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2012年12月11日 本会議 議案質疑 近松さと子議員 |
●第109号 広島市児童福祉施設設備基準条例制定について ―再質問― ●第126号、127号 広島市土地開発公社解散について ―再質問― |
●第109号 広島市児童福祉施設設備基準条例制定について (近松さと子議員) 109号議案児童福祉施設設置基準の条例制定のうち、保育所の面積基準と職員配置を定める最低基準についてお聞きします。 国は、地域主権改革を急ピッチで進め、2011年に第一次・第二次一括法が成立しました。その中にしめされた「義務づけ・枠づけ」の見直しについて、広島市は、国の基準省令を踏まえて、自らの政策判断に基づいて条例づくりを進めています。 地方分権改革推進委員会は、「地方自治体の自治事務を国が法令で縛っているから問題だ。地方の実情を踏まえて自主的に決めることができるようにする、それが、義務付けなどの見直しであり、条例制定権の拡大につながる」と述べています。 しかし、地方自治は、住民の福祉と権利の実現のためにこそあります。そのための自治体の自主性であって、自主性それ自体が自己目的ではないということを踏まえるべきです。 大阪市では、職員配置基準や面積基準について、これまでの大阪市独自の上乗せ基準や国の基準さえも下回る条例を定めました。待機児解消という「地域の実情にそって」という大義名分のもと、保育の質を支える最低基準の引き下げ、つめこみ保育を認めるものです そもそも、面積基準は、敗戦直後の混乱期における大変貧しい日本の経済状態を反映したもので、1948年(昭和23年)の児童福祉法制定以来、64年間改善されていません。自分で動くことのできない赤ちゃんは、1.65平方メートル畳1畳、はいはいできるようになったら3,3平方メートル畳2畳という面積です。ロッカーや棚、保育士のスペースは計算にはいっていません。 2009年に厚労省から委託を受けて保育所の最低基準を調査した研究でも、日本の三歳児以上の一人当たりの面積約2平方メートルは、ストックホルムの三分の一以下で、せめて、2倍にすべきだという結果を発表しました。「子どもの育ちは地域によって異なるものではない。子どもの育ちを支えるための国としての最低基準を定めべき」と、国の基準を自治体任せにすることに批判的な見解を示しています。 そこでお聞きします。 @全国社会福祉協議会の調べで、102の県と市のうち46の自治体が、保育所の最低基準について、地方条例化にあたってパブリックコメントを、実施しています。広島市では、住民の意見をどのようにくみ取り、反映されたのですか。 (子ども未来局長) 条例化にあたっては、この条例に基づいて施設の設置・運営を行うこととなる私立保育園の意見をお聴きしました。また、保育園の保護者棟で構成する団体からは、従来から定期的に意見を聴いており、その中で、この条例化についても意見をお聴きしました。そのうえで、このたびの条例案を作成したものです。 (近松さと子議員) A一日の大半・約11時間も過ごす保育環境を改善するため、諸外国のなかでも最低である居室面積については、さらに引き上げるべきではないですか。 (子ども未来局長) 今回条例化する施設の設備及び運営は、施設を運営するうえで、それを下回ることが許されない最低限の基準であり、その基準により児童にとって必要な処遇が確保できるものです。 (近松さと子議員) B京都市では、たとえば、5歳児30人に一人の保育士の配置という国基準に対して、25人に一人と上乗せ設定をおこないました。子育てに困難を抱える保護者への対応や、育ちが気になる子どもへのきめ細やかな支援が求められている今、国の基準以上に改善すべきではありませんか。 (子ども未来局長) 現行の国の基準を上回る広島市の独自基準の設定にあたっては、児童の処遇の点から、現在、問題・課題が生じていないか、または、今後生じる可能性があるかということを検討の視点の一つとしています。保育園の面積基準や保育士の配置基準については、基本的に現行の国の基準を最低基準とすることで問題はなく、児童にとって必要な処遇は確保できる者と考えています。 (近松さと子議員) C地方自治体の自由度を高める地方条例化の目的は、子どもの発達や福祉・安全を向上させるためであるべきですが、どのように考えられますか。 (子ども未来局長) 今回の「義務付け・枠づけの見直し」の趣旨は、地域の実情に応じたきめ細かな基準を設けることができるようにすることであり、その目的とするところは、当然、住民の福祉の増進にあると理解しております。 また、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を設けるにあたっては、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならないものと考えています。 こうしたことから、このたびの条例制定にあたっては、児童の発達のために必要な処遇の確保に視点を置き、検討を加えたものです。 ―再質問― (近松さと子議員) 国の最低基準を守って、独自基準を含めた基準を条例化されたわけです。 でも諸外国と比べたら、今日も指摘したように大変遅れている基準ですよね。こうしたことを改善するためには今後、どんなことが必要だと思われますか。 (子ども未来局長) このたびの条例化に当たりましては、さきほどもご答弁いたしましたように、児童の処遇の確保・向上という視点を持って、検討を行っているところでございます。具体的なことを申し上げますと、たとえば保育所については本市の実態に応じまして、保育所の乳児室の面積基準あるいは特例幼保連携保育所に係る保育士の面接基準については国の基準を上回る基準をこのたび設定をしております。今回条例化する基準は保育所を運営するうえで、先ほど申しましたけれども、下回ることが許されない、最低の基準を定めるものでございます。各施設はこの基準を超えて、設備及び運営を向上させなければならないとの規定をしております。本市としても引き続き処遇の向上には努めてまいりたいというふうに考えております。 (近松さと子議員) 私が心配しますのは、こんどの「子ども・子育て新システム」で、児童福祉法が改正されて、保育の実施義務というのは自治体の責任だというのは残りましたけれども、保育所を整備する責任の問題が大変あいまいになってしまったということです。いったい、こういう保育所の最低基準以上の、子供たちにふさわしい基準を引き上げていく、そのための財政的な裏付けがどうなるのかというのが大変心配されるところです。今回、地方のことは地方で決めれば良くなるんだという地方分権ですとか地域主権ということで言われていますが、今回の条例化を見ましたら、やはり独自基準を作っているところもあれば、大阪市のように基準を引き下げて、地方の事情だから、というふうなところもあります。やはり国が財政的な裏付けもなくて保育の責任だけ、基準の責任だけ自治体に、地方に押し付けるというのは本当に、子どもたちにとっても市民にとっても問題じゃないかな、というふうに思います。 上にもどる ●第126号、127号 広島市土地開発公社解散について (近松さと子議員) 土地開発公社の解散にかかわる二つの議案について伺います。 広島市は、長年の懸案であった土地開発公社を解散し、市からの貸付金は、土地で代物弁済し、残りは、権利放棄するとしています。そして、償還されない貸付金228億円の財源にあてるため、第三セクター等改革推進債を起債するとしています。 これまで、政府は、アメリカからの公共投資の拡大要求ともあいまって、様々な誘導策をもって、公共事業の拡大を地方自治体に押し付けてきました。これを受けて、広島市は、土地開発公社に公共用地を先行取得させて公共事業をすすめてきました。しかし、バブル経済の破綻と地価の下落、景気の低迷という中で、大規模な未利用地いわゆる塩漬け土地が残り、莫大な借金と金利負担をふくらませてきました。 2004年(平成16年)2月、土地開発公社について、包括外部監査報告がだされました。この中で、100億円を費やしたメッセコンベンション施設建設といった身の丈を越えた公共用地の取得や事業計画もないのに取得した貨物ヤード跡地など、先行取得の必要性や活用の見通しの甘さについて厳しい指摘が行なわれています。 この問題については、日本共産党市議団としても早急な活用の検討を求め、市民から要望の強い特別養護老人ホームの増設や、政令市の平均より6千戸も少ない市営住宅の建設用地として活用するなどの具体的な提案も行なってきました。また、土地の新規取得をやめ、公社の縮小・廃止を求めてきました。 市は、このときの指摘を受けて、庁内に検討会議をもうけ,公社の解散を含め、先行取得のあり方などについて検討を進めるとしていましたが、どのように対応されたのですか。 (財政局長) 本市においては、土地開発公社の長期保有地の取扱いについて、平成16年3月に庁内に検討会議を設置し検討を続けてきました。その間、平成17年度以降は、公社による土地の新規取得はおこなわないことを決定するとともに、公社が保有している土地については、西広島駅周辺地区整備事業用地をはじめ、再取得あるいは民間売却を積極的に進めました。その結果、平成15年度末に簿価額で約682億円であった保有地が、平成23年度末には、現在の約229億円と約3分の1にまで減少しており、一定の成果は上がっております。 (近松さと子議員) 事業化の見通しを失ったあとも、根本的な対策講じることのないまま解決を先送りし、含み損を大きく膨らませてきた時々の市政執行者の責任は厳しく問われなければなりません。 さまざまな外的要因があったことは理解しますが、包括外部監査の指摘のようにずさんな先行取得のあり方など、適正であったのかという面で、市の責任は大きいと考えます。これらの反省を含めてどのように考えますか。 (財政局長) 本市としては、公社が土地を取得した後の社会経済情勢等の変化の下で、土地を再取得できておりませんが、いずれの土地についても、それぞれの時期に本市の社会資本の整備を図っていく上で重要な土地であると判断して、議会に説明したうえで、公社へ先行取得の依頼を行ったものであり、その時の判断は適正であったと考えています。 (近松さと子議員) 今後、「3セク債」を活用し、新たな228億円という借金を返済していくことになります。市民サービスを切り下げて全く責任のない市民にツケを回すことがあっては、なりません。 「3セク債」は、何年で償還し、1年にどのくらいの額を返済するのでしょうか。この償還計画を明らかにしてください。そして、市の財政への影響についてどのようにお考えですか。 (財政局長) 今回の第三セクター等改革推進債は、20年での償還を予定しており、1年あたりの元金の償還額は11億4,450万円の見込みです。この財政負担は、土地開発公社を解散することで問題を抜本的に解消し、将来にわたって本市財政の健全性を確保していくためには、必要な負担であると考えております。 ―再質問― (近松さと子議員) 土地開発公社のことですが、それぞれの時に最善の努力をされて、問題はなかった、外的な要因のせいで不可抗力だったというふうなことを言われたんじゃないかと思いますが、228億円の、これからの借金というのは市民が作ったわけではありません。広島市の市政上の課題として生まれてきた借金ですので、そのツケを市民に回さないということが大前提になると思うんですが、それについてはどうお考えになりますか。 (財政局長) このたびの土地開発公社の解散、それに伴います第三セクター等改革推進債を発行するということは、この土地開発公社の問題というのが、本市の現在の資金収支を大きく圧迫しているということ、それからこの問題を先送りしていけば、将来、本市の財政運営に大きな影響を及ぼすと。そういうことを抜本的に解消したいということで行うものでございます。そういう問題の解消を図ろうとするために行うものでございまして、これはツケを回すものではないと考えております。 (近松さと子議員) 土地開発公社の解散という問題は、かねてからわが市議団も求めてきたことですし、今回第三セクター等改革推進債を使うということで、必要なことだと思います。しかしやはり償還計画の中でのこの償還金はやはり一般の財源の中から使われていくものだと思います。特に今回中期財政見通しですとかそのほかのいろんな財政運営の中で、事務事業見直しのことが出されていますが、一年間で20億という目標もたてられて、この見直しを行うとされています。この市債の償還金も、こうした財源を充てていくということではないんでしょうか。 (財政局長) 事務事業の見直しにつきましては、基本的に事業の目的に照らして、きちんと対応できていない事業になっていないものがあるとか、あるいは事業の手法が適当でなくなっているものがあるとか、そういった社会経済情勢の変化とか市民の価値観によって、事務事業そのものを見直すことによって、より適切な事務を執行していく必要があるということでやっているものでございまして、あらかじめ目標額をいくらと定めて行っているものではございません。したがって、このたびの事務事業の見直しによって定めた額をもって土地開発公社の解散のための資金に充てるということではございません。ただ、事務事業見直しのほうは、見直しによって捻出した財源というのを用いまして、より市民に的確なサービスを提供していく財源にしていきたいというものでございます。 (近松さと子議員) まあ、その言っても新たな借金が公債費として計上されるわけで、そのための財源というのがどうしても必要だ、そうするとやっぱり事務事業見直しの中で生み出された財源というのももちろん一般論としてこういったところにも使われる可能性は否定できないと思うんですが、あえて言わせていただければ今日もこの12月議会に請願・陳情というのが出されております。見られたでしょうか。この中で7件は事務事業見直しに関わることが出されています。市の土地開発公社を解散させる、そのための様々な借金を返済するための財源が、こういう事務事業見直しで、社会的な弱者の人のサービスを切り下げることで生み出されてるんじゃないか、そういう市民の思いも一方であるんじゃないかと思います。そういう点で、市民にツケを回すことがあってはいけない、特にそれを社会的な弱者に回してはならないと思うんですが、どのように考えられますか。 (財政局長) 少し趣旨がよくわからないところもあるんですが、事務事業見直しは究極的に申しますと、地方自治法の2条の中にですね、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と定められております。基本的にこういう趣旨で我々、市政の企画・立案あるいは事務事業の見直しに取り組んでいると。そういう的確な行政を行うために、事務事業見直しを行っているものでございまして、決して第三セクター等改革推進債の償還財源にするために行っているという意味ではございません。 上にもどる |
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