組んでおり、本事業についても、その一環として改めて見直しが必要であると考えています。 見直しに当たっては、昨今の公共事業を取り巻く環境を踏まえ、関係機関や住民の理解が得られるどのような見直しが可能か、共同事業者である県と共に検討を行っていきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 合わせて、向洋駅周辺青崎土地区画整理への影響と、市の施工区分の事業費及び財源内訳、進捗率をお聞きします。 (財政局長) 見直しに当たっては、区画整理事業など関連する事業への影響についても配慮しながら、検討を行っていきたいと考えています。 現計画における広島市施工分の事業費は約354億円です。財源内訳は、現時点で国費充当率をもとに算定すると、国の負担額は約179億円、市の負担額は約146億円、JRの負担額は約29億円をそれぞれ見込んでいます。 平成22年度末の進捗率は、JRの負担額を除いた事業費ベースで、約8%です。 (中原ひろみ議員) 中止すべき巨大開発は、地元が反対している高速五号線です。トンネル工事地区は大規模盛土に団地が造成されており、すでに地盤沈下が発生している場所もあります。このような不安定な地域にトンネル掘削をすれば高速一号線よりも大きな被害が想定されます。 環境破壊と災害の危険性が大きく事業費が確実に膨らむことが予想される高速5号線は、その必要性・採算性・緊急性について納得できる説明を求めます。同時に「税金の使い方」について市民合意が必要ではありませんか。いかがですか。 (道路交通局長) 高速5号線については、これまでの様々な議論の中で必要性等が認められてことから事業に着手したものであり、現在は、トンネル建設に伴う安全性を確認するため、安全検討委員会を設置して審議・検討を行っているところです。 本市では、この安全検討委員会の結果を踏まえて、工事費や補償費など地域の住民生活の安全を確保するために必要となる事業費を算定した上で、費用対効果や有料道路としての採算性等を総合的に勘案して、県とともに事業判断を行うことにしています。 この事業判断を行った際には、その内容について議会や市民に説明したいと考えています。 (中原ひろみ議員) これ以上、5号線関連道路や用地買収を進め、税金を使いながら地域のコミュニィティを壊すことは許されません。市長は、事業費が膨らむようだったら中止すると述べていますが、中止の判断基準になる事業費はいくらなのですか。 (道路交通局長) 高速5号線の事業費については、安全確認のための追加ボーリング調査を実施した上で、安全検討委員会の結果を踏まえて算定することができるもので、判断基準となる事業費をお示しできる段階ではありません。 (中原ひろみ議員) 事業費が倍に膨らんだ高速1号線の当初事業費と実績額。地盤沈下に対する住民への家屋補償額、5号線トンネル掘削工事に必要な事業費と、残事業費、工事費の増額はどれくらいになるのかお聞きします。 (道路交通局長) 高速1号線の事業費は、当初約563億円とみこんでいましたが、実績として約703億円を執行しています。 なお、高速1号線の地表面沈下に伴う家屋等への補償については、公社はこれまでにトンネル掘削の影響で被害があったと認められる102件のうち96件の方と補償契約を締結しています。現在は、残る6件の方々と補償交渉を進めているところであり、公社としては、補償額をお示しすることは差し控えたいとの考えです。 高速5号線の全体事業費739億円で、昨年度末までに約569億円を執行し、残事業費は約170億円です。これまでの計画では、残事業費のうちトンネル関連の工事費として約100億円を見込んでいます。この工事費については、追加ボーリング調査を実施した上で、安全検討委員会お結果を踏まえて算定していくものであり、現段階で増額の可能性についてはお示しできません。 (中原ひろみ議員) 新年度予算では、都市機能の強化充実として、広島駅自由通路等整備・路面電車の駅前大橋ルートを含めた広島駅南口広場の再整備検討など、今後、広島駅周辺の開発に、多額の予算を投じる巨大開発が始まろうとしています。 市税収入が減るなか、市債発行額を抑制しつつ、巨大開発をすすめれば、市民生活を今以上に切り込むことにならざるを得ません。巨費を使う広島駅南口広場再整備事業の推進においては、路面電車の駅前大橋ルートを含めた、広島市の将来的なまちづくりをどうするのか市民的な合意と、そのための青写真を示すべきではありませんか。どうされますか。 (道路交通局長) 路面電車の駅前大橋ルートを前提とした広島駅南口広場の再整備については、現在、学識経験者等で構成する「基本方針検討委員会」いおいて、路面電車の南口広場への進入方法等について検討を進めているところです。 本市では、今後、委員会の検討の結果を踏まえて、複数案を整理し、この案をもとに市民から幅広く意見をお聴きする予定です。そのうえで、委員会における議論や、市民からの幅広い意見などを総合的に勘案し、市としての方針を決定したいと考えています。 (中原ひろみ議員) Bブロック・Cブロックを含め、今後、広島駅南口広場周辺の開発に必要となる事業費と、市の負担分はどの程度かお聞きします。 (道路交通局長) 再開発組合が施行する広島駅南口地区の再開発事業の事業費は、現時点で、Bブロックが約340億円、Cブロックが約250億円と見込まれており、その内、本市の負担分は、それぞれ約48億円と35億円となっています。 また、広島駅自由通路の事業費は約131億円で、本市の負担分は約59億円です。 (中原ひろみ議員) 今年度、実施された「中小企業経営実態調査」の目的と調査結果をどのように施策に反映されるのかも、お聞きしておきます。 (経済局長) 現在実施している「広島市中小企業経営実態調査」は、市内中小企業の実態を把握し、より効果的な支援策を実行していくための基礎資料とすることを目的としています。 この調査結果を基に、関係団体等と、より具体的な支援策を検討することとしており、基本的には平成25年度に所要の施策を講じたいと考えています。 上にもどる ●「ワーク・ライフ・バランスのまち」について 雇用拡大と企業誘致補助について (中原ひろみ議員) 雇用の促進・福祉の充実・子どもの育成に取り組みなど、市民のくらしを応援するとされています。そこでまず、雇用に関する市長の認識をお聞きします。 総務省が31日に発表した労働力調査によると、2011年12月の完全失業率は4.6%で、前月に比べて3万人増加し、299万人となっています。完全失業者を年齢別にみると、15歳から24歳の青年層が他の世代に比べ高く、正社員の有効求人倍率は0.47%と厳しい状況です。このような厳しい雇用環境を改善することなしに、区役所に求人窓口を置いただけでは、雇用先は増えません。 労働総研の試算と財界系シンクタンク「ニッセイ基礎研究所」は、大企業が溜め込んでいる260兆円もの利益の一部を使えば466万人の雇用が生まれるとしています。まず、市長がすべきことは、マツダをはじめとする地元企業に、正規雇用を拡大し、リストラ計画はやめるように市長名で申し入れるべきです。どのようにされますか。 (市民局長) 雇用の維持及び求人の確保・拡大については、平成20年9月のリーマンショック以降の厳しい雇用情勢を踏まえ、これまでも国・県と連携し、広島県商工会議所連合会など6つの経済団体に対して要請を行い、会員企業への周知を依頼しています。 今後とも、国・県と連携して要請していきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 新年度予算では、西風新都への企業誘致が強化され、進出する企業21社に総額で7億円を補助する予算が計上されていますが、この企業支援策が、正規雇用拡大や税収増につながるのでしょうか。今年度は約7億4000万円が大企業への補助金として使われていますが、税収は増えず、景気も良くなっていません。企業呼び込み型の経済対策は検証が必要です。いかがですか。 今年度の補助金は何社にいくら支援し、どの程度の雇用と増収が増えたのですか。雇用形態はどうなっていますか。新年度は何人の雇用増を見込み、いくらの経済効果と税収増をめざしておられるのかお聞きします。 (経済局長) 今年度の企業立地促進補助金の交付額については、27社に対し、予算額で約7億4千万円です。 また、雇用形態には常勤と非常勤がありますが、すべて常勤換算すると、補助制度の開始以降、今年度年度末までに企業に新たに雇用される補助対象者数は累計で約600人が、来年度は、さらにおよそ200人が増える見込みです。 企業誘致に伴う効果としては、企業が新たに事業所を建設し、操業を開始することによる固定資産税、都市計画税、事業所税や法人・個人市民税の増収があります。 さらに、立地に伴う建物・機械設備などへの直接投資や立地企業による経済活動から生じる経済波及効果もプラスすると、これらの効果による本市の税収増は確実に図られていくものと考えています。 公契約条例の制定について (中原ひろみ議員) 雇用の場を増やすと同時に、働く貧困を解消することも急務です。働いても、年収は200万円以下という労働者が全国で1000万人を超えています。働けど低賃金では活力は生まれません。人間らしく暮らせる賃金が保障されてこそ、安心して生活し消費できます。 まずは自治体から、公共職場のワーキングプアを一掃し、公共工事や委託業務で携わる全ての労働者の賃金を保障する「公契約条例」の制定が待たれるところです。その必要性について市長の認識を伺います。 (財政局長) 賃金等の労働条件に関する基準は法律で定めることになっており、公共工事等に従事する労働者の労働条件についても、法律で定める基準に基づき、労使当事者間において自主的に決定されるべきものと認識しています。したがって、議員ご指摘の公契約条例は、公共工事に従事する労働者の良好な労働条件の確保を目的としておりますが、その実現については、労働基準法や最低賃金法などの国における関係法令の整備によることが望ましいと考えています。 ハローワークの市移管について (中原ひろみ議員) 区役所へのハローワーク窓口設置についてお聞きします。 市は、生保世帯を対象にした職業紹介・相談を実施後、最終的には、利用者を区民全体に拡大し、ハローワーク業務に関する予算、施設、人員を全面移管し、県からは職業訓練施設も移管するとされています。しかし、ハローワーク業務を全て市が譲り受けることが市民のためになるのでしょうか。疑問点についてお聞きします。 まず、新年度から実施される生活保護受給者を対象に就労意欲を喚起する、キャリアカウンセラーについてお聞きします。新たに7人配置されますが、生活保護制度の利用を抑制する目的があるのでしょうか。「強力な就労」指導をすることになれば、職業選択の自由(憲法22条)を制限しかねません。「就労を生保受給資格の要件にすることは、保護の必要な人に無差別、平等に保護を受けさせるという生活保護法にも反する」と考えますが、生活保護行政の就労支援の位置づけをお聞きします。 (健康福祉局長) 生活保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われます。 生活保護受給者の中には、働く能力があるにもかかわらず、年齢、職歴、家族の状況等から、すぐに就職に結びつかない方もおられます。 キャリアカウンセラーは、こうした生活保護受給者の方が、その能力を活かした就労ができるようにするため、きめ細かな支援を行う目的で配置するものです。 (中原ひろみ議員) キャリアカウンセラーは民間委託と聞いていますが、何か資格がある職種なのですか。 (健康福祉局長) キャリアカウンセラーに関する資格としては、国家資格であるキャリア・コンサルィング技能士と、民間資格であるキャリア・コンサルタントがあります。 ただし、これらの資格がなくても、例えば、ハローワークで職業紹介業務や企業における人事部門での相談業務等の実務経験が一定期間以上あれば、本市が配置を予定しているキャリアカウンセラーとしての業務を行うことは可能と考えています。 このため、本市の業務委託にあたっては、キャリア・コンサルタントの有資格者で実務経験を有する者もしくは類似業務の実務経験を1年以上有する者を配置することを条件にしたいと考えています。 (中原ひろみ議員) これまで実施されてきた「福祉から就労」支援事業の成果と評価を教えてください。 (健康福祉局長) この事業は、職業紹介の専門機関であるハローワークと生活保護受給者の生活状況等を把握している福祉事務所とが連携して、支援対象者の就労に向けた支援を行うものです。 その成果については、平成22年度実績で申し上げると、「福祉から就労」支援事業で就労支援をおこなった者は422人で、そのうち105人就職し、13人が生活保護から自立している状況であり、有効な支援になっていると考えています。 (中原ひろみ議員) 質のいい求人開拓や職業訓練は、職種内容の分析や、事業所の指導など、一朝一夕にはできないスキルが必要です。例えば、ハローワークの職業相談、職業紹介は、カウンセリングの手法を用いた専門性の高い業務です。労働基準法、労働安全衛生法を初めとする労働法制や各種の雇用対策に精通してこそ求職者、求人者1人1人に相応した支援が可能です。 ハローワーク業務の移譲が行われた場合、職員の専門性をどのようにして確保されるのですか。また、福祉業務に精通した職員をハローワークに派遣して研修を行うとされていますが、その目的は何ですか。 求職者は自治体を超えた通勤圏での就職を希望しており、全国ネットワークならばこそ、求職者の実情に応じた求人公開が可能です。市域・県域を越えた職業紹介、相談が広島市でできるとの認識ですか。 (企画総務局) 本市に職業紹介に関わる事務・権限が委譲された後であっても、現在ハローワークが運用しているハローワークシステムは、国が引き続き保有・維持管理を行い、本市は、その全国的なネットワークを利用できることを想定しており、市域・県域を越えた職業紹介は可能であると考えています。 (中原ひろみ議員) 財源をどこから捻出するのかも大きな課題です。職業紹介と一体で運営する雇用保険は、地域毎に著しい収支差があり、雇用保険財政は地域間で格差が大きく、ナショナルミニマムの観点からも全国単位での運営が必要です。市が運営することで保険料が4倍、5倍に跳ね上がり、事業所や労働者に高い雇用保険料を押し付ける事にはならないのですか。 失業給付やハローワークを通じて払う会社への補助金をまともに確保できるのは、東京だけだと聞きます。市は雇用保険制度を運営するための経費をどこから徴収されるのですか、財政的措置についてお聞きします。 (企画総務局長) 雇用保険財政は地域間での収支差が大きく、全国単位での運営が必要な制度であると考えています。したがって、雇用保険制度の運営に関わる経費については、引き続き保健者となる国がその責任を持つことを想定しています。なお、本市は雇用保険の給付等の窓口業務を担うことを考えています。 福祉の充実について (中原ひろみ議員) 新年度予算には、配食サービスの土・日・祭日の拡大や、地域交通への補助など、市民の長年の願いが予算化されたことは大いに評価するものです。 しかし一方で、敬老祝い金の縮小など長寿を祝う市民のささやかな事業の削減は問題です。人件費や補助金の削減にも限界があります。高齢者公共交通機関利用助成は、拡充を求める声はたくさん耳にしましたが、廃止もやむなしとする声は聞こえてきません。高齢者に喜ばれている事業を廃止し、その財源を開発に回すと言うのでは、市民合意が取れないと考えます。 市は今後、どのような手続きを経て高齢者公共交通機関利用助成事業を見直されるのですか。 (健康福祉局長) 高齢者公共交通機関利用助成事業は、高齢者の社会参加の促進を目的としたものですが、日常生活を送る上で、どうしても必要となる外出の費用軽減としても使われており必ずしも目的に則した使われ方にはなっていないことから、本事業について見直しの検討を行うことにしました。 検討の方行性としては、所得の低い高齢者にとっては、実態として、日常生活の支援の一つになっているということを考慮しながら、限られた財源をより効果的に活用するという観点に立って、現行制度の運用状況を検証し、抜本的な見直しをしたいと考えています。 見直しの手続きについては、事前に市議会常任委員会に見直しの具体的な方向性等をご説明し、ご意見を伺った上で、予算に反映していきたいと考えていきます。 子どもの育成について (中原ひろみ議員) 子ども達が健やかに成長してほしいと願っているにもかかわらず、7人に1人の子どもが貧困で苦しんでいることが国の調査で明らかになりました。広島市でも就学援助制度を利用している世帯は3割にも上り、2010年に児童相談所に寄せられた相談通告件数は724件、前年の475件から大幅に増加しています。 虐待、いじめ、ネグレクトなどの問題を解決し、子どもの育成を図るうえで、平成21年から導入されたスクールソーシャルワーカーの果たす役割は重要です。スクールソーシャルワーカーの実績と評価を伺うとともに、増員のお考えはないのか伺います。 (教育長) スクールソーシャルワーカー活用事業は、平成20年度より実施しており、現在5名体制で、児童相談所等の福祉機関、医療機関、警察などの関係機関と連携して、児童や保護者が抱えている問題の解決に向けた支援活動を行っています。 こうした活動により、スクールソーシャルワーカーと関係機関等とのネットワークが構築されてきており、平成22年度は、学校からの110件の派遣要請に対し、88%にあたる97件について、子どもの生活リズムが安定し不登校が解消するなどの改善が見られました。 来年度は、これまで蓄積されたノウハウや関係機関等とのネットワークを十二分に活用し、引き続き5名体制で、児童生徒や保護者への支援活動を展開していきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 虐待を受けている子どもを年齢別にみると5割が小学生以上ですが、自ら通告した事例は、2010年わずか4件です。虐待をうけている子ども達の多くは、自己肯定感や人への信頼感の低さ、低学力のために、「語るべき言葉をもたない」という状況だとも指摘されています。 そうしたなか、18歳までの子どもたちが気軽にSOSを発信できる「チャイルドライン」というNPOの取り組みがボランティアで始められています。電話代無料のフリーダイヤルで、日曜日を除く毎日、午後4時から午後9時まで開設されています。 チャイルドラインには、食事をしていない、いじめられている、妊娠したななど、親に言えない深刻な苦しみが訴えられています。ある日、中学生から次のような SOSが届きました。「今晩、家に帰れない」「母親から出ていけ」と言われたと言うのです。すぐに児童相談所と子どもシェルターの電話番号を教え、相談から2時間後に子どもシェルターに入所するという迅速な対応につながったという事例もあります。この中学生は、学校で配られたチャイルドラインカードで、その存在を知り、「チャイルドライン」という名前の記憶を呼び起こし、ネットで電話番号を検索し相談したということです。この事例からも、子どもたちにチャイルドラインの存在を知らせ続け、開所し続けることがいかに重要なのかがわかります。 開設し続けるためには、子ども達に配布するチャイルドライン「カード」の作成費や、フリーダイヤルの電話料、電話を受ける部屋の賃料など、不可欠な出費が多くあります。現在、年間で30万円の補助がされていますが、到底これだけでは足りません。 今年度は、東日本大震災を受け、怖い、悲しいなど、その小さい胸の痛みが訴えられています。子どもたちの心の傷を和らげ、子どものさまざまな問題を解決する役割を果たしているチャイルドラインへの支援を強めるべきではありませんか。この取り組みをどう評価しておられるのかお聞きします。 (こども未来局長) チャイルドライン事業は、平成18年度の補助事業提案募集の際に「NPO法人 ひろしまチャイルドライン子どもステーション」から提案されたものです。その内容は、いじめや不登校など様々な悩みを抱える多くの子どもたちの声を聴き、子どもたちの「心の居場所」となるというものであり、本事業の公益性は高いことから、平成19年度以降、毎年度30万円の補助を行っており、平成24年度も継続することとして、当初予算に補助金を計上しています。 チャイルドライン事業への平成25年度以降の補助につきましては、平成24年度に行う補助事業提案募集の際の提案内容を踏まえ、改めて判断することになります。 上にもどる ●平和への思いの共有について 「核」のないまちづくりについて (中原ひろみ議員) 核兵器はその存在そのものが人類の存在を脅かすものです。NPT再検討会議は「いつまでに核兵器を廃絶するのか」の期限を決定し、核保有国に核兵器廃絶への責任ある決断をさせることが役割です。 しかし、市長は記者会見において、「NPT再検討会議で核の拡散を食い止める」「核兵器廃絶は究極的な目標だ」と話されています。被爆地の市長がこのような認識では、NPT再検討会議をヒロシマで開催することにはならないでしょう。 核兵器廃絶は究極でなく緊急の取り組みとして掲げる事が重要です。この点の市長の認識を改めて伺います。 (市民局長) 核兵器廃絶については、本市では「2020ビジョン」を掲げて、2020年までの核兵器廃絶に取り組んでいます。 また、核兵器廃絶に向けての取組については、国や自治体、NGOなどが、様々な立場で多様な取組を行っていくことが重要であると考えています。 ヒロシマとしては、核兵器を廃絶し、世界恒久平和を実現するという究極の目標に向け、各団体が自ら様々な活動をしていく中で、その実現に向けた動きが加速するよう、その原動力としての役割を果たしていきたいと思っています。 (中原ひろみ議員) さらに、日本中を放射能汚染の危険に陥れた福島原発事故を契機に、オール福島は、「原発のないまちづくり」を決意しました。世界でもドイツ、イタリア、スイスが原発からの撤退を決めるなど、原発依存からの転換を目指す動きが広がっています。 しかし、政府は昨年末に「収束宣言」を出し、事故の被害を少なく見せようとするだけでなく、原発の寿命を60年に延長する法案や、ベトナムへの原発輸出計画に固執しています。全く反省がありません。 一方、全国の54基の原発は、この4月にすべて稼働停止となる見通しです。島根原発は1月27日に、伊方原発は1月13日に停止しています。いまこそ、原発を止めて自然エネルギーへと転換する絶好の時です。夏には新しい原子力政策大綱や新エネルギー基本計画が策定されようとしています。 人類の手に負えない危険な「核」により、これ以上のヒバクシャを生まないため、核兵器廃絶とともに原発止めよと被爆都市ヒロシマから発信すべきです。市長のお考えを伺います。 (エネルギー・温暖化対策担当局長) エネルギー政策は、国民経済や国民生活全般に責任を持つ国が決定するものであり、その基本的な方向性を示すため、エネルギー政策基本法に基づき、国において、エネルギー基本計画が策定されております。 現在のエネルギー基本計画では、原子力発電は、安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、積極的な利用拡大を図ることとされていますが、福島第一原子力発電所での事故により、原子力発電に対する国民の信頼が大きく失われました。 こうした中で、原子力発電については、「核と人類は共存できない」との思いから脱原発を主張する意見、あるいは原子力管理の一層の厳格化とともに、再生可能エネルギーの活用を図るべきだとする意見があります。 このため、本市としては、国民の理解と信頼が得られるよう早急に現在のエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じるように要望しているところです。 在沖縄米軍海兵隊の移転について (中原ひろみ議員) 次は、岩国基地の拡張問題です。先日、在沖縄米海兵隊1500人を米軍岩国基地に移転させると米軍から打診があったことが明らかになり、山口県知事、岩国市長はそろって断固反対との態度を表明されました。政府も今は移転案を拒否していますが、今後はどうなるかわかりません。 在沖縄海兵隊や厚木基地からの空母艦載機59機の岩国移転は、米軍人による犯罪や事故の増大など、岩国市民だけでなく、広島市民の生活をも危険と不安にさらすものです。宮島上空で爆音を撒き散らす低空飛行訓練の増加は、世界遺産宮島の観光資源の価値を下げる事にしかなりません。広島・宮島・岩国をパックにした地域観光事業にもマイナスです。なにより市民・県民の安心・安全を守る自治体の使命からして、県・市が一体で国に対し基地増強やめよと申し入れるべきです。いかがお考えですか。 (市民局長) 在沖縄米海兵隊の一部を岩国基地に移転・常駐する問題については、先日、山口県知事と岩国市長が外務省を訪問され、その真意を確認した結果、玄葉外務大臣は明確に否定されています。 本市としては、我が国と米国の安全保障上の問題は、基本的には、国家間の問題として、国民世論を踏まえ、国政の場で議論されるべきものであると考えていますが、今後、岩国基地の機能増強に伴い、米軍機による騒音問題や事件・事故の発生など、市民生活に影響を及ぼすような事態が想定されれば、市民の安心・安全を守る立場から、国に対し適切な対応を求めたいと考えています。 「黒い雨の降雨地域拡大」について (中原ひろみ議員) 市長は平和宣言でもその拡大を求めていくと表明されましたが、1月20日に開かれた第六回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会のワーキングチームの調査報告では「黒い雨に放射能があったかどうか明らかにする資料がない」「雨を浴びたと答えた人数が少ない」「自己申告にすぎない」などの意見が出され、地域拡大は困難とマスコミは報道しましたが、市はワーキンググループの報告をどのように受け止めておられますか。 (健康福祉局長) 本年1月20日に「『原爆体験者等健康意識調査報告書』等に関する検討会」の第6回会議が進められてきたワーキンググループから検証結果が報告されました。 ワーキンググループの解析では、「黒い雨の体験率が50%を超える地域は未指定地域においては一部にがぎられること」などから、「今回の調査データから黒い雨の降雨域を確定することは困難である」と検討会へ報告されています。 また、ワーキンググループの報告書には、「宇田雨域の外側でも黒い雨が降った地区が存在する可能性が示されたことは重要である」という委員の意見も併記されています。 こうしたことから、今回の報告は、宇田雨域の外側で雨が降ったという本市の調査結果を否定しているわけではないと受け止めています。 (中原ひろみ議員) 「黒い雨の新降雨地域が第一種健康診断受診者交付地域」に認定されるためには、検討委員会委員や厚生労働大臣に、黒い雨体験者の体験・健康・病歴など直接に生の声を聞いて判断してもらうことが必要です。なにより、原爆症訴訟において内部被爆の危険性を認めた判決を生かし、政治的解決がはかられるよう県市が国に対して積極的に働きかけをする時ではありませんか。 (健康福祉局長) 先日の検討会では、放射線影響研究所が発表した原爆直後の「雨」の分布についても報告がありました。この分布を見ても宇田雨域の外側で雨が降ったということが示されています。 今後、これらを踏まえ、国の検討会において、しっかりと議論をしていただくことを期待しています。 本市、これまで、広島県や関係市町とともに、黒い雨の降雨地域全域を第一種健康診断特例区域に指定するよう、厚生労働大臣を始め、衆参両院の厚生労働委員会の委員や地元選出の国会議員に対して要望を行ってまいりました。 未指定地域の人々も被爆者と同様に高齢化が着実に進んでいることから、被爆地域の拡大が一日も早く実現するよう、今後とも、あらゆる機会を捉えて、国に働きかけてまいります。 上にもどる ●猿猴川の護岸工事について (中原ひろみ議員) 広島県は昭和45年から平成42年までの計画で、猿猴川高潮対策として護岸工事を実施しています。必要な事業ですが、工事の影響で、南区蟹屋町から大州地区の川沿い約1Kmの民家に、最大で18pもの地盤沈下被害が発生し、家屋の亀裂や陥没、不同沈下などの影響が表れ「地震で倒壊するのではないか」と住民は不安な毎日を過ごしています。 地元住民は2008年12月に「対策協議会」を結成し、被害の実態調査と原因究明とともに「地盤沈下に対する基礎からの補償」を求めて、広島県地域事務所と何度も交渉を重ねています。 しかし、県は「猿候川高潮対策事業」に起因して地盤沈下が発生していることを認めながら、「基礎部分の補償はできない」との態度です。 すでに県から家屋被害の補償金を受け取った地権者もありますが、「こんなに酷い沈下が発生していることは知らされないまま補償契約に判を押した」「地盤沈下の事実を住民に隠したまま補償額を算出するやり方は問題だと抗議の声が出ています。 家は基礎が大切です。地盤沈下した耐震性のない家で生活することは危険です。基礎をしっかりさせてこそ安心して暮らすことができます。県民の命と財産を守るべき自治体が、公共事業により損害を与えることは本末転倒です。地盤沈下による家屋被害を受け、不安と危険な毎日を余儀なくされているのは市民です。この状況を市はどのように受け止められていますか。 被害の大きい地区の民家は、家から釣りができるほど川のそばにあります。また、過去に広島市がゴミを埋め立てた地域です。当然、事前に特段の地盤調査や地下水調査が必要です。にもかかわらず、県は沈下は2センチ程度だと判断し、基礎部分は目視調査しかしていません。しかし広島県の「公共工事に係る工事の施行に起因する地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理要領」には、工事前には地盤や基礎、地下水調査を行うと明記されています。 県は自ら決めた要綱を守らず地盤調査も、地下水位調査をしないまま、工事を始めたのです。明らかに県の瑕疵です。しかも事前のデータがないことを理由に、「比較するものがないので、基礎の補償はしない」というのです。県に対し、事前の調査の不備を認め、要領を遵守し、地権者が求めている基礎の補償をしていただくよう市から申し入れされるように要望しておきます。 高速一号線福木トンネル工事では、約150世帯にも及ぶ家屋が被害をうけ、田んぼの水が枯れる事態にもなりました。この被害も地下水位の低下が原因だと聞いています。市は、高速1号線福木トンネル工事に起因して生じた被害から地下水位と沈下の関係についてどのような見解と教訓を導いておられますか。 (道路交通局長) 猿猴川高潮対策事業における地盤沈下は、家屋等の損傷の申し出があった場合には、護岸整備のための盛土工事による地盤沈下にあたるのかなど、因果関係を調べるということで県が適切に処理してきている事案であると認識しています。 また、高速1号線福木トンネル工事においては、地下水位の影響で地盤が下がったと認識しています。 上にもどる ●成績主義賃金導入について (中原ひろみ議員) 県教委は、「頑張っている教職員のすべてにやる気を出してもらうために、仕事の過程も含めて光を当てていく」として新年度から成績主義賃金を導入するとしています。成果主義賃金により、全ての教職員が標準未満・標準・優秀・特に優秀との4段階に分けられ、特に優秀と評価された教師には、勤務手当の成績率を124%、優秀は110%と賃金に格差をつけると同時に、教師100人に一人を極めて良好、33人に1人を特に良好と査定し、昇給にも差をつけるというものです。 優秀と評価された教師に上乗せする賃金の原資は、全ての教師の給与を減額したものを充てるとしています。県教委は、「成果に応える給与制度」だとしています。しかし、「成果」を何で測るのでしょうか。成績でしょうか。進学率でしょうか。数字に表れることのみを追求する教育は、効率重視の殺伐とした教育にしかなりません。 そもそも、教育における「成果」は短時間で測れるものではありませんし、教育における「成果」は教師個人のものではなく、教育全体のものです。 とりわけ教育は、目立たない事、数字に表れないものも大切にする文化をはぐくむことが必要です。 学校長が「推薦調書」を書き、教師の成績を評価します。すなわち校長の権限で教師の評価が決まり、賃金に差がつきます。そうなれば教師集団としての総合的な力で、教育に向き合うことが難しくなり、学校現場が「もの言えぬ」職場になりかねません。教師の共同や同僚性が分断され、これまで以上に教育に困難が発生するのではと危惧します。 民間企業においても導入後、職場の人間関係が崩れ仕事がスムーズに進まないなどの理由から成果主義賃金制は廃止しています。民間が実施して失敗したやり方を教育現場が取り入れるというのは信じがたい事です。 結局、少ない原資を一部の教師に配分することで、職場の管理・統制を強めようとする意図が見え隠れします。成績主義賃金導入は、教職員を差別・分断し、教育の力を失わせる制度です。市教委として県教委に成績主義賃金導入は、慎重に判断されるよう求める考えはありませんか。 (教育長) 広島県教育委員会は、平成24年度から「職員のやる気と成果に応える給与制度」を導入することとしており、本市においては、市立の小・中学校、広島特別支援学校及び学校給食センターに勤務している県費負担教職員が対象となります。この制度は、職員のやる気と成果を適正に評価し、適切に処遇することで意欲の向上を図り、人材育成に資することを目的として導入するものであると認識しています。こうした認識のもと、制度の運用に当たっては、画一的な成果や数値的な指標だけが問われることがないよう、適切に対応していきます。 上にもどる ―再質問― 広島駅南口広場の再整備について (中原ひろみ議員) 南口の広場再整備について、さきほど市民の意見を聴くと言われていたが、その市民の意見を聴く時に、やることが当然だという聴き方ではなくて、さきほどやらなければいけないことかどうかというのを判断すると言われたが、まさにやらなければいけないことなのかどうか、市民のささやかな事業、高齢者公共交通利用助成とかそのようなものを止めてまで、やらないといけないのか。 やはり市民にとって、税金の使い方、どこに重点を置いていただくのか、その点の意見も聴くような取組みをしていただきたいと思いますし、それからお金もどこから捻出するのか。これは大事だと思います。 豊かな財源ではありません。582億の収支不足を解消しようと思って、みんな頑張っている時に、この収支不足で頑張った分がチャラになるような巨大開発をしたのでは、一層市民生活が大変にならざるを得ない。 南口の再整備を、何でこんなに早くやろうとされるのか、ちょっと私には理解できませんが、もっと落ち着いて、世界に誇れる街の玄関、ひろしまの玄関を造るというのであれば、もっと落ち着いて考えられても良いのではないかと思うわけです。 やはり、改めて今やるべきことは、市民の暮らしを守る、中小企業の経営を守るということで、そのためにまずは、最優先で市が向かっていくということが必要ではないでしょうか。 そのため、南口広場の市民の意見を聴くという場合に、やるべきかどうかという視点から聴くということと、それから財源はどうするのかという、この点いついてもきちんと示されるれるのかどうかお伺いしたい。 (道路交通局長) 議員ご指摘のやるべきかどうかということも含めて市民に意見を聴くべきではないかということですが、さきほど答弁しましたように、市民から幅広く意見をお聴きすることとしています。そういった意味で、そういった議員ご指摘のようなことも踏まえて意見をお聴きするということをやりたいというように思っています。 それと、財源確保ですが、計画案については、当然そういった貴重な財源については、確保をどうするかということも検討した上で、市民の方々にお示しした上で、意見を聴くというようなことをやりたいと思っています。 青崎地区の連続立体事業について (中原ひろみ議員) それから、青崎地区の連続立体事業ですけれども、これは区画整理と一緒の事業です。区画整理に影響がないように配慮するというふうにおっしゃいましたが、天神川駅から海田市まで、7本の踏切があります。 ここの解消をするというのは、地元にとっては望む事業だったと思いますが、それが見直しをされるという。 それから、区画整理の換地、新たな道路の造り方は、線路が高架になるということを前提にして、企画をしてるんですね。だったら、線路が高架にならないということになると、今の換地そのものがご破算になる、大きく事業に影響が出ると思うんですが、そのへんはどのように思ってらっしゃるのか。地元90世帯くらいが対象です。小さな区画整理ですけれども、地元にとってはその間、JRの高架事業とセットでないと進められないんだと言って、道路がボコボコでも下水道が未整備でも我慢してきたんですよ。 これが一層まだ先延ばしになるというのは、大変なことだと思うんですけれども、そのへんでの市民合意というのはどういうふうに図られているのかお聞きをしておきます。 (道路交通局長) 連立事業ですが、区画整理事業への影響はどうかということで、先ほど影響のないようにという答弁をしました。 今後の見直しというのは、こういった区画整理にどういう影響を与えるかということも含めて、いわゆる、関係機関、市民の合意がどういうふうに取れるかということを考えながら検討していくということにしています。 ですから、もう一つありました踏切の問題等につきましても、仮に連立を止めるということであれば、踏切の扱いはどうするのか、先日三宅議員の質問にもお答えしましたように、そういった代替施設とかそういったことも含めてですね、検討していこうということでございます。以上でございます。 (中原ひろみ議員) 青崎の事業は、私は早期にしてさしあげたいと思ってきた事業です。市内の中で下水道の未整備の地域は青崎地域だけじゃないかと思います。 この間、段原の地域がありましたけれど、ご存じのように再開発も進んでもう完了間際です。本当に下水が整備されていない、この時代にですね本当に衛生的にも悪い、踏切を高架にすれば済むという問題ではありません、この地域は。 もし、事業を中止ということになるんであれば、これは下水の整備とかまちづくり、もう一回白紙からやり直すことになりますから、これは大きな影響があります。その点も含めてちゃんと地元にですね、説明をされて、意見をききながら進めていただきたいと思います。以上です。 上にもどる |
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