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2012年3月14日 予算特別委員会 総括質疑 中原ひろみ議員 |
●消費税大増税について ●地域主権一括法について 保育園について 公営住宅について ― 文書質問 ― (PDF 206KB) 地域主権一括法について 国保の広域化について |
●消費税大増税について (中原ひろみ議員) 最初に地方財政危機の打開のためにということでお聞きします。新年度予算は広島市の礎を築くということで提案されました。国は消費税の大増税を推し進めようとし、社会保障は削ろうとしている、そして地方の自主性を高めるのだと言いつつ予算は削減する、こういう状況です。国が、果たすべき責任を放棄しているのではないかと言わねばなりません。まさに国が形を変えようとしている中で、地方自治体の転機の年も来ています。 この審議の中でも「新しい公共」とかいうこともありましたが、新しかろうが古かろうが、とにかく地方自治体というのは、憲法を生かして、地方自治法に明記されている「市民の福祉の向上を図る」、これが基本的な仕事だと思います。最初にこの点についての認識をお伺いします。 (財政局長) その通りだと思っております。 (中原ひろみ議員) 市民の福祉の向上を図るうえでは、その財源確保をどうしていくのかということが大きな命題です。そこで、国の方では「避けて通れない」と言っている消費税大増税についてお聞きします。 まず、今の消費税率5%が2015年には10%になろうとするわけですが、10%になれば年に13兆円の新たな国民負担になると言われています。広島市民の負担総額はどのくらいになるのかお聞かせください。 (税制課長) 国が示しております消費税率の引き上げによる全国ベースの増収額13.5兆円を基に、広島市域内で納税される消費税の増収額を推計いたしますと、年間約1400億円となります。 (中原ひろみ議員) 1400億円もの新たな負担が広島市民に被さるということです。それだけではなく、震災復興財源ということで所得税を2.1%上げるというのが来年の1月からスタートします。25年間の値上げでありますが、この増税による市民負担はいくらになりますか。 (税制課長) 東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するため、所得税の税額に2.1%相当額を上乗せすることになりましたが、この上乗せによります広島市域内で納税される所得税への影響額は、年間約33億円と推計されます。 (中原ひろみ議員) 所得税の2.1%の負担増で33億円ということです。合わせれば1433億円という大きな額になるわけですが、経済にも家計にも大きな打撃を与えるだろうということは想像に難くないところです。 しかし、5%の消費税の引き上げのうち、社会保障に使われるのはわずか1%だとも専門家の間では言われています。ほとんどが過去の借金返しというふうにも聞いております。 これまでは、少なからずとも増税を頼む時には「社会保障にまわします」というのが国の国民への言い訳というか説明でしたが、今回は、文字通り社会保障を削りながらの大増税です。こういう社会保障に還元されない増税というのは道理が無いということを、この場で指摘したいと思います。 その上で、国民は増税を新たに負担するわけですが、消費税が3%であった1996年度と2010年度の税収総額を見ますと、1996年度には90.3兆円あったものが、消費税が3%から5%に上がった2010年度では76.2兆円ということで、14兆円ぐらい減っています。 消費税が上がっても税収の総額は縮小しているのはなぜか。景気が悪くなった、リーマンショックなどもあって企業の経営が圧縮されて減ったのだろうというのは想像できますが、それだけではないと思います。 それで、企業への色々な減税策があったのではないか。この間、直接、法人税の減税というものはされたのでしょうか。 (税制課長) 法人税の減税に係ります1996年度、平成8年度以降の主な改正項目といたしましては、基本税率が平成10年度に37.5%から34.5%に、平成11年度にはさらに30%にそれぞれ引き下げられております。 そのほか、法人税の減税に係ります主な改正項目といたしましては、平成15年度税制改正における研究開発促進税制の拡充等がございます。 (中原ひろみ議員) これは財務省のホームページに掲載されているグラフですが、これは平成元年、消費税が始まった3%の時から平成22年度までの法人税の税収と法人税率、それから税引前の企業の当期純利益です。 今おっしゃったように、平成元年は法人税が40%、これが階段的に減りまして今は30%です。消費税は堅調に、5%になって税収はほぼ横ばいということです。最近では、消費税の方が法人税よりも税収が上になっています。 そういう中で、さらに国は国民に大増税を押し付ける一方で、この4月から法人税の実効税率を5%引き下げるということですが、これはどれくらいの減税になるのでしょうか。 (税制課長) 我が国企業の国際競争力の向上などを図るため、法人税の実効税率の引き下げが行われることとされておりますが、この引き下げに伴う法人税の減収額は平年度ベースで約1兆2200億円と見込まれています。 (中原ひろみ議員) 広島市民には単年度で1433億円も増税しながら、大企業には1兆2200億円も減税するということは、結局、大企業が減税された分を消費税負担で賄うということであり、新たな増収にはならないと言わねばなりません。国民に大きな負担をさせても、大企業の減税の穴埋めにされる。こういう消費税の増税には重ねて道理が無いと言わなければなりません。 さて、大企業ばかりでなく富裕層にも繰り返しの減税です。大金持ちほど税負担が軽減されます。 所得税と個人住民税について、平成8年度、1996年度以降、最高税率はどのように変化してきたでしょうか。また、所得が1億円の世帯の場合、平成8年度と平成22年度との税金はどれくらい変わっているのか教えてください。 加えて、金融証券優遇税制というのがあります。これまでにも議会に提案されて私たち日本共産党市会議員団だけが反対したという議案ですが、これの税率がどのようになっているのか。また、本則の税率で課税した場合には、どれくらい市の増収になるのか教えてください。 (税制課長) 所得税および個人住民税の最高税率についてですが、平成8年度当時は所得税が50%、住民税が15%でしたが、その後、平成11年度に所得税が37%、住民税が13%となり、さらに平成19年度に所得税が40%、住民税が10%、住民税は定率ということで現在に至っております。 次に、所得1億円の世帯での税額の試算ということですが、夫婦、子1人の3人世帯で、世帯主は給与所得が1億円、配偶者と子には所得が無いという前提で、所得税および個人住民税の合計額を試算いたしますと、平成8年度では約5750万円となります。これに対し、平成22年度では約4610万円となりまして、平成8年度と比較いたしますと約1140万円の減となっております。 それから、金融証券税制についてです。平成8年度当時は現行の軽減税率、これは金融市場の活性化を図り、個人投資家の積極的な市場参加を促すという趣旨で設けられているものですが、この軽減税率は平成8年度当時は設けられておりませんでしたが、平成16年度分の個人市民税に適用されて以降、適用期限の延長が行われております。現在、本則税率は20%であるところ、軽減税率の10%が適用されております。仮に本則税率で課税した場合の本市における個人市民税の増収額は、1年間で約2200万円と推計されます。 (中原ひろみ議員) 証券優遇税制を本則に戻すだけで、広島市には2200万円の新たな税収があるということです。2200万円あれば、今回、事務・事業の見直しで廃止となりました敬老金も復活できるということですから、やはり大きな税収が失われてしまった、国の金持ち優遇制度の影響だと言わねばなりません。 2013年には所得税率の引き上げ、復興財源として2.1%上がる、そして、消費税の大増税が国会で通れば、2014年には消費税が8%になって、2015年には10%になる、国民からすれば毎年毎年負担が増えていくということです。 そうなると、例えば子ども2人の子育て世帯の場合は、消費税増税、それから復興財源、年少扶養控除の廃止、子ども手当の減額、各種社会保険料の引き上げで、だいたい1か月分の給料が消えてなくなるという勘定になるようです。これで国民の暮らし、市民の暮らしはどうなるのか、想像するだけで悲しい気持ちになります。 ですから、消費税大増税という低い所得の人に負担をかけずに、やはり260兆円も(内部留保を)持って体力のある大企業にきちんと負担してもらって、税収そのものの額を増やすということが、地方にも配分としてたくさんの税収が入るということにつながってくると思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。 (税制課長) 国の税制の問題でございまして、国政の場で議論されるべきものと考えます。 (中原ひろみ議員) 確かにそうですが、地方自治体からも、やはり市民の命と暮らしを守るということで言うべき時は言うというのが市長のスタンスであったと思います。 上にもどる ●地域主権一括法について (中原ひろみ議員) 次に地域主権一括法に関わる対応と影響について伺います。地域の自主性および自立性を高めるための改革の推進を図るための関連法案ということで「地域主権一括法」と呼ばれますが、これは第1次、第2次が通りました。この法律の概要・内容と目的を教えてください。 (調整担当課長) 多少長くなりますが説明いたします。第1次一括法は、平成21年12月に閣議決定した地方分権改革推進計画に掲げた義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大に必要な法律の改正を行うものです。 また、第2次一括法は、平成22年6月に閣議決定した地域主権戦略大綱に掲げた義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大、さらに基礎自治体への権限移譲に必要な法律の改正を行うものです。 なお、義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大の目的ですが、地方公共団体の自らの判断と責任において行政を実施するしくみに改め、地域の実情に合った最適な行政サービスの提供を実現することです。 また、基礎自治体への権限移譲の目的は、住民にもっとも身近な行政主体である基礎自治体に事務事業を優先的に配分することで、基礎自治体が地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにすることです。 具体的な事例で申し上げますと、例えば義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大として、都市公園法に基づく都市公園の設置基準を条例で定められるようにすることなどが挙げられます。 (中原ひろみ議員) 義務付け、枠付け、権限委譲などがあるわけですが、条例化が必要となる条例数、主な法律はどんなものがありますか。それから、市としての評価はどうでしょうか。 (調整担当課長) まず、法律数ですが、法律数で27法律、項目数で48項目です。それに伴います条例の制定改廃の数ですが、これにつきましては複数の項目を1つの条例で開設することも考えられるため、現時点でお答えすることはできません。 なお、改正された法律の主な例として、特定非営利活動促進法や公営住宅法等が挙げられます。 また、評価ですが、これらの改正によりまして、真に本市の実情に応じたきめ細かな基準を設けることができるようになると考えております。 (中原ひろみ議員) 「きめ細かな条例ができる」という点は期待していますが、条例改正にあたって「従うべき」というのと「標準」「参酌」というのがあります。 「従うべき」というのは従うのですから問題はないとしても、「標準」「参酌」とされた事項について、市がどのような基本的な方針をお持ちなのか聞かせてください。 (調整担当課長) 方針といたしましては、当然のことながら法律の趣旨に鑑み、国が示す基準を十分に検討したうえで、真に本市の実情に応じた基準を作成できるように取り組んでまいります。 (中原ひろみ議員) 再度確認させていただきます。今回の地域主権改革に伴って条例を新設したり改正したりする中で、福祉の後退とか住民サービスを引き下げるためには使わないという立場であるのか、また、公の施設などの設備とか運営基準がありますが、こういうものも現行の最低基準を維持向上させるという立場で取り組まれるのか確認させてください。 (調整担当課長) このたびの法律の趣旨は、これまで国で一律に定められていたものを地域の実情に応じた基準を定められるようにするというところにあると考えておりまして、おっしゃったような住民サービスの低下などが招かれないように十分配慮してまいりたいと思います。 上にもどる 保育園について (中原ひろみ議員) そこで具体的なことについて聞きます。まず、児童福祉法に基づく保育所の設備および運営基準の最低基準についてです。これについては「参酌」「標準」となっている内容はどんなことがありますか。 (保育課長) 保育園の運営についての基準ですが、国の省令で規定されている保育園の設備および運営に関する基準につきましては、保育士の配置、居室面積、保育所保育指針を踏まえました保育内容に関する基準につきましては「従うべき基準」とされております。 それ以外の基準、例えば屋外遊戯場の設置および面積基準、保育時間などにつきましては「参酌すべき基準」とされています。 (中原ひろみ議員) (屋外)遊戯場であるとか保育時間については、地域の実情に合わせて決められるということですが、そこで、具体的にふくしま第二保育園の移転について確認をさせてください。 20年前に移転の話があったのは事実のようですが、平成3年に地元と合意した内容は、保育園を旧食肉市場跡地に移転するとなっています。移転というのは、そのまま移すということであり、廃園ということではありません。この廃園というのは新市長の下で突然出てきた話です。園が老朽化しているのは事実ですが、建て替えればいいわけでして、老朽化しているから廃園にするというのは理由にならないと思います。 そこでお聞きしますが、老朽化を理由に今後、市としては公立保育園をなくしていくというお考えなのでしょうか。 (保育課長) 公立保育園のあり方につきましては、平成20年12月に策定しております「保育園のあり方について」におきまして、市の直営施設として障害児保育などの推進、保育需要が見込めない地域での運営、保育の質の向上のための調査、研究、人材育成など、その役割を果たすために必要な保育園は残して充実するということにしております。 (中原ひろみ議員) 必要な保育園は残して充実するということですから、老朽化するのを待って順番に市の保育園をなくしていくという方針ではないと受け止めてよろしいですね。 それでは、廃園は合意されていませんので、あくまで移設ですから。1700人の待機児がいるというのは厚生委員会の質疑で明らかになりましたが、やはり待機児解消のために民間の力も借りなくてはいけませんが、今ある公立保育園をつぶすこともないというふうに思います。改めて、公立園の存続をお願いしておきます。 上にもどる 公営住宅について (中原ひろみ議員) 続いて、公営住宅法に基づく設備、入居基準について伺います。 公営住宅の設備基準と入居基準を条例で決めることができるわけですが、入居基準の引き下げなどを検討されることがあってはならないと思いますが、どうお考えですか。 (住宅部長) 一般世帯の入居収入基準につきましては、公営住宅法施行令で全国一律月収15万8千円以下と定められていましたが、公営住宅法の一部改正に伴い、地方自治体が国の示した基準を踏まえ、条例で定めることとなります。 法改正の施行日である平成24年4月1日から1年の期間内は、従来の基準によることができるとされていることから、来年度中に条例で定める必要があります。 仮に現行の入居収入基準を引き下げるとした場合には、従来申し込みのできた方の一部が申し込むことができなくなり、逆に引き上げるとした場合には、申し込みのできる方の範囲が広がり、その結果、入居の抽選倍率がより高くなるなどの影響が予想されます。 このため、これらの影響等を十分に考慮しながら慎重に検討し、条例の改正案を作成したいと考えております。 (中原ひろみ議員) まだ、どんな基準にするのか決まってないようですが、これまでより後退することがあっては、この一括法の意味がありません。前の方が良かったということになってしまいますので、ぜひ実情をしっかり考えて基準を作っていただきたいと思います。 県営住宅の廃止計画で今、住まいをなくす方が増えているわけですが、先日、市は市営住宅34戸を提供するということで、大変人道的な協力体制もとられて、これは評価すべきことだと思います。今、県がアンケート調査をしているということですが、その目的と背景、その結果どうなるのでしょうか。 (住宅部長) 広島県は、県営基町住宅の入居者に方々に対しまして、本年1月から3月にかけて主な移転先の県営長寿園北住宅の見学会を実施しております。さらに、このたび本市が市営基町住宅34戸を提供することをうけまして、本年4月からは市営基町住宅の見学会を行ったうえで、改めて入居者の方々に具体的な移転先住宅の希望を聞く予定であると聞いております。 県におかれましては、そうした結果等を踏まえて、提供する市営基町住宅の空き住戸を適切に活用されると考えております。 (中原ひろみ議員) ぜひアンケート結果を最大限尊重して、市にも対応いただきたい。県営住宅の入居者が市営住宅に移られれば、市営住宅の空きが少なくなり、ますます入居倍率が増えて何年申し込んでも入れないという状況にもなるわけで、改めて、今回の一括法の精神に基づいて地域の実情に応じた整備ということで、公営住宅のこれまで以上の改善を求めていきたいと思います。まず建ててほしいと思います。 国会では原口総務大臣(当時)が2009年11月17日の参議院総務委員会での質疑でこのように答弁しています。日本共産党の国会議員の質問は、保育の最低基準についての質疑でした。この最低基準をなくして地方に委ねたら、子どもたちの発達に対する国の責任がなくなって、地域によっては今の基準でも良いということにはならないかという質問でした。 そうしますと原口総務大臣は、このようにご答弁なされました。「そのような、基準以下でも良いということをやる首長や議会を選んだ住民の責任になります」という答弁です。これは結局、国の責任は放棄して、基準が下がったらそういう首長や議員を選んだ住民が悪いということで、究極の自己責任論だと思います。 こんなふうに国が言っている下で、改めて地方の責任というものが大きく問われています。ぜひ条例の新設、改正にあたっては、これまで以上に安心、安全な暮らしと福祉の充実が図れる高いレベルにしていただきたいと思います。 時間がありませんので、準備しておりました国保の広域化、それから地域主権一括法についても財源論と人員の配置については文書発通ということにさせていただきます。 先般の総務関係で、わが党の村上議員が質問した旅券センターについて、4500万円かかる固定費をきちんと県からもらっていないということでした。人件費、物件費が足らないと。こんな権限移譲ではありがたくないと思いますし、権限委譲されればされるほど市の持ち出しが増えるということがあってはなりませんので、その辺もしっかり県と協議していただきたいということを申し上げて終わります。 上にもどる |
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