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2011年6月23日 本会議 施政方針に対する質疑及び一般質問 中原ひろみ議員 |
●市長の政治姿勢について ≪再質問≫被爆者援護に関する市長の発言について ・原発からの撤退について ・自然エネルギーへの転換について ・ヒロシマから被曝の発信について ●地域防災計画について ・放射能災害への備えについて ・避難所の見直しについて ・校舎の耐震化について ●防災都市づくりについて ・広島市の支援対策について ●保育について ●マツダの計画節電の影響について ≪再質問≫留守家庭子ども会への影響について ●中小企業支援について ●教室へのエアコン整備について ●乗合タクシー継続への支援について |
市長の政治姿勢について (中原ひろみ議員) 6月17日付「中国新聞」に報道された市長の被爆者援護に関する発言についてお聞きします。報道によると市長は「一番ひどいのは原爆で死んだ人。残った人は死んだ人に比べたら、助かっとる、という事をまず言わんのんですね。悲劇だ悲劇だという」「なんか権利要求みたいに、くれ、くれでなく、感謝の気持ちを忘れないようにしてほしい」「本当に嫌な人は黙っとる」などと発言されています。 この発言に対し、病身に鞭打ち、被爆の実相を語り伝えなければと使命感を感じて必死でがんばっておられる被爆者は傷つき、被爆者を含む市民から「このような認識では広島市長はつとまらない」「平和宣言を読み上げる資格なし」との怒りの声があがっています。市民のこの声を市長はどのように受け止めておられますか。 被爆者援護は「施し」や単なる福祉ではありません。国が引き起こした戦争で原爆被害を受けた方に対する国の責任です。放射能に起因する健康被害は、他の戦争被害とは異なる特殊の被害であるからこそ、健康管理手当や医療費免除が実施されているのです。市長は被爆者の援護施策について、かわいそうだから援助してあげる制度とのご認識なのですか。被爆者援護をどうとらえておられるのですか。 広島・長崎へのアメリカの原爆投下は、人道に反し、国際法に違反する行為です。このことは原爆裁判で究明され、日本政府も「国際法の精神に反する」ものと認めています。しかし、日本政府が、原爆被害を含むすべての対米請求権を放棄したため、被爆者は、戦争を起こした日本政府に国家補償にもとづく被爆者援護法制定を求め続けているのです。 被爆者はかろうじて生き残っても就職・結婚・出産に際しても悩み、苦しんできました。「二度と同じ苦しみを他の誰にもさせてはならない」との、被爆者の訴えが、核兵器廃絶と恒久平和への国際世論に大きく貢献し、三度目の核兵器の使用を防いできました。市長は、戦後、被爆者が果たしてきた役割と被爆者の苦しみをどのように認識されているのかお尋ねします。 核兵器廃絶と被爆者援護は一体のものです。国家補償の理念に立った被爆者援護を求め続けてきた被爆地ヒロシマの歴史と、今なお原爆症で苦しんでいる被爆者を愚弄する市長の発言は許されません。発言の撤回と謝罪をすべきですが、今日まで、発言の撤回も謝罪もありません。なぜですか。 このままでは、4000を超える世界の都市が参加している平和市長会議の会長としての資格・資質が疑われ、核兵器廃絶・恒久平和を願うヒロシマの求心力がなくなると懸念しますが、どのような認識ですか。 (市長) 先ず、市民の声をどのように受け止めているか、ということですが、市民には様々なご意見があるということを痛感しているところでございます。 本日これまでの答弁で申し上げたことですが、私は、被爆者の援護は、原爆の犠牲者や被爆者として生きている人の痛みや苦しみを多くの国民が分かち合うという精神があってこそ、成り立っているものであるとの私なりの考えが背景にあってのものです。 今まで、被爆の実相を話すことなく過ごされてきたなかで、言えるようになったということは、そのような環境ができたからであるとも言え、そのこと自体に感謝の気持ちを持つことは大切だということを強調したかったものです。 戦後、原爆の放射線による健康影響に苦しみ、不安を持ちながら、広島の復興と発展を支えてこられた被爆者。そして、今なお続くそうした苦しみや不安だけでなく、社会的な偏見や差別とも戦いながら、被爆の実相を語り、平和を希求する声を全世界へ発することに尽力されている被爆者。そうした被爆者が、核兵器廃絶と世界恒久平和を求める国際世論の形成に大きな貢献をされたという基本的な認識は十分持っています。 そうした被爆者の気持ちを理解し、大切にしていかなければならないと考えています。 私は、本日何度か申し上げたように、これまでと変わることなく、被爆者の援護施策の充実に取り組む覚悟であり、また、ヒロシマの願いである核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 ≪再質問≫ 被爆者援護に関する市長の発言について (中原ひろみ議員) 市長の例の不適切な発言についてです。やはり撤回されるべきだと思いますが、なぜ撤回されないのか、もう一度お聞きしたい。 (市長) 私の発言に関する撤回に関してでございますが、今回お会いした被爆者は、「私は爆心から4キロのところで被爆したが、幸いにも健康であって、健康被害に苦しむ被爆者がいる中で、被爆者だと言われるのは後ろめたい気持ちがあった」というようなことをおっしゃる方でありました。 この度の一連の発言は、今申し上げたような被爆者との会話の中で申し上げた言葉であります。私が申し上げたことは、私自身の感触と言うか感じでは、まさにこうやりとりしているときに相手の方にも理解していただいたと感じているものであります。 従いまして、私の発言の撤回ということにより、今言ったようなご理解をしていただいている方の、その理解を覆さなければならないという性格のものではないという意味で、私は撤回する必要はないと考えています。 上にもどる 原発からの撤退について (中原ひろみ議員) 福島原発事故がチェルノブイリと同じ「レベル7」となり、被爆線量限度250ミリシーベルトを超えて被爆した作業員が出る事態となっています。内部被爆の恐怖がひろがるなか、市長の所信表明には、原発はおろか放射能災害という言葉はどこにもありませんでした。被爆地ヒロシマの市長であるあなたが、一言も原発事故にふれられないのはなぜですか。 (企画総務局長) 所信表明は、市長就任時に、今後4年間の市政を推進するに当たっての基本的な考え方や主要な施策について市長の所信の一端を述べるものです。 原子力発電のあり方については、国のエネルギー政策の見直しの中で検討されるべきものと認識しており、その見直しの議論が、現在、国において行われている状況を踏まえると、市政推進の基本的な考え方等を述べる所信表明においてあえて言及するまでもないと判断したためです。 (中原ひろみ議員) 放射能災害は他人事ですか。そのあなたは、5月10日に長崎市を訪問された際、「国にエネルギー政策の見直しをしっかり言いたい」と述べられています。この発言は「脱原発」ということなのか、真意をお聞きするとともに、原発事故をどう受け止めておられるのかお尋ねします。 (エネルギー・温暖化対策局長) 国のエネルギー政策の基本的な方向性を示すため、エネルギー政策基本法に基づき、エネルギー基本計画が策定されています。 現在のエネルギー基本計画において、原子力発電は、供給安定性、環境適合性、経済効率性を同時に満たす基幹エネルギーとして位置づけられ、安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、積極的な利用拡大を図ることとされています。 しかし、今回の福島第一原子力発電所での事故により、原子力発電に対する国民の信頼が大きく失われたと考えています。 また、今回の東日本大震災による電力不足が、家庭、職場、学校など日常生活全般にわたって甚大な影響を与えたことにより、エネルギーは、国民生活や経済活動の基盤であることを改めて認識させられました。 このため、今後のエネルギー政策については、リスクやメリットを総合的に勘案した上での原子力発電のあり方や、省エネに配慮したライフスタイル・社会システムなどについて幅広い検討を行い、国民の理解と信頼を得るようなものにしていく必要があると考えています。 こうした認識のもとに、国へのいろいろな要望行動の機会をとらえて、国に対してエネルギー政策の見直しを求めていきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 福島第一原子力発電所の事故は、原発の危険性を国民の前に事実をもって明らかにしました。30キロ圏内で避難を余儀なくされた住民は、いつ、ふるさとへ戻れるのか見通しはなく、放射能汚染は農業・漁業・酪農・商工業・観光・雇用など、国家を危機に追い込むような事態となっています。原発事故は大量の放射性物質を外部に放出し、抑える手段もないなか、その被害は空間的にどこまでも広がり、地域社会全体の存続そのものを危うくしています。 アメリカ政府が1978年12月に作成した資料では、「食物摂取による体内被曝危険地域80キロメートル」としています。 放射性物質が体内に入れば、内臓・血液・骨が何十年にもわたって破壊されつづける内部被曝の事実を、被爆地ヒロシマは明らかにしてきました。とりわけ、半減期が大変に長い放射能ストロンチウム90が、幼い子どもに取り込まれると脊髄に放射線を照射し、将来、がん化する可能性が高いことも科学的に明らかになっています。 日本は世界で唯一の被爆国でありながら、国策として原発が推進され、アメリカ、フランスにつぐ世界第三位の原発大国です。その背景には、『原子力の平和利用』として、原発を日本国民に受け入れさせることで、ヒロシマ・ナガサキの「原爆反対を潰し、アメリカによる原爆投下の責任を曖昧にする『ねらい』があった」と1954年9月22日のニューヨークタイムスは報じています。 戦後マスコミ回遊記という文書には、「原子力の平和利用を大々的に謳い上げ原爆反対をつぶす」「毒をもって毒を制す」と記載されています。被爆地ヒロシマの市長として、原発の源流ともいえるこの事実をご存じでしたか。どのようにお感じでしょうか。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 我が国における原子力の利用については、昭和30年(1955年)に制定された原子力基本法をもとに推進されてきました。 この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的としています。 日本の原子力の利用は、こうした目的のために進められてきたと理解しています。 (中原ひろみ議員) 原子力の利用は、原子爆弾という核兵器の開発から始まり、原発はアメリカが潜水艦の動力として戦争のために開発した軍事利用を転用したものであり、安全は二の次です。未完成の状態のまま日本の電力会社に導入されました。 だからこそ日本共産党は35年前から国会で原発の危険性を告発し、最悪の場合にそなえて対応するように提起し続けてきました。 第一に、現在の原発技術は、冷却水がなくなると炉心が溶けコントロール不能になるという本質的に未完成で危険なものなのです。100万キロワットの原発が一年間稼働すると、広島型原爆の1000発を超える「死の灰」を生みだしますが、これを処理する処分場も方法も決まっておらず、全国の原発には莫大な量の使用済み核燃量が蓄積され、放射能物質が外部に放出される危険性にさらされています。 日本共産党は国会で、使用済み核燃料の処理方法もないままに原発を推進することは、「トイレなきマンション」を建設しているに等しいと批判してきました。 第二に、世界有数の地震国であり、津波被害の危険性が大きい日本に多くの原発を集中的に建設することの危険性です。 第三に、「チリ地震級の津波がくれば、冷却設備が機能しなくなり、重大事故に陥る危険が存在している」ことを繰り返し指摘し、改善をもとめきたにもかかわらず、歴代政府と電力会社は、これらの声には一切、耳をかさず「日本では重大事故は起きない」と安全神話に縛られて、安全対策を全く行ってきませんでした。その責任は重大です。 小学生向け副読本には、「大きな地震や津波にも耐えられるように設計されている」「ジャンボジェット機が墜落しても壊れない原子炉」だと書かれており、子ども達に安全神話の洗脳教育が行われてきました。まさに、国民は国にだまされてきたと言わねばなりません。 今回の原子力災害は、まさに「人災」であり、「安全神話」は崩れたのです。しかし、政府・東京電力は今回の事故による放射能汚染は「想定をはるかに超えた」自然災害による不可抗力だとしています。このような責任回避の立場では、原子力行政の欠陥を抜本的に改めることはできないと考えますが、市長はどのような認識ですか。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 今回の福島第一原発における事故については、国が学識経験者、弁護士、被災地首長などで構成する「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会を設置し、事故の原因及び当該事故による被害の原因を究明するための調査・検証を行うこととされています。 同委員会では、この調査・検証を、国民の目線に立って、開かれた中立的な立場から多角的に行ない、今回の事故による被害の拡大防止及び同種の事故の再発防止等に関する政策提言を行うこととされています。以上のように、原子力政策については、国において適宜適切に対応されるものと考えています。 (中原ひろみ議員) マスコミ各社の世論調査では、「脱原発」が8割を超えています。ドイツでは、すでに福島原発1号機の25基分が自然エネルギーで,2022年までに原発をなくし自然エネルギーに転換するという「期限を定めた脱原発」への方針を決めました。スイス政府も原発廃止を決めています。イタリアでは国民投票で9割が原発に反対しています。世界各国は、福島原発事故から学び、国民の命を大事にするために「脱原発」を、すばやく決断しています。 ヒロシマ・ナガサキ・福島において大変な被害を原子力によって体験している国として、今こそ、脱原発に政策転換し、世界にその姿勢を示すべきです。 菅総理は、日本共産党の申し入れのなかで、建設予定の14基の原子力発電所建設は「白紙から検討する」と約束されていますが、「安全を確保したら活用する」と原発推進の立場を変えていません。4つのプレートの上にある地震国日本において「安全な原発はありえない」ということを肝に銘じるべきです。 被爆地の市長として、山口県上関町への原子力発電所建設の中止とともに、原発推進から撤退し、太陽光、風力、水力、地熱、波力、バイオマスなど自然エネルギーを活用する「原発をゼロにする期限を決めたプログラムの策定」を政府に求めるべきだと考えます。市長はどのようにお考えですか。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 今後のエネルギー政策については、先ほどご答弁申し上げたとおり、国において国民の信頼と理解がえられるようなものにしていく必要があると考えています。 また、上関原発など個々の原発の対応については、国におけるエネルギー政策の見直し等を踏まえて、それぞれの関係当事者において、判断されるべきであると考えています。 そうした認識のもとにエネルギー政策の見直しを国に対し求めていきたいと考えています。 上にもどる 自然エネルギーへの転換について (中原ひろみ議員) 日本環境学会会長の和田武氏は、「日本ほど多様な自然エネルギーを持つ国は少ない」と話されており、本気で自然エネルギーの開発に取り組めば、現在、原発によって発電されている25%の電力量はまかなえます。 広島市では、「地球温暖化防止・エネルギー対策の推進」として、太陽光発電の普及に率先した取り組みを始められています。今こそ、原発に頼らず、自然エネルギーである太陽光発電を大胆に促進していく目標、計画を持つべきですがいかがですか。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 地球温暖化対策を進めていくうえで、太陽光発電の利用拡大を図っていくことは重要であると考えています。 このため、本市施設については、平成21年(2009年)に策定した「市有建築物省エネ仕様」に基づき、施設の新築、増築、改築の際には原則として太陽光発電システムを設置していくこととしています。 また、民間住宅については、本市の脱温暖化ビジョンである「カーボンマイナス70において、2030年には戸建て住宅の半数にあたる10万件、2050には戸建て住宅のほぼすべてに導入する目標を掲げています。 (中原ひろみ議員) 広島市は、太陽光発電設置の支援策として「住宅環境性能向上促進補助事業」により、市民が自宅に太陽光発電を設置する費用の一部を負担する制度をスタートさせています。 しかし、一件当たり5万円の補助額は、設置工事費用に比べて少ないため、「太陽光発電を整備したい」が、経済面からためらっていると言う声も聞かれます。もっと補助金を引き上げ、一般家庭に一気に普及が広がるように力を尽くすべきではないでしょうか。市の見解をお聞きします。これまでに市が補助した太陽光発電の設置件数と、市が取り組んできた太陽光設置事業の効果についてお聞きします。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 本市では、民間住宅については、太陽光発電システムを設置した場合においては、国の補助制度に上乗せして、20万円以上の工事に対して、一律に5万円の補助を行っています。 これまでの同補助金の活用状況は、当初の募集枠を年度中途において上回り、追加で予算枠を確保する状況であり、現行の補助単価は、インセンティブ(動機づけ)として有効であると考えています。 また、これまで本市が補助を行ってきた太陽光発電システムの設置件数は、制度を開始した平成20年度(2008年度)が240件、平成21年度(2009年度)が957件、平成22年度(2010年度)が1,481件であり、3年間の合計で2,678件となっています。 (中原ひろみ議員) 本庁や各区役所の屋上など公共施設に、太陽光発電を整備されることを提案します。いかがですか。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 本市の公共施設への太陽光発電システムの設置については、これまで、平成16年度(2004年度)に若草市営住宅に導入したのをはじめ、以後、総合リハビリテーションセンター、広島市立大学、マツダスタジアムのほか、新設、増築、改築の小中学校6校などに導入し、これらの施設では、合計で年間約2.8%の電力量が削減され、電気使用量の節減額が約533万円、CO2排出量は約172t削減されています。 (中原ひろみ議員) また、太陽光発電の普及にあたっては、太陽光電力を電力会社に全量買い取ってもらう制度も必要です。日本の買い取り制度案では、住宅の太陽光発電は余剰電力しか買い取らず、期間も10年間だけです。太陽光発電の初期投資費用を銀行から借りても売電収入で返済していけるような制度を国に求めていただくよう要望しておきます。 (エネルギー・温暖化対策対策課長) 今後については、国の補助金や余剰電力の買い取り単価、さらにはシステムの設置経費の動向を踏まえて対応したいと考えています。 上にもどる ヒロシマから被ばくの発信について (中原ひろみ議員) 福島県災害対策本部の資料によると、原発災害により35670人が全国に避難され、広島県内にも約200人の方が避難されていると報じられています。 福島第一原発周辺から避難されてきた住民に対し、他県では「放射能がうつる」などの非科学的なうわさが二重・三重に被災者を苦しめている、「子どもの健康が第一」だと、子どもだけを他県に避難させているため、両親と離れ離れとなった子どもたちが、寂しくつらい思いをしているとの報道もあります。 「シーベルト」と言われてもよくわからない、「国や東京電力の言うことは信じられない」という声もあります。 風評被害に左右されず、冷静な対応ができるようにするには、改めて今、放射能とは何なのか、内部被曝とはどんなものなのか。ヒロシマから正しい知識と情報を全国に発信することが必要ではないでしょうか。市長はどのようにお感じですか。 (健康福祉局長) 被爆者医療を通して蓄積された広島の医学的知見を活かし、放射線に関する正しい情報を広く発信することは、有用と認識しています。 こうした広島の医学的知見は、広島大学や(財)放射線影響研究所などの研究機関、広島赤十字・原爆病院などの医療機関に蓄積されています。 広島大学と放射線影響研究所では、専用のホームページを設け、放射線に関する正しい知識と情報を分かりやすく提供しています。 本市のホームページでも、両機関のホームページへ直接移ることができるリンクを設けています。 また、広島大学原爆放射線医科学研究所の神谷所長及び放射線影響研究所の児玉主席研究員は、福島県の要請により、放射線健康リスク管理アドバイザーに就任され、放射線が健康に与える影響等について、現地でアドバイスや説明会等をされています。 今後とも、広島の医学的知見を役立てた情報発信について、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。 上にもどる 地域防災計画について (中原ひろみ議員) 日本共産党市会議員団は、臨時議会が終了した翌日から一週間、東日本大震災で被災した岩手県内の四つの自治体(釜石市・陸前高田市・大槌町・宮古市)に出向き、救援ボランティアの活動に参加してきました。被災地の惨状を目の当たりにし、被災者の生の声をお聞きするなか、改めて津波の威力と破壊力のすさまじさを痛感するとともに、災害への備えの必要性を感じているところです。 広島市においても、防災計画の見直しだけでなく、災害から「市民の命と財産を守る」ために、自治体は何をすべきなのか」が、大きな課題です。 そこで市の地域防災計画について4項目について伺います。 まず、津波の想定見直しについてです。広島市が昨年度に改定した地域防災計画では、30年以内に7割の確率で東南海地震が、6割の確率で南海地震が起きると想定しており、その発生は極めて切迫しています。 広島県津波浸水予測は、震度5強での被害想定がされ、津波は地震発生から4時間後、最大水位は1mとしています。しかし、東日本大震災では震度7の地震で過去に体験したことのない30mを超える大津波が押し寄せています。この事実からすれば、津波は60cmという広島市の想定に不安を感じざるを得ません。「津波が川をさかのぼると、波の高さは三倍になる」と分析されている専門家もあります。東日本大震災の津波規模を考慮した被害想定に見直す必要があると考えますが、いかがですか。 (消防局長) 国においては、東日本大震災の発生を受け、本年秋頃を目途に地震被害想定のあり方や地震・津波対策の方向性などについて科学的に想定し得る最大の地震・津波対策が発生することを前提に取りまとめ、これに基づき防災基本計画の見直しを行うこととされています。 本市においては、この国の検討内容などを踏まえ、広島県とも連携して現行の地震・津波被害想定を見直します。 上にもどる 放射能災害への備えについて (中原ひろみ議員) 福島原発事故では、東京・神奈川・静岡まで放射能汚染の影響が広がっており、中国電力の島根原発や、四国電力の愛媛県伊方原発に事故があれば、風向きによっては、広島市民が影響を受けざるを得ません。 京都府は、「もんじゅ」「美浜」「敦賀」原発など、原子力発電所が集中立地する福井県と隣接していることから、原発事故時に屋内退避を呼び掛ける目安となる放射線量の暫定基準値を一時間あたり3.8マイクロシーベルトとし、府の地域防災計画に盛り込むことを決めました。「府民の命を守る」という自治体の使命からすれば、国任せにせず、自治体が独自に避難基準を決めるという取り組みは評価すべきものであり、広島市も学ぶ必要があると考えますが、どうされますか。 放射線量測定器の整備と放射線量の公表など、放射能災害を地域防災計画に位置付け、原発事故に備えることが必要ではありませんか。市の考えをお聞きします。 (消防局長) 原子力発電所を中心として概ね10キロメートル圏内にある都道府県及び市町村は、国が定めた防災基本計画及び防災指針「原子力施設の防災対策について」に基づき地域防災計画の原子力災害対策編を作成しています。 本市は、市域内に原子力発電所がないことなどから、原子力防災対策編は作成していません。 現在、国において、今回の事故等の検証や防災指針の見直しに取り掛かっており、国や県の動向を踏まえながら、必要に応じて、本市の地域防災計画に、放射線量測定器の整備や避難基準となる放射線量等を規定することについて検討を行ってまいります。 上にもどる 避難所の見直しについて (中原ひろみ議員) 津波の被害をうけた方の話では、「津波の時は船は沖に、人は高い場所」に避難することが鉄則だとお聞きしました。津波から命を守るには、高い避難場所が必要だと言う事です。静岡県は、津波対策室を発足させ、東名高速道路を新たな避難場所に指定する計画を進めています。 そこで提案ですが、広島市でも津波対策として、民間の高層マンションに地域住民を避難させていただけるような住民合意・制度への取り組みを始めてはどうでしょうか。市のお考えをお聞きします。 (消防局長) 津波発生時の避難場所については、洪水及び高潮を対象とする避難場所の中から選定することとしています。 しかし、東日本大震災では想定を超える津波が発生したことから、今年度はモデル地区を選定し、当地区の自主防災組織等と連携して情報伝達体制や、押し寄せる津波から一時的に避難するための緊急避難場所、避難経路などを網羅した地区別の避難計画の策定に取り組みます。 議員ご提案の民間の高層マンションの活用に係る住民合意などについては、この避難計画の中で検討してまいります。 (中原ひろみ議員) 広島市は、学校区を基本単位に生活避難場所の運営マニュアルを作成し、体育館や校舎や公共施設を避難場所に指定しています。しかし、地域によれば、避難場所のほうが「危険」と言われている避難所もあります。例えば、南区の宇品小学校は宅地より低い場所にあり、過去の豪雨や台風で浸水した経緯があります。地元の皆さんからも「避難場所としてふさわしくない」との声が出ています。 市は防災マップで地域ごとに、災害別の避難場所を指定されていますが、このことが市民に周知されていないと感じます。周知にむけてどのようにされるのですか。 (消防局長) 本市では、災害時の避難場所として、小学校や集会所、公民館などの公共施設を選定しています。 避難場所については、立地条件等を勘案し、適切な施設を避難場所として開設することとしています。 こうした避難場所の状況については、毎年6月の広報紙「ひろしま市民と市政」の各区版や本市ホームページで紹介するとともに、自主防災組織リーダー研修等を通じて周知しています。 また、今年度は、現在、市内全戸に配布を行っている洪水ハザードマップにも避難場所の一覧を掲載しているところであり、自主防災組織等を対象とした洪水ハザードマップの説明会等においても、積極的に周知を図ってまいります。 上にもどる 校舎の耐震化について (中原ひろみ議員) 子ども達が学ぶ校舎の耐震化率は、平成23年4月1日現在、広島市は59.5%で、全国平均の73.3%と比べて、大きく遅れています。政令市では最下位です。ここまで耐震化が遅れているにも関わらず、広島市の耐震化は10年もの長期計画です。 今年度は、32校60棟の耐震化が計画されていますが、未だに280棟の校舎に耐震性がないという大変危険な状況にあります。災害はいつ発生するかわかりません。県は12年前倒しで、2015年までに県立高校の耐震化を実施されます。広島市も10年もかけるのんきな耐震計画は見直し、県にもきちんと補助金を求め、せめて3年で完了させる計画に前倒しし、早期に全校の耐震化を完了させるべきです。「耐震化は急務」という認識が市にあるのかお尋ねします。 (教育長) 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす場であるとともに、災害発生時には、地域住民の避難場所としての役割を果たすことから、その耐震性能を確保することは重要であり、本市においても、一刻も早く学校施設すべてを耐震化することが緊急の課題と考えています。 こうしたことから、本市では、平成22年(2010年度)までに屋内運動場の耐震化を概ね完了し、現在、校舎の耐震化に取り組んでいます。 (中原ひろみ議員) 全ての耐震工事の経費はどれぐらい必要で財源はどうなりますか。 (教育長) 校舎耐震化に要する総事業費ですが、現時点では、既に実施済みの37億円を含め総額約247億円と試算し、この財源は、国の補助金約91億円、市債約101億円、一般財源約55億円と見込んでいます。 (中原ひろみ議員) 現在、校舎の耐震補強の必要性・優先度は、建物が倒壊や崩壊する危険性の度合いによって、a、b、cの3ランクに分類されていますが、各ランクの対象校舎数を教えてください。 崩壊の危険性の高いaランクは平成24年度までに耐震を完了することにしていますが、今回の東日本大震災を踏まえるとbランクも平成24年完了に前倒しすべきと考えますが市は、どの様にお考えですか。 (教育長) 次に、平成23年(2011年)4月1日現在で、今後、耐震補強を行う必要がある棟数は165校・280棟となっています。 これらは、耐震診断の結果、危険性が高い順に、aランク、bランク、cランクの3つに分類されています。 その内訳については、(学校数が重複しますが、) (1) Is値0.3未満のaランク校が68校・85棟 (2) Is値0.3以上0.6未満のbランクが116校・169棟 (3) Is値0.6以上0.75未満のcランクが23校・26棟 となっています。 現在の計画では、平成24年度(2012年度)までにもっとも危険性が高いaランクの耐震化を完了させたいと考えています。 平成24年度(2012年度)以降のbランク、cランクの計画を前倒ししてはというご提案については、国の予算措置や本市の財政状況、執行体制などを勘案しながら、検討してまいります。 (中原ひろみ議員) 体育館の耐震化は完了していますが、過去の地震では天井が落下する事故が全国で発生しています。市内の体育館の天井は、大丈夫なのですか。耐震工事では天井などの安全対策も実施されたのかお尋ねしておきます。 上にもどる 防災都市づくりについて (中原ひろみ議員) 東日本大震災の巨大津波は、沿岸部から2キロも離れた地域まで、川を逆流して押し寄せ、広範囲の地域に大きな被害を発生させました。プロパンの爆発で火災になった被災地もあり、市民から、「海田湾にあるガスタンクは、津波や地震に耐えられるのか」と心配する声が寄せられています。ガスタンクの耐震性や安全性は大丈夫なのですか。このような市民の不安を解消するためにも、川と瀬戸内海を有する広島市において、高潮護岸の建設は急務です。 (都市整備局長) 本市臨海部における高潮護岸の整備は、国と広島県が担当する地区を定め、分担して行っています。 その進捗状況は、平成22年度(2010年度)末現在で、計画延長約45qが整備済みで、整備率は69%となっています。 今後は、現在埋立事業を行っている出島地区や、当面整備予定のない民有地の護岸などを除く、デルタ地区及び船越・矢野地区において、平成28年度(2016年度)を目途に整備を完了させる予定となっています。 今年度の予算は、国が9億9,750万円、県が8,310万円、合わせて10億8,060万円となっています。 本市としましても、高潮護岸の整備は急務であると認識しており、今後も引き続き、国や県に、早期整備を要望してまいりたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 2m以上の橋は約2800もあります。これらの橋の耐震補強も、市民のライフラインを守るうえで不可欠です。それぞれの進捗状況と、今後の整備計画、予算規模を教えてください。 (道路交通局長) 橋梁の耐震補強については、緊急輸送道路など主要な道路で、昭和55年(1980年)の基準より古い基準で設計された84橋について、平成7年度(1995年度)から、落橋防止装置を設置しており、平成21年度(2009年度)には架け替え計画等がある橋りょうを除いて完了しています。 引き続き、平成21年度(2009年度)からは、橋脚の損傷を防止するための橋脚補強に取り組んでいます。 実施にあたっては、橋脚の経常を基準に42橋を抽出し、橋脚補強の必要性を調査した上で、対策を講じることとしており、現在、1橋の対策が完了したところです。 今年度は、5橋の詳細な調査や補強工事に取り組むことにしており、予算規模は、昨年度末の経済対策の前倒し分を含め4,580万円です。 今後も、厳しい財政状況の中、財源の確保を図りながら、できるだけ早期に橋りょうの耐震補強が完了するよう努めてまいります。 (中原ひろみ議員) ここまで、様々な角度から防災都市をめざす取り組みを求めてきました。自然災害は人間の力で止めることはできませんが、災害による被害を最小限に食い止めるために自治体が力を尽くすことは、広島市の責任です。 その立場からすれば、地元住民が地盤沈下や土砂崩れなど、災害への不安・危険を感じている高速5号線トンネル工事はキッパリ中止すべきです。トンネル対象区域には15mもの盛土があり、災害が発生する危険性は極めて大きく、18cmもの地盤沈下を引き起こした「高速1号線を繰り返すことになりかねない」との地元の危機感は当然です。 高速5号線トンネル安全検討委員会で再検討がされていますが、安全性が科学的に証明できるまでは掘削工事をしない、安全性が証明できないなら、事業を中止することが誠意ある行政の判断だと考えますがいかがですか。 これらの「市民の命と財産を守る」自治体の責務を果たすため「災害につよいまちづくり」への市長の決意をお聞かせ下さい。 (道路交通局長) 学識経験者と専門家で構成する「広島高速5号線トンネル安全検討委員会」は、客観的なデータに基づいてトンネル建設に伴う地表面沈下や土砂災害等の周辺地域への影響を明らかにすることを目的にした委員会です。 高速5号線の進め方については、この検討委員会の結果を踏まえ、県・市が協議して、適切に判断することにしています。 上にもどる 広島市の支援対策について (中原ひろみ議員) 被災地の自治体のなかには、役所が被災し、職員の多くが死亡し、自治体が機能を失った市町があります。このような自治体に対し広島市から職員の派遣などはされているのですか。これまでに広島市が実施した救援活動の内容をお聞きします。今後の支援で具体的になっているものがありますか。 (健康福祉局長) まず、職員の派遣につきましては、これまでに、本市から延べ679名の職員を被災地に派遣し、被災者の救助や救急搬送、応急給水活動、避難住民の健康相談等を行ってきました。 現在は、6名の職員が、被災地で、建築物の調査や、罹災証明業務、生活保護業務に従事しています。 また、こうした派遣職員による活動のほか、市民の皆さまからご提供いただいた、タオル類、肌着類、飲料水など、ダンボール箱で約5,200箱分の支援物資や、毛布等の備蓄物資、酸素マスク等の医療支援物資などを被災地にお送りしています。 このほか、市民の皆さまから寄せられた義援金の総額は、6月15日現在で、約6,084万円となっており、広島市としての義援金1億2千万円とともに、日本赤十字社を通じて、被災地に送っています。 こうした被災地への支援に加え、東日本大震災により本市に避難して来られた皆さんにも、市営住宅の一時使用、寝具や家具、食器類など生活用品の提供、生活相談や健康相談の実施など、様々な支援を行っています。 今後の取り組みとしては、義援金の受付及び避難して来られた皆さんへの支援は、継続して行ってまいります。 また、職員派遣については、現在決まっているものとしては、健康相談を行う保健師を7月3日から8月27日までの間、改めて派遣することにしています。 (中原ひろみ議員) 被災地の支援は長期間にならざるを得ません。自治体関係者だけでなく、学生や青年を始めとする多くの市民にボランティアとして参加してもらう必要がありますが市として何か取り組みをされていますか。 (市民局長) 本市では、平成23年(2011年)3月17日から、広島市社会福祉協議会、日本赤十字社広島県支部、ひろしまNPOセンターなどとともに「広島市被災者支援ボランティア本部」を設置しています。 同本部では、被災地へ行きボランティア活動をしたいという市民のために、 ・被災地のボランティア情報を収集・提供することや、 ・個人では行きにくいという市民がまとまって被災地に行けるよう、被災地の災害ボランティア本部と受け入れ日程等の調整をすることや、バスの手配などを行っています。 また、広島に転入して来られた被災者の支援を希望する市民のために、 ・転入被災者宅への物資運搬や、転入被災者を励ますための交流会運営等のボランティア募集情報を提供するなどの取り組みをおこなっています。 引き続き、被災者支援のボランティア活動を行う市民を支援していきたいと考えています。 上にもどる 保育について (中原ひろみ議員) 東日本大震災は、災害から市民の命を守るには、医療や介護、保育の充実や、地域住民とのネットワークづくりなど、社会基盤の重要性を示唆しています。しかし、国は「地域主権改革」一括法を成立させ、「国が保障すべき福祉や教育の最低基準」を放棄し、サービスの基準を各自治体にゆだねるとしています。 そこで今回は、保育分野について伺います。国の最低基準の廃止に伴い、広島市でも、子ども1人の施設面積、職員数など、保育の最低基準を条例化しなければなりません。 これまでの基準は、他の先進国と比べても遅れた水準です。例えば、二歳児未満児の場合、子ども1人の面積は、「ベビーベットをおくとハイハイするスペースがない」「食事とお昼寝の場が同じ」など、これ以上は引き下げられない中身であり拡充こそが必要ですが、市はどんな認識ですか。 (こども未来局長) 保育園の最低基準については、入園児童が明るくて衛生的な環境において心身ともに健やかに育成されることを保障するものであり、保育の質を支える重要な要素であると認識しています。 また、厚生省令には、「児童福祉施設は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない。」と規定されていることから、これを踏まえ、保育の質の向上に努めています。 (中原ひろみ議員) 広島市の条例制定にあたっては、憲法や児童福祉法、子どもたちの命と健康、健やかな育ちを支えるための最低限の基準として、少なくてもこれまでの基準を維持することは当然であり、現行より低い基準を定めることはないと約束していただけますか、市の考えを伺います。 (こども未来局長) 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が5月2日に交付されました。この法律により、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大が図られ、保育園を含む児童福祉施設の最低基準が条例に委任されることになりました。 条例を制定するに当たり、保育士の配置基準、居室の面積基準及び保育の内容などは、今後とも国の定める基準に従い定めるものとされています。一方、その他の設備及び運営に関するものは、国の基準を参酌して定めるものとされています。 現在のところ、国が定める基準を規定する省令等が示されていないことから、今後その動向を注視して対応することとなりますが、現行の保育基準を低下させることがないよう、最低基準を定めたいと考えています。 上にもどる マツダ(株)の計画節電による市民生活への影響について (中原ひろみ議員) マツダ(株)は、今年の7月から9月までの3か月間、土・日を操業し、木曜・金曜に休んで、節電対策を図るとしています。節電対策に取り組むことは必要ですが、近代社会においては「土・日は休む」という生活リズムを基本にした社会のシステムになっています。関連企業も多く市民全体への影響が多くあります。共働きの子育て世帯の場合、日曜日は、保育園も学校も留守家庭子ども会も休みで、子どもは居場所がありません。 広島市の休日保育を利用すると、3歳未満児では一日3,000円の別料金が必要で、子育て世帯には新たな負担です。子どもは日曜日だけ、休日保育を実施している4つの保育園に預けられることになります。友達も保育士も知らない人ばかり、大きなストレスをうけることは避けられません。犠牲になるのは子ども達です。 また、土曜日に保育する子どもの人数が増えれば、保育士の増員やローテーションも必要です。また、ディサービスなどに通う高齢者も日曜日対策が必要になります。そのようなことを全く考慮せず、十分な準備もないまま、突然の勤務変更は、大きく社会全体を困惑させるものです。 だいたい、木・金に休業しても、土・日に出勤では、生産稼働日数は同じであり15%の節電にはならないのではありませんか。そもそも中国電力管内は電力不足が発生するのですか。下請け関連企業と合わせると、何人の従業員と家族に、どんな影響がでるか市は把握されていますか。実態調査が必要ではありませんか。 (教育長) 教育委員会では、現在、マツダをはじめ今夏の電力需給対策を行う企業に勤務する、本市留守家庭子ども会に登録している子どもの保護者、約230世帯を対象に、ニーズの聞き取り調査をおこなっているところです。 (中原ひろみ議員) 広島市は、公立保育園の休日保育や留守家庭子ども会の日曜日開会など、どう対応されるのですか。これらの対応で必要となる新たな経費はどれぐらいになりますか。 (教育長) この調査結果を踏まえ、電力需要対策が実施される、7月から9月までの3か月間に限り、保護者のニーズが高い地域の数カ所の留守家庭子ども会を開会したいと考えています。 なお、これに伴い必要となる経費は、1カ所当たり25万円程度と見込んでいます。 (中原ひろみ議員) そもそも、マツダから行政と市民に対して、計画節電への協力のお願いがあったのですか。「節電」という二文字で、社会全体を振り回し、とりわけ、子どもに大きな犠牲を強いることは、広島市行政として見過ごせないことだと考えますが、市はどのように受け止めておられますか。 (こども未来局長) マツダをはじめ電力需給対策を行う企業が出勤日を変更することにより、7月から9月までの3か月間、一時的に休日保育が必要な児童が増加することは避けられないと考えています。 これまで、電力需給対策を行う特定の企業から、休日保育についての協力依頼は受けていませんが、本市では、現在4つの保育園で休日保育をしており、休日保育の需要があれば、協力依頼の有無に関わらず、これを受け入れることが必要であると考えています。 このため、この夏の一時的な休日保育の利用者ニーズを把握することとし、5月25日に市内の公立・私立保育園及び各区福祉事務所に対して、電力需給対策を行う企業に勤務する保護者等から休日保育の相談があった場合、速やかに保育課に報告するよう指示しており、これまで、12件の相談を受けています。 こうした休日保育ののニーズに対しては、現在休日保育を実施している4つの保育園の受け入れ枠に余裕があることから、当面は現行の実施園での対応が可能であると考えています。 今後、さらなるニーズの増加が見込まれる場合には、現行4園の受け入れ枠の拡大や、新たな公立保育園での休日保育の実施などにより、受入れ体制を整えたいと考えています。その場合に生じる経費は、児童数等により変動しますが、公立保育園1園で新たに休日保育を実施し、10人程度の児童を3カ月受け入れると仮定すると、約120万円となります。 (中原ひろみ) 広島市として、自動車工業会やマツダに対し、「振替出勤」は中止するよう申し入れるべきです。どのようにされるか答弁を求めます。 (経済局長) 政府は、5月13日、東京電力と東北電力管内における夏期の電力需給対策として、事業者や家庭において、7月から9月までの平日のピーク時の最大使用電力を15%削減するという目標を設定しました。 これを受け、マツダ等の自動車メーカーが加入する日本自動車工業会は、日本自動車部品工業会、全日本自動車産業労働組合総連合会と連携して、土・日を操業日とし、木・金を休業日とすることを決定しました。これは、平日におけるピーク時の使用電力を抑制するとともに、全国各地に点在する部品メーカーがこの取組に参加することを容易にするため、操業日を統一する必要があったことによるものです。マツダからは、以上のような事情と自動車業界を挙げての取組であり協力するという説明を受けています。 中国電力からは、中国電力管内では電力は不足しないと聞いていますが、本市としては、全国各地に点在する部品メーカーが参加することを容易にするための業界を挙げての取組であることから、マツダの参加は、やむを得ないものであると考えております。 ≪再質問≫ 留守家庭子ども会への影響について (中原ひろみ議員) 留守家庭子ども会の230世帯がご利用になられるということで、開けるということでしたが、どこを開けるのか具体的になっていればお答え願いたいと思います。 もう今日が23日ですから、あと1週間です。にも係わらず、留守家庭子ども会に登録している保護者の方が、わが子をどこに預けていいのか、どこに行けば良いのかがまだ分からない。大変不安な生活を余儀なくされていると思うわけです。 それで申し上げたいのは、計画節電と言うのは、これは企業に今後必要になるでしょう。だけど、良いことであっても、大企業が勝手に決めたのだから、もうこれでいきますというやり方は、やはりおかしいと思うんです。 良いことであっても、きちんと市民に説明し、従業員の方にも説明し、一歩一歩、一緒になって取り組んでいかないと、ただ期日だけ決めて、後は皆その日までに準備せよというのはおかしいということを言いたい。そこをご答弁ください。 (教育長) 留守家庭子ども会の臨時開会の件ですが、今、実態調査を行っておりますが、ちょうど最終的な集計がこの一両日中ぐらいにまとまる見通しで、まだ、この時点では数字がしまっておりません。 昨日までの数字を見る限りでは、それほど希望が多くないというのが実感でございまして、このままいけば、先程ご答弁いたしましたように、開けても数か所程度の、しかも、中心部の比較的送迎の便なども良いような、そういう場所になるのではないかと思っております。その背景と言いますか原因まではまだ分かりませんが、今の段階ではそれほどニーズが高くないという感じを受けております。 上にもどる 中小企業支援について (中原ひろみ議員) リーマンショック後の経済の落ち込みから、いまだ立ち直れていない市内の中小企業の多くが、東日本大震災による生産の縮小などでさらに打撃を受けました。 広島県商工団体連合会の調査では、資材が被災地向けに集中したことや、資材・部品の工場が被災し材料が入らず、仕事を請け負っても仕事ができない」「資材が値上がりし赤字覚悟で施行せざるを得ない」といった新たな問題が明らかにされています。 東日本大震災が広島市内の中小企業の経営に、どんな分野でどのような影響を与えているのか、最新の状況について報告を求めます。 (経済局長) 本市では、本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震をうけて、3月15日に「特別相談窓口」を開設し、市内中小企業者からの相談に対応しています。 6月17日時点で、「特別相談窓口」には260件の相談が寄せられています。業種別にみると、製造業が63件、小売業が36件、卸売業が31件、サービス業が29件、建設業が28件、飲食・宿泊業が14件とほぼ全業種に渡っています。 また、相談内容別にみると、本社が広島市内にある企業で、現地の支店が被災したなどの直接被害の相談のほか、サプライチェーンの寸断、被災地優先や計画停電による納入遅延、自粛ムードや風評被害などによる自社経営への間接被害の相談が多く寄せられています。 (中原ひろみ議員) 国も、大震災の影響を鑑み、全国の中小企業の倒産や廃業を防止するために、新たな融資制度を創設しました。この融資制度が積極的に活用されるためには、金融機関や広島県信用保証協会に対し、厳しい審査をせず、必要な事業所へのスムーズな貸付を要請することが必要だと考えますが、いかがですか。 (経済局長) 東日本大震災により影響を受けた中小企業者の経営の安定を図ることを目的とした、国の『東日本大震災復興緊急保証制度』が5月23日に施行されたことから、本市としても、取扱金融機関及び広島県信用保証協会に対し、中小企業者の経営の実情に配慮した積極的な対応を要請しています。 (中原ひろみ議員) 地域経済を支えるためには、仕事と雇用を増やすことが不可欠であり、行政の積極的な仕事起こしも重要です。 巨大開発中心でなく、歩道や公共施設のバリアフリー化の促進、校舎の耐震・エアコン整備、下水道老朽管の敷設換えなど身近な公共事業を確保することや、小規模修繕希望者登録制度の利用者拡大、広島県でも大好評の「住宅リフォーム補助制度」など、地元の中小企業に仕事をつくる取り組みが重要だと考えますが、市長はどのようなご認識ですか。 (財政局長) 本市では、小規模修繕を効率的に発注するため、施設の修繕契約のうち、予定価格が50万円未満で、壁のひび割れ補修、雨漏りの応急措置など内容が簡易でかつ履行確保が容易で、機能回復を目的とするものを対象に、小規模修繕希望者登録制度を設けています。 この制度の活用については、これまでも各局、区役所及び教育委員会に対して、3年に一度の登録換えや今年度から年4回に増やした追加申請時に通知するほか、年度当初の予算執行依命通達などにより周知しています。 平成21年度の小規模修繕対象件数に対する割合、いわゆる発注率については、制度を制定した平成17年度の7.5%に対して平成21年度が13.1%で5.6ポイント増加しています。 緊急に修繕する必要がある場合や特殊設備を修繕する場合は、当該施設を熟知している業者または専門業者に発注することもありますが、着実に制度が活用されていると考えています。 ご質問の制度の拡大については、この制度があくまで競争入札参加資格者登録制度の例外的な制度であること、技術職員でなくても容易に履行確認ができる小規模な修繕を対象としていることから、慎重に検討する必要があると考えています。 引き続き、この制度に該当するものは、登録業者を活用するよう、各局、区役所及び教育委員会等に対して、機会ある毎に周知してまいります。 議員ご指摘の地場の中小企業向けの身近な公共事業については、昨年度の2月補正予算において、経済危機対策として、学校の耐震化工事や公共施設の小規模整備・補修について約96億円確保するなど、厳しい財政状況の中でも、地場の中小企業むけ事業の確保に、できる限り配慮しています。 引き続き、限られた財源の中でも地域経済の活性化に配慮した予算の配分に意を用いてまいりたいと考えています。 (経済局長) 経済の振興を図るためには、地元の中小企業を支援することは重要であると認識しています。 本市の事業や制度など、施策を実施するにあたっては、市民生活の向上など政策目的に沿って優先順位をつけることが必要であると考えています。 こうした観点から、本市における住宅リフォームに関する支援制度は、耐震診断及び耐震改修、太陽光発電システムの設置、高齢者や障害者のためのバリアフリー改修など、政策目的を限定して実施しているものです。また、これらの制度は、地元の中小企業者の受注機会の拡大につながっており、中小企業の支援にも一定の効果があると考えています。 今後とも、これらの制度の活用などにより、地元の中小企業者の支援に努めてまいります。 上にもどる 教室へのエアコン整備について (中原ひろみ議員) 子どもたちの健康を守るために普通教室にエアコン設置をと長年にわたって求め続けた結果、2年前から設置が始まりました。しかし、校舎の耐震化と一緒でないと工事に不都合があるとして、耐震化と同じ10年計画でエアコン設置が進められています。 しかし、この整備計画では、同じ広島市の子どもたちでありながら、教育条件の不公平が10年間もつづきます。公立学校においてこのような不公平が長年も続くことについて、市はどのような認識をお持ちですか。 エアコンがないまま、今年もたいへん暑い中で授業を受けざるを得ない学校がほとんどです。子どもたちは一日も早くとエアコン整備待ち望んでいます。子どもたちの願いに応え、早期に整備すべきです。市長の決意をお聞きかせ下さい。 (教育長) 普通教室等への空調設備の整備については、平成21年度(2009年度)から計画的に取り組んでいます。 整備にあたっては、(1)対象校全てに空調設備を整備するには、総額約70億円と多額の事業費が必要になること (2)空調設備の整備を耐震補強工事に先行して行う場合、耐震補強工事の際に、設備の取り外しや再取り付けと言った手戻り工事や無駄な経費負担が発生すること―から、耐震補強工事に併せて行うことを基本としています。 従って、校舎の耐震補強工事の前倒しを検討する中で、空調設備の早期整備についても、併せて検討していきたいと考えています。 上にもどる 黄金山乗合タクシーへの支援 (中原ひろみ議員) 昨年10月から本格運行されている黄金山乗合タクシーの存続のために、地元では、有価資源の売却益を運行経費に充当するなど、熱心な取り組みが続けられています。しかし、利用者数が採算ラインに届かず、「地域の財政力に見合う形態」へと週3回の運行に減便されています。 市は、黄金山乗合タクシーを「高齢者福祉の充実」という視点から、モデル地域と位置付け、地元の取り組みを評価されてきましたが、減便となることをどのように受け止めておられますか。 (道路交通局長) 黄金山地区乗合タクシーについては、平成21年(2009年)10月から1年間、実験運航を実施しましたが、利用者数は採算ラインには達しませんでした。 このため、平成22年(2010年)10月から、地元の社会福祉協議会が、資源ごみの売却益等の収入を財源として、採算ラインに満たない部分を補てんすることにより、本格運行を実施してきたものです。 しかしながら、本格運行後、半年を経過しても、利用者数が採算ラインに達せず、今後の赤字補てんの見通しが立たない中で、継続運行の有効な対策をとることを目的として、本年2月に、地元住民、タクシー事業者、市で構成する「黄金山地区生活交通支援協議会」において、住民アンケートを実施しました。 この結果をもとに、7月1日から、週5日の運行を、週3日に変更することにしたものです。 本市としましては、この運行ダイヤの見直しによって、運行経費が削減され、採算性の向上が図られるものと期待していますが、今後の継続運行のためには、サービスレベルの低下により利用者が減少する悪循環に陥らないよう、一層の利用促進に取り組んでいく必要があると考えています。 (中原ひろみ議員) これまで通り週5日の運行を継続するための補てん額はいくらあればいいのですか。 (道路交通局長) 週5日運行の場合、採算ラインを満たす1日当たりの運賃収入は1万7,500円であり、1日当たり70人以上の利用者があれば、採算の確保が可能です。 1日当たりの利用者数を、仮にこれまでの平均利用者数の43人とした場合、不足分は1日当たり6,750円で、1年間に必要となる補てん額は、約165万円となります。 (中原ひろみ議員) 安心して住み続けられる地域にするためには、地域交通は不可欠であり、維持発展には市が財政面で支援し、行政としての責任を果たすべきです。市の認識を改めてお聞きします。 地域からは、丹那地区や区役所・ジャスコ・いずみなどへのコースの拡大・料金の引き下げなどの声があります。これらの地元の声を受け止めて、発展の方向へ検討いただくよう要望しておきます。 (道路交通局長) 「黄金山地区生活交通支援協議会」では、この度の運行ダイヤの見直しに合わせて、地元スーパー・病院等への協賛依頼や、地元商店街と連携した利用促進策等の新たな取り組みを実施する予定です。 本市では、今年度から、「高齢者公共交通機関利用助成事業」等の対象に黄金山地区乗合タクシーを加え、利用促進に向けた支援を行っています。 今後の支援策については、急速に進む高齢化などに対応するため、日常生活を支える公共交通の維持・確保に向けて、より効率的で効果的なものに見直す必要があると考えており、その中で、乗合タクシーについても、具体的な検討を行っていきたいと考えています。 (中原ひろみ議員) 最後に、安芸区中野東・中野地域の乗合タクシーは、どのような状況ですか。課題があれば教えてください。 (道路交通局長) 安芸中野・中の東地区の乗合タクシーについては、平成23年(2011年)1月に行った住民アンケートの結果等を踏まえ、現在、地域住民、運行予定事業者、市で構成する「中野・中野東地区乗合タクシー運行支援協議会」において、本年秋からの実験運行の実施に向け、運行ルートやダイヤ、バス停の位置、料金などの検討を進めています。 課題については、この実験運行を通じて明らかにしたうえで、地域の実情に即した運行形態等を見い出し、本格運行につなげていきたいと考えています。 上にもどる |
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